JP6115368B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ステアリング装置に関する。
車両のステアリング装置では、ステアリングホイールの切れ角(操舵角)の上限値が予め定められている。従来、モータから操舵機構に付与されるトルクを利用して操舵角の上限値を設定したステアリング装置がある(例えば特許文献1参照)。このステアリング装置では、操舵角の上限値を規定する閾値を操舵角閾値として、操舵角が操舵角閾値以上であるとき、モータから操舵機構に操舵反力を付与している。また操舵角と操舵角閾値との偏差が大きくなるほど、モータから操舵機構に付与される操舵反力を増加させている。これにより、操舵角が操舵角閾値以上になると、モータから操舵機構に付与される操舵反力が増大されることによりステアリングホイールの操作が規制される。そのため操舵角の上限値(ステアリングエンド)を仮想的に作ることができる。
特開2004−130971号公報
ところで、上記のようなステアリング装置では、車両のイグニッションスイッチがオフされている場合など、モータが駆動していない状況では、モータからステアリングシャフトに操舵反力を付与することができない。このような状況で運転者がステアリングホイールを操作すると、操舵角が操舵角閾値を大きく超える可能性がある。このような場合、運転者によるイグニッションスイッチのオン操作に伴いモータが駆動したときに、ステアリングホイールを仮想的なステアリングエンドまで戻す操舵反力がモータから操舵機構に付与されるため、ステアリングホイールが急速に切り戻されるおそれがある。これが運転者に違和感を与える要因となる。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転者の違和感を低減することができるステアリング装置を提供することにある。
上記課題を解決するステアリング装置は、車両の操舵機構にトルクを付与するモータと、前記モータの出力トルクをトルク指令値に追従させるべく前記モータの駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、操舵角の絶対値の上限値を規定する閾値を操舵角閾値とするとき、前記操舵角の絶対値が前記操舵角閾値以上であるときに、操舵反力を増大させるべく前記トルク指令値を第1補正値で補正するとともに、前記操舵角の絶対値が前記操舵角閾値以上であって、且つ、前記操舵角及び操舵角速度のそれぞれの正負の符号が異なるときに、前記操舵角速度の絶対値を、零よりも大きい制限値以下に制限すべく前記トルク指令値を第2補正値で補正する。
この構成によれば、運転者のステアリング操作により操舵角の絶対値が操舵角閾値付近に達すると、モータから操舵機構に付与される操舵反力が増大する。そのため運転者は、それ以上操舵角の絶対値が大きくなる方向にステアリング操作を行うことが難しくなる。したがって操舵角閾値近傍を仮想的なステアリングエンドとして設定することができる。また、何らかの理由により操舵角の絶対値が操舵角閾値を大きく超えた場合には、モータから操舵機構に付与される操舵反力によりステアリングホイールが操舵角閾値に向かって切り戻される際に、操舵角速度の絶対値が制限値以下に制限される。したがってステアリングホイールの急速な切り戻しを抑制することができるため、運転者の違和感を低減することができる。
そして上記ステアリング装置について、前記制御部は、前記操舵角と前記操舵角速度の上限値との関係、及び前記操舵角と前記操舵角速度の下限値との関係を示すマップを有し、前記マップに基づいて前記操舵角から前記上限値及び前記下限値を演算し、前記操舵角速度が前記下限値から前記上限値までの範囲に制限されるように前記第2補正値を設定するものであり、前記マップでは、前記操舵角の絶対値が前記操舵角閾値以上であって、且つ、前記操舵角及び前記操舵角速度のそれぞれの正負の符号が異なる領域で、前記上限値及び前記下限値が前記制限値に基づいて設定されていることが好ましい。
この構成によれば、第2補正値を容易に設定することができる。
このステアリング装置によれば、運転者の違和感を低減することができる。
電動パワーステアリング装置の一実施形態についてその概略構成を示すブロック図。 実施形態の電動パワーステアリング装置についてその制御装置の構成を示すブロック図。 実施形態の制御装置による基本電流指令値の演算に際して利用される操舵トルクと基本電流指令値との関係を示すマップ。 実施形態の制御装置による第1補正値の演算に際して利用される操舵角と第1補正値との関係を示すマップ。 実施形態の制御装置による第2補正値の演算処理についてその手順を示すフローチャート。 第2補正値の演算に際して利用される操舵角と操舵角速度上限値との関係、及び操舵角と操舵角速度下限値との関係を示すマップ。
以下、電動パワーステアリング装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、この電動パワーステアリング装置1は、運転者のステアリングホイール20の操作に基づき転舵輪4を転舵させる操舵機構2、及び運転者のステアリング操作を補助するアシスト機構3を備えている。
操舵機構2は、ステアリングホイール20の回転軸となるステアリングシャフト21、及びその下端部にラックアンドピニオン機構22を介して連結されたラックシャフト23を備えている。操舵機構2では、運転者のステアリングホイール20の操作に伴いステアリングシャフト21が回転すると、その回転運動がラックアンドピニオン機構22を介してラックシャフト23の軸方向の往復直線運動に変換される。このラックシャフト23の往復直線運動がその両端に連結されたタイロッド24を介して転舵輪4に伝達されることにより転舵輪4の転舵角が変化し、車両の進行方向が変更される。
アシスト機構3は、ステアリングシャフト21にアシストトルクを付与するモータ30を備えている。モータ30はブラシレスモータからなる。モータ30の回転が減速機構31を介してステアリングシャフト21に伝達されることでステアリングシャフト21にモータトルクが付与され、ステアリング操作が補助される。
この電動パワーステアリング装置1には、ステアリングホイール20の操作量や車両の状態量を検出する各種センサが設けられている。例えばステアリングシャフト21には、ステアリングホイール20の回転角(操舵角)θsを検出する舵角センサ6、及び運転者のステアリング操作に際してステアリングシャフト21に付与されるトルク(操舵トルク)Thを検出するトルクセンサ7が設けられている。なお本実施形態では、操舵角θsの正負の符号が、ステアリングホイール20の中立位置を基準として、ステアリングホイール20の右操舵方向を正とし、左操舵方向を負として規定されている。また、操舵トルクThの正負の符号は、ステアリングホイール20の右操舵方向の操舵トルクを正とし、左操舵方向の操舵トルクを負として規定されている。車両には、その走行速度Vを検出する車速センサ8が設けられている。モータ30には、その回転角θmを検出する回転角センサ9が設けられている。これらセンサ6〜9の出力は制御装置5に取り込まれる。制御装置5は各センサ6〜9の出力に基づいてモータ30の駆動を制御する制御部の一例である。
図2に示すように、制御装置5は、車載バッテリ等の電源(電源電圧「+Vb」)から供給される直流電力を三相(U相、V相、W相)の交流電力に変換するインバータ回路50、及びインバータ回路50をPWM(パルス幅変調)駆動するマイコン51を備えている。
インバータ回路50は、マイコン51からの制御信号(PWM駆動信号)に基づいて、電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換する。この三相交流電力は給電線WLを介してモータ30に供給される。給電線WLには、モータ30の各相電流値Iを検出する電流センサ52が設けられている。電流センサ52の出力はマイコン51に取り込まれる。なお図2では、便宜上、各相の給電線WL及び各相の電流センサ52をそれぞれ一つにまとめて図示している。
マイコン51には舵角センサ6、トルクセンサ7、車速センサ8、及び回転角センサ9のそれぞれの出力も取り込まれる。マイコン51は、各センサにより検出される操舵トルクTh、車速V、操舵角θs、モータ回転角θm、及び各相電流値Iに基づいて制御信号を生成する。そしてマイコン51は、この制御信号をインバータ回路50に出力することでインバータ回路50をPWM駆動し、モータ30の駆動を制御する。
次に、マイコン51によるモータ30の駆動制御について詳述する。
図中に示すように、マイコン51は、電流指令値Id*,Iq*を演算する電流指令値演算部53、及び電流指令値Id*,Iq*に基づいて制御信号を生成する制御信号生成部54を備えている。電流指令値Id*,Iq*は、モータ30に供給すべき電流の目標値であり、d/q座標系におけるd軸上の電流指令値及びq軸上の電流指令値をそれぞれ示す。このうち、q軸電流指令値Iq*は、モータ30の出力トルクの目標値であるトルク指令値に相当する。なおd軸電流指令値Id*は零に固定されている。
電流指令値演算部53は、q軸電流指令値Iq*の基礎成分である基本電流指令値Ias*を演算する基本電流指令値演算部55、基本電流指令値Ias*に対する第1補正値Ira*を演算する第1補正値演算部56、及び基本電流指令値Ias*に対する第2補正値Irb*を演算する第2補正値演算部57を有している。
基本電流指令値演算部55は、操舵トルクTh及び車速Vに基づいて基本電流指令値Ias*を演算する。基本電流指令値Ias*は、運転者のステアリング操作を補助するアシストトルクに対応するトルク指令値である。基本電流指令値演算部55は、例えば図3に示すようなマップを有しており、このマップに基づいて操舵トルクTh及び車速Vから基本電流指令値Ias*を演算する。すなわち基本電流指令値演算部55は、操舵トルクThの絶対値が大きくなるほど、また車速Vが遅くなるほど基本電流指令値Ias*の絶対値をより大きい値に設定する。図2に示すように、基本電流指令値演算部55は、演算した基本電流指令値Ias*を加算器58に出力する。
第1補正値演算部56は操舵角θsに基づいて第1補正値Ira*を演算する。第1補正値Ira*は、ステアリングシャフト21に操舵反力が付与されるように基本電流指令値Ias*を補正する補正成分である。第1補正値演算部56は、例えば図4に示すようなマップを有しており、このマップに基づいて操舵角θsから第1補正値Ira*を演算する。図4に示すマップでは、操舵角θsに対して第1操舵角閾値θth1(>0)、及び第2操舵角閾値θth2(>0)が設定されている。第1操舵角閾値θth1は、操舵角θsの絶対値の上限値を規定する閾値、換言すればステアリングホイール20のステアリングエンドを規定する閾値である。また第2操舵角閾値θth2は、第1操舵角閾値θth1よりも大きい値に設定されている。図4に示すマップでは、第1操舵角閾値θth1及び第2操舵角閾値θth2に基づいて操舵角θsと第1補正値Ira*との関係が以下の(a1)〜(a4)に示すように規定されている。
(a1)第1補正値Ira*の正負の符号は、操舵角θsの正負の符号と逆の符号に設定される。
(a2)操舵角θsの絶対値が「0≦|θs|<θth1」を満たす場合には、操舵角θsの絶対値が大きくなるほど、第1補正値Ira*の絶対値が漸増する。
(a3)操舵角θsの絶対値が「θth1≦|θs|<θth2」を満たす場合には、操舵角θsの絶対値が大きくなるほど、第1補正値Ira*の絶対値が急激に増加する。
(a4)操舵角θsの絶対値が「θth2≦|θs|」を満たす場合には、第1補正値Ira*の絶対値は一定値Ir1*(>0)に設定される。
そして図2に示すように、第1補正値演算部56は、演算した第1補正値Ira*を加算器58に出力する。
一方、電流指令値演算部53は、操舵角θsの単位時間当たりの変化量に基づいてステアリングホイール20の角速度(操舵角速度)ωsを演算する角速度演算部59を有している。角速度演算部59は、演算した操舵角速度ωsを第2補正値演算部57に出力する。
第2補正値演算部57は、操舵角θs及び操舵角速度ωsに基づいて第2補正値Irb*を演算する。第2補正値Irb*は、操舵角速度ωsが制限されるように基本電流指令値Ias*を補正する補正成分である。第2補正値演算部57は、例えば図5及び図6に示すように第2補正値Irb*を設定する。
図5に示すように、第2補正値演算部57は、まず、操舵角θsに基づいて操舵角速度上限値ωmax及び操舵角速度下限値ωminをマップ演算する(ステップS1)。第2補正値演算部57は、例えば図6に示すようなマップを有しており、このマップに基づいて操舵角θsから操舵角速度上限値ωmax及び操舵角速度下限値ωminを演算する。図6に示すマップでは、操舵角θsに対して、図4に示した第1操舵角閾値θth1に加え、第3操舵角閾値θth3(>0)が設定されている。第3操舵角閾値θth3は第1操舵角閾値θth1よりも小さい値に設定されている。図6に示すマップでは、第1操舵角閾値θth1及び第3操舵角閾値θth3に基づいて操舵角θsと操舵角速度上限値ωmaxとの関係が以下の(b1)〜(b4)に示すように設定されている。
(b1)操舵角θsの絶対値が「0≦|θs|≦θth3」を満たす場合には、操舵角速度上限値ωmaxは第1制限値ω1(>0)に設定される。
(b2)操舵角θsの絶対値が「θth3<|θs|<θth1」を満たす場合には、操舵角速度上限値ωmaxは、操舵角θsの絶対値が増加するほど、漸減する。
(b3)操舵角θsが「θth1≦θs」を満たす場合には、操舵角速度上限値ωmaxは「0」に設定される。
(b4)操舵角θsが「θs≦−θth1」を満たす場合には、操舵角速度上限値ωmaxは第2制限値ω2(>0)に設定される。なお第2制限値ω2は第1制限値ω1よりも小さい値に設定されている。
また図6に示すマップでは、第1操舵角閾値θth1及び第3操舵角閾値θth3に基づいて操舵角θsと操舵角速度下限値ωminとの関係が以下の(c1)〜(c4)に示すように設定されている。
(c1)操舵角θsの絶対値が「0≦|θs|≦θth3」を満たす場合には、操舵角速度下限値ωminは、第1制限値ω1に負の符号を付した制限値「−ω1」に設定される。
(c2)操舵角θsの絶対値が「θth3<|θs|<θth1」を満たす場合には、操舵角速度下限値ωminは、操舵角θsの絶対値が増加するほど、漸増する。
(c3)操舵角θsが「θth1≦θs」を満たす場合には、操舵角速度下限値ωminは、第2制限値ω2に負の符号を付した制限値「−ω2」に設定される。
(c4)操舵角θsが「θs≦−θth1」を満たす場合には、操舵角速度下限値ωminは「0」に設定される。
このように図6に示すマップでは、操舵角θsの絶対値が第1操舵角閾値θth1以上であって、且つ、操舵角θs及び操舵角速度ωsのそれぞれの正負の符号が異なる領域A1,A2で、操舵角速度上限値ωmax及び操舵角速度下限値ωminが第2制限値ω2に基づいて設定されている。
そして図5に示すように、第2補正値演算部57は、操舵角速度上限値ωmax及び操舵角速度下限値ωminをマップ演算した後(ステップS1)、操舵角速度ωsが操舵角速度上限値ωmaxよりも大きいか否かを判断する(ステップS2)。第2補正値演算部57は、操舵角速度ωsが操舵角速度上限値ωmaxよりも大きい場合(ステップS2:YES)、以下の式(1)に基づいて第2補正値Irb*を演算する(ステップS3)。但し、「K」は、「0」よりも大きい係数を示す。
Irb*=−K・(ωs−ωmax)・・・(1)
一方、第2補正値演算部57は、操舵角速度ωsが操舵角速度上限値ωmax以下の場合(ステップS2:NO)、操舵角速度ωsが操舵角速度下限値ωminよりも小さいか否かを判断する(ステップS4)。そして第2補正値演算部57は、操舵角速度ωsが操舵角速度下限値ωminよりも小さい場合(ステップS4:YES)、以下の式(2)に基づいて第2補正値Irb*を演算する(ステップS5)。
Irb*=−K・(ωs−ωmin)・・・(2)
また第2補正値演算部57は、操舵角速度ωsが操舵角速度下限値ωmin以上である場合(ステップS4:NO)、すなわち操舵角速度ωsが「ωmin≦ωs≦ωmax」を満たす場合、第2補正値Irb*を「0」に設定する(ステップS6)。
そして図2に示すように、第2補正値演算部57は、演算した第2補正値Irb*を加算器58に出力する。
加算器58は、基本電流指令値演算部55で演算された基本電流指令値Ias*に、第1補正値演算部56及び第2補正値演算部57でそれぞれ演算された第1補正値Ira*及び第2補正値Irb*を加算することによりq軸電流指令値Iq*を演算する。そして加算器58は、演算したq軸電流指令値Iq*を制御信号生成部54に出力する。
制御信号生成部54は、電流指令値Id*,Iq*、各相電流値I、及びモータ回転角θmに基づいてd/q座標系における電流フィードバック制御を実行することにより制御信号を生成する。詳しくは、制御信号生成部54は、モータ回転角θmに基づいて各相電流値Iをd/q座標上に写像することにより、d/q座標系におけるモータ30の実電流値であるd軸電流値及びq軸電流値を演算する。そして制御信号生成部54は、d軸電流値をd軸電流指令値Id*に追従させるべく、またq軸電流値をq軸電流指令値Iq*に追従させるべくそれぞれ電流フィードバック制御を行うことにより制御信号を生成する。この制御信号がインバータ回路50に出力されることによりモータ30に制御信号に応じた駆動電力が供給される。これによりモータ30の出力トルクが、q軸電流指令値Iq*に対応したトルク指令値に追従するようにモータ30の駆動が制御される。
次に、本実施形態の電動パワーステアリング装置1の作用について説明する。
例えば運転者がステアリングホイール20を右操舵方向に操作することにより、ステアリングホイール20に右操舵方向の操舵トルク、すなわち正の操舵トルクが付与されると、図3に示すように、制御装置5は基本電流指令値Ias*を正の値に設定する。そのためq軸電流指令値Iq*は正の値に設定される。これによりq軸電流指令値Iq*に応じた正のトルク、すなわち右操舵方向のアシストトルクがモータ30からステアリングシャフト21に付与され、運転者のステアリング操作が補助される。
そして操舵角θsが第1操舵角閾値θth1に達すると、図4に示すように、制御装置5は、第1補正値Ira*を負の方向に急激に大きくする。これによりq軸電流指令値Iq*が負の値となって、q軸電流指令値Iq*に応じた負のトルク、すなわち左操舵方向のトルクがモータ30からステアリングシャフト21に付与される。この左操舵方向のトルクが操舵反力となり、運転者は第1操舵角閾値θth1近傍でステアリングホイール20を右操舵方向に操作することが難しくなる。これにより第1操舵角閾値θth1近傍を仮想的なステアリングエンドとして設定することができる。
また、本実施形態では、図5に示すように、制御装置5は、操舵角速度ωsが操舵角速度上限値ωmaxを超えている場合、操舵角速度上限値ωmaxと実際の操舵角速度ωsとの偏差に基づいて第2補正値Irb*を演算し、この第2補正値Irb*をq軸電流指令値Iq*に含める。そのためq軸電流指令値Iq*に応じたトルクがモータ30からステアリングシャフト21に付与されると、操舵角速度ωsを操舵角速度上限値ωmaxに追従させるようなトルクがモータ30からステアリングシャフト21に付与される。同様に、操舵角速度ωsが操舵角速度下限値ωmin未満の場合にも、操舵角速度ωsを操舵角速度下限値ωminに追従させるようなトルクがモータ30からステアリングシャフト21に付与される。そのため操舵角速度ωsが操舵角速度下限値ωminから操舵角速度上限値ωmaxまでの範囲に制限されることになる。
一方、図6に示すように、運転者がステアリングホイール20を右操舵方向に操作することにより、操舵角θsが第1操舵角閾値θth1よりも前の第3操舵角閾値θth3に達すると、操舵角速度上限値ωmaxは、操舵角θsが増加するほど、漸減する。すなわち右操舵方向の操舵角速度ωsは、操舵角θsが第3操舵角閾値θth3に達して以降、徐々に減少し、操舵角θsが第1操舵角閾値θth1に達した時点で「0」に制限される。すなわち操舵角θsが仮想的なステアリングエンドに近づくほど操舵角速度ωsが徐々に遅くなる。そのため仮想的なステアリングエンド近傍で操舵機構2に加わる衝撃を緩和することができる。
ところで、車両のイグニッションスイッチがオフされている場合など、モータ30が駆動していない状況では、モータ30からステアリングシャフト21に操舵反力を付与することができない。そのため運転者がステアリングホイール20を操作すると、操舵角θsが第1操舵角閾値θth1を大きく超える可能性がある。このような場合、運転者によるイグニッションスイッチのオン操作に伴いモータ30が駆動したとき、図4に示すように第1補正値Ira*が一定値「−Ir1*」に設定されるため、ステアリングホイール20を仮想的なステアリングエンドまで自動的に戻す操舵反力がモータ30からステアリングシャフト21に付与される。その結果、ステアリングホイール20が急速に切り戻されるおそれがある。
また、例えば運転中に転舵輪4が縁石に乗り上げたような場合には、操舵機構2には転舵輪4からの逆入力トルクが付与される。この逆入力トルクがモータ30の操舵反力よりも大きい場合、ステアリングシャフト21がモータ30の操舵反力に抗して回転するため、操舵角θsが第1操舵角閾値θth1を大きく超える可能性がある。このような場合にも、操舵機構2に付与される逆入力トルクが除かれたときに、仮想的なステアリングエンドを実現するための操舵反力がモータ30からステアリングシャフト21に付与されるため、ステアリングホイール20が第1操舵角閾値θth1まで、すなわち仮想的なステアリングエンドまで急速に切り戻されるおそれがある。
そして、こうしたステアリングホイール20の急速な切り戻しは、運転者に違和感を与える要因となる。
この点、本実施形態では、図6に示すように、ステアリングホイール20が操舵角θs1まで操作された場合には、操舵角速度下限値ωminが制限値「−ω2」に設定される。そのためステアリングホイール20が操舵角θs1から第1操舵角閾値θth1に切り戻されるとき、操舵角速度ωsの絶対値が第2制限値ω2以下に制限される。そのためステアリングホイール20の急速な切り戻しを抑制することができる。
このように、本実施形態の電動パワーステアリング装置1では、何らかの理由により操舵角θsが第1操舵角閾値θth1を超えた場合でも、すなわち操舵角θsが仮想的なステアリングエンドを超えた場合でも、ステアリングホイール20の急速な切り戻しを抑制することができる。そのため運転者の違和感を低減することができる。
なお、運転者がステアリングホイール20を左操舵方向に操作した場合にも同様の効果が得られることは言うまでもない。
以上説明したように、本実施形態の電動パワーステアリング装置1によれば以下の効果が得られる。
(1)制御装置5では、操舵角θsの絶対値が第1操舵角閾値θth1以上であるとき、操舵反力を増大させるべく、q軸電流指令値Iq*を第1補正値Ira*で補正することとした。また制御装置5では、操舵角θsの絶対値が第1操舵角閾値θth1以上であって、且つ、操舵角θs及び操舵角速度ωsのそれぞれの正負の符号が異なるときに、操舵角速度ωsの絶対値が第2制限値ω2以下となるようにq軸電流指令値Iq*を第2補正値Irb*で補正することとした。これにより第1操舵角閾値θth1近傍を仮想的なステアリングエンドとして設定することができる。また操舵角θsの絶対値が第1操舵角閾値θth1を大きく超えた場合には、モータ30からステアリングシャフト21に付与される操舵反力によりステアリングホイール20が第1操舵角閾値θth1に向かって切り戻される際に、操舵角速度ωsの絶対値が第2制限値ω2以下に制限される。これによりステアリングホイール20の急速な切り戻しを抑制することができるため、運転者の違和感を低減することができる。
(2)制御装置5では、操舵角θsと操舵角速度上限値ωmaxとの関係、及び操舵角θsと操舵角速度下限値ωminとの関係を示すマップとして、図6に示すマップを用いることとした。また図6に示すマップでは、操舵角θsの絶対値が第1操舵角閾値θth1以上であって、且つ、操舵角θs及び操舵角速度ωsのそれぞれの正負の符号が異なる領域A1,A2で、操舵角速度上限値ωmax及び操舵角速度下限値ωminを第2制限値ω2に基づいて設定することとした。そして制御装置5では、図6に示すマップに基づいて操舵角θsから操舵角速度上限値ωmax及び操舵角速度下限値ωminを演算し、操舵角速度ωsが操舵角速度下限値ωminから操舵角速度上限値ωmaxまでの範囲に制限されるように第2補正値Irb*を設定することとした。これにより第2補正値Irb*を容易に演算することができる。
なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、舵角センサ6によりステアリングホイール20の操舵角θsを直接検出したが、例えば操舵角θsと相関関係のあるモータ回転角θmに基づいて操舵角θsを推定してもよい。また操舵角速度ωsについても、モータ回転角θmの単位時間当たりの変化量に基づいて推定してもよい。
・上記実施形態では、第1補正値Ira*の演算方法として、図4に示すマップを用いた演算方法を採用したが、他の演算方法を採用してもよい。例えば操舵角θsと第1補正値Ira*との関係を式で近似して、その関係式に基づいて第1補正値Ira*を演算してもよい。
・上記実施形態では、操舵角速度上限値ωmax及び操舵角速度下限値ωminの演算方法として、図6に示すマップを用いた演算方法を採用したが、他の演算方法を採用してもよい。例えば操舵角θsと操舵角速度上限値ωmaxとの関係、及び操舵角θsと操舵角速度下限値ωminとの関係を式で近似して、その関係式に基づいて操舵角速度上限値ωmax及び操舵角速度下限値ωminを演算してもよい。
・上記実施形態では、操舵角θsが第1操舵角閾値θth1以上のとき、操舵角速度下限値ωminを一定の制限値「−ω2」に設定したが、操舵角速度下限値ωminを操舵角θsに応じて変化させてもよい。例えば操舵角θsの絶対値が第1操舵角閾値θth1よりも大きくなるほど、操舵角速度下限値ωminを制限値「−ω2」から「0」に向けて漸増させてもよい。同様に、操舵角θsが閾値「−θth1」以下のとき、操舵角速度上限値ωmaxを操舵角θsに応じて変化させてもよい。
・上記実施形態では、操舵角θsの絶対値が第2操舵角閾値θth2以上であるとき、第1補正値Ira*の絶対値を一定値Ir1*に設定したが、第1補正値Ira*を操舵角θsに応じて変化させてもよい。例えば、操舵角θsの絶対値が第2操舵角閾値θth2よりも大きくなるほど、第1補正値Ira*の絶対値を漸増させてもよい。
・上記実施形態では、ステアリング装置の一例として、ステアリングシャフト21にモータ30のアシストトルクを付与する電動パワーステアリング装置1を挙げたが、例えばラックシャフト23にモータのアシストトルクを付与する電動パワーステアリング装置に上記実施形態に準じた構成を適用してもよい。また、電動パワーステアリング装置に限らず、ステアバイワイヤ式のステアリング装置に上記実施形態に準じた構成を採用してもよい。なおステアバイワイヤ式のステアリング装置は、ステアリングホイール及びステアリングシャフトからなる操舵装置と、車両の転舵輪を転舵させる転舵装置との機械的な連結が排除された構成からなる。操舵装置は、ステアリングシャフトに操舵反力を付与するモータと、モータの駆動を制御する制御装置とを有している。この制御装置が、仮想的なステアリングエンドを作るべくモータ駆動制御を行う場合、上記実施形態に準じたモータ駆動制御を行うことが可能である。
ω2…制限値、ωs…操舵角速度、θs…操舵角、Iq*…q軸電流指令値(トルク指令値)、ωmax…操舵角速度上限値、ωmin…操舵角速度下限値、θth1…第1操舵角閾値、θth2…第2操舵角閾値、Ira*…第1補正値、Irb*…第2補正値、1…電動パワーステアリング装置、2…操舵機構、5…制御装置(制御部)、20…ステアリングホイール、30…モータ。

Claims (2)

  1. 車両の操舵機構にトルクを付与するモータと、
    前記モータの出力トルクをトルク指令値に追従させるべく前記モータの駆動を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    操舵角の絶対値の上限値を規定する閾値を操舵角閾値とするとき、
    前記操舵角の絶対値が前記操舵角閾値以上であるときに、操舵反力を増大させるべく前記トルク指令値を第1補正値で補正するとともに、
    前記操舵角の絶対値が前記操舵角閾値以上であって、且つ、前記操舵角及び操舵角速度のそれぞれの正負の符号が異なるときに、前記操舵角速度の絶対値を、零よりも大きい制限値以下に制限すべく前記トルク指令値を第2補正値で補正することを特徴とするステアリング装置。
  2. 請求項1に記載のステアリング装置において、
    前記制御部は、
    前記操舵角と前記操舵角速度の上限値との関係、及び前記操舵角と前記操舵角速度の下限値との関係を示すマップを有し、
    前記マップに基づいて前記操舵角から前記上限値及び前記下限値を演算し、前記操舵角速度が前記下限値から前記上限値までの範囲に制限されるように前記第2補正値を設定するものであり、
    前記マップでは、前記操舵角の絶対値が前記操舵角閾値以上であって、且つ、前記操舵角及び前記操舵角速度のそれぞれの正負の符号が異なる領域で、前記上限値及び前記下限値が前記制限値に基づいて設定されていることを特徴とするステアリング装置。
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