JP5055520B2 - 多孔質構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質構造体及びその製造方法に関する。
近年、内燃機関、ボイラー等の排気ガス中の微粒子や有害物質は、環境への影響を考慮して排気ガス中から除去する必要性が高まりつつあり、各種排ガス浄化技術が提案されている。例えば、自動車の排気系には、酸化触媒、三元触媒、NO吸蔵還元型触媒等が配置され、主として貴金属の触媒作用によって排ガス中のNO、HC、CO等の有害成分を浄化している。特に、酸化触媒としては、例えば、アルミナやシリカ等の担体に酸化活性の高いPtを担持したものが知られている。
従来、アルミナやシリカの多孔質担体に白金等の触媒成分を担持させる場合、通常、アルミナやシリカの多孔質担体を触媒成分を含有する溶液、例えば、触媒成分の塩の溶液に浸漬し、乾燥し、必要により焼成する方法が採用されている。
最近では、多孔質担体として、アルミナ系エアロゲルが好適に用いられている。このようなアルミナ系エアロゲルを製造する方法としては、例えば、アルミニウムアルコキシド等から加水分解して得られた湿潤なアルミナ系ゲル(ウエットゲル)を有機溶媒で満たし、超臨界条件下で乾燥する方法(超臨界乾燥)が提案されており、この方法で得られたエアロゲルは、高表面積、高気孔率及び高耐熱性を有することが知られている。
しかしながら、アルコキシドの加水分解とゲル化等の方法により作製されたウエットゲルの場合、水やアルコール等との混合物の液相を有するウエットゲルである。乾燥時の収縮による構造破壊を超臨界乾燥法で回避させるため、前記ウエットゲルを超臨界乾燥する前段階として、まず、ウエットゲルの液相中の水等をアルコールで置換することが必要不可欠であるが、その製造工程や設備に大幅なコストを要し、また可燃性・毒性等の安全性に問題があった。
また、現在使用されているエアロゲルは、耐液体性に劣り、水等の液体にエアロゲルを浸した瞬間に構造破壊してしまうため、従来の金属イオンを含む水溶液による含浸法で金属担持を行うことが不可能であるため、また使用用途も大幅に限定されてしまうという問題点があった。
更に、超臨界乾燥法は、臨界点以上の高温・高圧プロセスのため、高エネルギー消費型の製造方法であり、高製造コストに繋がると同時に、製造プロセス上安全性の問題も誘発する。また高エネルギー消費型プロセスであるがために二酸化炭素の排出も顕著となり、地球温暖化防止に向けた京都議定書の精神にも反するという問題点があった。
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高表面積、高気孔率及び高耐熱性を有するだけでなく、耐液体性であり、且つ液体との接触で構造破壊を起こさない多孔質構造体を得ることができるとともに、安全性やコストの削減に寄与することができる多孔質構造体及びその製造方法を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明は、以下の多孔質構造体及びその製造方法を提供するものである。
[1] シリカが全質量ベースで2.5〜10質量%添加されたシリカ−アルミナ系化合物で、アルミニウムアルコキシドから得られたベーマイトゾルに、シリコンアルコキシドを加えた水系でのゲル化反応によりゲル化物を作製し、前記ゲル化物を凍結乾燥した後、多孔質構造体を得る多孔質構造体の製造方法であって、前記ゲル化物から前記多孔質構造体を得る工程のいずれの段階にも触媒物質の担持工程および溶媒置換工程および超臨界乾燥工程を含まないことを特徴とする多孔質構造体の製造方法。
[2] 前記ゲル化物を、トラップ部冷却温度が−80℃以下、且つ乾燥完了時の真空度が10Pa以下で凍結乾燥する[1]に記載の多孔質構造体の製造方法。
[3] [1]又は[2]に記載の方法によって製造された多孔質構造体であって、かさ密度が0.1g/cm 以下で、且つ主な結晶相がγ−Al 結晶相から構成された多孔質構造体。
[4] 耐液体性であり、且つ液体との接触で構造破壊が起きない[3]に記載の多孔質構造体。
[5] 液体に浸した後に乾燥しても、細孔容積の変化率が液濡前の±30%以内である[3]又は[4]に記載の多孔質構造体。
[6] 液体に浸した後に乾燥しても、液濡前と変化率が±20%以内の水蒸気吸着等温線を示す[3]〜[5]のいずれかに記載の多孔質構造体。
[7] 液体に浸した後に乾燥しても、液濡前と極大ピーク位置の変化が±1nm以内の細孔分布曲線を示す[3]〜[6]のいずれかに記載の多孔質構造体。
[8] 1100℃以下の仮焼時における前記多孔質構造体の結晶相が、γ−Al 結晶相であり、且つ1200℃の仮焼時における前記多孔質構造体の結晶相が、γ−Al 結晶相又はθ−Al 結晶相のいずれかである請求項[3]〜[7]のいずれかに記載の多孔質構造体。
本発明の多孔質構造体及びその製造方法は、高表面積、高気孔率及び高耐熱性を有するだけでなく、耐液体性であり、且つ液体との接触で構造破壊を起こさない多孔質構造体を得ることができるとともに、安全性やコストの削減に寄与することができる。
以下、本発明の多孔質構造体及びその製造方法について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
本発明に係る多孔質構造体の主な特徴は、かさ密度が0.1g/cm以下で、且つ主な結晶相がγ−Al結晶相から構成されたものである。
このとき、本発明の多孔質構造体は、かさ密度が0.1g/cm以下、より好ましくは、0.02〜0.1g/cmである。これは、かさ密度が0.02g/cm未満である場合、構造的にもろくなり、機械的強度が低下するからである。一方、かさ密度が0.1g/cmを超過する場合、エアロゲルレベルの多孔質性あるいは気孔率が確保されず、高温下でのシンタリングによりかさ密度が増大しやすいからである。
本発明の多孔質構造体は、主な結晶相がγ−Al結晶相であるクリオゲルから構成されたものであることが好ましい。これにより、本発明の多孔質構造体は、多孔体のかさ密度をエアロゲルレベルの0.1g/cm以下に抑え、粒子成長の原因であるネックの数を減らすことができるからである。その結果、γ−Al結晶相が1000℃付近でα−Alに転移することを抑制することができるため、耐熱性及び高温時(例えば、1000℃以上)における熱安定性を確保することができる。尚、クリオゲルは、耐液体性であるとともに、液体との接触で構造破壊を起こすことなく、液体に浸した後に乾燥しても、液浸前の特性(例えば、BET比表面積、細孔容積、平均細孔径等)とほぼ不変的であるものである(耐液再現性に優れている)。
更に、本発明の多孔質構造体は、液体に浸した後に乾燥しても、液濡前と変化率が±30%(より好ましくは、±25%)以内の細孔容積を示すことが好ましい。これにより、本発明の多孔質構造体は、反応系内に存在する液体による細孔容積変化を最小限にくい止めることができる。
本発明の多孔質構造体は、液体に浸した後に乾燥しても、液濡前と変化率が±20%(より好ましくは、±15%)以内の水蒸気吸着等温線を示すことが好ましい。これは、触媒反応系に存在する水による構造変化を最小限にくい止めることができるからである。
本発明の多孔質構造体は、液体に浸した後に乾燥しても、液濡前と極大ピーク位置の変化が±1nm(より好ましくは、±0.8nm)以内の細孔分布曲線を示すことが好ましい。これは、反応系中に存在する液体による細孔分布の変化を最小限にくい止めることができるからである。
次に、本発明の多孔質構造体の製造方法は、シリカが全質量ベースで2.5〜10質量%添加されたシリカ−アルミナ系化合物で、アルミニウムアルコキシドから得られたベーマイトゾルに、シリコンアルコキシドを加えた水系でのゲル化反応によりゲル化物を作製し、前記ゲル化物を凍結乾燥した後、多孔質構造体を得るものであって、前記ゲル化物から前記多孔質構造体を得る工程のいずれの段階にも触媒物質の担持工程および溶媒置換工程および超臨界乾燥工程を含まないことを特徴とするものである。
このとき、本発明の多孔質構造体の製造方法の主な特徴は、アルミナ(γ−Al)の出発原料であるアルミニウムアルコキシドから得られたベーマイトゾルに、シリカ(SiO)の出発原料であるシリコンアルコキシドを添加することにある。シリカの添加量は、多孔質構造体の全質量ベースで2.5〜10質量%、より好ましくは、2.5〜5質量%である。
これは、シリカの添加量が2.5質量%未満である場合、シリカの添加効果が現れないためである。一方、シリカの添加量が5質量%を超過する場合、アルミナよりもシリカの特徴が顕著になって、高温耐熱特性が低下するからである。
尚、本発明で用いるアルミナの出発原料であるアルミニウムアルコキシドは、特に限定されないが、例えば、アルミニウムトリブトキシド:ASB(Al(sec−BuO))またはアルミニウムトリプロポキシド:AIP(Al(iso−Pro))を好適に用いることができる。また、本発明で用いるシリカの出発原料であるシリコンアルコキシドは、特に限定されないが、例えば、テトラエトキシシラン(Si(OC)を好適に用いることができる。
また、本発明の多孔質構造体の製造方法は、ゲル化物を、トラップ部冷却温度が−80℃以下、且つ真空度が10Pa以下で凍結乾燥することが重要である。これは、トラップ部冷却温度が−80℃を超過する場合、湿潤ゲルの凍結乾燥が不完全となり、乾燥収縮による微構造の破壊が発生するためである。また、真空度は、真空に近ければ近いほど良いが、乾燥完了時の真空度が10Paを超過すると、凍結乾燥が完了しておらず、乾燥収縮による微構造の破壊が発生してしまう。
更に詳細には、上記凍結乾燥は、初めに、ゲル化物(ウエットゲル)を、−80℃以下で冷却し、ゲル化物(ウエットゲル)の凍結を確認した後、真空に引き、トラップ部冷却温度を−80℃以下にて、1〜3日程度保持することが好ましい。このとき、上記保持時間は、対象となるゲル化物(ウエットゲル)の大きさ、密度や形状によって様々であるが、少なくとも真空度が10Pa以下になる保持時間が望ましい。また、ゲル化物(ウエットゲル)の初期冷却には、フリーザーを用いてもよいが、ドライアイス−エタノールや液体窒素等の冷媒で、できるだけ瞬間冷却する方が、凍結時間の短縮及びゲル化物(ウエットゲル)の凍結時における構造破壊を抑制することができるため好ましい。
このように、本発明の多孔質構造体の製造方法は、超臨界乾燥に代わり凍結乾燥を採用することにより、エアロゲルの優れた特性である高表面積、高気孔率及び高耐熱性を有するだけでなく、耐液体性であり、且つ液体との接触でエアロゲルのように構造破壊を起こさない多孔質構造体(クリオゲル)を得ることができる。
また、本発明の多孔質構造体の製造方法は、臨界点以上の高温・高圧を用いる超臨界乾燥を行わないため、安全性に優れているとともに、低温・低圧下での凍結乾燥を採用することにより、超臨界乾燥よりも省エネであり、且つウエットゲルの液相中の水をアルコールで置換することなくそのまま乾燥(凍結乾燥)することができるため、工程や設備の簡略化が可能であるため、コストを大幅に削減することができる。
以上のことから、本発明の多孔質構造体の製造方法は、アルミニウムとシリコンの金属アルコキシドを用いることにより、アルミニウムの金属アルコキシドだけを用いて得られたものと比較して、クリオゲルのγ−Al結晶相が1000℃付近でα−Alに転移することをより抑制することができるため、耐熱性及び高温時(例えば、1000℃以上)における熱安定性を新たに確保することができる。
また、本発明の多孔質構造体の製造方法は、耐液体性であるとともに、液体との接触で構造破壊を起こすことなく、液浸した後に乾燥しても、液浸前の特性(例えば、BET比表面積、細孔容積、平均細孔径等)とほぼ不変的な、即ち、耐液再現性に優れたクリオゲルを得ることができる。
本発明を実施例に基づいて、更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
(実施例1〜3、参照例1)
アルミナ源としてアルミニウムトリブトキシド(Al(sec−BuO))0.0286molを86℃の温水20mLに投入して加水分解し、HNOを加えて邂逅させた後、シリカ源としてテトラエトキシシラン(Si(OC)を加えた。シリカ添加量は、0質量%(参照例1)、2.5質量%(実施例1)、5質量%(実施例2)、10質量%(実施例3)とした。ゲル化後、トラップ温度−80℃以下、真空度10Pa以下の条件で凍結乾燥し、乾燥ゲル(クリオゲル)のサンプルをそれぞれ得た。
得られたサンプル(実施例1〜3及び参照例1)を、1000〜1400℃にて5時間焼成後、XRD分析及びTEM写真により、高温耐熱性の評価を行った。
1100℃の仮焼時、参照例1(シリカ無添加クリオゲル)では、α−θ混合相となるのに対し、実施例1〜3(シリカ添加クリオゲル)は、全てγ相のままであった。1200℃の仮焼時、参照例1(シリカ無添加クリオゲル)は、α相となるのに対し、実施例1及び実施例2では、θ−Al結晶相であり、実施例3では、γ−Al結晶相が維持されていた(図1参照)。即ち、実施例1〜3では、1200℃における耐熱性及び熱安定性を確保していることを確認した。
次に、得られたサンプル(実施例1〜3及び参照例1)を、1000〜1400℃で5時間仮焼した後のBET比表面積のグラフを図2に示す。
図2に示すように、1200℃仮焼時におけるBET比表面積が、参照例1では、3.3m/g、実施例1では、25.7m/g、実施例2では、39.0m/g、実施例3では、46.7m/gであった。これにより、実施例1〜3では、シリカを添加することにより、耐熱性及び高温時における熱安定性を飛躍的に向上させることができた。また、実施例1〜3では、従来のアルミナエアロゲルの同温度焼成時における比表面積(通常、20m/g程度)と遜色無かった。
尚、実施例1〜3では、1200℃焼成時におけるTEM写真観察により、高温焼成後も微細な粒子が多数存在しており、高温時における熱安定性に優れていることを確認した。
液体が構造に及ぼす影響を調べるため、実施例1〜3のサンプルを500℃で仮焼したものを蒸留水に浸漬した後に、水を乾燥・除去する処理を行った。500℃仮焼により実施例1〜3のサンプルは全てγ−Al結晶相を示した。水処理による多孔体の構造変化は観察されず、水処理後も水処理前と全く同一の見かけ構造を示した。水処理前後の窒素吸着等温線を測定したところ、等温線は同型を示し、細孔容積の変化率は±25%以内であった。細孔分布曲線のピーク位置も±1nmの変化範囲内にあった。また水処理前後の水蒸気吸着等温線の変化率は±15%以内であった。
(参照例2、比較例1〜3)
アルミナ源としてアルミニウムトリブトキシド:ASB(Al(sec−BuO))を用いた。86℃の水20mLに対し、このアルミナ源を0.0286mol加えて加水分解した後、HNOを加えてゾルを邂逅した。邂逅後、透明ゾルが調製されたら0.2gの尿素を添加し、同温度で一晩放置してゲル化を促した。作製されたゲルを液体窒素で急冷凍結した後、―80℃のトラップ冷却温度で24時間真空凍結乾燥を施し、アルミナクリオゲルを得た(参照例2)。比較のため、参照例2と同じ出発原料でありながら凍結乾燥を施さないアルミナキセロゲル(比較例1)と、ゾルゲル反応を施さないアルミナ沈殿物(比較例2)のサンプルを作製し、更に市販アルミナ(大明化学工業株式会社製:TM−300D)(比較例3)のサンプルと共に、XRD分析及びTEM写真により、高温耐熱性を評価した。
参照例2及び比較例1〜3では、XRD分析結果から、900℃以下の仮焼時、γ−Al結晶相のみが検出された。また、1000℃仮焼時、比較例3(市販アルミナ)では、α−Al結晶相とθ−Al結晶相が検出され、参照例2、比較例1及び比較例2では、θ−Al結晶相のみが検出された。更に、1100℃仮焼時、比較例1〜3では、Alの結晶相が、全てα−Al結晶相に相変化しているのに対し、参照例2では、α−Al結晶相とθ−Al結晶相を維持していることを確認した。即ち、1100℃の仮焼時では、参照例2のみが、1100℃における耐熱性及び熱安定性を確保していることを確認した。
次に、参照例2及び比較例1〜3を、1100℃で、5時間仮焼した後の窒素吸着等温線のグラフを図3に示すとともに、700〜1200℃で5時間仮焼した後のBET比表面積のグラフを図4に示す。
図3に示すように、1100℃の仮焼では、参照例2のみ窒素吸着等温線にヒステリシスが認められた。また、図4に示すように、参照例2では、1100℃仮焼時におけるBET比表面積が比較例1〜3よりもはるかに優れていた。尚、このときの参照例2のBET比表面積は20m/g、細孔容積が61mm/g、平均細孔径が8nmであった。
1100℃で5時間仮焼した時の表面積(対700℃仮焼時の表面積)を比較した場合、参照例2(アルミナクリオゲル)では、9.2%、比較例1(アルミナキセロゲル)では、2.9%、比較例2(アルミナ沈殿物)では、4.5%、比較例3(市販アルミナ)では、3.9%であることから、参照例2(アルミナクリオゲル)の耐熱性及び高温時における熱安定性に優れていることを確認した。
更に、700℃で仮焼した参照例2及び比較例1〜3のTEM写真を比較すると、参照例2(アルミナクリオゲル)は、一次粒子同士の密集度が小さく、粒子間の隙間が大きいのに対し、比較例1(アルミナキセロゲル)、比較例2(アルミナ沈殿物)の順に従って粒子同士の密集度が大きくなった。尚、密集度が小さいと粒子成長の原因であるネック数を減少させることができる。従って、1100℃の高温仮焼では、比較例1(アルミナキセロゲル)や比較例2(アルミナ沈殿物)、比較例3(市販アルミナ)では、α相転移により巨大なアルミナ粒子へと粒成長するのに対し、参照例2(アルミナクリオゲル)では、微細なアルミナ粒子が多数存在しており、高温時における熱安定性に優れていることを確認した。
参照例3、比較例4)
アルミナ源としてアルミニウムトリブトキシド(Al(sec−BuO))0.0286molを86℃の温水20mLに投入して加水分解し、HNOを加えてゾルを邂逅した。邂逅後、透明ゾル(透明ベーマイトゾル)を得た。この透明ゾルに0.2gの尿素を添加し、同温度で一晩放置してゲル化を促した。
作製されたゲル(湿潤ベーマイトゲル)を溶媒置換することなく液体窒素で急冷凍結した後、−80℃のトラップ冷却温度で24時間真空凍結乾燥を施し、ベーマイトクリオゲルを得た。得られたクリオゲルを500℃で3時間仮焼し、アルミナクリオゲルのサンプルを作製した(参照例3)。
一方、作製されたゲル(湿潤ベーマイトゲル)をエタノールに浸漬し、ゲル内の水などをエタノールに置換した後、エタノールの臨界点、即ち243℃、64気圧以上の超臨界条件下でエタノールを除去し、ベーマイトエアロゲルを得た。得られたベーマイトエアロゲルを500℃で3時間仮焼し、アルミナエアロゲルのサンプルを作製した(比較例4)。
それぞれ得られたサンプル(参照例3及び比較例4)をシャーレに並べて水に浸漬させると、エアロゲル構造体(比較例4)の場合、水との接触で瞬時に構造破壊が起こり、パウダー状となってしまった。一方、クリオゲル構造体(参照例3)の場合、水との接触で何ら構造変化が起きず、再度、水を乾燥除去後も全く同一の見かけ構造を示した。
参照例4及び参照例5、比較例5及び比較例6)
アルミナ源としてアルミニウムトリブトキシド(Al(sec−BuO))0.0286molを86℃の温水20mLに投入して加水分解し、HNOを加えてゾルを邂逅した。邂逅後、透明ゾル(透明ベーマイトゾル)を得た。得られた透明ゾルに、0.2gの尿素を添加し、同温度で一晩放置してゲル化を促した。
作製されたゲル(湿潤ベーマイトゲル)を溶媒置換することなく液体窒素で急冷凍結した後、−80℃のトラップ冷却温度で24時間真空凍結乾燥を施し、クリオゲル(ベーマイトクリオゲル)を得た。得られたベーマイトクリオゲルを500℃で3時間仮焼し、アルミナクリオゲルのサンプルを作製した(参照例4)。同様の方法で、アルミナ源としてアルミニウムトリプロポキシド(Al(iso−Pro))を用いたアルミナクリオゲルのサンプルを作製した(参照例5)。
一方、作製されたゲル(湿潤ベーマイトゲル)をエタノールに浸漬し、ゲル内の水などをエタノールに置換した後、エタノールの臨界点、即ち243℃、64気圧以上の超臨界条件下でエタノールを除去し、エアロゲル(ベーマイトエアロゲル)を得た(比較例5)。得られたベーマイトエアロゲルを500℃で3時間仮焼しアルミナエアロゲルのサンプルを作製した(比較例6)。
得られたサンプル(参照例4及び参照例5、比較例5及び比較例6)を、蒸留水に浸漬した後、水を乾燥・除去する水処理を行った。このとき、水処理前後の液体窒素温度における窒素吸着等温線(図5〜8)、細孔分布(図9〜12)、25℃における水蒸気吸着等温線(図13〜16)を、それぞれのサンプルについて測定した。
参照例4及び参照例5(アルミナクリオゲル)では、図5及び図6に示すように、水処理前後の液体窒素温度における窒素吸着等温線に変化が無く、細孔容積の変化率は±0.35%以内であった。細孔分布曲線では、図9及び図10に示すように、2〜3nmにピークを示し、ピーク位置の変化は±1nm以内であった。
一方、比較例5(ベーマイトエアロゲル)及び比較例6(アルミナエアロゲル)では、図11及び図12に示すように、水処理前、ミクロ孔からマクロ孔まで幅広い細孔分布を示していたが、水処理後、3nm前後のメソ孔が相対的に増大していることを確認した。尚、水処理後には、図7及び図8に示すように、窒素吸着等温線にヒステリシスが出現し、アルミナエアロゲルの細孔容積変化率は32%以上に達した。
また、参照例4及び参照例5(アルミナクリオゲル)では、図13及び図14に示すように、25℃における水蒸気吸着等温線に変化が無く、算出される比表面積も、相対圧0.90での水吸着量も水処理前後でほとんど変化が無かった。
一方、比較例5(ベーマイトエアロゲル)及び比較例6(アルミナエアロゲル)では、図15及び図16に示すように、水処理前後で形の全く異なる水蒸気吸着等温線を示した。また窒素吸着等温線(図7及び図8)と比較すると、水蒸気吸着等温線では、水処理前のサンプルでも等温線に大きなヒステリシスが現れた。水処理前のエアロゲルサンプルを水蒸気吸着測定した後に目視・観察すると、測定前にセル内に投入したエアロゲルの様子とは明らかに異なり、いわゆる体積収縮が観察された。これは水蒸気吸着測定中にエアロゲルが水と接触し、徐々に構造破壊を起こしたことによるものと考えられた。
本発明の多孔質構造体及びその製造方法は、例えば、排ガス処理用の触媒の製造に好適に用いることができる。
実施例1〜3及び参照例1における1200℃で5時間仮焼後のXRDスペクトルである。 実施例1〜3及び参照例1における1000〜1400℃で5時間仮焼後のBET比表面積を示すグラフである。 参照例2及び比較例1〜3における1100℃で5時間仮焼した時の窒素吸着等温線を示すグラフである。 参照例2及び比較例1〜3における700〜1200℃で5時間仮焼後のBET比表面積を示すグラフである。 参照例4(クリオゲル)における水浸前後の窒素吸着等温線を示すグラフである。 参照例5(クリオゲル)における水浸前後の窒素吸着等温線を示すグラフである。 比較例5(エアロゲル)における水浸前後の窒素吸着等温線を示すグラフである。 比較例6(エアロゲル)における水浸前後の窒素吸着等温線を示すグラフである。 参照例4(クリオゲル)における水浸前後の細孔分布曲線を示すグラフである。 参照例5(クリオゲル)における水浸前後の細孔分布曲線を示すグラフである。 比較例5(エアロゲル)における水浸前後の細孔分布曲線を示すグラフである。 比較例6(エアロゲル)における水浸前後の細孔分布曲線を示すグラフである。 参照例4(クリオゲル)における水浸前後の水蒸気吸着等温線(25℃)を示すグラフである。 参照例5(クリオゲル)における水浸前後の水蒸気吸着等温線(25℃)を示すグラフである。 比較例5(エアロゲル)における水浸前後の水蒸気吸着等温線(25℃)を示すグラフである。 比較例6(エアロゲル)における水浸前後の水蒸気吸着等温線(25℃)を示すグラフである。

Claims (8)

  1. シリカが全質量ベースで2.5〜10質量%添加されたシリカ−アルミナ系化合物で、アルミニウムアルコキシドから得られたベーマイトゾルに、シリコンアルコキシドを加えた水系でのゲル化反応によりゲル化物を作製し、前記ゲル化物を凍結乾燥した後、多孔質構造体を得る多孔質構造体の製造方法であって、
    前記ゲル化物から前記多孔質構造体を得る工程のいずれの段階にも触媒物質の担持工程および溶媒置換工程および超臨界乾燥工程を含まないことを特徴とする多孔質構造体の製造方法。
  2. 前記ゲル化物を、トラップ部冷却温度が−80℃以下、且つ乾燥完了時の真空度が10Pa以下で凍結乾燥する請求項1に記載の多孔質構造体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法によって製造された多孔質構造体であって、
    かさ密度が0.1g/cm以下で、且つ主な結晶相がγ−Al結晶相から構成された多孔質構造体。
  4. 耐液体性であり、且つ液体との接触で構造破壊が起きない請求項3に記載の多孔質構造体。
  5. 液体に浸した後に乾燥しても、細孔容積の変化率が液濡前の±30%以内である請求項3又は4に記載の多孔質構造体。
  6. 液体に浸した後に乾燥しても、液濡前と変化率が±20%以内の水蒸気吸着等温線を示す請求項3〜5のいずれか1項に記載の多孔質構造体。
  7. 液体に浸した後に乾燥しても、液濡前と極大ピーク位置の変化が±1nm以内の細孔分布曲線を示す請求項3〜6のいずれか1項に記載の多孔質構造体。
  8. 1100℃以下の仮焼時における前記多孔質構造体の結晶相が、γ−Al 結晶相であり、且つ1200℃の仮焼時における前記多孔質構造体の結晶相が、γ−Al 結晶相又はθ−Al 結晶相のいずれかである請求項3〜7のいずれか1項に記載の多孔質構造体。
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