JP4994672B2 - 芳香族ポリアミド酸及び芳香族ポリイミド - Google Patents

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Description

本発明は、新規芳香族ポリアミド酸及びそれを脱水閉環してなる新規芳香族ポリイミドに関する。詳しくは、ジアミン成分として3,8−ジアミノジベンゾピラノンを分子中に導入することによって得られる新規芳香族ポリアミド酸及びそれを脱水閉環してなる新規芳香族ポリイミドに関する。
一般に、ポリイミド樹脂は非常に優れた耐熱性・耐薬品性・電気特性・機械特性を有していることから、電気・電子機器の材料として、特に耐熱性を要する電気絶縁材料などの用途に広く利用されている。特に近年、電子機器の高機能化、高性能化、小型化が進んでおり、それに伴う電子部品の小型化・軽量化に対応可能なポリイミド樹脂が強く望まれている。
従来のポリイミドは、他の有機ポリマーに比べ耐熱性や電気絶縁性は優れているものの、吸湿率が著しく大きいということが知られている。そのため、フレキシブルプリント配線板を半田浴に浸漬する際に生じる膨れや、空気中の水分を吸湿することによる電気特性の低下、ポリイミドの吸湿後寸法変化による電子機器の接続不良など諸問題の原因ともなっていた。そこで、低吸湿、低湿度膨張などの特性が望まれている。また加工過程において、応力を受ける工程、温度変化を受ける工程を数多く含むため、応力や温度変化による寸法変化が小さいことが望まれる。応力による寸法変化を小さくするには、フィルムが高弾性を示すことが有効であり、また温度変化による寸法変化を小さくするには、フィルムの熱膨張係数を小さくすることが有効である。
従来より、高弾性ポリイミドフィルムを得るためには、直線性の高いモノマーを用いることが有効であることが知られている。例えば、ピロメリット酸無水物とパラフェニレンジアミンといった剛直鎖のみを用いれば、高弾性ポリイミドを合成することができる。しかし、このような構造では、非常に脆く、また吸湿率が増大するために、吸湿膨張係数も大きくなってしまう。
特開平02−225522号公報 特開2001−11177号公報 特開平08−217877号公報 特開2000−63543号公報 特開平01-261421号公報 WO01/28767A1 日本化学会誌, 1977,(5), 701−705 Journal of Polymer Science Part B, 33, 1907-1915 (1995)
このような背景から近年、優れた低吸湿性・吸湿後寸法安定性を有するポリイミド樹脂への要求が高まっており、それに対する検討が種々行われている。例えば、特許文献1及び特許文献2では、フッ素系樹脂を導入することにより、疎水性を向上し低吸湿性を発現するポリイミドが提案されているが、製造コストがかさんだり、金属材料との接着性が悪いという欠点がある。そのほかの低吸湿化の取り組みについても、特許文献3及び特許文献4などに示されるように、低吸湿性、低熱膨張係数などの良好な特性を示したものの、高耐熱性を保持することはできていない。
特許文献5及び特許文献6には、高耐熱性・高弾性・低吸湿性のモノマーが提案されている。しかし、ここに記載されているポリイミド樹脂は剛直であるため、弾性率が非常に高いものであった。近年、ポリイミドを絶縁層とするフレキシブルプリント配線板に使用される積層体は、携帯電話などの折り曲げ用途へ多く使用されている。そのような用途に適用する場合、他の諸物性とのバランスをとりつつ、剛直すぎない適当な弾性率のポリイミド材料が要求されていた。
また、非特許文献1及び非特許文献2においては、本発明に類似のフルオレン骨格を有するジアミンを用いたポリイミドについての報告がなされている。しかし、これらに記載のポリイミドは、精密な電気・電子機器の材料に用いるための性能を満足するものではなかった。
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決し、優れた耐熱性と適度な弾性率を有し、かつ低吸湿性・低熱膨張性を実現した芳香族ポリイミド及びその前駆体である芳香族ポリアミド酸を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される構造単位を10モル%以上有することを特徴とする芳香族ポリアミド酸である。
Figure 0004994672
(式中、Ar1は芳香環を1個以上有する4価の有機基である。)
更に、本発明は、下記一般式(2)で表される構造単位を10モル%以上有することを特徴とする芳香族ポリイミドである。
Figure 0004994672
(式中、Ar1は芳香環を1個以上有する4価の有機基である。)
以下に、本発明について更に詳細に説明する。
一般式(1)で表される構造単位を有するポリアミド酸(以下、本ポリアミド酸ともいう)は、これを硬化してイミド化することにより一般式(2)で表される構造単位を有するポリイミド(以下、本ポリイミドともいう)とすることができるので、本ポリイミドの前駆体ということができる。
一般式(1)及び(2)で表される構造単位において、式中、Ar1は芳香環を1個以上有する4価の有機基であり、芳香族テトラカルボン酸又はその酸二無水物等から生じる芳香族テトラカルボン酸残基ということができる。したがって、使用する芳香族テトラカルボン酸を説明することによりAr1が理解される。通常、上記構造単位を有する本ポリイミド又は本ポリアミド酸を合成する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物が使用されることが多いので、好ましいAr1を芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて以下に説明する。
上記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されるものではなく公知のものを使用することができる。具体例を挙げると、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-テトラクロロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3'',4,4''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3'',4''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ペリレン-2,3,8,9-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-4,5,10,11-テトラカルボン酸二無水物、ペリレン-5,6,11,12-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,7,8-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン-1,2,9,10-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。また、これらは単独で又は2種以上混合して用いることができる。
これらの中でも、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、3,3",4,4"-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸二無水物、3,3'4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及びビス(2,3-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物から選ばれる少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸が好ましい。その中でも特に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物(NTCDA)及び3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から選ばれるものが好ましい。テトラカルボン酸二無水物の選定にあたっては、具体的には重合加熱して得られるポリイミドの熱膨張係数と熱分解温度、ガラス転移温度、湿度膨張係数などを測定して好適なものを選択することが好ましい。
一般式(1)又は(2)で表される構造単位を有する本ポリアミド酸又は本ポリイミドの合成に用いられるジアミンは、下記式(3)で表される3,8-ジアミノジベンゾピラノン(以下、本芳香族ジアミンともいう)である。
Figure 0004994672
本ポリアミド酸又は本ポリイミドは、有利には芳香族テトラカルボン酸二無水物と本芳香族ジアミンを10モル%以上含むジアミンとを反応させて得ることができる。
式(3)で表される本芳香族ジアミンは、次の工程を経て合成することができる。すなわち、1,5-ジニトロフルオレノンのケトン部分を過酸によりエステル基に酸化して3,8-ジニトロジベンゾピラノンを合成する工程(工程-Iという)及び、二つのニトロ基を還元してジアミンとして目的とする3,8-ジアミノジベンゾピラノンを得る工程(工程-IIという)から得ることができる。
工程-Iの反応は、Baeyer-Villiger反応の一種であり、当該反応は多数の合成文献において公知な人名反応であるが、原料として1,5-ジニトロフルオレノンを使用した場合での反応は、Baeyer-Villiger反応の一般的な条件を用いても全く反応が進行しなかった。そこで、原料が唯一溶解した濃硫酸を試薬兼反応溶媒として用い、過酸は市販の30%過酸化水素水を用いることにより、目的の反応を進行させることに成功した。工程-IIの反応は、Przemysl Chemiczny, 71, 10, 389-391 (1992)に記載されている公知の反応を利用することによって、ラクトン部分の還元を見ることなく、二つのニトロ基を両方還元した目的の本芳香族ジアミンを得ることができる。
こうして得られる、3,8-ジアミノジベンゾピラノンは、工程-IIの反応溶液を熱時濾過した後、冷却した際に析出する固体を回収することによって、高純度で得ることが可能である。
本発明においては、本芳香族ジアミンと共に、それ以外の他のジアミンを90モル%以下使用することができる。そして、そのことによって、共重合型のポリアミド酸又はポリイミドとすることができる。
一般式(1)又は(2)で表される構造単位は、本ポリアミド酸又は本ポリイミド中に10〜100モル%、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%含むことがよい。
一般式(1)又は(2)で表される構造単位を与える芳香族ジアミン以外に、共重合に使用され得るジアミンとしては、特に限定されるものではないが、例を挙げると、4,6-ジメチル-m-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノメシチレン、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,5,3',5'-テトラメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、2,4-トルエンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、3,3'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、3,3'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3'-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、3,3'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシベンジジン、4,4"-ジアミノ-p-ターフェニル、3,3"-ジアミノ-p-ターフェニル、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジンなどが挙げられる。
これらの中でも、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)などが好ましく用いられる。また、これらのジアミンを用いる場合、その好ましい使用割合は、全ジアミンの0〜50モル%、より好ましくは0〜30モル%の範囲である。
本芳香族ポリアミド酸は、上記に示した芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸二無水物成分とを実質的に等モル使用し、有機極性溶媒中で重合する公知の方法によって製造することができる。すなわち、窒素気流下N,N-ジメチルアセトアミドなどの有機極性溶媒に芳香族ジアミンを溶解させた後、芳香族テトラカルボン酸二無水物を加えて、室温で三時間程度反応させることにより得られる。
そして、本ポリイミドは、上記のようにして得られた本ポリアミド酸を加熱してイミド化して得られる。イミド化は、本ポリアミド酸を銅箔などの任意の基材上にアプリケータを用いて塗布し、150℃以下の温度で2〜20分予備乾燥した後、溶剤除去、イミド化のために通常130〜360℃程度の温度で2〜30分程度熱処理することにより行われる。
本ポリアミド酸及び本ポリイミドの重合度は、ポリアミド酸溶液の重量平均分子量(Mw)として50,000〜800,000であり、好ましくは60,000〜250,000の範囲にあることがよい。重量平均分子量は、GPCにより測定することができる。
本発明のポリアミド酸は、脱水、閉環させて、優れた耐熱性を有し、かつ低熱膨張性・低吸湿・低吸湿膨張性のポリイミドとすることができる。すなわち、本発明のポリイミドは、20ppm/K以下の熱膨張係数、500℃以上の耐熱性(熱分解温度Td2%)、23℃で4〜10GPaの弾性率を示し、かつ吸湿率が0.7wt%以下、湿度膨張係数が9ppm/%RH以下を示すことが可能であるから、耐熱性、寸法安定性、弾性率に優れ、かつ低吸湿性等の優れた性状を有し得るものである。本発明のポリイミドは、これらの特性を生かして、電気・電子分野を始めとする種々の分野に使用することができ、特に、配線基板の絶縁材料用途として有用である。
以下、実施例に基づいて、本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例等に用いた略号を下記に示す。
・DADBP:3,8-ジアミノジベンゾピラノン
・DAF:2,7-ジアミノフルオレン
・PMDA:ピロメリット酸二無水物
・BPDA:3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
・TPE-Q:1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
・TPE-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
・APB:1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン
・DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
実施例中の各種物性の測定方法と条件を以下に示す。
[線膨張係数(CTE)の測定]
3mm ×15mmのサイズのポリイミドフィルムを、熱機械分析(TMA)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から260℃の温度範囲で引張り試験を行い、温度に対するポリイミドフィルムの伸び量から線膨張係数(ppm/K)を測定した。
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
各実施例で得たポリイミドフィルム(10mm×22.6mm)を動的熱器械分析装置にて20℃から500℃まで5℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度(tanδ極大値:℃)を求めた。
[引張り弾性率の測定]
各実施例で得たポリイミドフィルム(12.7mm×160mm)を、50kgのロードセルを設置したテンションテスターにて50mm/minの速さで引張り試験を行い、引張り弾性率(GPa)を求めた。
[熱分解温度(Td2%)の測定]
10〜20mgの重さのポリイミドフィルムを、熱重量分析(TG)装置にて一定の速度で30℃から550℃まで昇温させたときの重量変化を測定し、2%重量減少温度(Td2%:℃)を求めた。
[吸湿率の測定]
4cm×20cmのポリイミドフィルム(各3枚)を、120℃で2時間乾燥した後、23℃/50%RHの恒温恒湿室で24時間以上静置し、その前後の重量変化から次式により求めた。
吸湿率(wt%)=[(吸湿後重量−乾燥後重量)/乾燥後重量]×100
[湿度膨張係数(CHE)の測定]
35cm×35cmのポリイミド/銅箔積層体の銅箔上に、エッチングレジスト層を設け、これを一辺が30cmの正方形の四辺に10cm間隔で直径1mmの点が16箇所配置するようにマスクを介して露光、現像を行い、上記16箇所の銅箔残存点を有するCHE測定用ポリイミドフィルムを得た。このフィルムを120℃で2時間乾燥した後、23℃/30%RH・50%RHの恒温恒湿機で各湿度において24時間以上静置し、二次元測長機により測定した各湿度での銅箔点間の寸法変化から湿度膨張係数(ppm/%RH)を求めた。
実施例1〜6
ポリアミド酸A〜Fを合成するため、窒素気流下で、表1に示したジアミンを200mlのセパラブルフラスコの中で攪拌しながら溶剤DMAcに溶解させた。次いで、表1に示したテトラカルボン酸二無水物を加えた。その後、溶液を室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、ポリイミド前駆体となるポリアミド酸A〜Fの黄〜茶褐色の粘稠な溶液を得た。それぞれのポリアミド酸溶液の重量平均分子量(Mw)は約10万〜25万の範囲内であり、高重合度のポリアミド酸が生成されていることが確認された。ポリアミド酸の固形分と溶液粘度を表1に示した。ここで、固形分はポリアミド酸と溶剤の合計量に対するポリアミド酸の重量比率である。溶液粘度はE型粘度計を用い測定した。
比較例1
原料の配合組成を表1に示すように変えた他は、実施例1〜6と同様な方法で、ポリアミド酸Gを合成し、同様な測定を行った。結果をまとめて表1に示す。
Figure 0004994672
実施例7〜12
A〜Fのポリアミド溶液を、それぞれ銅箔上にアプリケータを用いて乾燥後の膜厚が約15μmとなるように塗布し、130℃で2.4分間乾燥した後、更に130℃、160℃、200℃、230℃、280℃、320℃、360℃で各2〜12分段階的な熱処理を行って、銅箔上にポリイミド層を形成した。
それぞれのポリイミドフィルムについて、IRにより構造解析を行った結果を、図1〜6に示す。また、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去してA〜Fのポリイミドフィルムを作成し、熱膨張係数(CTE)、ガラス転移温度(Tg)、引張り弾性率、2%重量減少温度(Td2%)、吸湿率及び湿度膨張係数(CHE)を求めた。なお、A〜Fのポリイミドフィルムは、各々A〜Fのポリアミド酸から得られたことを意味する。
比較例2
Gのポリアミド酸溶液を、実施例7〜12と同様にしてイミド化して、Gのポリイミドフィルムを作製し、評価を行った。
実施例及び比較例の各測定結果を、表2に示す。
Figure 0004994672
実施例7〜12のポリイミドは、フレキシブルプリント積層板などの絶縁樹脂用途で必要とされる低熱膨張係数を示し、優れた耐熱性、すなわち、500℃以上の2%重量減少温度を保持しながら、低い吸湿率、と湿度膨張係数を示した。一方、比較例2のポリイミドは、吸湿率や湿度膨張係数が高いものであった。
ポリイミドフィルムAのIRスペクトル ポリイミドフィルムBのIRスペクトル ポリイミドフィルムCのIRスペクトル ポリイミドフィルムDのIRスペクトル ポリイミドフィルムEのIRスペクトル ポリイミドフィルムFのIRスペクトル

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位を10モル%以上有することを特徴とする芳香族ポリアミド酸。
    Figure 0004994672

    (式中、Ar1は芳香環を1個以上有する4価の有機基である。)
  2. 下記一般式(2)で表される構造単位を10モル%以上有することを特徴とする芳香族ポリイミド。
    Figure 0004994672
    (式中、Ar1は芳香環を1個以上有する4価の有機基である。)
  3. 一般式(2)において、Ar1の少なくとも一部が、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、3,3",4,4"-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸二無水物、3,3'4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及びビス(2,3-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物から選ばれる少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸の残基である請求項2に記載の芳香族ポリイミド。
  4. 23℃における弾性率が4〜10GPa、吸湿率が0.7wt%以下、かつ30〜50%RHの湿度膨張係数が9ppm/%RH以下であり、熱膨張係数が20ppm/K以下である請求項2に記載の芳香族ポリイミド。
  5. 請求項1記載の芳香族ポリアミド酸をイミド化することを特徴とする請求項2記載の芳香族ポリイミドの製造方法。
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