以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施の形態である自走式破砕機の全体構造を示す側面図、図2はその上面図、図3はその背面図であり、図4は破砕装置13近傍の内部構造図である。以下の説明において、図1中の機体長手方向の左・右に対応する方向を破砕機の前・後とする。
これらの図が示すように、本実施の形態の破砕機は、自力走行するための走行体1と、この走行体1に搭載した破砕機本体部2と、破砕機本体部2からの破砕物(例えば、木材チップ)を搬送し機外に排出する排出部である排出コンベヤ3と、機体各所に搭載した作動機器の動力源(エンジン)等を内蔵したパワーユニット(動力装置)4等で構成されている。次にこれら走行体1、破砕機本体2、排出コンベヤ3、及び動力装置4の概略構成を順次説明する。
走行体1は、一対のトラックフレーム5と、これらトラックフレーム5の前後両端部にそれぞれ設けられた駆動輪6及び従動輪7と、駆動輪6の軸と出力軸を連結された駆動装置(走行用油圧モータ)8と、駆動輪6及び従動輪7に掛け回された履帯(無限軌道履帯)9で構成されている。一対のトラックフレーム5上には本体フレーム10が設けられている。本体フレーム10は、上記した破砕機本体部2、排出コンベヤ3、動力装置4等を支持している。
破砕機本体部2は、投入される被破砕物(例えば、廃木材)を受け入れるホッパ(受入部)11と、ホッパ11に投入された被破砕物を搬送する送りコンベヤ12と、送りコンベヤ12上の被破砕物を送りコンベヤ12側に押さえ込んで破砕装置13(図4参照)に送り込む押圧フィーダ装置14(図4参照)と、送りコンベヤ12及び押圧フィーダ装置14によって供給される被破砕物を破砕する破砕装置13を備えている。ここで、上記の部分のうち、送りコンベヤ12及び押圧フィーダ装置14は、ホッパ11を介して受け入れられた被破砕物を破砕装置13に供給する供給装置を構成している。
ホッパ11は上部が開口した有底形状の部材であり、本体フレーム10の後方側にほぼ水平に設けられている。被破砕物は、例えば、グラップル等の適宜の作業具を備えた重機(油圧ショベル等)によってホッパ11の上方又は後方から投入される。
送りコンベヤ12は、ホッパ11内にほぼ水平に収容され、本体フレーム10の長手方向の後方側に設けられており、ホッパ11に投入された被破砕物を破砕装置13に搬送する。また、送りコンベヤ12は、図4に示すように、破砕装置13に備えられた破砕ロータ32(後述)に対向して設けられたスプロケット状の駆動輪15とその反対側(機体後方側)に設けられた従動輪(図示せず)との間に搬送体16を掛け回して構成されている。搬送体16はチェーンベルトにより構成され、図2に示したように機体幅方向に複数列(本例では4列)並べて設けられている。搬送体16は、駆動輪15及び従動輪をプーリとし、これらにゴムベルトを掛け回して構成しても良い。
図4において、破砕装置13は本体フレーム10の略中央部分の上部に設けられている。この破砕装置13は、ドラム19の周胴部(外周部)に複数の破砕ビット31を取り付けて構成される破砕ロータ32と、破砕ビット31が破砕した被破砕物をさらに破砕するアンビル(固定刃)33を備えている。破砕ロータ32は送りコンベヤ12の前端部に対向するように本体フレーム10上に設けられており、アンビル33は破砕ロータ32の径方向外側に設けられている。
また、破砕ロータ32の下方には破砕物を粒径で選別して排出コンベヤ3上に排出するスクリーン35が設けられており、破砕ロータ32の上方には湾曲板39が設けられている。スクリーン35は湾曲した板部材であり、その板面上には所定の径から成る孔(図示せず)が複数設けられている。スクリーン35は排出する破砕物の粒径をこの孔の大きさを利用して選別している。このように構成されるスクリーン35と湾曲板39は被破砕物が破砕される空間である破砕室34を画定している。
押圧フィーダ装置14は、送りコンベヤ12の駆動輪15の上方に配置された押圧ローラ17と、押圧ローラ17を支持する支持部材18を備えており、破砕ロータ32を上部から覆うように設けられている。支持部材18は前端部が回動軸36を支点として上下に回動可能に取り付けられており、押圧ローラ17が上下動するように構成されている。図4では特に図示していないが、回動軸36はハウジングの側壁に軸受を介して回転自在に支持されている。
支持部材18は、基端部が回動軸36に支持されたアーム部37と、アーム部37の先端側(基端側と反対側)に取り付けられたブラケット部38を備えている。ブラケット部38は両側面から押圧ローラ17を回転自在に支持している。アーム部37の破砕室34に臨む下面側には前述の湾曲板39が取付けられている。特に図示していないが、押圧ローラ17は中空のドラム状部材で構成されており、ドラム内部に自らの駆動装置(図示せず)を収容している。この駆動装置により、送りコンベヤ12による被破砕物の搬送方向に転動する向き(図4では反時計回り)に被破砕物の搬送速度とほぼ同じ周速度で押圧ローラ17が回転される。なお、図4においてブラケット部38から凸状に突出して示される部分は押圧ローラ17の両端部に設けられたカバー40である。
ここで図1から図3に戻り、排出コンベヤ3は、フレーム22と、フレーム22の長手方向の両端に設けられた駆動輪及び従動輪(ともに図示せず)と、これら駆動輪及び従動輪の間に巻き回されたコンベヤベルト24(図6参照)と、機体前方に位置する駆動輪を回転駆動させる駆動装置(排出コンベヤ用油圧モータ)23等を有している。排出コンベヤ3の破砕物排出側(前方側(図1及び図2中の左側))はパワーユニット4から突出して設けられた支持部材20によって吊り下げ支持されており、その反対側端部(後方側(図1及び図2中の右側))は支持部材21を介して本体フレーム10から吊り下げ支持されている。排出コンベヤ3は、走行体1の間を破砕装置13の下方からパワーユニット4の下方へ通され、機体前方に向かって上り傾斜になるように支持部材20,21によって支持されている。即ち、排出コンベヤ3の一端は破砕装置13の下方かつ一対のトラックフレーム5の間に設けられており、その他端(排出側)は機体長手方向の前方側に一端より上方に位置するように設けられている。このような構成により、排出コンベヤ3は、駆動装置23を回転駆動させることによってコンベヤベルト24を循環駆動させ、破砕装置13によって破砕された破砕物を機外へ排出している。
パワーユニット4は、本体フレーム10の長手方向の前方側端部上に設けられた支持部材25を介して破砕機に搭載され、破砕装置13の前方かつ排出コンベヤ3の上方に配置されている。
ところで、一般にリサイクル機械では、排出するリサイクル品の集積高さの確保や、トラック等の運搬手段への積み込み性等の点から、排出コンベヤ3の排出側端部の位置は可能な限り高いことが望ましい。しかし、本実施の形態の自走式破砕機のように道路通行も想定しているものでは、トラック等の輸送手段の大きさも含めて機体高さを制限値内に収める必要がある。一方、機体長については、上記の道路通行の制限に加えて、トラック等への積載性も考慮する必要があり、可能な限り短い方が好ましい。
このような実情から、本実施の形態の自走式破砕機は、パワーユニット4を本体フレーム10から機体前方(排出コンベヤ3の排出端側)に突出して配置させて排出コンベヤ3とできるだけ近接させるとともに、支持部材25によって上記の高さ制限の範囲内で上方に配置させて排出コンベヤ3の立ち上がり位置を処理装置(破砕装置13)側に配置することにより、機体長の短縮化を図っている。
ここで図5、図6、及び図7を用いて、本実施の形態における最も特徴的な部分であるパワーユニット4の構造について詳述する。
図5は本実施の形態の自走式破砕機に設けられたパワーユニット4の内部構造を示す上面図であり、図6は図2中のVI-VI断面における横断面図であり、図7は図2中のVII-VII断面における縦断面図である。なお、図5においては、後述のエンジン50側が機体前方側(排出コンベヤ3側)に該当し、後述の制御弁装置53側が機体後方(破砕装置13側)に相当する。また、先の図と同じ部分には同じ符号を付して説明は省略する(後の図も同様とする)。
これらの図において、パワーユニット4は、本実施の形態の自走式破砕機の駆動源となるエンジン50と、エンジン50を冷却する冷却装置51と、エンジン50によって駆動され、機体内の各油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプ52と、油圧ポンプ52から各油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れを適宜制御する制御弁装置53と、エンジン50の燃料が貯留される燃料タンク54と、油圧ポンプ52から各油圧アクチュエータに供給される作動油が貯留される作動油タンク55と、上記の各機器50,51,52,53等を外界から隔離するためにそれらを取り囲むように設けられたカバー60と、カバー60上に設けられ、パワーユニット4内に堆積した飛散物等(堆積物)を排出する第1排出扉70及び第2排出扉71を備えている。
また、エンジン50と油圧ポンプ52の間にはパワーユニット4内の空間を区画する仕切り板61が設けられており、エンジン50と制御弁装置53の間には仕切り板62及び仕切り板63が設けられている。これら仕切り板61,62,63によって区画される空間のうち、エンジン50が配置される区画はエンジン室65であり、油圧ポンプ52が配置される区画はポンプ室66、そして制御弁装置53が配置される区画は制御弁室67である。なお、図5には、仕切り板61,62,63の一部が示されている。
パワーユニット4の底面には機体長手方向に沿って支持部材(例えば、I形梁)56a,56bが設けられており、これら部材56a,56bはエンジン50及び制御弁装置53を支持するとともに、パワーユニット4の構造的強度を向上させている。
エンジン50は、支持部材56a,56b等によって機体前方の中央付近に支持され、エンジン室65内に固定されている。エンジン室65の底面(カバー60の一部)にはパワーユニット4内に堆積した大気中の浮遊物や飛散した破砕物等(堆積物)を排出するための開口部72が設けられており、この開口部72には第1排出扉70が開閉自在に取り付けられている。
開口部72は、支持部材56aと支持部材56bの間、かつ排出コンベヤ3の上方に配置されている。そのため、第1排出扉70を開けるとエンジン室65内の堆積物が排出コンベヤ3上に排出される。開口部72の幅(機体幅方向の長さ)は、排出時に堆積物が排出コンベヤ3外へできるだけ飛散しないように、排出コンベヤ3の幅より短くすることが好ましい。また、更に好ましくは、開口部72の幅はコンベヤベルト24(図6参照)の幅より短くすると良い。
また、開口部72の周囲には、図6に示すように、開口部72の縁から支持部材56a,56b等の上端まで上方に向かって単調に立ち上がる壁面73を有する吸引物堆積部(堆積部)74を設けることが好ましい。このように構成すれば、堆積部74は第1排出扉70の他は傾斜又は垂直な壁面のみによって構成されるので、堆積物の排出性を向上することができる。また、壁面73は、図6に示すように、上方に向かうにつれて外側に拡がりながら立ち上げると更に良い。このように壁面73を設けると、堆積部74は開口面積が上方に向かって増加するように構成されるので、堆積物の排出性は更に向上する。なお、壁面73は、支持部材56a,56b等の上端まで立ち上げるだけでなく、更に延長して仕切り板61,62,63やカバー60の内壁面等と連なるように単調に立ち上げ、エンジン室65内に平坦な部分をできるだけ設けないようにすると更に良い。
第1排出扉70は2枚の扉から成っており、各扉は開口部72に対して対称に取り付けられている。各扉の一方の端部(固定端)70a(図6参照)は回動軸になるように蝶板92(後述の図8参照)等でカバー60に固定され、各扉の他方の端部(自由端)70b(図8参照)は固定端70a側を軸として回動するよう構成されている。即ち、第1排出扉70の2枚の扉は互いに相反する方向に開くように開閉自在に構成されており、いわゆる観音開きが可能な構成となっている(後述の図8参照)。なお、排出時に堆積物が排出コンベヤ3外へ飛散することを抑制する観点からは、各扉が機体幅方向両側に開くように取り付けると良い。このように取り付ければ、堆積物が排出コンベヤ3へ落下する際に機体幅方向へ飛散することが抑制できる。
第1排出扉70の自由端側70bは、扉を閉めた状態では互いにボルト等の固定手段で固定されており、この固定手段によって姿勢が保持される。なお、この固定手段はクサビやラッチ等でも良い。
ここで、第1排出扉70が開けられたときの構成を説明する。
図8は図6において第1排出扉70が開かれた状態の横断面図である。
この図において、第1排出扉70の自由端70bは排出扉70が開かれた状態で排出コンベヤ3の上方に配置されている。このように、第1排出扉70を開けたときの扉の静止姿勢に制限を与える場合には、例えば、カバー60の底面に排出扉70の回動を制限するストッパー90(後述の図9参照)を設けると良い。このストッパーによって、排出扉70を開閉する場合にもその自由端70bが排出コンベヤ3上に常に位置するように構成すれば、堆積物の飛散を更に確実に抑制することができる。
冷却装置51は、ラジエータ及びラジエータファン(図示せず)を有し、エンジン50に対して機体幅方向の一方側端部(油圧モータ52の反対側)に配置されている。冷却装置51の機体幅方向の更に外側には外気の吸気口となるスクリーン(ネット)(図6参照)57が設けられている。
スクリーン57は、所定の大きさから成る孔(目)(図示せず)を複数有し、吸気に含まれる大気中の浮遊物や飛散した破砕物(飛散物)等がパワーユニット4内に侵入することを抑制する。冷却装置51は、ラジエータファンによってスクリーン57を介して外気を吸引し、ラジエータを通過するエンジン50の冷却水を冷却している。
油圧ポンプ52はエンジン50に対して冷却装置51の反対側(機体幅方向の他方側端部)に設けられている。上記の仕切り板61は、図6に示されるように、油圧ポンプ52を覆っており、作動油が油圧ポンプ52から漏れた場合等にも他の区画に侵入しないように構成されている。
制御弁装置53は、支持部材56a,56b上に架け渡された取付部材58a,58b上に取り付けられ、制御弁室67内に固定されている。制御弁室67の底面(カバー60の一部)には堆積物を排出するための開口部76が設けられており、この開口部76には第2排出扉71が開閉自在に取り付けられている。
開口部76は、開口部72同様、支持部材56aと支持部材56bの間、かつ排出コンベヤ3の上方に配置されている。開口部76の幅も、排出時に堆積物が排出コンベヤ3外へできるだけ飛散しないように、排出コンベヤ3の幅より短くすることが好ましい。また、特に図示はしないが、開口部76の周囲にも、壁面73同様の壁面を有する堆積部を設けることが好ましい。
第2排出扉71は1枚の扉から成っている。その扉の一方の端部(固定端)71a(図5参照)は回動軸になるように蝶板等でカバー60に固定され、他方の端部(自由端)71b(図5参照)は固定端71a側を軸として回動するように構成されている(図7参照)。第2排出扉71は、固定端71a側を開口部76の機体前方側に、自由端71b側を開口部76の機体後方側に配置されるように取り付けることが好ましい。このように排出扉71を取り付ければ、扉を開けたときに自由端71b側が機体前方に来るので、開口部72と比較して機体中央(破砕装置13側)寄りに位置する開口部76の開閉を行う際にも開閉作業が容易になる。
上記のように構成される自走式破砕機において破砕処理を行う際には、被破砕物(例えば、廃木材)をグラップルを備えた油圧ショベル等でホッパに投入して送りコンベヤ12上に送り込む。送りコンベヤ12上の被破砕物が破砕装置13に向かって搬送されると、破砕装置13の手前で押圧ローラ17が被破砕物上に乗り上げる。すると押圧ローラ17の自重で被破砕物が送りコンベヤ12に押し付けられ、押圧ローラ17と送りコンベヤ12とが被破砕物を把持した状態となる。そして、この状態でさらに互いの送り機能が協動して被破砕物は破砕装置13へ供給される。
破砕装置13は、破砕ロータ32を高速回転させることで被破砕物を破砕ビット31で打撃して粗破砕し、粗破砕した被破砕物をアンビル33によってさらに細かく破砕する。このとき、破砕ロータ32は、図4に矢印で示したように、破砕室34に導入された被破砕物に対して破砕ビット31が下から衝突する向き(図中、反時計回り)に回転しており、その破砕反力は主に押圧ローラ17によって受けられる。
破砕途中の被破砕物片は、破砕室34内で破砕ロータ32の回転に伴って破砕室34内を周回し破砕ビット31やアンビル33等と衝突を繰り返すうちにさらに細粒化される。破砕室34を構成するスクリーン35の孔よりも粒径が小さくなった破砕物は、その孔を通過して排出コンベヤ3上に排出される。
ところで上記のような一連の破砕作業を行うと、その作業過程で破砕物が破砕機周辺に飛散する場合がある。特に、その中でも大気中を浮遊できるほど微細なものはラジエータファン等の吸気に乗ってスクリーン57を通過してパワーユニット4内に堆積することもある。パワーユニット4内には、このような微細な破砕物の他にも大気中の粉塵等も堆積する。パワーユニット4内の堆積量は、岩石や土等と比較して重量が軽くて飛散し易い木材を破砕する破砕機の場合に特に顕著となる。
このようにパワーユニット4内に堆積した飛散物や粉塵等は内部の機器に悪影響を与えて損傷させたりすることがあるため、パワーユニット4内を定期的に清掃する必要がある。特に、堆積物に木材等の有機物が含まれている場合には腐敗するおそれがあり、場合によっては金属腐食を引き起こすこともある。
本実施の形態の破砕機では、仕切り板61,62,63や支持部材56a,56b等のパワーユニット4内の構造物に影響される吸気の流れの関係もあって、吸引物は主にエンジン室65内に多く堆積し、次いで制御弁室67内に堆積する傾向がある。特に、エンジン室65においては、支持部材56aと支持部材56bの間に多くの吸引物が堆積する傾向がある。
エンジン室65内に堆積した吸引物を排出する際には第1排出扉70を開放する。ボルト等の固定手段を取り外して第1排出扉70を開けると、堆積部74に堆積していた吸引物は、開口部72の下方に配置された排出コンベヤ3上に排出される。これにより第1排出扉70を開けるだけで容易にパワーユニット4内の堆積物を外へ排出することができる。
また、制御弁室67内の堆積物を排出する際には第2排出扉71を開放する。第2排出扉71を開けると、上記の第1排出扉70の場合と同様に、制御弁室67内に堆積していた吸引物は、開口部76の下方に配置された排出コンベヤ3上に排出される。
このように各排出扉70,71を開放した状態で排出コンベヤ3のコンベヤベルト24を循環駆動させると、排出された堆積物がコンベヤベルト24上を搬送されて機体外へ容易に排出される。また、この状態でエンジン50をアイドリングさせながらラジエータファンを回転させても良い。このようにするとパワーユニット4内に気流を発生させることができ、別途ブロア等で風を起こさなくてもパワーユニット4内の堆積物を排出コンベヤ3上に排出することができる。
次に本実施の形態の効果を説明する。
まず、本実施の形態の効果の理解を容易にするため、本実施の形態の比較例となる技術を説明する。
パワーユニット4の内部を清掃する場合に利用する方法には、パワーユニット4を下方から覆うカバー(底面カバー)と上面のカバーを機体から取り外し、パワーユニット4内に上方から送風機等で風を送って堆積物を吹き飛ばして清掃するものがある。しかし、従来のリサイクル機械の底面カバーはボルト等で機体に固定されているため、その取り外し・取り付け作業に手間がかかり、効率良く清掃することが難しかった。また、底面カバーの下方に排出コンベヤ3が設けられている本実施の形態のようなタイプのリサイクル機械では作業スペースが限られてしまうので、その作業は更に困難となる。
また、パワーユニット4内に飛散物等が侵入することを抑制する方法には、冷却装置(ラジエータ)51の前面にあるスクリーン57の目を細かくするものがある。しかし、内部のエンジン50等を冷却するには一定量以上の吸気の確保は必要であり、スクリーン57の目を細かくして飛散物の侵入を抑制しようとしても限界がある。そのため、スクリーン57の目より小さいものは依然として内部に侵入して堆積してしまう。特に堆積物が木材等の有機物の場合には、粒径が小さくなるほど腐食し易くなるので、スクリーン57の目を粗くした場合と比較して早期に金属腐食が発生する場合もある。
これらに対して、本実施の形態の破砕機は、排出コンベヤ3の上方に配置され、パワーユニット4のカバー60に開閉自在に設けられた第1排出扉70を備えている。このように排出コンベヤ3の上方に第1排出扉70を設けることにより、パワーユニット4内に吸引物(飛散した破砕物や浮遊物等)が堆積しても第1排出扉70を開放することにより容易に排出コンベヤ3上に排出することができる。また、本実施の形態によれば、底面カバーを取り外す上記の方法と比較してカバーの取り外し作業の手間を省略できるだけでなく、堆積物を機体周辺にほとんど飛散させることなく排出コンベヤ3上に排出できる。これによりパワーユニット4内を清掃する際に散乱していた堆積物を低減できるので、それに付随する清掃の手間も軽減することができる。このように、本実施の形態によれば、パワーユニット4内の堆積物を排出コンベヤ3上に容易に排出することができるので、パワーユニット4内を効率良く清掃することができる。
また、排出扉70を開放する際にコンベヤベルト24を駆動させれば、コンベヤベルト24によって排出物が順次機体前方へ搬送されるので、排出物を容易に機体外へ排出することができる。
さらに、本実施の形態の破砕機の第1排出扉70はエンジン50の下方に設けられているので、吸引物が堆積しやすい傾向にあるエンジン室65の堆積物を容易にパワーユニット4外へ排出することができる。また、本実施の形態の破砕機は、カバー60に開閉自在に設けられ、制御弁装置53の下方かつ排出コンベヤ3の上方に配置された第2排出扉71を備えている。これにより制御弁室67内に吸引物が堆積した場合にも、堆積物を容易に排出コンベヤ3上に排出することができる。
なお、上記で説明した破砕機では開口部72(第1排出扉70)はカバー60の底面に設けたが、カバー60の底面から側面の一部にかかるように開口部72を設け、そこに第1排出扉70を設けても良い。このように排出扉70を設けても、上記の場合と同様、パワーユニット4内の堆積物を排出コンベヤ3上に排出することができる。
また、第1排出扉70の構成は上記で説明したものに替えて、次に説明するように構成しても良い。
図9は本発明の実施の形態である自走式破砕機の変形例における開口部72付近の拡大断面図である。
この図において、カバー60の底面には第1排出扉70が所定位置を超えて回動することを制限するストッパー90が設けられており、各扉の自由端70b付近には操作者が扉を把持するための把手(把持部)91が設けられている。また、排出扉70は固定端70aにおいて蝶板92によってカバー60に固定されている。
ストッパー90は、排出扉70の各扉の回動軸に沿って設けられており、排出扉70と接触することによって扉の回動を制限している。さらに、ストッパー90は、図9に示したように、第1排出扉70が開かれたときに、各扉の自由端70bが排出コンベヤ3の上方で静止するように設けられており、排出扉70を逆ハの字形の姿勢で静止させる。これにより堆積物の排出シュートが排出扉70によって形成される。この排出シュートは堆積物を効率良く排出できるとともに、排出コンベヤ3外に排出物が飛散することを更に抑制することができる。なお、このように排出扉70で排出シュートを形成すれば、開口部72の下方に排出コンベヤ3が適切に位置しない場合(例えば、排出コンベヤ3の直上に開口部72が位置しない場合や、開口部72の幅が排出コンベヤ3の幅より大きい場合等)にも、適宜各扉の回動可能角度を制限することによって、堆積物を排出コンベヤ3上に導くことができる排出路を形成することができる。また、上記の場合にも自由端70bがコンベヤベルト24の上方に配置されるようにストッパー90を設けると良く、このようにすれば堆積物を確実に排出コンベヤ3上に排出することができる。
ところで、上記の実施の形態では主に木質系の被破砕物を破砕するいわゆる木材破砕機を取り上げて説明してきたが、本発明は、被処理物を処理する処理装置と、この処理装置が処理した処理物を排出する排出コンベヤを備えるいわゆるリサイクル機械全般に適用可能である。このようなリサイクル機械には、上記の木材破砕機の他の破砕機や、土質改良機等が挙げられる。
破砕機には、上記の木材破砕機の他、例えばビル解体時に搬出されるコンクリート塊や道路補修時に排出されるアスファルト塊等の建設現場で発生する大小様々な建設廃材、産業廃棄物、若しくは岩石採掘現場や切羽で採掘される岩石・自然石等を処理対象とし、これらを被破砕物として受け入れて細かく破砕するものがある。また、土質改良機は、例えば建設現場等で発生する建設発生土を、現場内で土質改良材とともに混合処理してリサイクル用の改良土製品を生成するといった建設発生土改良、或いは、宅地建設用地等の表層を掘削した土砂をその場で改質し、地盤強化のために表層に埋め戻す改良土を生成したり、道路建設用地等で現場内の所定の箇所を掘削して得た土砂をその場で改質し、路床材として敷設する改良土を生成するといった表層地盤安定化処理等に広く用いられるものである。
図10は自走式破砕機の全体構造を示す側面図である。
この図に例示した破砕機は、いわゆるジョークラッシャであり、破砕機を自力走行可能にする走行装置200と、建設現場で発生する建設廃材や産業廃棄物等の被破砕物(被処理物)を受入れるホッパ201と、ホッパ201のほぼ直下に位置し、ホッパ201に受け入れられた被破砕物を櫛歯状に形成された櫛歯プレート(図示せず)によって搬送するグリズリフィーダ(供給装置)202と、グリズリフィーダ202から供給される被破砕物を対向した一対の動歯及び固定歯(ともに図示せず)で破砕するジョークラッシャ(処理装置)203と、ジョークラッシャ203によって破砕された破砕物を搬送して機外に排出する排出コンベヤ204と、排出コンベヤ204の上方に設けられ、破砕機に搭載された各作動装置の動力源となるエンジン(図示せず)等を内蔵したパワーユニット205を備えている。
なお、この他にも、いわゆるインパクトクラッシャ、シュレッダ、及びロールクラッシャ等、様々な破砕機が存在するが、本発明はこれらについても適用することができる。
図11は自走式土質改良機の全体構造を示す側面図である。
この図に示す土質改良機は、土質改良機を自力走行可能にする走行装置300と、建設現場等で発生する建設発生土等の土砂(被処理物)を受け入れるホッパ301と、このホッパ301内の土砂を搬送する搬送コンベヤ(供給装置)302と、この搬送コンベヤ302で搬送される土砂に土質改良材を供給する土質改良材供給装置303と、搬送コンベヤ302から導入された土砂及び土質改良材を混合し改良土を生成する混合装置(処理装置)304と、この混合装置304から導出された改良土を機外に排出する排出コンベヤ305と、排出コンベヤ305の上方に設けられ、土質改良機に搭載された各作動装置の動力源となるエンジン(図示せず)等を内蔵したパワーユニット306を備えている。
これらのリサイクル機械も、上記のようにカバーに囲われたパワーユニット205,306を備えているためパワーユニット205,306内の定期的な清掃が必要となる。しかし、これらのリサイクル機械においてもパワーユニット205,306の下方に排出コンベヤ204,305が設けられているので、上記の実施の形態同様に、パワーユニット205,306のカバーの底面に開口部を設け、その開口部に開閉自在な排出扉を取り付けることができる。したがって、上記のようなリサイクル機械においても本発明を適用することができるので、パワーユニット205,306内を効率良く清掃することができる。
また、以上においては自力走行可能なリサイクル機械に本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、これらに限られず、牽引して走行可能な移動式リサイクル機械、若しくは例えばクレーン等により吊り上げて運搬可能な可搬式リサイクル機械、さらにはプラント等で固定機械として配置される定置式リサイクル機械に適用することもできる。