図1に、本発明を適用した印刷装置としての感熱デジタル製版一体型の孔版印刷装置の概略を示す。この孔版印刷装置100は、その上下方向において中央部に位置する装置本体67と、装置本体67の上方に配設された、原稿画像を読取るための原稿読み取り部としての原稿読み取り手段であるイメージスキャナ61と、装置本体67の下部に配設され多数枚の印刷媒体である用紙としての印刷用紙Pを収納した給紙バンク47とを備えている。
孔版印刷装置100は装置本体67に、回転自在に支持された版胴68を中心とする印刷部69と、感熱孔版原紙からなる未使用のマスタ70をロール状としたマスタロール70aを交換可能に内蔵し、マスタロール70aから引き出されたマスタ70を穿孔し製版済みのマスタ70を版胴68に供給する製版部としての製版手段である製版装置71とを備えている。
孔版印刷装置100はまた装置本体67に、版胴68の外周に印刷用紙Pを版胴68に向けて押圧するための押圧体としてのプレスローラ20と、版胴68から印刷用紙Pを剥離する進退自在な剥離爪75と、印刷工程の前に版胴68に巻き付けられた使用済みのマスタ70を剥離する排版部としての排版手段である排版装置76とを備えている。
孔版印刷装置100はまた装置本体67に、印刷部69に向けて印刷用紙Pを供給する給紙部としての給紙手段である給紙装置52と、剥離爪75によって版胴68から剥離された印刷用紙Pを搬送する用紙搬送装置84と、用紙搬送装置84によって搬送されてきた印刷済みの印刷用紙Pを積載する排紙トレイとしての排紙台85と、主に版胴68の内部に位置するインキ供給装置10と、版胴駆動手段である駆動モータとしてのメインモータ11とを備えている。
孔版印刷装置100はまた装置本体67内に、プレスローラ20を版胴68に向けて変位させたり版胴68から離間した位置に位置保持したりする押圧体変位手段22と、図2に示すように、ユーザ等のオペレータすなわち操作者が孔版印刷装置100の操作を行うための操作パネル91と、孔版印刷装置100の動作等の全般を制御する制御手段としての制御部19とを備えている。
図1に示すように、版胴68は、その外周の一部に配設された、製版済みのマスタ70の端部を把持するクランプ装置73と、図示しない開口部と非開口部とを備えた図示しない多孔性支持円筒体と、この多孔性支持円筒体の外周を覆う樹脂あるいは金属網体である図示しない複数層のメッシュスクリーンと、多孔性支持円筒体の両端に固定された図示しないドラムフランジとを有し、図示しないギヤ列を介してメインモータ11に連結されている。
多孔性支持円筒体の開口部は、インキ供給装置10によって供給されるインキを透過させるための小さな孔が多数形成された部分であり、透過したインキが、メッシュスクリーンから滲み出るように構成されている。
各ドラムフランジは、インキ供給軸であるインキ供給パイプとしてのドラム軸25に回転自在に支持されている。ドラム軸25は、装置本体67の図示しない本体側板に支持されている。よって、版胴68は、ドラムフランジにてドラム軸25により回転自在に支持されている。
版胴68は、ドラムフランジに固定された、ドラム軸25を回転中心とするギヤ12と一体化されている。メインモータ11は、ステッピングモータであって、本体側板に固定されており、ギヤ12と噛み合うギヤ13を有している。よって版胴68はメインモータ11により回転駆動されるようになっている。版胴68は図1において時計回り方向に回転駆動される。
クランプ装置73は、版胴68の母線の1つに沿って多孔性支持円筒体のメッシュスクリーン以外の非開口部に配設された、磁性体で構成されたステージ14と、ステージ14に対して開閉する、マグネット等が貼着された、ステージ14との間でマスタ70の先端を挟持するクランパ42とを有している。
クランプ装置73はまた、ステージ14と平行に、図1における紙面垂直方向に配設され、クランパ42の回転中心をなす、本体側板に回転自在に支持されたクランパ軸43と、クランパ42を、所定位置において、ステージ14に対して開閉させる、図示しない開閉装置とを有している。
インキ供給装置10は、版胴68の内周面に対向して配設され版胴68にインキ15を供給するインキローラ16と、インキローラ16に対向しインキローラ16に僅かに隙間を設けて配設されインキローラ16との間で楔状空間を形成しこの楔状空間にインキ溜り17を形成する第2のローラとしてのドクタローラ18と、インキ溜り17にインキ15を滴下して供給するドラム軸25と、版胴68内部に対向配設されインキローラ16及びドクタローラ18をその間に回転自在に支持した一対の図示しないインキローラ側板とを有している。
インキ供給装置10はまた、図示を省略するが、ドラム軸25の一端に接続された、版胴68の外部に位置するインキパックと、インキパック内のインキをドラム軸25に向けて供給する、版胴68の外部に位置するインキポンプと、インキ溜り17のインキ量を検知するインキセンサと、メインモータ11の駆動力をインキローラ16及びドクタローラ18に伝達し、インキローラ16及びドクタローラ18を版胴68と同期して版胴68と同じ方向に回転駆動する、ギヤ、ベルト等によって構成された駆動力伝達機構とを有している。
ドラム軸25は、その軸方向にインキ滴下孔である供給穴としての複数の孔25aが形成されており、インキ供給パイプの機能を有している。ドラム軸25は、インキローラ側板を、その両端部に固設されている。
インキローラ16は、その回転中心をなすインキローラ軸21を有しており、インキローラ軸21はその両端部をインキローラ側板に回転自在に支持されている。ドクタローラ18もインキローラ16と同様にしてインキローラ側板に回転自在に支持されている。
よって、インキローラ16とドクタローラ18とが回転することでインキ溜り17のインキ15を混練して伸ばし、インキ溜り17のインキ15が、インキローラ16とドクタローラ18との間からインキローラ16の外表面を経て、版胴68の内周面に供給されるようになっている。
版胴68の内周面に供給されたインキ15は、多孔性支持円筒体、複数層のメッシュスクリーンを介して版胴68の外周面に滲み出る。
インキ15が消費されインキ溜り17のインキ量がインキセンサによって低減したことが検知されると、インキパック内のインキがインキポンプにより吸引され、ドラム軸25に形成された複数の孔から、インキ溜り17に供給される。
プレスローラ20は、版胴68の下方に位置している。プレスローラ20は、芯金と、円筒形状に成形され芯金の周囲に装着された弾性体としてのニトリルゴムまたはクロロプレンゴムとを有している。
プレスローラ20は、押圧体変位手段22により所定のタイミングで版胴68に向けて変位し、版胴68との対向部であるニップNにおいて、印刷用紙Pを版胴68に向けて押圧することで版胴68に巻装されたマスタ70に押し付け、マスタ70から滲み出てくるインキを印刷用紙Pに付着させて印刷を行うものである。
マスタ70は、厚みがおよそ1〜3μmの熱可塑性樹脂フィルムに、多孔質支持体の支持シートである和紙繊維、合成繊維又は和紙繊維と合成繊維を混抄したものを張り合わせたラミネート構造をなしている。
マスタロール70aは、巻き芯であるロール芯37のみを図示する図示しないホルダ手段により、ロール芯37を中心に回転可能に支持されている。
製版装置71は、マスタロール70aからマスタ70を引き出すプラテンローラ77と、プラテンローラ77に対向配置された製版ヘッドとしてのサーマルヘッド78と、製版済みのマスタ70を所定長さに切断するカッタ80と、サーマルヘッド78によって穿孔され作成された製版済みのマスタ70を版胴68に向けて搬送するローラ対79と、製版済みのマスタ70を版胴68に向けて案内するガイド板74とを有している。
製版装置71はまた、図示しないが、プラテンローラ77を図1において時計回り方向に回転駆動する図示しないステッピングモータと、プラテンローラ77をその間に回転自在に支持した一対の製版部側板と、サーマルヘッド78をプラテンローラ77に向けて付勢しプラテンローラ77に接離可能に圧接させているスプリングとを有している。
サーマルヘッド78は、無数の発熱素子を有している。マスタ70の熱可塑性樹脂フィルムがサーマルヘッド78側に位置している。ローラ対79は製版部側板間に、互いに圧接した状態で回転自在に支持されている。
ローラ対79によるマスタ70の搬送速度は、プラテンローラ77によるマスタ70の搬送速度より速く設定されており、マスタ70との間で滑りを生じながら、マスタ70に所定の張力を付与するようになっている。カッタ80は、本形態においてはギロチンタイプの上下刃を備えたものであるが、その他回転刃移動タイプのロータリータイプ等であっても良い。ガイド板74は、製版部側板間に固設されている。
サーマルヘッド78は、イメージスキャナ61にて読み取った原稿に基づく画像データその他パーソナルコンピュータ等の外部装置から入力された画像データに基づいて発熱素子が発熱しマスタ70の穿孔を行う。
排版装置76は、版胴68からマスタ70を剥ぎ取って搬送するマスタ剥離装置53と、マスタ剥離装置53によって版胴68から剥ぎ取られ搬送されてきた使用済みのマスタ70を収納する排版ボックス54とを有している。
用紙搬送装置84は、駆動ローラ55及び従動ローラ56と、駆動ローラ55および従動ローラ56に巻き掛けられた排紙ベルトとしての搬送ベルト58と、搬送ベルト58に印刷用紙Pを吸着させるための吸着ファン57とを有している。
排紙台85は、印刷部69で印刷が行われた印刷用紙Pが排出され、この印刷用紙Pを積層保持するものである。
操作パネル91は、孔版印刷装置100による印刷に際して必要な操作を行うための操作キー26と、孔版印刷装置100の状態などを操作者に報知するための表示を行う表示部96とを備えている。
表示部96は、タッチパネル式の液晶表示パネルであって、孔版印刷装置100の状態などを操作者に報知するための表示を行うようになっているとともに、その他、操作キー26のように、孔版印刷装置100に対する所定の操作を行うことができるようになっている。
操作キー26は、製版装置71における製版を開始させる製版開始命令信号を入力する製版スタートキー92と、印刷枚数等の数字を入力するテンキー93と、印刷速度を設定する印刷速度設定手段としての印刷速度設定キー94と、プレスローラ20が印刷用紙Pを版胴68に向けて押圧する押圧力すなわち印圧を調整するための押圧力入力手段としての押圧力入力キー95とを含んでいる。
印刷速度設定キー94は、印刷装置100の印刷速度を、1速から5速までの5段階の何れかで設定できるようになっている。1速ないし5速はそれぞれ、図3又は図4に示すように、版胴68の回転速度において60rpm、75rpm、90rpm、105rpm、120rpmに対応している。
印刷速度設定キー94による印刷速度の設定は、製版開始前のみならず、製版開始以降、印刷終了前までのいつでも行えるようになっている。図3は、製版開始前に5速に設定した場合を示しており、図4は、製版開始前に1速に設定し製版開始後の時間T1において5速に変速した場合を示している。
これらの図から明らかなように、孔版印刷装置100は、版胴68の回転速度が設定された印刷速度に対応する速度となるまで、版胴68の回転速度を漸次上昇又は低下させるスローアップ方式を採用している。これにより、版胴69の変速時にかかる負荷を低減し装置の長寿命化を図っている。
給紙装置52は、昇降自在に設けられた印刷用紙Pを積載する給紙台81と、給紙台81の上方に配設された給紙ローラ82と、給紙台81において図1の紙面左右方向及び垂直方向に複数配設され給紙第81上の印刷用紙Pの有無およびサイズを検知する用紙センサ88とを有している。
給紙装置52はまた、版胴68の回転運動に同期して180rpmで駆動され、給紙ローラ82により繰り出された印刷用紙Pを印刷部69に給送するレジストローラ対83と、給紙ローラ82により繰り出された印刷用紙Pをレジストローラ対83に案内するとともに、レジストローラ対83から印刷部69に向けて給送された印刷用紙Pを版胴68とプレスローラ20とのニップNに案内するガイド板40、41と、印刷用紙Pの先端がニップNの近傍に至ったことを検知する図示しない用紙検出装置とを有している。
給紙ローラ82は、給紙台81上に積載された印刷用紙Pのうち最上位の印刷用紙Pを繰り出すものであって、定位置において回転されるようになっている。給紙台81は、最上位の印刷用紙Pが給紙ローラ82に当接するよう、印刷用紙Pの枚数、厚さに応じて上昇、下降が制御される。レジストローラ対83は、マスタ70の画像領域がニップNに進入する所定のタイミングで印刷用紙PをニップNに給送する。
給紙バンク47は、給紙装置82における給紙台81、給紙ローラ82、用紙センサ88にそれぞれ相当する給紙台50、給紙ローラ51、用紙センサ89を有する給紙手段としての給紙装置48と、給紙装置82における給紙台81、給紙ローラ82、用紙センサ88にそれぞれ相当する給紙台86、給紙ローラ87、用紙センサ90を有する給紙手段としての給紙装置49と、給紙装置48、49から繰り出された印刷用紙Pをレジストローラ対83に給送する搬送ローラ34とを有している。
給紙バンク47における給紙ローラ82、87の構成は給紙装置52における給紙ローラ82の構成と同様であるが、給紙ローラ82の回転速度が180rpmであって高速給紙を行うのに対し、給紙ローラ82、87の回転速度は120rpmとされている。これは、給紙バンク47からレジストローラ対83に至る給紙の経路を直線状とすることができないという設計上の理由から、給紙バンク47による給紙速度が制限されるためである。よって、給紙バンク47による給紙速度は、給紙装置52による給紙速度よりも遅くなっている。
給紙台50の大きさは給紙台81の大きさより小さく、給紙台86の大きさは給紙台81の大きさと同じである。また、本形態においては、給紙台86に載置されている印刷用紙Pの大きさ及び向きは給紙台81に載置されている印刷用紙Pのそれと同じであるとする。
制御部19は、CPU97と、孔版印刷装置100の動作プログラム及びこの動作プログラムの動作に必要な各種データを記憶した第1の記憶手段としてのROM98と、イメージスキャナ61にて読み取った画像データなど孔版印刷装置100の動作に必要なデータを記憶する第2の記憶手段としてのRAM99等を備えた構成となっている。
制御部19は、印刷速度設定キー94によって設定された印刷速度に応じてメインモータ11を駆動し、版胴68を60rpm、75rpm、90rpm、105rpm、120rpmのいずれかの回転速度で回転駆動する。ここに、制御部19は、版胴駆動速度制御手段として機能する。
孔版印刷装置100はスローアップ方式を採用しているため、制御部19は、設定された印刷速度になるまで、版胴68の回転速度を漸次上昇又は低下させるようになっている。なお、制御部19は、変速の際には、図3、図4に示されているように、各回転速度において版胴68の回転を少なくとも決められた一定時間行い、版胴68の回転を安定させてから、次の回転速度に変速するようになっている。
制御部19は、用紙センサ88、89、90からの信号を受信し、給紙台81、50、86上に印刷用紙Pが載置されているか否か、及び印刷用紙Pが載置されている場合にはその印刷用紙Pの大きさ、向きがどのような大きさ、向きであるかを監視している。
そして、印刷中において、給紙を行っていた給紙台上に印刷用紙Pがなくなった場合には、他の給紙台上に大きさ及び向きが同じ印刷用紙Pが積載されているかどうかを判断し、積載されている給紙台があるときにはその給紙台から給紙を行うようになっている。ここに、制御部19は、給紙の切り換えを行う給紙切換制御手段として機能する。大きさ、向きに関して同じ条件の印刷用紙Pがどの給紙台にも積載されていないと判断したときには、その旨を表示部96に表示して印刷を中止する。
これにより、印刷装置100は、複数の印刷装置52、48、49のうちの1つから給紙を行っているときに当該給紙装置の印刷媒体Pがなくなったときは他の給紙装置から給紙を行う給紙手段切換動作が可能となっている。
イメージスキャナ61は、コンタクトガラス62上にセットされた原稿を照明するためのランプ63を備えたキャリッジ60、その他、複数のミラー64、結像レンズ65及び1次元アレイ状のCCD66等により構成されている。
このような孔版印刷装置100全体の一連の基本的な印刷動作について説明する。操作者が、イメージスキャナ61に原稿をセットし、製版スタートキー92を押下すること、その他、外部装置にて所定の操作を行うこと等により、製版開始命令信号が発せられると、イメージスキャナ61で原稿の読み取りが開始されるとともに、メインモータ11によって版胴68が図1における時計方向に回転駆動され、この過程で図示しない使用済みのマスタが排版装置76によって版胴68から剥離され、廃棄される。
版胴68はさらに回転駆動され、その後クランプ装置73が図1における略右端位置を占めたところで停止する。版胴68が停止すると開閉装置によりクランパ42が解放され、給版待機状態となる。
一方イメージスキャナ61で読み取った画像情報に応じて製版装置71にてマスタ70への製版が行われる。なお、マスタ70の製版は、外部装置から入力された画像データに基づいて行うこともある。
マスタ70の製版は、プラテンローラ77及びローラ対79が回転しマスタ70を副走査方向に1ライン分搬送する度に、画像情報に応じてサーマルヘッド78の特定の抵抗発熱素子に電圧がパルス状に印加され、マスタ70を構成する熱可塑性樹脂フィルムを過熱穿孔し、主走査方向へのドット形成による製版を行うことによって実行される。
このようにして製版された製版済みのマスタ70は、ローラ対79により版胴68に向けて送り出され、ガイド板74に案内されて、その先端がステージ14とクランパ42との間に進入する。ステッピングモータのステップ数により、マスタ70の先端がステージ14に届いたことが判断されると、開閉装置によりクランパ42が閉じられて、マスタ70の先端がクランプ装置73によって挟持される。
クランパ42を閉じると版胴68の回転駆動を再開する。版胴68の回転速度はマスタ70の搬送速度と同速である。版胴68の回転により、製版済みのマスタ70が版胴68に備えられた多孔性支持円筒体の開口部を覆うようにして版胴68の外周面に巻き付けられていく。
ステッピングモータのステップ数により製版が終了したと判断されると、カッタ80が作動してマスタ70を切断し、プラテンローラ78及びローラ対79の回転駆動が停止され、切断されたマスタ70は版胴68の回転に伴って版胴68に引き出され、版胴68への巻着が完了する。
この後に印刷処理が実行される。給紙ローラ82、51、87の何れかが回転し給紙台81、50、86の何れかの最上位の印刷用紙Pが給紙され、印刷用紙Pの先端が停止状態のレジストローラ対83のニップ部に当接してその先端縁が揃えられる。
版胴68の回転に同期させてレジストローラ対83を駆動し、印刷用紙Pの先端がニップNの近傍に至ったことが用紙検出装置によって検知されたことを条件として、押圧体変位手段22によりプレスローラ20が上方に変位され、このプレスローラ20で版胴68上のマスタ70に印刷用紙Pを連続的に押し付けることにより、版胴68内のインキがマスタ70の穿孔部分から滲み出し、版胴68に巻着されたマスタ70が版胴68に密着するとともに印刷用紙Pに転写され、印刷が行われる。
印刷後の印刷用紙Pは、剥離爪75により版胴68から剥離され、版胴68の回転にともなって用紙搬送装置84に案内され、用紙搬送装置84より排紙台85に排紙され、積載される。
その後、テンキー93等によって設定された印刷枚数の印刷が終了するまで、印刷用紙Pが給紙され、プレスローラ20が上方に変位したときに給紙された印刷用紙Pがマスタ70に押し付けられて印刷が行われる。
このような孔版印刷装置100における押圧体変位手段22の構成及び動作について詳述する。なお、以下参照する図5、図6においては、マスタ70の図示を省略している。またプレスローラ20の各端部に配設された一対の部材については、適宜その一方のみを図示する。
図5又は図6に示すように、押圧体変位手段22は、プレスローラ20を版胴68に接離する接離手段としての接離装置23と、プレスローラ20を版胴68から離間した位置に位置決めする押圧***置決め手段としての位置決め装置24とを有している。
接離装置23は、版胴68と一体のカム27と、プレスローラ20の両端に突設されプレスローラ20の回転中心となる支軸30と、L字状をなしその一端側で支軸30の両端を回転自在に支持することでプレスローラ20を回転自在に支持した押圧体支持部材としての一対のローラアーム31とを有している。
接離装置23はまた、各ローラアーム31の一端側に回転自在に支持されプレスローラ20と一体的に変位する、カム27に接離する係合体としての円盤状の一対のカムフォロア32と、装置本体67の図示しない本体側板に固定され各ローラアーム31の屈曲部を回動自在に支持した支軸33と、各ローラアーム31の他端側にその一端を固定された引っ張りバネ35と、引っ張りバネ35の他端を支持しプレスローラ20が印刷用紙Pを版胴68に向けて押圧する押圧力を調整するための押圧力調整手段としての押圧力調整装置101とを有している。
カムフォロア32は、各ローラアーム31に回転自在に支持され支軸30を中心にプレスローラ20と一体で回転する。カムフォロア32はプレスローラ20よりも回転半径において小径となっている。カムフォロア32はプラスチック等によって形成される。
カム27は、版胴68の全周面に対応して配設されている。カム27は、版胴68の周方向におけるクランプ装置73の配設位置を含むように同周方向におけるクランプ装置73の配設幅より大きな幅を有するとともに版胴68の外周面からのクランプ装置73の高さよりも高く形成された大径部28と、カム27の大部分を構成しd1より高さの低い小径部29と、大径部28と小径部29とを滑らかに接続する傾斜部27aとを有している。大径部28及び傾斜部27aは版胴68の非開口部に対応して配設されており、小径部29は版胴68の開口部に対応して配設されている。
各引っ張りバネ35は、各ローラアーム31を、支軸33を中心に図5における時計方向に付勢している。すなわち、各引っ張りバネ35は、プレスローラ20を、版胴68に向けて付勢している。
位置決め装置24は、プレスローラ20が版胴68から離間した位置を占めるとともにカムフォロア32がカム27に当接し得る図5に示す位置を占める状態において、プレスローラ20を係止するための係止手段36を有している。
係止手段36は、各ローラアーム31の側面の、支軸30と支軸33との中間位置において突設される態様で植設された一対のピン39と、鉤形状をなし一端側で各ピン39を係止し得る一対の係止レバー44と、装置本体67の図示しない本体側板に固定され各係止レバー44の他端部を回転自在に支持した支軸45と、装置本体67の図示しない本体側板に固定され各係止レバー44の中間部にそのプランジャ46aの先端が固定された一対のソレノイド46とを有している。
プレスローラ20は、非印刷時には、係止手段36によって係止されるようになっている。プレスローラ20が係止手段36によって係止されているとき、カムフォロア32は、版胴68の回転に伴ってカム27の大径部28に当接するようになっている。
ソレノイド46には制御部19によって通電制御が行われる。ソレノイド46への通電時には、係止レバー44が支軸45を中心に時計方向に回動する向きの力すなわちピン39の係止を解除する向きの力が働く。
押圧力調整装置101は、引っ張りバネ35の他端を固定されたラックギア38と、ラックギア38に噛合したピニオンギア59と、ピニオンギア59を回転駆動するステッピングモータである押圧力調整モータ72と、ラックギア38を引っ張りバネ35の張設方向に略一致する図5における左右方向にのみ移動可能としたガイド86と、押圧力調整モータ72の非作動時にラックギア38が引っ張りバネ35の付勢力によってローラアーム31側に移動することを禁止する図示しないワンウェイクラッチとを有している。
押圧力調整モータ72は制御部19の通電制御によって、正逆回転する。押圧力調整モータ72が作動しピニオンギア59が正逆回転すると、ピニオンギア59が噛合したラックギア38が図中左右方向に駆動される。ラックギア38が図中左方に移動したときには引っ張りバネ35の付勢力に抗して引っ張りバネ35が引き伸ばされプレスローラ20が印刷用紙Pを版胴68に向けて押圧する印圧が高くなり、ラックギア38が図中右方に移動したときには引っ張りバネ35がその付勢力で縮み印圧が低くなる。
押圧力調整モータ72への通電は、図5に示した、係止手段36によってプレスローラ20が係止された状態では行われず、図6に示した、係止手段36による係止が解除されプレスローラ20が版胴68側に変位した状態においてのみ行われる。
このような構成の押圧体変位手段22では、図5に示すように、引っ張りバネ35の付勢力により係止レバー44がピン39を係止した状態であって、カムフォロア32が小径部29に対向する状態では、プレスローラ20は版胴68から離間し、またカムフォロア32はカム27の小径部29から離間している。このときソレノイド46には通電が行われていない。
この状態においてプレスローラ20、ローラアーム31、係止レバー44はホームポジションを占めている。孔版印刷装置100の電源オフ時、製版開始前等においてはこの状態が維持される。
かかる状態から、版胴68が時計方向に回転し、カムフォロア32が大径部28に対向する状態となるときは、カムフォロア32が傾斜部27aを経て大径部28に乗り上げる。この乗り上げの際には引っ張りバネ35の付勢力に抗して、ローラアーム31が支軸33を中心に反時計方向に回転し、プレスローラ20が版胴68からさらに離間する。
かかる状態において、制御部19は、レジストローラ対83から印刷用紙PがニップNに搬送されてくることを条件として、すなわち印刷が行われることを条件として、ソレノイド46に通電し、係止レバー44を支軸45を中心に時計方向に揺動させる。この揺動は、係止レバー44とピン39との間に間隙が形成されることにより確実に行われ、係止レバー44からのピン39の解放が確実に行われる。
係止レバー44がピン39を解放した状態において、カムフォロア32が大径部28に乗り上げているときには、プレスローラ20は版胴68から離間しているが、図6に示すように、カムフォロア32が小径部29に対向しているときには、引っ張りバネ35の付勢力により、ローラアーム31が支軸33を中心に同図における時計方向に回転することでプレスローラ20が版胴68に当接する。
ソレノイド46への通電は、印刷動作の間、継続される。よって、プレスローラ20は、印刷用紙PがニップNを通過しているときには引っ張りバネ35の付勢力により版胴68に向けて押圧され、版胴68に巻装されているマスタ70に印刷用紙Pを押圧し、印刷用紙Pに印刷画像が形成されるとともに、クランプ装置73がニップNに進入・通過するときにはカムフォロア32が大径部28に乗り上げプレスローラ20が引っ張りバネ35の付勢力に抗して版胴68から離間し、プレスローラ20がクランプ装置73に衝突することが防止される。
印刷が終了したときには、カムフォロア32が大径部28に乗り上げている期間内に、ソレノイド46への通電を遮断することで、係止レバー44によってピン39を係止し、プレスローラ20を位置決めする。
ここで、印刷装置100は、印刷速度設定キー94により、印刷速度を、1速から5速までの5段階の複数の速度に設定可能となっているが、かりに、印圧が一定であるとすると、印刷画像が薄くなったり、濃くなったりする。
これは、印刷速度が版胴68の回転速度に依存するため、設定された印刷速度に応じて、上述のように、版胴68の回転速度が60rpm、75rpm、90rpm、105rpm、120rpmのいずれかとされるが、版胴68の回転速度が変化すると、プレスローラ20によって印刷用紙Pをマスタ70に押圧する時間が変化するため、回転速度が速く押圧の時間が短いと、インキがマスタ70から印刷用紙Pに転移する時間が短くなって印刷画像の濃度が薄くなり、逆に、回転速度が遅く押圧の時間が長いと、インキがマスタ70から印刷用紙Pに転移する時間が長くなって印刷画像の濃度が濃くなるものである。
そこで、印刷装置100では、変化する印刷速度によらず一定の濃度の印刷画像を得るために、図3、図4に示すように、版胴68の回転速度に応じて、すなわち印刷速度に応じて、印圧を調整するようになっている。
具体的には、制御部19は、印圧が設定された印刷速度に応じた圧力となるように、押圧力調整モータ72を駆動する。そのためROM98には、1速から5速の各印刷速度に応じた最適な印圧が記憶されている。
図7に示すように、同図における網掛けで示した、印刷濃度の適正範囲を得るには、版胴68の回転速度が大きいほど印圧を高くし、版胴68の回転速度が小さいほど印刷を低くする必要があり、版胴68の回転速度が大きいにもかかわらず印圧が低いと薄い印刷画像となってしまい、版胴68の回転速度が小さいにもかかわらず印圧が高いと濃い印刷画像となってしまう。
印刷装置100では、図3、図4に示されているように、版胴68の回転速度である60rpm、75rpm、90rpm、105rpm、120rpmのそれぞれに対応した印圧は、16kg、17kg、18kg、19kg、20kgとなっており、これらの関係は、図7における適正範囲を得る条件に合致したものとなっている。これらの印圧は、実験によって求めた、各回転速度に最適な値である。
印圧は、押圧力調整モータ72の駆動のステップ数に応じて変化するため、ROM98には、ピニオンギア59の位相におけるホームポジションから、押圧力調整モータ72を何ステップ駆動すればどの印刷速度に応じた最適な印圧が得られるかが記憶されている。RAM99には、ピニオンギア59の位相におけるホームポジションから、押圧力調整モータ72を何ステップ駆動したかが随時記憶される。
そして、変速を行う場合には、制御部19により、変速前後の回転速度に対応する各ステップ数の差分が求められ、その差分のステップだけ押圧力調整モータ72への通電が行われる。ここに、制御部19は、押圧力制御手段として機能する。
印刷装置100ではスローアップ方式を採用しているが、かりに、印刷速度の変更が設定された場合に、版胴68の回転速度が印刷速度に応じた速度に安定するまで印刷が中断されるとすると、印刷終了までの時間が長くなってしまう。
そこで、印刷装置100では、図4に示した例のように、印刷速度設定キー94により印刷速度の変更が設定された場合には、制御部19の制御によって版胴68の回転速度が設定された印刷速度に漸次変化されるとともに、制御部19は、一定の濃度の印刷画像を得るように、押圧力調整装置101による印圧を、漸次変化する版胴68の回転速度に応じて変化させ、印圧、回転速度の変化中にも印刷を中断することなく版胴68の位相に応じ随時給紙して印刷を行うようになっている。
図4に示した例では、印刷速度設定キー94により印刷速度を増加するよう1速から5速に変更した場合を示しており、版胴68の回転速度が5速まで漸次増加するときすなわち加速するときに印圧が漸次大きくされる様子を示しているが、印刷速度を減速するように変更された場合には同様に、漸次小さくされる。
制御部19は、一枚の印刷用紙Pに対する印刷中にも、版胴68の回転速度の増減速を行うようになっており、このような一枚の印刷用紙Pに対する印刷中に印刷速度の変化が行われたときにも、一定の濃度の印刷画像を得るように、その印刷用紙Pに対する印刷中に、印圧を変化させるようになっている。
一枚の印刷用紙Pに対する印刷中に版胴68の回転速度の増減速が生じる場合としては、一枚の印刷用紙Pに対する印刷中に印刷速度設定キー94による印刷速度の変更の設定が行われることで版胴68の増減速が生じる場合と、或る印刷用紙Pに対する印刷開始前に印刷速度設定キー94による印刷速度の変更の設定が行われ、一枚の印刷用紙Pに対する印刷中に版胴68の増減速が生じる場合とが有る。
これらの場合の例を図8に示す。同図において、符号ΔTは、一枚の印刷用紙Pに対する印刷開始から印刷終了までの印刷所要時間を示している。なお図8に示した時間T3、T4は図3、図4に示したそれと一致している。
前者の場合の例は時間TAから開始された印刷であり、一枚の印刷用紙Pに対する印刷中である時間T3に印刷速度設定キー94によって3速から5速への印刷速度の変更の設定が行われ、時間T3から時間TCまで版胴68の回転速度が増加しているものである。
後者の場合の例は或る一枚の印刷用紙Pに対する印刷開始の時間TBより前に印刷速度設定キー94によって1速ないし3速のいずれかから5速への印刷速度の変更の設定が行われ、版胴68の回転速度が増加している時間T3から時間TCまでの間の時間TBに印刷が開始されたことでその一枚の印刷用紙Pに対する印刷中の時間TBから時間TCまで版胴68の回転速度が増加しているものである。
同図に示されているように、版胴68の変速が行われても、版胴68の回転速度の変化の立ち上がりにはいわゆるなまりが生じ、例えば3速から4速への変速の時には、90rpmから105rpmまで変化するのに時間T3から時間T4までのタイムラグが生じる。なお立下りについては図示していないが、同様になまりが生じる。
そのため、押圧力調整装置101の応答性が良く、すなわち印圧の変化についての応答性が良く、同図において太線で示されているように18kgから19kgまで変化するのにタイムラグが生じないとすれば、前者の場合には図9のような印刷濃度の変化が生じ、後者の場合には図10に示すような印刷濃度の変化が生じることとなる。
そこで、制御部19は、一枚の印刷用紙Pに対する印刷中に版胴68の回転速度の増減速が生じる場合には、版胴68の変速の応答性に応じて、印圧の変化を調整するようになっている。版胴68の変速の応答性は実験によって求められROM98に記憶されている。また印圧を変化させる程度すなわち押圧力調整モータ72の駆動の時間当たりのステップ数も、かかる応答性に基づいて求められROM98に記憶されている。
印刷装置100においては、上述のように、給紙バンク47による給紙速度が、給紙装置52による給紙速度よりも遅くなっている。このような構成では、給紙バンク47による給紙が行われている場合と、給紙装置52による給紙が行われている場合とで、印刷速度を変化させる必要がある。
よって、印刷装置100においては、給紙バンク47による給紙が行われている場合の印刷速度を、給紙装置52による給紙が行われている場合の印刷速度よりも低くなるように、制御部19によって、給紙バンク47による給紙が行われている場合の版胴68の回転速度を、給紙装置52による給紙が行われている場合の版胴68の回転速度より遅くしている。ここに、制御部19は、給紙速度に応じて印刷速度を調整する給紙速度対応印刷速度制御手段として機能する。
このような構成において、給紙装置52から印刷用紙Pを供給して印刷を行っていた場合に、給紙台88上の印刷用紙Pが全部使用されたとする。そうすると、制御部19は、上述のように、給紙手段切換動作を行い、給紙装置49からの給紙を行うこととなる。給紙装置49から給紙を行っている場合の印刷速度は、給紙装置52から給紙を行っている場合の印刷速度よりも遅いが、かかる給紙手段切換動作を行った場合にも印圧が一定であるとすると、給紙手段切換動作後の印刷画像の濃度が、給紙手段切換動作前よりも濃くなってしまう。
そこで、制御部19は、給紙手段切換動作を行った場合、給紙手段切換動作の前後で給紙速度が変更されるために印刷速度を変更しなければならないか否かを判断する印刷速度変更判断手段として機能し、変更しなければならないと判断した場合には、印刷速度の変更に応じて印圧の変更を行うようになっている。ここに、制御部19は、給紙速度に応じて印圧を調整する給紙速度対応押圧力制御手段として機能する。これにより、給紙手段切換動作が行われたときに、給紙を開始した給紙装置の給紙速度に応じて印刷速度が設定され、印圧が、一定の濃度の印刷画像を得るように変速後の印刷速度に応じて設定されるようになっている。
なお、給紙手段切換動作が、給紙装置48から給紙装置49への変更において行われた場合や、給紙装置48又は給紙装置49から給紙装置52への変更において行われた場合であって給紙ローラ82の回転を120rpmにおいて行うことが可能である場合等、給紙手段切換動作の前後で給紙速度が変化しない場合には、印刷速度も変更されない。
このような動作を、給紙装置52によって給紙を行っている場合について、図11を参照しながら説明すると次の通りである。
制御部19は、給紙装置52により給紙ローラ82の180rpmの回転による給紙を行うにあたっては、これに応じた印圧を設定しつつ(S1)、給紙を行って印刷し(S2)、一枚の印刷ごとに、設定枚数の印刷が行われたか否かを判断する(S3)。設定枚数の印刷が行われた場合には印刷を終了するが、設定枚数に達していない場合には、給紙して印刷を行う過程において給紙装置52に印刷用紙Pがなくなるまで印刷用紙Pが給紙装置52に積載されているか否かを監視し(S4)、給紙装置52に印刷用紙Pがなくなった場合には、他の給紙装置48、49に大きさ及び向きが同じ条件の印刷用紙Pがあるか否かを判断し(S5)、ない場合には表示部96に印刷用紙Pが給紙装置52になくなった旨、大きさ及び向きが同じになるように印刷用紙Pを給紙装置52に補給すべき旨等の所定の表示を行って(S6)、印刷を停止する(S7)。
ステップS4において大きさ及び向きが同じ条件の印刷用紙Pが他の給紙装置49にあると判断すると、給紙装置49の給紙速度に応じて印刷速度を変更しなければならないか否かを判断し(S8)、変更しなければならないと判断した場合には版胴68の回転速度を給紙装置49の給紙速度に応じて変更するとともに(S9)、印圧を変更後の印刷速度に合わせ(S10)、給紙装置49から給紙を行って印刷を続行することとし(S11)、ステップS2に戻る。ステップS8において印刷速度を変更しなくて良いと判断した場合には、単に給紙装置を切り換えて印刷を続行することとする(S11)。
このように、印刷装置100では、制御部19による制御によって、適正な濃度の印刷画像を得るために印刷速度に応じて実験で得られた印圧で印刷を行うようになっているが、制御部19により設定された印圧が、操作者のニーズに合致しない場合がある。
例えば、操作者が、「画像が薄くなっても良いからインキを節約したい」、「濃い目の画像が好みである」、「印圧を増すことで騒音が大きくなっても良いから濃い目の美しい画像を得たい」というように、制御部19による制御のみによって自動で得られる濃度の印刷画像が操作者のニーズに合致しない場合がある。
そのため、印刷装置100は操作パネル91に押圧力入力キー95を備えており、制御部19により自動的に設定された印圧を変更することが可能となっている。これにより、操作者の細かい希望を満たすことができるようになっている。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
たとえば、印刷装置は、版胴を複数備えているものであっても良く、また例えば複数の版胴を用いてカラー印刷を行うものであっても良い。印刷装置は、印刷用紙を反転させる機構を備えることなどにより両面印刷を行うものであっても良い。押圧体はプレスローラでなく圧胴であっても良い。
押圧力調整手段の構成は、押圧体が印刷媒体を版胴に向けて押圧する押圧力を調整できるものであれば上述の構成に限らず、また上述の押圧力調整手段のように略無段階に押圧力を調整できるもののみならず、印刷の濃度を一定とみなせるように調整できる範囲で段階的に押圧力を調整するものであっても良い。
押圧力調整手段の駆動は、上述の形態では押圧体が版胴に向けて変位しているときにのみ行われることとしたが、この駆動は、必要に応じて押圧体が版胴から離間した位置に係止されているときに行っても良い。押圧体が版胴から離間した位置に係止されているときに押圧力調整手段の駆動を行った方が、速やかに印刷を行える場合や一定の濃度の画像を得ることができる場合には、制御手段はそのように制御を行う。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。