JP5000277B2 - テラヘルツ電磁波発生装置およびテラヘルツ電磁波検出装置 - Google Patents

テラヘルツ電磁波発生装置およびテラヘルツ電磁波検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、テラヘルツ電磁波発生装置およびテラヘルツ電磁波検出装置に関するものである。
テラヘルツ電磁波は、光波と電波との中間領域に相当する0.01THz〜100THz程度の周波数を有する電磁波であり、光波と電波との間の中間的な性質を有している。このようなテラヘルツ電磁波の応用として、測定対象物で透過または反射したテラヘルツ電磁波の電場振幅の時間波形を測定することで該測定対象物の情報を取得する技術が研究されている。また、テラヘルツ電磁波を発生する技術や検出する技術も研究されている。
特許文献1および非特許文献1には、半導体レーザ光源から出力されたレーザ光を光導電アンテナ素子に入射させてテラヘルツ電磁波を発生する技術が開示されている。これらの文献に開示されたテラヘルツ電磁波発生技術は、発生されるテラヘルツ電磁波の周波数スペクトルは離散的であり、ピークとなる周波数を制御することができない。
一方、特許文献2に開示されたテラヘルツ電磁波発生技術は、外部共振ミラーと半導体レーザ素子とからなる共振器を2つ用意して、これら2つの共振器から出力される2つのレーザ光を非線形光学材料内で差周波混合させることにより、テラヘルツ電磁波を発生させる。そして、外部共振ミラーを移動させることによりテラヘルツ電磁波の周波数を変化させることができるとしている。
特開2001−021503号公報 特開2006−227433号公報 M. Tani, et al.,"Multiple-Frequency Generation of Sub-Terahertz Radiation by Multimode LDExcitation of Photoconductive Antenna", IEEEMicrowave and Guided Wave Lett., Vol.7, No.9, (1997) pp.282-284
以上のように、特許文献1および非特許文献1に開示されたテラヘルツ電磁波発生技術は、発生されるテラヘルツ電磁波の周波数スペクトルは離散的であり、ピークとなる周波数を制御することができない。一方、特許文献2に開示されたテラヘルツ電磁波発生技術は、テラヘルツ電磁波の周波数を制御することが可能であるものの、その為の構成が複雑になるという問題点があった。
すなわち、従来のテラヘルツ電磁波発生装置では、周波数が可変であるテラヘルツ電磁波を簡易な構成で発生することができない。また、このようなテラヘルツ電磁波発生装置で発生したテラヘルツ電磁波を用いて測定を行うテラヘルツ電磁波検出装置では、高精度の測定を簡易な構成で行うことができない。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、周波数が可変であるテラヘルツ電磁波を簡易な構成で発生することができるテラヘルツ電磁波発生装置を提供することを目的とする。また、高精度の測定を簡易な構成で行うことができるテラヘルツ電磁波検出装置を提供することを目的とする。
本発明に係るテラヘルツ電磁波発生装置は、(1) 第1面と第2面とに挟まれた活性層を有し、活性層で光を放出する半導体発光素子と、(2)半導体発光素子の第1面に対向して設けられ、半導体発光素子の第2面との間で共振器を構成するミラーと、(3) 共振器の共振器長を変化させる共振器長変更手段と、(4)半導体基板上に形成された1対の電極を有し、共振器から出力される光を1対の電極の間に入力してテラヘルツ電磁波を発生する発生用光導電アンテナ素子と、を備えることを特徴とする。
このテラヘルツ電磁波発生装置では、半導体発光素子の第1面に対向して設けられたミラーと、半導体発光素子の第2面との間で、共振器が構成されている。この共振器において、半導体発光素子の活性層で光が誘導放出されて発振してレーザ光が出力される。その出力されたレーザ光は、発生用光導電アンテナ素子の1対の電極の間に入射される。そして、レーザ光が入射された発生用光導電アンテナ素子からテラヘルツ電磁波が発生する。また、共振器長変更手段により共振器の共振器長が変化される。発生用光導電アンテナ素子で発生するテラヘルツ電磁波の周波数は、この共振器長に応じて連続的に変化する。
本発明に係るテラヘルツ電磁波発生装置では、半導体発光素子の第1面からミラーへ向かう光をコリメートするコリメート手段が第1面に設けられているのが好適である。この場合には、半導体発光素子の第1面からの出射光がコリメート手段によりコリメートされるので、ミラーで反射される光は、導波モードを保持したまま半導体発光素子の第1面から活性層へ再入射する。このことから、共振器長変更手段により共振器の共振器長が変化されても、半導体発光素子の第2面とミラーとの間で常にレーザ共振器が構成される。
本発明に係るテラヘルツ電磁波発生装置では、半導体発光素子が垂直共振器構造の面発光レーザ素子であるのが好適である。この場合には、半導体発光素子の第2面とミラーとで構成される共振器の共振器長を短くすることも可能であるので、得られるテラヘルツ電磁波の周波数の可変範囲が拡大され得る。
本発明に係るテラヘルツ電磁波検出装置は、(1) 上記の本発明に係るテラヘルツ電磁波発生装置と、(2) このテラヘルツ電磁波発生装置に含まれる共振器と発生用光導電アンテナ素子との間の光路上に設けられ、共振器から出力される光の一部を分岐してプローブ光として出力する分岐部と、(3) 発生用光導電アンテナ素子から出力され測定対象物で透過または反射したテラヘルツ電磁波を入力するとともに、分岐部から出力されたプローブ光を入力して、これらテラヘルツ電磁波とプローブ光との相関を検出する検出部と、を備えることを特徴とする。
このテラヘルツ電磁波検出装置では、テラヘルツ電磁波発生装置に含まれる共振器と発生用光導電アンテナ素子との間の光路上に設けられた分岐部により、共振器から出力される光の一部が分岐されてプローブ光として出力される。発生用光導電アンテナ素子から出力され測定対象物で透過または反射したテラヘルツ電磁波、および、分岐部から出力されたプローブ光は、検出部に入力して、これらテラヘルツ電磁波とプローブ光との相関が検出される。
本発明に係るテラヘルツ電磁波検出装置は、発生用光導電アンテナ素子から検出部に到るまでのテラヘルツ電磁波の光路長、および、分岐部から検出部に到るまでのプローブ光の光路長の、何れかを調整する光路長調整部を更に備えるのが好適である。この場合には、テラヘルツ電磁波またはプローブ光の光路長が光路長調整部により調整されることにより、検出部に入射されるテラヘルツ電磁波とプローブ光とのタイミング差が調整され得る。
また、本発明に係るテラヘルツ電磁波検出装置では、検出部が、半導体基板上に形成された1対の電極を有し、テラヘルツ電磁波およびプローブ光を1対の電極の間に入力する検出用光導電アンテナ素子を含むのが好適である。また、本発明に係るテラヘルツ電磁波検出装置は、(a) 発生用光導電アンテナ素子の1対の電極の間に正弦波変調された電圧を印加する信号発生部と、(b) 信号発生部から出力される正弦波変調された電圧に基づいて、検出用光導電アンテナ素子の1対の電極の間に生じる電流を同期検出して、テラヘルツ電磁波とプローブ光との相関を検出する同期検出部と、を更に備えるのが好適である。この場合には、信号発生部により、発生用光導電アンテナ素子の1対の電極の間に、正弦波変調された電圧が印加される。そして、同期検出部により、信号発生部から出力される正弦波変調された電圧に基づいて、検出用光導電アンテナ素子の1対の電極の間に生じる電流が同期検出されて、テラヘルツ電磁波とプローブ光との相関が検出される。
本発明に係るテラヘルツ電磁波発生装置は、周波数が可変であるテラヘルツ電磁波を簡易な構成で発生することができる。また、本発明に係るテラヘルツ電磁波検出装置は、高精度の測定を簡易な構成で行うことができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係るテラヘルツ電磁波発生装置1の構成図である。この図に示されるテラヘルツ電磁波発生装置1は、半導体発光素子11、ミラー12、移動ステージ13、レンズ14、レンズ15およびテラヘルツ電磁波発生用の光導電アンテナ素子16を備える。
半導体発光素子11は、第1面111と第2面112とに挟まれた活性層を有し、その活性層で光を放出するものであり、好適にはレーザダイオードである。ミラー12は、半導体発光素子11の第1面111に対向して設けられ、半導体発光素子11の第2面112との間で共振器を構成する。すなわち、半導体発光素子11の第1面111は低反射率とされ、半導体発光素子11の第2面112は高反射率とされている。
移動ステージ13は、光軸方向に沿ってミラー12を平行移動させるものであって、共振器の共振器長を変化させる共振器長変更手段として作用する。移動ステージ13は、モータ駆動によるもの、ピエゾ素子によるもの、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)によるもの、等の何れであってもよく、また、手動であってもよく、さらに、これらを組合せたものであってもよい。半導体発光素子11,ミラー12および移動ステージ13は、或る範囲に亘って共振器長を連続的に変化させることが可能である外部共振型のレーザ発振器3を構成している。
レンズ14は、レーザ発振器3から出力されたレーザ光Lをコリメートする。レンズ15は、レンズ14によりコリメートされたレーザ光Lを集光して光導電アンテナ素子16へ照射する。光導電アンテナ素子16は、図2に示されるように、半導体基板上に形成された1対の電極を有し、共振器から出力される光を1対の電極の間に入力してテラヘルツ電磁波Tを発生するものである。
このテラヘルツ電磁波発生装置1では、半導体発光素子11の第2面112とミラー12とにより構成されるレーザ共振器において、半導体発光素子11の活性層で光が誘導放出されて発振してレーザ光が出力される。その出力されたレーザ光Lは、レンズ14によりコリメートされ、レンズ15により集光されて、光導電アンテナ素子16の1対の電極の間に入射される。そして、レーザ光Lが入射された光導電アンテナ素子16からテラヘルツ電磁波が発生する。また、移動ステージ13によりミラー12が平行移動されることによって共振器長が変更される。光導電アンテナ素子16で発生するテラヘルツ電磁波の周波数は、この共振器長に応じて連続的に変化する。
図2は、光導電アンテナ素子100の斜視図である。この図に示される光導電アンテナ素子100は、図1中のテラヘルツ電磁波発生用の光導電アンテナ素子16として用いられる。また、光導電アンテナ素子100は、後に説明するテラヘルツ電磁波検出用の光導電アンテナ素子25としても用いられる。
光導電アンテナ素子100は、例えば、半絶縁性のGaAs基板101と、このGaAs基板101上に形成されたGaAs層102と、このGaAs層102上に形成された1対の電極103および電極104と、を有する。GaAs層102は、MBEにより低温(例えば200〜250℃)でエピタキシャル成長されたものであり、例えば厚さ1〜3μmである。電極103および電極104は、AuGe/Au等のオーミック電極であり、アンテナの長さが例えば20μm〜2mmであり、両者間の間隔が例えば3〜10μmである。
低温エピタキシャル成長で形成されたGaAs層102は、キャリアの寿命が短く、キャリアの移動度が高く、また、インピーダンスが高い。電極103と電極104との間に電圧が印加されているときに、電極103と電極104との間のGaAs層102の領域にレーザ光Lが照射されると、GaAs層102内で電子正孔対が発生する。この電子は、電極103と電極104との間に印加されている電圧により加速されて移動する。これにより、電極103と電極104との間に電流が生じるとともに、テラヘルツ電磁波Tが発生する。
図3は、半導体発光素子11およびミラー12を含み共振器長が可変であるレーザ発振器3の斜視図である。なお、この図では移動ステージ13の図示は省略されている。半導体発光素子11のレーザ媒質101は、例えば複数種類のAlGa1−xAs(0≦x≦1)からなるヘテロ多層膜が積層されてなる活性層を有する。ミラー12に対向する半導体発光素子11の第1面111には、AlやSiO等またはこれらの多層膜からなる反射防止膜113がコーティングされている。半導体発光素子11の第2面112には、AlやSiO等からなる高反射膜114がコーティングされている。なお、第2面112は、劈開されたままのミラー面であってもよい。
また、第1面111上の反射防止膜113には、半導体発光素子11の第1面111からミラー12へ向かう光をコリメートするコリメート手段として、レンズ作用を有する回折格子パターン115が形成されている。このような回折格子パターン115は、回折光学素子(DOE: Diffractive Optical Element)として、一般に実用化されている。これにより、第1面111での反射率が低減化されるとともに、コリメートされた光が第1面111から空間に向けて出射される。
半導体発光素子11の第1面111からの出射光が回折格子パターン115によりコリメートされるので、ミラー12で反射される光は、導波モードを保持したまま半導体発光素子11の第1面111から活性層へ再入射する。このことから、移動ステージ13によりミラー12が平行移動されても、半導体発光素子11の第2面112とミラー12との間で常にレーザ共振器が構成される。半導体発光素子11に閾値以上の順方向電流を流すことによりレーザ発振が生じ、そのレーザ光Lがミラー12を通って出射される。
本実施形態に係るテラヘルツ電磁波発生装置1に含まれる共振器長が可変であるレーザ発振器として、図4〜図7に示される構成も好ましい。
図4は、レーザ発振器3に含まれる半導体発光素子11の他の構成例を示す平面図である。図3に示された構成と比較すると、この図4に示される半導体発光素子11は、第1面111に形成された反射防止膜113に回折格子パターン115が設けられておらず、その替わりに、反射防止膜113がコリメート手段としても作用する点で相違する。すなわち、反射防止膜113は、凸レンズ形状を有しており、当該凸レンズの作用により光をコリメートして外部へ出射する。このような形状加工は、高度に制御されたイオンビーム等によってなされる。
図5は、レーザ発振器3に含まれる半導体発光素子11の更に他の構成例を示す平面図である。図3に示された構成と比較すると、この図5に示される半導体発光素子11は、第1面111に形成された反射防止膜113に回折格子パターン115が設けられておらず、その替わりに、反射防止膜113上に凸レンズ形状の樹脂116が形成されている点で相違する。この凸レンズ形状の樹脂116は、コリメート手段として作用し、光をコリメートして外部へ出射する。一般に、樹脂は、固化する際に、表面張力により自動的に凸形状になる。したがって、コリメート光が得られるような形状を有する樹脂116を作製するためには、樹脂116の粘度や乾燥条件などを精度よく制御することが必要である。
図6は、レーザ発振器3の他の構成例を示す斜視図である。図3に示された構成と比較すると、この図6に示されるレーザ発振器3は光出射方向の点で相違する。すなわち、図6に示されるレーザ発振器3では、ミラー12が全反射ミラーであり、半導体発光素子11の第2面112からレーザ光Lが出射される。この構成では、第2面112から出射されるレーザ光Lの形状や広がり角などが一定になるので、後段の光学部品との光学結合が容易になるとともに、光出射側に設けられるレンズ等の光学部品の邪魔にならないようにミラー12を移動させることができる。
図7は、レーザ発振器3の更に他の構成例を示す斜視図である。これまでの図3〜図6に示された半導体発光素子は端面発光型のものであったが、この図7に示されるレーザ発振器3に含まれる半導体発光素子11は、垂直共振器構造の面発光レーザ素子(VCSEL: Vertical Cavity-Surface Emitting Laser)である点で相違する。この半導体発光素子11では、ミラー12に対向する第1面111の光反射率が小さく形成されているとともに、その第1面111面には特別にレンズ効果を持たせた構造は施されていない。第1面111上の光出射領域である発光部117は、通常のVCSELより大きいのが好ましい。これにより、半導体発光素子117の発光部117から出射されてミラー12で反射された光を、レンズを介さずに比較的多く半導体発光素子11の発光部117に再入射させることが可能である。また、半導体発光素子11の第1面111と第2面112との間の距離は数μmと非常に短いので、半導体発光素子11の第2面112とミラー12とにより構成されるレーザ共振器を、10μm程度から数mmまでの広範囲で変化させることができる。その結果、光導電アンテナ素子16で発生するテラヘルツ電磁波の周波数を非常に広帯域に変化させることが可能になる。なお、本実施形態のように、大発光部径のVCSELを用いる場合においても、レーザ光を効率良く発光部に再入射させるために、発光素子とミラーとの間にレンズを備えてもよい。
次に、本実施形態に係るテラヘルツ電磁波発生装置1における共振器長とテラヘルツ電磁波の周波数との関係について説明する。図8は、本実施形態に係るテラヘルツ電磁波発生装置1において発生するテラヘルツ電磁波のスペクトルを示す図である。同図(a)は共振器長が0.6mmである場合のスペクトルを示し、同図(b)は共振器長が0.75mmである場合のスペクトルを示し、また、同図(c)は共振器長が1.0mmである場合のスペクトルを示す。
なお、共振器長は、半導体発光素子11の第2面112とミラー12とにより構成されるレーザ共振器における光路上の屈折率分布を考慮した実効的な光路長である。すなわち、半導体発光素子11の第1面111と第2面112との間の距離をLとし、半導体発光素子11の群屈折率をnCGとし、半導体発光素子11の第1面111とミラー12との間の距離をLとしたとき、共振器長Lcavityは「Lcavity=nCG・L+L」なる式で表される。
図8(a)〜(c)に示されるように、共振器長が何れの値である場合にも、発生するテラヘルツ電磁波のスペクトルは、最も低い周波数である基本周波数の成分、および、その基本周波数の整数倍の成分を有している。しかし、図8(a)〜(c)を対比して判るように、共振器長が長いほど、周波数間隔は狭い。
図9は、本実施形態に係るテラヘルツ電磁波発生装置1における共振器長とテラヘルツ電磁波の基本周波数との関係を示すグラフである。同図の縦軸は、テラヘルツ電磁波の基本周波数fの逆数である。この図は、図8(a)〜(c)に示された共振器長の各値に対するテラヘルツ電磁波の基本周波数の関係を示すものである。この図に示されるように、テラヘルツ電磁波の基本周波数fの逆数は、共振器長に対して比例関係にある。
このように、本実施形態に係るテラヘルツ電磁波発生装置1で発生するテラヘルツ電磁波は、基本周波数成分および整数倍の周波数成分からなる離散的なスペクトルを有し、また、共振器長が変化することで基本周波数成分および整数倍の周波数成分も変化する。真空中の光速をcとすると、得られるテラヘルツ電磁波のスペクトルは、「f=c/(2Lcavity)」なる式で表される基本周波数fの成分の他、「f=N・f」なる式で表される周波数fの成分を有する。ここで、Nは正の整数である。
本発明者による実験の結果および解析によれば、半導体発光素子11の第2端112とミラー12との間の距離(L+L)が約0.5mmから2mmまでの範囲でミラー12を平行移動させることにより、得られるテラヘルツ電磁波の離散スペクトルの間のギャップを埋めることができる。これにより、連続的なテラヘルツスペクトルを得ることが可能となる。なお、放射強度が最も強い基本周波数fの成分を利用するために、上記の範囲を超えてミラー12を平行移動させてもよい。
また、半導体発光素子11が図7に示されたような垂直共振器構造の面発光レーザ素子(VCSEL)である場合、半導体発光素子11の第1面111と第2面112との間の距離Lが小さいので、共振器長Lcavityを更に短くすることができる。したがって、この場合、テラヘルツ電磁波のスペクトルは更に高い基本周波数fを有するものとすることができる。
次に、本実施形態に係るテラヘルツ電磁波発生装置1を用いたテラヘルツ電磁波検出装置2について説明する。図10は、本実施形態に係るテラヘルツ電磁波検出装置2の構成図である。この図に示されるテラヘルツ電磁波検出装置2は、テラヘルツ電磁波発生装置1に加えて、分岐部21、ミラー22、移動ミラー23、レンズ24、テラヘルツ電磁波検出用の光導電アンテナ素子25、シリコンレンズ31,32、放物面ミラー41,42、信号発生部51、同期検出部52および解析部53を更に備える。
テラヘルツ電磁波発生用の光導電アンテナ素子16で発生したテラヘルツ電磁波は、シリコンレンズ31、放物面ミラー41、放物面ミラー42およびシリコンレンズ32を順に経て、光導電アンテナ素子25に入射される。なお、このテラヘルツ電磁波の光路上(例えば、放物面ミラー41と放物面ミラー42との間の光路上)に測定対象物が置かれ、その測定対象物を透過したテラヘルツ電磁波が光導電アンテナ素子25に入射される。なお、テラヘルツ電磁波は、測定対象物を透過してもよいし、測定対象物で反射するようにしてもよい。
分岐部21は、テラヘルツ電磁波発生装置1に含まれるレーザ発振器3と光導電アンテナ素子16との間の光路上(より具体的には、レンズ14とレンズ15との間の光路上)に設けられ、レーザ発振器3から出力されるレーザ光の一部を分岐してプローブ光として出力する。この分岐部21から出力されたプローブ光は、ミラー22および移動ミラー23を経て、レンズ24により集光されて、光導電アンテナ素子25に入射される。
移動ミラー23は、分岐部21から光導電アンテナ素子25に到るまでのプローブ光の光路長を変更する光路長調整部として作用し、好適には光軸方向に移動可能であるリトロリフレクタである。なお、光導電アンテナ素子16から光導電アンテナ素子25に到るまでのテラヘルツ電磁波の光路長を調整する光路長調整部が設けられてもよい。この光路長調整部により、光導電アンテナ素子25に入射されるテラヘルツ電磁波とプローブ光とのタイミング差を調整することができる。
テラヘルツ電磁波検出用の光導電アンテナ素子25は、図2に示された構成と同様の構成を有していて、半導体基板上に形成された1対の電極を有し、テラヘルツ電磁波およびプローブ光を1対の電極の間に入力する。光導電アンテナ素子25では、テラヘルツ電磁波およびプローブ光の入射に応じて、両者の相関を表す電流が1対の電極の間に生じる。この相関に基づいてテラヘルツ電磁波のスペクトルを求めることができ、さらに測定対象物の情報を得ることができる。光導電アンテナ素子25では、テラヘルツ電磁波とプローブ光との相関を検出する検出部として作用する。
信号発生部51は、テラヘルツ電磁波発生用の光導電アンテナ素子16の1対の電極の間に、正弦波変調された電圧を印加する。同期検出部52は、ロックインアンプを含み、信号発生部51から出力される正弦波変調された電圧に基づいて、テラヘルツ電磁波検出用の光導電アンテナ素子25の1対の電極の間に生じる電流を同期検出して、テラヘルツ電磁波とプローブ光との相関を検出する。そして、解析部53は、移動ミラー23を平行移動させることにより、テラヘルツ電磁波とプローブ光との時間相関波形を獲得し、この相関波形をフーリエ変換することにより、テラヘルツ電磁波のスペクトルを得ることができる。
以上のように、本実施形態に係るテラヘルツ電磁波発生装置1は、周波数が可変であるテラヘルツ電磁波を簡易な構成で発生することができ、また、その周波数を走査することで実質的に連続スペクトルのテラヘルツ電磁波を得ることができる。また、本実施形態に係るテラヘルツ電磁波検出装置2は、このようなテラヘルツ電磁波発生装置1を含むものであり、実質的に連続スペクトルのテラヘルツ電磁波を用いることにより、高精度の測定を簡易な構成で行うことができる。
本実施形態に係るテラヘルツ電磁波発生装置1の構成図である。 光導電アンテナ素子100の斜視図である。 半導体発光素子11およびミラー12を含み共振器長が可変であるレーザ発振器3の斜視図である。 レーザ発振器3に含まれる半導体発光素子11の他の構成例を示す平面図である。 レーザ発振器3に含まれる半導体発光素子11の更に他の構成例を示す平面図である。 レーザ発振器3の他の構成例を示す斜視図である。 レーザ発振器3の更に他の構成例を示す斜視図である。 本実施形態に係るテラヘルツ電磁波発生装置1において発生するテラヘルツ電磁波のスペクトルを示す図である。 本実施形態に係るテラヘルツ電磁波発生装置1における共振器長とテラヘルツ電磁波の基本周波数との関係を示すグラフである。 本実施形態に係るテラヘルツ電磁波検出装置2の構成図である。
符号の説明
1…テラヘルツ電磁波発生装置、2…テラヘルツ電磁波検出装置、3…レーザ発振器、11…半導体発光素子、12…ミラー、13…移動ステージ、14,15…レンズ、16…発生用光導電アンテナ素子、21…分岐部、22…ミラー、23…移動ミラー、24…レンズ、25…検出用光導電アンテナ素子、31,32…シリコンレンズ、41,42…放物面ミラー、51…信号発生部、52…同期検出部、53…解析部。

Claims (6)

  1. 第1面と第2面とに挟まれた活性層を有し、前記活性層で光を放出する半導体発光素子と、
    前記半導体発光素子の前記第1面に対向して設けられ、前記半導体発光素子の前記第2面との間で共振器を構成するミラーと、
    前記共振器の共振器長を変化させる共振器長変更手段と、
    半導体基板上に形成された1対の電極を有し、前記共振器から出力される光を前記1対の電極の間に入力してテラヘルツ電磁波を発生する発生用光導電アンテナ素子と、
    を備えることを特徴とするテラヘルツ電磁波発生装置。
  2. 前記半導体発光素子の前記第1面から前記ミラーへ向かう光をコリメートするコリメート手段が前記第1面に設けられていることを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ電磁波発生装置。
  3. 前記半導体発光素子が垂直共振器構造の面発光レーザ素子であることを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ電磁波発生装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のテラヘルツ電磁波発生装置と、
    このテラヘルツ電磁波発生装置に含まれる前記共振器と前記発生用光導電アンテナ素子との間の光路上に設けられ、前記共振器から出力される光の一部を分岐してプローブ光として出力する分岐部と、
    前記発生用光導電アンテナ素子から出力され測定対象物で透過または反射したテラヘルツ電磁波を入力するとともに、前記分岐部から出力されたプローブ光を入力して、これらテラヘルツ電磁波とプローブ光との相関を検出する検出部と、
    を備えることを特徴とするテラヘルツ電磁波検出装置。
  5. 前記発生用光導電アンテナ素子から前記検出部に到るまでのテラヘルツ電磁波の光路長、および、前記分岐部から前記検出部に到るまでのプローブ光の光路長の、何れかを調整する光路長調整部を更に備えることを特徴とする請求項4記載のテラヘルツ電磁波検出装置。
  6. 前記検出部が、半導体基板上に形成された1対の電極を有し、前記テラヘルツ電磁波および前記プローブ光を前記1対の電極の間に入力する検出用光導電アンテナ素子を含み、
    前記発生用光導電アンテナ素子の1対の電極の間に正弦波変調された電圧を印加する信号発生部と、
    前記信号発生部から出力される正弦波変調された電圧に基づいて、前記検出用光導電アンテナ素子の1対の電極の間に生じる電流を同期検出して、テラヘルツ電磁波とプローブ光との相関を検出する同期検出部と、
    を更に備えることを特徴とする請求項4記載のテラヘルツ電磁波検出装置。
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