JP5027856B2 - 放射音低減結合構造 - Google Patents
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Description
このように、並進方向(Z方向)の振動を吸振するための動吸振器を設けるだけでは回転方向の振動Vrは低減できず、放射音を十分に低減できないという問題があった。
また、囲み部は、第1部材と第2部材とが対向する方向における第2部材の厚みの大きい部分(例えば、リブや第2部材が板状である場合の厚板部など)により、同方向から見た第2部材の一部を囲うように形成されてなる。よって、1次の固有振動について、第2部材の厚みの大きい部分である囲み部が振動の節となり、第2部材のうち囲み部に囲まれた部分の中央が振動の腹となる。ここで、この振動の腹は、モーメント加振力に対しては節である。すなわち、囲み部に囲まれた部分の中央では1次の固有振動による回転方向の振動が生じない。そして、この囲み部に囲まれた部分の中央に第2部材の結合部が位置する。よって、結合部での回転方向(結合部を中心とする回転方向)の振動が低減される。
また、第1部材と第2部材とが対向する方向の振動を吸収するように第1部材または第2部材に動吸振器を設けている。よって第1部材と第2部材とが対向する方向(並進方向)の結合部での振動が低減される。
したがって、本発明では結合部での並進方向および回転方向の振動が低減される。よって、第1部材と第2部材との間で結合部を介して伝達される振動を低減でき、放射音低減結合構造から生じる放射音を低減できる。
第1部材10(機械のフレーム)と、第2部材40(フレームに取り付けるパネル)と、が対向して配置される。第1部材10と第2部材40とは結合部42で結合される。さらに詳しくは、第1部材10の突起部12と、第2部材40の結合部42と、を接触させて結合する。また、第1部材10に図示しない加振源(モータ、ギアなど)が固定される。この加振源の振動は第1部材10に伝達され、第1部材10から結合部42を介して第2部材40に伝達される。そして第2部材40から騒音である放射音が生じる。
ここで、第2部材40には囲み部45が設けられる。この囲み部45は、第2部材40の一部を囲っている。第2部材40のうち囲み部45に囲まれた部分を「囲まれた部分40e」とすると、この囲まれた部分40eの1次の固有振動数と、第2部材40が受ける上記の振動の加振周波数と、がほぼ一致するように囲み部45が設けられる。かつ、囲まれた部分40eの中央40cに結合部42が位置するように囲み部45が設けられる。この囲み部45はリブ46で形成される。
また、結合部42には動吸振器30が設けられている。さらに詳しくは、第1部材10の突起部12を介して第2部材40の結合部42に動吸振器30が設けられている。この動吸振器30は第1部材10に切り欠き31a〜31c、32a〜32c(図3参照)を形成することで設けられる。
以下、各部材等について詳細に説明する。なお、以下では、第1部材10と第2部材40とが対向する方向をZ方向という。また、Z方向において第1部材10から第2部材40に向かう向きをZ1向きなどといい、第2部材40から第1部材10に向かう向きをZ2向きなどという。
また、この第1部材10は、図2に示すように、上述した直方体の1辺およびその近傍の面を構成する第1板部11と、第1板部の長手方向の端部に形成された突起部12と、を有する。
ここで、Z方向に垂直な平面上において、第1部材10の長手方向に沿う方向をX方向(図1における左右方向)という。X方向における第1部材10の中央から突起部12に向かう向きをX2向き(図1における左向き)などといい、その逆をX1向き(図1における右向き)などという。また、X方向に垂直な方向(図1における手前と奥の方向)をY方向という。第1部材10をZ方向から見たとき、Y方向における第1部材10の中央から第1板部11に向かう向きをY2向き(図1における奥から手前の向き)、その逆(図1における手前から奥の向き)をY1向きなどという。
また、この動吸振器30は、動吸振器31と動吸振器32とを合成したものである。すなわち、図2に示すように、第1板部11に切り欠き31a〜31cを形成する(切り抜く)ことで動吸振器31が形成される。切り欠き31a〜31cの内側の部分がバネと質量とを兼ねており、この内側の部分がZ方向に動くことで動吸振器としてはたらく。また切り欠き32a〜32cを形成する(切り抜く)ことで動吸振器32が形成される。これら2つの動吸振器31および32は、突起部12に対して対称に設ける。よって、動吸振器31と動吸振器32とを合成したものは、1つの動吸振器30とみなせる。これらの動吸振器31および32ついてさらに説明する。
第2部材40についてさらに説明する。この第2部材40は全体として長方形の板状であり、次のように設ける。位置について説明すると、第2部材40の長方形を構成する4辺がX方向およびY方向に沿う。この長方形の面がZ方向に垂直な面に沿う。第1部材10のZ1側に配置する。そして第1部材10に取り付ける。また、この第2部材40は、長方形の板状の部分である第2板部41と、この長方形の一つの角付近に設けた結合部42と、結合部42を含む第2部材40の一部を囲む囲み部45と、を有する。
この囲み部45を構成するリブ46は、X2側にリブ46L、X1側にリブ46R、Y1側にリブ46U、及びY2側にリブ46Bを有する。なお、第2部材40には、囲み部45を構成しないリブ47も設ける。
第2部材40のうち囲み部45(リブ46)に囲まれた部分40eは次の条件を満たす(次の条件を満たすようにリブ46を第2板部41に配置する)。
囲み部45に囲まれた部分40eの1次の固有振動数は、第2部材40が受ける加振力の加振周波数とほぼ一致する。ここで、「囲み部45に囲まれた部分40eの1次の固有振動数」とは、囲み部45に囲まれた部分40eのみの1次の固有振動数である。すなわち、第2部材40から部分40eのみを取り出したとしたとき、この取り出した部分の1次の固有振動数である。また「ほぼ一致」とは次のことを言う。すなわち、囲み部45に囲まれた部分40eに加振力を加えたとき、この部分40eには1次、2次、3次・・・と様々な振動モードの固有振動が生じるが、支配的な振動モードは加振力の周波数に応じて変わる。ここで、1次モードの固有振動が支配的となるような周波数の範囲内に、囲み部45に囲まれた部分40eの1次の固有振動数が含まれる場合「ほぼ一致」という。なお当然ながら完全に一致させても良い。
ここで、囲まれた部分40eの中央40cは、加振力による振幅の腹の位置(囲まれた部分40eの中心40d)から、加振力による波長の1/16波長以内の範囲内の位置である。図4を参照してさらに説明すると、次の位置である。まず、囲み部45に囲まれた部分40eの1次の固有振動の節の位置は部分40eのX方向の両端であり、腹の位置は部分40eのX方向の中心40dである。そして中央40cは、中心40dを中心としてX方向に1/16波長以内の範囲内である。言い換えれば、部分40eのX方向の両端間の距離の1/8以内の範囲内である。
また、結合部42の位置は、結合部42のX方向における中心の位置である。すなわち結合部42は上述したように台形のような形状でありX方向に幅を持つが、このX方向の幅の中心の位置を結合部42の位置とする。なお図4では、囲まれた部分40eの中心40dと結合部42の位置とが一致した状態を示す。
また、X方向だけでなくY方向についても同様の条件を満たすように囲み部45を設ける。すなわち、図3に示すリブ46Uと46Bとの中央40cに結合部42が位置するように、リブ46U及び46Bを配置する。
上述した実施形態では、図4に示すように、囲み部45をリブ46により形成した。本変形例では、図5に示すように、囲み部145は、第2部材140の第2板部141の板厚(Z方向における厚み)を大きくした厚板部142により形成される。
第2部材40に囲み部45(リブ46)を設けた場合と、設けない場合との振動を比較した。なお本解析では図6に模式図として示す放射音低減結合構造201を用いた。上記実施形態との相違点は以下の点である。すなわち、上記実施形態では、図1に示すように、第2部材40のX2側かつY2側(図1における左下)の角近傍に結合部42を設けた。一方で本解析では、図6に示すように、第2部材のX方向における中央付近に結合部42を設けている。
図7に、リブを設けた場合の振動モードM1と、リブを設けない場合の振動モードM2とを示す。図7から分かるように、リブを設置した場合は振動が小さくなった。また、図8に示すように、リブを設けた場合は設けない場合に比べ、音響パワが小さくなる(騒音が低減される)ことが分かった。
放射音低減結合構造1では、図1、3および4(又は5)に示す第2部材40のうち囲み部45(145)に囲まれた部分40eの1次の固有振動数は、第2部材40が受ける加振力の加振周波数とほぼ一致する。よって、囲み部45(145)に囲まれた部分40eでの支配的な振動モードは1次の固有振動である。
また、囲み部45(145)は、第1部材10と第2部材40とが対向する方向(Z方向)における第2部材40の厚みの大きい部分(リブ46、厚板部142)により、Z方向から見た第2部材40の一部を囲うように形成されてなる。よって、1次の固有振動について、第2部材40の厚みの大きい部分である囲み部45(145)が振動の節となり、第2部材40のうち囲み部45(145)に囲まれた部分40eの中央が振動の腹となる。ここで、図9に示すように、この振動の腹はモーメント加振力に対しては節である(曲げモーメントの微分=せん断力)。すなわち、図1、3および4(又は5)に示す囲み部45(145)に囲まれた部分40eの中央40cでは1次の固有振動による回転方向(囲まれた部分40eの中央40cを中心とする回転方向)の振動が生じない。そして、この囲み部45(145)に囲まれた部分40eの中央40cに第2部材40の結合部42が位置する。よって、結合部42での回転方向(結合部42を中心とする回転方向)の振動が低減される。
また、図1、2および4(又は5)に示すように、第1部材10と第2部材40とが対向する方向(Z方向)の振動を吸収するように第1部材10に動吸振器30を設けている(第2部材40に設けても良い)。よって第1部材10と第2部材40とが対向する方向(Z方向。並進方向)の結合部42での振動が低減される。
したがって、本発明では結合部42での並進方向および回転方向の振動が低減される。よって、第1部材10と第2部材40との間で結合部42を介して伝達される振動を低減でき、放射音低減結合構造1から生じる放射音を低減できる。
10 第1部材
30 動吸振器
40 第2部材
40c 中央
40e 囲み部に囲まれた部分
42 結合部
45、145 囲み部
46 リブ(厚みの大きい部分)
142 厚板部(厚みの大きい部分)
Claims (4)
- 第1部材に対向して配置されるとともに前記第1部材との結合部を有し、加振力を受ける第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とが対向する方向の振動を吸収するように前記第1部材または前記第2部材に設けられた動吸振器と、
を備え、
前記第2部材は、前記第1部材と当該第2部材とが対向する方向における当該第2部材の厚みの大きい部分により、前記対向する方向から見た当該第2部材の一部を囲うように形成されてなる囲み部を有し、
前記第2部材のうち前記囲み部に囲まれた部分の1次の固有振動数は、前記第2部材が受ける前記加振力の加振周波数とほぼ一致し、
前記囲まれた部分の中央に前記結合部が位置する、放射音低減結合構造。 - 前記第2部材の前記厚みの大きい部分はリブである、請求項1に記載の放射音低減結合構造。
- 前記第2部材は板状であり、
前記第2部材の前記厚みの大きい部分は厚板部である、請求項1に記載の放射音低減結合構造。 - 前記動吸振器は前記結合部に設けられた、請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射音低減結合構造。
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