JP5023984B2 - マルチディメンジョナルガスクロマトグラフ装置 - Google Patents

マルチディメンジョナルガスクロマトグラフ装置 Download PDF

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Description

本発明は、分離特性の相違する複数のカラムを用いたマルチディメンジョナルガスクロマトグラフ装置に関する。
環境分析、石油化学分析、香料分析、食品分析などの分野では、多種類の微量成分が含まれる複雑な組成の試料中の各成分を分離して高い感度で定量分析する必要があるが、一般的なガスクロマトグラフ(GC)装置では複数の成分のピークを完全には分離できず、十分な分析ができない場合も多い。こうした場合に、分離特性の相違する複数のカラムを組み合わせたマルチディメンジョナルガスクロマトグラフ装置(以下、MDGCと称す)が非常に有用である。
例えば特許文献1、2に記載のMDGCでは、試料気化室内で気化させた試料ガスを第1カラムに流して試料成分を分離した後の流路を第1検出器側と、第2カラム及び第2検出器側との2つに分岐し、通常(モニタリング分析)は第1カラムから流出した試料ガスを第1検出器に導入して試料成分を検出し、第1カラムでは十分に分離できない成分が含まれる試料ガスが通過するタイミングで以て試料ガスを選択的に第2カラムに導入し、第2カラムを通して分離特性を改善した後に第2検出器に導入して検出(高分解能分析)を行う。これにより、第1カラムでは十分に分離することができずクロマトグラム上でピークが重なってしまうような複数の成分を的確に分離し、且つ分析時間が極端に長くなることも防止することができる。
上記のようなMDGCにおける試料ガスの流路の切替えには、特許文献3に記載のように、ディーンズ(Deans)方式と呼ばれる構造の流路切替手段が一般に利用されている。また、本出願人は、典型的なディーンズ方式の流路切替手段を改良した構成を特許文献4、5で提案している。これら流路切替手段の構成はそれぞれ異なるが、いずれにしても、スイッチングガス供給源から供給されるスイッチングガスの流れを切り替えて流路中のガス圧のバランスを変えることで、第1カラムから送られて来る試料ガスを2つの流路のいずれかに流し、他方の流路にはスイッチングガスを流すように流路の切替えを達成することができる。
上述の流路切替手段において好ましいのは、第1カラムを通過して来た試料成分の全量が第1検出器又は第2カラムに流れ、他方の流路には漏れないことである。しかしながら、前述のようにこうした流路切替手段における流路切替えは圧力のバランス関係により達成されるため、それには様々なパラメータ、例えば、カラムの種類(内径、長さ等のサイズ)やそれらカラムが内装されるカラムオーブン温度、キャリアガスの供給圧、第1及び第2カラムに流れるガスの流量、流路切替手段に含まれる1又は複数の流量抵抗部(抵抗管)のサイズ、などの分析条件が関与する。
従来、流路切替手段における適切な流路切替えが行えるパラメータを見い出すために、分析担当者は試行錯誤的にパラメータを変更して分析を行ってみる必要があったが、上記のようにパラメータが多いためにかなり面倒で時間が掛かる作業であった。
特開2006−226678号公報 特開2006−226679号公報 特開2000−179714号公報 特開2006−64646号公報 特開2006−329703号公報
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、マルチディメンジョナルガスクロマトグラフ装置における分析条件(パラメータ)の設定を担当者が容易に、つまり効率的で且つ確実に行えるようにすることを目的としている。
上記課題を解決するために成された本発明は、試料ガス中の各成分を時間的に分離する第1カラムと、該第1カラムを通過した試料ガスを第2カラムに向かう流路と検出器に向かう流路との2つの流路の一方に選択的に流す流路切替手段と、を具備し、該流路切替手段は、少なくとも1つの流量抵抗部を有し、スイッチングガス供給源から供給されたスイッチングガスが所定の流量抵抗部を流れる際の圧力降下を利用した圧力バランスに応じて一方の流路に試料ガスを他方の流路にスイッチングガスを流すように流路を切り替えるマルチディメンジョナルガスクロマトグラフ装置において、
a)分析を実施するための各種パラメータの少なくとも一部を分析担当者が入力する入力手段と、
b)前記流路切替手段の前記流量抵抗部についての既知の流体方程式に前記入力手段により入力されたパラメータを含む各種パラメータを適用し、各流量抵抗部を流れるガスの流量を求め、さらに該流路切替手段から前記第2カラム及び検出器へ向かう、それぞれのガスの流量を計算する流量計算手段と、
c)前記流路切替手段により前記第1カラムを通過した試料ガスを第2カラムに向かう流路に選択的に流す状態であるときに該第1カラムを通過した試料ガスの全量のうち前記第2カラムに向かう量の比率を示すスイッチング回収率と、前記流路切替手段により前記第1カラムを通過した試料ガスを検出器に向かう流路に選択的に流す状態であるときに該第1カラムを通過した試料ガスの全量のうち前記検出器に向かう量の比率を示すスイッチング回収率とのうち、100%とならないおそれがある一方のスイッチング回収率のみを前記流量計算手段による流量計算値に基づき計算する回収率計算手段と、
d)前記回収率計算手段による計算により得られた一方のスイッチング回収率を表示する表示手段と、
を備えることを特徴としている。
第1カラムを通過して来た試料成分の全量が、漏れなく目的とする検出器又は第2カラムに流れるときに、上記スイッチング回収率は100%であるとすることができる。この場合、スイッチング回収率が100%未満であれば、試料成分の一部が目的でない他方側に漏れてしまっていることを意味する。
上記流路切替手段はディーンズ方式による流路切替装置又はディーンズ方式の改良型の流路切替装置を用いることができ、具体的には例えば特許文献4、5などで本出願人が提案している構成の流路切替装置を用いることができる。
また、上記既知の流体方程式としては、ハーゲン-ポアズイユ(Hagen-Poiseuille)の式として知られる方程式を利用することができる。
また、分析を実施するための各種パラメータとは、例えば、第1及び第2カラムの内径、長さなどのサイズ、それらカラムが内装されるカラムオーブンの温度、キャリアガスの供給圧、スイッチングガスの供給圧(又はガスの線速度)、キャリアガス(スイッチングガス)の種類など、である。
なお、装着されるカラムの種類の自動判別機能などを当該装置が有している場合には、カラムのサイズなどのパラメータをいちいち担当者が入力する必要はないが、上記入力手段はそうしたパラメータ設定手段も含む。また、一般的にGCでは、過去の分析に使用されたパラメータをメモリに記憶しておき、それを呼び出して使用することも可能であるし、或いは予め決められたデフォルト値が使用される場合もあるから、上記入力手段はそうした呼び出された値を変更する手段も含む。
本発明に係るMDGCによれば、分析担当者が分析を実施するために必要なパラメータを入力すると、それに従って実際の分析を実行することなく、流量計算手段及び回収率計算手段が理論的にスイッチング回収率を計算し、その結果が表示手段に表示される。入力手段によりパラメータを変更すれば、表示されるスイッチング回収率もそれに応じて更新される。したがって、スイッチング回収率を100%とするような、即ち、第1カラムを通過して来た試料成分の全量が目的とする検出器又は第2カラムのいずれかに選択的に流れるような分析パラメータを、短時間で且つ確実に見い出すことができる。これにより、分析作業の効率向上を図ることができる。また、スイッチング回収率100%の下での高分解能分析が確実に行えるので、目的成分を高感度で検出することができる。
以下、本発明に係るMDGCの一実施例について図面を参照して説明する。図1は本実施例によるMDGCの全体構成図、図2は本実施例のMDGCにおける流路切替部の概略構成図である。この流路切替部は周知の典型的なディーンズ方式による流路切替装置である。
本実施例のMDGCにおいて、試料気化室1には、キャリアガス流路2を通してヘリウム等のキャリアガスGcが略一定流量で供給され、このガスGcが第1カラムオーブン4内に収容された第1カラム5に送り込まれる。この状態で、インジェクタ3により少量の液体試料が、図示しないヒータにより加熱されている試料気化室1内に注入されると、液体試料は即座に気化し、キャリアガスGcの流れに乗って第1カラム5に送り込まれる。但し、場合によっては、試料気化室1にスプリット流路を接続し、試料気化室1内で気化した試料の大部分をスプリット流路を通して排出し、試料の一部のみを第1カラム5に送り込む、いわゆるスプリット分析を行うこともある。第1カラム5の出口端は流路切替部6の入口端Aに接続され、流路切替部6の第1出口端Bは第1検出器7に接続される。他方、流路切替部6の第2出口端Cは第2カラムオーブン8内に収容された第2カラム9の入口端に接続され、この第2カラム9の出口端は第2検出器10に接続される。
流路切替部6は、分析制御部26の指令に従い、スイッチングガス供給部11から供給されるキャリアガスと同一成分のスイッチングガスGsの流れを切り替えることで、入口端Aに導入される、つまり第1カラム5を通過して来た試料ガスGa(キャリアガスGc+試料成分)を、第1検出器7側と第2カラム9側との一方に択一的に流す。このとき、試料ガスGaが流れない方の出口端B又はCからはスイッチングガスGsが流出する。
第1検出器7及び第2検出器10による検出信号はいずれもデータ処理部25に送られる。データ処理部25は得られた検出信号に基づいてクロマトグラムを作成するとともに、クロマトグラムの波形解析を行うことで各種成分の定量分析や定性分析を実行する。インジェクタ3や流路切替部6、カラムオーブン4、8に付設された図示しないヒータ、スイッチングガス供給部11などの動作は、中央制御部20の統括的な指示の下に分析制御部26により制御される。また、中央制御部20は分析制御部26及びデータ処理部25を制御するとともに、データ処理部25よりクロマトグラムなどの処理結果を受け取って表示部24に表示する。また、中央制御部20には各種の入力パラメータ設定を行うための入力部23と入力されたパラメータや分析結果などを表示するための表示部24と、が接続されている。なお、中央制御部20及びデータ処理部25の実体は汎用のパーソナルコンピュータであって、このパーソナルコンピュータにインストールされた所定の制御・処理プログラムを動作させることで後述するような制御・処理が達成される。
本実施例のMDGCに特徴的な構成として、中央制御部20は、流量計算部21及び回収率計算部22を機能ブロックとして備える。これらもパーソナルコンピュータのCPU上で上記制御・処理プログラムを動作させることで実現される処理機能である。
図2において、スイッチングガス供給部11からスイッチングガスGsが供給されるスイッチングガス供給流路601上には圧力制御弁602が設置され、スイッチングガス供給流路601の末端は三方切替弁603の入口端aに接続されている。三方切替弁603の2つの出口端b、cにはそれぞれ第1、第2スイッチングガス分岐流路604、605が接続され、この両分岐流路604、605の途中は抵抗管606を介して互いに接続されている。三方切替弁603は例えばモータ等の駆動源により、分岐流路604、605のいずれか一方を択一的にスイッチングガス供給流路601に連通させる。
第2スイッチングガス分岐流路605の末端は、第1カラム5から送られて来る試料ガスGaが供給される入口流路607に接続されている。この入口流路607と第2スイッチングガス分岐流路605との接続個所の近傍で、入口流路607には第1検出器7へと向かう第1出口流路610も接続されている。一方、第1スイッチングガス分岐流路604の末端は、第2カラム9へと向かう第2出口流路608に接続されている。ほぼ一直線上に位置する入口流路607端部と第2出口流路608の端部との間は、ジョイント等により形成される金属ブロック611内の直線状の連通管609により接続されている。この連通管609は内径が小さく、一種の抵抗管であるとみなせる。一方、分岐流路604、605など、連通管609及び抵抗管606以外の管路はその内径が相対的に格段に大きく、流量抵抗がないものとみなすことができる。
この流路切替部6の基本的な流路切替え動作を説明する。
いま三方切替弁603が図2(a)に示すように入口端aと出口端bとが連通した状態である場合、圧力制御弁602により所定供給圧Pで以て供給されたスイッチングガスは第1スイッチングガス分岐流路604を経由し、一部は抵抗管606中を左方から右方へと流れ、残りは第2出口流路608へ入る。抵抗管606をスイッチングガスが流れる際にそのガス流量と流量抵抗に応じた圧力降下ΔPが生じるから、連通管609の両端の圧力は、左端が約P、右端がP−ΔPとなる。その圧力差によって、連通管609内を左から右へとスイッチングガスが流れる。即ち、第1スイッチングガス分岐流路604から第2出口流路608に流れ込んだスイッチングガスの一部が連通管609中を左方から右方へと流れ、その残りが第2出口流路608を通って第2カラム9へと向かって流れる。第1カラム5から送られて来た試料成分を含む試料ガスGaは、連通管609を経て流入する少量のスイッチングガスと合流し、第1出口流路610を経て第1検出器7へと流れる。
三方切替弁603が図2(b)に示すように入口端aと出口端cとが連通した状態である場合、圧力制御弁602により所定供給圧Pで以て供給されたスイッチングガスは第2スイッチングガス分岐流路605を経由し、一部は抵抗管606中を右方から左方へと流れ、残りは入口流路607へと入る。上述のように抵抗管606中をスイッチングガスが流れる際に圧力降下ΔPが生じるから、連通管609の両端の圧力は、右端が約P、左端がP−ΔPとなる。その圧力差によって、第1カラム5から入口流路607に送り込まれた試料ガスGaは連通管609中を右から左へと流れ、第2出口流路608においてスイッチングガスと合流して第2カラム9へと向かう。第2スイッチングガス分岐流路605から入口流路607に流れ込んだスイッチングガスはほぼそのまま第1出口流路610から第1検出器7へと流れる。
上記流路切替部6における好ましい切替えは、図2(a)の状態では第1カラム5から送られてきた試料ガスGaの全量が第1検出器7へと向かい、図2(b)の状態では第1カラム5から送られてきた試料ガスGaの全量が第2カラム9へと向かうことである。そのために、図2(a)の状態では連通管609の左端における圧力が右端における圧力よりも確実に高い状態である必要がある。また、図2(b)の状態では入口流路607への第1出口流路610の接続端におけるガス圧が連通管609の右端部におけるガス圧よりも高い状態である必要がある。そうでないと、反対側の流路への試料ガスGaの漏れが生じ、例えば第2カラム9で分離分析したい試料成分の量が減少してしまい、分析感度の低下をもらたすことになる。
上記のようなガス圧の条件は、この流路切替部6に接続される第1カラム5、第2カラム9のサイズ(内径、長さなど)、キャリアガスの供給圧(或いは線速度)、抵抗管606や連通管609のサイズ(内径、長さなど)、キャリアガス(スイッチングガス)の種類(主として粘性)などの様々なパラメータの影響を受ける。また、カラム5、9にはその分離特性に最適なガス流速の範囲があり、これを逸脱するほど流速が大きく又は小さくなると分離特性が劣化してしまうため、これら条件の可変範囲にも制約がある。こうしたことから、本実施例のMDGCでは、スイッチング回収率をできるだけ高く(好ましくは100%)しながら分析条件を適切に設定するために、スイッチング回収率の事前計算機能を有している。この機能について詳述する。
分析担当者は分析に先立って各種の分析条件を設定する必要があるから、まず入力部23で所定の操作を行うことにより、図3に示すような設定画面30を表示部24の画面上に表示させる。この設定画面30の下部には、第1カラム(1st GC)5に関連した各種パラメータ(カラム流量、カラム線速度、スプリット比など)を入力したり表示したりするための第1入力設定部31と、第2カラム(2nd GC)9に関連した各種パラメータ(カラム流量、カラム線速度、検出器圧力など)を入力したり表示したりするための第2入力設定部32とが設けられている。各入力設定部31、32はタブの切替えにより設定項目欄の切替えが可能となっており、図に例示するようないくつかの項目に関して数値を直接入力可能なテキスト入力欄となっている。なお、カラムの長さ、内径、膜厚などは装着したカラムの種類により決まるからここでは変更できず、変更したい場合にはカラムを交換する必要がある。また、そのほかのキャリアガス供給圧、カラムオーブン温度、流路切替部6におけるスイッチングガス供給圧などもこの設定画面30上で変更することが可能である。
分析担当者は上記設定画面30上で各設定項目に適宜の数値を入力する。但し、こうして一旦設定されたパラメータはメソッドファイルとして記憶させておくことができるから、メソッドファイルを指定してそのファイルの情報を読み出して来ることにより、各設定項目に自動的に数値を入力することもできる。また、予めデフォルト値を設定しておき、そのデフォルト値を表示させた後に適宜に数値を変更することもできる。このように、各設定項目(パラメータ)の実際の入力の仕方には様々な方法が考え得る。
分析担当者が「OK」ボタン33をクリック操作すると入力された各パラメータが一旦確定し、それに応じて流量計算部21が流路切替部6における図2に示す各流量f1〜f6の計算処理を実行する。f1は入口端Aから送り込まれるガス(試料ガスGa)の流量、f2は第2第2出口端Cから送り出されるガスの流量、f3は連通管609中を通るガスの流量、f4は三方切替弁603の出口端b又はcから送り出されるガス(スイッチングガス)の流量、f5は抵抗管606を通るガス(スイッチングガス)の流量、f6は第1出口端Bから送り出されるガスの流量、である。
一般に、或る抵抗管におけるガス流量、圧力、温度、抵抗管のサイズ(内径、長さ)、ガスの粘性などの関係は、ハーゲン-ポアズイユの法則に基づく次の(1)式で表せることが知られている。
f=K・{r/(η・L・T)}・(P1−P2) …(1)
ここで、f:抵抗管中のガスの流量、K:比例係数、r:抵抗管の内径、T:抵抗管の温度、η:温度Tにおけるガスの粘性係数、L:抵抗管の長さ、P1:抵抗管の上流側端部のガス圧、P2:抵抗管の下流側端部のガス圧、である。
流路切替部6の入口端Aには第1カラム5の出口端が接続され、第2出口端Cには第2カラム9の入口端が接続されており、これらカラム5、9はいずれも一種の抵抗管である。また、上述のように流路切替部6には抵抗管606と連通管609とが抵抗管に相当するものとして含まれる。したがって、流量f1、f2、f3、f5は上記(1)式を用いて求めることが可能である。この際の計算に必要なパラメータは上記のように入力設定される分析パラメータを利用することができる。また、各流量の関係は、
f2=f4−f5−f3
f6=f1+f5+f3
である。従って、上記のように求まるf1、f2、f3、f5と上記関係とから、残りのf4、f6も求めることができる。
次に、回収率計算部22は上記のように求まる流量f1〜f6を用いて、流路切替部6のスイッチング性能を示す指標の1つでスイッチング回収率Uを計算する。図2(a)の場合の回収率U1(%)は、
U1={(f1−f3)/f1}・100
である。計算上、この値が100を超える場合には100%と表記されるのが一般的である。図2(a)に示すように、流量f3が連通管609中を左方から右方へ向かう流れである場合には、スイッチング回収率U1は100%となる。この場合、試料ガスGaは全て第1検出器7に流れ、第2カラム9へはスイッチングガスGsのみが流れる。
一方、図2(b)の場合の回収率U2(%)は、
U2=(f3/f1)・100
である。スイッチング回収率U2が100%となるのはf3=f1のときのみであり、この場合、試料ガスGaは全て第2カラム9に流れ、第1検出器7へはスイッチングガスGsのみが流れる。
こうして計算されたスイッチング回収率は、図3中の回収率表示欄34に数値として表示される。そして、分析担当者がパラメータの入力値を変更した上で「OK」ボタン33をクリック操作すると、その度にその時点で設定されているパラメータに基づいたスイッチング回収率の再計算が実行され、回収率表示欄34の数値が更新される。したがって、分析担当者はこの数値を確認しながらパラメータの入力値を変更することで、スイッチング回収率が100%になり且つガス流速などがカラムに適した範囲に収まるような分析条件を効率的に見つけることができる。
なお、基本的にはスイッチング回収率U1、U2をともに計算・表示することが好ましいが、抵抗管やカラムなどのサイズの選択によっては、スイッチング回収率U1、U2の一方が常時100%となることが予見できる場合があり、その場合には100%とならないおそれがあるほうの回収率のみを計算・表示するようにしてもよい。
[変形例]
上記実施例は典型的なディーンズ方式の流路切替装置に本発明を適用していたが、ディーンズ方式の改良型である特許文献4、5に記載のような流路切替装置に本発明を適用することもできる。
図4は特許文献5で本出願人が提案している流路切替部の概略流路構成図である。図4では図2に示した構成要素と同一又は対応する構成要素には同一符号を付している。この流路切替部6は、連通管609以外に、2つの抵抗管606、622を含む。ここで、第1抵抗管606の流量抵抗は第2抵抗管622の流量抵抗よりも大きな値に設定しておく。
試料ガスGaを第1検出器7に流したい場合には、三方切替弁603を出力端b側に切り替えた状態で、スイッチングガスGsを所定の供給圧Pで以て供給する。このスイッチングガスGsは、分岐部620において2方向に分割され、その一方が第2抵抗管622を通過する。その際に圧力降下ΔP1が生じるため、連通管609の端部に相当する分岐部623におけるガス圧P1はP−ΔP1で、必ずP1<Pとなる。
分岐部620で分割されたスイッチングガスGsの他方は、三方切替弁603から直接的に分岐部624を経て分岐部625に供給される。即ち、スイッチングガスGsは第1抵抗管606を通過することなく分岐部625へ供給されるため、分岐部625におけるガス圧はスイッチングガス供給圧Pと等しくなる。したがって、連通管609の両端のガス圧の関係は分岐部625側が分岐部223よりも高くなり、連通管609中のガス流は図4で左方から右方へと向かう。これにより、試料ガスGaは連通管609を経て流れて来たスイッチングガスGsと合流し、出口流路610を経て第1検出器7へと送り出される。
この場合、分岐部620の周りのガスの流量を図4に示すようにf11、f12、f13とすると、f12は(1)式により求まる。また、f1、f2、f3も上記実施例と同様に(1)式より求まる。また、流量f1〜f4、f11〜f13の関係は、
f11=f12+f13
f6=f1+f3+f12
f2=f13−f3
である。したがって、他の流量f11〜f13も全て求まる。これにより、上記実施例と同様にしてスイッチング回収率U1、U2を計算することができる。
一方、試料ガスを第2カラム9に流したい場合には、三方切替弁603を出力端c側に切り替えた状態で、スイッチングガスGsを所定の供給圧Pで以て供給する。この場合も、分岐部623には上記と同様に分岐部620で分割されたスイッチングガスGsが第2抵抗管622を通って供給される。一方、分岐部620で分割され、三方切替弁603に供給されたスイッチングガスGsは上記の場合とは異なり第1抵抗管606を通り、分岐部624を経て分岐部625に供給される。第1抵抗管606及び第2抵抗管622をスイッチングガスGsが通過することでそれぞれ圧力降下ΔP2、ΔP1が生じるが、第1抵抗管606は第2抵抗管622よりも流量抵抗が大きいために圧力降下も大きい(ΔP2>ΔP1)。そのため、連通管609の両端のガス圧の関係は分岐部625のほうが分岐部623よりも小さくなる。これにより、試料ガスは連通管609を通して右方から左方へと流れる。このとき、f13は第1抵抗管606を流れるガスの流量であるから、上記の場合とは異なり(1)式より求まる。そして、上記と同様に全ての流量を求め、スイッチング回収率U1、U2を計算することができる。
さらにまた、流路切替部6がより多くの抵抗管を含むように流路構成を変形する場合でも、同様にして各抵抗管を流れるガスの流量を計算し、さらに各流量の関係を示す式も利用することで不明な流量を求め、それに基づいてスイッチング回収率を計算することができる。
なお、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、追加、修正を行っても本願特許請求の範囲に包含されることを当然である。
本発明の一実施例によるMDGCの全体構成図。 本実施例のMDGCにおける流路切替部の概略構成図。 本実施例のMDGCにおいて分析パラメータを入力設定するための設定画面の一例を示す図。 本発明の変形例のMDGCにおける流路切替部の概略構成図。
符号の説明
1…試料気化室
2…キャリアガス流路
3…インジェクタ
4…第1カラムオーブン
5…第1カラム
6…流路切替部
601…スイッチングガス供給流路
602…圧力制御弁
603…三方切替弁
604…第1スイッチングガス分岐流路
605…第2スイッチングガス分岐流路
606…抵抗管
607…入口流路
608…第2出口流路
609…連通管
610…第1出口流路
611…金属ブロック
620、623、624、625…分岐部
622…第2抵抗管
7…第1検出器
8…第2カラムオーブン
9…第2カラム
10…第2検出器
11…スイッチングガス供給部
20…中央制御部
21…流量計算部
22…回収率計算部
23…入力部
24…表示部
25…データ処理部
26…分析制御部

Claims (1)

  1. 試料ガス中の各成分を時間的に分離する第1カラムと、該第1カラムを通過した試料ガスを第2カラムに向かう流路と検出器に向かう流路との2つの流路の一方に選択的に流す流路切替手段と、を具備し、該流路切替手段は、少なくとも1つの流量抵抗部を有し、スイッチングガス供給源から供給されたスイッチングガスが所定の流量抵抗部を流れる際の圧力降下を利用した圧力バランスに応じて一方の流路に試料ガスを他方の流路にスイッチングガスを流すように流路を切り替えるマルチディメンジョナルガスクロマトグラフ装置において、
    a)分析を実施するための各種パラメータの少なくとも一部を分析担当者が入力する入力手段と、
    b)前記流路切替手段の前記流量抵抗部についての既知の流体方程式に前記入力手段により入力されたパラメータを含む各種パラメータを適用し、各流量抵抗部を流れるガスの流量を求め、さらに該流路切替手段から前記第2カラム及び検出器へ向かう、それぞれのガスの流量を計算する流量計算手段と、
    c)前記流路切替手段により前記第1カラムを通過した試料ガスを第2カラムに向かう流路に選択的に流す状態であるときに該第1カラムを通過した試料ガスの全量のうち前記第2カラムに向かう量の比率を示すスイッチング回収率と、前記流路切替手段により前記第1カラムを通過した試料ガスを検出器に向かう流路に選択的に流す状態であるときに該第1カラムを通過した試料ガスの全量のうち前記検出器に向かう量の比率を示すスイッチング回収率とのうち、100%とならないおそれがある一方のスイッチング回収率のみを前記流量計算手段による流量計算値に基づき計算する回収率計算手段と、
    d)前記回収率計算手段による計算により得られた一方のスイッチング回収率を表示する表示手段と、
    を備えることを特徴とするマルチディメンジョナルガスクロマトグラフ装置。
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