JP5026833B2 - 光学活性(s)−7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オンおよびその前駆体の製造方法 - Google Patents
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Description
[1] 式(II):
で表される2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステル(以下、2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステル(II)ともいう)に、R体を優先的に加水分解し得る、アスペルギルス(Aspergillus)属の微生物由来のエステラーゼを作用させることにより光学分割する、式(III):
で表される光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステル(以下、光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステル(III)ともいう)の製造方法。
で表される光学活性(S)−ケタールエステル(以下、光学活性(S)−ケタールエステル(IV)ともいう)を得る工程をさらに含む上記[1]に記載の製造方法。
で表される光学活性(S)−ケタールアルコール(以下、光学活性(S)−ケタールアルコール(V)ともいう)を得る工程をさらに含む上記[2]に記載の製造方法。
光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステル(III)のカルボニル基を保護して、光学活性(S)−ケタールエステル(IV)を得る工程;
光学活性(S)−ケタールエステル(IV)を還元して、光学活性(S)−ケタールアルコール(V)を得る工程;および
光学活性(S)−ケタールアルコール(V)を脱保護して、式(I):
を含む、光学活性(S)−7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オン(I)の製造方法。
で表される光学活性(S)−ケタールエステル(以下、光学活性(S)−ケタールエステル(IV’)ともいう)。
まず、本明細書において使用する基の定義を以下に説明する。
「C1−5アルキル基」とは、炭素数1〜5個の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。中でも、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基であり、より好ましくはメチル基である。
R2およびR3は、好ましくは、共にメチル基であるか、あるいは一緒になってエチレン基またはプロピレン基を形成する。
水の使用量は、2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステル(II)1重量部に対して、通常0.5〜200重量部、好ましくは0.5〜20重量部である。
pHを上記範囲とするには、緩衝水溶液が用いられ、緩衝水溶液としては、例えば、リン酸アルカリ金属塩水溶液(リン酸ナトリウム水溶液、リン酸カリウム水溶液等)等の無機酸塩の緩衝水溶液、酢酸アルカリ金属塩水溶液(酢酸ナトリウム水溶液、酢酸カリウム水溶液等)等の有機酸塩の緩衝水溶液等が挙げられる。この緩衝液の濃度は、好ましくは0.01〜0.3M、より好ましくは0.05〜0.1Mである。なお、この緩衝液は溶媒も兼ねる。
反応混合物中のこれらの化合物を分離するために、又は反応で使用したエステラーゼ、緩衝剤(緩衝水溶液の構成成分)等とこれらの化合物とを分離するために、さらに後処理操作を行ってもよい。後処理操作としては、例えば、反応混合物中の溶媒を留去した後にシリカゲルクロマトグラフィーを用いて分離精製する方法、分液操作により分離精製する方法等が挙げられる。具体的には、加水分解後の反応混合物を、例えば、次のような処理に供することによって、光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステル(III)を単離することができる。まず、反応混合物中に不溶のエステラーゼ、固定化担体等が存在する場合は、反応混合物を必要に応じて濾過助剤を通して濾過し、これらの不溶物を除去する。ここで、濾過性を改善するために、エステラーゼに加熱変性または酸変性の処理を施してもよく、あるいは、ボディーフィード濾過(反応混合物に濾過助剤を混合して濾過する)を行ってもよい。次いで、必要により、濾液のpHを6〜9に調整した後、水層と有機層とに分液し、有機層として光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステル(III)の溶液を得る。ここで、分液性を改善するために、濾液にメタノール、エタノール、n−ブタノール等のアルコール類を添加してもよい。加水分解において疎水性有機溶媒を用いた場合等には、得られた反応混合物をそのまま分液してもよいが、加水分解において疎水性有機溶媒を用いなかった場合、その使用量が少ないために容易には分液できない場合、あるいは水の使用量が少ないために容易には分液できない場合等には、疎水性有機溶媒または水等を適宜加えた後に分液すればよい。疎水性有機溶媒としては、例えば、メチルtert−ブチルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。
この工程は、光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステル(III)のカルボニル基を保護して、光学活性(S)−ケタールエステル(IV)を得る工程である。なお、本発明においては、光学活性(S)−ケタールエステル(IV)は、光学活性(S)−チオケタールエステルを含むものとする。
この工程は、光学活性(S)−ケタールエステル(IV)を還元して、光学活性(S)−ケタールアルコール(V)を得る工程である。なお、本発明においては、光学活性(S)−ケタールアルコール(V)は、光学活性(S)−チオケタールアルコールを含むものとする。
この工程は、光学活性(S)−ケタールアルコール(V)を脱保護して、光学活性(S)−7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オン(I)を得る工程である。
脱保護方法は、特に限定されるものではなく、工程bで保護されたカルボニル基を脱保護する(即ち、ケタール基(A=O)またはチオケタール基(A=S)をカルボニル基に変換する)ために当該分野で通常用いられている任意の方法を採用することができる。例えば、水或いは有機溶媒中、酸処理する方法が挙げられる。
金属塩としては、過塩素酸銀(I)、酸化銀、硝酸銀等の銀塩;塩化水銀、酸化水銀等の水銀塩;硝酸タリウム(III)、トリフルオロ酢酸タリウム(III)等のタリウム塩;塩化銅(I)、酸化銅(I)等の銅塩が挙げられる。酸化剤としては、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)、m−クロロ過安息香酸(mCPBA)、セリウムアンモニウムニトリル、過ヨウ素酸ナトリウム、過酸化水素、分子状酸素等が挙げられる。ハロゲン化剤としては、ヨウ素、N−ブロモスクシンイミド、N−クロロスクシンイミド等が挙げられる。これら反応試剤の使用量は、光学活性(S)−ケタールアルコール(V)1当量に対して、好ましくは1〜20当量であり、より好ましくは1〜10当量である。
工程A:2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステル(II)のカルボニル基を保護して、式(VI):
で表されるケタールエステル(以下、ケタールエステル(VI)ともいう)を得る工程、および
工程B:ケタールエステル(VI)に、R体を優先的に加水分解し得る、アスペルギルス属の微生物由来のエステラーゼを作用させることにより光学分割して、光学活性(S)−ケタールエステル(IV)を得る工程。
である化合物は新規化合物である。また、光学活性(S)−ケタールアルコール(V)も新規化合物である。
2−メチル−6−オキソヘプタン酸のラセミ体の合成(その1)
2,6−ジメチルシクロヘキサノン(120.0g、0.95mol)と水(600ml)との混合物を激しく攪拌しながら、過マンガン酸カリウム(195.7g、1.24mol)の水(1390ml)の懸濁液を30℃以下で約1時間かけて注意深く添加し、一晩室温で攪拌した。生成した二酸化マンガンを濾過し、濾過ケーキをメチルtert−ブチルエーテル(250ml)および水(250ml)で洗浄した。濾液の有機層を分離し、水層を35%濃塩酸(約150ml)でpH 1.0とし、塩化ナトリウム(400g)を加え、酢酸エチル(300ml×5)で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣のオイルを真空ポンプで減圧蒸留した。沸点130〜144℃/267Paの留分を採集し、79.92g(収率53.2%)の2−メチル−6−オキソヘプタン酸のラセミ体を得た。
2−メチル−6−オキソヘプタン酸のラセミ体の合成(その2)
2,6−ジメチルシクロヘキサノン(93.0g、0.737mol)、水(1057ml)およびアセトン(333ml)を2Lのコルベンに仕込み、温水バスにて、内温50℃まで昇温した。攪拌下、45〜55℃にて、約9時間半かけて過マンガン酸カリウム(326g、2.06mol)を9分割して添加した。同温度にて約2時間攪拌した。同温度にて、生成した二酸化マンガンを直径12cmのヌッチェを用いて濾過し、水(300ml)およびアセトン(100ml)で濾上物を洗いこんだ。濾液をバス温40℃、14.7〜17.3kPaで減圧下攪拌し、アセトンを留去した。
こうして得られた水溶液に食塩(330g)を添加して溶解し、酢酸エチル(200ml)で洗浄した。さらにTHF(200ml)で洗浄後、THF(500ml)を加え、35%合成塩酸(107ml)を滴下し、水溶液のpHを8.7から0.81まで酸性にした。THF層と水層とに分液した後、水層をさらにTHF(150ml)で抽出し、最初のTHF層と合わせた。
得られたTHF溶液に塩化マグネシウム(4.0g)を添加し、30分間攪拌した。THF層から分離してくる水層を分液して除去した。この後THFをバス温40℃にて減圧留去し、さらにバス温50℃にて、マグネティックスターラーで攪拌しつつ真空ポンプ(133Pa)にて60分掃引し、106.27g(含量93.9%(ガスクロマトグラフィー(GC);対蒸留品)、純度換算収率85.7%)の2−メチル−6−オキソヘプタン酸のラセミ体を得た。
2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのラセミ体の合成
2−メチル−6−オキソヘプタン酸のラセミ体43g(純度99.65%、0.27mmol)をメタノール214.25gに溶解させた後、濃硫酸2.14gを加えて混合した。次いで、混合物を65℃に昇温後、同温度で5時間反応させた。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却した。次いで、反応混合物を元の重量の4分の1程度になるまで減圧下で濃縮した後、水30gを加えた。さらにメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)128.55gを加えた後、攪拌下、室温にて5%炭酸水素ナトリウム水溶液55.06gを滴下した。得られた混合物を室温にて充分に攪拌した後、分液し、水層をさらにMTBE64.27gで分液した。得られた有機層を合わせ、減圧下で濃縮し、2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのラセミ体の粗生成物45.4g(含量94.3%、収率92%)を無色油状物として得た。得られた粗生成物をそのまま次の反応に使用した(なお、得られた粗生成物は、必要に応じて蒸留(沸点107℃/1333Pa)後、次の反応に使用してもよい)。
2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのラセミ体のアスペルギルス・フラバスATCC11492株由来のエステラーゼを用いた加水分解による光学分割(その1)
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)5.0gに2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのラセミ体1.0g(5.75mmol)を懸濁させた。懸濁液を10℃に冷却後、固定化されたアスペルギルス・フラバスATCC11492株由来のエステラーゼ(公開特許公報2003−70471記載の方法により調製した)0.7g(水分率56%、酵素活性4028KU/Kg、ドライ換算)を加え、4%NaOH水溶液を適宜加えてpHを6〜7に維持しながら、10℃にて23時間撹拌した。その後、反応液の一部を取って、HPLC〔Chiralpak AS−H、4.6mm×25cm(ダイセル社製)〕にて分析し、光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルの光学純度及び反応収率を求めた。その結果、光学純度は100%ee、反応収率は47%(光学純度より算出した値)であった。
参考として、加水分解生成物である光学活性(R)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸の光学純度は90.4%ee、反応収率は52.5%(光学純度より算出した値)であった。
2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのラセミ体のアスペルギルス・フラバスATCC11492株由来のエステラーゼを用いた加水分解による光学分割(その2)
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)5.0gに2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのラセミ体1.0g(5.75mmol)とメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)2.0gとを懸濁させた。懸濁液を10℃に冷却後、固定化されたアスペルギルス・フラバスATCC11492株由来のエステラーゼ(公開特許公報2003−70471記載の方法により調製した)0.7g(水分率56%、酵素活性4028KU/Kg、ドライ換算)を加え、4%NaOH水溶液を適宜加えてpHを6〜8に維持しながら、10℃にて23時間撹拌した。その後、反応液の一部を取って、HPLC〔Chiralpak AS−H、4.6mm×25cm(ダイセル社製)〕にて分析し、光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルの光学純度及び反応収率を求めた。その結果、光学純度は100%ee、反応収率は47%(光学純度より算出した値)であった。
参考として、加水分解生成物である光学活性(R)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸の光学純度は88.2%ee、反応収率は53%(光学純度より算出した値)であった。
2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのラセミ体のアスペルギルス・フラバスATCC11492株由来のエステラーゼを用いた加水分解による光学分割(その3)
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)5.0gに2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのラセミ体1.0g(5.75mmol)とMTBE2.0gとを懸濁させた。懸濁液を10℃に冷却後、固定化されたアスペルギルス・フラバスATCC11492株由来のエステラーゼ(公開特許公報2003−70471記載の方法により調製した)0.1g(水分率56%、酵素活性4028KU/Kg、ドライ換算)を加え、4%NaOH水溶液を適宜加えてpHを6〜8に維持しながら、10℃にて99時間撹拌した。その後、反応液の一部を取って、HPLC〔Chiralpak AS−H、4.6mm×25cm(ダイセル社製)〕にて分析し、光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルの光学純度及び反応収率を求めた。その結果、光学純度は99.8%ee、反応収率は48.5%(光学純度より算出した値)であった。
参考として、加水分解生成物である光学活性(R)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸の光学純度は94.2%ee、反応収率は51.5%(光学純度より算出した値)であった。
2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのラセミ体のアスペルギルス・フラバスATCC11492株由来のエステラーゼを用いた加水分解による光学分割(その4)
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)50.0gに2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのラセミ体10.6g(含量94.3%、5.75mmol)とMTBE20.0gとを懸濁させた。懸濁液を10℃に冷却後、固定化されたアスペルギルス・フラバスATCC11492株由来のエステラーゼ(公開特許公報2003−70471記載の方法により調製した)2.0g(水分率56%、酵素活性4028KU/Kg、ドライ換算)を加え、4%NaOH水溶液を適宜加えてpHを7.0〜7.5に維持しながら、10℃にて51時間撹拌した。その後、反応液をラヂオライト(濾過助剤、商品名:昭和化学工業製)を用いて濾過し、エステラーゼを除去した。得られた濾液を、メチルイソブチルケトン(MIBK)25gおよび12.5gで2回抽出した後、得られた有機層を合わせ、15%食塩水で洗浄することにより、光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのMIBK溶液(光学純度98.9%ee、収率41.5%)を得た。なお、光学純度は、実施例1と同様に、HPLC〔Chiralpak AS−H、4.6mm×25cm(ダイセル社製)〕にて分析した。
2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのラセミ体のアスペルギルス・フラバスATCC11492株由来のエステラーゼを用いた加水分解による光学分割(その5)
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)50.0gに2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのラセミ体10.6g(含量94.3%、5.75mmol)とMTBE20.0gとを懸濁させた。懸濁液を10℃に冷却後、固定化されたアスペルギルス・フラバスATCC11492株由来のエステラーゼ(公開特許公報2003−70471記載の方法により調製した)2.0g(水分率56%、酵素活性4028KU/Kg、ドライ換算)を加え、4%NaOH水溶液を適宜加えてpHを7.5〜8.0に維持しながら、10℃にて48時間撹拌した。その後、反応液をラヂオライト(濾過助剤、商品名:昭和化学工業製)を用いて濾過し、エステラーゼを除去した。得られた濾液を、MIBK25gおよび12.5gで2回抽出した後、得られた有機層を合わせ、15%食塩水で洗浄することにより、光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステルのMIBK溶液(光学純度98.8%ee、収率40.3%)を得た。なお、光学純度は、実施例1と同様に、HPLC〔Chiralpak AS−H、4.6mm×25cm(ダイセル社製)〕にて分析した。
6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステルの合成
2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステル15.4g(含量84.4%、75.5mmol)をメタノール24.2g(0.75mol)に溶解させた後、オルトギ酸メチル40.1g(0.38mol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物0.14g(0.75mmol)を加えて混合した。次いで、混合物を65℃まで昇温し、同温度で1.5時間反応させた。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却した。次に、反応混合物にトルエン39gおよび3%炭酸水素ナトリウム水溶液26gを加え、充分に撹拌した。反応混合物を分液後、得られた有機層を減圧濃縮することにより、6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステルの粗生成物22.8g(含量69.5%、反応収率95%)を得た。得られた6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステルの粗生成物は、そのまま次の反応へ用いた。
また、得られた6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステルの粗生成物の一部をカラムクロマトグラフィーで精製し、無色油状の6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステルを得た。
1H−NMR(CDCl3,300MHz):δ1.15(3H,d,J=7.0Hz),1.24(2H,s),1.27−1.47(3H,m),1.56−1.74(3H,m),2.45(1H,dt,J=7.0,14.0Hz),3.15(6H,s),3.67(3H,s).
7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オンの合成(その1)
6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステルのラセミ体1.90g(含量84.4%、7.3mmol)をTHF4.8gに溶解させ、塩化リチウム0.93g(21.9mmol)と水素化ホウ素ナトリウム1.66g(含量90%、39.5mmol)とを順次加えて混合した。次いで、反応混合物にメタノール8.80gを室温で4時間かけて滴下した後、同温にて一晩撹拌した。次に、反応混合物に5%塩酸32.07gを室温にて滴下し、7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オン0.96g(収率90.7%)を含む均一溶液45.3gを得た。
7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オンの合成(その2)
水素化アルミニウムリチウム0.74g(含量80%、15.6mmol)をTHF7.0gに懸濁させ、得られた懸濁液を0℃まで冷却した。次いで、6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステル2.37g(含量84.4%、9.2mmol)をTHF3.0gに溶解させた溶液を、懸濁液に0℃にて1.5時間かけて滴下した。次いで、同温にて反応混合物を3時間撹拌した後、メタノール1.47g(45.9mmol)を滴下して未反応の水素化アルミニウムリチウムをクエンチした。次に、反応混合物に2%水酸化ナトリウム水溶液2.74gを室温にて滴下した後、生じた水酸化アルミニウムをラヂオライト(濾過助剤、商品名:昭和化学工業製)を用いる濾過によって除去し、続いて酸処理をすることにより、7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オン1.07g(収率80.9%)を含む均一溶液を得た。
(S)−6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステルの合成
(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸メチルエステル21.52g(含量94.0%、0.117mol)をメタノール37.2g(1.16mol)に溶解させた後、オルトギ酸メチル62.4g(0.59mol)、p−トルエンスルホン酸一水和物0.22g(1.2mmol)を加え混合した。次いで反応混合物を65℃まで昇温し、同温度で3時間反応させた。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却した。次に反応混合物にトルエン61g、3%炭酸水素ナトリウム水溶液40.4gを加え、充分に撹拌した。分液後、得られた有機層を減圧濃縮することにより、(S)−6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステルの粗生成物25.14g(含量96.2%、反応収率94.4%)を得た。上記(S)−6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステルの粗生成物は、そのまま次の反応へ用いた。このとき、得られた(S)−6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステルの粗生成物の一部をカラムクロマトグラフィーで精製し、無色油状(S)−6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステルを得た。
[α]D 27 =22.6゜(5.01% in EtOH)
(S)−7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オンの合成
水素化ホウ素リチウム0.65g(含量90%、26.6mmol)にTHF15gを加えた懸濁液に、(S)−6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタン酸メチルエステル5.13g(含量96.2%、22.6mmol)をTHF10gに溶解させたものを、室温にて滴下した。次いで反応混合物を55℃まで昇温し、同温度で9時間反応させることにより、(S)−6,6−ジメトキシ−2−メチルヘプタノールとした。次いで、この反応混合物にメタノール7.32gを室温でおよそ1時間かけて滴下した後、同温にて4時
間撹拌した。次いで、この反応混合物に5%塩酸25.08gを室温にて滴下し、同温にて更に30分撹拌した。この溶液をメチルイソブチルケトン15gおよび12.5gで2回抽出した後、得られた有機層を合わせ、15%炭酸ナトリウム水溶液10gで2回洗浄することにより、(S)−7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オン2.95g(収率89.5%)を含むMIBK溶液51.7gを得た。これを減圧下で溶媒を留去することにより(S)−7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オンの粗生成物3.68gを淡黄色油状物として得た。このものは精製することなく次の反応に使用しても良いし、必要に応じて減圧蒸留により精製しても良い。なお、得られた(S)−7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オンの粗生成物の一部を蒸留精製し、無色油状(S)−7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オンを得た。
[α]D 27 =−13.9゜(5.03% in EtOH)
エステラーゼの取得
滅菌した液体培地(水1000mlにグリセロール5g、酵母エキス6g、リン酸1カリウム4g、リン酸2カリウム9.3gを溶解したもの)10mlに50mg/mlのアンピシリン水溶液10μlとE.coli JM105/pYHNK2株のグリセロールストック(特開2001−46084号公報参照)0.1mlとを加え30℃で9時間振盪した(得られた培養液を培養液Aと記す。)。
滅菌した液体培地(水13000mlにグリセロール225g、酵母エキス150g、総合アミノ酸F225g、リン酸1カリウム60g、硫酸マグネシウム36g、硫酸第1鉄7水和物0.6g及び塩化カルシウム2水和物を溶解し、さらに水を加えて全量を150000mlにしたもの)15000mlに4Mリン酸水溶液と14%(W/W)アンモニア水を加えpH7.0とした。ここに、上記の培養液A7.5mlを加え30℃で通気攪拌培養した。培養開始から14時間経過後に滅菌した液体培地(水1100gとグリセロール1500gの混合物に酵母エキス280g及び総合アミノ酸F420gを溶解したもの)を徐々に加えた。また、培養開始から18時間後にisopropyl thio -β-D-galactosideを50μMとなるように加えた。
培養開始から40時間後に、培養液にエタノール1950mlを加え、さらに30℃で24時間攪拌した。その後、この混合物を6000gとり、水6200gと混合した。この溶液を連続遠心処理(20000rpm、流速130g/min)して、遠心上清液11200gを得た。この遠心上清液にラジオライト#200(昭和化学工業株式会社商品名) 220gを加えて攪拌し、さらにラジオライト#200を通して濾過することにより、タンパク質の清澄液を得た。
エステラーゼの固定化
水洗したダイヤイオンHP20SS(三菱化学株式会社商品名)(ダイヤイオンHP20SS 12gと水300mlとを混合して30分間攪拌し、濾過し、さらに水400mlで洗浄したもの)と参考例7により製造したタンパク質の清澄液600gとを混合し、10℃で18時間攪拌した。その後、濾過し、水400gで洗浄して、固定化酵素12.5gを得た。
Claims (11)
- 式(II):
(式中、R1は、前記と同じ意味を表す。)
で表される2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステルに、R体を優先的に加水分解し得る、アスペルギルス属の微生物由来のエステラーゼを作用させることにより光学分割して、式(III):
(式中、R1は、前記と同じ意味を表す。)
で表される光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステルを得る工程;
式(III)で表される光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステルのカルボニル基を保護して、式(IV):
(式中、Aは酸素原子または硫黄原子を表し、R1は前記と同じ意味を表し、R2およびR3は、それぞれ独立してC1−5アルキル基を表すか、または互いに結合してC2−5アルキレン基を表す。)
で表される光学活性(S)−ケタールエステルを得る工程;
式(IV)で表される光学活性(S)−ケタールエステルを還元して、式(V):
(式中、A、R2およびR3は、前記と同じ意味を表す。)
で表される光学活性(S)−ケタールアルコールを得る工程;および
式(V)で表される光学活性(S)−ケタールアルコールを脱保護して、式(I):
で表される光学活性(S)−7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オンを得る工程;
を含む、式(I)で表される光学活性(S)−7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オンの製造方法。 - 式(III)で表される光学活性(S)−2−メチル−6−オキソヘプタン酸エステルの光学純度が95〜100%eeである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- R1がメチル基である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- R2およびR3が、共にメチル基であるか、または互いに結合してエチレン基またはプロピレン基を表す請求項2〜6のいずれかに記載の製造方法。
- アスペルギルス属の微生物がアスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
- アスペルギルス属の微生物がアスペルギルス・フラバスATCC11492株である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
- Aが酸素原子であり、かつR1’、R2’およびR3’が共にメチル基である請求項10に記載の光学活性(S)−ケタールエステル。
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