JP4968030B2 - 内燃機関の気筒判別装置 - Google Patents

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Description

本発明は、4サイクル多気筒エンジンの気筒を判別する内燃機関の気筒判別装置に関する。
4サイクルエンジンでは、クランク軸が2回転する間に吸気、圧縮、燃焼、排気の4工程が順に実施される。4サイクル多気筒エンジンにおいては、点火タイミングや燃料噴射タイミング等を制御するために、各気筒がどの工程にあるか、換言すれば点火させるべき気筒はどれかを正確に判別する必要がある。
この気筒判別装置としては、特許文献1や特許文献2に記載のものがある。これらの特許文献に記載の気筒判別装置は、クランク軸と一体に回転する回転部材の外周部付近に突起を設け、この突起をクランク角センサにより検出することによってクランク軸回転角を検出し、且つ、カム軸と一体に回転する回転部材の外周部付近に突起を設け、この突起をカム角センサにより検出し、これら2つの検出信号により気筒を判別するものである。
特開2004−108381号公報 特開平10−47109号公報
特許文献1及び2に記載のほかにも、センサの種類、センサの数、回転部材の突起構成などを異にした様々な気筒判別装置があるが、いずれも、エンジン始動時の気筒判別が遅く、エンジンの始動に長時間を要する。また、クランク軸と回転一体のドライブスプロケット、カム軸と回転一体のドリブンスプロケット間に巻き掛けられるタイミングチェーンの掛け違いなどにより、カム軸の位相がクランク軸に対してずれた場合、気筒判別を間違えて実行し、誤点火によってエンジンが損傷する恐れがある。更に、気筒毎にセンサを設置した場合には、複数のセンサを使用することになり高価な装置となってしまう。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、気筒判別を短時間に実施して内燃機関を早期に始動できると共に、廉価な構成を実現できる内燃機関の気筒判別装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、カム軸の位相がクランク軸に対してずれてしまった場合にも誤点火を確実に防止できる内燃機関の気筒判別装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、燃料消費量を低減でき、且つ未燃ガスの排出を抑制できる内燃機関の気筒判別装置を提供することにある。
本発明は、クランク軸に回転一体に設けられた回転部材の外周部に、不等間隔部を除き等間隔に設けられた複数のクランク検出部を検出することにより、クランク信号を出力するクランク角センサと、動弁装置駆動用のカム軸に回転一体に設けられた回転部材の外周部に、気筒毎に固有のパターンで形成された複数のカム検出部を検出して、気筒毎に固有のパターンのカム信号を出力するカム角センサとを有し、これらのクランク角センサとカム角センサをそれぞれ1個備えた4サイクル多気筒内燃機関であって、上記クランク信号が多数配列されたクランク信号列において、上記不等間隔部に対応してクランク信号が出力されない非信号部を、各気筒の上死点から同一位相で、且つこれらの上死点間の略中間位置に設け、このクランク信号列に、上記非信号部を基準として同一位相となる3以上の複数の区間を設定し、これら複数の区間におけるカム信号の有無の組み合わせによって、気筒の判別を実行するよう構成されると共に、複数の上記区間におけるカム信号の組み合わせは、上記カム軸の位相が上記クランク軸に対してずれた場合に、2回連続して正規の気筒判別の組み合わせにならないパターンに設定されたことを特徴とするものである。
本発明によれば、クランク信号列に設定された3以上の複数の区間におけるカム信号の有無の組み合わせによって気筒を判別するので、気筒判別を短時間に実施して内燃機関を早期に始動できると共に、クランク角センサとカム角センサをそれぞれ1個備えたので、廉価な構成を実現できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る内燃機関の気筒判別装置における一実施形態が適用された船外機の4サイクルエンジンを示す側面図である。図2は、図1のエンジンの底面図である。
この船外機のエンジン(内燃機関)10は、4サイクル形式の水冷式直列4気筒ガソリンエンジンであり、そのクランク軸15が鉛直方向を向くように縦置きに船外機に搭載されている。このエンジン10は、図1の右側が船舶の進行方向前方側である。
エンジン10は、クランクケース11とシリンダブロック12とシリンダヘッド13とヘッドカバー14が前方側から順に固定されて構成されており、クランクケース11とシリンダブロック12との間にクランク軸15が軸支される。また、シリンダヘッド13の内部には吸気バルブ(不図示)、排気バルブ16、吸気用カム(不図示)、排気用カム17を備えた動弁装置が収容されている。この動弁装置を駆動する吸気用カム軸18及び排気用カム軸19がシリンダヘッド13に軸支されている。
シリンダブロック12には、水平方向に延びる4つのシリンダ(気筒)#1、♯2、#3、#4が鉛直方向に順次並設され、各シリンダ#1〜#4にピストン20が往復移動可能に収容される。これらのピストン20がクランク軸15にコンロッド21を介して連結されて、ピストン20の往復運動がクランク軸15の回転運動に変換される。このクランク軸15は、ギア22及び23を介してドライブ軸24に連結されて、このドライブ軸24に動力が伝達される。
シリンダヘッド13には、各シリンダ#1〜#4に連通して燃焼室25が形成され、これらの各燃焼室25に臨んで吸気バルブ及び排気バルブ16が配置される。更にシリンダヘッド13には、燃焼室25に臨んで点火プラグ26が配置され、これらの点火プラグ26は、それぞれの点火プラグ26に対応する点火コイル27に接続されている。また、各燃焼室25へ至るそれぞれの図示しない吸気ポートには、吸気バルブの上流側に、燃料を噴射するインジェクタ(不図示)が設置されている。
ところで、クランク軸15の上端には、回転部材としてのフライホイール28が回転一体に設けられている。このフライホイール28の外周には大径のリングギヤ29が鍔状に固着され、フライホイール28の内周に数個の永久磁石30が固着される。
一方、クランクケース11とシリンダブロック12の上面には、フライホイール28内に位置するステータ31が固定されている。そして、フライホイール28と永久磁石30とステータ31とにより、発電機として機能するフライホイールマグネト装置32が構成される。
また、エンジン10の下面には、図2にも示すように、巻き掛け伝達機構34が設けられる。この巻き掛け伝達機構34は、ドライブ軸24に回転一体に設けられたドライブスプロケット35と、吸気側カム軸18、排気側カム軸19にそれぞれ回転一体に設けられた吸気側ドリブンスプロケット36、排気側ドリブンスプロケット37と、これらのスプロケット35、36、37間に巻き掛けられたタイミングチェーン38とを備えて構成される。
この巻き掛け伝達機構34により、クランク軸15の回転がドライブ軸24を介してカム軸18及び19に伝達される。尚、タイミングチェーン38は、チェーンガイド33に案内されると共に、チェーンテンショナ39により緩みが吸収される。
更に、クランクケース11には、図示しないエンジン始動用のスタータモータが設置されている。このスタータモータの上部には小径のピニオンギヤ(不図示)が設けられており、このピニオンギヤはフライホイール28のリングギヤ29側に突出して、このリングギア29に噛合可能に設けられる。
スタータモータを作動させると、ピニオンギヤがリングギヤ29側に突出して当該リングギヤ29に噛合し、スタータモータの動力がクランク軸15に伝達されてエンジン10の始動が行われる。
エンジン10が始動すると、クランク軸15の回転が巻き掛け伝達機構34を介してカム軸18、19に伝達され、シリンダヘッド13に内蔵された動弁装置が駆動される。
なお、本実施の形態では、クランク軸15とドライブ軸24を連結するギア22の歯数はギア23の歯数より少なく設定され、ドライブ軸24はクランク軸15より減速されて回転駆動する。そして、ドライブスプロケット35の歯数と両ドリブンスプロケット36及び37の歯数との比率は1対2より小さくなるように設定され、最終的にクランク軸15が2回転する間にカム軸18、19が1回転するように設定され、エンジン10の1気筒当たり吸気、圧縮、燃焼、排気の4行程が順に実行される。
さて、このエンジン10では、各気筒(シリンダ)#1〜#4の点火タイミングや燃料噴射タイミングなどが適切に設定されて運転制御が実行される。これらの制御を適切に行うために、エンジン10には気筒判別装置40が設置されている。この気筒判別装置40は、各気筒#1〜#4が吸気、圧縮、燃焼、排気のどの工程にあるか、換言すれば点火させるべき気筒はどれかを判別するものである。この気筒判別装置40は、クランク角センサ41、カム角センサ42及び判定・制御回路43を有して構成されている。
クランク角センサ41は、図1及び図3に示すように、クランク軸15に回転一体に設けられたフライホイール28の外周部に、不等間隔部45を除き等間隔に配置されたクランク検出部としての複数のクランク突起44を検出することにより、クランク信号P(図5)を出力する。このクランク角センサ41は、エンジン10本体側、例えばクランクケース11に1個設置される。
クランク突起44は、フライホイール28の外周部に、回転角10度程度毎に等間隔に突設される。また、不等間隔部45は、フライホイール28の外周部において、回転角180度程度の間隔で2箇所に配置される。クランク角センサ41は、フライホイール28のクランク突起44に対向して配置され、フライホイール28の回転によりクランク突起44を検出したときに、クランク信号Pを出力する。クランク角センサ41は、不等間隔部45に対向したときにクランク信号Pを出力しない。クランク角センサ41にて検出されたクランク信号Pは判別・制御回路43へ送信される。
判別・制御回路43へ送信されたクランク信号Pの列(クランク信号列)は図5に示すようになり、不等間隔部45に対応してクランク信号Pが出力されない非信号部46によって、クランク軸回転角が検出される。この非信号部46の位置は、等間隔のクランク信号Pとの周期比によって判定される。また、この非信号部46は、上記クランク信号列において各気筒#1〜#4の上死点から同一の位相αの位置で、且つこれらの上死点間の略中間位置に設けられる。
非信号部46を各気筒#1〜#4の上死点間の略中間位置に配置することで、クランク信号Pとの周期比により非信号部46を判定する際に、エンジン10の圧縮、燃焼による回転変動の影響を受けにくくなり、非信号部46を誤判定する可能性が低くなる。また、各気筒#1〜#4の上死点と略同一位相にある点火タイミング付近に非信号部46が存在しないため、等間隔のクランク信号Pによって正確なタイミングで点火を実行できる。
図5に示すように、クランク信号列においては、非信号部46を基準として、等間隔のクランク信号Pを用いることで、同一位相となる3以上の複数の区間(本実施の形態では3つの区間A、B、C)が設定される。この区間A、B及びCは、各気筒#1〜#4の上死点から同一の位相αにある非信号部46を基準とすることで、上記各上死点からの位相が同一に設定される。
図1及び図4に示すように、動弁装置駆動用のカム軸、本実施の形態では、排気バルブ16等駆動用の排気用カム軸19に、回転一体にセンシングロータ47が設置されている。前記カム角センサ42は、エンジン10本体側、例えばシリンダヘッド13またはヘッドカバー14に1個設置され、センシングロータ47の外周部に形成されたカム検出部としてのカム突起48を検出する。このカム突起48は、気筒#1〜#4毎に固有のパターンで形成されている。
つまり、気筒#1に対応して3つのカム突起48a、48b及び48cが連続して等間隔に形成され、気筒#3に対応して1つのカム突起48dが形成される。また、気筒#4に対応して2つのカム突起48e、48fが形成され、気筒#2に対応して2つのカム突起48g及び48hが形成される。カム突起48dは、カム突起48cと90度の位置に形成される。また、カム突起48eはカム突起48bに対し、カム突起48fはカム突起48cに対し、それぞれ180度の位置に形成される。また、カム突起48gはカム突起48aに対し、カム突起48hはカム突起48cに対しそれぞれ270度の位置に形成される。
カム角センサ42は、これらのカム突起48(48a〜48h)を検出することによって、気筒#1〜#4毎に固有のパターンのカム信号Q(図5参照)を出力し、判別・制御回路43へ送信する。このカム信号Qは全て、クランク信号列に設定された区間A、B、C内に入るように調整されている。
カム角センサ42がカム突起48a、48b、48cを検出したカム信号Qは区間A、B、Cの全てに存在するパターンであり、気筒#1に対応するパターンである。また、カム角センサ42がカム突起48cを検出したカム信号Qは区間Cに存在するパターンであり、気筒#3に対応するパターンである。更に、カム角センサ42がカム突起48e、48fを検出したカム信号Qは区間B、Cに存在するパターンであり、気筒#4に対応するパターンである。また、カム角センサ42がカム突起48g、48hを検出したカム信号Qは区間A、Cに存在するパターンであり、気筒#2に対応するパターンである。
判別・制御回路43は、区間A、B、Cにおけるカム信号Qの組み合わせによって気筒判別を実行する。つまり、判別・制御回路43は、図6(A)及び図7(A)に示すように、区間A、B及びCの全てにカム信号Qが存在する組み合わせのときに気筒#1を気筒判別する。また、判別・制御回路43は、区間Cにのみカム信号Qが存在する組み合わせのときに、気筒#3を気筒判別する。更に、判別・制御回路43は、区間B及びCにカム信号Qが存在する組み合わせのときに、気筒#4を気筒判別する。また、判別・制御回路43は、区間A及びCにカム信号Qが存在する組み合わせのときに、気筒#2を気筒判別する。
ここで、カム突起48に基づいて出力されるカム信号Qは、吸気用カム軸18、排気用カム軸19の位相がクランク軸15に対して進角側または遅角側にずれた場合に、2回連続して正規の気筒判別の組み合わせにならないパターンに設定される。例えば、区間A、B、Cのうちの特定の一区間(本実施の形態では区間C)にカム信号Qが必ず存在する(カム信号Q有り)ように設けられる。
このようにすることで、吸気用カム軸18、排気用カム軸19の位相がクランク軸15に対して進角側にずれた場合には、図6(B)及び図7(B)に示すように、区間Cにカム信号Qが存在しないため、全ての気筒#1〜#4に対して気筒判別が不可能になる。また、カム軸18、19の位相がクランク軸15に対して遅角側にずれた場合には、図6(C)及び図7(C)に示すように、区間Aにカム信号Qが存在しなくなるので、正規の(正しい)気筒判別がなされず、更に2回連続して気筒判別することが不可能になる。
図5に示すように、判別・制御回路43は、更に、気筒判別を1回実行したときに、その気筒判別した気筒#1、#2、#3または#4へ燃料を噴射させ、また、正規の気筒判別を2回連続して実行したときに、最初に気筒判別した気筒#1、#2、#3または#4へ点火を実行させる。従って、カム軸18、19の位相がクランク軸15に対して進角側または遅角側にずれてしまった場合には、正規の気筒判別が連続して2回実行されないことになるので、いずれの気筒#1〜#4にも点火が行われないことになる。
判別・制御回路43が実行する上述の気筒判別、燃料噴射及び点火を、気筒#1を一例として、エンジン10の起動時について説明する。
ここで、エンジン10の4つの気筒#1〜#4の点火順序は、例えば#1→#3→#4→#2の順とされており、気筒#1で排気行程が実行されているとき、気筒#3では燃焼行程、気筒#4では圧縮行程、シリンダ#2では吸気行程がそれぞれ実行される。
スタータモータがONされたとき、ON直後はクランク信号P及びカム信号Qが不安定になるため、一定期間Mについてはこれらのクランク信号P及びカム信号Qを無視する。次に、気筒#1の排気工程で、区間A、B及びCの全てにカム信号Qが存在することを確認して、点火させるべき気筒が気筒#1であるとして気筒判別を実行する(1回目の気筒判別)。この1回目の気筒判別を基準として、その気筒判別した気筒#1へ燃料を噴射させる。
次に、気筒#1の吸気工程で、区間Cにのみカム信号Qが存在することを確認して、点火させるべき気筒が気筒#3であるとして気筒判別を実行する(2回目の気筒判別)。この正規の気筒判別を2回連続して実行した後に、最初に気筒判別した気筒#1へ、当該気筒#1の圧縮上死点付近で点火させる。
2回連続して正規の気筒判別を実行した後に点火を行うのは、燃料を噴射する気筒#1〜#4を間違ったとしてもエンジン10に損傷を及ぼすことはないが、点火する気筒#1〜#4を間違った場合には、バックファイアなどによりエンジン10が損傷を蒙る可能性があるためである。このため、カム軸18、19の位相がクランク軸15に対してずれてしまった場合にも、点火が実行されないためエンジン10の損傷が回避される。
また、図5に示すように、カム突起48に基づいて出力されるカム信号Qのパターンは、クランク信号列に設定された区間A、B、Cのうち、各気筒#1〜#4における上死点近傍の区間(本実施の形態では区間C)にカム信号Qが必ず存在する(カム信号Q有り)ように設けられる。これにより、クランク角センサ41が故障してクランク信号Pが出力されなくなったときにも、上死点におけるカム信号Qに基づいて気筒#1〜#4を点火させて、エンジン10を運転させることが可能となる。
クランク角センサ41が故障した場合に判別・制御回路43が実行する気筒判別、燃料噴射及び点火について、図8及び図9を参照して説明する。
スタータモータがONされたとき、カム信号Qが入力されていることを確認し、これらのカム信号Q毎に周期比a/b、b/c、c/d、…を算出する。そして、各周期比とその周期比よりも1つ前の周期比との大小関係を比較し、これらの大小関係の配列から気筒を判別する。
例えば、今回の周期比が1つ前の周期比よりも小さい場合が2回連続したときに当該カム信号Q1の時点で気筒#1を気筒判別し、この気筒判別後の次のカム信号Q2を、気筒判別した気筒#1への通電開始タイミングとし、その次のカム信号Q3を、気筒#1の点火タイミングとする。通電開始タイミングにカム信号Qが存在しない気筒については、点火タイミングとなるカム信号Q5の1個前のカム信号Q4からの時間によって、タイマ設定により通電を開始する。
このように、カム信号Q1を入力して気筒#1を気筒判別した後には、それ以降に入力されるカム信号Qのパターンが分かるので、各気筒#1〜#4の上死点で出力されるカム信号Qの前のカム信号を通電開始タイミングとしたり、通電開始時期設定用タイマの開始タイミングとする。従って、上死点で出力されるカム信号Q8の前に2つのカム信号Q6、Q7が出力される場合にも、カム信号Q8の1つ前のカム信号Q7を通電開始タイミングとする。
燃料噴射については、カム信号Q1において気筒判別を完了した後に、各気筒#1〜#4の上死点で出力されるカム信号Q1、Q3、Q5、Q8…を確認した後に実行する。エンジン10の始動をより早期に実施したい場合には、最初のカム信号Q0に同期させて全ての気筒#1〜#4に燃料を噴射させる。
次に、気筒判別装置40の判別・制御回路43が実行する気筒判別、燃料噴射及び点火の動作を、図10を用いて説明する。
判別・制御回路43は、カム信号Qが入力されたか否かを確認し(S1)、確認しない場合には、確認するまで待機する。カム信号Qを確認した後に、判別・制御回路43は、クランク信号Pが入力されたか否かを確認し(S2)、確認した場合にクランク信号列の非信号部46を検出する(S3)。
この非信号部46の検出後にクランク信号列に区間A、B、Cを設定し、これらの区間A、B、Cにおけるカム信号Qの有無の組み合わせから1回目の気筒判別を実行する(S4)。この気筒判別を実行した後に、判別した気筒にのみ燃料を噴射させる(S5)。
次に、クランク信号列の区間A、B、Cにおけるカム信号Qの有無の組み合わせから2回目の気筒判別を実行する(S6)。この2回目の気筒判別が実行されたときに、1回目に判別した気筒に点火させる(S7)。2回目の気筒判別を実行できなかった場合には、点火を実行させずにステップS1へ戻る。
ステップS2においてクランク信号Pが存在しないことを確認したときには、カム信号Qについて周期比を算出し、これらの周期比の大小関係から気筒判別を実行する(S8)。このステップS8の気筒判別が行われた後に、該当する気筒#1〜#4Aに燃料を噴射し、点火を行う。このステップS8における気筒判別は、実行できるまで繰り返す。
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、次の効果(1)〜(6)を奏する。
(1)クランク信号列に設定された区間A、B、Cにおけるカム信号Qの有無の組み合わせによって気筒#1〜#4を判別するので、気筒判別を短時間に実施して、エンジン10を早期に始動させることができる。つまり、エンジン10をクランク軸15の2回転以内に始動させることができる。気筒判別から、判別した気筒への燃料噴射、吸気、圧縮、点火までの工程は、理論上クランク軸15の1回転以上を要することになるので、気筒判別からクランク軸15の1回転以内にエンジン10を始動させることは不可能である。従って、エンジン10をクランク軸15の2回転以内に始動させることは、極めて短時間にエンジン10を始動できることになる。
(2)エンジン10のような多気筒エンジンであっても、クランク角センサ41及びカム角センサ42をそれぞれ1個ずつ設置すればよく、気筒に対応して複数個のクランク角センサ41、カム角センサ42が必要ないので、廉価な構成の気筒判別装置40を実現できる。
(3)カム信号Qは、カム軸18、19の位相がクランク軸15に対して進角側または遅角側にずれた場合に、2回連続して正規の気筒判別の組み合わせとならないパターンに設定され、判別・制御回路43は、2回連続して正規の気筒判別を実行したときに最初に気筒判別した気筒に点火を行うよう構成されている。従って、カム軸18、19の位相がクランク軸15に対してずれてしまった場合には、いずれの気筒#1〜#4にも点火が実行されないことになり、誤点火を確実に防止できるので、エンジン10のバックファイア等による損傷を未然に防止できる。
(4)気筒判別を実行したときに、当該判別した気筒にのみ燃料を噴射することから、気筒判別にかかわらず全ての気筒に一律に燃料を噴射する場合に比べ、燃料消費量を低減できると共に、特にエンジン始動時に未燃ガスの排出を防止できる。
(5)カム信号Qのパターンは、クランク信号列に設定された区間A、B、Cのうち、各気筒#1〜#4における上死点近傍の区間(例えば区間C)にカム信号Qが必ず存在するように設けられたので、クランク角センサ41が故障してクランク信号Pが出力されない場合にも、各気筒#1〜#4の上死点で出力されるカム信号Q(カム信号Q1、Q3、Q5…)に基づいて各気筒#1〜#4に点火させることで、エンジン10を始動させることができる。
(6)各気筒#1〜#4の上死点で出力されるカム信号Q(カム信号Q1、Q3、Q5…)よりも前に出力されるカム信号Q(カム信号Q2、Q4、Q7、…)を用いることで、通電開始タイミングや通電開始時期設定用タイマの開始タイミングを正確に設定することができる。
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本実施の形態では、4気筒の4サイクルエンジンに本発明が適用されるものを述べたが、3気筒から6気筒までの4サイクルエンジンに本発明を同様に適用することができる。
具体的には、3気筒の場合には、フライホイール28に不等間隔部45を120度毎に3箇所設けて非信号部46を設定し、クランク信号列の3つの区間A、B、Cにおけるカム信号Qの組み合わせで気筒#1〜#3を判別する。また、6気筒エンジン、特にV型6気筒エンジンの場合にも、120度毎に不等間隔部45を3箇所を設けて非信号部46を設定し、区間A、B、Cにおけるカム信号Qの組み合わせによって気筒判別を実行する。この場合、V型の左右の気筒列で上死点位置が異なるが、不等間隔部46による非信号部46は、それぞれの気筒列の上死点から同一位相にあればよいので、上死点から非信号部46までの角度(位相)が左右の気筒列で異なっていても、気筒判別が可能となる。
また、本実施の形態では、船外機のエンジン10に本発明が適用されるものを述べたが、自動車や自動二輪車、スノーモービル、水上バイク等に搭載されるエンジンに本発明を適用することもできる。
本発明に係る内燃機関の気筒判別装置における一実施形態が適用された船外機の4サイクルエンジンを示す側面図。 図1のエンジンの底面図。 図1のフライホイールとクランク角センサを示し、(A)は底面図、(B)は側面図。 図1のセンシングロータとカム角センサを示し、(A)は平面図、(B)は側面図。 図1の各気筒の運転状態とクランク信号及びカム信号と燃料噴射タイミング及び点火タイミング等との関係を示すタイムチャート。 カム軸の位相がクランク軸に対して正常な場合(A)と、ずれた場合(B、C)とにおけるクランク信号とカム信号との関係を示すタイムチャート。 クランク信号列の区間A、B、Cへのカム信号の有無と気筒判別結果を示し、(A)は図6(A)に、(B)は図6(B)に、(C)は図6(C)にそれぞれ対応する図表。 クランク角センサが故障した場合における各気筒の運転状態とカム信号と燃料噴射タイミング及び点火タイミング等との関係を示すタイムチャート。 図8のカム信号の周期比とその大小関係を示す図表。 気筒判別装置における一実施形態の作用を示すフローチャート。
符号の説明
10 エンジン
15 クランク軸
18 吸気用カム軸
19 排気用カム軸
24 ドライブ軸
28 フライホイール(回転部材)
40 気筒判別装置
41 クランク角センサ
42 カム角センサ
43 判別・制御回路
44 クランク突起(クランク検出部)
45 不等間隔部
46 非信号部
47 センシングロータ(回転部材)
48 カム突起(カム検出部)
A、B、C 区間
P クランク信号
Q カム信号
α 位相
#1〜#4 シリンダ(気筒)

Claims (7)

  1. クランク軸に回転一体に設けられた回転部材の外周部に、不等間隔部を除き等間隔に設けられた複数のクランク検出部を検出することにより、クランク信号を出力するクランク角センサと、
    動弁装置駆動用のカム軸に回転一体に設けられた回転部材の外周部に、気筒毎に固有のパターンで形成された複数のカム検出部を検出して、気筒毎に固有のパターンのカム信号を出力するカム角センサとを有し、
    これらのクランク角センサとカム角センサをそれぞれ1個備えた4サイクル多気筒内燃機関であって、
    上記クランク信号が多数配列されたクランク信号列において、上記不等間隔部に対応してクランク信号が出力されない非信号部を、各気筒の上死点から同一位相で、且つこれらの上死点間の略中間位置に設け、
    このクランク信号列に、上記非信号部を基準として同一位相となる3以上の複数の区間を設定し、
    これら複数の区間におけるカム信号の有無の組み合わせによって、気筒の判別を実行するよう構成されると共に、
    複数の上記区間におけるカム信号の組み合わせは、上記カム軸の位相が上記クランク軸に対してずれた場合に、2回連続して正規の気筒判別の組み合わせにならないパターンに設定されたことを特徴とする内燃機関の気筒判別装置。
  2. 上記カム信号は、カム軸の位相がクランク軸に対してずれた場合に、2回連続して正規の気筒判別の組み合わせにならないパターンに設定し、2回連続して正規の気筒判別を実行したときに、最初に判別した気筒に点火を行うよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の気筒判別装置。
  3. 上記カム信号のパターンは、クランク信号列に設定された複数の区間のうち、特定の一区間にカム信号が有りとなるように設けられたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の気筒判別装置。
  4. 上記カム信号のパターンは、クランク信号列に設定された複数の区間のうち、各気筒における上死点近傍の区間にカム信号が有りとなるように設けられたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の気筒判別装置。
  5. 上記気筒判別を1回実行したときに、当該判別した気筒に燃料噴射を行うよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の気筒判別装置。
  6. 上記2回連続して正規の気筒判別の組み合わせにならないパターンは、正規の気筒判別におけるいずれかの気筒に対応するパターンと、いずれの気筒にも対応しないパターンとが交互に連続するパターンであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の気筒判別装置。
  7. 上記2回連続して正規の気筒判別の組み合わせにならないパターンは、全ての気筒に対して気筒判別が不可能となるパターンであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の気筒判別装置。
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