JP4945155B2 - 磁歪式トルクセンサおよび電動パワーステアリング装置 - Google Patents

磁歪式トルクセンサおよび電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

本発明は磁歪式トルクセンサおよび電動パワーステアリング装置に関し、特に、磁気異方性を付加する工程での回転軸の加熱に起因するセンサ感度特性のバラツキを少なくするのに好適な構造を有する磁歪式トルクセンサ、およびこの磁歪式トルクセンサを搭載した電動パワーステアリング装置に関する。
例えば自動車の操舵系として装備される電動パワーステアリング装置では、一般的に、運転者の操舵操作によってステアリングホイールからステアリング軸に加えられる操舵トルクを操舵トルク検出部によって検出する。操舵トルク検出部は、通常、トーションバー式トルクセンサで構成され、最近では磁歪式トルクセンサも提案されている。上記のステアリング軸は、操舵操作による回転力を受けて回転する回転軸として機能し、操舵トルク検出部でその回転軸となっている。電動パワーステアリング装置は、当該操舵トルク検出部から検出されたトルク信号に応じて、操舵力補助用のモータを駆動制御し、運転者の操舵力を軽減して快適な操舵フィーリングを与える。
上記電動パワーステアリング装置に用いられる操舵トルク検出部として、上記のごとく磁歪式トルクセンサが知られている。この磁歪式トルクセンサは、ステアリング軸の表面の所定の2箇所に、互いに逆向きの磁気異方性を持つ磁歪膜を備えている。磁歪式トルクセンサは、ステアリング軸にステアリングホイールからトルクが作用したときに、ステアリング軸に生じる捩れに応じた磁歪膜の磁歪特性の変化を非接触で検出するセンサ構成を有している。
上記のごとき磁歪式トルクセンサを製造するプロセスでは、上記ステアリング軸の一部の所定表面、すなわち回転軸における所定の軸方向幅の円周表面に磁歪膜を形成し、この磁歪膜に磁気異方性を付加する工程が必要である。磁歪式トルクセンサの製造において磁歪膜に磁気異方性を付加する従来の方法は、例えば電解めっき処理により磁歪材めっき部(磁歪膜)を形成した回転軸に対して捩りトルクを作用させ、回転軸の円周表面に応力を付与し、この応力付与状態にて高周波加熱によって当該回転軸を加熱処理するという方法であった(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−340744号公報
磁歪式トルクセンサを構成する磁歪膜が形成されたステアリング軸すなわち回転軸は、電動パワーステアリング装置に組み付ける際、軸受けを通してハウジングに組み付けられる。そのとき、回転軸に形成された磁歪膜が軸受けに接触して損傷してしまうことを避ける必要がある。そのため、回転軸の軸方向の所定の幅の領域の直径を、その領域の両端部の近傍の直径よりも小さくし、その軸方向の所定の幅の領域内に、2つの磁歪膜を形成することが考えられている。
しかしながら、回転軸の軸方向の所定幅の領域の直径を、その領域の両端部の近傍の直径よりも小さくし、その所定幅の領域内に2つの磁歪膜を形成するというものでは、1つの磁歪膜の両端部の近傍の回転軸の直径が同じ大きさではなくなる。そのため、一巻コイル部からなる誘導加熱コイルを用いて高周波加熱を行って1つの磁歪膜を加熱処理する際、1つの磁歪膜の一端部の近傍の回転軸の外周と誘導加熱コイルとの距離と、当該磁歪膜の他端部の近傍の回転軸の外周と誘導加熱コイルとの距離とが異なる。このため、その1つの磁歪膜の一端部の近傍の回転軸の加熱状態と他端部の近傍の回転軸の加熱状態が異なってしまう。それにより、磁歪膜内の温度分布が不均一となり、均質な磁気異方性を有する磁歪膜を作製することが困難であり、検出感度にバラツキが生じてしまうという問題点がある。
上記の内容を図12〜図14を参照して説明する。図12は、上述の回転軸に堆積した磁歪膜を、一巻コイル部からなる誘導加熱コイルで加熱する時の配置関係を示す要部縦断面図である。回転軸100は、その軸方向の所定の幅の領域101の直径d100を、その領域101の両端部の近傍部分102,103の直径d101よりも小さくして形成している。回転軸100において、その上下両端部で、領域101との間に段差部が形成される。2つの磁歪膜104,105は、軸方向の所定の幅の領域101上に形成されている。符号106は、一巻コイル部からなる誘導加熱コイルを示す。図12で示されるように、例えば1つの磁歪膜104の端部104Aの近傍部分102の回転軸の直径d101と、端部104Bに対する近傍部分101Aの回転軸の直径d100とは、同じ大きさではない。そのため、近傍部分102と誘導加熱コイル106の間の距離D200と、近傍部分101Aと誘導加熱コイルとの間の距離D201とが異なる。そのため、一巻コイル部からなる誘導加熱コイル106を用いて高周波加熱を行って磁歪膜104を加熱処理する際に、磁歪膜104の一端部104Aの近傍部分102の回転軸の加熱状態と、他端部104Bの近傍部分101Aの回転軸の加熱状態とが異なってしまう。以上のことは、他の磁歪膜105を誘導加熱コイルで加熱して磁気異方性を付加するときにも同様にして起きる。
図13は磁歪膜104の加熱時の温度分布のグラフを示す。図13のグラフにおいて、その横軸は図12での磁歪膜104の上側の端部104Aからの距離(mm)を示し、縦軸は、磁歪膜104の各位置について、温度中心部104Cの温度との差を、当該温度中心部104Cの温度に対する百分率(差分:%)で示している。特性グラフC100は温度分布の特性を示している。図13で明らかなように、磁歪膜104内の温度分布は不均一となっていることが分かる。
また図14は、上記の磁歪膜104,105を備えて作製された磁歪式トルクセンサについて、加熱温度に対する当該トルクセンサの感度特性のグラフを示す。図14のグラフで、横軸は加熱温度を示し、縦軸は感度特性を示す。特性グラフC101が加熱温度と感度特性の関係を示す。図14から明らかなように、感度特性は加熱温度に依存して変化することが分かる。それ故、図13で示したように磁歪膜の加熱温度が不均一になると、感度にバラツキが生じてしまうことが分かる。
本発明の目的は、上記の課題を鑑み、磁気異方性付加工程で磁歪膜(磁歪材めっき部)を加熱処理する際に磁歪膜内の温度分布をほぼ均一にでき、均一な磁気異方性を有する磁歪膜を設けることができ、検出感度にバラツキの少ない磁歪式トルクセンサ、およびこの磁歪式トルクセンサを搭載した電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明に係る磁歪式トルクセンサと電動パワーステアリング装置は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
第1の磁歪式トルクセンサ(請求項1に対応)は、少なくとも1つの磁歪膜が形成された回転軸を有する磁歪式トルクセンサであって、回転軸は小径部とこの小径部の両端部側に位置する大径部とを有し、小径部の軸方向の長さは、回転軸に既に形成された少なくとも1つの磁歪膜に磁気異方性を付与する高周波加熱工程で用いられる誘導加熱コイルの内周面に凹部を形成する部分の幅と同程度に決定され、小径部に上記1つの磁歪膜が形成されることで特徴づけられる。
上記の磁歪式トルクセンサによれば、一巻コイル部からなる誘導加熱コイルを用いて高周波加熱を行い、1つの磁歪膜を加熱処理する際に、磁歪膜の両端部側に位置する大径部のそれぞれと誘導加熱コイルとの距離が等しくなるように設定されるので、磁歪膜の両端部側の近傍に位置する回転軸の大径部の加熱状態が等しくなる。これにより、磁歪膜内の温度分布が均一になり、均一な磁気異方性を有する磁歪膜を作ることが可能になり、検出感度にバラツキの少ない磁歪式トルクセンサを得ることが可能になる。
の磁歪式トルクセンサ(請求項に対応)は、上記の構成において、更に、小径部の両端部側に位置する2つの大径部の径は等しいことで特徴づけられる。
の磁歪式トルクセンサ(請求項に対応)は、上記の構成において、更に、2つの大径部のそれぞれと誘導加熱コイルの対応部分との距離が等しいことで特徴づけられる。
電動パワーステアリング装置(請求項に対応)は、ステアリング系に補助トルクを付加するモータと、ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、少なくとも操舵トルクセンサからの操舵トルク信号に基づいてモータを駆動制御する制御手段と、を備えた電動パワーステアリング装置において、操舵トルクセンサを、上記の第1構成を有する磁歪式トルクセンサとしたことで特徴づけられる。
本発明によれば次の効果を奏する。
本発明による磁歪式トルクセンサによれば、回転軸は小径部とその両端部側に位置する大径部を有し、さらに小径部は所定の軸方向長さを有し、かつ当該小径部に1つの磁歪膜を設けるようにしたため、一巻コイル部からなる誘導加熱コイルを用いて高周波加熱を行って1つの磁歪膜を加熱処理する際に、磁歪膜の両端部側に位置する大径部のそれぞれと誘導加熱コイルとの距離が等しくなるように設定され、磁歪膜の両端部側の近傍に位置する回転軸の大径部の加熱状態が等しくなる。これにより、磁歪膜内の温度分布が均一になり、均一な磁気異方性を有する磁歪膜を作ることができ、検出感度にバラツキの少ない磁歪式トルクセンサを得ることができる。
本発明による電動パワーステアリング装置によれば、上記のごとき磁歪式トルクセンサを操舵トルクセンサとして用いることによって、安定に動作することができる。
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
最初に図1〜図4を参照して磁歪式トルクセンサについて説明する。図1〜図4は本発明に係る磁歪式トルクセンサの一構造例を示している。図1は磁歪式トルクセンサの基本的構造を示す一部断面側面図を示し、図2は磁歪式トルクセンサの基本的構成を概念的に示す側面図を示し、図3は磁歪式トルクセンサを構成する回転軸のみの一部の側面図を示し、図4は上記磁歪式トルクセンサを操舵トルク検出部として電動パワーステアリング装置のステアリング軸に組み込んだ具体的構造の縦断面図を示している。
図1と図2に示すように磁歪式トルクセンサ10は、回転軸11と、この回転軸11の周囲に配置される1つの励磁コイル12と2つの検出コイル13A,13Bとから構成されている。回転軸11は、図1〜図3では、説明の便宜上、上部および下部を切断し省略して示している。
回転軸11は、図4に示した利用例を参照すると、例えばステアリング軸21の一部として構成される。
図1において、回転軸11は、その軸心11aの周りに矢印Aのごとく右回転(時計回り)または左回転(反時計回り)の回転力(トルク)を受ける。回転軸11は例えばクロムモリブデン鋼材(SCM材)等の金属棒で形成されている。
ここで図3を参照して、回転軸11それ自体の形状を説明する。回転軸11は、大きな径を有する箇所である3つの大径部11b,11c,11dと、小さな径を有する箇所である2つの小径部11e,11fとを備えるように加工されている。大径部11b,11c,11dの直径はすべて等しく、これをdとする。小径部11e,11fの直径も等しく、これをdとする。小径部11eは大径部11bと大径部11cの間に形成され、小径部11fは大径部11bと大径部11dとの間に形成されている。従って小径部11eの両端部側にはそれぞれ大径部11bと大径部11cが形成され、小径部11fの両端部側にはそれぞれ大径部11bと大径部11dが形成されている。3つの大径部11b,11c,11dの各々と2つの小径部11e,11fの各々との間には段差部が形成される。上記において直径dと直径dとの差異は例えば0.3mm程度である。従って大径部11b,11c,11dと小径部11e,11fと段差は例えば0.15mm程度である。上記の2箇所の小径部11e,11fのそれぞれの周囲面に成膜技術により磁歪膜が形成されることになる。
なお磁歪膜を形成する小径部11e,11fの軸方向の長さ(幅)は、後述する一巻コイル部を有する誘導加熱コイル(RC)における当該一巻コイル部の軸方向の長さ(幅)に関連させて、ほぼ同程度に決定されている。
再び図1に戻る。回転軸11には、軸方向にて上下2箇所の小径部11e,11fのそれぞれには1つの磁歪膜14A,14Bが設けられている。磁歪膜14A,14Bの各々は、回転軸11の小径部11e,11fにおいて、回転軸11の軸方向にて一定の幅を有しかつ回転軸11の円周方向の全周に渡って形成されている。各磁歪膜14A,14Bの軸方向の幅寸法等は条件に応じて任意に設定される。磁歪膜14A,14Bは、実際には、電解めっき加工処理等により回転軸11の表面に磁歪材めっき部として形成される。この磁歪材めっき部に磁気異方性加工を施すことにより、磁気異方性を有する磁歪膜14A,14Bが形成される。
以下の説明では、説明の便宜上、「磁歪膜14A,14B」と「磁歪材めっき部(14A,14B)」は同一物を指すが、製造の段階・状況に応じて使い分けている。原則的に、磁気異方性を付加されて完成した段階を「磁歪膜14A,14B」といい、その前の段階では「磁歪材めっき部(14A,14B)」という。
図1に示すごとく、上記の励磁コイル12と検出コイル13A,13Bは、回転軸11の表面に形成された2つの磁歪膜14A,14Bのそれぞれに対応して設けられる。すなわち、図1に示されるように、磁歪膜14Aの周囲には隙間を介在させて検出コイル13Aが配置される。リング状の検出コイル13Aは、磁歪膜14Aの全周囲を囲み、かつ検出コイル13Aの軸方向の幅寸法は磁歪膜14Aの軸方向の幅寸法と略等しい。また磁歪膜14Bの周囲には隙間を介在させて検出コイル13Bが配置される。同様に、リング状の検出コイル13Bは、磁歪膜14Bの全周囲を囲み、かつ検出コイル13Bの軸方向の幅寸法は磁歪膜14Bの軸方向の幅寸法と略等しい。さらに、2つの検出コイル13A,13Bのそれぞれの周囲にはリング状の励磁コイル12が配置される。図1では、磁歪膜14A,14Bのそれぞれに対応して個別に励磁コイル12が設けられるように図示されているが、実際には1つの励磁コイル12の2つの部分を分けて示したものである。検出コイル13A,13Bと励磁コイル12は、回転軸11の周囲に回転軸11を囲むように設けられたリング状の支持枠体部15A,15Bを利用して磁歪膜14A,14Bの周囲スペースに巻設されている。
図2では、回転軸11の磁歪膜14A,14Bに対して配置される励磁コイル12と検出コイル13A,13Bを電気的関係として概念的に示している。磁歪膜14A,14Bに対して共通に配置される励磁コイル12には、励磁用交流電流を常時に供給する交流電源16が接続されている。また、磁歪膜14A,14Bのそれぞれに対応して配置される検出コイル13A,13Bの各出力端子からは、検出対象であるトルクに対応する誘導電圧V,Vが出力される。
回転軸11の2箇所の小径部11e,11fの表面に形成された磁歪膜14A,14Bは、例えばNi−Feめっきによる電解めっき加工処理で作られた磁気異方性を有する磁歪膜である。2つの磁歪膜14A,14Bの各々は、互いに逆方向の磁気異方性を有するように作られている。回転軸11に対して回転力によるトルクが作用したとき、磁歪膜14A,14Bの各々に生じる逆の磁歪特性を、磁歪膜14A,14Bの周囲に配設した検出コイル13A,13Bを利用して検出する。
上記磁歪式トルクセンサ10は、例えば図4に示すごとく電動パワーステアリング装置のステアリング軸に操舵トルク検出部として組み込まれる。また、磁歪式トルクセンサを構成する磁歪膜が形成されたステアリング軸(回転軸)は、電動パワーステアリング装置に組み付ける際、軸受けを通してハウジングに組み付けられる。
上述のように、回転軸11の2箇所の小径部11e,11fの直径dを3箇所の大径部11b,11c,11dの直径dよりも小さくし、2箇所の小径部11e,11fの周囲面にそれぞれ磁歪膜14A,14Bを形成しているため、回転軸11に形成された磁歪膜14A,14Bが軸受けに接触して損傷してしまうことを避けることができる。図4において、図1〜図3で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付している。図4では、操舵トルク検出部20、ステアリング軸21(回転軸11に対応)の支持構造、ラック・ピニオン機構34、動力伝達機構35、操舵力補助用モータ42の構成が示されている。
図4において、ステアリング軸21の上部は車両のステアリングホイール(図示せず)に結合される。ステアリング軸21の下部は、ラック・ピニオン機構34を介して、ラック軸を備えた車軸に操舵力を伝達するように構成される。ステアリング軸21の上部に付設された操舵トルク検出部20は、上記の磁歪式トルクセンサ10を利用して構成されている。操舵トルク検出部20は磁歪式トルクセンサ10に対応し、また磁歪膜14A,14Bが形成されたステアリング軸21の部分が上記回転軸11に対応している。
ギヤボックス31を形成するハウジング31a内で、ステアリング軸21は、2つの軸受け部32,33によって回転自在になるよう支持されている。ハウジング31aの内部にはラック・ピニオン機構34と動力伝達機構35が収納される。
ステアリング軸21に対して操舵トルク検出部20(磁歪式トルクセンサ10)が付設されている。ステアリング軸21には前述した磁歪膜14A,14Bが形成され、これらの磁歪膜14A,14Bに対応して励磁コイル12と検出コイル13A,13Bが支持枠体部15A,15Bおよびヨーク部36A,36Bに支持され、設けられている。
ハウジング31aの上部開口はリッド37で塞がれている。ステアリング軸21の下端部に設けられたピニオン38は軸受け部32,33の間に位置している。ラック軸39は、ラックガイド40で案内され、かつ圧縮されたスプリング41で付勢され、ピニオン38側へ押し付けられている。動力伝達機構35は、操舵力補助用モータ42の出力軸に結合された伝動軸43に固定されるウォームギヤ44と、ステアリング軸21に固定されたウォームホイール45とによって形成される。上記操舵トルク検出部20はリッド37の円筒部37aの内部に取り付けられている。
操舵トルク検出部20は、ステアリング軸21に作用する操舵トルクを検出する。その検出値は、制御装置(図示しない)に入力され、モータ42に適切な補助操舵トルクを発生させるための基準信号として使用される。操舵トルク検出部20は、ステアリング軸21に対してステアリングホイールからの操舵トルクが作用したとき、ステアリング軸21に生じる捩れに応じた磁歪膜14A,14Bの磁気特性の変化を、検出コイル13A,13Bの各出力端子から誘導電圧V,Vの変化として電気的に検出する。
ステアリング軸21に操舵トルクが作用したときステアリング軸21に捩れが生じ、その結果、磁歪膜14A,14Bに磁歪効果が生じる。操舵トルク検出部20では、交流電源16から励磁コイル12に励磁用電流が常に供給されているので、磁歪膜14A,14Bでの磁歪効果に起因する磁界変化を検出コイル13A,13Bによって誘導電圧V,Vの変化として検出する。操舵トルク検出部20によれば、誘導電圧V,Vの変化に基づき、2つの誘導電圧V,Vの差を検出電圧値として出力する。従って操舵トルク検出部20の出力電圧値(V−V)に基づいてステアリング軸21に加えられた操舵トルクの方向と大きさを検出することができる。
図4についてさらに詳述する。図5は、前述のごとく、2つの磁歪膜14A,14Bのそれぞれの磁歪特性曲線51A,51Bを示す図である。図5において、横軸は、ステアリング軸21に加えられた操舵トルクを意味し、正側(+)が右回転に対応し、負側(−)が左回転に対応している。また図5の縦軸は電圧軸を意味する。
磁歪膜14A,14Bについての上記磁歪特性曲線51A,51Bは同時に検出コイル13A,13Bの検出出力特性を表している。すなわち、磁歪特性曲線51A,51Bを有する磁歪膜14A,14Bに対して共通の励磁コイル12により励磁用交流電流を供給し、この励磁用交流電流に感応して検出コイル13A,13Bは誘導電圧を出力していることから、検出コイル13A,13Bの誘導電圧の変化特性は、磁歪膜14A,14Bの磁歪特性曲線51A,51Bに対応している。換言すれば、磁歪特性曲線51Aは検出コイル13Aから出力される誘導電圧Vの変化特性を示し、他方、磁歪特性曲線51Bは検出コイル13Bから出力される誘導電圧Vの変化特性を示している。
磁歪特性曲線51Aによれば、検出コイル13Aから出力される誘導電圧Vの値は、操舵トルクの値が負領域から正領域に変化しさらに操舵トルクの正の値T1に到るにつれて略線形特性にて増加し、操舵トルクが正の値T1となったときにピーク値となり、操舵トルクがT1よりさらに増加すると徐々に減少するという特性を有する。他方、磁歪特性曲線51Bによれば、検出コイル13Bから出力される誘導電圧Vの値は、操舵トルクの値が負の値−T1に到るまでは徐々に増加し、操舵トルクが負の値−T1のときにピーク値をとり、操舵トルクがさらに−T1よりも増加して負領域から正領域に変化すると略線形特性にて減少するという特性を有する。
図5に示すように、検出コイル13Aに関連する磁歪特性曲線51Aと検出コイル13Bに関連する磁歪特性曲線51Bは、磁歪膜14A,14Bのそれぞれで互いに逆方向となる磁気異方性を有することが反映して、両磁歪特性曲線が交わる点を含む縦軸に関して略線対称との関係になっている。
図5において示された線52は、磁歪特性曲線51A,51Bの共通領域であって略線形特性を有する領域において、検出コイル13Aの出力電圧として得られる磁歪特性曲線51Aの各値から、検出コイル13Bの出力電圧として得られる磁歪特性曲線51Bの対応する各値を差し引いた値に基づいて作成されるグラフを示す。操舵トルクがゼロのときに、各検出コイル13A,13Bから出力される誘導電圧は等しいので、その差の値はゼロとなる。操舵トルク検出部20では、上記の磁歪特性曲線51A,51Bにおける操舵トルクの中立点(ゼロ点)付近の略一定勾配とみなされる領域を使用することで、上記線52を略直線特性を有するものとして形成している。なお線52の特性グラフに関しては、図4の縦軸は差電圧の値を示す軸を意味している。特性グラフである直線52は、原点(0,0)を通る直線であって、縦軸および横軸の正側・負側に存在する。操舵トルク検出部20の検出出力値は前述のごとく検出コイル13A,13Bから出力される誘導電圧の差(V−V)として得られることから、上記直線52を利用することに基づいて、ステアリング軸21に加えられた操舵トルクの方向と大きさを検出することができる。
上記のごとく、操舵トルク検出部20の出力値に基づき、ステアリング軸21(回転軸11)に入力された操舵トルクに関してその回転方向と大きさに対応した検出信号を取り出すことが可能となる。すなわち、操舵トルク検出部20から出力される検出値によって、ステアリング軸21に作用した操舵トルクの回転方向と大きさを知ることができる。
換言すれば、操舵トルク検出部20の検出値は、操舵トルクに応じて直線52上のいずれかの点として出力される。当該検出値が、横軸で正側に位置するときには操舵トルクは右回転と判断され、横軸で負側に位置するときには操舵トルクは左回転と判断される。また上記検出値の縦軸上での絶対値が操舵トルクの大きさとなる。このようにして、操舵トルク検出部20によって、直線52の特性を利用することにより、検出コイル13A,13Bの出力電圧値を基礎に操舵トルクを検出することが可能となる。また、上述の磁歪式トルクセンサを用いることによって、安定な電動パワーステアリング装置を作製することができる。
次に、図6〜図11を参照して、前述した磁歪式トルクセンサ10の製造方法を説明する。図6に示した磁歪式トルクセンサ10の製造方法の主要部は、磁歪式トルクセンサ10の回転軸11の製造工程である。
図6において、回転軸11の製造プロセスは、大きく分けると、磁歪膜形成工程P1と磁気異方性付加工程P2と特性安定化工程P3と検査工程P4から構成されている。特性安定化工程P3はアニール工程P31から成る。また検査工程P4は、製造された回転軸の品質を検査する工程である。なお磁歪式トルクセンサ10として完成するためには、検査工程P4の後に、回転軸11に対して励磁コイル12や検出コイル13A,13B等の検出器を付設する検出器付設工程が設けられている。
最初に、磁歪膜形成工程P1が実行される。この磁歪膜形成工程P1では、電解めっき処理により回転軸11の小径部11e,11fの周囲面に磁歪材めっき部が磁歪膜の基礎となる部分として形成される。
磁歪膜形成工程P1では、まず、前述した大径部11b〜11dと小径部11e,11fの形状を有するように形成された回転軸11を洗浄する等の前処理が行われる(ステップS11)。その後に電解めっきが行われる(ステップS12)。この電解めっき工程では、回転軸11の上下箇所の小径部11e,11fで磁歪材が所定の膜厚になるように施される。上下の磁歪材めっき部は、後述する後処理によって磁気異方性を有する磁歪膜14A,14Bになる部分である。その後、乾燥が行われる(ステップS13)。
上記の磁歪膜形成工程P1では、回転軸11の所定箇所の表面に前述した磁歪膜14A,14Bを形成するために電解めっき処理法を用いた。しかしながら、回転軸11における磁歪膜14A,14Bを形成する基礎部分は、電解めっき法以外の方法、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、プラズマ溶射法などの方法によって形成することもできる。
次に、磁気異方性付加工程P2が実行される。この磁気異方性付加工程P2は、回転軸11に形成された上下2箇所の小径部11e,11fの磁歪材めっき部に対して磁気異方性を付加し前述の磁歪膜14A,14Bを形成する工程である。磁気異方性付加工程P2は、上側の磁歪材めっき部に対して高周波加熱を行うステップS21と、下側の磁歪材めっき部に対して高周波加熱を行うステップS22とを有している。
図7は、磁気異方性付加工程P2の各ステップS21,S22で実施される処理工程のフローチャートを示す。
磁気異方性付加工程P2の上側磁歪材めっき部を高周波加熱するステップS21は、図7に示すごとく、最初に実行される、トルク印加装置により回転軸11に所定の捩りトルクを印加するステップS201、次に所定の捩りトルクを印加した状態の回転軸11の上側磁歪材めっき部に対して所定時間だけ高周波を供給し電磁誘導により加熱処理を行う熱処理ステップS202、次に加熱した回転軸11を自然に冷却するステップS203、最後に捩りトルクを解放することによって上側磁歪材めっき部に磁気異方性を付加して上記磁歪膜14Aを形成するトルク解放ステップS204から構成されている。
上記の熱処理ステップS202では、回転軸11の上側磁歪材めっき部に一巻きコイル部からなる誘導加熱コイルを配置し、この誘導加熱コイルに高周波電源から所定の高周波を供給して上側磁歪材めっき部のみを高周波加熱する。
このときの、回転軸11と誘導加熱コイルとの位置関係を図8の断面図で示す。図8で符号RCは一巻コイル部を有する誘導加熱コイルを示す。回転軸11は、2箇所の小径部11e,11fと、小径部11e,11fの各々の軸方向両側に位置する大径部11b,11c,11dとを有する。2箇所の小径部11e,11fの表面のそれぞれに磁歪材めっき部、すなわち磁歪膜14A,14Bが形成されている。ここでは、磁歪材めっき部を磁歪膜14A,14Bとして説明する。
誘導加熱コイルRCによって磁歪膜14Aを加熱する時、磁歪膜14Aの上側の大径部11bと誘導加熱コイルRCの対応部分との距離と、その下側の大径部11cと誘導加熱コイルRCの対応部分との距離は、共にD10で等しくなるように設定されている。それ故に、誘導加熱コイルRCの高周波加熱により磁歪膜14Aを加熱処理する際、磁歪膜14Aの上側端部の近傍の大径部11bの部分の加熱状態と、下側端部の近傍の大径部11cの部分の加熱状態が等しくなる。それにより、磁歪膜14Aでの軸方向における温度分布が均一になり、均一な磁気異方性を有する磁歪膜14Aを作ることができ、検出感度にバラツキの極めて小さい磁歪式トルクセンサを得ることができる。
また磁歪膜14A,14Bが形成される小径部11e,11fの軸方向の長さ(幅)は、誘導加熱コイルRCの内周面に凹部を形成する部分RC1の幅と同程度である。このため、誘導加熱コイルRCを用いて高周波加熱を行って1つの磁歪膜を加熱処理する際、磁歪膜をほぼ均一の温度分布で加熱することができ、均一な磁気異方性を有する磁歪膜を作ることができ、検出感度にバラツキの少ない磁歪式トルクセンサを得ることができる。
上記のステップS201〜S204により、回転軸11の上側磁歪材めっき部は磁気異方性が付加され、これにより磁気異方性を有する磁歪膜14Aが形成される。
回転軸11の下側磁歪材めっき部に対する高周波加熱ステップS22においても同様に上記のステップS201〜S204が実行され、下側磁歪材めっき部に対して上記と同様な磁気異方性が付加され、これにより磁気異方性を有する磁歪膜14Bが形成される。この場合には、下側磁歪材めっき部に磁気異方性を付加するときに、磁歪膜14Bの磁気異方性とは逆向きになるように、回転軸11に与えるトルクの印加方向を逆向きにする。
さらに図9と図10を参照して、磁記異方性付加工程P2で磁歪材めっき部に磁気異方性を付加し磁歪膜14Aを形成するメカニズムについて原理的な観点で詳述する。
図9では、縦方向に示された回転軸11の径方向の温度分布(1)と歪み分布(2)について、横方向に(a)トルク印加状態、(b)誘導加熱状態、(c)めっき部歪み解放状態、(d)トルク解放状態の4つの状態が示されている。トルク印加状態(a)は図6に示したステップS201に対応し、誘導加熱状態(b)は同図のステップS202に対応し、めっき部歪み解放状態(c)は同図のステップS203に対応し、トルク解放状態(d)は同図のステップS204に対応している。図9の(1)で軸61は温度を表す軸を示し、(2)で軸62は歪みを表す軸を示す。
図9の(a)では、捩りトルクTqを回転軸11に作用させ、回転軸11の円周表面に応力を与える。これにより捩りトルクTqが作用する。この場合、回転軸11の径方向の歪み分布は、回転軸11の中心に位置する軸心11aから周縁方向に向かって増加した分布ST1となる。ただし、分布ST1では、歪みの分布方向も含めて考えると、軸心11aの右側と左側では反対になるので、右側の歪み分布は正側(+)に示され、左側の歪み分布は負側(−)に示されている。さらに、図9(a)で回転軸11の径方向の温度分布は、破線で示すごとくなり、回転軸11の軸心11aから周縁方向まで室温であって一定の分布T1となる。この室温は回転軸11の温度の基準温度になる。
図9の(b)では、回転軸11に捩りトルクTqを作用させたまま、磁歪材めっき部の周囲を誘導加熱コイルで囲み、この誘導加熱コイルに対して高周波電流を流し、磁歪材めっき部を加熱処理する。図9の(b)で、回転軸11の径方向の歪み分布は、図9(a)の場合と同じである。また回転軸11の径方向の温度分布は、回転軸11の外周縁部に近いところから当該外周縁に向かって急激に増加する分布T2となる。
図9の(c)では、冷却が行われ、その結果、磁歪材めっき部にクリープが生じ、磁歪材めっき部での歪みがゼロとなる。このときの回転軸11の径方向の歪み分布は符号ST2で示される。図9(c)の状態を示すステップは、加熱処理後、自然に冷却させるステップS203である。回転軸11の径方向の温度分布T2の形状については実質的には変化がなく、冷却過程の推移と共に全体に温度は低下する。
図9の(d)では、冷却後、回転軸11に印加されていた捩りトルクTqを解除し、トルク解放を行う。これにより、歪み分布ST3に示されるごとく、回転軸11内での径方向での歪み分布はゼロとなる。他方、反対に、歪み分布ST3に示されるごとく、磁歪材めっき部においてのみ歪み分布が生じる。この結果、当該歪み分布ST3によって磁歪材めっき部に磁気異方性を付加することができ、これにより磁気異方性を有する磁歪膜14Aを形成することができる。なお、図9(d)で温度分布は、T3に示すごとく全体になだらかに分布するように低減する。
なお磁歪膜14Bを作る場合には、磁歪膜14Aに比較して逆向きの磁気異方性を付加するため、上記の捩りトルクTqとは逆方向の時計回りの捩りトルクを与えて前述のプロセスを実行する。
図10では、回転軸11の上下2箇所に設けられる磁歪材めっき部のインピーダンス特性Zと、磁歪材めっき部に磁気異方性を付加して形成された磁歪膜14A,14Bのインピーダンス特性Z,Zを示す。図10において、横軸はトルク(Nm)を意味し、縦軸はインピーダンス(Ω)を意味している。磁気異方性が付加される前の段階の磁歪材めっき部のインピーダンス特性Zは、磁気異方性が付加されることにより、磁歪膜14Aの場合にはインピーダンス特性Zに、または磁歪膜14Bの場合にはインピーダンス特性Zに変化する。磁歪膜14Aはインピーダンス特性Zを有するため、磁歪膜14Aに対応する検出コイル13Aは前述した磁歪特性曲線51Aを有することになる。また磁歪膜14BはインピーダンスZを有するため、磁歪膜14Bに対応する検出コイル13Bは前述した磁歪特性曲線51Bを有することになる。
なお図10において、範囲73は、インピーダンス特性Z,Zの重複部分として略線形の変化特性が得られる範囲である。この範囲73が磁歪式トルクセンサ10のセンサ使用範囲として利用される。
図11は、前述した回転軸100での磁歪材めっき部に磁気異方性を付加して形成された磁歪膜104のインピーダンス特性Z104と、本実施形態に係る回転軸11で作られた磁歪膜14Aのインピーダンス特性Zとを示す。図11によって、明らかに、本実施形態に係る回転軸11での磁歪膜14Aの磁歪特性が向上していることが分かる。
再び図6に戻る。前述した磁気異方性付加工程P2の後に特性安定化工程P3が行われる。特性安定化工程P3では、アニール工程P31が行われる。アニール工程P31では、例えば操舵トルク検出部20が使用される状況での使用温度以上の温度で所定時間加熱処理を行う。
アニール工程P32の後には、抜取り検査の形式で実行される検査工程P4が行われる。
その後に、励磁コイル等の検出器を配置する検出器付設工程(図示せず)を設け、回転軸11の磁歪膜14A,14Bの周囲に磁歪特性の変化を検出する検出手段を配置する。以上の工程により、磁歪式トルクセンサ10が完成する。
以上のように本発明によれば、磁歪膜を加熱する工程において、磁歪膜内の温度分布が均一になり、均一な磁気異方性を有する磁歪膜を作製することができ、検出感度にバラツキの少ない磁歪式トルクセンサを得ることができる。
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
本発明は、電動パワーステアリング装置などで操舵トルクを検出する磁歪式トルクセンサとして利用される。
本発明に係る磁歪式トルクセンサの実施形態を示す一部断面側面図である。 本実施形態に係る磁歪式トルクセンサの基本的構成を概念的に示す側面図である。 本実施形態に係る磁歪式トルクセンサの回転軸の特徴的形状を示す部分側面図である。 本実施形態に係る磁歪式トルクセンサを操舵トルク検出部として電動パワーステアリング装置のステアリング軸に組み込んだ具体的構造の要部縦断面図である。 本実施形態に係る磁歪式トルクセンサにおける各検出コイルに関する磁歪特性曲線とセンサ検出特性を示すグラフである。 本発明に係る磁歪式トルクセンサを製造する方法であり、回転軸の製造プロセスを示す工程図である。 磁気異方性付加工程のフローチャートである。 磁気異方性付加工程での回転軸と誘導加熱コイルとのそれぞれの形状に基づく位置関係を示す縦断面図である。 磁気異方性付加工程の各ステップ(a)〜(d)での回転軸における径方向の温度分布(1)と歪み分布(2)を示す図である。 本実施形態に係る磁歪式トルクセンサでの磁歪材めっき部形成直後の磁歪式トルクセンサのインピーダンス特性と磁気異方性付加後の磁歪膜を用いた磁歪式トルクセンサのインピーダンス特性を示す図である。 本実施形態に係る磁歪式トルクセンサのインピーダンス特性について従来のものとの比較を示すグラフである。 磁気異方性付加工程での回転軸と誘導加熱コイルとの関係に関して問題点を説明する縦断面図である。 上記問題点を説明するための磁歪膜の加熱時の温度分布を示すグラフである。 上記問題点を説明するための磁歪膜の加熱温度に対する磁歪式トルクセンサの感度特性を示すグラフである。
符号の説明
10 磁歪式トルクセンサ
11 回転軸
11b,11c,11d 大径部
11e,11f 小径部
12 励磁コイル
13A,13B 検出コイル
14A,14B 磁歪膜
20 操舵トルク検出部
21 ステアリング軸
31 ギヤボックス
34 ラック・ピニオン機構
35 動力伝達機構
42 モータ
51A,51B 磁歪特性曲線(インピーダンス特性曲線)
P1 磁性膜形成工程
P2 磁気異方性付加工程
P3 特性安定化工程

Claims (2)

  1. 少なくとも1つの磁歪膜が形成された回転軸を有する磁歪式トルクセンサであって、
    前記回転軸は小径部とこの小径部の両端部側に位置する大径部とを有し、
    前記小径部の軸方向の長さは、前記回転軸に既に形成された前記少なくとも1つの磁歪膜に磁気異方性を付与する高周波加熱工程で用いられる誘導加熱コイルの内周面に凹部を形成する部分の幅と同程度に決定され、
    前記小径部に前記1つの磁歪膜が形成され
    前記小径部の両端部側に位置する前記2つの大径部の径は等しく、
    前記2つの大径部のそれぞれと前記誘導加熱コイルの対応部との距離が等しいことを特徴とする磁歪式トルクセンサ。
  2. ステアリング系に補助トルクを付加するモータと、前記ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、少なくとも前記操舵トルクセンサからの操舵トルク信号に基づいて前記モータを駆動制御する制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置において、
    前記操舵トルクセンサを請求項1記載の磁歪式トルクセンサとしたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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