以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
尚、本明細書において、「記録」(あるいは「印刷」とも言う場合がある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合だけではない。有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚しうるように顕在化したものであるか否かを問わず、記録媒体上に液体を付与することによって広く画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も言うものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられている紙のみならず、広く布、プラスチックフィルム、金属板等、記録ヘッドによって吐出されるインクを受容可能なものも言うものとする。
さらに「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって画像、模様、パターン等の形成、または記録媒体の加工に供されうる液体を言うものとする。
また、大ノズルと小ノズルの違いは、1回あたりに吐出するインク量の違いである。即ち、比較的大きいインク量であるノズルを大ノズル、比較的小さいインク量であるノズルを小ノズルである。ここで、大ノズルと小ノズルは、通常は、円径のノズルから構成されている。また、例えば、第1ノズルを大ノズルとすると、そのノズルの代表的なノズル径を示す直径である第1ノズル径は、第2ノズルである小ノズルの第2ノズル径よりも大きいものとする。つまり、両者の間では、第1ノズル径>第2ノズル径の関係を持っている。そこで、本実施形態では、便宜上、第1ノズル径のノズルを大ノズル、第2ノズル径のノズルを小ノズルと表現する。
また、メインノズルは、画像を形成するドットとなるインクを吐出するノズルである。つまり、メインノズルは、記録媒体に対して記録を行うインクの吐出を行うノズルである。一方、ダミーノズルは、記録媒体に対して記録を行わないインクの吐出を行うノズルである。
また、ノズルの形状は、円形に限定されるものではなく、星型や楕円等の他の形状である場合があり、その場合のノズル径とは、その形状の外接円の内、代表的な径と見なす径をノズル径とする。例えば、ノズル形状が楕円である場合には、その長径がノズル径となる。
図8は本発明の実施形態に適用可能なインクジェットプリンタの斜視図である。
インクジェットプリンタ11において、その機能部品を大きく分類すると、キャリッジ12、タイミングベルト13、搬送ローラ14、排紙ローラ15、クリーニングユニット16、キャリッジモータ17、プラテン18から構成される。ここで、以下の説明では、インクジェットプリンタ11は、単に、プリンタ11と略称する。
キャリッジモータ17のシャフトに取り付けられたプーリと、それと対称位置にあるプーリに張架されたタイミングベルト13の一部がキャリッジ12に接続されており、キャリッジモータ17の駆動力を伝達する。また、排紙ローラ15は、プラテン18上の記録媒体に適度なテンションを加えるために、搬送ローラ14に比べて若干、早めに回転するように設定されている。
次に、キャリッジ12の裏面の構造について、図9を用いて説明する。
図9は本発明の実施形態のキャリッジの裏面の構造を示す図である。
キャリッジ12は、シャフト軸19に支持されて、左右に移動することができる。また、キャリッジ12の裏面には、スケーラー20を読み取るエンコーダー21が設置されている。
エンコーダー21は、プリンタ11に延在して設けられたスケーラー20をキャリッジ12の移動と共に読み取る。そして、プリンタ11は、エンコーダー21によって、キャリッジ12の変位量を逐次観測し、その情報に基づいてキャリッジモータ17のフィードバック制御を行う。また、キャリッジ12に搭載される記録ヘッドを駆動するタイミング情報もエンコーダー21の位置情報を基に生成する。
次に、プリンタ11の各種動作を制御するための制御回路について、図10を用いて説明する。
図10は本発明の実施形態のプリンタの制御回路の全体構成を示す図である。
プリンタ11の主要部品は、CPU22、RAM23、ROM24、ASIC25、インターフェイス(I/F)26、記録ヘッド27及び電源31から構成される。
図10では、それぞれの素子が単部品として図示されているが、全ての素子を1つのLSIパッケージに集積して構成されても良い。
ROM24は、プリンタ11を制御するための各種プログラムを記憶するプログラム領域を有し、このプログラム領域にプリンタ11のファームウェア及びモータの駆動テーブル等が格納されている。
ASIC25は、モータ駆動制御の他に、画像処理、インターフェイス(I/F)26を介するホストコンピュータとの通信や、記録ヘッド27のインク吐出制御等を行う。
また、RAM23は、ホストコンピュータからの受信データを一時的に保存するための受信バッファ(Receive Buffer)に用いる。また、RAM23は、ASIC25で画像処理を行う際のテンポラリメモリとして機能させるための作業領域(Work Area)、また、記録用データを保存するためのプリントバッファ(Scroll Print Buffer)等に用いられる。また、モータを駆動制御するための駆動データテーブルは、作業領域に展開される。
プリンタ11の各種モータを駆動するためのモータドライバには、キャリッジ(CR)駆動用のCRモータドライバ28及び用紙搬送(LF)用のLFモータドライバ29の2つのドライバがある。17及び30はそれぞれ、対応するモータドライバによって駆動するキャリッジ(CR)モータ及び用紙搬送(LF)モータである。
尚、図10のモータドライバとモータの組み合わせは、一例であり、プリンタによって、このモータの数とモータドライバの数はいくつになっても良い。
31は電源であり、商用電源から半導体デバイス駆動用のロジック電源、モータ駆動電源及びヘッド駆動電源を生成する部位である。また、電源31に用いられるDC−DCコンバーターや、CRモータドライバ28、LFモータドライバ29は、ワンチップのICに統合されていても良い。
記録ヘッド27の駆動は、図3のカラム方向(y方向)に一列に設けられた複数のノズルを、いくつかのノズル群に分け、それぞれのノズル群毎に異なるタイミングで駆動(時分割駆動)させる方法が一般的に利用されている。その方法の詳細は、例えば、特開2000−071433に記載されている。このようにノズルを時分割駆動することによって、インクの供給速度と安定性を向上させ、かつ、吐出に必要な消費電力を削減することが可能である。
記録ヘッド27の内部構成について、図25を用いて説明する。ヒータ駆動信号は端子2501から入力される。クロック信号は端子2502から入力される。ヒータに印加する電圧は端子2506から入力される。画像データは、端子2503から入力される。入力したデータのうち、選択データは選択データ転送回路2508へ、画像データはデータ転送回路2511へ送られる。選択データは、選択データ転送回路2508から選択データ保持回路2509で保持され、さらにデコーダ2510でデコードされる。デコーダ2510は、選択データ保持回路2509から、図14のBE4(L/S)の値に対応して信号2513Aが出力される。反転回路2504により、信号2513Aは反転され信号2513Bとなる。この信号2513A、信号2513Bにより、ヒータAまたはヒータBのいずれか一方が駆動される。
ノズル列について説明すると、例えば、シアン用のノズル列の場合、大のノズルm個、小のノズルm個を備えている。大のノズルに対応するm個のヒータA、小のノズルに対応するm個のヒータBを備えている。
この信号により、ヒータAまたはヒータBのいずれか一方が駆動される。駆動回路2507はヒータA及びヒータBを駆動する。
一方、画像データは、データ転送回路2511から保持回路2512で保持され、ノズルグループS(1)からS(m)へ出力される。画像データは、端子2503から入力されたクロック信号に同期して入力される。入力端子2505から入力されるラッチ信号に基づき選択データ保持回路2509がデータを保持する。このノズルグループSは、大ノズル用のヒータAと小ノズル用のヒータBで構成されている。
ヒータ駆動信号は、グループS(1)〜S(m)のそれぞれのヒータA、Bに入力される。尚、反転回路2504はグループSのそれぞれについてヒータA、ヒータBのいずれかを選択する信号である。
以上の構成により、大ノズルと小ノズルについての画像データの信号線やノズル選択のための制御線を共通化された構成である。
尚、ホストコンピュータは、制御回路での記録制御を実現可能にするための記録データを生成し、その記録データのプリンタ11への出力を制御する。この記録データの生成及び出力制御は、例えば、ホストコンピュータ上に搭載されるプリンタ11に対応するプリンタドライバ等の専用プログラムによって実現されるが、その専用プログラムが実行する処理を実現する専用ハードウェアで実現しても良い。
また、ホストコンピュータは、パーソナルコンピュータ(ノート型、デスクトップ型等の各種形式を含む)等の汎用コンピュータに搭載される標準的な構成要素を有している。この構成要素として、例えば、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、外部記憶装置、ネットワークインタフェース、ディスプレイ、キーボード、マウス等がある。
更に、ホストコンピュータとしては、パーソナルコンピュータ以外に、例えば、デジタルカメラ、携帯電話やPDA等の携帯端末がなり得る。
次に、記録ヘッド27を時分割駆動する場合のノズル列の分割例について、図11を用いて説明する。
図11は本発明の実施形態の記録ヘッドのノズル列の分割例を示す図である。
図11では、16ブロック分割されたノズル列を例として、各ブロックのノズルの構成をブラックノズル列及びカラーノズル列でそれぞれ表形式で示している。ブロックの構成は、図11のように、32ノズル毎間隔のノズルが同一ブロックに構成されている。つまり、EVEN側のみ着目すると、16ノズル毎間隔のノズルが同じブロックとなる。このように、ある一定間隔を置いたノズルを同一ブロックにすることによって、隣接ノズルの駆動の影響を受けにくい構成を実現することができる。
次に、記録ヘッド27の駆動を行う記録ヘッドコントロールブロックについて説明する。記録ヘッドコントロールブロックは、ASIC25を構成するひとつのブロックであり、これについて、図12を用いて説明する。
図12は本発明の実施形態の記録ヘッドコントロールブロックを示すブロック図である。
図12から明らかなように、記録ヘッドコントロールブロックは、3つのブロックから構成されている。具体的には、ノズルデータ生成ブロック(NZL_DG)32、ノズルデータ保持ブロック(NZL_BUFF)33、記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34から構成される。
この記録ヘッドコントロールブロック34を駆動させるための基準タイミング信号は、エンコーダー信号(不図示)から記録タイミングの生成を行うブロックから出力されるWindow51、Column TRG52、Latch TRG53である。
Window51は、ラスター方向(主走査方向)にキャリッジ12が移動し記録指定箇所に達するとフラグが立ち(Window Open)、また、記録終了でフラグが下がる(Window Close)信号である。Window51は、ブラック及びカラー3色それぞれのEVENノズル列及びODDノズル列に対して設けられているため、計8本存在する。
Column TRG52は、カラム間隔で出力されるトリガ信号であり、このカラムトリガの間隔がラスター方向の記録解像度となる。
Latch TRG53は、カラムの間隔をブロック数で均等に分割したタイミングで発生する信号である。本実施形態のように、ノズル列が16ブロックから構成される場合、1カラム時間内に16発のLatch TRGが発生する。
YOBITO Window54は、予備吐出時に色設定を行うWindow信号であり、ブラック及びカラー3色それぞれのEVENノズル列及びODDノズル列に対して設けられているため、計8本存在する。このYOBITO Window54は、キャリッジ12の移動に伴うエンコーダー信号とは同期しておらず、予備吐出時に設定されたノズル列のWindowがオープンし、予備吐出を行うためのフラグ信号である。
ノズルデータ生成ブロック(NZL_DG)32は、DMA(Direct Memory Access)転送ブロック35、記録データマスク・ラッチブロック36、データ並び替えブロック37から構成されている。
DMA転送ブロック35は、RAM23上に展開されている記録データをDMA転送によって取り込む。全ノズルを記録に使用する場合に取り込むデータは、図2に示した記録ノズル列の例では、ブラックのEVENノズル列もしくはODDノズル列では16(bit)×10(DMA回数)=160(bit)である。また、カラー一色あたりのEVENノズル列もくしはODDノズル列では、16(bit)×4(DMA回数)=64(bit)である。このようにDMA回数は、使用するノズル数によって決まる。
記録データマスク・ラッチブロック36は、DMA転送により取得した記録データのラッチを行い、かつレジスタ情報(不図示)に基づいて、使用しないノズルに対してマスク(ノズルマスク)をかける機能を有する。ノズルマスクは、1ノズル単位で設定が可能である。
データ並び替えブロック37は、記録ノズルのブロックに基づいて、記録データの並び替えを行う。つまり、図11に示したブロックを構成するノズル情報に基づいて、記録データを各ブロックのノズルデータ列に並び替える。
ノズルデータ生成ブロック(NZL_DG)32の起動のための主な信号は、Window51とColumn TRG52の組み合わせによって行われる。つまり、Window51で記録データが記録指定箇所に達し、Column TRG52を受信すると、記録データの取得を開始する。そして、Window51がクローズすると記録データの取得を停止する。
ノズルデータ保持ブロック(NZL_BUFF)33は、図11に示した各ブロックの構成を有したノズルデータを保持するためのバッファである。
このように、記録ヘッド27の各ブロックを構成するノズル配列とデータ配列が一致しているのは、データの管理を容易にし、かつそれにより記録ヘッド27に記録駆動データの生成を容易にするためである。
ノズルデータ保持ブロック(NZL_BUFF)33が構成するバッファは、ファーストバッファ38、セカンドバッファ39の2段構成になっている。それぞれのバッファは、全ての色の1カラム分のデータ、つまり、1カラム全ブロックデータを保持する構成をとっている。
また、バッファは、ブラックでは、EVENノズル列分及びODDノズル列分の160bit×2、カラーにおいては3色に対してそれぞれEVENノズル列分及びODDノズル列分の64bit×6の構成を有する。
また、バッファ内のデータは、図11に示すようなブロック構成になっており、ブラックは10(bit)×16(ブロック)=160(bit)、カラーは4(bit)×16(ブロック)=64(bit)である。
本バッファは、1カラム中の各ブロックデータを記録ヘッド27に転送しながら、次の1カラムのデータを準備するために2段構成となっており、ファーストバッファ38は書込側、セカンドバッファ39は読出側である。
セレクタブロック40は、記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34のブロックセレクタブロック41からのブロック選択信号に基づいて、逐次ブロックを選択してブロック毎のノズルデータを出力する。
ノズルデータのバス幅は10(bit)×8(色)であり、図11に示すようにブラックデータ(BK_DATA)の場合は10bit全てにノズルデータが割り当てられている。カラーデータ(COLOR_DATA)の場合は4bitのみなので、上位6bitにデータ「0」を設定する。このように、ノズルデータのバス幅を揃えているのは、記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34の回路を各色共通回路で利用したいためである。
記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34は、ブロックセレクタブロック41、シフトレジスタブロック42、データ転送タイミング生成ブロック43を構成している。更には、記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34は、温度推定用ドットカウンタブロック44、K値用ドットカウンタブロック45、パルス生成ブロック46を構成している。
また、記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34は、記録ヘッド27の駆動信号H_LATCH47、H_CLK48、H_D49、H_ENB50を出力する。
記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34の起動は、主にWindow51、Latch TRG53信号によって行われる。また、記録ヘッド27に対して予備吐出を実施する場合は、YOBITO Window54によってノズル列の選択が行われる。記録指定箇所に、Window51が到達してオープン、もしくは予備吐出シーケンスの起動がかけられ、YOBITO Window54がオープンしたときのみ、Latch TRG53及びColumn TRG52は有効になる。
ブロックセレクタブロック41は、記録ヘッド27の時分割駆動をトリガ信号Latch TRG53により、ブロック順序に従いノズルデータ保持ブロック(NZL_BUFF)33のセレクタブロック40にブロック選択信号を出力する。これと同時に、シフトレジスタブロック42に対してもブロック選択信号を出力する。
シフトレジスタブロック42は、ノズルデータ保持ブロック(NZL_BUFF)33から出力されるノズルデータとブロック選択信号をシフトレジスタによりシリアルデータに変換し、記録ヘッド駆動データH_D49として出力する。ここで、記録ヘッド駆動データH_D49は、ブラック及びカラー3色に対してそれぞれEVENノズル列及びODDノズル列があるため8本から構成される。
データ転送タイミング生成ブロック43は、Latch TRG53を基準信号として、記録ヘッド27に対して、記録ヘッド駆動データH_D49を転送するための転送クロックをH_CLK48を生成する。更には、データ転送タイミング生成ブロック43は、記録ヘッド27内のシフトレジスタ内のデータをラッチさせるためのラッチ信号H_LATCH47を生成する。また、データ転送タイミング生成ブロック43は、シフトレジスタブロック42に対してデータシフトのタイミング信号を出力する。
温度推定用ドットカウンタブロック44及びK値用ドットカウンタブロック45は、パルス生成ブロック46で生成されるヒートイネーブル信号HE_ENB50の駆動パルス幅をノズルの吐出頻度に応じて補正を行うための演算ブロックである。
温度推定用ドットカウンタブロック44は、数10msの間隔で補正テーブルを変更するために用いられる。K値用ドットカウンタブロック45は、Latch TRG53を基準信号として、ブロック単位で前のブロックでのノズルの吐出頻度による昇温状態から、次のブロックでの最適なヒートパルス幅を補正する(以後、この補正制御をK値制御と称する)。
ヒートイネーブル信号HE_ENB50は、ブラック1本、カラー2本から構成されている。ここで、カラーが2本から構成されているのは、ヒートのタイミングをずらすことによって、吐出に必要なエネルギーを分散させるためである。
次に、記録ヘッド27の駆動タイミングについて、図13を用いて説明する。
図13は本発明の実施形態の記録ヘッドの駆動タイミングを示すタイミングチャートである。
特に、図13では、解像度600dpiで記録する場合の1カラムあたりの記録ヘッドの駆動タイミングを示している。
図13において、Column TRG52は内部信号であり、H_LATCH47、H_CLK48、H_D49、H_ENB50は記録ヘッドの駆動信号である。図のように1カラムは、16ブロックから構成されており、時分割により駆動される。
記録ヘッド駆動データH_D49は、転送クロックH_CLK48によって記録ヘッド27内のシフトレジスタに転送され、H_LATCH47の立下りによりラッチされる。ラッチされた記録ヘッド駆動データは、次のブロックでヒートイネーブル信号H_ENB50のヒートパルスにより吐出され、かつ、次の駆動のデータ転送を行う。
次に、転送クロックH_CLK48と記録ヘッド駆動データH_D49の関係について、図14を用いて説明する。
図14は本発明の実施形態の転送クロックと記録ヘッド駆動データの関係を示すタイミングチャートである。
記録ヘッド駆動データH_D49は、転送時間の短縮のため、転送クロックH_CLK48の両エッジで、データを取得できる構成となっている。転送クロックH_CLK48の周波数は、6MHz程度を用いる。
記録ヘッド駆動データH_D49のデータ構成は、bit0〜9がノズルデータであり、ブラックの場合は10bit、カラーの場合はbit6〜9の4bitである。bit10〜13の4bitはブロック選択データBLEであり、この4bitのブロック選択データBLEデータから記録ヘッド27内で駆動ブロックの選択が行われる。
bit14は、ヒータの切替データBE4(L/S)あり、カラーメインノズル5に対して、後述する大ヒータ(Aヒータ)及び小ヒータ(Bヒータ)のセレクトを行う。この大ヒータはノズルに備えられ、小ヒータは小ノズルに備えられている。
大ヒータは、約5plのインクをノズルから吐出し、小ヒータは約2plのインクをノズルから吐出する。bit15は、ダミーノズル8を選択するためのダミーノズル選択データDHEである。このダミーノズル選択データDHEとブロック選択データBLEの組み合わせにより吐出を行うダミーノズルの選択を行う。
記録ヘッド27に対して予備吐出を実行する場合は、ノズルデータ保持ブロック(NZL_BUFF)33のファーストバッファ38に、予備吐出対象のノズルに対するデータを設定し、セカンドバッファ39にラッチを行う。
次に、YOBITO Window54の設定レジスタに対して予備吐出を行うノズル列の設定を行う。Column TRG52及びLatch TRG53は、エンコーダー信号のタイミングを使用せずに任意のタイミングで生成し、記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34へ入力する。上記方法により予備吐出動作を実現している。
次に、本発明に最も好適な記録ヘッドの構成について、図15を用いて説明する。
図15は本発明の実施形態の記録ヘッドのチップレイアウト示す図である。
図15のように、本実施形態の記録ヘッドは、6列のノズル列から構成され、それぞれのノズル列はメインノズル64ノズル×2(Aノズル、Bノズル)とダミーノズル8ノズルからなる。
ここで、Aノズルは、5plのインク滴を吐出するためのヒータを有したノズルである。Bノズルは、2plのインク滴を吐出するためのヒータを有したノズルである。以後、これらのAノズルに対するヒータ、Bノズルに対するヒータを、それぞれAヒータ及びBヒータと呼ぶ。
図15のように、AノズルとBノズルは交互の位置関係にあり、Aノズル間のノズルピッチは300dpi、Aノズル及びBノズル間のノズルピッチは600dpiである。また、Aノズル及びBノズルはそれぞれ千鳥配列になっている。AノズルとBノズルは、ヒートイネーブル信号HE_ENB50がAノズルとBノズルで共通であるために同時に駆動することはできない。
そのため、AノズルとBノズルのどちらか、また、Column TRG52毎に交互に切り替えて用いる。この選択は、記録媒体特性と画質の設定によって行われる。例えば、普通紙に対して記録を行う標準記録の場合はAノズルを用いて、記録走査を減らして高速に記録を行う。一方、写真画質では、高品位専用紙とBノズルを用いてマルチパス記録により、高画質化を実現する。
次に、記録ヘッドのノズルと駆動信号の接続構成について、図16及び図17を用いて説明する。
図16は本発明の実施形態の記録ヘッドのノズルと駆動信号の接続構成例を示す図である。図17は本発明の実施形態の図15で説明した記録ヘッドのノズル面の構造を示す図である。
図16では、一色のあたりのEVEN、ODDの各ノズルと駆動信号のセグメントの関係を示している。
ブロック選択データBLEは、0〜15の16ブロックに分類されている。AヒータとBヒータの切替は、図15のbit14の切替データBE4(L/S)によって行う。ダミーノズルの選択には、データは必要とせず、bit15のダミーノズル選択信号DHEと各ダミーノズルに割り当てられているBLE番号(ブロック選択番号)によってダミーノズルが選択される。
つまり、図16の例では、ダミーノズル(DH0A〜DH7A及びDH0B〜DH7B)は、BLE番号0、1、14、15の選択時に吐出される。また、吐出のためのヒート信号には接続されているダミーヒータのセグメントに対応したH_ENB1もしくはH_ENB2を選択する。
図17において、図中55はAヒータを有するダミーノズル(DH0A〜DH3A)、56はBヒータを有するダミーノズル(DH0B〜DH3B)である。57はAヒータを有するメインノズル(0A〜)、58はBヒータを有するメインノズル(0B〜)である。また、6、7、9はそれぞれ、メインノズルのインク室、共通インク室、ダミーノズルのインク室である。
ここで、ダミーノズル55及び56とメインノズル57及び58のピッチの関係は、図17では同じ間隔としているが、ダミーノズル55、56の間隔をより広いピッチにしても良い。また、ダミーノズル55及び56用のノズル口とヒータをメインノズルとは異なるものにして、吐出量を制御しても良い。これらダミーノズルの構成は、記録ヘッド27の特性に合わせて最適なノズル数、間隔、吐出量を得られるように設計する。
予備吐出シーケンスは、その用途に応じて様々な予備吐出モードがある。ここで、代表的な予備吐出モードの例について、図18を用いて説明する。
図18は本発明の実施形態の予備吐出モードの一例を示す図である
これら各予備吐出モードにおける予備吐出は、基本的にダミーノズルを含めた全ノズルに対して行うため、実際には、図18の予備吐出発数の2倍の回数を行う。
また、大ノズル(5pl)の予備吐出と小ノズル(2pl)の予備吐出は順次行われる。そのため、大ノズル(5pl)のメインノズル、大ノズル(5pl)のダミーノズル、小ノズル(2pl)のメインノズル、小ノズル(2pl)のダミーノズルと順次に計4回実施される。
ここで、例えば、予備吐出G、Jは吸引回復後に行われる。また、予備吐出Aは、キャップオープン時に行われる。これらの予備吐出は、回復吸引による混色を排出するために行われる。また、記録中に行われる予備吐出Nはノズル内のインクの増粘を防ぎ、ノズルを使用可能な状態に保つために行われる。
次に、本発明による予備吐出のための特徴的な記録ヘッド駆動方法について、図1を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態の特徴的な記録ヘッド駆動方法におけるタイミングチャートである。
図1において、Toggle ENA信号は、大ノズル(5pl)のメインノズル(以下、大メインノズル)と小ノズル(2pl)のメインノズル(以下、小メインノズル)の予備吐出をトグル(交互)で行うか否かを示すイネーブル信号である。このToggle ENA信号は、後述するレジスタ(図19A)によって設定する。このToggle ENA信号がイネーブルになっている(「High」)場合、Toggle Flag信号は、Column TRG毎に反転を繰り返す。記録ヘッド27のノズル選択は、このToggle Flag信号を基準に行う。
Toggle Flag信号が「High(ハイレベル)」の状態の場合は、大メインノズルを駆動するためのデータを生成する。一方、「Low(ロウレベル)」の状態の場合は、小メインノズルを駆動するためのデータを生成する。このような大メインノズルと小メインノズルを交互に吐出を行う予備吐出を、本発明では、大小ノズルトグル予備吐出と以後呼ぶ。また、この動作は、記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34によって行う。
このような記録ヘッド駆動方法によれば、予備吐出の吐出周波数を従来の方法の2倍にすることができる。
この場合、図1の例では、Column TRGの間隔を20kHzにすることができる。そのため、予備吐出の吐出周波数を2倍に設定しても、大メインノズル及び小メインノズルの個々の予備吐出は1カラム毎に行われ、それぞれのノズルに対しての吐出周波数は1/2となり、従来の吐出周波数と一致する。従って、全体の予備吐出時間(全ノズル駆動周期)を従来の半分の時間に短縮することが可能となる。
次に、大小ノズルトグル予備吐出の有無を設定するレジスタについて、図19Aを用いて説明する。
図19Aは本発明の実施形態の大小ノズルトグル予備吐出の有無を設定するレジスタを示す図である。
図19Aのように、レジスタでは、bit0でブラックノズル、bit1でカラーノズルの大小ノズルトグル予備吐出の有無を設定する。このレジスタの値は、ENB_YOBI_COLOR_TGL62(図20)に対応する。この信号は、図1のToggle ENA信号に対応しており、大小ノズルトグル予備吐出の有無を設定するレジスタから供給され、「1」でイネーブル、「0」でディスイネーブルである。
尚、このレジスタは、図20に示すレジスタ80として、例えば、記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34上に構成されている。また、このレジスタ80に対する設定によって、大小ノズルトグル予備吐出での終了ノズルを、大メインノズルあるいは小メインノズルのどちらかに設定することが可能である。
一方、メインノズルとダミーノズルのトグル予備吐出を実行する場合には、図19Bのように、レジスタでは、bit0でブラックノズル、bit1でカラーノズルのトグル予備吐出の有無を設定する。このレジスタの値は、ENB_YOBI_COLOR_TGLに対応する。以下、メインノズルとダミーノズルのトグル予備吐出を、メインダミーノズルトグル予備吐出と呼ぶ。
尚、このレジスタは、図20に示すレジスタ80として、例えば、記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34上に構成されている。また、このレジスタ80に対する設定によって、トグル予備吐出での終了ノズルを、メインノズルあるいはダミーノズルのどちらかに設定することが可能である。
次に、大小ノズルトグル予備吐出を実現するための制御ブロックについて、図20を用いて説明する。
図20は本発明の実施形態の大小ノズルトグル予備吐出を実現するのための制御ブロックを示す図である。
大小ノズルトグル予備吐出を実現する大小ノズルトグル予備吐出データ生成ブロック77は、本発明の特徴的な機能ブロックであり、記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34内に存在する。
大小ノズルトグル予備吐出データ生成ブロック77は、トグル予備吐出機能のイネーブル信号としてENB_YOBI_BK_TGL78(ブラック)信号、ENB_YOBI_COLOR_TGL62(カラー)信号が、レジスタ80から接続している。
大小ノズルトグル予備吐出データ生成ブロック77の起動は、YOBITO Window54、Column TRG52を用いる。Column TRG52は、YOBITO Window54がオープンしているときのみ有効となる。
このColumn TRG52により、カラム毎反転するYOBI_COLOR_TGL_FLG信号(カラーの場合)を生成する。そして、例えば、回路記述言語で実現される回路に基づき、大小ノズルトグル予備吐出を行うためのノズルデータの生成を行う。また、大小ノズルトグル予備吐出の実施が設定されていない場合は、ノズルデータは何も処理されず本ブロックをスルー(通過)してシフトレジスタブロック42に入力される。
尚、大小ノズルトグル予備吐出は、その駆動原理により、つまり、同一の駆動周波数で大メインノズルと小メインノズルを交互に吐出するので、両者の吐出発数は同一となる。これに対し、従来の予備吐出(メインノズルとダミーノズルの順次駆動による予備吐出)は、メインノズルによる予備吐出と、ダミーノズルによる予備吐出を別のタイミングで行う。そのため、用途や目的によっては、両者の予備吐出数を別々に制御することが可能である。
特、プリンタ11が長時間使用されずに放置されている場合や、記録ヘッド27が交換された場合等には、その吐出発数を大メインノズルと小メインノズルとで別々に制御して、インク消費量を制御することが望ましい。この場合は、従来の予備吐出を行うようにしても良い。ここで、プリンタ11が長時間使用されずに放置されている場合とは、記録ヘッド27のメインノズルの目詰まり状態が悪化している可能性がある場合である。
そこで、本実施形態では、大小ノズルトグル予備吐出の設定は、例えば、プリンタ11の記録ヘッド27の状態をCPU22が監視し、その監視結果に基づいて実行する。例えば、記録ヘッド27が長時間放置されたり、交換された場合には、従来の予備吐出を行うために、大小ノズルトグル予備吐出の設定を行わず、一度、従来の予備吐出が実行された以降は、基本的には、大小ノズルトグル予備吐出の設定を行うようにする。
但し、この間にも、CPU22は、プリンタ11の記録ヘッド27の状態を監視しておき、必要に応じて、大小ノズルトグル予備吐出の設定を解除して、従来の予備吐出を実行させるようにすることも、もちろん可能である。
また、メインダミーノズルトグル予備吐出を実行する場合には、図20の大小ノズルトグル予備吐出データ生成ブロック77が、メインダミーノズルトグル予備吐出生成ブロックとして機能する。この場合、メインダミーノズルトグル予備吐出を行うためのノズルデータの生成を行うことになる。
ここで、この大小ノズルトグル(あるいはメインダミーノズルトグル)予備吐出時の大メインノズルと小メインノズル(あるいはメインノズルとダミーノズル)の切替は、記録ヘッドコントロールブロック(HEAD_TOP)34によって自動的に行われる。また、予備吐出開始ノズル及び終了ノズルの選択を行うこことが可能である。
もしくは、大小ノズルトグル(あるいはメインダミーノズルトグル)予備吐出時の切替は、ソフトウェアの予備吐出要求コマンドによって行っても良い。また、このコマンドによって、予備吐出開始ノズル及び終了ノズルの選択を行うことも可能である。
次に、大小ノズルトグル予備吐出動作を示すフローチャートについて、図21を用いて説明する。
図21は本発明の実施形態の大小ノズルトグル予備吐出動作を示すフローチャートである。
尚、この大小ノズルトグル予備吐出動作は、CPU22の制御によって実行される。
まず、ステップS66で、予備吐出開始シーケンスが実行されると、ステップS67で、大小ノズルトグル予備吐出の設定の有無を判定する。大小ノズルトグル予備吐出が設定されている場合(ステップS67でYES)、ステップS68に進む。
ステップS68で、Column TRGの有無を判定する。Column TRGがない場合(ステップS68でNO)、出現するまで待機する。一方、Column TRGがある場合(ステップS68でYES)、ステップS69に進み、Toggle Flag=1であるか否かを判定する。
Toggle Flag=1である場合(ステップS69でYES)、ステップS70に進み、大メインノズルの予備吐出を実行する。一方、Toggle Flag=0である場合(ステップS69でNO)、ステップS71に進み、小メインノズルの予備吐出を実行する。
ステップS70あるいはステップS71の実行後、ステップS72で、予備吐出発数Nをカウントし、1カラムの吐出が終了毎に予備吐出発数Nを1インクリメントする。
ステップS73で、現在の予備吐出発数Nと規定予備吐出発数Mの比較を行う。予備吐出発数N=規定予備吐出発数Mである場合、つまり、規定予備吐出発数の予備吐出が終了した場合(ステップS73でYES)、ステップS76に進み、予備吐出シーケンスを終了する。一方、予備吐出発数N=規定予備吐出発数Mでなく、トグル予備吐出を実行している場合、ステップS68に戻り、次のColumn TRGの出現を待機する。
一方、ステップS67において、トグル予備吐出が設定されていない場合(ステップS67でNO)、ステップS74に進み、大メインノズルもしくは小メインノズルによる個々の予備吐出モードで通常の予備吐出を行う。
ステップS74で、Column TRGの有無を判定する。Column TRGがない場合(ステップS74でNO)、出現するまで待機する。一方、Column TRGがある場合(ステップS74でYES)、ステップS75に進み、予備吐出対象ノズルが大メインノズルであるか小メインノズルであるかの判定を行う。
大メインノズルである場合(ステップS75でNO)、ステップS70に進み、大メインノズルの予備吐出を実行する。一方、小メインノズルである場合(ステップS75でYES)、ステップS71に進み、小メインノズルの予備吐出を実行する。
ステップS70あるいはステップS71の実行後、ステップS72で、予備吐出発数Nをカウントし、1カラムの吐出が終了毎に予備吐出発数Nを1インクリメントする。
ステップS73で、現在の予備吐出発数Nと規定予備吐出発数Mの比較を行う。予備吐出発数N=規定予備吐出発数Mである場合、つまり、規定吐出発数の予備吐出が終了した場合(ステップS73でYES)、ステップS76に進み、予備吐出シーケンスを終了する。一方、予備吐出発数N=規定予備吐出発数Mでなく、通常の予備吐出を実行している場合、ステップS74に戻り、次のColumn TRGの出現を待機する。また、予備吐出発数N=規定予備吐出発数Mでなく、大小トグル予備吐出の設定がなされている場合、ステップS68に戻る。
尚、上述した制御フローの実行は、CPU22だけでなく、ロジック回路(ハードウエア)と組み合わせても構わない。すなわち、予め設けられたレジスタを設けて、このレジスタにフラグ(Toggle Flag)を保持すれば良い。そして、ステップS69においては、このフラグを参照し、ステップS70の処理を実行するか、ステップS71の処理実行すればよい。同様の構成をステップS75のために、レジスタを更に設けても構わない。
また、ステップS72については予備吐出回数をカウントするカウンタ回路を設ければよい。更に、予備吐終了を判断する判定回路を備えても構わない。
以上説明したように、本実施形態によれば、大小ノズルトグル予備吐出を実行することにより、その予備吐出時間を短縮することができる。具体的には、予備吐出吐出周波数を従来の2倍にすることが可能となり、半分の時間で全予備吐出を終了することができる。
より詳しくは、大メインノズルと小メインノズルの吐出を1カラム毎に交互に行うことで、予備吐出の吐出周波数を従来の周波数の2倍にすることが可能となる。つまり、予備吐出の吐出周波数を2倍に設定しても、大メインノズル及び小メインノズルの個々の予備吐出は1カラム毎に行われ、それぞれのノズルに対しての吐出周波数は1/2となり、従来の吐出周波数と一致する。従って、全体の予備吐出時間を従来の半分の時間に短縮することが可能となる。
次に、大小ノズルトグル予備吐出と、メインダミーノズルトグル予備吐出の使い分け制御について説明する。
図18に示すように、各種の予備吐出制御において、大ノズルの予備吐発数と小ノズルの予備吐発数が同一である場合とは、例えば、予備吐出A、G等がある。一方、大ノズルの予備吐発数と小ノズルの予備吐発数が異なる場合とは、例えば、予備吐出J、N等がある。
上述したように、大小ノズルトグル予備吐出を実施する場合には、HeatData生成の条件、及び予備吐発数の管理のため、交互に行われる予備吐出の発数は各々に同一である必要がある。
そこで、図22に示すように、要求された予備吐出モードの大ノズルと小ノズルの発数が同一か否かを、図10に示すCPU22を用いて、ステップS2201で判定する。同一である場合(ステップS2201でYES)、ステップS2202で、大小ノズルトグル予備吐出を実行する。つまり、図21の処理を実行する。一方、同一でない場合(ステップS2201でNO)、メインダミーノズルトグル予備吐出を実行する。
図24は、予備吐出のタイミングを説明する図である。図24(a)は、メイン/ダミーノズルのトグル予備吐出のタイミングを説明する図である。この例では、1つの大ノズルについて3発の予備吐を実行し、1つの小ノズルについて2発の予備吐を実行する。まず、大ノズルについて予備吐出を実行する。Column TRGが入力するたびに、図に示すように予備吐出を行うノズル(メインノズルとダミーノズル)の切替を行う。そして、予め定められた予備吐出を実行した後、小ノズルについて予備吐出を実行する。
図24(b)は、大ノズル/小ノズルのトグル予備吐出のタイミングを説明する図である。この例では、1つの大ノズル、1つの小ノズルについてともに2発の予備吐を実行する。まず、メインノズルについて予備吐出を実行する。Column TRGが入力するたびに、図に示すように予備吐出を行うノズル(大ノズルと小ノズル)の切替を行う。そして、所望の数の予備吐出を実行した後、ダミーノズルについて予備吐出を実行する。
尚、ステップS2201における判定については、予備吐の発数はモードごとに予め定められているので、予備吐モードに基づき判定しても構わない。
予備吐の発数が、所定発数(例えば、1000発数)以上の場合、ステップS2203へ進み。図24(a)のようなメイン・ダミーのトグルを行うシーケンスを実行する。予備吐の発数が1000発未満である場合、ステップS2202へ進み、図24(b)のような大・小のトグルを行うシーケンスを実行する。以上のように、予備吐の発数が比較的多い場合には、メイン・ダミーのトグル予備吐を行う。
図25を用いて補足の説明をする。例えば、S(1)、S(2)、S(m−1)、S(m)はダミーノズルとする。S(3)〜S(m−2)はメインノズルとする。
図24(a)では、最初のColumn TRGが入力されると、S(3)〜S(m−2)のヒータAを駆動する(ヒータAは大ノズル用のヒータである)。次のColumn TRGが入力されるとS(1)、S(2)、S(m−1)、S(m)のヒータAを駆動する。このように、メインのヒータAとダミーのヒータAを交互に駆動し、それぞれ3回づつ駆動する。そして、更に小ノズルについても、S(3)〜S(m−2)のヒータBとS(1)、S(2)、S(m−1)、S(m)のヒータBを交互に駆動する。
次に、図24(b)について説明する。最初のColumn TRGが入力されると、S(3)〜S(m−2)のヒータAを駆動する。次のColumn TRGが入力されるとS(3)〜S(m−2)のヒータBを駆動する。このように、メインのヒータAとメインのヒータBを交互に駆動し、それぞれ2回づつ駆動する。そして、更にダミーのノズルについても、ヒータAとヒータBを交互に駆動する。
尚、メインダミーノズルトグル予備吐出は、図21の処理を図23に示す処理として実行することになる。
その違いとしては、図21のステップS67に対して、図23のステップS67aで、メインダミーノズルトグル予備吐出であるか否かを判定する。また、図21のステップS70に対して、図23のステップS70aで、メインノズルによる予備吐出を実行する。更に、図21のステップS75に対して、図23のステップS75aで、小メインノズルであるか否かを判定する。更に、図21のステップS71aに対して、図23のステップS71aで、ダミーノズルによる予備吐出を実行する。
これにより、予備吐出時間を短縮可能になるとともに、大小ノズルトグル予備吐出と、メインダミーノズルトグル予備吐出を適応的に選択可能となり、最適なトグル予備吐出を実施可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、大メインノズルと小メインノズルの吐出を1カラム毎に交互に行うために、予備吐出の吐出周波数を従来の周波数の2倍にすることが可能となる。つまり、予備吐出の吐出周波数を2倍に設定しても、大メインノズル及び小メインノズルの個々の予備吐出は1カラム毎に行われ、それぞれのノズルに対しての吐出周波数は1/2となり、従来の吐出周波数と一致する。
従って、全体の予備吐出時間を従来の半分の時間に短縮することが可能となる。また、大小ノズルトグル予備吐出とメインダミーノズルトグル予備吐出の最適な選択が可能となる。
以上説明した本発明の構成により、記録ヘッドの共通インク室の淀み部から滞留したインクを円滑、かつ確実に記録ヘッドのノズルから排出させることができる。更に、予備吐吐出周波数を従来の2倍にすることが可能となり、半分の時間で全予備吐出を終了することができる。
尚、以上の実施形態において、比較的大きいインク量であるノズルを大ノズル、比較的小さいインク量であるノズルを小ノズルとし、ノズル径の大小を例にして説明した。しかし、この例に限定するものではなく、ノズル径が等しく、ヒータの大きさが異なる形態であってもかまわない。記録ヘッドから吐出される液滴はインクであるとして説明し、さらにインクタンクに収容される液体はインクであるとして説明したが、その収容物はインクに限定されるものではない。例えば、記録画像の定着性や耐水性を高めたり、その画像品質を高めたりするために記録媒体に対して吐出される処理液のようなものがインクタンクに収容されていても良い。
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備える。そして、この熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成でも良い。または、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドに限定されない。例えば、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良い。更には、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるもであっても良い。または、リーダ等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を取るものであっても良い。
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。