JP5011102B2 - 拡散材料、拡散材料の評価方法、拡散材料における微粒子の配合方法および拡散材料の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、青空に代表されるように光散乱現象には波長依存性があるため、光散乱材料においては、白色光源の波長依存性に変化が生じ、色むらとして観察されてしまうという問題点がある。
k=Q(B)/Q(R)
0.75≦k≦1.25
ここで、B=435(nm)(青色)、R=615(nm)(赤色)
また、光散乱導光体の形状は、板形状,楔形状(側端面部から隔離するに従って薄くなる傾向を有する)、または棒(ロッド)形状であるのが好ましいことが開示されている。
しかしながら、現実には、一般に、粒度分布を有しない粒子は存在しない。また、散乱子としてマトリックスに分散させるために用いられる微粒子の粒度を揃えようとしても、単一な粒径の微粒子を製造するのは非常に困難であり、必ず、粒度分布が存在する。
また、引用文献1には、色むらの指標として使用されている色温度の許容範囲についての開示がないため、その許容範囲と、短波長領域における拡散効率と長波長領域における拡散効率の比である調整比kの範囲との相互関係がわからないという問題がある。このため、この調整比kを引用文献1の範囲となるように散乱子を調節しても、色合いが不均一になり、人間の視覚において色むらを感じることがあるという問題もある。
また、上述したように、引用文献1において、短波長領域および長波長領域における散乱効率Q(B)とQ(R)との調整比kを調節することは、散乱効率Q(λ)が波長依存性をもたないひとつの粒径を選択することを意味している。しかしながら,市販されている微粒子は、粒度分布を有すること、また、母材と微粒子の屈折率差が大きくなると散乱の波長依存性が粒径によって顕著になることから,粒径選択を適切に行うのは難しいという問題もある。
こうして求められた相対屈折率m i を用いて、下記式(2−1)および(2)によって、個々の微粒子の散乱断面積S i (m i ,λ)の総和として、前記拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)を求め、前記拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)から前記拡散材料における光の強度の減衰率C(λ)を求め、前記拡散材料における光の強度の減衰率C(λ)を用いて、前記拡散材料への入射光と前記拡散材料からの出射光との色度の変化量Δx、Δyを求め、こうして得られた前記入射光と前記出射光の色度の変化量Δx、Δyを用いて前記拡散材料の拡散能を評価することを特徴とする拡散材料の評価方法を提供するものである。
前記粒度分布関数fi(δ)は、下記式(8−1)で表されるのが好ましい。
ここで、μiは前記i番目の種類の微粒子の平均粒径、σiは、その標準偏差である。
こうして求められた光の強度の減衰率C(λ)を用いて、前記拡散材料への入射光の強度P(λ)から下記式(4)によって前記拡散材料からの出射光の強度P’(λ)を求め、
こうして求められた前記出射光の強度P’(λ)および前記入射光の強度P(λ)を用いて、下記式(5)および(6)によって前記入射光の色度x、y、および前記出射光の色度x’、y’を求め、
こうして得られた前記入射光の色度x、y、および前記出射光の色度x’、y’を用いて、下記式(7)によって前記入射光と前記出射光との色度の変化量Δx、Δyを求めるのが好ましい。
−0.03≦Δx≦0.03
−0.03≦Δy≦0.03 ・・・(9)
−0.03≦Δx≦0.03
−0.03≦Δy≦0.03 …(9)
Kmin≦Stotal(B)/Stotal(R)≦Kmax ・・・(10)
前記複数種類の微粒子の粒度分布関数F(ri)が、下記式(8)で表されるとき、下記式(1)によって、前記i番目の微粒子と前記母材との相対屈折率miを求め、
こうして求められた相対屈折率miおよび前記拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(B)ならびにStotal(R)の範囲を用いて、下記式(2−1)および(2)によって前記i番目の微粒子の混合割合Aiを求めるのが好ましい。
前記i番目の微粒子の粒度分布関数fi(δ)が、正規分布をなし、下記式(8−1)で表されるとき、下記式(1)によって、前記i番目の微粒子と前記母材との相対屈折率miを求め、
こうして求められた相対屈折率miおよび前記拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(B)ならびにStotal(R)の範囲を用いて、下記式(2−2)および(2)によって前記i番目の微粒子の混合割合Aiを求めるのが好ましい。
ここで、μiは前記i番目の種類の微粒子の平均粒径、σiは、その標準偏差である。
この場合には、微粒子の屈折率np(λ)、微粒子の粒径δにおける微粒子の粒度分布関数f(δ)、微粒子と前記母材との相対屈折率をmとするときにMie理論により求められる微粒子の散乱断面積S(δ,m,λ)とするとき、下記式(1−1)および(2−3)によって、拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)を求めても良い。なお、この場合に、微粒子の粒度分布が、正規分布をなす場合には、粒度分布関数f(r)として、下記式(8−2)で表される分布関数を用いれば良いが、微粒子の粒度分布が、離散的である、例えば、二項分布をなす場合には、下記粒度分布関数f(r)の代わりに、上記式(8)で表される分布関数F(r)を用いれば良い。
ここで、μは平均粒径、σは標準偏差である。
また、本発明によれば、拡散用途に用いる粒子の有する粒径分布を考慮した上で、波長むらの無い白色光などの照明光を出射する条件(粒径、濃度)を決定することができる。
さらに、本発明によれば、波長依存性の大きな粒子を用いる場合においても、波長むらが人間の眼に視認されないように複数種の粒子を選択、分散させることで波長むらのない白色光などの照明光を得ることができる。
また、本発明によれば、RGBの波長の異なる複数の光源、例えば、LEDなどを使用して白色光とする場合でも、上記と同様に、少なくとも1つの粒子を選択し、色度変化量を調整することで出射光の波長むらが人間に視認されないような白色光などの照明光を得ることができる。
また、本発明によれば、拡散材料への入射光に対する出射光の色度変化量の範囲を一定範囲にする拡散材料を設計方法、および、その設計方法により製造された拡散材料を提供することができる。
図1は、本発明の拡散材料において発生する出射光の波長依存性と人間の目に感知される色合いについて模式的に示す説明図である。
すなわち、拡散材料に光が入射する際に、人間は、図1のような過程で出射光の「色合い」を感じる。
2)拡散材料に入射された光は、内部において各波長における総散乱断面積Stotal(λ)に依存して散乱されながら進行し、分光分布P’(λ)をもって射出する。従って、拡散材料への出力は、分光分布P’(λ)である。
3)人間の眼に入射された光は、等色関数の、人間の赤応答感度xバー(λ)、緑応答感度yバー(λ)および青応答感度zバー(λ)によって下記式(5)のように色情報量X,Y,Z(三刺激値)に変換される。
4)三刺激値X,Y,Zは、下記式(6)によって色度x,yに変換される。ここで、(x,y)は、色度図としてプロットされる。
ところで、本発明においては、入射光分光分布P(λ)と出射光分光分布P’(λ)との形状をほとんど変化のない状態にせしめることを目的としており、各波長における総散乱断面積Stotal(λ)を制御する手法に基づいている。
2)このため、本発明は、下記式(9)に示すように、入射光(光源からの)と出射光の色度の変化量Δx、Δyが人間が色むらとして認識しない所定範囲内、好ましくは、0.03以下となるように、拡散材料内部の拡散機能を調整するものである。なお、色度の変化量Δx、Δyは、下記式(7)によって求められる。
−0.03≦Δx≦0.03
−0.03≦Δy≦0.03 ・・・(9)
ところで、色度の変化量Δx、Δyが人間の視覚において、色の変化、色むらとして認識されるものであるが、本発明では色度変化量Δx、Δyを所定範囲内、好ましくは、上記式(9)を満足するようにすることで、入射光に対して波長むら、色差のない出射光とすることができる。
ここで、x、yは、入射光(光源)の色度、x’、y’は、出射光の色度である。
ここで、光の減衰率C(λ)は、拡散材料に混入させた微粒子の総散乱断面積Stotal(λ)、拡散材料に垂直入射した光が拡散材料内部を伝播する距離Lにより決定される。
ところで、上述したように、本発明においては、入射光の波長依存性を変化させずに出射光として外部に射出させようとするので、入射光分光分布P(λ)と、出射光分光分布P’(λ)との形状をほとんど変化のない状態にせしめるものであり、各波長における総散乱断面積Stotal(λ)を制御するものであるので、理想的には、下記式(11)が成り立つ。ここで,B,G,Rが、入射する可視光に含まれる主要な3波長であり、それぞれ青色,緑色,赤色に対応している。なお、光源から出射される光の赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)の各代表波長をR=615[nm]、G=545[nm]、B=435[nm]としても良い。
C(B)/C(G)≒C(R)/C(G)
Stotal(B)/Stotal(G)≒
Stotal(R)/Stotal(G)
Stotal(B)/Stotal(R)≒1 …(11)
Kmin≦Stotal(B)/Stotal(R)≦Kmax ・・・(10)
ここで、KminおよびKmaxは、波長むらや色むらのない白色光からなる照明光を射出することのできる拡散材料内部の総散乱断面積比の最小値および最大値を示す。
a.まず、拡散用途の粒子が複数粒径(n種類)である場合について説明する。
この場合には、拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)は、下記式(1)、(2−1)および(2)によって求めることができる。
すなわち、本発明においては、選択した複数の微粒子のそれぞれについて、例えばi番目の微粒子について、下記式(1)によって、i番目の微粒子と母材との相対屈折率miを求め、こうして求められた相対屈折率miを用いて、下記式(2−1)により、粒径ri(i番目)の微粒子全体の総散乱断面積Sr(λ)を求め、下記式(2)によって拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)を求める。
なお、微粒子の粒度分布関数F(r)は、散乱子として用いた微粒子の粒径の持つ粒度分布であり、一般的には、下記式(8)のように表される。この式(8)は、離散的である場合を示し、例えば、二項分布をなす場合を表すものである。
ところで、この場合のi番目の微粒子の粒度分布関数fi(δ)は、選択された複数の微粒子の粒度分布が、例えば正規分布をなすとみなせる場合には、上記式(8)の代わりに、下記式(8−1)で表される粒度分布関数fi(δ)を用いても良い。
ここで、μiはi番目の微粒子の平均粒径、σiは、その標準偏差である。
この場合には、微粒子の屈折率np(λ)、微粒子の粒径δにおける微粒子の粒度分布関数f(δ)、微粒子と前記母材との相対屈折率をmとするときにMie理論により求められる微粒子の散乱断面積S(δ,m,λ)として、下記式(1−1)および(2−3)によって、拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)を求めることができる。
なお、この場合に、微粒子の粒度分布が、正規分布をなす場合には、粒度分布関数f(δ)として、下記式(8−2)で表される分布関数を用いれば良いが、微粒子の粒度分布が、離散的である、例えば、二項分布をなす場合には、下記粒度分布関数f(δ)の代わりに、上記式(8)で表される分布関数F(r)を用いれば良い。
ここで、μは平均粒径、σは標準偏差である。
本発明の拡散材料の評価方法は、拡散材料に入射する入射光の波長λに対し、母材中に分散された複数種類の微粒子の全てについてMie理論により求められる個々の微粒子の散乱断面積S(λ)の総和として、上記式(2)により、拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)を求め、この総散乱断面積Stotal(λ)から上記式(3)によって、拡散材料における光の強度の減衰率C(λ)を求め、この減衰率C(λ)を用いて、拡散材料への入射光と拡散材料からの出射光との色度の変化量Δx、Δyを求め、こうして得られた入射光と出射光との色度の変化量Δx、Δyを用いて、拡散材料の拡散能を評価するものであり、好ましくは、入射光と出射光の色度の変化量ΔxおよびΔyが、上記式(9)を満足すれば、波長むら、色むらのない白色光などの照明光を出射することができ、拡散材料は高い拡散能を持つものと評価するが、上記式(9)を満足しない場合には、拡散材料の拡散能は低いと評価するものである。
続いて、こうして求められた光の強度の減衰率C(λ)を用いて、上記式(4)によって、拡散材料への入射光の強度P(λ)から拡散材料からの出射光の強度P’(λ)を求める。
こうして得られた出射光の強度P’(λ)および入射光の強度P(λ)を用いて、上記式(5)および(6)によって、入射光の色度x、yおよび出射光の色度x’、y’を求める。
こうして得られた入射光の色度x、y、および出射光の色度x’、y’を用いて、上記式(7)によって、入射光と出射光との色度の変化量Δx、Δyを求める。
最後に、上述したように、こうして得られた入射光と出射光との色度の変化量Δx、Δyが、所定範囲、好ましくは、上記式(9)を満足するか否かによって、拡散材料の拡散能を評価することができる。
本発明の拡散材料の母材として用いられる材料は、特に制限的ではなく、拡散材料の母材として用いられるものであれば、何でも良く、従来公知の母材の材料は全て適用可能である。例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)を初めとして、特開平11−19928号公報および特開平11−21357号公報などに開示のメタクリル樹脂などを用いることができる。
また、本発明の拡散材料に散乱子として用いられる微粒子は、特に制限的ではなく、拡散材料の散乱子として用いられるものであれば、何でも良く、従来公知の散乱微粒子の材料は全て適用可能である。例えば、シリコーン樹脂微粒子を初めとして、特開平11−19928号公報および特開平11−21357号公報などに開示の固体状の架橋性シリコーン樹脂微粒子などを用いることができる。また、本発明では、微粒子の形状は、真球状微粒子が望ましいが、これに限定されるわけではなく、どのような形状であっても良い。
本発明の拡散材料への微粒子の配合方法は、母材中に母材と異なる屈折率を持つ複数種類の微粒子を分散させた拡散材料において、所望の拡散能を得るために、複数種類の微粒子を散乱子として母材中に分散させる際の複数種類の微粒子の配合量を適切に決定するものである。
こうして得られた拡散材料における光の強度の減衰率C(λ)の条件を満たすように、拡散材料への入射光の波長λに対し、上記式(3)によって、拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)を求める。
次に、こうして求められた拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)が、母材中に分散される前記複数種類の微粒子の全てについてMie理論により求められる個々の微粒子の散乱断面積S(λ)の総和として求められるように、上記式(2)によって、複数種類の微粒子の配合量Aiを決定するものである。
本発明の配合方法においては、こうして決定された配合量に従って、複数種類の微粒子を母在中に配合するものである。
この後、拡散材料に入射する光の主要3波長をB(青光)、G(緑光)およびR(赤光)とするとき、上記式(10)で示される、青光における総散乱断面積と赤光における総散乱断面積との比Stotal(B)/Stotal(R)の範囲、すなわち、上限Kmaxおよび下限Kminを求めるのが良い。
こうして得られた複数種類の微粒子の配合量は、これらの複数種類の微粒子を母材に分散させた拡散材料の入出射光の色度の変化量が上記式(9)を満足し、青光と赤光とにおける総散乱断面積との比が上記式(10)を満足するように決定されているので、粒径分布を有する微粒子を添加した場合においても、また、波長依存性の大きな微粒子を用いる場合においても、波長むらのない白色光からなる照明光を射出する拡散材料を得ることができる。
本発明の拡散材料を製造する方法は、配合量の決定を除いて、特に制限的ではなく、どのような方法でも良く、従来公知の製造方法は全て適用可能である。例えば、特開平11−19928号公報および特開平11−21357号公報などに開示の製造方法を適用することもできる。
図2は、本発明の拡散材料の評価方法および拡散材料への微粒子の配合方法のアルゴリズムの一実施例を示すフローチャートの一例である。
ここで、母材の屈折率をnm(λ)、i番目の微粒子の屈折率をnpi(λ)、微粒子の粒径をr、複数種類の微粒子の粒度分布関数をF(ri)またはfi(r)、拡散材料の厚さ(光路長)をL[m]、拡散材料内の微粒子の個数密度N[個/m3] 、使用する可視光源の主要となる3波長をB,G,R[nm]とする。
この時、微粒子の粒径rは、変数となるものであるので、初期値を代入するものとする。
なお、このステップS52において、用いる微粒子が1種の場合には、それぞれ対応する粒子条件に対して、上記式(1−1)、(2−3)および(8−2)を用いて、拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)を求める。
次に、ステップS56において、上記式(4)〜(6)を用いて、拡散材料における光の強度の減衰率C(λ)から、拡散材料への入射光の強度P(λ)および拡散材料からの出射光の強度P’(λ)、入射光の三刺激値X、Y、Zおよび出射光の三刺激値X’、Y’、Z’を経て、入射光の色度x、yおよび出射光の色度x’、y’を求める。
次に、ステップS58において、こうして得られた入射光の色度x、y、および出射光の色度x’、y’を用いて、上記式(7)によって、入射光と出射光との色度の変化量Δx、Δyを求める。
本発明の拡散材料への微粒子の配合方法においては、ステップS60において、上記式(9)を満足し、その絶対値が0.03以下である粒径範囲を決定する。ここで、上記式(9)を満足する粒径範囲の上限をrmax、下限をrminとすると、下記式(12)が得られる。
rmin≦r≦rmax ・・・(12)
本発明の配合方法において、複数種類の微粒子の使用が予め分かっている場合には、このステップS60をパスしてステップS58から直接ステップS62に飛んでも良いし、または、ステップS60およびS62の両方をパスして、ステップS58から直接ステップS64に飛んでも良い。
本発明の配合方法においては、最後に、ステップS66において、上記式(10)の範囲および上記式(2)を満たすi番目の微粒子の粒径riおよびi番目の微粒子の混合割合Ai(i=1〜n)の組み合わせを決定する。
こうして、本発明の配合方法においては、母材に分散させる複数種類の微粒子の配合量を決定することができる。
こうして、本発明においては、粒径分布を有する微粒子を添加した場合においても、また、波長依存性の大きな微粒子を用いる場合においても、波長むらのない白色光からなる照明光を射出する拡散材料を得ることができる。
(実施例1)
以下に、図2に示すフローチャートに従って、実施例1として、実際に、母材および拡散用途の微粒子を用いた、本発明の拡散材料の評価方法および拡散材料への微粒子の配合方法を実施した。
母材:PMMA(屈折率nD=1.492)
微粒子:トスパール(GEシリコーン製シリコーン樹脂微粒子,nD=1.44)
光源:CCFL(R=615[nm],G=545[nm],B=435[nm])
PMMAおよびトスパールの屈折率波長依存性(n(λ))を図3に,CCFLの分光特性を図4に示す。
こうして、図2のステップS50における母材および拡散用途の微粒子の条件を決定した。
微粒子濃度:0.5vol%(各粒径において粒子密度N[個/m3]に変換)
光路長:L=1.0[mm]
これらの条件を用いて、図2のステップS52〜S58を行い、色度変化量(Δx,Δy)を算出した。その結果を図5に示す。図5は、分散微粒子の粒径”Particle diameter(μm)”と、色度変化量(Δx,Δy)との関係を示すグラフである。
ステップS60において、図5から、上記式(9)を満足する絶対値で0.03以下の範囲を決定した。
図5から分かるように、上記式(9)を満足する絶対値で0.03以下の範囲は、以下のようになる(上記式(12))ことがわかる。
6.1≦r≦7.5、11.4≦r≦14.7[μm]
ステップS64において、上記式(9)を満足するような総散乱断面積の比Stotal(B)/Stotal(R)の範囲を決定した。その結果を図6に示す。図6は、分散微粒子の粒径”Particle diameter(μm)”と、総散乱断面積の比Stotal(B)/Stotal(R)との関係を示すグラフである。図5および図6から分かるように、上記式(9)を満足する絶対値で0.03以下の粒径範囲に対応する範囲は、下記式(10)で与えられるKminおよびKmaxがそれぞれ0.9および1.1であることがわかる。
0.9=Kmin≦Stotal(B)/Stotal(R)≦Kmax=1.1 ・・・(10)
a.1粒径(1種類)の場合
ステップS68において、上記3)で図5から求めた上記式(12)で示される以下の粒径範囲から、使用する微粒子の粒径を決定すればよいことがわかる。
6.1≦r≦7.5、11.4≦r≦14.7[μm]
b.複数種類の微粒子を配合(ブレンド)する場合
ステップS66において、上記4)で上記式(10)および(2)を満足する、図6から求めた上記式(10)で示されるKminおよびKmaxの範囲から、使用する微粒子の粒径と配合量(ブレンド比率)とを決定すればよいことがわかる。
次に、ステップS66において行う使用する微粒子の粒径と配合量(ブレンド比率)との決定について説明する。
ここでは、例えば,次に示す2粒子(2種類の微粒子)のブレンド比率は、以下のように決定した。
使用する2粒子(2種類の微粒子)の粒径および分散は、以下のようであった。
rl=4.0[μm]、r2=10.0[μm]、
σ1=0.5、σ2=1.0(ここで、両者とも粒度分布は正規分布と仮定)
Stotal_1(R)=0.291×102[μm2]
Stotal_1(B)=0.388×102[μm2]
Stotal_2(R)=1.94×102[μm2]
Stotal_2(B)=1.30×102[μm2]
これらを用いて、上記式(2)かつ(12)を満たすように求めると以下のブレンド比率が決定された。
0.712≦A1≦0.920
0.288≦A2≦0.080
このようにして、2粒子(2種類の微粒子)のブレンド比率が決定された。
少なくとも1粒径、つまり2粒径以上の複数粒径(粒度分布が既知の複数粒径)
異なる材質の粒子の混合(屈折率と粒度分布が既知である複数種類の微粒子)
このような条件下での1種類の微粒子の粒径の決定および複数種類の微粒子のブレンド比率の決定を説明し、本発明の効果を明らかにするために、以下の実施例2〜6および比較例1〜3を行った。
実施例1と同様な母材および微粒子を用意し、実施例1と同様にして拡散材料の評価およびブレンド比率の決定を行った。用いた母材および拡散用途の微粒子の条件は、以下の通りである。
母材:PMMA(屈折率nD=1.492)
微粒子:トスパール(GEシリコーン製シリコーン樹脂微粒子、
屈折率nD=1.45および1.68、
粒径r=2.0、4.0、6.5、7.0、9.0、10.0および11.0)
光源:CCFL(R=615[nm],G=545[nm],B=435[nm])
微粒子濃度:0.5vol%(各粒径において粒子密度N[個/m3]に変換)
光路長(厚み):L=1.0[mm]
実施例2は、色度変化量(Δx、Δy)の絶対値が0.03以下であり、上記式(9)を満たし、粒径rが上記式(12)の範囲内(図5参照)にあり、波長むら(色むら)のない白色照明光を射出することができるのに対し、比較例1は、色度変化量(Δx)の絶対値が0.03を超えており、上記式(9)を満足せず、粒径rが上記式(12)の範囲から外れており(図5参照)、射出光に波長むら(色むら)が見られることが分かる。
一方、2種類の微粒子のブレンドをブレンドしても、そのブレンド比率が適切でない比較例2では、上記式(9)を満足させることができないことがわかる。
また、実施例6および比較例3では、ブレンドする2種類の微粒子の粒径および屈折率が共に異なるものであるが、実施例6のように、適正なブレンド比率で2種類の微粒子のブレンドすることにより、色度変化量(Δx、Δy)の絶対値を0.03より極めて小さくすることができ、極めて波長むら(色むら)のない白色照明光を射出することのできる拡散材料を得ることができるが、そのブレンド比率が適切でない比較例3では、色度変化量(Δx、Δy)の絶対値を0.03以下にすることができないことがわかる。
以上から、本発明の各実施例は、いずれも、比較例に比べ、優れた効果を持つことが分かる。
また、本発明の拡散材料の評価方法は、拡散材料の散乱能を正確に評価することができる。そのため、液晶表示装置の照明装置(バックライトユニット)等に用いられる拡散シートや拡散板などの拡散材料、プロジェクタの映像信号の結像用部材(スクリーン)や、各種の照明装置等に用いられる拡散材料の評価方法に利用することができる。
また、本発明の拡散材料における微粒子の配合方法は、拡散材料への入射光に対する出射光の色度変化量が所定範囲内となるように母材への微粒子の配合量を設計でき、波長むらのない照明光を射出する拡散材料を得ることができる。そのため、液晶表示装置の照明装置(バックライトユニット)等に用いられる拡散シートや拡散板などの拡散材料、プロジェクタの映像信号の結像用部材(スクリーン)や、各種の照明装置等に用いられる拡散材料における微粒子の配合方法に利用することができる。
また、本発明の拡散材料の製造方法は、拡散材料への入射光に対する出射光の色度変化量が所定範囲内となるように母材への微粒子の配合量を設計でき、波長むらのない照明光を射出する拡散材料を製造することができる。そのため、液晶表示装置の照明装置(バックライトユニット)等に用いられる拡散シートや拡散板などの拡散材料、プロジェクタの映像信号の結像用部材(スクリーン)や、各種の照明装置等に用いられる拡散材料の製造方法に利用することができる。
Claims (10)
- 母材中に前記母材と異なる屈折率を持つ複数種類の微粒子を分散させた拡散材料の拡散能を評価する拡散材料の評価方法であって、
前記拡散材料に入射する入射光の波長λに対し、前記母材中に分散された前記複数種類の微粒子の全てについてMie理論により、前記母材の屈折率n m (λ)、i番目の種類(i=2,…,n)の微粒子の屈折率n p i (λ)、前記i番目の微粒子の混合割合A i 、前記i番目の微粒子の粒度r i 、前記複数種類の微粒子の粒度分布関数F(r i )、前記i番目の微粒子と前記母材との相対屈折率m i 、前記i番目の微粒子の散乱断面積S i (m i ,λ)、前記拡散材料の厚さL、前記拡散材料内の前記微粒子の個数密度Nであるとき、下記式(1)によって、前記i番目の微粒子と前記母材との相対屈折率m i を求め、
こうして求められた相対屈折率m i を用いて、下記式(2−1)および(2)によって、個々の微粒子の散乱断面積S i (m i ,λ)の総和として、前記拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)を求め、
前記拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)から前記拡散材料における光の強度の減衰率C(λ)を求め、
前記拡散材料における光の強度の減衰率C(λ)を用いて、前記拡散材料への入射光と前記拡散材料からの出射光との色度の変化量Δx、Δyを求め、
こうして得られた前記入射光と前記出射光の色度の変化量Δx、Δyを用いて前記拡散材料の拡散能を評価することを特徴とする拡散材料の評価方法。
- 前記微粒子の粒度分布関数F(r)は、下記式(8)で表される請求項1に記載の拡散材料の評価方法。
- 母材中に前記母材と異なる屈折率を持つ複数種類の微粒子を分散させた拡散材料の拡散能を評価する拡散材料の評価方法であって、
前記拡散材料に入射する入射光の波長λに対し、前記母材中に分散された前記複数種類の微粒子の全てについてMie理論により、前記母材の屈折率nm(λ)、i番目の種類(i=2,…,n)の微粒子の屈折率npi(λ)、前記i番目の微粒子の混合割合Ai、前記微粒子の粒度δ、前記i番目の微粒子の粒度分布関数fi(δ)、前記i番目の微粒子と前記母材との相対屈折率をmi、前記i番目の微粒子の散乱断面積Si(δ,mi,λ)、前記拡散材料の厚さL、前記拡散材料内の前記微粒子の個数密度Nであるとき、下記式(1)によって、前記i番目の微粒子と前記母材との相対屈折率miを求め、
こうして求められた相対屈折率miを用いて、下記式(2−2)および(2)によって、個々の微粒子の散乱断面積S i (δ,m i ,λ)の総和として、前記拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)を求め、
前記拡散材料内部の総散乱断面積S total (λ)から前記拡散材料における光の強度の減衰率C(λ)を求め、
前記拡散材料における光の強度の減衰率C(λ)を用いて、前記拡散材料への入射光と前記拡散材料からの出射光との色度の変化量Δx、Δyを求め、
こうして得られた前記入射光と前記出射光の色度の変化量Δx、Δyを用いて前記拡散材料の拡散能を評価することを特徴とする拡散材料の評価方法。
- 前記微粒子の粒度分布は、正規分布をなすものであり、
前記粒度分布関数fi(δ)は、下記式(8−1)で表される請求項3に記載の拡散材料の評価方法。
ここで、μiは前記i番目の種類の微粒子の平均粒径、σiは、その標準偏差である。 - 前記拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)を用いて、下記式(3)によって前記拡散材料における光の強度の減衰率C(λ)を求め、
こうして求められた光の強度の減衰率C(λ)を用いて、前記拡散材料への入射光の強度P(λ)から下記式(4)によって前記拡散材料からの出射光の強度P’(λ)を求め、
こうして求められた前記出射光の強度P’(λ)および前記入射光の強度P(λ)を用いて、下記式(5)および(6)によって前記入射光の色度x、y、および前記出射光の色度x’、y’を求め、
こうして得られた前記入射光の色度x、y、および前記出射光の色度x’、y’を用いて、下記式(7)によって前記入射光と前記出射光との色度の変化量Δx、Δyを求める請求項1〜4のいずれかに記載の拡散材料の評価方法。
- 前記入射光と前記出射光の色度の変化量ΔxおよびΔyが、下記式(9)を満足するか否かによって、前記拡散材料の拡散能を評価する請求項1〜5のいずれかに記載の拡散材料の評価方法。
−0.03≦Δx≦0.03
−0.03≦Δy≦0.03 …(9) - 母材中に前記母材と異なる屈折率を持つ複数種類の微粒子を分散させた拡散材料において、所望の拡散能を得るために前記複数種類の微粒子を配合する配合方法であって、
前記拡散材料に入射する入射光と前記拡散材料から出射する出射光との色度の変化量Δx、Δyが、下記式(9)を満足するように、前記ΔxおよびΔyから、下記式(7)を用いて前記入射光の色度x、y、および前記出射光の色度x’、y’を求め、
こうして得られた前記入射光の色度x、y、および前記出射光の色度x’、y’から、下記式(5)および(6)を用いて前記出射光の強度P’(λ)および前記入射光の強度P(λ)を求め、
こうして得られた前記出射光の強度P’(λ)および前記入射光の強度P(λ)から、下記式(4)を用いて、前記拡散材料における光の強度の減衰率C(λ)を求め、
こうして得られた前記拡散材料における光の強度の減衰率C(λ)の条件を満たすように、下記式(3)を用いて、前記拡散材料への入射光の波長λに対し、前記拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)を求め、
こうして求められた前記拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(λ)が、前記母材中に分散される前記複数種類の微粒子の全てについてMie理論により求められる個々の微粒子の散乱断面積S(λ)の総和として求められるように、前記拡散材料に入射する光の主要3波長をB(青光)、G(緑光)およびR(赤光)とするとき、下記式(10)で示される、青光における前記総散乱断面積と赤光における前記総散乱断面積との比S total (B)/S total (R)の範囲を求めて、前記複数種類の微粒子の配合量を求め、
こうして求められた配合量に従って、前記複数種類の微粒子を配合することを特徴とする拡散材料における微粒子の配合方法。
−0.03≦Δx≦0.03
−0.03≦Δy≦0.03 …(9)
Kmin≦Stotal(B)/Stotal(R)≦Kmax ・・・(10) - 前記母材の屈折率nm(λ)、i番目の種類(i=2,…,n)の微粒子の屈折率npi(λ)、前記i番目の微粒子の粒度ri、前記i番目の微粒子と前記母材との相対屈折率mi、前記i番目の微粒子の散乱断面積Si(mi,λ)、前記拡散材料の厚さL、前記拡散材料内の前記微粒子の個数密度Nであり、
前記複数種類の微粒子の粒度分布関数F(ri)が、下記式(8)で表されるとき、下記式(1)によって、前記i番目の微粒子と前記母材との相対屈折率miを求め、
こうして求められた相対屈折率miおよび前記拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(B)ならびにStotal(R)の範囲を用いて、下記式(2−1)および(2)によって前記i番目の微粒子の混合割合Aiを求める請求項7に記載の拡散材料における微粒子の配合方法。
- 前記母材の屈折率nm(λ)、i番目の種類(i=2,…,n)の微粒子の屈折率npi(λ)、前記微粒子の粒度δ、前記i番目の微粒子と前記母材との相対屈折率をmi、前記i番目の微粒子の散乱断面積Si(δ,mi,λ)、前記拡散材料の厚さL、前記拡散材料内の前記微粒子の個数密度Nであり、
前記i番目の微粒子の粒度分布関数fi(δ)が、正規分布をなし、下記式(8−1)で表されるとき、下記式(1)によって、前記i番目の微粒子と前記母材との相対屈折率miを求め、
こうして求められた相対屈折率miおよび前記拡散材料内部の総散乱断面積Stotal(B)ならびにStotal(R)の範囲を用いて、下記式(2−2)および(2)によって前記i番目の微粒子の混合割合Aiを求める請求項7に記載の拡散材料における微粒子の配合方法。
ここで、μiは前記i番目の種類の微粒子の平均粒径、σiは、その標準偏差である。 - 請求項7〜9のいずれかに記載の拡散材料における微粒子の配合方法によって配合された前記複数種類の微粒子を前記母材に溶融混合分散することを特徴とする拡散材料の製造方法。
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