JP4963367B2 - 二光子吸収材料 - Google Patents
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Description
ところで、二光子吸収現象とは、三次の非線形光学効果の一種で、分子が二つのフォトンを同時に吸収して、基底状態から励起状態へ遷移する現象であり、古くから知られていたがJean−Luc Bredas等が1998年に分子構造とメカニズムの関係を解明して以来(Science,281,1653(1998))、近年になって二光子吸収能を有する材料に関する研究が進むようになった。
また、特許文献5、特許文献6には、屈折率変調により三次元的に記録する記録装置、及び再生装置、読み出し方法等が開示されているが、二光子吸収三次元光記録材料を用いた方法についての記載はない。
1)二光子吸収現象を利用すると、極めて高い空間分解能を特徴とする種々の応用が可能となるが、現時点で利用可能な二光子吸収化合物では二光子吸収能が低いため、二光子吸収を誘起する励起光源としては高価な非常に高出力のレーザが必要である。従って、小型で安価なレーザを使って、二光子吸収を利用した実用用途を実現するためには、高効率の二光子吸収材料の開発が必須である。
2)二光子吸収材料を固体として用いる場合、これまでは高分子中に分散させて使用していた。しかしながら長期保存時に二光子吸収材料の結晶化やマイグレーションによる偏析等による塗膜欠陥が発生し、品質が変化する不具合があった。
1)スペクトル、屈折率または偏光状態の変化を、高感度に実現する、効率良く二光子を吸収する有機材料、すなわち二光子吸収断面積の大きな有機材料を提供する。
2)長期保存時にも塗膜欠陥(結晶化、マイグレーション)が発生しない品質の安定した二光子吸収断面積の大きな有機材料を提供する。
本発明の目的は、二光子吸収断面積が大きい二光子吸収化合物を少なくとも有し、二光子吸収化合物の二光子吸収を利用して書き換えできない方式で記録を行った後、光を記録材料に照射してその発光強度の違いを検出することにより再生することを特徴とする二光子吸収光記録材料を用いた二光子吸収三次元光記録材料を提供するものである。
すなわち、本発明は以下に記載するとおりの二光子吸収材料である。
Ar4は置換若しくは無置換の、チオフェン、ビフェニル、フルオレン又はアントラセンの二価基であり、
Ar5及びAr6はそれぞれ独立に置換又は無置換の芳香族炭化水素基であり、
x及びyは1以上4以下の整数であり、zは1以上5以下の整数であり、
R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基又は置換若しくは無置換のアルキルチオ基であり、
R3は水素基、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基又は置換若しくは無置換のアリール基であり、
かつ、前記x、前記y及び前記zが2以上である場合、複数個の前記R1、前記R2及び前記R3はそれぞれ独立している
(2)下記一般式(IV)で表される二光子吸収材料。
Ar4は置換若しくは無置換の、ベンゼン、チオフェン、ビフェニル、フルオレン又はアントラセンの二価基であり、
Ar5及びAr6はそれぞれ独立に置換又は無置換の芳香族炭化水素基であり、
vは1以上3以下の整数であり、w、x及びyは1以上4以下の整数であり、
R1、R2、R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基又は置換若しくは無置換のアルキルチオ基であり、
かつ、前記v、前記w、前記x及び前記yが2以上である場合、複数個の前記R1、前記R2、前記R4及び前記R5がそれぞれ独立している二光子吸収材料。
(3)下記一般式(V)で表される二光子吸収材料。
Ar4は置換若しくは無置換の、ベンゼン、チオフェン、ビフェニル、フルオレン又はアントラセンの二価基であり、
Ar5及びAr6はそれぞれ独立に置換又は無置換の芳香族炭化水素基であり、
vは1以上3以下の整数であり、w、x及びyは1以上4以下の整数であり、
R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基又は置換若しくは無置換のアルキルチオ基であり、
かつ、前記v、前記w、前記x及び前記yが2以上である場合、複数個の前記R1、前記R2、前記R4及び前記R5がそれぞれ独立している二光子吸収材料。
Ar4は置換若しくは無置換の、ベンゼン、チオフェン、ビフェニル、フルオレン又はアントラセンの二価基であり、
x及びyは1以上4以下の整数であり、zは1以上5以下の整数であり、
R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基又は置換若しくは無置換のアルキルチオ基であり、
R3は水素基、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基又は置換若しくは無置換のアリール基であり、
かつ、前記x、前記y及び前記zが2以上である場合、複数個の前記R1、前記R2及び前記R3はそれぞれ独立している。)
(5)下記一般式(IX)で表される繰り返し単位を有する重合体からなる二光子吸収材料。
Ar4は置換若しくは無置換の、ベンゼン、チオフェン、ビフェニル、フルオレン又はアントラセンの二価基であり、
vは1以上3以下の整数であり、w、x及びyは1以上4以下の整数であり、
R1、R2、R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基又は置換若しくは無置換のアルキルチオ基であり、
かつ、前記v、前記w、前記x及び前記yが2以上である場合、複数個の前記R1、前記R2、前記R4及び前記R5がそれぞれ独立している。)
(6)下記一般式(X)で表される繰り返し単位を有する重合体からなる二光子吸収材料。
Ar4は置換若しくは無置換の、ベンゼン、チオフェン、ビフェニル、フルオレン又はアントラセンの二価基であり、
vは1以上3以下の整数であり、w、x及びyは1以上4以下の整数であり、
R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基又は置換若しくは無置換のアルキルチオ基であり、
かつ、前記v、前記w、前記x及び前記yが2以上である場合、複数個の前記R1、前 記R2、前記R4 及び前記R5がそれぞれ独立している二光子吸収材料。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の二光子吸収材料を含む三次元メモリ材料。
(8)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の二光子吸収材料を含む光制限材料。
(9)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の二光子吸収材料を含む光造形用光硬化樹脂の硬化材料。
(10)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の二光子吸収材料を含む二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料。
2)二光子吸収能を有する部位を連結した二光子吸収重合体とすることで、長期保存でも塗膜欠陥が発生せず、安定した品質が得られる。
本発明の二光子吸収材料は上記一般式(I)〜(V)で表されるアリールアミン化合物の構造を基本構造としており、この構造により、効率良く二光子を吸収することができる。
また、本発明の二光子吸収材料は、上記一般式(V)〜(X)で表される繰り返し単位を有する重合体の形態で好ましく使用することができる。
そこで、以下ではアリールアミン系二光子吸収重合体の製造法について説明する。
本発明の二光子吸収重合体の製造方法は、例えばアルデヒドとホスホネートを用いたWittig−Horner反応、アルデヒドとホスホニウム塩を用いたWittig反応、ビニル置換体とハロゲン化物を用いたHeck反応、アミンとハロゲン化物を用いたUllmann反応などを用いることができ、公知の方法により製造可能である。特にWittig−Horner反応およびWittig反応は反応操作の簡便さから有効である。
本発明における重合体は、下記の反応式で示されるように、ホスホン酸エステル化合物およびアルデヒド化合物が化学量論的に等しく存在する溶液と、その2倍モル量以上の塩基を混合させることにより重合反応が進行し、得ることができる。
本発明の二光子吸収重合体を製造する場合には、例えば、Aとしてアリールアミン部位、BとしてAr4の組み合わせのモノマーを用いるか、またはAとしてAr4、Bとしてアリールアミン部位の組み合わせのモノマーを用いればよい。
また、上記ホスホン酸ジエステル化合物についても、公知の種々の反応により合成することが可能であるが、下記Michaelis−Arbuzov 反応が特に容易である。
上記の塩基は固形状態や懸濁溶液の状態で反応系内に添加してもよいが、得られる重合体の均質性が良好になる為に、特に均一溶液として添加する事が好ましい。塩基を溶解する溶媒としては、使用する塩基と安定な溶液を形成する溶媒を選択しなければならないが、その他の要因として塩基の溶解度が高いものがよく、また反応系で生成する高分子量体の反応溶媒に対する溶解性を損ねないものがよく、さらに生成する高分子量体が良好に溶解する溶媒がよく、用いる塩基と製造する高分子量体の特性に応じて、一般に知られているアルコール系、エーテル系、アミン系、炭化水素系溶媒等から任意に選択することができる。
上記重合反応における重合時間は、用いられるモノマーの反応性、または望まれる重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよいが、0.2時間〜30時間が好適である。
上記重合反応における反応温度は特に制御する必要なく室温において良好に重合反応が進行するが、反応効率をより上げるために加熱したり、または冷却してより温和な条件にすることも可能である。
また、以上の重合操作において分子量を調節するために分子量調節剤、または末端修飾基として重合体の末端を封止するための封止剤を反応途中で反応系に添加することも可能であり、反応開始時に添加しておくことも可能である。従って、本発明におけるアリールアミン重合体の末端には停止剤に基づく置換基が結合してもよい。
分子量調節剤、末端封止剤としては、ベンジルホスホン酸ジエチル、ベンズアルデヒド等、反応活性基を1個有する化合物が挙げられる。
また、機械的特性を改良するために重合時に分岐化剤を少量加えることもできる。使用される分岐化剤は、重合反応活性基を3つ以上(同種でも異種でもよい)有する化合物である。これらの分岐化剤は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
本発明において、「芳香族炭化水素基」とは、ベンゼン核を有する化合物群の総称として参照している。
前記一般式(I)及び(VI)における置換又は無置換の芳香族炭化水素基Ar1としては単環基、多環基(縮合多環基、非縮合多環基)の何れでもよく、一例として以下のものを挙げることができる。
例えばフェニル基、ナフチル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられる。前記一般式(VI)における置換又は無置換の芳香族炭化水素基の二価基Ar2、Ar3としては、一例として上記の置換又は無置換の芳香族炭化水素基の二価基が挙げられる。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)炭素数1〜25 の直鎖または分岐鎖の、アルキル基、アルコキシ基。これらはさらにハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基で置換されていてもよい。
(3)アリールオキシ基。(アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するアリールオキシ基が挙げられる。これらは、ハロゲン原子を置換基として含有しても良く、炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖の、アルキル基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基を含有していても良い。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。)
(4)アルキルチオ基又はアリールチオ基。(アルキルチオ基又はアリールチオ基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。)
(5)アルキル置換アミノ基。(具体的には、ジエチルアミノ基、N −メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(p−トリル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。)
(6)アシル基。(アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリ
ル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。)
例えば、光ディスクでは上記薄膜が基板と接しており、その基板材料はポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。また、積層する場合であれば、中間層(仕切層)に該薄膜表面が接している。中間層の具体例としてはポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは種々の光硬化樹脂等が挙げられる。
次に、各種光学デバイス、光造形デバイスに応用するにしても、各種樹脂に混合されているか、光硬化樹脂に混合され用いる。
従って、本発明の二光子吸収材料の使用要件としては、該材料が各種樹脂、またはガラスに混合されているか、二光子吸収材料層界面が各種樹脂、またはガラスに接していることである。
言い換えれば、本発明の二光子吸収材料はミクロレベル、又はマクロレベルで各種樹脂、又はガラスに接している構成となっている。
本発明の二光子吸収材料は、スピンコーター、ロールコーターまたはバーコーターなどを用いることによって基板上に直接塗布することも、あるいはフィルムとしてキャストしついで通常の方法により基板にラミネートすることもでき、それらにより2光子吸収光記録材料とすることができる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
以下、三次元多層光メモリの好ましい実施形態(具体例)を示すが、本発明はこれらの実施形態により何ら限定されず、三次元記録(平面及び膜厚方向に記録)が可能な構造であれば、他にどのような構造であっても構わない。三次元多層光メモリの記録/再生のシステム概略図を図1−(a)に、記録媒体の概略断面図を図1−(b)に示す。
なお、本発明に従い同様に形成される三次元多層光メモリの形態としては、カード状、プレート状、テープ状、ドラム状等が考えられる。
光通信や光情報処理では、情報等の信号を光で搬送するためには変調、スイッチング等の光制御が必要になる。この種の光制御には、電気信号を用いた電気−光制御方法が従来採用されている。しかし電気−光制御方法は、電気回路のようなCR時定数による帯域制限、素子自体の応答速度や電気信号と光信号との間の速度の不釣合いで処理速度が制限されることなどの制約があり、光の利点である広帯域性や高速性を十分に生かすためには、光信号によって光信号を制御する光−光制御技術が非常に重要になってくる。この要求に応えるものとして本発明の二光子吸収材料を加工して作製した光学素子は、光を照射する事で引き起こされる透過率や屈折率、吸収係数などの光学的変化を利用し、電子回路技術を用いずに光の強度や周波数を変調することで、光通信、光交換、光コンピューター、光インターコネクション等における光スイッチなどに応用する事が可能である。
図2は、本発明の二光子吸収材料を、二光子励起し得る波長の制御光により二光子励起させることによって、一光子励起し得る波長の信号光を光スイッチングする光制御素子の一例である。保護層で狭持された二光子吸収材料の形態を示すが、この構成が本発明を限定するものではない。
二光子光造形法の装置の概略図を図3に示し、以下に説明する。
近赤外パルスレーザ光源1からの光をミラースキャナー5を通した後、レンズを用いて光硬化性樹脂9中に集光させレーザスポットを走査し、二光子吸収を誘起することによって焦点近傍のみにおいて樹脂を硬化させて任意の三次元構造を形成する二光子マイクロ光造形方法である。
1)回折限界をこえる加工分解能:二光子吸収の光強度に対する非線形性によって、光の回折限界を超えた加工分解能を実現できる。
2)超高速造形:二光子吸収を利用した場合、焦点以外の領域では、光硬化性樹脂が原理的にも硬化しない。このため照射させる光強度を大きくし、ビームのスキャン速度を速くすることができる。このため、造形速度を約10倍向上することができる。
3)三次元加工:光硬化性樹脂は、二光子吸収を誘起する近赤外光に対して透明である。したがって焦点光を樹脂の内部へ深く集光した場合でも、内部硬化が可能である。従来のSIHでは、ビームを深く集光した場合、光吸収によって集光点の光強度が小さくなり、内部硬化が困難になる問題点が、本発明ではこうした問題点を確実に解決することができる。
4)高い歩留り:従来法では樹脂の粘性や表面張力によって造形物が破損、変形するという問題があったが、本手法では、樹脂の内部で造形を行うのでこうした問題は解消される。
5)大量生産への適用:超高速造形を利用することによって、短時間に、連続的に多数個の部品あるいは可動機構の製造が可能である。
二(多)光子励起レーザ走査顕微鏡とは、近赤外パルスレーザを標本面上に集光し走査させて、そこでの二(多)光子吸収により励起されて発生する蛍光を検出することにより像を得る顕微鏡である。
二光子励起レーザ走査顕微鏡の基本構成の概略図を図4に示す。
近赤外域波長のサブピコ秒の単色コヒーレント光パルスを発するレーザ光源1と、レーザ光源からの光束を所望の大きさに変える光束変換光学系2と、光束変換光学系で変換された光束を対物レンズの像面に集光し走査させる走査光学系3と、集光された上記変換光束を標本面5上に投影する対物レンズ系4と、光検出器7を備えている。
このような構成により、二光子吸収そのものの非線形効果を利用して、光軸方向の高分解能を得ることができる。加えて、共焦点ピンホール板を用いれば、さらなる高分解能(面内、光軸方向共)が得られる。
二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素は、標本を染色、又は標本に分散させることにより使用され、工業用途のみならず、生体系の細胞等の三次元画像マイクロイメージングにも用いることができ、高い二光子吸収断面積を持つ化合物が望まれている
重合体1の合成
元素分析値(計算値);C:84.25%(84.02%)、H:8.20%(7.93%)、N:2.33%(2.45%)。
示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は116.9℃であった。
ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量は8500、重量平均分子量は20000であった。
重合体2の合成
元素分析値(計算値);C:85.18%(85.55%)、H:8.03%(7.63%)、N:2.10%(2.08%)。
示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は133℃であった。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は39200、重量平均分子量は116000であった。
重合体3の合成
元素分析値(計算値);C:85.33%(85.55%)、H:7.86%(7.63%)、N:2.30%(2.08%)。
示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は151.9℃であった。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は44400、重量平均分子量は118000であった。
重合体4の合成
元素分析値(計算値);C:83.80%(84.06%)、H:8.60%(8.90%)、N:2 .15%(2.39%)。
示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は122.1℃であった。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は13200、重量平均分子量は32500であった。
重合体5の合成
元素分析値(計算値);C:85.56(85.27%)、H:8.02%(7.78%)、N:2.01%(2.12%)。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は22700、重量平均分子量は51900であった。
重合体6の合成
元素分析値(計算値);C:84.25%(84.06%)、H:8.75%(8.90%)、N:2.23%(2.39%)。
示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は135.8℃であった。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は15400、重量平均分子量は39900であった。
重合体7の合成
元素分析値(計算値);C:90.89%(90.77%)、H:6.50%(6.71%)、N:2.22%(2.52%)。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は3700、重量平均分子量は8000であった。
重合体8の合成
元素分析値(計算値);C:90.64%(90.35%)、H:6.82%(7.01%)、N:2.55%(2.63%)。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は5500、重量平均分子量は13300であった。
重合体9の合成
元素分析値(計算値);C:83.01%(83.32%)、H:7.01%(6.99%)、N:2.89%(2.94%)、S:6.80%(6.76%)。
示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は163.4℃であった。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は7900 、重量平均分子量は17200であった。
重合体10の合成
元素分析値(計算値);C:83.55%(83.62%)、H:7.74%(7.94%)、N:2.63%(2.57%)、S:6.02%(5.87%)。
示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は125.9℃であった。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は15500、重量平均分子量は48700であった。
重合体11の合成
元素分析値(計算値);C:85.52%(85.22%)、H:7.00%(6.80%)、N:2.15%(2.42%)、S:5.50%(5.55%)。
示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は186.9℃であった。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は11800、重量平均分子量は28400であった。
重合体12の合成
元素分析値(計算値);C:90.11(89.81%)、H:7.92%(8.01%)、N:2.01%(2.18%)。
示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は182.9℃であった。
GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は14400、重量平均分子量は42600であった。
ジホスホネート1.681g(2.648mmol)から重合体18を1.682g得た。収率85%。
上記の合成例12において,繰り返し数nを1とした化合物を、合成例12に準じた合成条件により以下の反応スキームで合成した。その化合物の濃度0.01(mol/l) テトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
同様にして上記の合成例5、合成例8及び合成例10において,繰り返し数nを1とした化合物を合成した。その化合物の濃度0.01(mol/l)テトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
その化合物の濃度0.01(mol/l)テトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
上記の合成例1、合成例3、合成例5、合成例6、合成例10、及び合成例12で得た重合体を、その繰り返し単位を分子量と換算し、濃度0.01(mol/l)テトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
その化合物の濃度0.01(mol/l) テトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
以下の化合物(20)で示した化合物を用い、その濃度が0.01(mol/l)となるようにテトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
その化合物の濃度0.01(mol/l) テトラヒドロフラン溶液を作成し、下記の二光子吸収断面積の評価方法により、その二光子吸収断面積を測定した。
測定システム概略図を図5示す。
測定光源:フェムト秒チタンサファイアレーザ
波長 :800nm パルス幅:100fs
繰り返し:80MHz 光パワー:800mW
測定方法:Zスキャン法
光源波長 :800nm キュベット内径:10mm
測定光パワー :約500mW 繰り返し周波数:80MHz
集光レンズ :f=75mm 集光径 :40〜50μm
集光されている光路部分に試料溶液を充填した石英セルを置き、その位置を光路に沿って移動させることによりZ−scan測定を実施した。
T=[ln(1+I0L0β)]/I0L0β ・・・・ (I)
(上記式中、Tは透過率(%)、I0は励起光密度[GW/cm2]、
L0は試料セル長[cm]、βは非線形吸収係数[cm/GW]を示す。)
この非線形吸収係数から、下記式(II)により二光子吸収断面積δを求めた。(δの単位は1GM=1×10−50cm4・s・molecule−1・photon−1である。)
δ=1000×hνβ/NACβ ・・・・ (II)
(上記式中、hはプランク定数[J・s]、
νは入射レーザ光の振動数[s−1]、NAはアボガドロ数、
Cは溶液濃度[mol/L]を示す。)
評価結果を表1に示す。
このことから、本発明の優れた二光子吸収特性を有する化合物を適用すれば、より高品位の三次元メモリ材料、光制限材料、光造形用光硬化樹脂の硬化材料、光化学療法用材料、二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料が実現できる。
1 光硬化樹脂液に対して透明性を有する近赤外パルスレーザ光の光源
2 過光量を時間的にコントロールするシャッター
3 Dフィルター
4ミラースキャナー
5 Zステージ
6 集光手段としてのレンズ
7 コンピュータ
8 光硬化性樹脂液
9 光造形物
(図4について)
1 レーザ光源
2 光束変換光学系
3 走査光学系
4 対物レンズ系
5 標本面
6 ダイクロイックミラー
7 光検出器
Claims (10)
- 下記一般式(III)で表される二光子吸収材料。
Ar4は置換若しくは無置換の、チオフェン、ビフェニル、フルオレン又はアントラセンの二価基であり、
Ar5及びAr6はそれぞれ独立に置換又は無置換の芳香族炭化水素基であり、
x及びyは1以上4以下の整数であり、zは1以上5以下の整数であり、
R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、 置換若しくは無置換のアルコキシ基又は置換若しくは無置換のアルキルチオ基であり、
R3は水素基、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換の
アルコキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基又は置換若しくは無置換のアリール基であり、
かつ、前記x、前記y及び前記zが2以上である場合、複数個の前記R1、前記R2及び前記R3はそれぞれ独立している - 下記一般式(IV)で表される二光子吸収材料。
Ar4は置換若しくは無置換の、ベンゼン、チオフェン、ビフェニル、フルオレン又はアントラセンの二価基であり、
Ar5及びAr6はそれぞれ独立に置換又は無置換の芳香族炭化水素基であり、
vは1以上3以下の整数であり、w、x及びyは1以上4以下の整数であり、
R1、R2、R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基又は置換若しくは無置換のアルキルチオ基であり、
かつ、前記v、前記w、前記x及び前記yが2以上である場合、複数個の前記R1、前記R2、前記R4及び前記R5がそれぞれ独立している二光子吸収材料。 - 下記一般式(V)で表される二光子吸収材料。
Ar4は置換若しくは無置換の、ベンゼン、チオフェン、ビフェニル、フルオレン又はアントラセンの二価基であり、
Ar5及びAr6はそれぞれ独立に置換又は無置換の芳香族炭化水素基であり、
vは1以上3以下の整数であり、w、x及びyは1以上4以下の整数であり、
R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基又は置換若しくは無置換のアルキルチオ基であり、
かつ、前記v、前記w、前記x及び前記yが2以上である場合、複数個の前記R1、前記R2、前記R4及び前記R5がそれぞれ独立している二光子吸収材料。 - 下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位を有する重合体からなる二光子吸収材料。
Ar4は置換若しくは無置換の、ベンゼン、チオフェン、ビフェニル、フルオレン又はアントラセンの二価基であり、
x及びyは1以上4以下の整数であり、zは1以上5以下の整数であり、
R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基又は置換若しくは無置換のアルキルチオ基であり、
R3は水素基、ハロゲン基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基又は置換若しくは無置換のアリール基であり、
かつ、前記x、前記y及び前記zが2以上である場合、複数個の前記R1、前記R2及び前記R3はそれぞれ独立している。) - 請求項1〜6のいずれかに記載の二光子吸収材料を含む三次元メモリ材料。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の二光子吸収材料を含む光制限材料。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の二光子吸収材料を含む光造形用光硬化樹脂の硬化材料。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の二光子吸収材料を含む二光子蛍光顕微鏡用蛍光色素材料。
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