JP4963805B2 - インク組成物、それを用いた画像形成方法、及び印刷物 - Google Patents
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Description
インクジェット方式の一つとして、活性エネルギー線の照射により、硬化可能なインクジェット記録用インクを用いた記録方式がある。この方法によれば、印字後直ちに活性エネルギー線照射し、インク液滴を硬化させることで鮮鋭な画像を形成することができる。
このような硬化性インク組成物は、発色性に優れた高精細画像を形成するため、高い顔料分散性とその経時的な安定性が求められる。インク組成物に鮮明な色調と高い着色力を付与するためには、顔料の微細化が必須である。特に、インクジェット記録用に用いられるインクでは、吐出されるインク液滴が画像の鮮鋭度に大きな影響を与えるため、吐出液滴も少量となり、且つ、該インクより形成されるインク硬化膜の膜厚よりも微細な粒子を用いることが必須となる。このように、高い着色力を得るために顔料粒子をより微細化していくと、微粒子の分散が困難になり、凝集体が発生しやすくなる。また、分散剤の添加により組成物の粘度が上昇するといった問題も生じる。顔料凝集体の発生やインク組成物の粘度上昇はいずれもインク吐出性に悪影響を与え、インク組成物への使用は好ましくない。
従って、充分な流動性を有し、かつ微細化された顔料を安定に分散させ、さらに、顔料分散の経時安定性に優れるインク組成物が求められている。安定な顔料分散液を得るための分散剤については、種々の提案がなされている。
これらのインク組成物は該分散剤の機能により、確かに従来のものより顔料の分散安定性は向上しているものの、使用されている顔料の微細化は不十分であり、さらなる微小な顔料粒子における分散性向上効果にはなお改良の余地があった。さらに、長期間あるいは温度変化を繰り返した際の分散安定性が未だ不十分であるという問題があった。
また、本発明の他の目的は、活性エネルギー線の照射により硬化可能であり、鮮明な色調と高い着色力を有するインク組成物を用いて得られた印刷物を提供することにある。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
<3>前記ラジカル重合性モノマーが(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類である上記<1>又は<2>に記載のインク組成物。
<4> 前記一般式(1)で表される化合物の数平均分子量が300以上であることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<5> 前記(a)ラジカル重合性モノマーが4官能以上の(メタ)アクリレート類を有することを特徴とする上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<7> 上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のインク組成物を被記録媒体に印字する工程、及び、印字されたインク組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させる工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
<8> 上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のインク組成物を硬化させてなることを特徴とする印刷物。
また、本発明の画像形成方法を適用することで、非吸収性の被記録媒体上にも、高品質の画像をデジタルデータに基づき直接形成しうることから、本発明のインク組成物は大面積の印刷物の作製にも好適に使用される。
また、本発明の印刷物は、活性エネルギー線の照射により硬化可能であり、鮮明な色調と高い着色力を有するインク組成物を用いて得られた、高品質な画像が形成されているという効果を奏する。
以下、本発明のインク組成物に用いられる各構成成分について順次説明する。
まず、本発明における特徴的な成分である(c)一般式(1)で表される化合物(以下、適宜(c)特定複素環化合物と称する)について説明する。
アルキル基としては炭素数2以上32以下が好ましく、4以上20以下がより好ましく、8以上18以下が特に好ましい。
前記アルキル基は置換基を有していても良く、置換基としては、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基等が挙げられる。
前記アルキル基としては、エチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、8−ヒドロキシオクチル基、7,8−ジヒドロキシオクチル基、11,12−ジヒドロキシドデシル基、2−メトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、6−ブトキシヘキシル基、8−ブトキシオクチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチル基、8−カルボキシオクチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル基、6−(N,N−ジメチルアミノ)ヘキシル基、8−(N,N−メチルアミノ)オクチル基、8−(N,N−ジエチルアミノ)オクチル基等が好ましく挙げられ、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、8−ヒドロキシオクチル基、7,8−ジヒドロキシオクチル基、11,12−ジヒドロキシドデシル基、6−(N,N−ジメチルアミノ)ヘキシル基、8−(N,N−ジメチルアミノ)オクチル基、8−(N,N−ジエチルアミノ)オクチル基が特に好ましい。
アシル基は置換基を有していても良く、置換基としては、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、等が挙げられる。
アシル基としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ヒドロキシブタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、1,1−ジメチルプロパノイル基等が挙げられる。
前記一般式(1)中、Rはアルキル基、またはアシル基が好ましい。
本発明における(c)特定複素環化合物の具体例としては、以下に挙げることができる。尚、本発明はこれに限るものではない。
NHを有する複素環化合物を用い、公知のN-アルキル化、あるいはN−アシル化、N−スルホニル化等により合成することが可能である。さらにはNHを有する複素環化合物と塩基の存在化でアニオン開環重合を行うことにより合成が可能である。
なお、本発明のインク組成物には、効果を損なわない限りにおいて、(c)特定複素環化合物に加えて、公知の分散剤(特に、顔料用)を併用することができる。この添加量としては、(c)特定複素環化合物の50質量%以下であることが好ましい。
本発明のインク組成物は着色剤を必須成分として含む。
前記着色剤は、前記(c)特定複素環化合物の機能によりインク組成物中に、均一、且つ、安定に分散されることで、本発明のインク組成物を用いることにより、発色性に優れた鮮鋭な画像を形成することができる。前記着色剤の中でも、発色性の観点から顔料であることが好ましい。また、前記着色剤は微細な粒径であることが好ましい。
ここで用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の顔料、染料を適宜選択して用いることができる。特に、着色剤として顔料を用いることにより、本発明のインク組成物により得られる画像は耐候性に優れる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。さらに、市販の顔料分散体や表面処理された顔料、例えば、顔料を分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
顔料の分散を行う際には、前記(c)特定複素環化合物を添加することが特に効果的である。
また、顔料を添加するにあたっては、必要に応じて、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
インク組成物中における着色剤の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。本発明においては、レーザー回折・散乱法を用いた測定により得られた値を採用する。
着色剤はインク組成物中、固形分換算で1〜20質量%添加されることが好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
〔(a)ラジカル重合性モノマー〕
本発明のインク組成物は、(a)ラジカル重合性モノマーを含有する硬化性インク組成物である。本発明に用いられる(a)ラジカル重合性モノマーは、何らかのエネルギー付与により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、モノマーの種を問わず使用することができるが、特に、(d)光ラジカル開始剤から発生する開始種により重合反応を生起する、ラジカル重合性モノマーとして知られる各種公知の重合性のモノマーが好ましい。また、カチオン重合性モノマーも用いることができる。
ラジカル重合性モノマーは反応速度や、インク物性、硬化膜物性等を調整する目的で1種または複数を混合して用いることができる。また、ラジカル重合性モノマーは単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
本発明に用いうる単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明のインク組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインクの被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
本発明で使用するオキセタン化合物のなかでも、インク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1〜2個有する化合物を使用することが特に好ましい。
ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、等が挙げられる。なお、本明細書において「アクリレート」、「メタクリレート」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
単官能(メタ)アクリレート類の具体例としては、ヘキシル基(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2Hパーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
四官能の(メタ)アクリレート類の具体例として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
五官能の(メタ)アクリレート類の具体例として、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
六官能の(メタ)アクリレート類の具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
インク組成物中の(a)ラジカル重合性モノマーの含量は、組成物の全固形分に対し50〜95質量%が適当であり、好ましくは60〜92質量%、さらに好ましくは70〜90質量%の範囲である。
本発明のインク組成物には、重合開始剤として光ラジカル開始剤を含有する。
本発明における光ラジカル開始剤は光の作用、または、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカルを生成する化合物である。
光ラジカル開始剤は、照射される活性光線、例えば、400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどに感度を有するものを適宜選択して使用することができる。
光重合開始剤の他の例である(g)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号ならびに特公昭46−42363号各公報記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
上記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン等を挙げることができる。
インク組成物中の(d)光ラジカル開始剤の含有量は、インク組成物の全固形分換算で、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
本発明においては、前記光ラジカル開始剤の感度を向上させる目的で、増感色素を添加しても良い。好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
式(X)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−または−S−を表す。また、Wは一般式(IX)に示したものと同義である。
式(XI)中、A2は硫黄原子またはNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基またはアリール基を表す。
式(XIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子または−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。
さらに本発明のインク組成物には、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えても良い。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−65779号公報記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
本発明のインク組成物には、さらに、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤、射出物性の制御を目的としたチオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することができる。
また、液物性調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤や、有機フルオロ化合物などを添加することもできる
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
なお、25〜30℃でのインク粘度は、200mPa・s以下、好ましくは7〜100mPa・sである。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を防ぎ、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となり、更にインク液滴着弾時のドット滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善される。25〜30℃におけるインク粘度が200mPa・sより大きいと、インク液のデリバリーに問題が生じる。
本発明のインク組成物により得られた印刷物は、画像部が紫外線などの活性エネルギー線照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、インクによる画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。
前記照射される活性エネルギー線量としては、20〜2000mJ/cm2が好ましい。
次に、本発明の画像形成方法に好適に採用され得るインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置について、以下説明する。
このようなインク組成物における活性エネルギー線の照射条件について述べる。基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO99/54415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明においては、これらの照射方法を用いることが可能である。
前記好ましい射出条件によれば、本発明のインク組成物は加温、降温を繰り返すことになるが、前記(c)特定複素環化合物の機能により、このような温度条件下で保存された場合でも、着色剤分散性の低下が抑制され、長期間にわたり優れた発色性が得られ、且つ、着色剤の凝集に起因する吐出性の低下も抑制されるという利点をも有する。
本発明のインク組成物を適用しうる被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料あるいは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他、被記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も被記録媒体として使用可能である。
〔(c)特定複素環化合物の合成〕
(例示化合物H−13の合成)
9(10H)−アクリドン1.95部、t−ブトキシカリウム1.12部をジメチルスルホキシド20部に溶解させ、100℃に加熱する。これにブトキシテトラエチレングリコールグリシジルエーテル6.8部を滴下し、100℃でさらに4時間加熱攪拌を行う。この反応液を酢酸エチル抽出、および水洗の後、濃縮・乾燥させることで油状の例示化合物H−13を6.2部得た。数平均分子量は、501であった。
(例示化合物H−15の合成)
合成例1のブトキシテトラエチレングリコールグリシジルエーテル6.8部をブチルグリシジルエーテル13.0部に変更した以外は、合成例1と同様にして例示化合物H−15の油状物14.2部を得た。数平均分子量は、1500であった。
(例示化合物H−21の合成)
合成例1の9(10H)−アクリドン1.95部をジメチルキナクリドン(PR122)1.70部に変更した以外は、合成例1と同様にして例示化合物H−21の着色固体1.7部を得た。数平均分子量は、2800であった。
下記に示す(c)特定複素環化合物を(a)ラジカル重合性モノマーに溶解させ、(b)顔料と共にモーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで6時間分散を行い、活性エネルギー線硬化型インク原液を得た。ついで(d)重合開始剤をインク原液に加え、穏やかに混合させた後、これをメンブランフイルターで加圧濾過し、実施例1の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
・(c)特定複素環化合物〔例示化合物H−13〕 1.5部
・(a)ラジカル重合性モノマー〔ヘキサンジオールジアクリレート〕
(HDDA:ダイセルUCB(株)製) 60.0部
・(a)ラジカル重合性モノマー〔カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〕
(DPCA−60:日本化薬(株)製) 27.5部
・(d)重合開始剤〔アシルフォスフィンオキサイド化合物
(LucirinTPO−L:BASF製) 5.0部
実施例1において用いた(c)特定複素環化合物H−13を、それぞれ合成例2〜3で得たH−15、H−21に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして実施例2〜3の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
実施例1において用いた(c)特定複素環化合物H−13に代えて、市販の顔料分散剤である「SORSPERSE 24000GR」(日本リーブリゾール社製)を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして比較例1の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
実施例1において用いた(c)特定複素環化合物H−13に代えて、市販の顔料分散剤である「SORSPERSE 32000」(日本リーブリゾール社製)を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして比較例2の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
比較例1〜2において、(a)ラジカル重合性モノマーおよび(d)重合開始剤を下記に変更した以外は、すべて同様にして比較例3〜4のインクジェットインクを得た。
(OXT−221:東亜合成(株)製) 70.0部
(a)カチオン重合性モノマー:エポキシ化合物
(セロキサイド3000:ダイセル化学(株)製) 17.5部
(d)重合開始剤: トリフェニルスルホニウム塩
(UVI−6992、ダウケミカル社製) 5.0部
得られたインクジェットインクを下記の方法に従って評価した。その結果を表1に記す。
各インクジェットインクを25℃で1ヶ月保存後、および70℃で24時間保存後の分散状態を目視および粘度変化により評価した。
◎は問題のないレベル、○は吐出性に問題ないレベル、△は吐出性が低下し、実用上問題になるレベル、×は吐出性が不可で実用上問題になるレベル。
◎:沈殿物の発生、粘度の増加がない
○:沈殿物の発生なし、粘度が若干増加する
△:沈殿物の発生はないが、粘度が増加する
×:沈殿物の発生が認められる
各インクジェットインクについて、光散乱回折式の粒度分布測定装置(LA910、(株)堀場製作所製)を用いて体積基準平均粒径D50を測定し、評価した。Aは問題のないレベル、Bは実用上問題のないレベル、Cは、実用上問題のあるレベル。
A:D50が100nm未満
B:D50が100nm以上、200nm未満
C:D50が200nm以上
得られたインク組成物をインクジェットプリンター(印字密度300dpi、打滴周波数4kHz、ノズル数64)でアート紙上に印字してから、Deep UVランプ(ウシオ製、SP−7)で100mJ/cm2のエネルギーとなる条件で露光し、印字サンプルを得た。硬化皮膜を指で触れて、べたつきの有無を以下の基準で評価した。Aは問題のないレベル、Bは実用上問題になるレベル、Cは、実用上問題のあるレベル。
A:べたつきがない
B:僅かにべたつきがある
C:著しくべたつく
得られたインク組成物を、25℃から60℃の昇温・降温サイクルを10回繰り返した後、前記インクジェットプリンターで印字を行いノズル欠の有無について観察し、以下の基準で評価を行った。○は問題のないレベル、△は実用上問題になるレベル、×は、実用上問題のあるレベル。
○:ノズル欠が発生せず高品質の画像が形成された
△:一部でサテライトが発生し、画像欠陥が観察された
×:ノズル欠が発生し、画像欠陥が著しい
一方、市販の高分子分散剤を用いた比較例は、当初の顔料分散性は良好であるが、特に高温度条件下での保存や、繰り返し加熱によるヒートサイクル性が劣り、実用上問題となるレベルであった。
Claims (9)
- 少なくとも(a)ラジカル重合性モノマーと、(b)顔料と、(c)下記一般式(1)で表される化合物と、(d)光ラジカル開始剤とを含むことを特徴とするインク組成物。
〔式(1)中、Rはアルキル基、アシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリール基、スルホニル基、またはスルファモイル基を表す。Xはアルキレン基、−O−、−S−、−NR1−、あるいは−C(=O)−から選ばれるいずれか1種であり、R1は水素原子またはアルキル基を表す。環Aおよび環Bはそれぞれ独立に環を表し、少なくともいずれかは芳香環である。〕 - 前記(c)一般式(1)で表される化合物の、インク組成物に対する含有量が、2〜80質量%である、請求項1に記載のインク組成物。
- 前記ラジカル重合性モノマーが(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類である請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1)で表される化合物の数平均分子量が300以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記(a)ラジカル重合性モノマーが4官能以上の(メタ)アクリレート類を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- インクジェット用であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物を被記録媒体に印字する工程、及び、印字されたインク組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させる工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物を硬化させてなることを特徴とする印刷物。
- 被記録媒体上に、インク組成物をインクジェットプリンターにより印字した後、活性エネルギー線を照射してインク組成物を硬化させてなる請求項8に記載の印刷物。
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