以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態におけるタイヤ100が装着される車両1の上面視を模式的に示した模式図である。なお、図1の矢印FWDは、車両1の前進方向を示している。
まず、車両1の概略構成について説明する。図1に示すように、車両1は、車体フレームBFと、その車体フレームBFに支持される複数(本実施の形態では4輪)の車輪2と、それら各車輪2の回転駆動を行う車輪駆動装置3と、各車輪2の操舵駆動を行うと共にキャンバ角の変更を行うキャンバ角変更装置4とを主に備え、キャンバ角変更装置4により車輪2のキャンバ角を変更することで、タイヤ100(図4参照)に設けられた3種類のトレッドを使い分け、省燃費化と高グリップ性能との両立を図ることができるように構成されている。
次いで、各部の詳細構成について説明する。図1に示すように、車輪2は、車両1の進行方向前方側に位置する左右の前輪2FL,2FRと、進行方向後方側に位置する左右の後輪2RL,2RRとの4輪を備えている。これら前後輪2FL〜2RRは、車輪駆動装置3から回転駆動力が付与されることで、それぞれ独立に回転可能に構成されている。
車輪駆動装置3は、各車輪2を独立に回転駆動するための装置であり、図1に示すように、合計4個の電動モータ(FL〜RRモータ3FL〜3RR)が各車輪2に(即ち、インホイールモータとして)配設されている。運転者がアクセルペダル11を操作した場合には、車輪駆動装置3から各車輪2に回転駆動力が付与され、アクセルペダル11の操作量に応じた回転速度で各車輪2が回転駆動される。また、運転者がブレーキペダル12を操作した場合には、ブレーキペダル12の操作量に応じた制動力が得られるように、車輪駆動装置3が作動制御される。
キャンバ角変更装置4は、各車輪2を独立に操舵駆動するための装置であり、図1に示すように、合計4個のアクチュエータ(FL〜RRアクチュエータ4FL〜4RR)が各車輪2に対応して配設されている。運転者がステアリング13を操作した場合には、キャンバ角変更装置4の一部(例えば、FLアクチュエータ4FL及びFRアクチュエータ4FR)又は全部が作動制御され、ステアリング13の操作量に応じた操舵角で車輪2が操舵駆動される。
また、キャンバ角変更装置4は、車両1の走行状態(例えば、直進走行、加減速、或いは、旋回など)に応じて作動制御され、各車輪2のキャンバ角を変更する。ここで、図2を参照して、車輪駆動装置3及びキャンバ角変更装置4の詳細構成について説明する。
図2(a)は、車輪2の断面図であり、図2(b)は、操舵角およびキャンバ角の付与方法を模式的に説明する模式図である。なお、図2(a)では、タイヤ100が模式的に図示されている。また、図2(b)中の仮想軸Xf−Xb、仮想軸Yl−Yr及び仮想軸Zu−Zdは、それぞれ車両1の前後方向、左右方向および高さ方向に対応する。
図2(a)に示すように、車輪2は、アルミニウム合金などから構成されるホイール2aと、そのホイール2aに嵌合されるタイヤ100とを主に備えて構成され、ホイール2aの内周部には、車輪駆動装置3(FL〜RRモータ3FL〜3RR)がインホイールモータとして配設されている。
タイヤ100は、車両1の外側(図2(a)左側)に配置される第1トレッド141と、車両1の内側(図2(a)右側)に配置される第2トレッド142と、それら第1トレッド141と第2トレッド142との間に配置される中間トレッド143(いずれも図4参照)とを備えて構成されている。なお、タイヤ100の詳細構成については、図4から図6を参照して後述する。
車輪駆動装置3は、図2(a)に示すように、その前面側(図2(a)左側)に突出した駆動軸3aがホイール2aに連結固定されており、駆動軸3aを介して車輪2に回転駆動力を伝達可能に構成されている。また、車輪駆動装置3の背面には、キャンバ角変更装置4(FL〜RRアクチュエータ4FL〜4RR)が連結固定されている。
キャンバ角変更装置4は、複数本(本実施の形態では3本)の油圧シリンダ4a〜4cを備えており、それら油圧シリンダ4a〜4cのロッド部は、車輪駆動装置3の背面側(図2(a)右側)にジョイント部(本実施の形態ではユニバーサルジョイント)14を介して連結固定されている。なお、図2(b)に示すように、各油圧シリンダ4a〜4cは、周方向略等間隔(即ち、周方向120°間隔)に配置されると共に、1の油圧シリンダ4bは、仮想軸Zu−Zd上に配置されている。
これにより、各油圧シリンダ4a〜4cが各ロッド部をそれぞれ所定方向に所定長さだけ伸長駆動または収縮駆動することで、車輪駆動装置3が仮想軸Xf−Xb,Zu−Xdを揺動中心として揺動駆動され、その結果、車輪2に所定のキャンバ角および操舵角が付与される。
例えば、図2(b)に示すように、車輪2が中立位置(車両1の直進状態)にある状態で、油圧シリンダ4bのロッド部が収縮駆動され、かつ、油圧シリンダ4a,4cのロッド部が伸長駆動されると、車輪駆動装置3が仮想線Xf−Xb回りに回転して(図2(b)矢印A)、車輪2にマイナス方向(ネガティブキャンバ)のキャンバ角(車輪2の中心線が仮想線Zu−Zdに対してなす角度)が付与される。一方、これとは逆の方向に油圧シリンダ4b及び油圧シリンダ4a,4cがそれぞれ伸縮駆動されると、車輪2にプラス方向(ポジティブキャンバ)のキャンバ角が付与される。
また、車輪2が中立位置(車両1の直進状態)にある状態で、油圧シリンダ4aのロッド部が収縮駆動され、かつ、油圧シリンダ4cのロッド部が伸長駆動されると、車輪駆動装置3が仮想線Zu−Zd回りに回転して(図2(b)矢印B)、車輪2にトーイン傾向の操舵角(車輪2の中心線が仮想線Zf−Zbに対してなす角度であり、車両1の進行方向とは無関係に定まる角度)が付与される。一方、これとは逆の方向に油圧シリンダ4a及び油圧シリンダ4cが伸縮駆動されると、車輪2にトーアウト傾向の操舵角が付与される。
ここで例示した各油圧シリンダ4a〜4cの駆動方法は、上述した通り、車輪2が中立位置にある状態から駆動する場合を説明するものであるが、これらの駆動方法を組み合わせて各油圧シリンダ4a〜4cの伸縮駆動を制御することにより、車輪2に任意のキャンバ角および操舵角を付与することができる。
図1に戻って説明する。車両用制御装置5は、上述したように構成される車両1の各部を制御するためのものであり、例えば、各ペダル11,12の操作量を検出し、その検出結果に応じて車輪駆動装置3を作動制御する。或いは、ステアリング13の操作量を検出し、その検出結果に応じてキャンバ角変更装置4を作動制御する。
ここで、図3を参照して、車両用制御装置5の詳細構成について説明する。図3は、車両用制御装置5の電気的構成を示したブロック図である。車両用制御装置5は、図3に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、それらがバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、車輪駆動装置3等の複数の装置が接続されている。
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置であり、ROM72は、CPU71によって実行される制御プログラムや固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリである。また、RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き換え可能に記憶するためのメモリである。
車輪駆動装置3は、上述したように、各車輪2(図1参照)を回転駆動するための装置であり、各車輪2に回転駆動力を付与する4個のFL〜RRモータ3FL〜3RRと、それら各モータ3FL〜3RRをCPU71からの指示に基づいて駆動制御する制御回路(図示せず)とを主に備えている。
キャンバ角変更装置4は、上述したように、各車輪2を操舵駆動すると共に各車輪2のキャンバ角を変更するための装置であり、各車輪2(車輪駆動装置3)に角度調整のための駆動力を付与する4個のFL〜RRアクチュエータ4FL〜4RRと、それら各アクチュエータ4FL〜4RRをCPU71からの指示に基づいて駆動制御する制御回路(図示せず)とを主に備えている。
なお、FL〜RRアクチュエータ4FL〜4RRは、3本の油圧シリンダ4a〜4cと、それら各油圧シリンダ4a〜4cにオイル(油圧)を供給する油圧ポンプ4d(図1参照)と、その油圧ポンプから各油圧シリンダ4a〜4cに供給されるオイルの供給方向を切り換える電磁弁(図示せず)とを主に備えて構成されている。
CPU71からの指示に基づいて、キャンバ角変更装置4の制御回路が油圧ポンプを駆動制御すると、その油圧ポンプから供給されるオイル(油圧)によって、各油圧シリンダ4a〜4cが伸縮駆動される。また、電磁弁がオン/オフされると、各油圧シリンダ4a〜4cの駆動方向(伸長または収縮)が切り替えられる。
キャンバ角変更装置4の制御回路は、各油圧シリンダ4a〜4cの伸縮量をセンサ(図示せず)で監視し、CPU71から指示された目標値(伸縮量)に達した場合には、油圧シリンダ4a〜4cの伸縮駆動が停止される。なお、センサによる検出結果は、制御回路からCPU71に出力され、CPU71は、その検出結果に基づいて各車輪2の現在の操舵角およびキャンバ角を得ることができる。
アクセルペダルセンサ装置11aは、アクセルペダル11の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、アクセルペダル11の踏み込み角度を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを主に備えている。
ブレーキペダルセンサ装置12aは、ブレーキペダル12の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ブレーキペダル12の踏み込み角度を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを主に備えている。
ステアリングセンサ装置13aは、ステアリング13の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ステアリング13の回転角を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを主に備えている。
なお、図3に示す他の入出力装置30としては、例えば、車輪2のキャンバ角を運転者の所望の角度とするために、運転者がキャンバ角変更装置4を手動で作動させるためのスイッチなどが例示される。
次いで、図4から図6を参照して、タイヤ100の詳細構成について説明する。図4は、タイヤ100の子午線断面図であり、図5は、図4のVで示す部分を拡大したタイヤ100の子午線断面図である。また、図6は、図4の矢印VI方向視におけるタイヤ100のトレッドパタンを模式的に示した模式図である。なお、子午線断面とは、タイヤ軸O(タイヤ回転中心となる軸)を含む平面でのタイヤ断面であり、図4では、タイヤ軸Oに対して片側の子午線断面のみを図示しており、他方側の子午線断面の図示が省略されている。ここで、タイヤ100は、タイヤ周方向全周において同一の構成であるため、タイヤ周方向一部の構成のみを図4から図6を参照して説明し、他部についての説明は省略する。
図4に示すように、タイヤ100は、カーカス110と、そのカーカス110を被覆するゴム層120と、そのゴム層120におけるトレッド部140の内周側(図4上側)に配置されるベルト部150とを主に備えて構成されている。
カーカス110は、タイヤ100の骨格を形成するものであり、繊維を撚り合わせた複数本のコード(図示せず)をタイヤ中心線CL(タイヤ幅中心となる線)に対して直角に配列することにより構成されている。なお、本実施の形態におけるタイヤ100は、かかるコードをタイヤ中心線CLに対して直角に配列したラジアルタイヤとして構成されているが、かかるコードをタイヤ中心線CLに対して斜めに配列したバイアスタイヤとして構成しても良い。
ゴム層120は、カーカス110を保護するためのものであり、図4に示すように、ビード部121と、そのビード部121に連設されタイヤ径方向外方(図4下側)へ向けて延設されるサイドウォール部130と、そのサイドウォール部130に連設されタイヤ幅方向(図4左右方向)に延設されるトレッド部140とを備えて構成されている。
ビード部121は、ホイール2a(図2(a)参照)に嵌合される部位であり、サイドウォール部130は、タイヤ側面を構成する部位である。なお、ビード部121内には、スチール製のワイヤ(図示せず)を束ねたビードコア121aが形成されており、そのビードコア121aにカーカス110が巻着されている。ここで、上述したタイヤ中心線CLとは、具体的には、一対のビードコア121a,121aの中心を結ぶビード線(図示せず)と直角をなし、かかるビード線の中心を通過する線である。
トレッド部140は、走行路面に接地する部位であり、図4に示すように、第1トレッド141と、第2トレッド142と、それら第1トレッド141及び第2トレッド142の間に位置する中間トレッド143との3種類のトレッドを備えて構成されている。
ベルト部150は、トレッド部140の剛性を確保するためのものであり、スチール製の複数本のコード(図示せず)をタイヤ中心線CLに対して斜めに配列することにより構成されている。このベルト150は、第1トレッド141の内周側(図4上側)に対応して配置される第1ベルト151と、その第1ベルト151に連設され第2トレッド142及び中間トレッド143の内周側(図4上側)に対応して配置される第2ベルト152とを備えると共に、第1ベルト151の厚みT1が第2ベルト152の厚みT2よりも厚く設定され(T1>T2)、第1ベルト151の剛性が第2ベルト152の剛性よりも高く構成されている。
これにより、第1トレッド141の剛性を第2トレッド142及び中間トレッド143の剛性よりも高くして、第1トレッド141を第2トレッド142及び中間トレッド143よりも変形し難くすることで、第1トレッド141を転がり抵抗の小さい特性に構成することができる。一方、第2トレッド142及び中間トレッド143の剛性を第1トレッド141の剛性よりも低くして、第2トレッド142及び中間トレッド143を第1トレッド141よりも変形し易くすることで、第2トレッド142及び中間トレッド143をグリップ力の高い特性に構成することができる。
次いで、図4及び図5を参照して、タイヤ100の子午線断面(タイヤ軸Oを含む平面でのタイヤ断面)における外表面の輪郭を規定したタイヤプロファイルについて説明する。なお、ここでは、タイヤ100を規格(例えばJATMA規格)で規定された標準リムに嵌合して内圧230kPaとした状態で負荷能力の100%の荷重を加えた場合のタイヤプロファイルを説明する。
第1トレッド141は、図4に示す子午線断面において、外表面(以下、「トレッド面」と称す。)の輪郭がタイヤ径方向外方(図4下側)へ凸となる円弧状に構成されている。この第1トレッド141は、タイヤ軸O方向(図4左右方向)の寸法(以下、「トレッド幅」と称す。)W1が第2トレッド142のトレッド幅W2と中間トレッド143のトレッド幅W3との和よりも大きく設定され(W1>W2+W3)、第1トレッド141のトレッド幅W1内にタイヤ中心線CLが位置するように構成されている。
第2トレッド142は、図5に示す子午線断面において、トレッド面の輪郭が直線状に形成されると共に、かかるトレッド面がサイドウォール部130側へ向かうに従ってタイヤ径方向内方(図5上側)へ傾斜するように構成されている。具体的には、第1トレッド141と中間トレッド143との接続位置Pを通過しタイヤ軸O方向(図5左右方向)に平行に延びる仮想線L1と、接続位置Pを通過し第2トレッド142のトレッド面に接する仮想線L2とが角度θ2をなすように構成されている。即ち、第2トレッド142のトレッド面が仮想線L1に対して角度θ2で傾斜するように構成されている。
中間トレッド143は、図5に示す子午線断面において、トレッド面の輪郭が直線状に形成されると共に、かかるトレッド面がサイドウォール部130側へ向かうに従ってタイヤ径方向内方(図5上側)へ傾斜するように構成されている。具体的には、仮想線L1と、接続位置Pを通過し中間トレッド143のトレッド面に接する仮想線L3とが角度θ1をなすように構成されている。即ち、中間トレッド143のトレッド面が仮想線L1に対して角度θ1で傾斜するように構成されている。
かかる角度θ1と角度θ2との関係は、角度θ1が角度θ2よりも大きく設定され(θ1>θ2)、中間トレッド143のトレッド面が仮想線L2よりもタイヤ径方向内方(図5上側)へ入り込み、仮想線L2よりもタイヤ径方向外方(図5下側)へ露出しないように構成されている。
ここで、角度θ1は、キャンバ角をマイナス方向に最大のキャンバ角(以下、「最大キャンバ角」と称す。)とした場合に、中間トレッド143のトレッド面が走行路面と正対する角度に設定されており、本実施の形態では、最大キャンバ角を5°とするのに対応して、角度θ1が4°に設定されている。これにより、キャンバ角を最大キャンバ角とした場合には、中間トレッド143のトレッド面全域が走行路面に均等に接地した状態となる。
これに対し、角度θ2は、キャンバ角を最大キャンバ角の半分(以下、「中間キャンバ角」と称す。)とした場合に、第2トレッド142のトレッド面が走行路面と正対する角度に設定されており、本実施の形態では、中間キャンバ角が2.5°であるのに対応して、角度θ2が2°に設定されている。これにより、キャンバ角を中間キャンバ角とした場合には、第2トレッド142のトレッド面全域が走行路面に均等に接地した状態となる。
また、角度θ1がキャンバ角を最大キャンバ角とした場合の角度であると共に、角度θ2がキャンバ角を最大キャンバ角の半分(中間キャンバ角)とした場合の角度であるので、キャンバ角が一定の角度(本実施の形態では2.5°)増加する毎に第2トレッド142から中間トレッド143へと順に接地させることができる。
上述したようなタイヤプロファイルに規定される各トレッド141,142,143は、図6に示すように、それぞれ異なる溝、いわゆるトレッドパタンが刻設されている。第1トレッド141のトレッドパタンは、タイヤ周方向(図6上下方向)に連続した形状、いわゆるリブタイプとして構成されている。かかるリブタイプは、タイヤ回転方向に沿う形状であるため、転がり抵抗の小さい特性を有している。
これに対し、第2トレッド142のトレッドパタンは、タイヤ幅方向(図6左右方向)に連続した形状、いわゆるラグタイプとして構成されている。かかるラグタイプは、タイヤ回転方向に交差する形状であるため、転がり抵抗は大きいが、グリップ力の高い特性を有している。
また、中間トレッド143のトレッドパタンは、独立した複数のブロックを配列した形状、いわゆるブロックタイプとして構成されている。かかるブロックタイプは、ラグタイプと同様に、転がり抵抗は大きいが、グリップ力の高い特性を有している。
また、各トレッド141,142,143は、それぞれ異なる損失正接tanδのトレッドゴムで構成され、第1トレッド141の損失正接tanδaが第2トレッド142の損失正接tanδbよりも小さく構成されると共に、中間トレッド143の損失正接tanδcが第2トレッド142の損失正接tanδbよりも大きく構成されている(tanδa<tanδb<tanδc)。
なお、損失正接tanδとは、各トレッド141,142,143が変形する際のエネルギーの吸収度合を示すものであり、貯蔵剪断弾性率と損失剪断弾性率との比(損失剪断弾性率/貯蔵剪断弾性率)で表される。かかる損失正接tanδは、値が小さいほどエネルギーを吸収し難いため、転がり抵抗の小さい特性を有する。一方、値が大きいほどエネルギーを吸収し易いため、転がり抵抗は大きく、また、摩耗し易いが、グリップ力の高い特性を有している。
次いで、図7を参照して、キャンバ角の変更に伴うトレッド部140の接地状態の変化について説明する。なお、本実施の形態では、キャンバ角の付与方向はマイナス方向のみとする。従って、図7では、キャンバ角が0°の状態から最大キャンバ角(マイナス方向に最大のキャンバ角)の状態までの接地状態の変化を説明する。
図7は、トレッド部140の接地状態を模式的に示した模式図であり、図7(a)は、キャンバ角が0°の状態を、図7(b)は、キャンバ角が中間キャンバ角の状態を、図7(c)は、キャンバ角が最大キャンバ角の状態を、それぞれ示している。なお、図7では、図面の理解を容易とするため、主要部のみに符号を付して、図面を簡略化している。また、図7に示すトレッド部140の接地状態は、乗員や荷物などの荷重による影響を考慮しない理想的な接地状態を示している。
図7(a)に示すように、キャンバ角が0°の状態では、タイヤ中心線CLが走行路面Gと直交する。この場合、第1トレッド141は、トレッド幅W1内にタイヤ中心線CLが位置するように構成されているので(図4参照)、走行路面Gに接地した状態となる。
これに対し、第2トレッド142は、トレッド面が仮想線L1に対して角度θ2で傾斜するように構成されているので(図5参照)、走行路面Gに対しても角度θ2で傾斜し、走行路面Gから離間した状態となる。
また、中間トレッド143は、トレッド面が仮想線L1に対して角度θ1で傾斜するように構成されているので(図5参照)、走行路面Gに対しても角度θ1で傾斜し、第2トレッド142と同様に、走行路面Gから離間した状態となる。
キャンバ角が0°の状態から中間キャンバ角の状態となると、図7(b)に示すように、走行路面Gに直交する鉛直線Vに対しタイヤ中心線CLが中間キャンバ角と同じ角度で傾斜する。この場合、第2トレッド142は、角度θ2がキャンバ角を中間キャンバ角とした場合にトレッド面が走行路面Gと正対する角度に設定されているので、走行路面Gに接地した状態となる。
これに対し、中間トレッド143は、角度θ1がキャンバ角を中間キャンバ角よりも大きな最大キャンバ角とした場合にトレッド面が走行路面Gと正対する角度に設定されているので、走行路面Gから離間した状態が維持される。
但し、キャンバ角を付与すると、それに伴い、第1トレッド141及び第2トレッド142に変形が生じるため、第1トレッド141との接続部付近および第2トレッド142との接続部付近の中間トレッド143が僅かながら走行路面Gに接地した状態となる。なお、第1トレッド141は、走行路面Gに接地した状態が維持される。
キャンバ角が中間キャンバ角の状態から最大キャンバ角の状態となると、図7(c)に示すように、走行路面Gに直交する鉛直線Vに対しタイヤ中心線CLが最大キャンバ角と同じ角度で傾斜する。この場合、中間トレッド143は、角度θ1がキャンバ角を最大キャンバ角とした場合にトレッド面が走行路面Gと正対する角度に設定されているので、走行路面Gに接地した状態となる。
また、第2トレッド142は、角度θ2がキャンバ角を最大キャンバ角よりも小さな中間キャンバ角とした場合にトレッド面が走行路面Gと正対する角度に設定されているので、走行路面Gに接地した状態が維持される。なお、第1トレッド141も、走行路面Gに接地した状態が維持される。
次いで、図8を参照して、キャンバ角の変更に伴うトレッド部140の接地面形状の変化およびタイヤ100の特性の変化について説明する。図8(a)から図8(c)は、トレッド部140の接地面形状を模式的に示した模式図であり、図8(d)から図8(f)は、タイヤ100の特性を模式的に示した模式図である。また、図8(a)及び図8(d)は、キャンバ角が0°の状態を、図8(b)及び図8(e)は、キャンバ角が中間キャンバ角の状態を、図8(c)及び図8(f)は、キャンバ角が最大キャンバ角の状態を、それぞれ示している。
図8(a)に示すように、キャンバ角が0°の状態では、上述したように、第2トレッド142及び中間トレッド143は走行路面から離間した状態となり、第1トレッド141のみが接地した状態となるので、第1トレッド141のみが接地面として現れ、接地面中心GCは第1トレッド141上に位置する。
この場合、第1トレッド141は、トレッドパタン及び損失正接tanδに加え、ベルト部150の剛性の面で第2トレッド142及び中間トレッド143よりも転がり抵抗の小さい特性であるので、図8(d)に示すように、タイヤ100に低転がり特性を付与することができる。その結果、転がり抵抗を低減して、その分、省燃費化を図ることができる。
また、かかる場合には、第1トレッド141よりも転がり抵抗が大きく、また、摩耗し易い特性である第2トレッド142及び中間トレッド143を走行路面から離間させることができるので、その分、転がり抵抗を低減して、省燃費化を図ることができると共に、第2トレッド142及び中間トレッド143が先に摩耗する偏摩耗の発生を抑制することができる。
図8(b)に示すように、キャンバ角が中間キャンバ角の状態となると、上述したように、第2トレッド142が接地した状態となるので、接地面に第2トレッド142が現れ、接地面中心GCも中間トレッド143側(図8(b)右側)へ移動する。
この場合、第2トレッド142は、トレッドパタン及び損失正接tanδに加え、ベルト部150の剛性の面で第1トレッド141よりもグリップ力の高い特性であるので、図8(e)に示すように、タイヤ100に高グリップ特性を付与することができる。その結果、グリップ力を増加して、グリップ性能の向上を図ることができる。
また、かかる場合には、第2ベルト152の剛性が第1ベルト151の剛性よりも低く構成されているので、キャンバ角にならって第2トレッド142を変形させることができ、接地面に対する第1トレッド141の接地面圧と第2トレッド142の接地面圧との均一化を図ることができる。これにより、キャンバ角の変更に伴う接地面形状の変化を小さくすることができるので、偏摩耗の発生を抑制することができる。
なお、上述したように、キャンバ角を付与すると、それに伴い、第1トレッド141及び第2トレッド142に変形が生じるため、第1トレッド141との接続部付近および第2トレッド142との接続部付近における中間トレッド143が僅かながら走行路面に接地した状態となるので、それら第1トレッド141との接続部付近および第2トレッド142との接続部付近における中間トレッド143が接地面に現れる。
図8(c)に示すように、キャンバ角が最大キャンバ角の状態となると、上述したように、中間トレッド143が接地した状態となるので、接地面に中間トレッド143が現れ、接地面中心GCも中間トレッド143側(図8(c)右側)へ移動して、中間トレッド143のトレッド幅中心に位置する。
この場合、中間トレッド143は、損失正接tanδの面で第2トレッド142よりもグリップ力の高い特性であるので、図8(f)に示すように、タイヤ100に更なる高グリップ特性を付与することができる。その結果、タイヤ100のグリップ力をより増加して、グリップ性能のより一層の向上を図ることができる。また、かかる場合には、接地面中心GCをグリップ力が最大となる中間トレッド143に位置させることができるので、その分、グリップ性能の向上を図ることができる。
また、かかる場合には、第2ベルト152の剛性が第1ベルト151の剛性よりも低く構成されているので、キャンバ角にならって中間トレッド143を変形させることができ、接地面に対する第1トレッド141の接地面圧と第2トレッド142の接地面圧と中間トレッド143の接地面圧との均一化を図ることができる。これにより、キャンバ角の変更に伴う接地面形状の変化を小さくすることができるので、偏摩耗の発生を抑制することができる。
このように、本実施の形態におけるタイヤ100によれば、第2トレッド142を接地させた後に中間トレッド143を接地させる、即ち、グリップ力の低いトレッド面からグリップ力の高いトレッド面へと順に接地させることができるので、タイヤ100全体としてのグリップ力が急激に変化することを抑制して、車両1の安定性を保つことができる。
更に、上述したように、キャンバ角が一定の角度(本実施の形態では2.5°)増加する毎に第2トレッド142から中間トレッド143へと順に接地させることができるので、タイヤ100全体としてのグリップ力が急激に変化することを抑制して、車両1の安定性を保つことができる。
また、本実施の形態におけるタイヤ100によれば、損失正接tanδが大きく構成され変形し易い中間トレッド143が第1トレッド141と第2トレッド142との間に配置されているので、中間トレッド143を接地させるために必要な最大キャンバ角をより小さくすることができる。
また、本実施の形態におけるタイヤ100によれば、第1ベルト151の剛性が第2ベルト152の剛性よりも高く構成されているので、キャンバ角が0°の状態での車両1の操縦安定性の向上を図ることができると共に、キャンバ角を付与した場合には、第2トレッド142及び中間トレッド143を変形させ易くして、それら第2トレッド142及び中間トレッド143を確実に接地させることができる。
また、本実施の形態におけるタイヤ100によれば、第1トレッド141が車両1の外側に配置されると共に、第2トレッド142及び中間トレッド143が第1トレッド141よりも車両1の内側に配置されているので、グリップ力の高い特性に構成される第2トレッド142及び中間トレッド143の接地面積を増やす場合には、ネガティブキャンバを付与した状態とすることができ、その結果、車両1の旋回性能の向上を図ることができる。
次いで、図9及び図10を参照して、第2実施の形態から第7実施の形態におけるタイヤ200〜700について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図9及び図10は、タイヤ200〜700の子午線断面図であり、第1実施の形態におけるタイヤ100の図5に対応する部分のみを図示している。また、図9(a)は、第2実施の形態におけるタイヤ200を、図9(b)は、第3実施の形態におけるタイヤ300を、図9(c)は、第4実施の形態におけるタイヤ400を、図10(a)は、第5実施の形態におけるタイヤ500を、図10(b)は、第6実施の形態におけるタイヤ600を、図10(c)は、第7実施の形態におけるタイヤ700を、それぞれ示している。
第2実施の形態から第7実施の形態におけるタイヤ200〜700は、第1実施の形態におけるタイヤ100のタイヤプロファイルを変更したものであり、以下に各実施の形態におけるタイヤ200〜700のタイヤプロファイルについて説明する。なお、ここでは、第1実施の形態の場合と同様に、タイヤ200〜700を規格(例えばJATMA規格)で規定された標準リムに嵌合して内圧230kPaとした状態で負荷能力の100%の荷重を加えた場合のタイヤプロファイルを説明する。
第2実施の形態におけるタイヤ200の第2トレッド242は、第1実施の形態におけるタイヤ100に対し、図9(a)に示す子午線断面(タイヤ軸Oを含む平面でのタイヤ断面)において、トレッド面が仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図9(a)下側)へ露出して仮想線L6と仮想線L1との間に位置すると共に仮想線L200に接して構成されている。具体的には、仮想線L6は、第1トレッド141と中間トレッド143との接続位置Pと、第2トレッド242と中間トレッド143との接続位置Qとを通過する線であり、本実施の形態では、第1実施の形態における仮想線L3に等しく、仮想線L6と仮想線L1とが角度θ1をなしている。また、仮想線L200は、接続位置Qを通過し、その仮想線L200と仮想線L1とのなす角度θ200が角度θ1よりも小さく設定されている(θ200<θ1)。
なお、図9(a)では、第2トレッド242のトレッド面がサイドウォール部130側へ向かうに従ってタイヤ径方向内方(図9(a)上側)へ傾斜するように構成される場合を図示しているが、第2トレッド242のトレッド面を仮想線L1と平行に構成しても良く、或いは、サイドウォール部130側へ向かうに従ってタイヤ径方向外方(図9(a)下側)へ傾斜するように構成しても良い。また、仮想線L6は、第1実施の形態における仮想線L3に等しい場合に限られず、仮想線L1に対して所定角度をなす線であれば良い。
第3実施の形態におけるタイヤ300の第2トレッド342は、第2実施の形態におけるタイヤ200に対し、図9(b)に示す子午線断面において、トレッド面が仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図9(b)下側)に露出して仮想線L6と仮想線L1との間に位置すると共に仮想線L300に接して構成されている。具体的には、仮想線L300は、第2トレッド342と中間トレッド143との接続位置Qにおいて仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図9(b)下側)を通過し、その仮想線L300と仮想線L1とのなす角度θ300が角度θ1よりも大きく設定されている(θ300>θ1)。
なお、図9(b)では、第2トレッド342のトレッド面全域が仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図9(b)下側)へ露出するように構成される場合を図示しているが、第2トレッド342のトレッド面の一部のみが仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図9(b)下側)へ露出するように構成しても良い。
第4実施の形態におけるタイヤ400の第2トレッド442は、第3実施の形態におけるタイヤ300に対し、図9(c)に示す子午線断面において、トレッド面がタイヤ径方向外方(図9(c)下側)へ凸となる円弧状に構成されると共に仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図9(c)下側)に露出して仮想線L6と仮想線L1との間に位置するように構成されている。
なお、図9(c)では、第2トレッド442のトレッド面全域が仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図9(c)下側)へ露出するように構成される場合を図示しているが、第2トレッド442のトレッド面の一部のみが仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図9(c)下側)へ露出するように構成しても良い。
第5実施の形態におけるタイヤ500の中間トレッド543は、第1実施の形態におけるタイヤ100に対し、図10(a)に示す子午線断面において、トレッド面がタイヤ径方向内方(図10(a)上側)へ凸となる円弧状に構成されると共に仮想線L6よりもタイヤ径方向内方(図10(a)上側)へ入り込み仮想線L1とは反対側に位置するように構成されている。具体的には、仮想線L6は、第1トレッド141と中間トレッド543との接続位置Pと、第2トレッド142と中間トレッド543との接続位置Qとを通過する線であり、本実施の形態では、第1実施の形態における仮想線L2に等しく、仮想線L6と仮想線L1とが角度θ2をなしている。
なお、図10(a)では、中間トレッド543のトレッド面全域が仮想線L6よりもタイヤ径方向内方(図10(a)上側)へ入り込み、仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図10(a)下側)へ露出しないように構成される場合を図示しているが、中間トレッド543のトレッド面の一部が仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図10(a)下側)へ露出するように構成しても良い。また、仮想線L6は、第1実施の形態における仮想線L2に等しい場合に限られず、仮想線L1に対して所定角度をなす線であれば良い。
第6実施の形態におけるタイヤ600の第2トレッド642は、第5実施の形態におけるタイヤ500に対し、図10(b)に示す子午線断面において、トレッド面がタイヤ径方向外方(図10(b)下側)へ凸となる円弧状に構成されると共に仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図10(b)下側)へ露出して仮想線L6と仮想線L1との間に位置するように構成されている。
なお、図10(b)では、第2トレッド642のトレッド面全域が仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図10(b)下側)へ露出するように構成される場合を図示しているが、第2トレッド642のトレッド面の一部のみが仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図10(b)下側)へ露出するように構成しても良い。
第7実施の形態におけるタイヤ700の中間トレッド743は、第6実施の形態におけるタイヤ600に対し、図10(c)に示す子午線断面において、トレッド面がタイヤ径方向外方(図10(c)下側)へ凸となる円弧状に構成されると共に仮想線L6よりもタイヤ径方向内方(図10(c)上側)へ入り込み仮想線L1とは反対側に位置するように構成されている。
なお、図10(c)では、中間トレッド743のトレッド面全域が仮想線L6よりもタイヤ径方向内方(図10(c)上側)へ入り込み、仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図10(c)下側)へ露出しないように構成される場合を図示しているが、中間トレッド743のトレッド面の一部が仮想線L6よりもタイヤ径方向外方(図10(c)下側)へ露出するように構成しても良い。
第2実施の形態から第7実施の形態におけるタイヤ200〜700は、いずれの実施の形態においても、第1実施の形態におけるタイヤ100の場合と同様に、キャンバ角が0°の状態では、第2トレッド142,242,342,442,642及び中間トレッド143,543,743が走行路面から離間した状態となり、第1トレッド141のみが接地した状態となる。これにより、転がり抵抗の小さい特性に構成される第1トレッド141を使用して省燃費化を図ることができると共に、偏摩耗の発生を抑制することができる。
これに対し、キャンバ角が中間キャンバ角の状態となると、第1トレッド141は接地した状態が維持され、第2トレッド142,242,342,442,642が接地した状態となる。これにより、グリップ力の高い特性に構成される第2トレッド142,242,342,442,642を使用してグリップ性能の向上を図ることができる。
また、キャンバ角が最大キャンバ角の状態となると、第1トレッド141及び第2トレッド142,242,342,442,642は接地した状態が維持され、中間トレッド143,543,743が接地した状態となる。これにより、第2トレッド142,242,342,442,642よりもグリップ力の高い特性に構成される中間トレッド143,543,743を使用してグリップ性能のより一層の向上を図ることができる。
このように、第2実施の形態から第7実施の形態におけるタイヤ200〜700は、第1実施の形態におけるタイヤ100の第2トレッド142及び中間トレッド143のタイヤプロファイルを変更したものであり、キャンバ角が0°の状態で第2トレッド142,242,342,442,642及び中間トレッド143,543,743が走行路面から離間した状態となり、キャンバ角が中間キャンバ角および(又は)最大キャンバ角の状態で第2トレッド142,242,342,442,642及び中間トレッド143,543,743が接地した状態となるように構成されていることを趣旨としている。
次いで、図11を参照して、第8実施の形態におけるタイヤ800について説明する。なお、ここでは、タイヤ800が第1実施の形態における車両1(図1参照)に装着されるものとして説明する。また、第1実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図11は、タイヤ800の子午線断面図である。なお、図11では、タイヤ軸Oに対して片側の子午線断面のみを図示しており、他方側の子午線断面の図示が省略されている。ここで、タイヤ800は、タイヤ周方向全周において同一の構成であるため、タイヤ周方向一部の構成のみを図11を参照して説明し、他部についての説明は省略する。
図11に示すように、タイヤ800は、カーカス110と、そのカーカス110を被覆するゴム層820と、そのゴム層820におけるトレッド部840の内周側に(図11上側)に配置されるベルト部850とを主に備えて構成されている。
ゴム層820は、カーカス110を保護するためのものであり、図11に示すように、タイヤ幅方向(図11左右方向)に延設されるトレッド部840と、そのトレッド部840を挟んで両側に連設されるショルダー部860と、そのショルダー部860の両側に更に連設されるサイドウォール部830とを備えて構成されている。
トレッド部840は、走行路面に接地する部位であり、図11に示すように、第1トレッド841と、その第1トレッド841に連設される第2トレッド842との2種類のトレッドを備えて構成されている。タイヤ800は、第1トレッド841が車両1の外側に配置されると共に、第2トレッド842が車両1の内側に配置されるように車両1に装着される。
サイドウォール部830は、タイヤ側面を構成する部位であり、図11に示すように、第1トレッド841側(図11左側)に位置する第1サイドウォール831と、第2トレッド842側(図11右側)に位置する第2サイドウォール832とを備えて構成されている。
ショルダー部860は、トレッド部840とサイドウォール部860との間の肩を構成する部位であり、第1トレッド841及び第1サイドウォール831の間に位置する第1ショルダー861と、第2トレッド842及び第2サイドウォール832の間に位置する第2ショルダー862とを備えて構成されている。
ベルト部850は、トレッド部840の剛性を確保するためのものであり、第1トレッド841の内周側(図11上側)に対応して配置される第1ベルト851と、その第1ベルト851に連設され第2トレッド842の内周側(図11上側)に対応して配置される第2ベルト852とを備えている。これら第1ベルト851及び第2ベルト852は、第1ベルト851の厚みT1が第2ベルト852の厚みT2よりも厚く設定され(T1>T2)、第1ベルト851の剛性が第2ベルト852の剛性よりも高く構成されている。
これにより、第1トレッド841の剛性を第2トレッド842の剛性よりも高くして、第1トレッド841を第2トレッド842よりも変形し難くすることで、第1トレッド841を転がり抵抗の小さい特性に構成することができる。一方、第2トレッド842の剛性を第1トレッド841の剛性よりも低くして、第2トレッド842を第1トレッド841よりも変形し易くすることで、第2トレッド842をグリップ力の高い特性に構成することができる。
次いで、図11を参照して、タイヤ800のタイヤプロファイルについて説明する。なお、ここでは、タイヤ800を規格(例えばJATMA規格)で規定された標準リムに嵌合して内圧230kPaとした状態で負荷能力の100%の荷重を加えた場合のタイヤプロファイルを説明する。
第1トレッド841は、図11に示す子午線断面(タイヤ軸Oを含む平面でのタイヤ断面)において、トレッド面の輪郭がタイヤ径方向外方(図11下側)へ凸となる円弧状に構成されている。この第1トレッド841は、トレッド幅W1に構成され、そのトレッド幅W1内にタイヤ中心線CLが位置すると共に、キャンバ角が0°の状態で走行路面に接地する接地端であって車両1の外側(図11左側)の接地端位置E1(図12(a)参照)が位置するように構成されている。即ち、かかる接地端位置E1よりも第1トレッド841が車両1の外側(図11左側)まで延設されるように構成されている。
また、第1トレッド841は、第1トレッド841と第2トレッド842との接続位置Pを通過しタイヤ軸O方向(図11左右方向)に平行に延びる仮想線L1と、第1トレッド841のトレッド端であって車両1の外側(図11左側)に対応するトレッド端位置P1とがタイヤ軸Oと直交する方向(図11上下方向)に距離h1をなすように構成されている。
第2トレッド842は、図11に示す子午線断面において、トレッド面の輪郭がタイヤ径方向外方(図11下側)へ凸となる円弧状に構成されている。この第2トレッド842は、トレッド幅W2に構成され、そのトレッド幅W2内に、キャンバ角が最大キャンバ角の状態で走行路面に接地する接地端であって車両1の内側(図11右側)の接地端位置E2(図12(b)参照)が位置するように構成されている。即ち、かかる接地端位置E2よりも第2トレッド842が車両1の内側(図11右側)まで延設されるように構成されている。
また、第2トレッド842は、仮想線L1と、第2トレッド842のトレッド端であって車両1の内側(図11右側)に対応するトレッド端位置P2とがタイヤ軸Oと直交する方向(図11上下方向)に距離h2をなすように構成されている。
かかる距離h1と距離h2との関係は、距離h2が距離h1よりも大きく設定され(h1<h2)、接続位置P及びトレッド端位置P2を通過する仮想線L4と仮想線L1とがなす角度βが、接続位置P及びトレッド端位置P1を通過する仮想線L5と仮想線L1とがなす角度αよりも大きくなるように構成されている(α<β)。
ここで、角度βは、キャンバ角を0°とした場合に、接地面中に占める第1トレッド841の接地面積の割合を大きくする一方、キャンバ角を最大キャンバ角とした場合に、第2トレッド842の接地面積の割合を大きくし、キャンバ角が0°の状態と最大キャンバ角の状態との接地面積の差を大きく確保することのできる角度に設定されており、本実施の形態では、最大キャンバ角を5°とするのに対応して、角度βが3°に設定されている。
なお、角度βは、1°以上かつ10°以下の範囲内に設定することが望ましい。即ち、角度βを1°よりも小さくすると、キャンバ角が0°の状態で既に第2トレッド842の接地面積の割合が大きくなり、キャンバ角が最大キャンバ角の状態との接地面積の差を十分に確保することができなくなる。これに対し、角度βを1°以上とすることで、第1トレッド841と第2トレッド842との接地面積の差を大きく確保することができる。
一方、角度βを10°よりも大きくすると、第2トレッド842を接地端位置E2(図12(b)参照)まで接地させるのに必要な最大キャンバ角が大きくなり、車両1の不安定化を招く。また、この場合には、大きなキャンバ角がつけられた状態で第2トレッド842が接地することで、第2トレッド842側に荷重が偏り、サイドウォール部860なども変形する。その結果、キャンバ角の変更に伴う第2トレッド842の接地面形状の変化が大きくなり、第2トレッド842が先に摩耗する偏摩耗の発生を招く。これに対し、角度βを10°以下とすることで、第2トレッド842に接地荷重が偏って作用することを抑制することができる。これにより、キャンバ角の変更に伴う接地面形状の変化を小さくすることができるので、第2トレッド842が先に摩耗する偏摩耗の発生を抑制することができる。
上述したようなタイヤプロファイルに規定される各トレッド841,842は、それぞれ異なる溝、いわゆるトレッドパタンが刻設されている。第1トレッド841のトレッドパタンは、転がり抵抗の小さい特性を有するリブタイプとして構成されている。これに対し、第2トレッド842のトレッドパタンは、転がり抵抗は大きいが、グリップ力の高い特性を有するラグタイプとして構成されている。
また、各トレッド841,842は、それぞれ異なる損失正接tanδのトレッドゴムで構成され、第1トレッド841の損失正接tanδaが第2トレッド842の損失正接tanδbの2/3倍よりも小さく構成されると共に(tanδa<2/3・tanδb)、第1トレッド841の損失正接tanδaが60℃において0.15よりも小さく構成されている。即ち、第1トレッド841が転がり抵抗の小さい特性に構成されると共に、第2トレッド842が転がり抵抗は大きく、また、摩耗し易いが、グリップ力の高い特性に構成されている。
なお、第1トレッド841の損失正接tanδaは、60℃において、0.1よりも大きく且つ0.15よりも小さい範囲内に構成することが望ましい。即ち、損失正接tanδaを0.1以下とすると、製造が困難であると共に、0.15以上とすると、第1トレッド841の転がり抵抗を十分に低減することができなくなる。これに対し、損失正接tanδaを0.1よりも大きく且つ0.15よりも小さい範囲内とすることで、タイヤ800の製造を容易としつつ、転がり抵抗を十分に低減することができる。
次いで、図12を参照して、キャンバ角の変更に伴うトレッド部840の接地状態の変化および接地面形状の変化について説明する。なお、本実施の形態では、キャンバ角の付与方向はマイナス方向のみとする。従って、図12では、キャンバ角が0°の状態から最大キャンバ角(マイナス方向に最大のキャンバ角)の状態までの接地状態の変化および接地面形状の変化を説明する。
図12(a)及び図12(b)は、トレッド部840の接地状態を模式的に示した模式図であり、図12(c)及び図12(d)は、トレッド部840の接地面形状を模式的に示した模式図である。また、図12(a)及び図12(c)は、キャンバ角が0°の状態を、図12(b)及び図12(d)は、キャンバ角が最大キャンバ角の状態を、それぞれ示している。なお、図12(a)及び図12(b)では、図面の理解を容易とするため、主要部のみに符号を付して、図面を簡略化している。また、図12(a)及び図12(b)に示すトレッド部840の接地状態は、乗員や荷物などの荷重による影響を考慮しない理想的な接地状態を示している。
図12(a)に示すように、キャンバ角が0°の状態では、タイヤ中心線CLが走行路面Gと直交する。この場合、第1トレッド841及び第2トレッド842がいずれも走行路面Gに接地した状態となり、図12(c)に示すように、第1トレッド841及び第2トレッド842が接地面として現れる。また、第1トレッド841のトレッド幅W1内にタイヤ中心線CLが位置するように構成されているので(図11参照)、接地面中心GCが第1トレッド841上に位置する。
この場合、第1トレッド841は、トレッドパタン及び損失正接tanδに加え、ベルト部850の剛性の面で第2トレッド842よりも転がり抵抗の小さい特性であるので、タイヤ800に低転がり特性を付与することができる。その結果、転がり抵抗を低減して、その分、省燃費化を図ることができる。
また、かかる場合には、距離h2が距離h1よりも大きく設定されているので(図11参照)、接地面中に占める第1トレッド841の接地面積の割合が大きくなり、第2トレッド842の接地面積の割合が小さくなる。よって、第1トレッド841よりも転がり抵抗が大きく、また、摩耗し易い特性である第2トレッド842の接地面積の割合を小さくすることができるので、その分、転がり抵抗を低減して、省燃費化を図ることができると共に、第2トレッド842が先に摩耗する偏摩耗を抑制することができる。
キャンバ角が0°の状態から最大キャンバ角の状態となると、図12(b)に示すように、走行路面Gに直交する鉛直線Vに対しタイヤ中心線CLが最大キャンバ角と同じ角度で傾斜する。この場合、第2トレッド842は、角度βがキャンバ角を最大キャンバ角とした場合に接地面中に占める第2トレッド842の接地面積の割合を大きくすることのできる角度に設定されているので、図12(d)に示すように、第2トレッド842の接地面積の割合が大きくなり、第1トレッド841の接地面積の割合が小さくなる。また、接地面中心GCも第2トレッド842側(図12(d)右側)へ移動して、第2トレッド842上に位置する。
この場合、第2トレッド842は、トレッドパタン及び損失正接tanδに加え、ベルト部850の剛性の面で第1トレッド841よりもグリップ力の高い特性であるので、タイヤ800に高グリップ特性を付与することができる。その結果、グリップ力を増加して、グリップ性能の向上を図ることができる。
また、かかる場合には、第2ベルト852の剛性が第1ベルト851の剛性よりも低く構成されているので、キャンバ角にならって第2トレッド842を変形させることができ、接地面に対する第1トレッド841の接地面圧と第2トレッド842の接地面圧との均一化を図ることができる。これにより、キャンバ角の変更に伴う接地面形状の変化を小さくすることができるので、偏摩耗の発生を抑制することができる。
このように、本実施の形態におけるタイヤ800によれば、距離h2が距離h1よりも大きく設定されているので、転がり抵抗の小さい第1トレッド841とグリップ力の高い第2トレッド842との接地面積の差を大きくして、転がり抵抗の低減とグリップ性能の向上との両立を効率的に図ることができる。
また、本実施の形態におけるタイヤ800によれば、第1トレッド841のトレッド幅W1内にタイヤ中心線CLが位置するように構成されると共に、距離h2が距離h1よりも大きく設定されているので、キャンバ角を最大キャンバ角とした場合でも、第2トレッド842に接地荷重が偏って作用することを抑制することができる。これにより、キャンバ角の変更に伴う接地面形状の変化を小さくすることができるので、摩耗し易い特性に構成される第2トレッド842が先に摩耗する偏摩耗の発生を抑制することができる。
また、本実施の形態におけるタイヤ800によれば、第1トレッド841の損失正接tanδaが第2トレッド842の損失正接tanδbの2/3倍よりも小さく構成されているので、第1トレッド841と第2トレッド842との特性差を十分に確保することができる。その結果、転がり抵抗の低減とグリップ力の向上とを効果的に発揮させることができる。
また、本実施の形態におけるタイヤ800によれば、第1トレッド841が車両1の外側に配置されると共に、第2トレッド842が車両1の内側に配置されているので、グリップ力の高い特性に構成される第2トレッド842の接地面積を増やす場合には、ネガティブキャンバを付与した状態とすることができ、その結果、車両1の旋回性能の向上を図ることができる。
次いで、図13を参照して、第9実施の形態におけるタイヤ900について説明する。なお、ここでは、タイヤ900が第1実施の形態における車両1(図1参照)に装着されるものとして説明する。また、第1実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図13は、タイヤ900の子午線断面図である。なお、図13では、タイヤ軸Oに対して片側の子午線断面のみを図示しており、他方側の子午線断面の図示が省略されている。ここで、タイヤ900は、タイヤ周方向全周において同一の構成であるため、タイヤ周方向一部の構成のみを図13を参照して説明し、他部についての説明は省略する。
図13に示すように、タイヤ900は、カーカス110と、そのカーカス110を被覆するゴム層920と、そのゴム層920におけるトレッド部940の内周側に(図13上側)に配置されるベルト部950とを主に備えて構成されている。
ゴム層920は、カーカス110を保護するためのものであり、図13に示すように、タイヤ幅方向(図13左右方向)に延設されるトレッド部940と、そのトレッド部940を挟んで両側に連設されるショルダー部960と、そのショルダー部960の両側に更に連設されるサイドウォール部930とを備えて構成されている。
トレッド部940は、走行路面に接地する部位であり、図13に示すように、第1トレッド941と、その第1トレッド941に連設される第2トレッド942との2種類のトレッドを備えて構成されている。タイヤ900は、第1トレッド941が車両1の外側に配置されると共に、第2トレッド942が車両1の内側に配置されるように車両1に装着される。
サイドウォール部930は、タイヤ側面を構成する部位であり、図13に示すように、第1トレッド941側(図13左側)に位置する第1サイドウォール931と、第2トレッド942側(図13右側)に位置する第2サイドウォール932とを備えて構成されている。
ショルダー部960は、トレッド部940とサイドウォール部960との間の肩を構成する部位であり、第1トレッド941及び第1サイドウォール931の間に位置する第1ショルダー961と、第2トレッド942及び第2サイドウォール932の間に位置する第2ショルダー962とを備えて構成されている。
ベルト部950は、トレッド部940の剛性を確保するためのものであり、第1トレッド941の内周側(図13上側)に対応して配置される第1ベルト951と、その第1ベルト951に連設され第2トレッド942の内周側(図13上側)に対応して配置される第2ベルト952とを備えている。これら第1ベルト951及び第2ベルト952は、第1ベルト951の厚みT1が第2ベルト952の厚みT2よりも厚く設定され(T1>T2)、第1ベルト951の剛性が第2ベルト952の剛性よりも高く構成されている。
これにより、第1トレッド941の剛性を第2トレッド942の剛性よりも高くして、第1トレッド941を第2トレッド942よりも変形し難くすることで、第1トレッド941を転がり抵抗の小さい特性に構成することができる。一方、第2トレッド942の剛性を第1トレッド941の剛性よりも低くして、第2トレッド942を第1トレッド941よりも変形し易くすることで、第2トレッド942をグリップ力の高い特性に構成することができる。
次いで、図13を参照して、タイヤ900のタイヤプロファイルについて説明する。なお、ここでは、タイヤ900を規格(例えばJATMA規格)で規定された標準リムに嵌合して内圧230kPaとした状態で負荷能力の100%の荷重を加えた場合のタイヤプロファイルを説明する。
第1トレッド941は、図13に示す子午線断面(タイヤ軸Oを含む平面でのタイヤ断面)において、トレッド面の輪郭がタイヤ径方向外方(図13下側)へ凸となる曲率半径Rt1の円弧状に構成されている。この第1トレッド941は、トレッド幅W1に構成され、そのトレッド幅W1内にタイヤ中心線CLが位置するように構成されている。
第2トレッド942は、図13に示す子午線断面において、トレッド面の輪郭がタイヤ径方向外方(図13下側)へ凸となる曲率半径Rt2の円弧状に構成され、その曲率半径Rt2が曲率半径Rt1よりも小さく設定されている(Rt1>Rt2)。この第2トレッド942は、トレッド幅W2に構成されている。
第1サイドウォール931は、図13に示す子午線断面において、外表面の輪郭がタイヤ幅方向外方(図13左側)へ凸となる曲率半径Rw1の円弧状に構成されると共に、第2サイドウォール932は、外表面の輪郭がタイヤ幅方向外方(図13右側)へ凸となる曲率半径Rw2の円弧状に構成されている。
これら第1サイドウォール931及び第2サイドウォール932は、タイヤ最大幅部におけるタイヤ軸O方向(図13左右方向)長さに関し、第2サイドウォール932の肉厚M2が第1サイドウォール931の肉厚M1よりも厚く設定され(M1<M2)、第2サイドウォール932の剛性が第1サイドウォール931の剛性よりも高く構成されている。
これにより、キャンバ角を最大キャンバ角とした場合でも、第2トレッド942側の強度を確保して、第2トレッド942及び第2ショルダー962の異常変形を抑制することができる。これにより、キャンバ角の変更に伴う接地面形状の変化を小さくすることができるので、摩耗し易い特性に構成される第2トレッド942が先に摩耗する偏摩耗の発生を抑制することができる。
また、タイヤ最大幅部におけるタイヤ軸O方向長さに関し、第2サイドウォール932の肉厚M2が第1サイドウォール931の肉厚M1よりも厚く設定されているので、タイヤ軸O方向長さが肉厚とされた第2サイドウォール932のゴム状弾性体が変形抵抗となり、キャンバ角が最大キャンバ角の状態において、第2トレッド942のグリップ性能の向上を図ることができる。
第1ショルダー961は、図13に示す子午線断面において、外表面の輪郭が第1トレッド941のトレッド面の輪郭と第1サイドウォール931の外表面の輪郭とのそれぞれに内接する曲率半径Rs1の円弧状に構成されると共に、第2ショルダー962は、外表面の輪郭が第2トレッド942のトレッド面の輪郭と第2サイドウォール932の外表面の輪郭とのそれぞれに内接する曲率半径Rs2の円弧状に構成され、その曲率半径Rs2が曲率半径Rs1よりも大きく設定されている(Rs1<Rs2)。
上述したようなタイヤプロファイルに規定される各トレッド941,942は、それぞれ異なる溝、いわゆるトレッドパタンが刻設されている。第1トレッド941のトレッドパタンは、転がり抵抗の小さい特性を有するリブタイプとして構成されている。これに対し、第2トレッド942のトレッドパタンは、転がり抵抗は大きいが、グリップ力の高い特性を有するブロックタイプとして構成されている。
また、各トレッド941,942は、それぞれ異なる損失正接tanδのトレッドゴムで構成され、第1トレッド941の損失正接tanδaが第2トレッド942の損失正接tanδbよりも小さく構成されている(tanδa<tanδb)。即ち、第1トレッド941が転がり抵抗の小さい特性に構成されると共に、第2トレッド942が転がり抵抗は大きく、また、摩耗し易いが、グリップ力の高い特性に構成されている。
次いで、図14を参照して、キャンバ角の変更に伴うトレッド部940の接地状態の変化および接地面形状の変化について説明する。なお、本実施の形態では、キャンバ角の付与方向はマイナス方向のみとする。従って、図14では、キャンバ角が0°の状態から最大キャンバ角(マイナス方向に最大のキャンバ角)の状態までの接地状態の変化および接地面形状の変化を説明する。
図14(a)及び図14(b)は、トレッド部940の接地状態を模式的に示した模式図であり、図14(c)及び図14(d)は、トレッド部940の接地面形状を模式的に示した模式図である。また、図14(a)及び図14(c)は、キャンバ角が0°の状態を、図14(b)及び図14(d)は、キャンバ角が最大キャンバ角の状態を、それぞれ示している。なお、図14(a)及び図14(b)では、図面の理解を容易とするため、主要部のみに符号を付して、図面を簡略化している。また、図14(a)及び図14(b)に示すトレッド部940の接地状態は、乗員や荷物などの荷重による影響を考慮しない理想的な接地状態を示している。
図14(a)に示すように、キャンバ角が0°の状態では、タイヤ中心線CLが走行路面Gと直交する。この場合、第1トレッド941及び第2トレッド942がいずれも走行路面Gに接地した状態となり、図14(c)に示すように、第1トレッド941及び第2トレッド942が接地面として現れる。また、第1トレッド941のトレッド幅W1内にタイヤ中心線CLが位置するように構成されているので(図13参照)、接地面中心GCが第1トレッド941上に位置する。
この場合、第1トレッド941は、トレッドパタン及び損失正接tanδに加え、ベルト部950の剛性の面で第2トレッド942よりも転がり抵抗の小さい特性であるので、タイヤ900に低転がり特性を付与することができる。その結果、転がり抵抗を低減して、その分、省燃費化を図ることができる。
また、かかる場合には、第2トレッド942のトレッド面における輪郭の曲率半径Rt2が第1トレッド941のトレッド面における輪郭の曲率半径Rt1よりも小さく構成されているので(図13参照)、接地面中に占める第1トレッド941の接地面積の割合が大きくなり、第2トレッド942の接地面積の割合が小さくなる。よって、第1トレッド941よりも転がり抵抗が大きく、また、摩耗し易い特性である第2トレッド942の接地面積の割合を小さくすることができるので、その分、転がり抵抗を低減して、省燃費化を図ることができると共に、第2トレッド942が先に摩耗する偏摩耗の発生を抑制することができる。
キャンバ角が0°の状態から最大キャンバ角の状態となると、図14(b)に示すように、走行路面Gに直交する鉛直線Vに対しタイヤ中心線CLが最大キャンバ角と同じ角度で傾斜する。この場合、曲率半径Rt2が曲率半径Rt1よりも小さく構成されると共に、第2ショルダー962の外表面における輪郭の曲率半径Rs2が第1ショルダー961の外表面における輪郭の曲率半径Rs1よりも大きく構成されているので、図14(d)に示すように、第2トレッド942の接地面積の割合が大きくなり、第1トレッド941の接地面積の割合が小さくなる。また、接地面中心GCも第2トレッド942側(図14(d)右側)へ移動して、第2トレッド442上に位置する。
なお、図14(b)及び図14(d)では、第2ショルダー962が接地せず走行路面から離間した状態を図示しているが、最大キャンバ角が本実施の形態における最大キャンバ角よりも大きく設定される場合には、第2ショルダー962も接地面に現れ、第2トレッド942及び第2ショルダー962の接地面積の割合が大きくなり、第1トレッド941の接地面積の割合が小さくなる。
この場合、第2トレッド942は、トレッドパタン及び損失正接tanδに加え、ベルト部950の剛性の面で第1トレッド941よりもグリップ力の高い特性であるので、タイヤ900に高グリップ特性を付与することができる。その結果、グリップ力を増加して、グリップ性能の向上を図ることができる。
また、かかる場合には、第2ベルト952の剛性が第1ベルト951の剛性よりも低く構成されているので、キャンバ角にならって第2トレッド942を変形させることができ、接地面に対する第1トレッド941の接地面圧と第2トレッド942の接地面圧との均一化を図ることができる。これにより、キャンバ角の変更に伴う接地面形状の変化を小さくすることができるので、偏摩耗の発生を抑制することができる。
このように、本実施の形態におけるタイヤ900によれば、曲率半径Rt2が曲率半径Rt1よりも小さく構成されているので、転がり抵抗の小さい第1トレッド941とグリップ力の高い第2トレッド942との接地面積の差を大きくして、転がり抵抗の低減とグリップ性能の向上との両立を効率的に図ることができる。
また、本実施の形態におけるタイヤ900によれば、第1トレッド941のトレッド幅W1内にタイヤ中心線CLが位置すると共に、曲率半径Rt2が曲率半径Rt1よりも小さく構成されているので、キャンバ角を最大キャンバ角とした場合でも、第2トレッド942に接地荷重が偏って作用することを抑制することができる。これにより、キャンバ角の変更に伴う接地面形状の変化を小さくすることができるので、摩耗し易い特性に構成される第2トレッド942が先に摩耗する偏摩耗の発生を抑制することができる。
また、本実施の形態におけるタイヤ900によれば、タイヤ最大幅部におけるタイヤ軸O方向長さに関し、第2サイドウォール932の肉厚M2が第1サイドウォール931の肉厚M1よりも厚く設定され、第2サイドウォール932の剛性が第1サイドウォール931の剛性よりも高く構成されているので、第2トレッド942にグリップ力の高い特性を付与するべく、第2ベルト部952の厚みT2を第1ベルト951の厚みT1よりも薄く設定し、第2トレッド942の剛性を第1トレッド941の剛性よりも低く構成した場合でも、タイヤ軸O方向長さが肉厚とされた第2サイドウォール932のゴム状弾性体が変形抵抗となり、キャンバ角が最大キャンバ角の状態において、第2トレッド942及び第2ショルダー962の異常変形を抑制することができる。これにより、キャンバ角の変更に伴う接地面形状の変化を小さくすることができるので、摩耗し易い特性に構成される第2トレッド942が先に摩耗する偏摩耗の発生を抑制することができる。
また、本実施の形態におけるタイヤ900によれば、第1トレッド941が車両1の外側に配置されると共に、第2トレッド942が車両1の内側に配置されているので、グリップ力の高い特性に構成される第2トレッド942の接地面積を増やす場合には、ネガティブキャンバを付与した状態とすることができ、その結果、車両1の旋回性能の向上を図ることができる。
次いで、図15を参照して、第10実施の形態におけるタイヤ1000について説明する。なお、ここでは、タイヤ1000が第1実施の形態における車両1(図1参照)に装着されるものとして説明する。また、第1実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図15は、タイヤ1000の子午線断面図である。なお、図15では、タイヤ軸Oに対して片側の子午線断面のみを図示しており、他方側の子午線断面の図示が省略されている。ここで、タイヤ1000は、タイヤ周方向全周において同一の構成であるため、タイヤ周方向一部の構成のみを図15を参照して説明し、他部についての説明は省略する。
図15に示すように、タイヤ1000は、カーカス110と、そのカーカス110を被覆するゴム層1020と、そのゴム層1020におけるトレッド部1040の内周側に(図15上側)に配置されるベルト部1050とを主に備えて構成されている。
ゴム層1020は、カーカス110を保護するためのものであり、図15に示すように、ビード部121と、そのビード部121に連設されタイヤ径方向外方(図15下側)へ向けて延設されるサイドウォール部130と、そのサイドウォール部130に連設されタイヤ幅方向(図15左右方向)に延設されるトレッド部1040とを備えて構成されている。
トレッド部1040は、走行路面に接地する部位であり、図15に示すように、第1トレッド1041と、その第1トレッド1041を挟んで両側に連設される中間トレッド1043と、その中間トレッド1043の両側に更に連設される第2トレッド1042との3種類のトレッドを備えて構成されている。
ベルト部1050は、トレッド部1040の剛性を確保するためのものであり、第1トレッド1041の内周側(図15上側)に対応して配置される第1ベルト1051と、その第1ベルト1051を挟んで両側に連設され第2トレッド1042及び中間トレッド1043の内周側(図15上側)に対応して配置される第2ベルト1052とを備えている。これら第1ベルト1051及び第2ベルト1052は、第1ベルト1051の厚みT1が第2ベルト1052の厚みT2よりも厚く設定され(T1>T2)、第1ベルト1051の剛性が第2ベルト1052の剛性よりも高く構成されている。
これにより、第1トレッド1041の剛性を第2トレッド1042及び中間トレッド1053の剛性よりも高くして、第1トレッド1041を第2トレッド1042よりも変形し難くすることで、第1トレッド1041を転がり抵抗の小さい特性に構成することができる。一方、第2トレッド1042及び中間トレッド1043の剛性を第1トレッド1041の剛性よりも低くして、第2トレッド1042を第1トレッド1041よりも変形し易くすることで、第2トレッド1042をグリップ力の高い特性に構成することができる。
ここで、タイヤ1000のタイヤプロファイルは、第1実施の形態におけるタイヤ100のタイヤプロファイルに基づき、タイヤ100における第2トレッド142及び中間トレッド143のトレッド面の輪郭をタイヤ中心線CLを対称とした構成であると共に、第1トレッド1041がタイヤ100の第1トレッド141に、第2トレッド1042がタイヤ100の第1トレッド142に、中間トレッド1043がタイヤ100の中間トレッド143に、それぞれ対応するものであるため、その説明については省略する。
なお、本実施の形態におけるタイヤ1000では、第1トレッド1041のトレッド幅W1が第2トレッド1042のトレッド幅W2の2倍と中間トレッド1043のトレッド幅W3の2倍との和よりも大きく設定されている(W1>2・W2+2・W3)。
上述したようなタイヤプロファイルに規定される各トレッド1041,1042,1043のトレッドパタン及び損失正接tanδに関しては、第1トレッド1041が第1実施の形態におけるタイヤ100の第1トレッド141に、第2トレッド1042がタイヤ100の第1トレッド142に、中間トレッド1043がタイヤ100の中間トレッド143に、それぞれ対応するものであるため、その説明については省略する。
次いで、キャンバ角の変更に伴うトレッド部1040の接地面形状の変化およびタイヤ1000の特性の変化について説明する。キャンバ角が0°の状態では、第1実施の形態におけるタイヤ100の場合と同様に、第2トレッド1042及び中間トレッド1043は走行路面から離間した状態となり、第1トレッド1041のみが接地した状態となるので、第1トレッド1041のみが接地面として現れる。
この場合、第1トレッド1041は、トレッドパタン及び損失正接tanδに加え、ベルト部1050の剛性の面で第2トレッド1042及び中間トレッド1043よりも転がり抵抗の小さい特性であるので、タイヤ1000に低転がり特性を付与することができる。その結果、転がり抵抗を低減して、その分、省燃費化を図ることができる。
また、かかる場合には、第1トレッド1041よりも転がり抵抗が大きく、また、摩耗し易い特性である第2トレッド1042及び中間トレッド1043を走行路面から離間させることができるので、その分、転がり抵抗を低減して、省燃費化を図ることができると共に、第2トレッド1042及び中間トレッド1043が先に摩耗する偏摩耗の発生を抑制することができる。
キャンバ角が中間キャンバ角の状態となると、第1実施の形態におけるタイヤ100の場合と同様に、第2トレッド1042が接地した状態となるので、接地面に第2トレッド1042が現れる。
この場合、第2トレッド1042は、トレッドパタン及び損失正接tanδに加え、ベルト部1050の剛性の面で第1トレッド1041よりもグリップ力の高い特性であるので、タイヤ1000に高グリップ特性を付与することができる。その結果、グリップ力を増加して、グリップ性能の向上を図ることができる。
また、かかる場合には、第2ベルト1052の剛性が第1ベルト1051の剛性よりも低く構成されているので、キャンバ角にならって第2トレッド1042を変形させることができ、接地面に対する第1トレッド1041の接地面圧と第2トレッド1042の接地面圧との均一化を図ることができる。これにより、キャンバ角の変更に伴う接地面形状の変化を小さくすることができるので、偏摩耗の発生を抑制することができる。
同様に、キャンバ角がプラス方向に最大のキャンバ角の半分となると、第2トレッド1042が接地した状態となるので、接地面に第2トレッド1042が現れ、タイヤ1000に高グリップ特性を付与することができる。その結果、グリップ力を増加して、グリップ性能の向上を図ることができる。
キャンバ角が最大キャンバ角の状態となると、第1実施の形態におけるタイヤ100の場合と同様に、中間トレッド1043が接地した状態となるので、接地面に中間トレッド1043が現れる。
この場合、中間トレッド1043は、損失正接tanδの面で第2トレッド1042よりもグリップ力の高い特性であるので、タイヤ1000に更なる高グリップ特性を付与することができる。その結果、タイヤ1000のグリップ力をより増加して、グリップ性能のより一層の向上を図ることができる。
また、かかる場合には、第2ベルト1052の剛性が第1ベルト1051の剛性よりも低く構成されているので、キャンバ角にならって中間トレッド1043を変形させることができ、接地面に対する第1トレッド1041の接地面圧と第2トレッド1042の接地面圧と中間トレッド1043の接地面圧との均一化を図ることができる。これにより、キャンバ角の変更に伴う接地面形状の変化を小さくすることができるので、偏摩耗の発生を抑制することができる。
同様に、キャンバ角がプラス方向に最大のキャンバ角となると、中間トレッド1043が接地した状態となるので、接地面に中間トレッド1043が現れ、キャンバ角がプラス方向に最大のキャンバ角の半分の状態よりも、タイヤ1000に更なる高グリップ特性を付与することができる。その結果、タイヤ1000のグリップ力をより増加して、グリップ性能のより一層の向上を図ることができる。
このように、本実施の形態におけるタイヤ1000によれば、第2トレッド1042を接地させた後に中間トレッド1043を接地させる、即ち、グリップ力の低いトレッド面からグリップ力の高いトレッド面へと順に接地させることができるので、タイヤ1000全体としてのグリップ力が急激に変化することを抑制して、車両1の安定性を保つことができる。
更に、上述したように、キャンバ角が一定の角度(本実施の形態では2.5°)増加する毎に第2トレッド1042から中間トレッド1043へと順に接地させることができるので、タイヤ1000全体としてのグリップ力が急激に変化することを抑制して、車両1の安定性を保つことができる。
また、本実施の形態におけるタイヤ1000によれば、損失正接tanδが大きく構成され変形し易い中間トレッド1043が第1トレッド1041と第2トレッド1042との間に配置されているので、中間トレッド1043を接地させるために必要な最大キャンバ角をより小さくすることができる。
また、本実施の形態におけるタイヤ1000によれば、第1ベルト1051の剛性が第2ベルト1052の剛性よりも高く構成されているので、キャンバ角が0°の状態での車両1の操縦安定性の向上を図ることができると共に、キャンバ角を付与した場合には、第2トレッド1042及び中間トレッド1043を変形させ易くして、それら第2トレッド1042及び中間トレッド1043を確実に接地させることができる。
また、本実施の形態におけるタイヤ1000によれば、第2トレッド1042及び中間トレッド1043が第1トレッド1041を挟んで両側に配置されているので、グリップ力の高い特性に構成される第2トレッド1042及び中間トレッド1043の接地面積を増やす場合には、ネガティブキャンバ又はポジティブキャンバのいずれかを付与した状態とすることができ、その結果、例えば、車両1の旋回時に旋回内側へ向けてネガティブキャンバ又はポジティブキャンバを付与することで、キャンバスラストを発生させつつ、車両1の旋回性能の向上を図ることができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。また、上記各実施の形態における構成の一部または全部を他の実施の形態における構成の一部または全部と組み合わせることは当然可能である。
上記第1実施の形態および第8実施の形態から第10実施の形態では、第1ベルト151,851,951,1051の厚みT1が第2ベルト152,852,952,1052の厚みT2よりも厚く設定されることで、第1ベルト151,852,952,1052の剛性が第2ベルト152,852,952,1052の剛性よりも高く構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第1ベルト151,851,951,1051のコードの線径を第2ベルト152,852,952,1052のコードの線径よりも太くすることにより、或いは、第1ベルト151,851,951,1051のコードの本数を第2ベルト152,852,952,1052のコードの本数よりも多くすることにより、第1ベルト151,852,952,1052の剛性を第2ベルト152,852,952,1052の剛性より高くしても良い。
上記第1実施の形態および第8実施の形態から第10実施の形態では、トレッドパタン及び損失正接tanδに加え、ベルト部150,850,950,1050の剛性により、第1トレッド141,841,941,1041、第2トレッド142,842,942,1042及び中間トレッド143,1043が転がり抵抗の小さい特性またはグリップ力の高い特性に構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、トレッドパタン又は損失正接tanδ或いはベルト部150,850,950,1050の剛性の内いずれか1つにより、第1トレッド141,841,941,1041、第2トレッド142,842,942,1042及び中間トレッド143,1043を転がり抵抗の小さい特性またはグリップ力の高い特性に構成しても良く、トレッドパタン又は損失正接tanδ或いはベルト部150,850,950,1050の剛性の内いずれか2つを組み合わせて転がり抵抗の小さい特性またはグリップ力の高い特性に構成しても良い。
上記第1実施の形態および第10実施の形態では、第2トレッド142,1042のトレッドパタンがラグタイプとして、中間トレッド143,1043のトレッドパタンがブロックタイプとして、それぞれ構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2トレッド142,1042のトレッドパタンをブロックタイプとして、中間トレッド143,1043のトレッドパタンをラグタイプとして、それぞれ構成しても良い。同様に、上記第8実施の形態では、第2トレッド842のトレッドパタンがラグタイプとして、第9実施の形態では、第2トレッド942のトレッドパタンがブロックタイプとして、それぞれ構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第8実施の形態における第2トレッド842のトレッドパタンをブロックタイプとして、第9実施の形態における第2トレッド942のトレッドパタンをラグタイプとして、それぞれ構成しても良い。