JP5027825B2 - 最適化されたチェーン継手及び拡大された外部フランク角を有する歯付きチェーン - Google Patents

Description

本発明は、チェーン継手によって互いに接合された、交互に位置する内側チェーンリンクと外側チェーンリンクを有する歯付きチェーンに関する。本発明の一実施形態では、内側チェーンリンクは、少なくとも１枚の内側プレート及びこの内側プレートを垂直に貫通して延びる少なくとも２つの接合ブッシュを有し、外側チェーンリンクは、少なくとも２枚の外側プレート及びこの外側プレートを垂直に貫通して延びる少なくとも２つの接合ピンを有し、チェーン継手を形成するために、外側チェーンリンクの１つの接合ピンが各々、内側チェーンリンクの接合ブッシュを貫通して延びる。

かかる歯付きチェーンは、例えば、独国特許第２３７３８３３（Ｂ）号明細書から知られている。このチェーンの内側チェーンリンクは、互いに平行に配置された２つの内側歯付きプレートから成り、これら内側歯付きプレートは、互いに対して平行な距離を置いた状態で２つの接合ブッシュによって固定されている。このために、接合ブッシュは、歯付きプレート中に圧入される。外側チェーンリンクは、互いに対して平行に配置された２枚の歯付きプレート及び外部に位置する案内プレートから成る。少なくとも案内プレートは、これらの中に圧入された２つの接合ピンによって連結されている。外側チェーンリンクの接合ピンは、内側チェーンリンクの各々の１つのブッシュを、僅かな隙間をもって貫通している。かかる歯付きチェーンは、外側フランク角が６０°の状態で用意される。この角度は、チェーンホイール上に位置するチェーンが外側フランクでチェーンホイールの歯と接触する上での決め手となる。かかる歯付きチェーンは、特に、自動車エンジンのタイミングチェーン駆動装置に用いられる。この分野ではコスト面における要求が高いので、コストの増大を伴わないで、かかるチェーンの耐久性を向上させる技術的努力が絶えず行われている。さらに、この採用分野における歯付きチェーンは、耐荷重に関して限度に既に達しているので、エンジン性能の僅かな向上が、チェーン駆動装置全体の全面的な新しい設計を導く場合がある。それ故、歯付きチェーンの有効寿命の比較的ほんの僅かな改善であっても、相当な利点が得られる。

したがって、本発明の目的は、有効寿命が延びると共にチェーン駆動装置全体の有利な設計をもたらすことができる歯付きチェーンを提供することにある。

本発明によれば、この目的は、冒頭に記載した形式の歯付きチェーンにおいて、歯付きプレートの２つの外側フランクによりあらかじめ定められる外側フランク角αが、６５°以上、７５°以下であり、歯付きチェーンのピッチｐと接合ピンの外径ｄ_Baの比Ｖ_Baは、２．６５以下であることを特徴とする歯付きチェーンによって達成される。

この意図的な構成上の変更により、チェーンホイールの歯は、より安定性の高い設計を有するようになる。これにより、歯付きチェーンは、歯数が減少したチェーンホイールにも掛けることができる。それにより、チェーンホイールにおいて最低１８個の歯までの減少が可能である。さらに、この構成により、チェーンホイールの安定性のより高い設計がもたらされるだけでなく、接合ピンのところ、及びかくして接合ブッシュのところでも接合面の拡大が得られる。この拡大は、外側フランク角αを変えることによっても可能であり、かくして、歯付きチェーンの有効寿命が延びる。かくして、８ｍｍのチェーンでは、リンクピンの所定の最小外径ｄ_Baは、３．０１９ｍｍである。

この時点で、接合ピンの外径による定義に代えて、接合ブッシュの内径による定義も又与えられることに気づくべきである。

好ましくは、比Ｖ_Baは、２．１５以上２．６５以下である。したがって、８ｍｍチェーンの場合、選択可能な最も大きい外径ｄ_Bamaxは、３．８１ｍｍである。これにより、ピッチにより制限される適当なプレート長さに基づいた、接合ブッシュの十分な残りの厚さが保証される。

変形例によれば、幾何学的条件により、接合ブッシュの更に大きな外径ｄ_HAを選択することができる。このために、１．８５以下である歯付きチェーンのピッチｐと接合ブッシュの外径ｄ_Haの比Ｖ_Biを選択するのが良い。

別の変形例によれば、プレートの十分な残りの肉厚に関し、１．４５以上１．８５以下の比Ｖ_Biが提供される。許容可能な最大プレート長さは、主として、ピッチで決まり、このことは、なぜ、接合ブッシュの外径ｄ_Haが、できるだけ大きいことが必要であるが、安定性の理由で或る特定の量を超えてはならないかの理由である。この要求に応じて、例えば、８ｍｍ歯付きチェーンの場合、可能な限り最大の外径ｄ_Haは、５．５１７ｍｍであり、これに対し、選択可能な最小外径は、４．３２４ｍｍである。

特に好ましい実施形態では、外側フランク角αは、約７０°である。この外側フランク角は、安定性の面で特に好適であることが判明した。それにより、特に、これは、チェーンホイールの安定性に対しても適切な影響を及ぼすことができる。

さらに、外側チェーンリンクは、各々が接合ピンに外部に配置された２枚の案内プレートで構成されるのが良い。この場合、これら案内プレートは、歯付きチェーンをチェーンホイール上で案内する。この利点として、チェーンホイールについて特定の形状が不要であることが挙げられるが、この変形例は、幾分範囲が広い。

別の実施形態では、内側チェーンリンクは、接合ブッシュに配置された少なくとも１枚の案内プレートで構成される。この変形例では、チェーンホイールは、適当な案内溝を備えなければならないということは確かであるが、この実施形態は、チェーンホイールの幅を越える側方突起が不要なので範囲が狭い。

本発明は、更に、内側チェーンリンクが接合ブッシュを備えておらず、接合ピンが内側プレートの接合開口部内に直接配置される歯付きチェーンに関する。したがって、内側チェーンリンクは、少なくとも１枚の内側プレート及びこの内側プレートを垂直に貫通して延びる２つの接合ブッシュを有し、外側チェーンリンクは、少なくとも２枚の外側プレート及びこの外側プレートを垂直に貫通して延びる少なくとも２つの接合ピンを有し、チェーン継手を形成するために、外側チェーンリンクの接合ピンが各々、内側チェーンリンクの接合開口部を貫通して延び、内側チェーンリンクの少なくとも１枚の内側プレート及び／又は外側チェーンリンクの少なくとも１枚の外側プレートは、各々外側フランク及び内側フランクによって定められた２つの歯を備える歯付きプレートとして設計されている。本発明によれば、この場合、歯付きプレートの２つの外側フランクについて予め決定される外側フランク角αは、６５°以上７５°以下であり、歯付きチェーンのピッチｐと接合ピンの外径ｄ_Baの比Ｖ_Baは、２．２以下であり、好ましくは、２．０以下である。

したがって、８ｍｍチェーンの場合、接合ピンの外径ｄ_Baは、少なくとも３．６３６ｍｍ、好ましくは少なくとも４ｍｍである。これにより、接合面の相当な拡大を達成することができる。さらに、外側フランク角αが大きいと、チェーン駆動装置の安定性が高くなる。

好ましくは、比Ｖ_Baは、１．５以上２．２以下である。かくして、この実施形態では、ピッチが８ｍｍの歯付きチェーンでは、５．３３３ｍｍの接合ピンの最大外径が、プレートの安定性の理由で許容できる。

さらに、本発明は、少なくとも２つのチェーンホイールと、請求項１〜８のうちいずれか一に記載の歯付きチェーンとを有するチェーン駆動装置に関する。このチェーン駆動装置は、チェーンホイールが、歯付きプレートの外側フランク角αに本質的に対応する圧力角を有し、少なくとも１つのチェーンホイールは、歯数が２０以下であるであることを特徴としている。新規な歯付きチェーンと協働して、少なくとも一方のチェーンホイールのところに安定性のより高いチェーンホイール歯を生じさせ、少なくとも１つの他方のチェーンホイールにおいて歯の数を少なくとも２０に減少させるチェーン駆動装置がもたらされる。外側圧力角が６０°の歯付きチェーンでは、現在までのところ経済的に見合う下限は、約２１個の歯であった。

本発明は又、互いに異なるピッチｐを有する請求項１〜６のうちいずれか一に記載の少なくとも２つの歯付きチェーンを有する歯付きチェーンセットに関する。例えば、構成が同一の状態でピッチが９．５２５ｍｍ（３／８インチ）、８ｍｍ及び７ｍｍの歯付きチェーンの実現が可能である。歯付きチェーンセットは、歯付きチェーンセットのこれら歯付きチェーンの接合ピンの外径ｄ_Baが、次のようにして、即ち、
〔数１〕
ｄ_Ba＝０．１２５×ｐ²−１．３４７×ｐ＋Ｃ
で求められ、上式において、ｐは、それぞれの歯付きチェーンのピッチであり、Ｃは、外側圧力角αに応じて定められる値であり、Ｃは、ｔａｎαの２．１〜２．２５倍に対応することを特徴としている。したがって、接合ピンの外径は、ピッチｐ及び選択された外側フランク角αに基づいて決定される。８ｍｍ歯付きチェーン及び７０°の外側フランク角αの場合、直径ｄ_Baは、最小２．９９４ｍｍ、最大３．４０６ｍｍである。それに応じて、他方のピッチは、ｄ_Baについて或る特定の最小値及び最大値を有する。チェーンセット全体に関し、最適化された歯付きチェーンの有効寿命が、これに起因して生じ、特に、内燃エンジンにおいてタイミングチェーンとしての用途に関して生じる。外径ｄ_Ba及び外側フランク角に依存する接合面のそれぞれ最適化されたサイズが達成される。これに対応して、本発明は又、互いに異なるピッチｐを有する請求項７又は８記載の少なくとも２つの歯付きチェーンを有する歯付きチェーンセットに関する。この場合、本発明によれば、これら歯付きチェーンの接合ピンの外径ｄ_Baは、次のようにして、即ち、
〔数２〕
ｄ_Ba＝ｐ−Ｄ
で求められ、上式において、ｐは、それぞれの歯付きチェーンのピッチであり、Ｄは、外側圧力角αに応じて定められる値であり、Ｄは、ｔａｎαの１．２７〜１．３倍に対応する。したがって、接合ブッシュが設けられていない８ｍｍ歯付きチェーンの場合、外側フランク角が７０°の場合の接合ピンの最大外径は、４．５１１ｍｍであり、最小直径は、４．４２８ｍｍである。この場合にも、歯付きチェーンセットは、その耐久性の向上に関して最適に改造され、チェーン継手は、接合開口部及びリンクピンで構成される。かかる依存性は、接合ピンの外径ではなく、接合開口部の内径に関連付けられることもできることに気づくべきである。重要なことは、直径に起因して接合面に影響を及ぼすサイズだけである。

以下において、本発明を幾つかの実施形態に関して更に説明する。

図１に示された本発明の歯付きチェーン１は、チェーン継手４によって互いに接合された、交互に位置する外側チェーンリンク２と内側チェーンリンク３とを有している。外側チェーンリンク２は、それぞれ外側に配置されると共に互いに平行に延びており、各接合ピン６が圧入されてリベット止めされる整列状態の開口部を備えた外側プレート５で構成される。

内側チェーンリンク３は、外側チェーンリンク２の外側プレート５の間に位置決めされていて、内側チェーンリンクは各々、互いに且つ外側プレート５に平行に配置された２枚の歯付きプレート７を有している。この場合、歯付きプレート７は、外側に位置する外側プレート５に対してずれるように方向づけられている。さらに、内側チェーンリンク３は各々、案内プレート９及び２つの接合ブッシュ１０を有している。案内プレート９は、内側チェーンリンク３の中央に配置され、２枚の歯付きプレート７は、接合ブッシュ１０のところで外部で配置されると共に円筒形接合ブッシュ１０の前側と面一をなしている。案内プレート９及び２枚の外部に位置する歯付きプレート７は、ブッシュ開口部を備え、接合ブッシュ１０に圧入される。この場合、案内プレート９は又、接合ブッシュ１０に垂直に且つ両方の歯付きプレート７に平行に配置されている。

各チェーン継手４は、外側チェーンリンク２の接合ピン６及び接合ブッシュ１０の円筒形開口部によって形成されている。この場合、チェーン継手４の接合面は、円筒形開口部の内面全体にわたって連続的に延びている。

内側チェーンリンク３の各歯付きプレート７は、この歯付きプレートを２等分する中心線（図示せず）に関して鏡像対称関係をなして一方の側に設けられた２つの歯８を有している。歯８は、チェーンホイール１２，１３に対応して係合する形状を有している。ここで、歯付きプレート７のところで外部に設けられた歯８の外側フランクは、７０°（好ましくは、６５°〜７５°）の外側フランク角αを有している。この場合、歯８とチェーンホイール１２，１３の噛み合い又は歯８のチェーンホイール１２，１３への動力伝達は、本質的に、外側フランクを介して行われる。さらに、各歯付きプレート７は、互いに所定の距離を置いて設けられた２つのブッシュ開口部を有し、作動の際、対応の接合ブッシュ１０が各々かかるブッシュ開口部内に受け入れられる。

外側チェーンリンク２の外側プレート５は、チェーンホイール１２，１３と噛み合うように、歯８を備えた歯付きプレート７と同様に設計されるのが良い。別の実施形態では、それぞれ外部に配置された外側チェーンリンクの外側プレート５は、歯付きチェーン１を案内する案内プレート９と同様に実施されるのが良い。

案内プレート９は、図１ａ乃至図１ｃに示す実施形態では、従来の例における単純なチェーンプレートとして具体化されている。かかる標準のプレート形状は、チェーンの走行方向の前方側部に設けられたブッシュ開口部は別として、ブッシュ開口部に対して一定の距離を置いた丸形前方側部と、半円形前方側部を接合する真っ直ぐな側縁部を有している。材料厚さ、即ちプレート厚さが本質的に動力伝達要件で決まる歯付きプレート７及び外側プレート５とは対照的に、案内プレート９の厚さは、明らかにこれよりも小さく、歯付きプレート７及び／又は外側プレート５の厚さの約６２．５％に達するに過ぎない。１．６ｍｍの通常のプレート厚さでは、案内プレート９は、対応した厚さが約１．０ｍｍである。

内側チェーンリンク３の歯付きプレート７の距離、及びかくして中央に配置された案内プレート９までの外側に位置する歯付きプレート７の距離も又、接合ブッシュ１０の（接合ピンの方向における）軸方向長さによって決定されるので、中央に配置された案内プレート９及び外側に位置する歯付きプレート７は、互いに間隔を置いて位置する。この場合、かかる距離は、本質的には、好ましくは従来型リンクチェーンのブッシュ長さに対応した接合ブッシュ１０の長さ、並びに歯付きプレート７及び案内プレート９の厚さに起因して定められる。

図１に示す実施形態では、内側チェーンリンク３の両側には歯８を備えた外側プレート５がそれぞれ内側チェーンリンク３の歯付きプレート７に隣接して配置されている。歯付きチェーンは、ピッチｐを有している。通常、自動車分野（例えば、内燃エンジンのタイミングチェーン）では、ピッチｐとして通常７ｍｍ、８ｍｍ及び９．２５ｍｍ（３／８インチ）が用いられている。接合ピン６の直径ｄ_Ba（外径）は、外側フランク角α（この場合、７０°）の変化によって従来型歯付きチェーンに対して最適化されるのが良い。この場合、歯付きチェーンのピッチｐと接合ピンの外径ｄ_Baの比Ｖ_Baは、２．６５以下である。このことは、ピッチが７ｍｍの場合、選択できる最小の外径ｄ_Baは、２．６４２ｍｍであり、ピッチが８ｍｍの場合、この最小外径は、３．０１９ｍｍであり、ピッチが９．５２５ｍｍの場合、この最小外径は、３．５９４ｍｍである。また、安定性の理由で、外径ｄ_Baについて好ましい上限が与えられる。このために、比Ｖ_Baは、最小として、２．１５である。

接合ブッシュ１０は、外径ｄ_Haを有している。ピッチが９．５２５ｍｍの場合、この外径は、例えば、６．３５ｍｍであり、ピッチが８ｍｍの場合、結果的に外径は、５ｍｍである。ピッチと接合ブッシュ１０の外径ｄ_Haの比Ｖ_Biは、１．８５〜１．４５である。

図５は、チェーン駆動装置１１の概略側面図である。このチェーン駆動装置１１では、本発明の歯付きチェーン１が、内燃エンジンのタイミングチェーン駆動装置に関する通常の構成に対応した駆動チェーンホイール１２及び被動チェーンホイール１３の周りに配置されている。さらに、通常の実施形態における概略的に表されたチェーン駆動装置１１では、内燃エンジンにおけるその作動のためには、図５には示されていない摺動レール及びチェーンテンショナが必要である。内側チェーンリンク上に配置された案内プレート９を受け入れるため、駆動チェーンホイール１２及び被動チェーンホイール１３は、チェーンホイール１２，１３の歯１５を分割する周囲溝１４を有している。

図６は、溝１４が本質的に歯１５を中央で分割した状態の駆動チェーンホイール１２の断面図であり、この場合、内側チェーンリンク３の歯付きプレート７の間の中央に配置された案内プレート９は、図１ａ〜図１ｃの歯付きチェーン１に対応してこの溝１４内に受けられている。

チェーンホイール１２は、７０°の圧力角を有し、この圧力角は、本質的に、歯付きプレート５，７の外側圧力角αに対応（一致）している。即ち、歯付きプレートにおいては、これらの外側フランクがチェーンホイールの歯の上に載っている。この選択されたフランク角により、駆動チェーンホイール１２の歯数は、２０個よりも少なく、この場合、１８まで減少している。

図１ａ〜図１ｃに示された実施形態は、歯付きチェーンセットに採用できる。したがって、構造が同一の場合、かかる歯付きチェーンは、７ｍｍ、８ｍｍ及び９．５２５ｍｍ（３／８インチ）であるように設計されている。歯付きチェーンセットの最適化は、これら歯付きチェーンの接合ピン６の外径ｄ_Baが、次のようにして、即ち、
〔数３〕
ｄ_Ba＝０．１２５×ｐ²−１．３４７×ｐ＋Ｃ
で求められ、上式において、ｐは、歯付きチェーンのピッチであり、Ｃは、外側圧力角αに応じて定められる値であり、Ｃは、ｔａｎαの２．１〜２．２５倍に対応する。外側圧力角が７０°であり、ピッチが７ｍｍ、８ｍｍ及び９．５２５ｍｍであり、対応した関連の外径ｄ_Baが、２．６７ｍｍ、３．３１５ｍｍ及び４．４１ｍｍであるセットが、この条件を満たす。

チェーン駆動装置１１の作動にあたり、歯付きチェーン１を駆動チェーンホイール１２により駆動させる。このプロセス中、歯付きプレート７の歯８及び外側プレート５の歯は、駆動チェーンホイール１２のチェーンホイール歯１５と噛み合う。歯付きチェーンの案内は、案内プレート９が溝１４に係合し、歯付きチェーン１が駆動チェーンホイール１２及び被動チェーンホイール１３から側方に外れるのを阻止することによって保証される。駆動チェーンホイール１２により歯付きチェーン１に伝達されるべき動力は、被動チェーンホイール１３のところで歯付きチェーン１によって伝達され、次に、かかる動力は、結合モジュール（例えば、カムホイール）に伝達される。従来型歯付きチェーンと比較した場合の歯付きチェーンの有効寿命の改善は、外側フランク角αの変更及び接合面の最適化によって得られる。

図２には、歯付きチェーン１の第２の実施形態が示されている。この実施形態では、２枚の歯付きプレート７は各々、接合ブッシュ１０の前方側部のところにおいて、パッケージとして互いに隣接して配置される。この場合、外側に位置する歯付きプレート７と案内プレート９との間の距離は、第１の実施形態に対して不変である。しかしながら、接合ブッシュ１０の軸方向長さは不変のままであるが、代わりに、案内プレート９と歯付きプレート７との間の距離が、追加的に圧入される歯付きプレート７の厚さだけ減少した歯付きチェーン１の実施形態が可能である。

図３は、別の歯付きプレート７が内側チェーンリンク３の接合ブッシュ１０に且つ案内プレート９の両側に配置された歯付きチェーン１の第３の実施形態を示している。この実施形態では、案内プレート９とこれに隣接した歯付きプレート７との間及び案内プレート９の各側にそれぞれ配置された歯付きプレート７の間には距離が置かれている。この場合、歯付きプレート７の間の距離と案内プレート９に対する歯付きプレート７の距離は、互いに同一であっても良く、互いに異なっていても良い。さらに、隣り合う案内プレート９及び歯付きプレート７のプレートパッケージを備えた本発明の歯付きチェーン１の実施形態が可能である。

図４に示す歯付きチェーン１の第４の実施形態は、接合ピン６の各端部に設けられた２枚の外側プレートが、互いに隣接してパッケージとして圧入された外側チェーンリンク２を示している。この場合、パッケージとして互いに隣接して配置された外側プレートは、両方共歯付きプレートとして実施されても良いが、歯付きプレート及び外側に位置する案内プレートとして実施されても良い。図４に示す外側プレートは、内側チェーンリンク３の歯付きプレート７と同一の厚さを有するものとして示されているのは確かであるが、外側プレート５は、この実施形態では、これよりも薄くても良く且つ／或いは所定の寸法だけ互いに間隔を置いて位置していても良い。

以下において、図７及び図８を参照して本発明の歯付きチェーン１の第５の実施形態を詳細に説明する。本質的な相違点のみを説明するので、構成及び作用効果が同一の要素に関しては、同一の参照符号が用いられ、上述の説明を参照されたい。この歯付きチェーン１は、主として、これが接合ピン６の端セクションに外側からそれぞれ圧入される２枚の案内プレート９を有する点において異なっている。したがって、各外側チェーンリンク２は、２本の接合ピン６と、２枚の外側歯付きプレート５と、２枚の案内プレート９とで構成される。

対応の内側チェーンリンク３は、２つの接合ブッシュ１０と、これら接合ブッシュに圧入される４枚の歯付きプレート７とで構成されている。歯付きプレート７のうちの２枚は、接合ブッシュ１０の中央にプレートパッケージとして配置され、他の２枚の歯付きプレート７は、それぞれ、接合ブッシュ１０の端部のところで互いに圧入されている。比及び組み立て上の要件は、先の実施形態と同一である。

以下において、図９を参照して第６の実施形態について詳細に説明する。この実施形態は、主として、接合ブッシュが用いられていないという点において先の実施形態とは異なっている。大径の接合ピン６は、歯付きプレート７の接合開口部２０内に直接受け入れられている。この場合、内側チェーンリンク３は、外側圧力角αが７０°（好ましくは、６５°〜７５°）の、パッケージを形成するよう次々に隣接して配置された３枚の歯付きプレート７で構成される。

外側チェーンリンク２は、互いに平行に配置された２本の接合ピン６と、各々内側歯付きプレート７に隣接して外部に側方に配置された２枚の歯付きプレート５と、接合ピン６の端セクションに圧入された案内プレート９とで構成される。３枚の内側歯付きプレート７により形成される接合開口部は、これらの中に挿入された接合ピンに対する隙間が僅かなので、チェーン継手４が形成されるようになる。

接合ピン６の外径ｄ_Baは、ピッチｐと外径ｄ_Baの比Ｖ_Baが２．２以下であり、好ましくは２．０以下であるように選択される。ピッチが８ｍｍの場合、直径ｄ_Baは、一実施形態では、４．４４ｍｍであり、ピッチが９．５２５ｍｍ（３／８インチ）の場合には、ｄ_Baは、６ｍｍである。かくして、両方のピッチｐにおいて条件が満たされる。また、かくして、このように設計された構造が同一であるがピッチｐが互いに異なる歯付きチェーンを有する歯付きチェーンセットは、次の要求、即ち、
〔数４〕
ｄ_Ba＝ｐ−Ｄ
を満たし、上式において、ｐは、歯付きチェーンのピッチであり、Ｄは、外側圧力角αに応じて定められる値であり、Ｃは、ｔａｎαの１．２７〜１．３倍に対応している。したがって、ピッチが８ｍｍの場合、接合ピンの最大許容外径ｄ_Baは、４．５１１ｍｍであり、望ましい最小外径は、４．４２８ｍｍである。ピッチが９．５２５ｍｍ（３／８インチ）の場合、ｄ_Baの最大値は、安定上の理由で、６．０３６ｍｍであり、最小値は、５．９５３ｍｍである。これらの値は全て、７０°の外側フランク角αに関連している。

これらの要件により、できるだけ広い接合面が形成され、加うるに、強化されたチェーンホイール歯による安定性の高いチェーン駆動装置が形成される。この場合も又、接合開口部２０の内径の依存性を、これらがチェーン継手を直径ｄ_Baと一緒に定めるので、決定することができる。

第１の実施形態の細部の平面図である。 図１ａに示された実施形態の断面図である。 図１ａに示された実施形態の側面図である。 本発明の歯付きチェーンの第２の実施形態の平面図である。 本発明の歯付きチェーンの第３の実施形態の平面図である。 本発明の歯付きチェーンの第４の実施形態の平面図である。 本発明のチェーン駆動装置及び本発明の歯付きチェーンの側面図である。 ＶＩ−ＶＩ線に沿って取った図５のチェーン駆動装置のチェーンホイールの断面図である。 本発明の歯付きチェーンの第４の実施形態の側面図である。 図７に示された歯付きチェーンの断面図である。 歯付きチェーンの第５の実施形態の断面図である。

Claims (11)

1. チェーン継手（４）によって互いに接合された、交互に位置する内側チェーンリンク（３）と外側チェーンリンク（２）とを有する歯付きチェーン（１）であって、前記内側チェーンリンク（３）は、少なくとも１枚の内側プレート（７）と、該内側プレートを垂直に貫通して延びる少なくとも２つの接合ブッシュ（１０）とを有し、前記外側チェーンリンク（２）は、少なくとも２枚の外側プレート（５）と、該外側プレートを垂直に貫通して延びる少なくとも２つの接合ピン（６）とを有し、チェーン継手（４）を形成するために、前記外側チェーンリンク（２）の接合ピン（６）が各々、前記内側チェーンリンク（３）の前記接合ブッシュ（１０）を貫通して延び、前記内側チェーンリンク（３）の少なくとも１枚の前記内側プレート（７）及び／又は前記外側チェーンリンク（２）の少なくとも１枚の前記外側プレート（５）が、各々外側フランク及び内側フランクによって定められた２つの歯を備える歯付きプレートとして具現化され、歯付きプレート（５，７）の２つの前記外側フランクについて与えられる外側フランク角αは、６５°以上７５°以下であり、前記歯付きチェーン（１）のピッチｐと前記接合ピンの外径ｄ_Baの比Ｖ_Baは、２．１５以上２．６５以下である、歯付きチェーン（１）。
2. 前記歯付きチェーン（１）のピッチｐと前記接合ブッシュの外径ｄ_Haの比Ｖ_Biは、１．８５以下である、請求項１記載の歯付きチェーン（１）。
3. 比Ｖ_Biは、１．４５以上１．８５以下である、請求項２記載の歯付きチェーン（１）。
4. 前記外側フランク角αは、約７０°である、請求項１〜３のうちいずれか一に記載の歯付きチェーン（１）。
5. 前記外側チェーンリンク（２）は、各々が前記接合ピン（６）に外部に配置された２枚の案内プレート（９）を有する、請求項１〜４のうちいずれか一に記載の歯付きチェーン（１）。
6. 前記内側チェーンリンク（３）は、接合ブッシュ（１０）に配置された少なくとも１枚の案内プレート（９）を有する、請求項１〜４のうちいずれか一に記載の歯付きチェーン（１）。
7. チェーン継手（４）によって互いに接合された、交互に位置する内側チェーンリンク（３）と外側チェーンリンク（２）とを有する歯付きチェーン（１）であって、前記内側チェーンリンク（３）は、少なくとも１枚の内側プレート（７）と、該内側プレートを垂直に貫通して延び、内側プレートによって形成される２つの接合開口部（２０）とを有し、前記外側チェーンリンク（２）は、少なくとも２枚の外側プレート（５）と、該外側プレートを垂直に貫通して延びる少なくとも２つの接合ピン（６）とを有し、チェーン継手（４）を形成するために、前記外側チェーンリンク（２）の接合ピン（６）は各々、前記内側チェーンリンク（３）の前記少なくとも１枚の内側プレート（７）の前記接合開口部（２０）を貫通して延び、前記内側チェーンリンク（３）の少なくとも１枚の前記内側プレート（７）及び／又は前記外側チェーンリンク（２）の少なくとも１枚の前記外側プレート（５）は、各々外側フランク及び内側フランクによって定められた２つの歯を備える歯付きプレートとして具現化され、歯付きプレートの２つの前記外側フランクについて与えられる外側フランク角αは、６５°以上７５°以下であり、前記歯付きチェーン（１）のピッチｐと前記接合ピン（６）の外径（ｄ_Ba）の比Ｖ_Baは、２．０以下である、歯付きチェーン（１）。
8. 前記比Ｖ_Baは、１．５以上２．０以下である、請求項７記載の歯付きチェーン（１）。
9. 少なくとも２つのチェーンホイール（１２，１３）及び請求項１〜８のうちいずれか一に記載の歯付きチェーン（１）を有するチェーン駆動装置において、前記チェーンホイール（１２，１３）は、前記歯付きチェーン（１）の前記歯付きプレートの外側圧力角αに本質的に一致する圧力角を有し、少なくとも１つの前記チェーンホイール（１２）は、歯数が２０以下である、チェーン駆動装置。
10. 請求項１〜６のうちいずれか一に記載の少なくとも２つの歯付きチェーン（１）を備えた歯付きチェーンセットであって、前記歯付きチェーン（１）が互いに異なるピッチｐを有し、前記歯付きチェーン（１）の接合ピン（６）の外径（ｄ_Ba）は、次のようにして、即ち、
    ｄ_Ba＝０．１２５×ｐ²−１．３４７×ｐ＋Ｃ
    で求められ、上式において、ｐは、歯付きチェーンのピッチであり、Ｃは、外側圧力角αに応じて定められる値であり、Ｃは、ｔａｎαの２．１〜２．２５倍に対応する、歯付きチェーンセット。
11. 請求項７又は８記載の少なくとも２つの歯付きチェーン（１）を有する歯付きチェーンセットであって、前記歯付きチェーン（１）が、互いに異なるピッチｐを有し、前記歯付きチェーン（１）の接合ピン（６）の外径（ｄ_Ba）は、次のようにして、即ち、
    ｄ_Ba＝ｐ−Ｄ
    で求められ、上式において、ｐは、前記歯付きチェーン（１）のピッチであり、Ｄは、外側圧力角αに応じて定められる値であり、Ｄは、ｔａｎαの１．７〜１．３倍に一致する、歯付きチェーンセット。

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