JP4960790B2 - ダッシュボード構造 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、アルミニウム押出材からなる断面正方形の角形パイプを、直線状の中間部の両側でそれぞれ同一側にく字状に曲げ成形することにより、全体が弓形に曲成されてなるストラットバーが開示されている。
しかし、ストラットバーが連結されるダッシュボードアッパは、一般に、車室内への吸気路及び雨水の排水路となる断面視略コ字状の溝部を有しているため、この溝部を塞がないように補強する必要がある。そのため、従来は、例えば外側からの当て板による補強しかできず、十分な補強を行うことが困難であった。
そのため、本願発明によれば、ダッシュボードアッパによって車室内の空調及び溝部内の排水を好適に行いながら、補強されたダッシュボードアッパを介して、ストラットバーに入力される荷重を車両の左右側方や下方の他の部位に確実に伝達・分散することができる。
なお、「略三角形閉断面」とは、中空の断面形状がいわゆる三角形状だけでなく、略三角形とみなせる形状、例えばコーナー部分が円弧状に丸まっているような面取りされた略三角形状のものをも含む意味である。
また、かかる構成によれば、前記前壁と前記底壁との間に断面視略直線状に連続して架設された隔壁及び他の側壁が、いわゆる筋交いの役割を果たし、溝部が強固に補強されることとなる。そのため、ダッシュボードアッパの剛性を容易かつ十分に強化することができる。
図1は、本実施形態に係るダッシュボード構造を有する車両のフロント側のボディを示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るダッシュボード構造の要部を示す部分拡大斜視図である。なお、説明において方向を示すときは、図1に示す前後左右を基準にして説明する。
前壁53の前面53aには、ブラケット63を介してストラットバー6,6の後端が固定されている。そして、溝部51内には、左右のストラットバー6,6の固定位置に対応する位置に、補強部材である第1押出形材8及び第2押出形材9がそれぞれ設置されている。なお、後壁54の右寄りには、車両1の車室内に連通する吸気口54b(図1参照)が形成されている。
各延出部65の前端の右側及び左側にそれぞれ2つずつ形成された挟持部66,66は、ストラットバー6の幅寸法に略等しい間隔を隔てて形成されている。そして、左右に離間する挟持部66,66の間にストラットバー6の後端部が配置され、上下に対向する一対の挟持部66,66の間にストラットバー6の突出部62,62が挟み込まれている。ストラットバー6は、挟持部66に形成した貫通孔と突出部62に形成した貫通孔に、ボルトを挿通してナットで締め付けることによって、ブラケット63に締結されている。
図3に示すように、第1押出形材8は、アルミニウム素材を押出成形してなる中空の補強部材であり、断面視で変則的な七角形状に形成されている。第1押出形材8は、右側のストラットバー6の固定位置に対応する溝部51内の所定位置に設置されている。第1押出形材8は、一端側から他端側に貫通する断面視略三角形状の中空部を有しており、その貫通方向が車両1の左右方向と一致するように配置されている。そのため、第1押出形材8の右側の空間と左側の空間が連通されることとなる。
また、第1押出形材8には、第1側壁81と第2側壁82とによって角部8aが形成され、第2側壁82と第3側壁83とによって角部8bが形成され、第3側壁83と第4側壁84とによって角部8cが形成され、第4側壁84と第5側壁85とによって角部8dが形成され、第5側壁85と第6側壁86とによって角部8eが形成され、第6側壁86と第7側壁87とによって角部8fが形成され、第7側壁87と第1側壁81とによって角部8gが形成されている。なお、第5側壁85と第6側壁86とによって形成される角部8eは、第1押出形材8の内側に向かって凹んだ入隅状になっている。
これにより、第1押出形材8は、略三角形閉断面を一単位とする略三角形閉断面群に形成されている。
具体的には、第1押出形材8は、第1側壁81と第1隔壁811と第2隔壁812とから成る第1略三角形閉断面821と、第2側壁82と第2隔壁812と第3隔壁813とから成る第2略三角形閉断面822と、第3側壁83と第3隔壁813と第4隔壁814とから成る第3略三角形閉断面823と、第4側壁84と第4隔壁814と第5側壁85とから成る第4略三角形閉断面824と、第6側壁86と第7側壁87と第1隔壁811とから成る第5略三角形閉断面825と、が集合して形成されている。
三角形閉断面は変形し難いので、これらが集合して形成された第1押出形材8も当然変形し難い。そのため、ダッシュボードアッパ5の溝部51を十分に補強することができる。
第1〜第5略三角形閉断面群821〜825は、隣り合う略正三角形平断面と隔壁を共有している。また、第1〜第5略三角形閉断面群821〜825は、角部8eを頂点の一つとして共有している。
なお、第7側壁87の表面には、例えばワイパー取付用の座金Zが取り付けられている。また、第7側壁87及び座金Zの略中央には、例えば連結ピンを軸支するための貫通孔hが形成されている。
図4に示すように、第2押出形材9は、アルミニウム素材を押出成形してなる中空の補強部材であり、断面視で変則的な七角形状に形成されている。第2押出形材9は、右側のストラットバー6の固定位置に対応する溝部51内の所定位置に設置されている。第2押出形材9は、一端側から他端側に貫通する断面視略三角形状の中空部を有しており、その貫通方向が車両1の左右方向と一致するように配置されている。そのため、第2押出形材9の右側の空間と左側の空間が連通されることとなる。
また、第2押出形材9には、第1側壁91と第2側壁92とによって角部9aが形成され、第2側壁92と第3側壁93とによって角部9bが形成され、第3側壁93と第4側壁94とによって角部9cが形成され、第4側壁94と第5側壁95とによって角部9dが形成され、第5側壁95と第6側壁96とによって角部9eが形成され、第6側壁96と第7側壁97とによって角部9fが形成され、第7側壁97と第1側壁91とによって角部9gが形成されている。なお、第6側壁96と第7側壁97とによって形成される角部9fは、第2押出形材9の内側に向かって凹んだ入隅状になっている。
これにより、第2押出形材9は、略三角形閉断面を一単位とする略三角形閉断面群に形成されている。
具体的には、第2押出形材9は、第1側壁91と第1隔壁911と第7側壁97とから成る第1略三角形閉断面921と、第2側壁92と第1隔壁911と第2隔壁912とから成る第2略三角形閉断面922と、第3側壁93と第2隔壁912と第3隔壁913とから成る第3略三角形閉断面923と、第3隔壁913と第4隔壁914と第6側壁96とから成る第4略三角形閉断面924と、第4側壁94と第5側壁95と第4隔壁914とから成る第5略三角形閉断面925と、が集合して形成されている。
三角形閉断面は変形し難いので、これらが集合して形成された第2押出形材9も当然変形し難い。そのため、ダッシュボードアッパ5の溝部51を十分に補強することができる。
第1〜第5略三角形閉断面群921〜925は、隣り合う略正三角形平断面と隔壁を共有している。また、第1〜第4略三角形閉断面群921〜924は、角部9fを頂点の一つとして共有している。
また、第2側壁92は、第1隔壁911及び第3隔壁913と略平行に形成されており、単独で筋交いの役割を果たしている。
なお、第6側壁96の表面には、例えばワイパー取付用の座金Zが取り付けられている。また、第6側壁96及び座金Zの略中央には、例えば連結ピンを軸支するための貫通孔hが形成されている。
図5は、本実施形態に係るダッシュボード構造における力の流れを説明するための斜視図である。
その結果、第1押出形材8及び第2押出形材9に入力された荷重F1は、底壁52に固定された第3側壁83,93と、後壁54に固定された第4側壁84,94を介して、ダッシュボードアッパ5の底壁52及び後壁54に確実に分散・伝達されることとなる(適宜図3、図4参照)。
また、ダッシュボードアッパ5の底壁52に伝達された荷重F1は、ダッシュボードアッパ5の下方に設置されたダッシュボードロア7に向かう荷重F3に分散して伝達されることとなる。
このとき、第1押出形材8及び第2押出形材9は、車両1の左右方向に貫通しているので、溝部51の吸気路及び排水路としての機能が損なわれることがない。
つまり、ダッシュボードアッパ5の剛性の強化、及び、ダッシュボードアッパ5へ伝達される荷重F1の確実な分散によって、ストラットSからのタイヤ入力を、ストラットバー6,6でしっかりと受け止めることが可能となる。
特に、本実施形態では、第1押出形材8の第4隔壁814は、第3側壁83の後端及び第4側壁の下端(すなわち角部8c)から斜め上前方に向かって延出しているが、第3側壁83の後端と第4側壁の下端とが離隔している場合(例えば、底壁52に固定された側壁と、後壁54に固定された側壁との間に他の側壁が介在している場合など)には、後壁54に固定される側壁の下端及び底壁52に固定される側壁の後端のいずれか一方から延出するように構成してもよい。
2 アッパメンバー
3 ストラットタワー
4 フロントピラー
5 ダッシュボードアッパ
51 溝部
52 底壁
53 前壁
54 後壁
6 ストラットバー
7 ダッシュボードロア
8 第1押出形材(補強部材)
9 第2押出形材(補強部材)
Claims (4)
- 車両の左右方向に亘って設置され、前壁と後壁と底壁とによって断面略コ字状に形成された溝部を有するダッシュボードアッパと、
前記底壁に固定されたダッシュボードロアと、
前記前壁の前面に後端が固定されたストラットバーと、を有するダッシュボード構造であって、
前記溝部内には、前記ストラットバーの固定位置に対応する位置に、補強部材が設置され、
前記補強部材は、前記前壁と前記後壁と前記底壁とにそれぞれ固定される少なくとも3つの側壁及び前記前壁と前記底壁との間に架設された他の側壁を有するとともに、略三角形閉断面を一単位とする略三角形閉断面群からなり、前記車両の左右方向に貫通しており、
前記略三角形閉断面群は、隣り合う略三角形閉断面同士を区画する隔壁を複数有すると共に、少なくとも一つの角部を頂点として共有し、
前記複数の隔壁の一部は、前記前壁から前記角部を経由して前記底壁と前記ダッシュボードロアとが重なる部分に向かって前記他の側壁と平行に断面視略直線状に延在して、前記他の側壁と共に筋交いとして機能することを特徴とするダッシュボード構造。 - 前記底壁に固定される前記側壁の前後方向の幅寸法は、前記底壁の前後方向の幅寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載ダッシュボード構造。
- 前記補強部材は、ワイパーを回動可能に固定するためのワイパー取付部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダッシュボード構造。
- 前記補強部材は、押出成形によって形成された押出形材からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のダッシュボード構造。
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