JP4978401B2 - 冷却装置 - Google Patents

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    • F28D15/00Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies
    • F28D15/02Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes
    • F28D15/0266Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes with separate evaporating and condensing chambers connected by at least one conduit; Loop-type heat pipes; with multiple or common evaporating or condensing chambers

Description

本発明は、パーソナルコンピュータ等に使われるマイクロプロセッシングユニット(以下、MPUと略す)等の発熱する半導体、またはその他の発熱部を有する電子部品を冷却するのに用いられる冷却装置に関するものである。
近年、電子機器においては半導体等の電子部品の高集積化、動作クロックの高周波数化等に伴う発熱量の増大に対して、電子部品の正常動作の為に、それぞれの電子部品の接点温度を動作温度範囲内に如何に保つかが大きな問題となってきている。特に、MPUの高集積化、高周波数化はめざましく、動作の安定性、また動作寿命の確保などの点からも放熱対策が重要な問題となっている。
しかし、従来のようにヒートシンクとファンを組み合わせた空冷方式では高発熱量の電子部品に対しては能力不足の場合が多くなりつつある。そこで、例えば(特許文献1)に示すような作動流体を循環させる、より能力の高い高効率の冷却装置が提案されている。
一般に、MPU等の高発熱量の発熱体を冷却するには、受熱部で吸収した熱を広い面積を有する放熱部から空気へ放熱する方法が採られている。ここで(特許文献1)に示される従来の技術を図14を用いて説明する。
図14は従来の冷却装置の構成図と受熱部構造図である。通常、このような冷却装置は、図14(a)に示すように発熱体2から熱を除去する受熱ユニット1と受熱ユニット1で熱を受け取った作動流体を輸送する管路20と作動流体を動かすポンプ13および作動流体から熱を放熱する放熱部11から構成されている。その主な冷却原理は、同図のように発熱体2で発生した熱が、受熱ユニット1の内部へ伝わり内部に循環する作動流体と熱交換することにより作動流体の温度が上昇する。次に、その作動流体がポンプ13により管路20を通って放熱部11へ輸送され、放熱部11の温度を高める。次に高温となった放熱部11の表面へ放熱部搭載のファン10から空気が送られ熱交換されることで空気中へ放散される方法が採られている。
近年では、電子部品の小型化(製造プロセスの細線化)に伴い発熱体その物のサイズも小さくなる傾向にあり、単位面積当たりの熱密度は、増加の一途をたどっている。そのため、冷却装置の冷却性能は、受熱部と放熱部の両方の性能で決定されるが、特に受熱部の高性能化が大きな課題となっている。これは、例えば100Wの熱を発生する面積100平方mmの発熱体を仮に冷却できていた冷却装置でも、発熱面積が、電子部品製造プロセスの細線化によって50平方mmへ減少した場合には熱密度が2倍となるため吸熱性能の不足が発生し、同じ冷却装置では冷却できない場合が発生することになる。
また、前記した図14(a)の様な作動流体が循環する方式の受熱部では、図14(b)のような構造が採用されており、高い熱伝導率を有する金属(例えば、銅、アルミなど)の中を作動流体が循環する管路を設ける事で性能を高める工夫がされている。しかし、この場合でも熱が、受熱部内部で金属から作動流体へ熱交換される効率は、管路の内壁の面積に大きく依存するため、単純に管路を受熱部内部に配するだけでは、受熱面積が少なく十分な性能が得られない場合が多い。そして、今後の発熱体サイズの縮小で更に性能不足が顕著になると考えられる。
そこで、受熱部の吸熱性能を更に高める方法として、考案された他の従来の技術が、図15に示す様な円筒管の両端を封止し、内部に所望の作動流体を入れたヒートパイプを用いた冷却装置である。ヒートパイプを用いた冷却装置は、発熱体と対接した受熱部と放熱フィンを有する放熱部から構成されている。発熱体からの熱は、円筒壁に伝わり内壁で作動流体が相変化(蒸発)し気化潜熱を奪う。次に蒸気は円筒内を高速で移動し放熱部の内壁で凝縮することで凝縮熱が、内壁を介してフィンへ伝わり空気へ最終的に放熱される。次に凝縮した作動流体は管壁に設けられた毛管現象を発生させるウイックで元の受熱部へ移送される。この一連のサイクルを繰り返すことで冷却が継続されることになる。この場合の熱移動は、相変化を伴うであるため、図14に示した単純な冷媒循環方式よりも高い吸熱性能が得られる構成となっている。
特開平10−213370号公報
しかしながら、半導体等の電子部品では、更なる高性能化の進展等によって益々発熱が大きくなるか、または、熱密度が上昇するという傾向にある事は前記した通りである。図14に示すヒートパイプを用いた別の従来の冷却装置の場合でも、内部容積が小さいため封入できる作動流体が少なく、結果的にヒートパイプ単体の熱輸送能力が電子機器用では数10Wレベルの物が多用されることが多く、総熱輸送量を上げるには、複数本を並列に並べて使用することが普通となっている。また、総熱輸送能力としては数を増やせばある程度までは対応可能であるが、前記の通り熱密度の上昇に関してはやはり問題があり、対策としては、熱伝導性の高い受熱板にヒートパイプを並列に並べて可能な限り熱を広げて使用する方法が選択されている。しかし、この場合でも実際に機能するヒートパイプの本数には配置的な限界があり、十分な熱輸送能力と高熱密度対応という点を両立させるには困難な面が残っている。そして、更に、複数のヒートパイプへ熱を広げるために比較的厚めの受熱板を使用する場合などでは、発熱体中心から実際に作動流体が相変化(蒸発)する気化面までの距離がおのずと長くなるため、その間の熱抵抗が大きくなり、結果的に加熱開始から実際の相変化(蒸発)開始までの間に急激な温度上昇が発生し、電子部品の動作保証温度を超えてしまうという大きな問題があった。
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、高い受熱性能を維持しつつ加熱初期の急激な温度上昇とドライアウトを抑制し動作安定性が高い冷却性能に優れた冷却装置を提供する事を目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、作動流体を循環し液相と気相の相変化によって冷却する冷却装置であって、外壁の一面に発熱体が配置され、前記外壁の一面に対応する内壁に熱を伝える箱型の受熱部と、前記受熱部に前記作動流体を注入する導入管と、前記受熱部に注入された前記作動流体が熱によって蒸気となり、前記蒸気を排出する導出管と、前記受熱部より上方に設けられ前記導出管を経由した前記蒸気の熱を放出する放熱器と、前記導入管の開口部側に設けた逆止弁とを備え、前記放熱器で液化した作動流体を前記逆止弁を介して前記受熱部に帰す構成にするとともに、前記作動流体の循環方向は逆止弁以降の出口側圧力上昇によって決定され、前記内壁において前記導入管開口部の外周で囲まれる面の内側から外側へスリットが設けられ、前記発熱体が配置された外壁において、前記発熱体の熱源中心が、壁を隔てて対称に位置する前記導入管開口部の外周の内側に配置され、前記導入管内部の圧力が上昇することで、気泡と未蒸発の作動流体が混相流となって前記導出管側へと排出される構成としたことを特徴とする。
以上のように本発明の冷却装置は、作動流体を循環し液相と気相の相変化によって冷却する冷却装置であって、外壁の一面に発熱体が配置され、前記外壁の一面に対応する内壁に熱を伝える箱型の受熱部と、前記受熱部に前記作動流体を注入する導入管と、前記受熱部に注入された前記作動流体が熱によって蒸気となり、前記蒸気を排出する導出管と、前記受熱部より上方に設けられ前記導出管を経由した前記蒸気の熱を放出する放熱器と、前記導入管の開口部側に設けた逆止弁とを備え、前記放熱器で液化した作動流体を前記逆止弁を介して前記受熱部に帰す構成にするとともに、前記作動流体の循環方向は逆止弁以降の出口側圧力上昇によって決定され、前記内壁において前記導入管開口部の外周で囲まれる面の内側から外側へスリットが設けられ、前記発熱体が配置された外壁において、前記発熱体の熱源中心が、壁を隔てて対称に位置する前記導入管開口部の外周の内側に配置され、前記導入管内部の圧力が上昇することで、気泡と未蒸発の作動流体が混相流となって前記導出管側へと排出される構成としたものであるので、ポンプを使用することなく、十分な気化面積の確保と吸熱性能に優れた冷却装置となる。
また、スリットを設けることにより、内壁表面の表面積が大きくなるので内壁の伝熱性能を向上させることができる。
更に、内壁に導入管の開口部の外周で囲まれる面の内側から外側へスリットを設けることにより、スリット内の作動流体の蒸発に伴う圧力の上昇によって、スリットで発生した気泡がスリットに沿って開口部の外周で囲まれる面の内側から外側へ排出されるため、気泡の滞留により作動流体の蒸発が阻害されることが無くなり、受熱部の吸熱特性が高まることで冷却装置全体の性能を向上させることができる。
そして、以上の構成により、高い受熱性能を維持しつつ加熱初期の急激な温度上昇とドライアウトを抑制し動作安定性が高い冷却性能に優れた冷却装置を提供する事が可能である。
請求項1に記載の発明によれば、作動流体を循環し液相と気相の相変化によって冷却する冷却装置であって、外壁の一面に発熱体が配置され、前記外壁の一面に対応する内壁に熱を伝える箱型の受熱部と、前記受熱部に前記作動流体を注入する導入管と、前記受熱部に注入された前記作動流体が熱によって蒸気となり、前記蒸気を排出する導出管と、前記受熱部より上方に設けられ前記導出管を経由した前記蒸気の熱を放出する放熱器と、前記導入管の開口部側に設けた逆止弁とを備え、前記放熱器で液化した作動流体を前記逆止弁を介して前記受熱部に帰す構成にするとともに、前記作動流体の循環方向は逆止弁以降の出口側圧力上昇によって決定され、前記内壁において前記導入管開口部の外周で囲まれる面の内側から外側へスリットが設けられ、前記発熱体が配置された外壁において、前記発熱体の熱源中心が、壁を隔てて対称に位置する前記導入管開口部の外周の内側に配置され、前記導入管内部の圧力が上昇することで、気泡と未蒸発の作動流体が混相流となって前記導出管側へと排出される構成としたことを特徴とする。
これにより、内壁において導入管の開口部の外周で囲まれる面の内側から外側へスリットを設けることにより、スリット底部の内壁の厚さを薄くすることで熱抵抗が小さくなり、作動流体の相変化温度と発熱体との温度差を少なくすることができる。その結果、加熱初期状態における発熱体の温度上昇を抑制することが可能となる。
また、内壁にスリットを設けることより、内壁表面の表面積が大きくなるので、内壁の伝熱性能を向上させることができる。
更に、内壁に導入管の開口部の外周で囲まれる面の内側から外側へスリットを設けることにより、スリット内の作動流体の蒸発に伴う圧力の上昇によって、スリットで発生した気泡がスリットに沿って開口部の外周で囲まれる面の内側から外側へ排出されるため、気泡の滞留により作動流体の蒸発が阻害されることが無くなり、受熱部の吸熱特性が高まることで冷却装置全体の性能を向上させることができる。
更に、発熱体の熱源は、発熱体が配置された外壁において導入管開口部の外周の内側に配置されていることにより、作動流体が導入される場所に発熱体からの熱を効率的に伝えることが可能となり熱初期状態において発熱体の温度上昇を抑制し、安定した動作を実現することができる。
更に、逆止弁は導入管の開口部側に設けたことにより、作動流体蒸発時の受熱部内の圧力上昇によって起こる導入管への逆流を効果的に防止できるため、作動流体の循環方向を固定し一層安定動作する冷却装置を実現できる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置であって、導入管開口部は内壁に接していることにより、導入管開口部に蒸発時の気泡排除に寄与する圧力の上昇を更に発生させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置であって、スリットは、平行に複数形成することにより、内壁表面の表面積がより大きくなるので、内壁の伝熱特性を一層向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置であって、スリットは、導入管の中心から放射状に形成されていることにより、内壁表面の表面積がより大きくなるので、内壁の伝熱特性を一層向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置であって、開口部の外周で囲まれた内壁の中心部にスリットが設けられていることにより、内壁の厚さによる熱抵抗を小さくし作動流体の蒸発を促進するので、内壁の伝熱特性を一層向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置であって、導入管の中心から遠ざかるにつれスリットの幅を大きくすることにより、作動流体の蒸気する際の圧力が導入管の中心から遠ざかる方向の力として働くため、スリットで発生した気泡の排出を促進し、作動流体の蒸発を阻害する気泡の滞留が防止され、受熱部の吸熱特性を高め、冷却装置の性能を一層向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置であって、スリットを設けていない内壁から外壁の一面までの厚さHに対するスリットの底部から外壁の一面までの厚さhの比(h/H)が、0.1〜0.3であることにより、内壁の熱抵抗を小さくするので、受熱部の機械的強度を維持しつつ、受熱部の吸熱特性を向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置であって、導入管開口部と内壁との隙間を0.2mm以下とすることにより、作動流体の流れによって気泡が作動流体とともに排出されるので、気泡の滞留によって内壁表面の作動流体の蒸発が阻害されることがなく、受熱部の吸熱特性を高め、冷却装置の性能を向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置であって、スリットに交差する溝を設け、導入管開口部を溝に挿入することにより、スリット以外を通過して流れる作動流体をなくし、重力方向にかかわらず内壁に供給される作動流体の量を確保できるため、受熱部の横に発熱体を配置することができる。
請求項10記載の発明によれば作動流体を循環し液相と気相の相変化によって冷却する冷却装置であって、外壁の一面に発熱体を配置し、前記外壁の一面に対応する内壁に熱を伝える箱型の受熱部と、前記受熱部に前記作動流体を注入する導入管と、前記内壁の熱によって注入された前記作動流体が蒸気となり前記蒸気を排出する導出管と、前記受熱部より上方に設けられ前記導出管を経由した前記蒸気の熱を放出する放熱器と、前記導入管の開口部側に設けた逆止弁とを備え、前記放熱器で液化した作動流体を前記逆止弁を介して前記受熱部に帰す構成にするとともに、前記作動流体の循環方向は逆止弁以降の出口側圧力上昇によって決定され、前記発熱体が配置された外壁において前記導入管開口部の外周の内側に配置され、前記導入管内部の圧力が上昇することで、気泡と未蒸発の作動流体が混相流となって前記導出管側へと排出される構成とし、前記発熱体が配置された部分に対応する前記内壁の厚さを周囲の内壁の厚さより薄くするとともに、前記発熱体が配置された外壁において、前記発熱体の熱源中心が、壁を隔てて対称に位置する前記導入管開口部の外周の内側に配置されていることを特徴とする。
これにより、発熱体の熱源は、発熱体が配置された外壁において導入管開口部の外周の内側に配置され、発熱体が配置された部分に対応する内壁の厚さを周囲の内壁の厚さより薄くすることにより、発熱体が配置された部分に対応する内壁の熱抵抗が小さくなり、発熱体の温度と発熱体が配置された部分に対応する内壁の温度との温度差を小さくするので、その結果、加熱初期状態における発熱体の温度上昇を抑制することが可能となる。その結果発熱体の熱を発熱体の温度が比較的低い状態から作動流体の蒸発によって熱を奪うので、発熱体が発熱し始めた場合の温度上昇を抑制することができる。
請求項11記載の発明によれば、請求項10記載の冷却装置であって、内壁にスリットを設けて内壁の厚さを薄くしたことにより、内壁でスリットより厚い周りの部分がスリットを設けた薄い部分を補強するので、内壁の強度を維持しつつ、発熱体が発熱し始めた場合の温度上昇を抑制することができる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1における冷却装置をパーソナルコンピュータ(以下、PC)筐体内に配置した場合の斜視図および本発明の冷却装置の構造図である。図1(a)において、16は、PC筐体であり、その中に電源ユニット15、マザーボード18などのPC部品と共に本発明の冷却装置が配置されている。そしてその冷却装置は、発熱体ソケット17と接続する箱型の受熱ユニット1と放熱部11、および放熱部11を冷却するファン10により構成されている。
本発明の冷却装置を更に説明すると、図1(b)に示すように、受熱板3を含む箱型の受熱ユニット1と放熱部11、および作動流体の循環方向を決定する逆止弁7の3つの主要部品と逆止弁7と受熱ユニット1とを接続する導入管5、受熱ユニット1から作動流体を排出する導出管6、導出管6と放熱部11とを接続する管路8、および逆止弁7と放熱部11とを接続する管路9の循環系から構成されている。
次に、受熱ユニット1の詳細な構造を図2を用いて説明する。図2(a)は、本発明の実施例1の受熱ユニットの中央垂直断面図、図2(b)は、図2(a)の受熱ユニットの断面斜視図、および図2(c)は、図2(a)の受熱ユニットの水平断面図、図2(d)は、図2(a)で示されるA部断面詳細図である。図2(a)において、1は、受熱ユニットの全体を表している。2は、発熱体であり、3は、発熱体2と接触し熱を吸収する受熱板で、熱抵抗の少ない例えば、銅、アルミニュウム等の材料が用いられる。図2(a)より、発熱体直上近傍の受熱ユニット1の受熱板3の内側には、略平行にスリット4が形成されており、それを覆うように導入管5が、受熱板3に接触または僅かな隙間で配されている。つまり、図2(c)より、スリット4の長さW1は、導入管5の管径D1よりも大きく、発熱体直上近傍のスリット4中央部を導入管5が覆う状態となっている。
以下、以上のように構成された本発明の冷却装置について動作を説明する。発熱体2が発熱すると受熱ユニット1内の作動流体14が、発熱体2から受熱板3へ伝熱した熱によって、受熱ユニット1内側の受熱板3表面(以下、気化面)で相変化(蒸発)し、気化潜熱として蒸気が熱を受け取り、発熱体2を冷却する。その蒸発した蒸気は、導出管6から矢印の方向に管路8を通って放熱部11へ流入し放熱部11内で冷却された蒸気は凝縮し液化する。この時、液化による凝縮熱が、放出され放熱部の温度を高める。そして、放熱部搭載のファン10からの空気が高温となった放熱部11の表面へ送られ熱交換されることで最終的に空気中へ熱が放散される。そして液化した作動流体14は、管路9を通り受熱ユニット1直前の逆止弁7を経由して導入管5から再び受熱ユニット1内へ帰ってくる。この一連のサイクルを繰り返すことで冷却が継続される。
ここで、上記受熱板3近傍の動作を図3を用いて更に説明する。図3(a)は、図2(a)と同じ受熱ユニットの中央垂直断面図と図3(b)は、更に切断方向を90度変えた中央垂直断面図であり、図3(c)は、スリット部のA部断面詳細図である。図3(c)に示すように導入管5からスリット4内へ流入した作動流体14は、スリット4内を通過する時に発熱体に最も近い受熱面と接触し、発熱量に応じた量の作動流体が相変化(蒸発)する。この時、受熱面では気化潜熱が奪われると同時に相変化に伴う体積膨張によって気泡が成長し、導入管5内部の圧力が上昇することで、気泡と未蒸発の作動流体14が混相流となって導出管6側へ排出される。導入管5には逆止弁7が搭載されており、ここでの圧力上昇は、この逆止弁7以降の出口側で発生し、作動流体14の循環方向を決定している。また、スリット部の底厚hは、受熱板厚Hに比べてかなり薄くなっている。
このようにスリット底厚hを薄くすると、厚さによる熱抵抗を小さくすることができ、同じ発熱量でも比較的短時間で蒸発温度に達し、気化が始まるため、加熱初期の受熱面の温度上昇を抑制する事ができる。また、スリット4の形成により、十分な気化面積も同時に確保することができ吸熱性能の向上もできる。
なお、上記圧力上昇によってスリット4の気泡は、未蒸発の作動流体14と共に排出させるためには、受熱板3と導入管5との隙間の流路抵抗をスリット4の流路抵抗より大きくする必要がある。
つまり、スリット4を設けていない部分の受熱板3と導入管5との隙間をゼロにした場合、スリット4を設けていない部分の受熱板3と導入管5との隙間から作動流体14は排出されず、スリット4のみから作動流体は排出され、作動流体14の流れによってスリット4に発生した気泡を効果的に排出できる。
また、受熱板3と導入管5の隙間がある場合でも、スリット4の流路抵抗が、スリット4を設けていない部分の隙間の流路抵抗より小さくなる様に、スリット4の深さや、幅を選択することで、作動流体14はスリット4内を流れ易くなる。
ここで、一般に、電子部品の冷却では、前述した通り、発熱体2に対接した受熱ユニット1で熱が、発熱体2と受熱板3の接触面(以下、受熱面)から吸熱されフィンに伝わり、フィン間を流れる作動流体との熱交換で熱が奪われることで発熱体2の冷却を行う。しかし、発熱体2のサイズは、近年の小型化、低コスト化に伴って縮小の一途をたどっており、仮に発熱量自体がほとんど変化しなくとも、発熱体2からの熱密度(単位面積当たりの発熱量)は、サイズとは逆に急激に増加する事になる。この点は、前述した通りで同一冷却装置では大幅な吸熱性能の低下につながる事を意味しており、その理由を示したのが、図4である。このグラフは、同じ冷却装置を使用し、発熱量を固定して発熱サイズを変化させた場合の熱抵抗の変化を実験的に求めて表したグラブである。横軸は、発熱体2のサイズ(面積S:mm2)を表し、縦軸は、発熱体サイズを100mm2とした場合の冷却装置の熱抵抗R0とサイズが縮小した場合の熱抵抗R1の比をとった規格化熱抵抗比(R1/R0)を表している。また、上部横軸には各サイズを将来実現するために必要な半導体プロセスの最小線幅の世代例も付記している。同グラフより、発熱サイズが縮小すると熱抵抗も急激に悪化してくることがわかる。これは、前述した通り発熱サイズの縮小に伴う熱密度の増加が原因であり、実質的な冷却装置の吸熱性能の低下を意味している。更に、ここで示した最小線幅の世代交代は、通常2年〜3年で行われており、その間の半導体素子数の増加を考慮しても、一世代で約70%までサイズが縮小すると言われている。そして、この世代交代による熱密度の増加に対応するだけの吸熱性能を現実的に確保する事が困難に成りつつあるという事が大きく顕在化して来ている。
従って、この問題に対して受熱部の高性能化が急務であることは言うまでもないが、そのためには、吸熱性能を高める前述した蒸発などの相変化による気化潜熱を利用したものが有効となる。しかし、実際の相変化でもある程度の蒸発を行う気化面積が必要である。特に発熱体である素子サイズが小さくなるほど素子直上の熱交換面積となる作動流体の気化面積の確保は困難となって来る。そこでこの気化面積を広げる方法として2つの方法がある。第1の方法は、発熱体直上にできるだけ密にフィンを配置する方法であり、第2の方法は、受熱板3の厚さを厚くし発熱体2からの距離を大きくとることで、熱の拡散範囲を広げて気化面積を確保する方法である。第1のフィンを密に配置する方法は、従来からよく行われており、マイクロチャネルなどがその代表と言える。しかし、この方法は、フィン密度の増加に従い気化面積を増やすことは可能であるが、フィン密度が高くなるほどコストを含めて工法的に困難な面が非常に大きくなる欠点がある。
また、従来のマイクロチャネル型フィンはミクロンオーダーでフィンを密に配置しているが、この構造ではフィンの間に作動流体を流すためにポンプが必要となる。
第2の受熱板を厚くする方法は、コストおよび工法的にも容易である。しかし、この方法でも十分な気化面積を確保するにはかなり厚みが必要となり、厚さによる熱抵抗の増加と重量増加という問題が出てくる。特に熱抵抗の増加は、相変化が始まる加熱初期の急激な温度上昇を招く可能性が高く、これらの問題に適切に対応可能な構造が必要と言える。
そこで、本発明は、導入管に近接した受熱板にミリオーダーで複数のスリットを形成した構造を採用する事によって、ポンプを使用することなく、十分な気化面積の確保と加熱初期の温度上昇を抑制した吸熱性能に優れた冷却装置を実現している。
上記発熱体2の加熱初期の温度上昇を抑える効果について図5、および図6を用いて説明する。図5は、受熱板3にスリット4が形成された状態での温度分布Fを示す略図である。受熱面の温度分布Fは、発熱体2の温度をTcとし、スリット4の底部(板厚h)の温度差ΔTh、受熱板3(板厚H)の温度差ΔTH(>ΔTh)となっている。この様に、板厚が厚いほど温度差が大きくなることがわかる。つまり、発熱体2の温度がTcである場合、スリット4の底部の温度はTc−ΔThであり、受熱板3表面の温度はTc−ΔTHとなる。そのため、発熱体2から距離が近い、つまり受熱板の厚さが薄いほど、発熱体2との温度差が小さくなり、スリット4を設けていない受熱板3で気化する際に発熱体2が必要な温度よりスリット4で気化する際の発熱体2の温度を低くすることができる。
図6は、この受熱板3へスリット4を形成した場合としない場合での時間と受熱面の温度変化を示したグラフである。横軸に加熱開始からの時間(min)、縦軸に発熱体2と受熱板3との対接面である受熱面の温度Tcを取り、スリットの有無による加熱初期の温度変化と安定状態までの推移を表している。同グラフより、従来のスリット無しの場合は、加熱開始直後に急激な温度上昇が現れ、最高温度Tc-pは電子部品の安定動作温度(CPUの場合75℃前後)を越えており、この状態では、電源投入初期に熱暴走する可能性が高い。これに対して、本発明であるスリットを有りの方は、加熱開始直後に僅かに上昇をみせるが、すぐに安定状態に移り最高温度Tc-pも安定動作温度以下に抑制することができる。また、スリットを形成する事によって気化面積が増加するため、安定状態での温度Tc-stも低下し、吸熱性能を向上させることができる。
スリット4の底厚について図7を用いて説明する。図7は、受熱板3の厚さHを4mmとした場合を例として、横軸に受熱板厚さHとスリット部底厚hの厚さ比率(h/H)を取り、縦軸に加熱初期の受熱面の最大温度Tc-pと安定状態温度Tc-stの温度比率(Tc-p/Tc-st)の関係を示したグラフである。同グラフより、厚さ比率が0.3以下で有れば温度比率が1.3程以下となり、安定状態温度Tc-stより30%程度の温度上昇レベルに抑制されていることがわかる。
ただし、実際の受熱板3ではスリット底厚hを薄くすればするほど良いということではない。スリット底厚hがあるレベルよりも薄くなると、温度比率の減少が無くなる点と、極端に薄くした場合には機械的強度も低下するため、それらの点を考慮して、スリット底厚hやスリットの幅、数、配置間隔などを考慮する必要がある。
これにより、本発明の冷却装置は、受熱部の内壁にスリットを設けることで、薄いスリット底厚により熱抵抗を小さくすることができ、同じ発熱量でも比較的短時間で蒸発温度に達し、気化が始まるため、加熱初期の受熱面の温度上昇を抑制する事ができる。
また、内壁にスリットを設けることより、内壁表面の表面積が大きくなるので、内壁の伝熱性能を向上させることができる。
更に、内壁に導入管の開口部の外周で囲まれる面の内側から外側へスリットを設けることにより、スリット内では、作動流体の蒸発に伴う圧力の上昇によって、スリット内で発生した気泡がスリットに沿って開口部の外周で囲まれる面の内側から外側へ排出されるため、気泡滞留による作動流体の蒸発が阻害されることなくなり、受熱部の吸熱特性を高め、冷却装置の性能を向上させることができる。
なお、受熱板3と導入管5との隙間を0.2mm以下とすることで、スリット4に生じた気泡を作動流体14の流れによって離脱させ、スリット4に滞留する気泡を少なくすることができる。その結果、スリット4を設けた受熱板3の表面における作動流体14の相変化すなわち蒸発を促進し、受熱ユニット1の全体の吸熱性能を向上させることができる。
また、スリット4を傾斜または、曲率を持って形成することにより、発生した気泡が作動流体14の流れによって上方の空間に排出しやすくなり、その結果スリット4に気泡が滞留すること軽減することができる。
(実施例2)
実施例2は、実施例1のスリットを放射状に配置したものである。なお、実施例1と同一構成部分については便宜上同一符号を付し、その具体的説明は実施例1のものを援用する。
本発明の実施例2における冷却装置について図8を用いて説明する。図8(a)は、本発明の実施例2の他の受熱ユニットの中央垂直断面図、図8(b)は、図8(a)の受熱ユニットの断面斜視図、図8(c)は、図8(a)の受熱ユニットの水平断面図、図8(d)は、図8(a)で示されるA部断面詳細図である。図8(a)に示すように、発熱体直上の受熱ユニット1の受熱板3に形成されているスリット4の形状は、発熱体中心軸を起点に放射状に形成されている。このスリット構造を採用する事で発熱体直上近傍の受熱板厚さは、同一スリット幅であれば熱抵抗の低い気化面として動作させることが可能なスリット底厚hとなっており、この薄い底厚hの範囲は、図2のタイプに比べて比較的広く確保できる構造となっている。従って、この構造を採用することによって、図2の場合と同様に高い吸熱性能を実現することができる。
(実施例3)
実施例3は、発熱体2が接している受熱板3の中心にスリットを設けないものである。なお、実施例1、2と同一構成部分については便宜上同一符号を付し、その具体的説明は実施例1、2のものを援用する。
まず、スリット4を平行に配置した場合について図9を用いて説明する。図9(a)は、本発明の実施例3の受熱ユニット1の中央垂直断面図、図9(b)は、図9(a)受熱ユニットの断面斜視図、図9(c)は、図9(a)の受熱ユニットの水平断面図、図9(d)は、図9(a)で示されるA部断面詳細図である。図9(a)に示すように、発熱体直上の受熱ユニット1の受熱板3に形成されている略平行のスリット4の配置が、発熱体2の直上の一部を避けて配されている。つまり、発熱体2の直上には、受熱板本来の厚さHの部分が残っており発熱体周辺の受熱板厚さHの部分と直接つながった領域となっている。図2または図8の実施例2の場合では、スリットの密度によっては、前述した通り機械的強度が不足することが考えられたため、本実施例では、図9の様な構造を採用することで必要な機械的強度を維持している。そして、適度なスリット密度の選択により、十分な気化面積の確保と加熱初期の温度上昇を抑制した吸熱性能に優れた冷却装置を実現することができる。
次に、スリット4を放射状に配置した場合について図10を用いて説明する。図10(a)は、本発明の実施例3の受熱ユニット1の中央垂直断面図、図10(b)は、図10(a)受熱ユニットの断面斜視図、図10(c)は、図10(a)の受熱ユニットの水平断面図、図10(d)は、図10(a)で示されるスリット部のA部断面詳細図である。図10(a)に示すように、基本的な構成は、図8の場合と同じで、受熱板3に形成されたスリット4も発熱体中心から放射状に形成されている。ただし、発熱体直上の受熱ユニット1の受熱板3に形成されているスリット4の配置が、図9の場合と同様に発熱体2の直上の一部を避けて放射状に配されている。つまり、この場合も発熱体2の直上には、受熱板本来の厚さHの部分が残っており発熱体周辺の受熱板厚さHの部分と直接つながった領域となっている。従って、図9の場合と同様に、この構造を採用することで必要な機械的強度が維持され、適度なスリット密度の選択により、十分な気化面積と加熱初期の温度上昇を抑制した吸熱性能に優れた冷却装置を実現することができる。
(実施例4)
実施例4は、更なる吸熱性能の向上のためにスリット4の幅を発熱体2から遠ざかるに従って徐々に大きくしたものである。なお、実施例1〜3と同一構成部分については便宜上同一符号を付し、その具体的説明は実施例1〜3のものを援用する。
まず、スリット4を平行に配置した場合について図11を用いて説明する。図11(a)は、本発明の実施例4の受熱ユニット1の中央垂直断面図、図11(b)は、図11(a)の受熱ユニットの断面斜視図、図11(c)は、図11(a)の受熱ユニットの水平断面図、図11(d)は、図11(a)で示されるスリット部のA部断面詳細図である。図11(a)に示すように、発熱体直上の受熱ユニット1の受熱板3に形成されているスリット4の配置が、図9の場合と同様に発熱体2の直上の一部を避けて、かつ導入管5直下の作動流体14が流入するスリット4の幅が、発熱体2中央から遠ざかるに従って徐々に大きくなっている。この構造を採用することで、スリット4内で気化し気泡となってスリット4の他端から排出される蒸気の気泡離脱性が高まり、作動流体の安定した循環を促進することが可能となる。特に表面張力の高い作動流体を用いる場合などでは、スリット4内で発生する気泡が物理的に保持(トラップ)され易くなり、作動流体の循環が阻害されることで吸熱性能の急激な低下を招く恐れがある。そのため、この気泡離脱性は、相変化を用いる装置では安定動作を確保する上での重要なパラメータである。なお、この実施例4でも、図9の場合と同様に必要な機械的強度を維持しつつ、適度なスリット密度の選択により、十分な気化面積の確保と加熱初期の温度上昇を抑制した吸熱性能に優れた冷却装置を実現することが可能であることは同じである。
次に、スリット4を放射状に配置した場合について図12を用いて説明する。図12(a)は、本発明の実施例4の他の受熱ユニット1の中央垂直断面図、図12(b)は、図12(a)の受熱ユニットの断面斜視図、図12(c)は、図12(a)の受熱ユニットの水平断面図、図12(d)は、図12(a)で示されるスリット部のA部断面詳細図である。図12(a)に示すように、発熱体2直上の受熱ユニット1の受熱板3に形成されているスリット4の配置が、図10の場合と同様に発熱体2の直上の一部を避けてスリットが放射状に配され、図11の場合と同様に導入管5直下の作動流体14が流入するスリット4の幅が、発熱体中央から遠ざかるに従って徐々に大きくなっている。また、この構造を採用することによる効果としても図11の場合と同様に、前述した気泡離脱性の向上だけでなく、必要な機械的強度を維持しつつ、適度なスリット密度の選択により、十分な気化面積と加熱初期の温度上昇を抑制した吸熱性能に優れた冷却装置を実現することができる。
また、スリット4を平行に配置した場合と比較して、放射状に配置した場合、より多くのスリットを設けることができ、受熱面積を増加させ、冷却装置の性能を一層向上させることができる。
なお、本実施例では発熱体2が接している受熱板3の中心にスリット4を設けていないが、スリット4を設けることも可能である。
(実施例5)
実施例5は、受熱板3を立てて使う場合に、受熱板3にスリット4に交差するように導入管5の開口部の外周と同じ大きさの溝を設け、導入口5の開口部を受熱板3に挿入したものである。なお、実施例1〜4と同一構成部分については便宜上同一符号を付し、その具体的説明は実施例1〜4のものを援用する。
図13(a)は、本発明の実施例5の受熱ユニットの中央垂直断面図、図13(b)は、図13(a)受熱ユニットの断面斜視図、および図13(c)は、図13(a)受熱ユニットの水平断面図、図13(d)は、図13(a)で示されるスリット部のA部断面詳細図である。図13(a)において、1は、受熱ユニットの全体を表している。
ここで、図13(d)に示すように、導入管5の先端が、受熱板3の内部に僅かに入り込む状態となっていることである。この様な構造とすることで、実際の受熱ユニット1が図13(a)の断面斜視図のように配置された場合でも、導入管5から供給された作動流体が、重力方向へ漏れ出すことがなくなり確実にスリット4へ導入することができる。これにより、受熱ユニット1の配置方向の自由度が水平から垂直まで広がり、様々な用途への展開の可能性を高めた電子部品の冷却装置を実現する事ができる。
なお、上記実施例1〜4においても受熱ユニット1を垂直配置することで動作するが、受熱ユニット1を垂直配置する場合には、上述のように導入管5を受熱板3の内部に入り込むように形成するのが望ましい。
本発明の冷却装置によれば、高い吸熱特性を有するので、特にMPU等の高集積化、高周波数化に伴う高発熱量の電子部品の冷却に好適である。
(a)本発明の実施例1における冷却装置をPC筐体内に配置した場合の斜視図、(b)冷却装置の構造図 (a)本発明の実施例1の受熱ユニットの中央垂直断面図、(b)図2(a)の受熱ユニットの断面斜視図、(c)図2(a)の受熱ユニットの水平断面図、(d)図2(a)で示されるA部断面詳細図 (a)本発明の実施例1における受熱ユニットの中央垂直断面図、(b)90度方向の中央垂直断面図、(c)受熱ユニットのスリット部のA部断面詳細図 発熱サイズを変化させた場合の規格化熱抵抗変化を表したグラフ 本発明の実施例1における受熱板の厚さ方向の温度分布からスリット形成により、発熱体温度を気化温度との関係を表した模式図 本発明の実施例1における受熱部を用いて、加熱初期の温度変化を示したグラフ 本発明の実施例1における受熱板厚さとスリット部底厚の比と加熱初期の温度比の関係を示したグラフ (a)本発明の実施例2における他の受熱ユニットの中央垂直断面図、(b)受熱ユニットの断面斜視図、(c)受熱ユニットの水平断面図、(d)スリット部のA部断面詳細図 (a)本発明の実施例3における受熱ユニットの中央垂直断面図、(b)受熱ユニットの断面斜視図、(c)受熱ユニットの水平断面図、(d)スリット部のA部断面詳細図 (a)本発明の実施例3における受熱ユニットの中央垂直断面図、(b)受熱ユニットの断面斜視図、(c)受熱ユニットの水平断面図、(d)スリット部のA部断面詳細図 (a)本発明の実施例4における受熱ユニットの中央垂直断面図、(b)受熱ユニットの断面斜視図、(c)受熱ユニットの水平断面図、(d)スリット部のA部断面詳細図 (a)本発明の実施例4における他の受熱ユニットの中央垂直断面図、(b)受熱ユニットの断面斜視図、(c)受熱ユニットの水平断面図、(d)スリット部のA部断面詳細図 (a)本発明の実施例5における他の受熱ユニットの中央垂直断面図、(b)受熱ユニットの断面斜視図、(c)受熱ユニットの水平断面図、(d)スリット部のA部断面詳細図 (a)従来の冷却装置の構成図、(b)従来の冷却装置の受熱部構造を示す図 ヒートパイプを用いた従来の他の冷却装置の構成図
符号の説明
1 受熱ユニット
2 発熱体
3 受熱板
4 スリット
5 導入管
6 導出管
7 逆止弁
8、9 管路
10 ファン
11 放熱部
12 ウイック
13 ポンプ
14 作動流体
15 電源ユニット
16 PC筐体
17 発熱体ソケット
18 マザーボード

Claims (11)

  1. 作動流体を循環し液相と気相の相変化によって冷却する冷却装置であって、外壁の一面に発熱体が配置され、前記外壁の一面に対応する内壁に熱を伝える箱型の受熱部と、前記受熱部に前記作動流体を注入する導入管と、前記受熱部に注入された前記作動流体が熱によって蒸気となり、前記蒸気を排出する導出管と、前記受熱部より上方に設けられ前記導出管を経由した前記蒸気の熱を放出する放熱器と、前記導入管の開口部側に設けた逆止弁とを備え、前記放熱器で液化した作動流体を前記逆止弁を介して前記受熱部に帰す構成にするとともに、前記作動流体の循環方向は逆止弁以降の出口側圧力上昇によって決定され、前記内壁において前記導入管開口部の外周で囲まれる面の内側から外側へスリットが設けられ、前記発熱体が配置された外壁において、前記発熱体の熱源中心が、壁を隔てて対称に位置する前記導入管開口部の外周の内側に配置され、前記導入管内部の圧力が上昇することで、気泡と未蒸発の作動流体が混相流となって前記導出管側へと排出される構成としたことを特徴とする冷却装置。
  2. 前記導入管開口部は前記内壁に接していることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  3. 前記スリットが、平行に複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
  4. 前記スリットが、前記導入管開口部中心から放射状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  5. 前記スリットが、前記導入管開口部の外周で囲まれた前記内壁の中心部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  6. 前記スリットの幅が、前記導入管開口部の中心から遠ざかるにつれて大きくなっていることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  7. 前記スリットを設けていない前記内壁から前記外壁の一面までの厚さHに対する前記スリットの底部から前記外壁までの一面の厚さhの比(h/H)が、0.1〜0.3であることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  8. 前記導入管開口部と前記内壁との隙間を0.2mm以下とすることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  9. 前記スリットに交差する溝を設け、前記導入管開口部を前記溝に挿入することを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  10. 作動流体を循環し液相と気相の相変化によって冷却する冷却装置であって、外壁の一面に発熱体を配置し、前記外壁の一面に対応する内壁に熱を伝える箱型の受熱部と、前記受熱部に前記作動流体を注入する導入管と、前記内壁の熱によって注入された前記作動流体が蒸気となり前記蒸気を排出する導出管と、前記受熱部より上方に設けられ前記導出管を経由した前記蒸気の熱を放出する放熱器と、前記導入管の開口部側に設けた逆止弁とを備え、前記放熱器で液化した作動流体を前記逆止弁を介して前記受熱部に帰す構成にするとともに、前記作動流体の循環方向は逆止弁以降の出口側圧力上昇によって決定され、前記発熱体が配置された外壁において前記導入管開口部の外周の内側に配置され、前記導入管内部の圧力が上昇することで、気泡と未蒸発の作動流体が混相流となって前記導出管側へと排出される構成とし、前記発熱体が配置された部分に対応する前記内壁の厚さを周囲の内壁の厚さより薄くするとともに、前記発熱体が配置された外壁において、前記発熱体の熱源中心が、壁を隔てて対称に位置する前記導入管開口部の外周の内側に配置されていることを特徴とする冷却装置。
  11. 前記内壁にスリットを設けて前記内壁の厚さを薄くしたことを特徴とする請求項10記載の冷却装置。
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