JP5054633B2 - 内燃機関用スパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に使用されるスパークプラグに関する。
自動車エンジン等の内燃機関に使用されるスパークプラグは、例えば軸線方向に延びる中心電極と、その外側に設けられた絶縁体と、当該絶縁体の外側に設けられた円筒状の主体金具と、基端部が前記主体金具の先端部に接合された接地電極とを備える。また、接地電極は、その先端部が前記中心電極の先端部と対向するように曲げ返して配置され、これにより中心電極の先端部及び接地電極の先端部の間に火花放電間隙が形成される。
従来、着火性の向上を図るべく、絶縁体の先端面を主体金具の先端面よりも突出させ、前記火花放電間隙を燃焼室のより中心側に形成することが一般的に行われている。ところで、絶縁体を主体金具の先端面よりも突出させて配置すると、絶縁体に対して燃料が付着してしまいやすい。ここで、絶縁体に燃料が付着してしまうと、耐汚損性の低下を招いてしまったり、また、高温の絶縁体に対して燃料が付着してしまうことで、絶縁体表面がえぐられてしまったり(腐食してしまったり)するおそれがある。絶縁体が腐食してしまうと、当該腐食された部位がより高温となってしまい、正常な点火時期の前に点火してしまう、すなわち、プレイグニッションが発生しやすくなってしまうおそれがある。特に近年、燃費や出力の向上を図るべく用いられる直噴エンジンや高圧縮比エンジン、或いは、過給器付きエンジンにおいては、絶縁体に対して燃料がより付着しやすかったり、絶縁体がより高温となりやすかったりするため、絶縁体の腐食が一層懸念される。
そこで、主体金具の先端部に軸線方向先端側に延出する円筒状の円筒部を形成し、絶縁体の先端面を主体金具(円筒部)の先端面よりも軸線方向基端側に引っ込んだ位置に配置することで、絶縁体に対する燃料の付着を抑制し、ひいては絶縁体の腐食を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
特開2003−59619号公報
ところで、上記技術を採用した場合において、主体金具(円筒部)の先端部に対して接地電極の基端部を接合すると、主体金具及び接地電極の接合部と中心電極の先端部との間の軸線方向に沿った距離が比較的短いものとなってしまう。従って、このような場合において、前記中心電極との間で所定の大きさの火花放電間隙を形成しつつ、発火直後において混合気が燃え広がるための十分なスペースを確保するためには、接地電極を中心電極側へと比較的窮屈に(換言すれば、比較的小さな曲率半径で)、かつ、より基端側において屈曲させる必要がある。
しかしながら、接地電極を窮屈に屈曲させると、エンジンの振動等に伴う応力が接地電極の屈曲部分に対して集中しやすくなってしまい、接地電極の折損等が生じてしまうおそれがある。また、接地電極をより基端側において屈曲させることになると、屈曲加工に伴う応力が、接地電極自体と比較して強度の劣る前記接合部に対して加わりやすくなってしまう。その結果、接地電極の比較的窮屈な屈曲により前記屈曲加工に伴う曲げ応力が比較的大きくなってしまうことも相俟って、前記接合部において破断等が生じやすくなってしまい、ひいては接地電極が主体金具から脱落してしまうことが懸念される。
これに対して、上記特許文献1のように、主体金具(円筒部)の先端部外周面を先端側へと縮径するテーパ状に形成するとともに、当該テーパ状の主体金具(円筒部)の先端面に対して直棒状の接地電極を接合する方法が考えられる。ところが、この場合には、接地電極の先端側の側面が、中心電極の先端エッジ部分と対向することとなってしまうため、火花放電に伴って接地電極に偏消耗が生じてしまうおそれがある。加えて、主体金具に接地電極を接合する場合には、主体金具を支持した上で、接地電極を主体金具の長手方向に沿った押圧力をもって主体金具に対して押し付けつつ、抵抗溶接を行うことが一般的である。しかしながら、主体金具の先端面をテーパ状に加工すると、接地電極を押し付ける方向と、主体金具の先端面とが直交しなくなってしまう。そのため、比較的大きな押圧力をもって接地電極を押し付けることが困難となってしまい、十分な接合強度を得ることができなくなってしまうおそれがある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、絶縁体の腐食等を抑制しつつ、主体金具に対する接地電極の接合強度を十分に確保することができ、さらには、接地電極の折損等をより確実に防止することができる内燃機関用スパークプラグを提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成の内燃機関用スパークプラグは、
軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
前記軸線方向に延びる軸孔を有するとともに、前記中心電極の先端を自身の先端面から前記軸線方向へと突出させて当該中心電極を保持する略円筒状の絶縁体と、
筒状をなすとともに、前記絶縁体の径方向外側に設けられ、自身の外周面にねじ山の形成されたねじ部を有する一方で、前記ねじ部から少なくとも前記絶縁体の先端までの間の前記軸線方向に沿った領域において、外周面にねじ山の形成されない円筒部を有する主体金具と、
棒状をなすとともに自身の略中央部が曲げられ、かつ、自身の先端が前記軸線側に位置し、自身の基端が前記主体金具の先端部に接合された接地電極とを備えた内燃機関用スパークプラグであって、
前記主体金具の円筒部には、前記軸線方向の先端側を向くとともに前記絶縁体の先端よりも基端側に位置する底面と、当該底面及び前記主体金具の先端面のそれぞれに連なって形成される2つの側壁とからなり、前記主体金具の円筒部の内側及び外側を連通する溝部が形成され、
前記接地電極の基端は、前記溝部の底面に接合されており、
前記接地電極の先端部のうち前記軸線方向の基端側に位置する側面と、前記溝部の底面との間の前記軸線方向に沿った距離を4mm以上としたことを特徴とする。
上記構成1によれば、主体金具は、ねじ山の形成されたねじ部を有するとともに、当該ねじ部から少なくとも絶縁体の先端までの間の軸線方向に沿った領域に、外周面にねじ山が形成されない円筒部を有している。換言すれば、主体金具の先端部には、円筒部が形成されており、前記絶縁体の先端は当該円筒部の先端よりも軸線方向の基端側に位置している(つまり、絶縁体は、円筒部の内部に引っ込んだ状態で設けられている)。このため、絶縁体に対する燃料の付着をより確実に防止することができる。その結果、耐汚損性の低下や、絶縁体の腐食をより確実に防止することができる。
一方で、接地電極を主体金具(円筒部)の先端部に接合することに伴う接地電極の脱落や耐折損性の低下等が懸念されるところであるが、本構成1によれば、前記円筒部には、絶縁体の先端よりも軸線方向の基端側に位置する底面を有する溝部が形成されるとともに、当該溝部の底面に対して接地電極が接合されている。そのため、接地電極を屈曲させるにあたって、屈曲部分の曲率半径を比較的大きくすることができる。その結果、エンジンの振動等に伴う応力が、接地電極の屈曲部分に対して集中してしまうことを防止できるとともに、屈曲加工に伴い接地電極に発生する曲げ応力を比較的小さなものとすることができる。また、接地電極の屈曲部分と主体金具及び接地電極の接合部分との間の距離を比較的大きく確保することができるため、屈曲加工に伴う曲げ応力が前記接合部分に加わってしまうことを抑制できる。従って、主体金具からの接地電極の脱落、及び、接地電極の耐折損性の低下等をより確実に防止することができる。
また、接地電極の先端部のうち軸線方向の基端側に位置する側面(例えば、中心電極の先端部と対向する面)と、前記溝部の底面との間の軸線方向に沿った距離が4mm以上とされている。これにより、接地電極をより緩やかに屈曲させることができるため、エンジンの振動等に伴う応力が接地電極の屈曲部分に対して集中してしまうことをより一層確実に防止することができる。その結果、接地電極の耐折損性の更なる向上を図ることができる。
尚、絶縁体の腐食をより確実に防止するという観点からは、絶縁体の先端を、円筒部の先端よりも軸線方向の基端側に0.5mm程度引っ込んだ位置に配置することが好ましい。
構成2.本構成の内燃機関用スパークプラグは、上記構成1において、前記中心電極の先端は、前記主体金具の円筒部の先端よりも前記軸線方向の先端側に突出していることを特徴とする。
上述したように、絶縁体の腐食を防止するためには、絶縁体を円筒部よりも軸線方向の基端側に引っ込んだ位置に配置することが好ましい。但し、この場合には、中心電極の先端が円筒部の先端よりも引っ込んだ位置に配置され得る。ここで、中心電極の先端が円筒部の先端よりも引っ込んだ位置に配置されてしまうと、火花放電間隙において発生した火炎核の広がりが円筒部によって阻害されてしまう等、着火性の低下を招いてしまうおそれがある。
この点、上記構成2によれば、中心電極の先端は、円筒部の先端よりも軸線方向の先端側に突出して形成されている。そのため、火炎核の広がりが円筒部によって阻害されてしまう等の事態をより確実に抑制することができ、着火性の向上を図ることができる。
構成3.本構成の内燃機関用スパークプラグは、上記構成1又は2において、前記中心電極の先端は、前記主体金具の円筒部の先端よりも前記軸線方向の先端側に1.2mm以上突出していることを特徴とする。
上記構成3によれば、中心電極の先端が、円筒部の先端よりも軸線方向の先端側に1.2mm以上突出して形成されているため、着火性の一層の向上を図ることができる。
構成4.本構成の内燃機関用スパークプラグは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記中心電極は、その先端部に円柱状のチップを有するとともに、
前記軸線方向に沿った前記チップの長さを0.2mm以上1.5mm以下とし、かつ、
前記軸線方向に沿った前記絶縁体の先端からの前記チップの先端の突出長を、3.0mm以下としたことを特徴とする。
尚、「チップ」とは、接合される母材よりも耐火花消耗性において優れる部材によって構成されるものであり、例えば、周知の貴金属材料(Ir合金やPt合金等)を用いて構成することができる。
上記構成4によれば、中心電極は、その先端部にチップを有するため、耐火花消耗性の向上を図ることができる。
一方で、中心電極がその先端部にチップを有することによって、中心電極は絶縁体からより突出した状態となりやすい。ここで、中心電極が絶縁体から突出して配置されると、中心電極やチップがより高温となってしまい、ひいては耐火花消耗性の向上という作用効果が十分に奏されないおそれがある。
この点、上記構成4によれば、前記軸線方向に沿ったチップの長さが0.5mm以上1.5mm未満とされているとともに、前記絶縁体の先端に対する前記チップの前記軸線方向に沿った突出長が3mm以下とされている。これにより、チップや中心電極の極度の高温化を抑制することができ、耐火花消耗性の向上をより一層確実に図ることができる。
構成5.本構成の内燃機関用スパークプラグは、上記構成1乃至4のいずれかにおいて、前記接地電極は、前記溝部の底面に対して抵抗溶接によって接合されているとともに、
前記溝部の側壁、及び、前記接地電極の間の間隙の幅を1.0mm以上1.5mm以下としたことを特徴とする。
尚、この間隙の幅についての下限値は、当該間隙の距離を複数測定したもののうちの最小のものが対象であり、上限値は、当該間隙の距離を複数測定したもののうち最大のものが対象である。
接地電極を主体金具に接合するにあたっては、上述の通り、抵抗溶接によって両者を接合することが一般的に行われる。そして、抵抗溶接によって両者を接合すると、接合部分の外周には、接地電極を構成する金属材料及び主体金具を構成する金属材料が相互に溶融してなる溶融部(いわゆる、溶接ダレ)が形成される。ここで、上記構成1等を採用した場合においては、前記溶接ダレが溝部の側壁に接触してしまい、接地電極の基端部と溝部の底面との間に十分な電流が流れなくなってしまうおそれがある。すなわち、接地電極の基端部と溝部の底面との間に十分な溶融エネルギーが供給されず、主体金具に対する接地電極の接合強度が低下してしまうおそれがある。
この点、上記構成5によれば、溝部の側壁と接地電極との間の間隙の幅が1.0mm以上と比較的大きく確保されているため、溶接ダレが溝部の側壁に接触してしまうことをより確実に防止できる。その結果、接地電極の基端部及び溝部の底面の間に十分な溶融エネルギーを供給することができ、十分な接合強度を確保することができる。
一方で、溝部の側壁と接地電極との間の間隙の幅を比較的大きなものとすると、当該間隙を燃料が通りやすくなってしまい、ひいては絶縁体に対して燃料が付着しやすくなってしまうことが懸念される。この点、本構成5によれば、前記間隙の幅が1.5mm以下とされているため、燃料が前記間隙を通過してしまうことを極力抑制することができる。その結果、絶縁体に対する燃料の付着を一層確実に防止することができる。
すなわち、本構成5によれば、接地電極の接合強度の更なる向上、及び、絶縁体の腐食のより確実な防止という作用効果が一挙に奏されることとなる。
尚、前記間隙の幅を1.5mm以下とすることは、間隙を通過した燃料が絶縁体に対して付着しやすい構成、すなわち、外周から前記間隙を通して絶縁体を視認可能な構成である場合において特に有意である。
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、内燃機関用スパークプラグ(以下、「スパークプラグ」と称す)1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、スパークプラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
スパークプラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12とを備えている。さらに、前記絶縁碍子2は、前記中胴部12よりも先端側において、軸線CL1方向先端側に向けて先細り形状をなす脚長部13を有しており、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、脚長部13と中胴部12との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端面が平坦に形成されるとともに、絶縁碍子2の先端から突出している。また、中心電極5は、銅又は銅合金からなる内層5Aと、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金からなる外層5Bとを備えている。さらに、前記中心電極5の先端部には、貴金属合金(例えば、イリジウム合金)よりなる円柱状のチップ31が設けられている。より詳しくは、前記外層5Aと前記チップ31との当接面の外周に対してレーザ溶接等により溶融部41が形成されることによって、前記チップ31が設けられている。
また、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
さらに、軸孔4の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されている。当該抵抗体7の両端部は、導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面にはスパークプラグ1をエンジンヘッドに取付けるためのねじ山の形成されたねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側の外周面には座部16が形成され、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3をエンジンヘッドに取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられるとともに、後端部において絶縁碍子2を保持するための加締め部20が設けられている。
さらに、前記主体金具3は、前記ねじ部15から少なくとも前記絶縁碍子2の先端までの間の軸線CL1方向に沿った領域において、外周面に前記ねじ山の形成されない円筒状の円筒部42を備えている。本実施形態において、円筒部42は、前記ねじ部15の先端から軸線CL1方向先端側へと延び、外径が略一定となるようにして形成されている。尚、当該円筒部42は、内燃機関のヘッドの取付孔(図示せず)に対してスパークプラグ1(ねじ部15)を組み付けた際に、燃焼室の内壁から突出した状態で配置される。
また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3の後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって固定される。尚、絶縁碍子2及び主体金具3双方の段部14,21間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との間隙に入り込む燃料空気が外部に漏れないようになっている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間にはタルク(滑石)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及びタルク25を介して絶縁碍子2を保持している。
加えて、主体金具3の先端部に対して、Ni合金等で構成された接地電極27が接合されている(この点については、後に詳述する)。当該接地電極27は、外層27A及び内層27Bからなる2層構造となっている。より詳しくは、前記外層27AはNi合金〔例えば、インコネル600やインコネル601(いずれも登録商標)〕によって構成されている。一方、前記内層27Bは、前記Ni合金よりも良熱導電性金属である銅合金又は純銅によって構成されている。また、前記接地電極27は、自身の略中心部分が曲げ返されており、接地電極27のうち中心電極5側の側面27fが中心電極5(チップ31)の先端面と対向するようにして構成されている。そして、中心電極5の先端面及び接地電極27の前記側面27f間には、前記軸線CL1にほぼ沿って火花放電が行われる火花放電間隙33が形成されている。
さらに、本実施形態においては、図2,3,4に示すように、前記絶縁碍子2の先端2aが、前記主体金具3(円筒部42)の先端3aよりも前記軸線CL1方向の基端側へと所定距離(例えば、0.5mm)だけ引っ込んだ状態で配設されている。
また、前記円筒部42には、当該円筒部42の内側及び外側を連通し、底面52と、当該底面52及び主体金具3の先端面のそれぞれに連なって形成される2つの溝部53,54とからなる、側面視凹状の溝部51が形成されている。ここで、前記溝部51の底面52は、前記軸線CL1方向の先端側に向くとともに、絶縁碍子2の先端2aよりも基端側に位置している。また、当該溝部51の底面52に対して、前記接地電極27の基端部が抵抗溶接により接合されている。加えて、前記接地電極27及び溝部51の底面52の接合部分の外周には、抵抗溶接に伴い、主体金具3を構成する金属材料及び接地電極27(外層27A)を構成する金属材料が溶融してなる溶接ダレD(図1,2等においては図示略)が形成されている。尚、当該溝部51の幅W1は、前記接地電極27の幅W2よりも2mm以上3mm以下だけ大きくなるようにして形成されている。
加えて、前記溝部51の側壁53,54と、前記接地電極27の側面27s1,27s2との間に形成された間隙の幅G1,G2がそれぞれ1.0mm以上1.5mm以下とされている。
また、前記主体金具3(円筒部42)の先端3aに対する前記中心電極5(チップ31)の先端31aの前記軸線CL1方向の先端側への突出長(対金具突出長)LAが1.2mm以上とされている。
併せて、前記軸線CL1に沿った前記チップ31の長さ(軸線CL1に沿ったチップ31の先端31a及び溶融部41間の距離であって、以下「チップ長さ」と称す)LBが、0.2mm以上1.5mm以下とされている。さらに、前記軸線CL1に沿った前記絶縁碍子2の先端2aに対する前記チップ31の先端31aの突出長(対絶縁体突出長)LCが、3.0mm以下とされている。
加えて、前記接地電極27の側面27fと、前記底面52との軸線CL1方向に沿った距離(接地電極内周高さ)LDが4mm以上とされている。
次に、上記のように構成されてなるスパークプラグ1の製造方法について説明する。まず、主体金具3を予め加工しておく。すなわち、円柱状の金属素材(例えばS17CやS25Cといった鉄系素材やステンレス素材)を冷間鍛造加工により貫通孔を形成し、概形を製造する。その後、切削加工を施すことで外形を整えることで、主体金具中間体を得る。そして、主体金具中間体の所定部位に対して転造加工を施すことによって、ねじ部15を形成するとともに、主体金具中間体の先端部(円筒部42に相当する部位)に対して切削加工を施すことによって溝部51を形成する。これにより、円筒部42や溝部51等を備えてなる主体金具3が得られる。尚、前記溝部51を形成するにあたっては、溝部51の幅W1が、接地電極27の幅W2よりも2mm以上3mm以下だけ大きくなるようにして形成される。
続いて、主体金具3の溝部51の底面52に対して、Ni合金及び銅合金からなる2層構造の接地電極27が抵抗溶接される。より詳しくは、前記底面52の中心と前記接地電極27の基端面の中心とがほぼ一致するように位置合わせした上で、前記軸線CL1に沿った押圧力をもって前記接地電極27の基端を前記底面52に対して押し付けつつ、両者の間に電流を流すことによって接地電極27が抵抗溶接される。これにより、前記溝部51の側壁53,54と接地電極27の側面27s1,27s2との間の間隙の幅G1,G2がそれぞれ1.0mm以上1.5mm以下とされる。尚、当該溶接に際しては前記溶接ダレDが生じることとなるが、当該溶接ダレDのうち内周側に突出する内ダレや外周側に突出する外ダレは、剪断加工や切削加工を施すことによって除去される。次いで、接地電極27の溶接された主体金具3に、亜鉛メッキ或いはニッケルメッキが施される。尚、耐食性向上を図るべく、その表面に、さらにクロメート処理が施されることとしてもよい。
一方、前記主体金具3とは別に、絶縁碍子2を成形加工しておく。例えば、アルミナを主体としバインダ等を含む原料粉末を用い、成型用素地造粒物を調製し、これを用いてラバープレス成形を行うことで、筒状の成形体が得られる。得られた成形体に対し、研削加工が施され整形される。そして、整形されたものが焼成炉へ投入され焼成され、絶縁碍子2が得られる。
また、前記主体金具3、絶縁碍子2とは別に、中心電極5を製造しておく。すなわち、Ni合金が鍛造加工され、その中央部に放熱性向上を図るべく銅合金からなる内層5Aが設けられる。次に、中心電極5の先端部に対してチップ31がレーザ溶接により設けられる。より詳しくは、前記外層5Bの先端面と円柱状のチップ31の基端面とを重ね合わせた上で、両者の当接面の外周に対してレーザービームを照射し、溶融部41を形成することによって、中心電極5の先端部にチップ31が設けられる。
そして、上記のようにして得られた絶縁碍子2及び中心電極5と、抵抗体7と、端子電極6とが、ガラスシール層8,9によって封着固定される。ガラスシール層8,9としては、一般的にホウ珪酸ガラスと金属粉末とが混合されて調製されており、当該調製されたものが抵抗体7を挟むようにして絶縁碍子2の軸孔4内に注入された後、焼成炉内にて加熱しつつ、後方から前記端子電極6で押圧することにより焼き固められる。尚、このとき、絶縁碍子2の後端側胴部10表面には釉薬層が同時に焼成されることとしてもよいし、事前に釉薬層が形成されることとしてもよい。
その後、上記のようにそれぞれ作成された中心電極5及び端子電極6を備える絶縁碍子2と、接地電極27を備える主体金具3とが組付けられる。より詳しくは、比較的薄肉に形成された主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって固定される。そして最後に、接地電極27を中心電極5側に屈曲させるとともに、中心電極5(チップ31)及び接地電極27間の前記火花放電間隙33の大きさを調整する加工が実施されることで、スパークプラグ1が得られる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、主体金具3の先端部には、軸線CL1方向先端側に延出する円筒部42が形成されており、前記絶縁碍子2の先端2aは当該円筒部42の先端3aよりも軸線CL1方向の基端側に位置している。つまり、前記絶縁碍子2は、円筒部42の内部に引っ込んだ状態で設けられている。このため、絶縁碍子2に対する燃料の付着をより確実に防止することができる。その結果、耐汚損性の低下や、絶縁碍子2の腐食をより確実に防止することができる。
また、前記円筒部42には、絶縁碍子2の先端2aよりも軸線CL1方向の基端側に位置する底面52を備えた溝部51が設けられるとともに、当該底面52に対して接地電極27が接合されている。そのため、接地電極27を屈曲させるにあたって、屈曲部分の曲率半径を比較的大きくすることができる。その結果、エンジンの振動等に伴う応力が、接地電極27の屈曲部分に対して集中してしまうことを防止できるとともに、屈曲加工に伴い接地電極27に発生する曲げ応力を比較的小さなものとすることができる。また、接地電極27の屈曲部分と主体金具3及び接地電極27の接合部分との間の距離を比較的大きく確保することができるため、屈曲加工に伴う曲げ応力が前記接合部分に加わってしまうことを抑制できる。これにより、主体金具3からの接地電極27の脱落や、接地電極27の耐折損性の低下等をより確実に防止することができる。
加えて、円筒部42の先端3aからの中心電極5の先端の軸線CL1方向に沿った対金具突出長LAが1.2mm以上とされているため、着火性の飛躍的な向上を図ることができる。
さらに、本実施形態においては、中心電極5が、その先端部にチップ31を有するとともに、軸線CL1方向に沿ったチップ31の長さLBが0.5mm以上、1.5mm未満とされ、さらに、絶縁碍子2の先端2aに対するチップ31の軸線CL1方向に沿った対絶縁体突出長LCが3mm以下とされている。これにより、チップ31や中心電極5の極度の高温化を抑制することができ、耐火花消耗性の向上を一層確実に図ることができる。
加えて、溝部51の側壁53,54と接地電極27との間の間隙の幅G1,G2が1.0mm以上と比較的大きく確保されているため、溶接ダレDが溝部51の側壁53,54に接触してしまうことをより確実に防止できる。その結果、接地電極27の基端部及び溝部51の底面52の間に十分な溶融エネルギーを供給することができ、接地電極27の接合強度の更なる向上を図ることができる。
また、前記間隙の幅G1,G2が1.5mm以下とされているため、燃料が前記間隙を通過してしまうことを極力抑制することができる。その結果、絶縁碍子2に対する燃料の付着を一層確実に防止することができる。
併せて、接地電極27の先端部のうち軸線CL1方向基端側に位置する側面27fと、前記溝部51の底面52との間の軸線CL1方向に沿った距離(接地電極内周高さ)LDが4mm以上とされている。これにより、接地電極27をより緩やかに屈曲させることができるため、エンジンの振動等に伴う応力が接地電極27の屈曲部分に対して集中してしまうことをより一層確実に防止することができる。その結果、接地電極27の耐折損性の更なる向上を図ることができる。
次に、本実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、耐プレイグニッション評価試験を行った。耐プレイグニッション評価試験の概要は次の通りである。すなわち、絶縁碍子の先端位置を固定した上で、円筒部の軸線方向に沿った長さを変更することで、軸線に沿った主体金具の先端からの絶縁碍子の先端の突出長(絶縁体露出長)を0mm、1.5mm、3mmと種々変更したスパークプラグのサンプルを複数作製した。そして、絶縁体露出長の等しい複数のサンプルのうちの所定数のサンプルを所定のエンジンに組み付けて、当該エンジンを後述する高速模擬耐久条件で動作させることによって、絶縁体露出長の等しいサンプルについて、前記高速模擬耐久条件によるエンジン動作に用いられたサンプル(使用後サンプル)と、エンジン動作に用いられなかったサンプル(未使用サンプル)とを得た。次いで、得られた各サンプルを、点火角度が所定の初期値に設定されたエンジンに組み付けた上で、全開状態(5500rpm)で2分間エンジンを動作させた後、プレイグニッションが発生したか否かを検査し、プレイグニッションが発生しなかった場合には、点火角度を1度進角させ、再度全開状態で2分間エンジンを動作させることを繰り返し行い、プレイグニッションが発生した際の点火角度(°CA)を特定した。併せて、絶縁体露出長の等しいサンプルについて、未使用サンプルにおいてプレイグニッションが発生した点火角度から使用後サンプルにおいてプレイグニッションが発生した点火角度を減じた角度(劣化分角度)を算出した。
尚、点火角度を進めるほどサンプルの受ける熱量は大きくなり、点火角度を遅らすほどサンプルの受ける熱量は小さくなる。また、サンプルが受ける熱量が大きいほど、サンプルは高温となりやすく、プレイグニッションが発生しやすい条件であるといえる。従って、プレイグニッションが発生しやすい絶縁碍子の腐食したサンプルにおいては、未使用サンプルにおいてプレイグニッションが発生したときに受けた熱量よりも比較的小さな熱量を受けたときに(すなわち、未使用サンプルにおいてプレイグニッションが発生したときの点火角度がよりも比較的遅れた点火角度で)プレイグニッションが発生する。換言すれば、使用後サンプルにおいてプレイグニッションが発生した点火角度と、未使用サンプルにおいてプレイグニッションが発生した点火角度が略等しい(すなわち、劣化分角度が0°CA)場合、使用後サンプルは、高速模擬耐久条件におけるエンジンの動作に用いられたにも関わらず、プレイグニッションの要因となる絶縁碍子の腐食がほとんど発生しなかったものであるといえる。一方で、使用後サンプルにおいて、未使用サンプルと比較してプレイグニッションが発生した点火角度に遅れが見られた場合、使用後サンプルは、高速模擬耐久条件におけるエンジンの動作に用いられたことで、プレイグニッションの要因となる絶縁碍子の腐食が発生したといえる。要するに、劣化分角度が0°CAであった場合には、絶縁碍子の腐食が生じにくい構成であるといえ、一方で、劣化分角度が1°CA以上であった場合には、絶縁碍子の腐食が生じやすい構成であるといえる。
また、前記高速模擬耐久条件とは、自動車等が高速条件で走行する際を想定した模擬的なエンジンの動作パターンである。具体的には、平均時速が160km/hとなるとともに、中心電極の温度が400℃〜750℃の範囲に収まるようにしてサンプルの冷却等を行いながら、所定のパターンでエンジンの回転数を2500rpm〜5500rpmに変化させることを1サイクルとして、継続して300時間、当該サイクルを繰り返すものである。図5に、絶縁体露出長、及び、劣化分角度の関係を表すグラフを示す。
図5に示すように、絶縁体露出長を1.5mm、又は、3.0mmとした場合、使用後サンプルは、未使用サンプルと比較してプレイグニッションの発生する点火角度に遅れが生じており、絶縁碍子の腐食が生じやすいことがわかった。
一方で、絶縁体露出長が0mmのサンプルについては、使用後サンプルにおいてプレイグニッションが発生した点火角度と、未使用サンプルにおいてプレイグニッションが発生した点火角度とが等しいものとなり、絶縁碍子の腐食が発生しにくいことが明らかとなった。これは、絶縁碍子が主体金具よりも引っ込んだ位置に配置されることで、絶縁碍子に対する燃料の付着をより確実に防止できたことに起因すると考えられる。
次いで、前記円筒部に溝部を形成するとともに、前記溝部の側壁と接地電極の側面との間の間隙の幅(間隙幅)を種々変更したサンプルを作製し、各サンプルについて上述した耐プレイグニッション試験を行った。尚、前記溝部の側壁と接地電極の側面との間に形成される両間隙の幅は、それぞれ等しい大きさとし、さらに、各サンプルの絶縁体露出長を0mmとした。また、エンジンに組み付けた際に、燃料噴射口と絶縁碍子との間に溝部が位置するように各サンプルを配置した。図6に、間隙幅、及び、劣化分角度の関係を表すグラフを示す。
図6に示すように、間隙幅を1.5mm以下としたサンプルについては、使用後サンプルにおいてプレイグニッションが発生した点火角度が、未使用サンプルにおいてプレイグニッションが発生した点火角度と等しくなっており、絶縁碍子の腐食が極めて生じにくいことが明らかとなった。これは、間隙幅を比較的小さくしたことで、燃料が間隙を通過しにくくなり、ひいては絶縁碍子に対して燃料が付着しにくくなったことによると考えられる。
次に、円筒部の溝部の幅を種々変更するとともに、抵抗溶接によって当該溝部の底面に対して接地電極を接合してなる主体金具のサンプルを作製し、各サンプルについて折り曲げ強度試験を行った。折り曲げ強度試験の概要は次の通りである。すなわち、主体金具を固定した上で、図7に示すように、接地電極を軸線側に90°屈曲させた後、接地電極を軸線方向とは反対側に曲げ戻すことを繰り返し行った。そして、接地電極の3度目の曲げ戻しの終了時までに、前記溝部の底面と接地電極との接合部分で破断が生じなかったサンプルについては、非常に優れた接合強度を有するものとして「○」の評価を下す一方で、前記接合部分において破断が生じたサンプルについては、十分な接合強度を有するものの、接合強度に若干の低下があるとして「△」の評価を下すこととした。尚、接地電極の幅を一定とした上で、溝部の幅を変更することにより、溝部の側壁と接地電極の側面との間に形成される両間隙の幅SG1,SG2を変更した。表1に、両間隙の幅SG1,SG2と、折り曲げ強度試験における評価との関係を示す。
Figure 0005054633
表1に示すように、間隙SG1,SG2がそれぞれ1.0mm以上のサンプルについては、接地電極の3度目の曲げ戻しの終了時においても、接合部分において破断が生じず、非常に優れた接合強度を有することが明らかとなった。これは、溝部の側壁と接地電極との間隙を比較的大きくしたことで、抵抗溶接によって生じた溶接ダレが溝部の側壁と付着してしまうことを防止することができ、ひいては溝部の底面と接地電極の基端部との間に十分な溶融エネルギーを供給することができたことに起因すると考えられる。
次いで、主体金具(円筒部)の先端から中心電極の先端までの軸線方向に沿った突出部分の長さ(対金具突出長)を種々変更したスパークプラグのサンプルを作製し、各サンプルについて着火率評価試験を行った。着火率評価試験の概要は次の通りである。すなわち、各サンプルをエンジンに組み付けた後、当該エンジンをアイドリング状態(1500rpm)で動作させ、放電100回分の放電波形を得た。そして、得られた放電波形に基づいて、放電100回中における中心電極先端部及び接地電極間で正常な火花放電が発生した割合(正常着火率)を測定した。図8に、対金具突出長と、正常着火率との関係を表すグラフを示す。尚、同図においては示していないが、中心電極の先端を主体金具の先端から軸線方向後端側へと0.5mm引っ込めたサンプル(すなわち、対金具突出長が−0.5mmのサンプル)においては、正常着火率が約10%であった。
図8に示すように、対金具突出長が0mmを超えるサンプルは、正常着火率が50%を超え、中心電極の先端を主体金具の先端から引っ込めたサンプルと比較して、着火性が格段に向上することが明らかとなった。これは、中心電極の先端を主体金具の先端から突出させたことで、主体金具(円筒部)によって火炎核の広がりが阻害されてしまうことを抑制できたことによると考えられる。
併せて、対金具突出長を0.5mm以上としたサンプルは、正常着火率が80%を超え、一層優れた着火性を有しており、対金具突出長を1.2mm以上としたサンプルは、正常着火率が100%となり、非常に優れた着火性を有することがわかった。従って、着火性の一層の向上を図るという観点からは、対金具突出長を0.5mm以上とすることが好ましく、対金具突出長を1.2mm以上とすることがより好ましいといえる。
次に、中心電極の先端部に貴金属合金からなるチップを設け、絶縁碍子の先端からチップの先端までの軸線方向に沿った突出部分の長さ(対絶縁体突出長)、及び、チップの軸線に沿った長さ(チップ長さ)を種々変更したスパークプラグのサンプルを作製し、耐消耗性評価試験を行った。ここで、耐消耗性評価試験においては、各サンプルを所定のエンジンに組み付けた上で、全開状態(5500rpm)で100時間に亘ってエンジンを動作させた後、チップ及び接地電極間に形成された火花放電間隙の増加量(ギャップ増加量)を測定した。図9に、対絶縁体突出長及びチップ長さと、ギャップ増加量との関係を示す。尚、同図においては、チップ長さを0.5mmとしたときの試験結果を黒丸でプロットし、チップ長さを1.0mmとしたときの試験結果を黒四角でプロットした。また、チップ長さを1.5mmとしたときの試験結果を黒三角でプロットし、さらに、チップ長さを2.0mmとしたときの試験結果をバツ印でプロットした。
図9に示すように、対絶縁体突出長を4mmとしたサンプルは、ギャップ増加量が0.2mmを超えてしまい、耐消耗性が不十分であることが明らかとなった。これは、チップや中心電極を絶縁碍子から比較的大きく突出させたことによって、チップ等の熱が絶縁碍子へと十分に引かれなくなってしまったことによると考えられる。また、チップ長さを2mmとしたサンプルは、対絶縁体突出長の大小に関わらずギャップ増加量が0.2mmを超えてしまい、耐消耗性が不十分であることがわかった。これは、チップ長さを2mmと比較的大きくしたことで、チップの熱が絶縁碍子へと十分に引かれなくなってしまったことに起因すると考えられる。
これに対して、対絶縁体突出長を3mm以下とするとともに、チップ長さを1.5mm以下としたサンプルについては、ギャップ増加量が0.2mm未満となり、非常に優れた耐消耗性を有することがわかった。これは、チップや中心電極の熱が絶縁碍子を介して十分に引かれたことに起因すると考えられる。
尚、チップの長さが短すぎる場合には、チップの消耗に伴って比較的早い段階で中心電極の先端に溶融部が露出してしまうこととなり、耐消耗性や着火性の低下を招いてしまうおそれがある。従って、チップ長さを0.2mm以上とすることが好ましい。
次いで、軸線に沿った溝部の底面及び接地電極の先端部のうち基端側に位置する側面(中心電極と対向する面)の間の距離(接地電極内周高さ)を種々変更したスパークプラグのサンプルを作製し、各サンプルについて加熱振動試験を行った。加熱振動試験の概要は次の通りである。すなわち、各サンプルにおいて接地電極の屈曲部分を900℃に加熱しつつ、周波数200Hzの振動を与え続け、屈曲部分の折損までに要した時間(耐久時間)を測定した。そして、10時間以上折損が発生しなかった場合には、非常に優れた耐折損性を有しているものとして評価した。図10に、接地電極内周高さと、耐久時間との関係を表すグラフを示す。
図10に示すように、接地電極内周高さが4mm未満のサンプルであっても十分な耐折損性を有するものの、接地電極内周高さが4mm以上のサンプルについては、耐久時間が10時間に至っても接地電極の折損が発生せず、非常に優れた折損強度を有することが明らかとなった。これは、接地電極内周高さを4mm以上としたことで、接地電極を一層緩やかに屈曲させることができ、ひいてはエンジンの振動等に伴う応力が接地電極の屈曲部分に対して集中してしまうことをより確実に防止できたことによると考えられる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、溝部51及び接地電極27間の間隙の幅G1,G2の幅がそれぞれ1.0mm以上1.5mm以下とされているが、幅G1,G2の大きさは特に限定されるものではない。
(b)上記実施形態においては、前記側壁53及び側壁54は略平行に形成されており、溝部51のうちの開口部分の幅と、溝部51の底面52の幅とが略等しくされているが、溝部51の開口部分の幅と、前記底面52の幅とを異ならせることとしてもよい。従って、例えば、図11に示すように、開口部分の幅を底面52の幅よりも大きく形成することとしてもよいし、図12に示すように、開口部分の幅を底面52の幅よりも小さく形成することとしてもよい。ここで、開口部分の幅を底面52の幅よりも大きく形成することで、溝部51の形成加工をより容易に行うことができ、生産効率の向上を図ることができる。一方で、開口部分の幅を底面52の幅よりも小さく形成することで、燃料が溝部51の側壁53,54及び接地電極27の間の間隙を通って絶縁碍子2に対して付着してしまうことをより一層確実に防止することができる。その結果、絶縁碍子2の腐食を一層確実に防止することができる。
尚、溝部51のうちの開口部分に対応する側壁53,54と接地電極27との間隙の幅g1,g2については、当該間隙を通っての絶縁碍子2に対する燃料の付着を防止するという観点から、1.5mm以下とすることが好ましい。また、底面52側における側壁53,54と接地電極27との間隙の幅g3,g4については、絶縁碍子2への燃料の付着、及び、接地電極27の接合に伴い生じる溶接ダレDの前記側壁53,54への接触を防止するという観点から、1.0mm以上1.5mm以下とすることが好ましい。
(c)上記実施形態では、対金具突出長LAが1.2mm以上とされているが、対金具突出長を1.2mm未満とすることとしてもよい。また、チップ長さLBや、対絶縁体突出長LC、接地電極内周高さLDについても、上記実施形態における各数値範囲に限定されるものではない。
(d)上記実施形態では、中心電極5の先端部にはチップ31が設けられているが、チップ31を省略することとしてもよい。また、接地電極27のうち中心電極5(チップ31)と対向する面に、貴金属合金等、接地電極27を構成する金属材料よりも耐消耗性に優れる金属材料からなるチップを設けることとしてもよい。この場合には、耐火花消耗性の一層の向上を図ることができる。
(e)上記実施形態では、接地電極27は、外層27A及び内層27Bよりなる二層構造とされているが、接地電極27の構成はこれに限定されるものではない。従って、接地電極27については、例えば、前記内層27Bを省略して構成することとしてもよいし、3層構造或いは4層以上の多層構造をなすこととしてもよい。
(f)上記実施形態では、工具係合部19は断面六角形状とされているが、工具係合部19の形状に関しては、このような形状に限定されるものではない。例えば、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等とされていてもよい。
本実施形態のスパークプラグの構成を示す一部破断正面図である。 スパークプラグの先端部の構成を示す部分拡大正面図である。 スパークプラグの先端部の構成を示す部分拡大側面図である。 スパークプラグの先端部の構成を示す部分拡大平面図である。 耐プレイグニッション試験における、絶縁体露出長と劣化分角度との関係を示すグラフである。 耐プレイグニッション試験における、間隙幅と劣化分角度との関係を示すグラフである。 折り曲げ強度試験を説明するための拡大模式図である。 着火率評価試験における、対金具突出長と正常着火率との関係を示すグラフである。 耐消耗性試験における、対絶縁体突出長及びチップ長さとギャップ増加量との関係を示すグラフである。 加熱振動試験における、接地電極内周高さと耐久時間との関係を示すグラフである。 別の実施形態における溝部の形状を示す部分拡大側面図である。 別の実施形態における溝部の形状を示す部分拡大側面図である。
符号の説明
1…内燃機関用スパークプラグ、2…絶縁体としての絶縁碍子、3…主体金具、4…軸孔、5…中心電極、27…接地電極、31…チップ、42…円筒部、51…溝部、52…底面、53,54…側壁、CL1…軸線。

Claims (5)

  1. 軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
    前記軸線方向に延びる軸孔を有するとともに、前記中心電極の先端を自身の先端面から前記軸線方向へと突出させて当該中心電極を保持する略円筒状の絶縁体と、
    筒状をなすとともに、前記絶縁体の径方向外側に設けられ、自身の外周面にねじ山の形成されたねじ部を有する一方で、前記ねじ部から少なくとも前記絶縁体の先端までの間の前記軸線方向に沿った領域において、外周面にねじ山の形成されない円筒部を有する主体金具と、
    棒状をなすとともに自身の略中央部が曲げられ、かつ、自身の先端が前記軸線側に位置し、自身の基端が前記主体金具の先端部に接合された接地電極とを備えた内燃機関用スパークプラグであって、
    前記主体金具の円筒部には、前記軸線方向の先端側を向くとともに前記絶縁体の先端よりも基端側に位置する底面と、当該底面及び前記主体金具の先端面のそれぞれに連なって形成される2つの側壁とからなり、前記主体金具の円筒部の内側及び外側を連通する溝部が形成され、
    前記接地電極の基端は、前記溝部の底面に接合されており、
    前記接地電極の先端部のうち前記軸線方向の基端側に位置する側面と、前記溝部の底面との間の前記軸線方向に沿った距離を4mm以上としたことを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
  2. 前記中心電極の先端は、前記主体金具の円筒部の先端よりも前記軸線方向の先端側に突出していることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用スパークプラグ。
  3. 前記中心電極の先端は、前記主体金具の円筒部の先端よりも前記軸線方向の先端側に1.2mm以上突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用スパークプラグ。
  4. 前記中心電極は、その先端部に円柱状のチップを有するとともに、
    前記軸線方向に沿った前記チップの長さを0.2mm以上1.5mm以下とし、かつ、
    前記軸線方向に沿った前記絶縁体の先端からの前記チップの先端の突出長を、3.0mm以下としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の内燃機関用スパークプラグ。
  5. 前記接地電極は、前記溝部の底面に対して抵抗溶接によって接合されているとともに、
    前記溝部の側壁、及び、前記接地電極の間の間隙の幅を1.0mm以上1.5mm以下としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の内燃機関用スパークプラグ。
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