JP4947479B2 - 化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シート及び化粧鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリオレフィン系樹脂からなる不透明な基材シートとその上に順次積層された接着剤層、連続したもしくは不連続な絵柄印刷層、透明なポリエステル系樹脂層からなる化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シートを用いた化粧鋼板に関する。更に詳しくは加工工程で高温、高熱を受ける被覆化粧鋼板であって、ユニットバス内壁パネル用途等の水がかかったり、高温高湿な環境下で使用される被覆化粧鋼板用ポリオレフィン化粧シート並びにこのポリオレフィン系化粧シートを用いてなる耐久性(耐候性、耐水性、耐湿潤性)に優れたポリオレフィン系被覆化粧鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来ポリオレフィン系化粧シートのポリオレフィン樹脂層の劣化を防止するためにポリオレフィン層に酸化防止剤、HALS(hindered amine light stabilizer ヒンダードアミン系光安定剤)等の安定剤が添加されている。
【0003】
しかし鋼板にポリオレフィン系化粧シートをラミネートする際に高温がかけられることによりポリオレフィンの熱分解による酢酸の発生、並びに酸化防止剤及びHALSの失活が起こり、本来のポリオレフィン劣化防止効果が低下してしまう。
【0004】
それのみならず、ユニットバス内壁などの水が存在する環境下で化粧鋼板が使用される場合、化粧シートに浸透した水によってポリオレフィン中に存在する酢酸、過酸化物等が拡散せしめられることにより酸化防止剤、HALS等の失活が促進せしめられる。また鋼板の腐食防止のために使用されるZn、クロム酸等も化粧シートに浸透した水でイオン化し、イオン化したものが拡散せしめられることにより、酸化防止剤及びHALSの失活が促進せしめられる。その結果ポリオレフィンの耐久性が損なわれる。
【0005】
ポリオレフィンに紫外線吸収剤を添加してポリオレフィンシートの劣化を防止する方法がある。しかし、不透明なポリオレフィンシートの場合、多量の紫外線吸収剤を添加しないとポリオレフィンシート表面の紫外線劣化を防止できず、そのため本来のポリオレフィンシートの機械的特性が損なわれてしまう。
【0006】
またポリエステルフィルム中に紫外線吸収剤を添加する方法がある。しかし、鋼板に接着する際熱で化粧シート表面に紫外線吸収剤がブリーディングして白濁し、耐候性も低下する。
【0007】
また紫外線吸収剤が添加されていない接着剤を介してポリエステルフィルムと酸化チタンを添加した不透明ポリオレフィンを積層して複合化粧シートを製造することが行われている。しかしながら、ポリオレフィン樹脂中に添加された酸化チタンの光触媒作用により、ポリオレフィンの劣化が発生し、ポリオレフィンの分解によって発生した酢酸等の二次生成物によりポリオレフィンの分解が促進される。ポリオレフィン樹脂中に酸化チタンが添加されていない場合は十分な隠蔽性が得られず化粧鋼板としての意匠性が劣る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来ポリオレフィンの劣化防止策として従来ポリオレフィンに添加された酸化防止剤の作用及びHALSのラジカル補足作用が機能しなくなった場合においても、また酸化防止剤及びHALSを失活させる要因を含んだ被覆化粧鋼板用途、特に水が作用して酸化防止剤及びHALSの失活を急速に引き起こすユニットバス内壁用途において耐久性に優れた被覆ポリオレフィン系化粧シート並びにこの化粧シートを用いてなる化粧鋼板を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、化粧シートに関する課題を解決するもので、顔料が添加されたポリオレフィン系樹脂からなる不透明な基材シートとその上に順次積層された接着剤層、絵柄印刷層、透明なポリエステル系樹脂層からなる化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シートであって、前記接着剤層は紫外線吸収剤を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明において、ポリオレフィン系樹脂からなる不透明な基材シートが透明なポリオレフィン樹脂層と顔料が添加された不透明なポリオレフィン樹脂層の二層で構成し、前記透明なポリオレフィン樹脂層に紫外線吸収剤を含ませることができる。その場合に、透明な樹脂層は前記接着剤層側に位置せしめられる。このように紫外線吸収剤を添加した透明な透明なポリオレフィン樹脂層を光の当たる面側にもってくることにより、ポリオレフィン樹脂層の光劣化が防止される。
【0011】
本発明において、紫外線吸収剤はベンゾトリアノール系紫外線吸収剤であることが特に好ましい。
【0012】
本発明において、不透明な基材シートは、HALS及び酸化防止剤が含まれているのが望ましいが、HALS及び酸化防止剤が含まれていないものも実用可能である。
【0013】
請求項5に記載の発明は化粧鋼板に関する課題を解決するもので、請求項1乃至4の何れか一項に記載の化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シートを金属板にラミネートしてなる化粧鋼板を要旨とする。
【0014】
本発明によれば、酸化防止剤、HALS等の安定剤が完全に失活した場合においても、接着剤層に耐侯剤として紫外線吸収剤を添加することによりポリオレフィンの劣化、分解を抑制できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明について詳細に説明する。
図1は本発明の化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シートを示す。
本発明の化粧鋼板用ポリオレフィン系シートは、ポリオレフィン系樹脂からなる不透明な基材シート1と該基材シート1の上に順次積層された接着剤層2、連続したもしくは不連続な絵柄印刷層3、及び透明なポリエステル系樹脂層4からなり、接着剤層2には紫外線吸収剤が添加されている。
【0016】
透明なポリエステル系樹脂層4として熱可塑性ポリエステルからなり、片面にコロナ処理を施して臨界表面張力を大きくし、50dyn/cm程度としたものを適用することができる。ここで熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−テレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、非晶質ポリエステル等が使用できる。尚、ポリエステル系熱可塑性エラストマーはハードセグメントに高結晶性で且つ高融点の芳香族ポリエステル、ソフトセグメントにはガラス転移温度が−70℃以下の非晶性ポリエーテルを使用したブロックポリマーである。前記高結晶性で且つ高融点の芳香族ポリエステルには、例えばポリブチレンテレフタレートが使用され、非晶性ポリエーテルには、例えばポリテトラメチレングリコールが使用される。また非晶質ポリエステルとしては、エチレングリコール1,4シクロヘキサンジメタノール−テレフタル酸共重合体等が使用される。
【0017】
ポリエステル系樹脂層4の厚みは接着強度及び鮮映性のある意匠性の点から20μm 〜100μm が最適である。20μm 未満の場合はその下に設ける絵柄印刷層3の凹凸を消すことができず、鮮映性のある意匠が得られない。一方100 μm を越える場合はポリエステル系樹脂層の強度が強すぎ、強度の強いポリエステル系樹脂層4を含む化粧シートを用いてなる化粧鋼板の成型性が劣るほか、接着力よりポリエステル系樹脂層4の強度が強くなりすぎ、端面にきっかけができると剥離が生じてしまう。
【0018】
絵柄印刷層3はポリエステル系樹脂層4のコロナ処理面に形成してなるもので化粧シートに絵柄を付与するものである。絵柄印刷層3で表現する絵柄は、例えば、木目、石目、布目、砂目、タイル貼模様、煉瓦積模様、皮絞模様、幾何学模様、文字、記号、全面ベタ等が、用途に合わせて、1種又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0019】
尚、絵柄印刷層3の印刷に用いる印刷インキとしてはウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の一般にポリエステルに印刷するときに使用されるインキを使用することができる。
更に詳しくは絵柄印刷用の印刷に用いる印刷インキは、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤とこれに適宜加える各種添加剤からなるが、バインダーの樹脂には、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂等の単体又は混合物が用いられる。また、着色剤には公知の顔料や染料が用いられ、例えば、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、カドミウムレッド、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエロー等の無機顔料、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジルジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、ベリレンレッド、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔粉等の真珠光沢(パール)顔料が用いられる。
【0020】
上記バインダーとして用いるアクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等のアクリル樹脂、或いは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるアクリルポリオール等のアクリル樹脂を、単体又は2種以上混合して使用する。尚、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0021】
上記バインダーとして用いるウレタン樹脂としては、2液硬化型ウレタン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂等が用いられる。2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオールを主剤とし、多価イソシアネートを架橋剤とする。ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が、又、多価イソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、1.6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネートが用いられる。
【0022】
また、絵柄印刷層の印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルク印刷等の公知の印刷方式を採用することができる。
【0023】
不透明な基材シート1を構成するポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等を適用し得るが就中ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。ポリオレフィン系樹脂には、顔料が添加され、また必要に応じて酸化防止剤及びHALSが添加される。またポリオレフィン樹脂層の表裏両面にはコロナ放電が施され、臨界表面張力が50dyn/cm程度にされる。
【0024】
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーはハードセグメントに高結晶性で且つ高融点の芳香族ポリエステル、ソフトセグメントにはガラス転移温度が−70℃以下の非晶性ポリエーテルを使用したブロックポリマーである。ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーフィルムとしては、アイソタクチックポリプロピレンからなるハードセグメントとアタクチックポリプロピレンからなるソフトセグメントを80:20重量比で混合した組成のものが望ましい。ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーフィルムの厚みは防水性、隠蔽性を考慮したコストの面から100〜150μm が最適である。
【0025】
ポリオレフィン樹脂は酸化防止剤を含んでもよく、ポリオレフィン樹脂に添加する酸化防止剤としては0.1〜1.0%のBHT、低揮発性のフェノール系酸化防止剤、過酸化物分解剤であるジラウリル・チオジプロピオネート(DLTP)、ジステアリル・チオジプロピオネート(DSTP)等を適用することができる。
【0026】
HALSとしては、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等を用いることができる。ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤としては、例えば、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペロジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペロジニル)セバケート、[コハク酸ジメチル−16(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン]縮合物、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノール]}等が挙げられる。
上記HALSの添加量としては5千〜15千PPMが適量である。
【0027】
オレフィン樹脂層に添加する顔料としては酸化チタン、弁柄等の公知の顔料を適用し得る。
【0028】
絵柄印刷を施した透明なポリエステル系樹脂層4の絵柄印刷面には接着剤層2がコートされ、この接着剤層2を介して透明ポリエステル系樹脂層4は不透明な基材シート1とドライラミネートされて、被覆鋼板用化粧シートが形成される。
【0029】
前記接着剤層2としてはイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂を適用し得るが、ゴム系樹脂やポリエステル樹脂等も適用することができる。特に2液硬化型ポリエステル系接着剤は透明なポリエステル系樹脂層4との接着強度が高く好ましい。前記ポリエステル系樹脂層4は紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤の添加量は0.5〜5%が適量である。紫外線吸収剤として例えば次の(1)〜(5)のような化合物が挙げられる。
(1)ベンゾフェノン系:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン−5−スルホン酸。
(2)ベンゾトリアゾール系:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]。
(3)アクリレート系:エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート。
(4)サリシレート系:フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート。
(5)オキザリニド系:2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシドビスアニリド、2−エトキシン−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシドビスアニリド。
【0030】
上記した紫外線吸収剤の中でベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(有効吸収長270〜380μm )が、ポリオレフィンの劣化紫外線領域370μm と325μm 以下の紫外線を有効に吸収でき、しかも安全性及び接着剤に添加した時の透明性の点から最も好ましい。
【0031】
また、接着剤層2が絵柄印刷層3の厚みを吸収できる塗工量プラス3〜8g/m2の塗工量で塗工形成されたものであることが好ましい。絵柄印刷層3の厚みを吸収できる塗工量プラス3g/m2よりも少ない塗布量のときは印刷絵柄の凹凸が吸収できず、印刷絵柄の鮮映性が得られない。また、十分な接着力が得られない。一方、絵柄印刷層3の厚みを吸収できる塗工量プラス8g/m2よりも多い塗工量のときは鋼板にラミネートしたときに表面が波打ちオレンジピールが発生し、鮮映性が劣る。
【0032】
図2は本発明の化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シートの第2の実施の形態を示す。この実施の形態においてはポリオレフィン系樹脂からなる不透明な基材シート1が透明なポリオレフィン系樹脂層1aと顔料が添加された不透明なポリオレフィン系樹脂層1bの二層からなり、前記透明なポリオレフィン系樹脂層1aは紫外線吸収剤を含み、この透明なポリオレフィン系樹脂層1aは接着剤層2側に位置せしめられている。その他の構成は図1に示す実施の形態と同様である。このように紫外線吸収剤を添加した透明なポリオレフィン系樹脂層1aを光の当たる面側にもってくることにより、ポリオレフィン系樹脂層1a,1bの光劣化が防止される。
【0033】
図3は図1に示す本発明の化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シート5を用いてなる化粧鋼板を示す。化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シート5が鋼板用接着剤6を介して金属板7にラミネートしてなる化粧鋼板を示す。
【0034】
図4は図2に示す本発明の化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シート8を用いてなる化粧鋼板を示す。化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シート8が鋼板用接着剤6を介して金属板7にラミネートしてなる化粧鋼板を示す。
【0035】
図3及び図4に示す実施の形態において、金属板7としてはラミネート金属板の母材として通常使用される各種メッキ鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム材等を適用することができる。尚金属板に施すメッキとしては、溶融亜鉛メッキ、電気亜鉛メッキ、Ni−Zn合金メッキ等の何れでもよい。
【0036】
金属板の下地処理として周知の燐酸塩系下地処理、クロメート系下地処理を適用することができる。下地処理層の付着量は燐酸亜鉛系下地処理の場合においては0.3〜1.0g/m2程度が望ましい。尚、クロメート処理液はシリカや燐酸を含んでいてもよい。
【0037】
鋼板用接着剤としてはアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ウレタン系等の樹脂をベースとし、これにメラミン、アミン、イソシアネート等の架橋剤を添加したものが好適である。
【0038】
(実施例1)
片面にコロナ処理を施したポリエチレンテレフタレート25μ(東レ(株)製S550)のコロナ処理面にグラビア印刷により大理石調の絵柄を印刷した。印刷インキとしては、ウレタン系樹脂をバインダーとした着色インキ(インクテック製ILPA)100部にイソシアネートを4部添加したものを使用した。
【0039】
前記ポリエチレンテレフタレートの印刷を施した面に、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を1%添加したポリエステル系ドライラミネート用接着剤(大日精化工業(株)製E295L:C75=10:1)を絵柄印刷層の厚み(凹凸)を吸収できる量に3g/m2をプラスし、総量5g/m2の塗工量で塗布した。この接着剤を塗布したポリエチレンテレフタレートを両面コロナ処理された、酸化チタン、酸化防止剤及びHALSを含む着色ポリプロピレンフィルム120μm (三菱化学MVK(株)製PE015)とドライラミネートし化粧シートを得た。
【0040】
得られた化粧シートの接着強度を強固に安定させるため、40℃で3日間養生した。
【0041】
亜鉛溶融メッキ鋼板に鋼板用ポリエステル系接着剤を塗布し、200℃に加熱した後、鏡面金属ロールで前記の養生を終えた化粧シートを鋼板にラミネートし、化粧鋼板を得た。この化粧鋼板を成型し、ユニットバスを製作した。
【0042】
得られた製品について促進試験(キセノン・ウェザーメーターにて50℃、湿度98%の条件下で150時間の光照射による)の試験の結果、ポリプロピレンの分子量低下及び着色ポリプロピレン中のHALSの失活は認められなかった。また300時間の光照射試験の結果、実使用条件3年でポリプロピレンの劣化による不具合が発生したドライラミネート接着剤に紫外線吸収剤を添加していない製品と比較してポリプロピレンの劣化速度は1/10以下に抑制された。
【0043】
(実施例2)
片面にコロナ処理を施したポリエチレンテレフタレート25μ(東レ(株)製S550)のコロナ処理面にグラビア印刷により大理石調の絵柄を印刷した。印刷インキとしては、ウレタン系樹脂をバインダーとした着色インキ(インクテック製ILPA)100部にイソシアネートを4部添加したものを使用した。
【0044】
前記ポリエチレンテレフタレートの印刷を施した面に、紫外線吸収材としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を1%添加したポリエステル系ドライラミネート用接着剤(大日精化工業(株)製E295L:C75=10:1)を絵柄印刷層の厚み(凹凸)を吸収できる量に3g/m2をプラスし、総量5g/m2をの塗工量で塗布した。この接着剤を塗布したポリエチレンテレフタレートを両面コロナ処理された、酸化チタンを含み、酸化防止剤及びHALSは含まない着色ポリプロピレンフィルム120μm (三菱化学MKV(株)製試作シート)とドライラミネートし化粧シートを得た。
【0045】
得られた化粧シートの接着強度を強固に安定させるため、40℃で3日間養生した。
【0046】
亜鉛溶融メッキ鋼板に鋼板用ポリエステル系接着剤を塗布し、200℃に加熱した後、鏡面金属ロールで前記の養生を終えた化粧シートを鋼板にラミネートし、化粧鋼板を得た。この化粧鋼板を成型し、ユニットバスを製作した。
【0047】
得られた製品について促進試験(キセノン・ウェザーメーターにて50℃、湿度98%の条件下で150時間の光照射による)の結果、ポリプロピレンの分子量低下は認められなかった。また300時間の光照射試験の結果、実使用条件3年でポリプロピレンの劣化による不具合が発生したドライラミネート接着剤層に紫外線吸収剤を添加していない製品と比較してポリプロピレンの劣化速度は1/10以下に抑制された。
【0048】
(比較例1)
実施例1と同様にして但しドライラミネート用接着剤は紫外線吸収剤を含まないものを使用した。この場合実使用条件での試験の結果2年でブリスターが発生し、またポリプロピレン分子量が二分の一に変化し、劣化が著しく進行することが確認された。またポリプロピレン中のHALSの失活も認められた。
【0049】
(比較例2)
実施例1と同様にして但しドライラミネート用接着剤は紫外線吸収剤に代えてHALSを添加したものを使用した。この場合ポリプロピレンの劣化により発生した酢酸により接着剤中のHALSも急激に失活して、ブリスターが発生した。ポリプロピレンの劣化、ブリスターの発生抑制の効果は殆ど認められなかった。
【0050】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シートは、顔料が添加されたポリオレフィン系樹脂からなる不透明な基材シートとその上に順次積層された接着剤層、絵柄印刷層、透明なポリエステル系樹脂層からなる化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シートであって、前記接着剤層は紫外線吸収剤を含む2液硬化型ポリエステル系接着剤であり、この化粧シートを用いてなる化粧鋼板は、ユニットバス等水が拡散浸透する用途において長年使用してもブリスターの発生は認められず、基材シートのポリオレフィンの分子量の低下も見られないという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の化粧鋼板用ポリオレフィン化粧シートの第1の実施の形態を示す略断面図である。
【図2】 本発明の化粧鋼板用ポリオレフィン化粧シートの第2の実施の形態を示す略断面図である。
【図3】 図1に示す化粧シートを用いてなる化粧鋼板の略断面図である。
【図4】 図2に示す化粧シートを用いてなる化粧鋼板の略断面図である。
【符号の説明】
1 基材シート
2 接着剤層
3 絵柄印刷層
4 ポリエステル系樹脂層
5 化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シート
6 鋼板用接着剤
7 金属板
8 化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シート
1a (透明な)ポリオレフィン系樹脂層
1b (不透明な)ポリオレフィン系樹脂層
Claims (5)
- 顔料が添加されたポリオレフィン系樹脂からなる不透明な基材シートとその上に順次積層された接着剤層、絵柄印刷層、透明なポリエステル系樹脂層からなる化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シートであって、前記接着剤層は紫外線吸収剤を含む2液硬化型ポリエステル系接着剤であることを特徴とする化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シート。
- ポリオレフィン系樹脂からなる不透明な基材シートが透明なポリオレフィン樹脂層と顔料が添加された不透明なポリオレフィン樹脂層の二層からなり、前記透明なポリオレフィン樹脂層は紫外線吸収剤を含み、この透明な樹脂層は前記接着剤層側に位置せしめられていることを特徴とする請求項1に記載の化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シート。
- 紫外線吸収剤はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シート。
- 不透明な基材シートはHALS及び酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のポリオレフィン系化粧シート。
- 請求項1乃至4の何れか一項に記載の化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シートを金属板にラミネートしてなる化粧鋼板。
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