JP4967239B2 - 積層型圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば燃料噴射装置等に用いられる積層型圧電素子に関するものである。
従来の積層型圧電素子としては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載の積層型圧電素子は、圧電材料の層と内部電極とが交互に積層されてなる積層体と、この積層体の側面に設けられ、内部電極と電気的に接続された外部電極とを備え、積層体の側面には、積層体の積層方向と交差する方向に沿って延在するスリットが所定の間隔で形成されている。
特開平4−337682号公報
しかしながら、上記従来技術のように単に積層体の側面にスリットを入れただけでは、自動車エンジン用の燃料噴射装置等といった厳しい環境下で使用される場合には、耐久性の面で不十分であった。具体的には、内部電極に電圧を印加すると、隣り合う異極の内部電極に挟まれる圧電体(圧電活性層)が伸縮することで積層体が変位するが、この積層体の変位が繰り返し行われると、圧電活性層にクラックが入りやすくなり、最悪の場合には素子の絶縁破壊を引き起こすおそれがある。
本発明の目的は、積層体の圧電活性層にクラックが生じることを確実に防止できる積層型圧電素子を提供することである。
本発明は、複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなる積層体と、複数の内部電極のうち同一極の内部電極同士を電気的に接続する外部電極とを備え、内部電極に電圧を印加することにより圧電体が伸縮して積層体が変位する積層型圧電素子であって、積層体の側面には、積層体の積層方向と交差する方向に沿って延在し、積層体が変位するときに積層体に発生する応力を緩和させる応力緩和部が形成されており、応力緩和部は、互いに隣り合う同一極の内部電極に挟まれていることを特徴とするものである。
このような積層型圧電素子において、隣り合う異極の内部電極に挟まれている圧電体は、内部電極に電圧を印加した時に伸縮動作が生じる圧電活性層であるが、隣り合う同一極の内部電極に挟まれている圧電体は、内部電極に電圧を印加しても伸縮動作が生じない圧電不活性層である。このため、内部電極に電圧を印加して積層体を変位させたときには、積層体の歪みによって圧電不活性層に応力が集中することになる。このことは、本発明者らが行ったシミュレーションや実験等により明らかにされている。ここで、応力緩和部は、積層体の側面における隣り合う同一極の内部電極に挟まれた圧電不活性層に形成されている。従って、例えば積層体の変位を繰り返し行うことで、積層体に万が一クラックが生じるようなときには、応力緩和部に選択的(優先的)にクラックが入るようになる。これにより、例えば積層型圧電素子が厳しい環境下で使用される場合であっても、積層体の圧電活性層にクラックが生じることを確実に防止できる。
また、積層体の内部における応力緩和部に対応する部位には、フローティング電極が設けられている。フローティング電極とは、内部電極その他と電気的に接続されない電気的に浮いた状態の電極である。この場合には、フローティング電極を挟んで隣り合う圧電体同士の接着力が低下することになるため、積層体の応力緩和部にクラックが生じても、そのクラックはフローティング電極に沿って延びることになる。これにより、クラックが積層体の積層方向に延びることは無いため、積層体の圧電活性層にクラックが生じることを一層確実に防止できる。
本発明によれば、積層体の圧電活性層へのクラックの発生が確実に防止されるので、異極の内部電極同士のショートによる積層型圧電素子の絶縁破壊を回避することができる。これにより、積層型圧電素子の耐久性を向上させることが可能となる。
以下、本発明に係わる積層型圧電素子の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる積層型圧電素子の一実施形態を示す斜視図であり、図2は、その積層型圧電素子の側断面図である。各図において、本実施形態の積層型圧電素子1は、例えば自動車に搭載されるエンジンのインジェクタ(燃料噴射装置)に用いられるものである。
積層型圧電素子1は、四角柱状の積層体2を備えている。積層体2は、複数の圧電体3と複数の内部電極4A及び複数の内部電極4Bとを積層してなるものである。圧電体3は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を主成分とする圧電セラミック材料で形成されている。内部電極4A,4Bは、Ag,Pdを主成分とする導電材料で形成されている。積層型圧電素子1の寸法は、例えば10mm×10mm×35mm程度である。圧電体3の厚さは、1層当たり80〜100μm程度である。また、圧電体3の積層数は、例えば300〜500層程度である。内部電極4A,4Bの厚さは、例えば0.5〜5.0μm程度である。
内部電極4Aは、積層体2の側面2aに露出するように形成され、内部電極4Bは、積層体2の反対側の側面2bに露出するように形成されている。これにより、内部電極4A,4Bの一部が互いに重なり合うこととなる。
積層体2は、複数の活性部5と、各活性部5間に設けられた複数の不活性部6とを有している。活性部5では、異極の内部電極4A,4Bが圧電体3を介して交互に積層されている。積層体2の積層方向(上下)に隣り合う内部電極4A,4Bに挟まれる圧電体3は、内部電極4A,4Bに電圧を印加したときに積層体2の積層方向に伸縮する圧電活性層3Pを構成している。不活性部6では、同極の内部電極4A,4Aが圧電体3を介して積層されている。上下に隣り合う内部電極4A,4Aに挟まれる圧電体3は、内部電極4A,4Bに電圧を印加しても伸縮しない圧電不活性層3Qを構成している。また、積層体2の下端部には、圧電体3からなるベース部7が設けられ、積層体2の上端部には、圧電体3からなるフタ部8が設けられている。
積層体2の側面2a,2bには、積層体2の積層方向に対して直交(交差)する方向に延在する複数のスリット(溝部)9が形成されている。これらのスリット9は、圧電体3が積層体2の積層方向に伸縮することで積層体2が変位する時に積層体2に発生する応力を緩和させる応力緩和部であり、不活性部6の圧電体3(圧電不活性層3Q)に形成されている。スリット9は、側面2a,2bの一方の縁から他方の縁まで延びている。また、スリット9は、内部電極4A,4Bが重なり合う領域内まで入り込んでいる。なお、スリット9の長さ(溝深さ)は、例えば側面2a,2bから0.2mm程度である。このようなスリット9は積層体2の所定層毎に形成されているので、スリット9の数が多すぎて積層体2の強度等を損なうという事は無い。
積層体2の側面2aには、各内部電極4Aと電気的に接続された外部電極10Aが設けられ、積層体2の側面2bには、各内部電極4Bと電気的に接続された外部電極10Bが設けられている。
外部電極10A,10Bは、各活性部5に対応して設けられた複数の電極部11と、これらの電極部11の外側に配置され、積層体2の積層方向に矩形波状に延在する電極部12とからなっている。電極部12は、積層体2の積層方向に対して伸縮性(柔軟性)をもつように各電極部11にスポット的に接合されている。このような構成とすることにより、各内部電極4A同士の電気的接続と各内部電極4B同士の電気的接続とを確保しつつ、圧電体3の伸縮動作の阻害を抑制することができる。なお、電極部11,12同士の接合は、半田付け、溶接、導電性接着剤等により行う。また、電極部11は、例えばAg、Au及びCuのいずれかを主成分とする導電材料で形成されている。電極部12は、例えばCu及びその合金、Ni及びその合金、ベリリウム銅等で形成されている。
このような積層型圧電素子1において、外部電極10A,10B間に電圧を印加すると、外部電極10A,10Bと接続された内部電極4A,4B間に電圧が印加されることになる。これにより、積層体2における異極の内部電極4A,4Bに挟まれた圧電体3(圧電活性層3P)に電界が生じ、この圧電活性層3Pが伸縮し、その結果として積層体2が積層方向に変位するようになる。
次に、上述した積層型圧電素子1を製造する方法について説明する。まず、例えば粉体密度が8000kg/m3のPZTを主成分としたセラミック粉体を用意し、これに有機バインダ及び有機溶剤等を混合したペーストを作製する。そして、例えばドクターブレード法によって、上記ペーストをキャリアフィルム(図示せず)上に塗布することにより、図3に示すように、上記の圧電体3となる矩形状のセラミックグリーンシート13を形成する。なお、キャリアフィルムとしては、例えば透明PETフィルムを用いる。
続いて、Nd:YAGレーザを用いて、図4に示すように、上記のスリット5を作り出すための複数対(ここでは4対)のスリット孔14をグリーンシート13に形成する。具体的には、グリーンシート13の所定位置にNd:YAGレーザの第3次高調波(波長355nm)または第2次高調波(波長532nm)のレーザ光を照射して、スリット孔14を形成する。このとき、Nd:YAGレーザの高調波をQスイッチングにより繰り返し発振させたレーザ光を照射するのが好ましい。この時のレーザ照射条件としては、例えば繰り返し周波数が30kHz、パルス幅が210nsec、出力が5Wである。これにより、所望形状のスリット孔14を容易に且つ精度良く加工することができる。なお、このようなスリット孔14が形成されたグリーンシート13をスリット付きグリーンシート15とする。
続いて、スリット付きグリーンシート15とは異なるグリーンシート13の上面に、図5に示すように、上記の内部電極4A,4Bとなる内部電極パターン16をスリット孔14に対応して4つ形成する。具体的には、例えばAg:Pd=7:3の比率で構成された導電材料と有機バインダ及び有機溶剤等とを混合したペーストを作製し、例えばスクリーン印刷法により内部電極パターン16を印刷する。なお、このような内部電極パターン16が印刷されたグリーンシート13を電極付きグリーンシート17とする。
続いて、図3に示すようなグリーンシート13とスリット付きグリーンシート15と電極付きグリーンシート17とを所定の枚数だけ所定の順序で積層することで、上記の活性部5、不活性部6、ベース部7及びフタ部8に相当する部分を有するグリーン積層体を形成する。電極付きグリーンシート17は、図6(a)、(b)に示すように、上記の内部電極4Aとなる内部電極パターン16を有する電極付きグリーンシート17Aと、上記の内部電極4Bとなる内部電極パターン16を有する電極付きグリーンシート17Bとを含んでいる。電極付きグリーンシート17Bは、電極付きグリーンシート17Aに対して向きを180度反対にした状態で積層される。
このとき、上記の活性部5に相当する部分については、上から電極付きグリーンシート17A、グリーンシート13、グリーンシート13、電極付きグリーンシート17B、グリーンシート13、グリーンシート13、電極付きグリーンシート17A…となるように積層する。上記の不活性部6に相当する部分については、上から電極付きグリーンシート17A、スリット付きグリーンシート15、グリーンシート13及び電極付きグリーンシート17Aとなるように積層する。上記のベース部7及びフタ部8に相当する部分については、複数枚のグリーンシート13を積層する。
続いて、そのようにして形成されたグリーン積層体に対し、例えば60℃程度の熱を加えながら100MPa程度の圧力でプレス加工を行い、各層のグリーンシート13,15,17A,17Bを圧着させる。そして、圧着後のグリーン積層体を、図6に示す1点鎖線Sに沿って所定の寸法に切断することにより、4つのグリーン積層体に分割する。このとき、これらの分割されたグリーン積層体における対向する2つの側面には、スリット孔14によってスリット(溝部)5が形成されることになる。なお、グリーン積層体の切断は、例えばダイヤモンドブレードにより行う。
続いて、切断後のグリーン積層体をセッターに載せ、当該グリーン積層体の脱脂(脱バインダ)を例えば400℃前後の温度で10時間程度行う。その後、脱脂後のグリーン積層体が載置されたセッターを密閉こう鉢内に入れ、当該グリーン積層体の焼成を例えば1100℃程度の温度で2時間程度行い、焼結体として上記の積層体2を得る。
続いて、積層体2の側面2aに外部電極10Aを形成すると共に、積層体2の側面2bに外部電極10Bを形成する。具体的には、まず例えばAgを主成分とする導電ペーストを積層体2の側面2a,2bにスクリーン印刷した後、焼付処理を行うことで、側面2a,2bにそれぞれ複数の電極部11を形成する。なお、この電極部11の形成手法としては、焼付の代わりにスパッタリング法や無電解メッキ法等を用いても良い。そして、波状に延びる電極部12を、例えば半田付けにより各電極部11と接合する。なお、電極部12は、例えばベリリウム銅からなる板材を矩形波形状に加工し、ニッケルめっきとスズめっきとを施すことによって得られる。
最後に、例えば温度120℃の環境下で、圧電体3の厚みに対する電界強度が2kV/mmとなるように所定の電圧を例えば3分間印加することにより、分極処理を行う。これにより、積層型圧電素子1が完成する。
ところで、上述した積層型圧電素子1の製造方法のように、複数種類のグリーンシートを積層してグリーン積層体を形成した後、そのグリーン積層体を一体焼成して積層体を形成する場合には、積層型圧電素子を比較的簡単に製造できるため、大量生産に有利である。また、複数枚の焼成済みグリーンシートを接着により積み重ねて積層体を作る場合と異なり、接着層による積層体の変位ロスが生じることは無いので、積層体の変位量を増大させることができる。しかし、積層数が多い積層体を一体焼成で作る場合には、積層型圧電素子が長期間にわたって使用されると、積層体の変位の繰り返しにより積層体に微細なクラックが発生しやすくなる。特に本実施形態のように、エンジン用のインジェクタといった厳しい環境の条件下で積層型圧電素子が使用される場合には、そのようなクラックの発生がより顕著になる。ここで、積層体の圧電活性領域にクラックが発生すると、異極の電極同士が電気的にショートして素子が故障することがある。
これに対し本実施形態においては、積層体2の変位時に積層体2にかかる応力を緩和させるスリット9を積層体2の側面2a,2bに有している。そして、スリット9を挟んで対向する隣り合う2つの内部電極は、同一極の内部電極4Aとなっている。つまり、スリット9は、変位に寄与しない圧電不活性層3Qに形成されている。このため、内部電極4A,4B間に電圧を印加することで、各圧電活性層3Pが伸縮して積層体2が積層方向に変位し、積層体2の歪みが発生したときには、圧電不活性層3Qに積極的に応力が集中するようになる。
従って、例えば積層体2を繰り返し変位させることにより、積層体の側面2a,2bから積層体2の内部に至る微細クラックが生じざるを得ない場合には、微細クラックは選択的(優先的)にスリット9を起点として圧電不活性層3Qのみに入ることになる。このため、積層体2の積層数が多い場合であっても、圧電活性層3Pにはクラックが発生せず、圧電活性層3Pが守られる。よって、異極の内部電極4A,4B同士の電気的ショートが防止され、積層型圧電素子1の絶縁破壊が回避される。これにより、積層型圧電素子1の駆動耐久性を向上させることができる。
図7は、本発明に係わる積層型圧電素子の他の実施形態を示す側断面図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の積層型圧電素子20は積層体2を有し、この積層体2の内部におけるスリット9に対応する部位には、内部電極4A,4Bと電気的に接続されない浮いた状態のダミー電極(フローティング電極)21が形成されている。ダミー電極21は、積層体2の側面2aに形成されたスリット9から積層体2の側面2bに形成されたスリット9まで延びている。ダミー電極21は、内部電極4A,4Bと同じ導電材料で形成されている。ダミー電極21の厚さは、例えば内部電極4A,4Bと同等である。
このような積層型圧電素子20を製造する場合には、上述したスリット付きグリーンシート15(図4参照)を形成した後、図8に示すように、上記のダミー電極21となるダミー電極パターン22を同じグリーンシート13の上面に形成する。このダミー電極パターン22の形成方法は、上述した内部電極パターン16の形成方法と同様である。このとき、ダミー電極パターン22は、スリット付きグリーンシート15における各対(4対)の2つのスリット孔14間の領域に形成される。なお、このようなスリット孔14及びダミー電極パターン22が形成されたグリーンシート13をスリット・電極付きグリーンシート23とする。
その後、グリーンシート13(図3参照)、電極付きグリーンシート17(図5参照)及びスリット・電極付きグリーンシート23を所定の枚数だけ所定の順序で積層することで、グリーン積層体を形成する。そして、上述した実施形態と同様にして、グリーン積層体のプレス、切断、脱バインダ、焼成、外部電極の形成、分極処理を実施することにより、積層体2の内部にダミー電極21を有する積層型圧電素子20が得られる。
このような積層型圧電素子20では、積層体2の内部におけるスリット9の形成部位にダミー電極21が設けられているので、ダミー電極21を挟んで上下の圧電体3同士の接着力が低下する。このため、積層体2にクラックが発生せざるを得ない場合には、クラックはより選択的(積極的)にスリット9に入りやすくなる。このとき、スリット9にクラックが入ったとしても、そのクラックはダミー電極21と圧電体3との界面に沿って横方向に延びることになる。従って、積層体2の積層方向に延びるクラックが圧電活性層3Pに生じることが確実に防止される。これにより、積層型圧電素子20の駆動耐久性を向上させることができる。
図9は、本発明に係わる積層型圧電素子の更に他の実施形態を示す側断面図である。図中、上述した実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
同図において、本実施形態の積層型圧電素子30は積層体2を有し、この積層体2の内部におけるスリット9に対応する部位には、圧電体3よりも強度の低い低強度層31が形成されている。低強度層31は、積層体2の側面2aに形成されたスリット9から積層体2の側面2bに形成されたスリット9まで延びている。低強度層31は、圧電体3を形成する圧電セラミック材料と同一組成のセラミック材料で形成されている。低強度層31の厚さは、例えば内部電極4A,4Bと同等である。
このような積層型圧電素子30を製造する場合には、上述したスリット付きグリーンシート15(図4参照)を形成した後、図10に示すように、上記の低強度層31となる補助層32を同じグリーンシート13の上面に形成する。
具体的には、上述したグリーンシート13の形成方法と同様に、PZTを主成分としたセラミック粉体に有機バインダ及び有機溶剤等を混合したペーストを作製する。そして、そのペーストをスクリーン印刷することにより、スリット付きグリーンシート15の上面に補助層32を形成する。この時にセラミック粉体に対する有機バインダの量の比率を、グリーンシート13を形成するセラミック粉体に対する有機バインダの量の比率よりも大きくする。なお、補助層32は、スリット付きグリーンシート15における各対(4対)の2つのスリット孔14間の領域に形成される。なお、このようなスリット孔14及び補助層32が形成されたグリーンシート13をスリット・補助層付きグリーンシート33とする。
その後、グリーンシート13(図3参照)、電極付きグリーンシート17(図5参照)及びスリット・補助層付きグリーンシート33を所定の枚数だけ所定の順序で積層することで、グリーン積層体を形成する。そして、上述した実施形態と同様にして、グリーン積層体のプレス、切断、脱バインダを行う。
続いて、上述した実施形態と同様の条件で、グリーン積層体の焼成を行い、焼結体としての積層体2を得る。このとき、上述したように、補助層32を形成するセラミック材料に対する有機バインダの量の比率を、グリーンシート13を形成するセラミック材料に対する有機バインダの量の比率よりも大きくしてあるので、補助層32には空孔が形成されやすくなる。このため、補助層32は、圧電体3よりも密度(強度)の低い低強度層31となる。ここで、補助層32はグリーンシート13と同じ組成のPZTを主成分とするセラミック材料で形成されているため、補助層32とグリーンシート13との収縮率の違いによる影響は殆ど無く、低強度層31が全体的にきれいに焼け上がるように形成される。
その後、上述した実施形態と同様にして、外部電極の形成及び分極処理を実施することにより、積層体2の内部に低強度層31を有する積層型圧電素子30が得られる。
このような積層型圧電素子30では、積層体2の内部におけるスリット9の形成部位に低強度層31が形成されているので、積層体2に万が一クラックが発生するような場合には、クラックがより積極的にスリット9に入りやすくなる。このとき、スリット9にクラックが入ったとしても、そのクラックは低強度層31に沿って横方向に延びることになる。従って、積層体2の積層方向に延びるクラックが圧電活性層3Pに生じることが確実に防止されるため、積層型圧電素子30の駆動耐久性を向上させることが可能となる。
なお、低強度層31の形成手法としては、低強度層31を形成するセラミック粉体及びグリーンシート13を形成するセラミック粉体に対する有機バインダの量の比率を変える方法には限定されない。例えば、低強度層31の材料として、圧電体3の材料と同一組成系で且つ圧電体3の材料よりも焼結温度の高いPZTを主成分とするセラミック材料を使用しても良い。PZTの焼結温度を高くするには、PZTの組成自体を変えても良いし、圧電体3を形成するPZTよりも粉体(粒子)の大きなPZTを用いても良い。また、低強度層31の材料として、圧電体3の材料と異なる組成系のセラミック材料を使用しても勿論構わない。
以上、本発明に係わる積層型圧電素子の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、グリーンシート13にスリット孔14を形成した後、これを含む複数枚のグリーンシート13を積層してなるグリーン積層体を切断して焼成することにより、積層体2の側面2a,2bにスリット9を形成するようにしたが、スリット9の形成方法としては、特にこれには限られない。例えば、グリーン積層体の焼成後に、ダイサー等を用いた機械的方法により積層体2にスリット9を形成したり、あるいはグリーンシート13の上面にカーボンペーストを塗布しておき、グリーン積層体の焼成時にカーボンペーストを飛散(蒸発)させることにより、積層体2にスリット9を形成しても良い。
また、上記実施形態では、積層体2の側面2a,2bに応力緩和部としてのスリット(溝部)9を設ける構成としたが、応力緩和部は、必ずしも完全な空間をもったスリット9である必要はなく、例えば圧電体3に比べて密度が粗であるポーラス状の層であっても良い。
さらに、上記実施形態では、積層体2の側面2a,2bに複数の電極部11を積層方向に並設する構成としたが、積層方向に延びる長尺状の電極部をそれぞれ設けても良い。この場合、積層体2におけるスリット9の形成位置にクラックが生じることで、万が一長尺状の電極部が切断されたとしても、その電極部には波状の電極部12が接合されているので、内部電極4Aと外部電極10Aとの電気的接続及び内部電極4Bと外部電極10Bとの電気的接続は確保されたままとなる。また、波状の電極部12を用いる代わりに、各電極部11同士をリード線でつないでも良い。
また、上記実施形態では、積層体2の形状を四角柱状としたが、他の多角柱形状や円柱形状であっても良い。また、積層体2の側面において外部電極10A,10Bを設ける位置としては、互いに接触しない位置であれば良い。
本発明に係わる積層型圧電素子の一実施形態を示す斜視図である。 図1に示した積層型圧電素子の側断面図である。 図1に示した積層体の形成に使用されるグリーンシートの平面図である。 図3に示したグリーンシートにスリット孔を形成した状態の平面図である。 図3に示したグリーンシートに内部電極パターンを形成した状態の平面図である。 図4及び図5に示したグリーンシートを積層してグリーン積層体を形成した後の各グリーンシートの切断位置を示す図である。 本発明に係わる積層型圧電素子の他の実施形態を示す側断面図である。 図7に示した積層体の形成に使用されるグリーンシートにスリット孔及びダミー電極パターンを形成した状態を示す平面図である。 本発明に係わる積層型圧電素子の更に他の実施形態を示す側断面図である。 図9に示した積層体の形成に使用されるグリーンシートにスリット孔及び補助層を形成した状態を示す平面図である。
符号の説明
1…積層型圧電素子、2…積層体、3…圧電体、4A,4B…内部電極、9…スリット(応力緩和部)、10A,10B…外部電極、11…電極部(第1電極部)、12…電極部(第2電極部)、20…積層型圧電素子、21…ダミー電極(フローティング電極)、30…積層型圧電素子、31…低強度層。

Claims (1)

  1. 複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなる積層体と、前記複数の内部電極のうち同一極の内部電極同士を電気的に接続する外部電極とを備え、前記内部電極に電圧を印加することにより前記圧電体が伸縮して前記積層体が変位する積層型圧電素子であって、
    前記積層体の側面には、前記積層体の積層方向と交差する方向に沿って延在し、前記積層体が変位するときに前記積層体に発生する応力を緩和させる応力緩和部が形成されており、
    前記応力緩和部は、互いに隣り合う同一極の前記内部電極に挟まれており、
    前記積層体の内部における前記応力緩和部に対応する部位には、フローティング電極が設けられていることを特徴とする積層型圧電素子
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