JP5091630B2 - 磁歪式トルクセンサおよび電動パワーステアリング装置 - Google Patents

磁歪式トルクセンサおよび電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁歪式トルクセンサおよび電動パワーステアリング装置に関し、特に、磁歪膜での磁歪作用に基づく磁気変化を利用してステアリングシャフト等に加わるトルクを検出する磁歪式トルクセンサ、およびこの磁歪式トルクセンサを操舵トルク検出部として利用する電動パワーステアリング装置に関する。
例えば自動車の操舵系として装備される電動パワーステアリング装置では、一般的に、運転者の操舵操作によってステアリングホイールからステアリングシャフトに加えられる操舵トルクを操舵トルク検出部によって検出する。近年では、操舵トルク検出部として磁歪式トルクセンサを利用して構成するものが知られている。ステアリングシャフトは、運転者の操舵による回転力を受けて回転する回転軸であり、操舵トルク検出部でその回転軸として機能する。電動パワーステアリング装置は、操舵トルク検出部から検出されたトルク信号に応じて、操舵力を補助するためのモータを駆動制御し、運転者の操舵力を軽減して快適な操舵フィーリングを与える。
図を参照して、操舵トルク検出部として機能する磁歪式トルクセンサのトルク検出原理を説明する。磁歪式トルクセンサは、実際上ではセンサ装置として構成され、本来的なトルクに感応するセンサ部分と、センサ出力信号を処理する検出用電気回路部分によって構成されている。
磁歪式トルクセンサでは、図6に示すごとく、ステアリングシャフト(回転軸)101の表面でその円周方向全周に渡ってかつ軸心に沿った例えば2つの箇所で互いに逆向きの磁気異方性103,104を有するように磁歪膜102A,102Bが形成されている。磁歪式トルクセンサの動作範囲における正のトルク印加に対して、磁歪膜102Aは軸方向の透磁率が増加する特性を有し、磁歪膜102Bは軸方向の透磁率が減少する特性を有している。磁歪式トルクセンサ100は、ステアリングシャフト101に矢印105のごとくステアリングホイールから入力トルクが作用したときに、ステアリングシャフト101に生じる捩れに応じた磁歪膜102A,102Bの磁歪特性の変化をそれぞれの検出コイル106A,106Bにより非接触で検出するセンサ構成を有している。検出コイル106Aは磁歪膜102Aを囲むようにその周囲に配置されている。検出コイル106Bは磁歪膜102Bを囲むようにその周囲に配置されている。
上記の磁歪式トルクセンサにおいて、検出コイル106A,106Bによって対応する磁歪膜102A,102Bの磁歪特性の変化を検出するため、検出時、例えば、検出コイル106A,106Bは正弦波交流電流が供給されて励磁される。検出コイル106A,106Bのそれぞれには励磁用正弦波交流電流が加えられ、それにより対応する磁歪膜102A,102Bに交番磁界を印加している。なお、ここでは、検出コイルを励磁コイルとして併用する例を説明したが、検出コイルとは別途に励磁コイルを用いる構成であってもよい。いずれにせよ、磁歪膜に対して交番磁界を印加するための励磁用コイルが必要である。
図7は、磁歪式トルクセンサ100によるセンサ装置の構成に基づく入力トルクの検出原理を示す。特性VT1は検出コイル106Aからの出力信号に基づいて作られる入力トルク出力特性であり、特性VT2は検出コイル106Bからの出力信号に基づいて作られる入力トルク出力特性である。磁歪膜102A,102Bでの磁気異方性103,104の方向が逆になっているため、特性VT1と特性VT2の傾きは逆になる。特性VT3は、特性VT1と特性VT2の差をとることにより作られる入力トルク出力特性である。特性VT3に基づいて、ステアリングシャフトに印加された人為的な入力トルクが求められる。実際上、特性VT3の点Bを原点として設定し、その右側領域を正領域とし、左側部分を負領域として扱う。特性VT3に基づきステアリングシャフトに印加される入力トルクの回転方向と大きさについての情報が得られる。
従来の磁歪式トルクセンサでは、その磁歪膜の磁気異方性を与える方法として、ステアリングシャフトとなる回転軸に磁歪膜と成る部分をめっき処理で形成し、その後に捩りトルクを作用させて回転軸の円周表面に応力を付与し、捩りトルクを作用させたままで恒温槽で加熱処理するようにしていた。具体的に特許文献1によれば、回転軸に磁歪膜を40μmの厚さでめっき処理した後、捩りトルクを2kgm作用させて応力を付与し、150〜550℃で10分から20時間の間熱処理するものが提案されている。
また関連する他の先行技術として特許文献2および特許文献3に記載された技術がある。これらの文献に記載されるトルクセンサでは、中間層を挟むという構造を有している。その目的とする処は、密着性の向上あるいは応力の解放ということである。
特開2002−82000号公報 特許第3114455号公報 特許第3377519号公報
従来の磁歪式トルクセンサの構造に関して、回転軸の母材には、ピニオンギヤを加工するため、強度が要求される構造鋼材が選ばれている。この鋼材は、透磁率が高く(ほぼ500)、その上、回転軸の円周表面上に電解めっきにより直に成膜される磁歪膜は、回転軸の母材の磁気的影響を受けやすく、検出特性のばらつきの原因になっていた。さらに回転軸の母材自体は、トルク印加により透磁率はほとんど変化しないが、磁歪膜の透磁率は大きく変化し、その変化分がセンサ感度となる。しかし、透磁率の高い母材からの磁気的な影響により磁歪膜の透磁率変化は抑制されてしまい、回転軸を形成する構造鋼材が検出感度を低下させるという問題を起こしていた。このため、磁歪式トルクセンサの製造では、検出回路を組み付ける際に検出側で検出感度の調整を行うことが必要となる。
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、回転軸の母材と磁歪膜との間の磁気的な相互作用を低減し、磁歪膜の透磁率変化を高め、検出感度を向上させることができ、母材の磁性のばらつきの影響を低減でき、インピーダンス特性のばらつきを低減できる磁歪式トルクセンサ、および当該磁歪式トルクセンサを利用して構成される電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明に係る磁歪式トルクセンサおよび電動パワーステアリング装置は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
第1の磁歪式トルクセンサ(請求項1に対応)は、入力トルクに応じて回転するように用いられかつ磁歪膜が設けられた回転軸と、磁歪膜に交番磁界を印加させる励磁コイルと、磁歪膜の磁気特性の変化を検出する検出コイルとを有し、さらに、回転軸の円周表面と磁歪膜との間に回転軸を形成する材質のほぼ500の透磁率よりも小さい値のほぼ100の透磁率を有する下地膜が設けられることを特徴とする。
上記の磁歪式トルクセンサでは、回転軸の母材と磁歪膜との間の磁気的な相互作用を低減するため、母材と磁歪膜の間に母材よりも透磁率の低い材料を下地膜として成膜する。これにより、トルク印加による磁歪膜の透磁率変化を抑制する原因となっている母材と磁気的な相互作用が低減される。このため磁歪膜の透磁率は変化しやすくなり、感度を向上させることができる。また磁歪材めっき部の際の配向性のばらつきの原因となっていた母材の磁性のばらつきの影響が、磁性膜と母材との距離が離れることで低減され、このためインピーダンス特性のばらつきが低減される。
の磁歪式トルクセンサ(請求項に対応)は、上記の構成において、更に、回転軸の材質は構造鋼材であり、磁歪膜の主成分は、ほぼ2000の透磁率を有するNi−Feであり、下地膜には磁歪膜よりも透磁率の低い組成比のNi−FeまたはNiが用いられて、下地膜のほぼ100の透磁率が形成されることを特徴とする。
本発明に係る電動パワーステアリング装置(請求項に対応)は、ステアリング装置のステアリングシャフトに加えられる操舵トルクを操舵トルク検出部で検出し、この操舵トルク検出部で検出した操舵トルクに応じて補助トルクをステアリングシャフトに与えるモータを駆動制御する制御手段を備える電動パワーステアリング装置出あり、操舵トルク検出部に上記の第1歪式トルクセンサを用い、ステアリングシャフトが磁歪式トルクセンサの回転軸となることを特徴とする。
本発明によれば、回転軸の母材と磁歪膜との間に母材よりも透磁率の低い下地膜を成膜するようにしたため、当該母材と磁歪膜の間の磁気的な相互作用を低減することができ、さらに磁歪膜の透磁率の変化をしやすくして磁歪式トルクセンサの検出感度を向上することができる。さらに、めっき配向性のばらつきの原因になっていた回転軸の母材の磁性のばらつきの影響が磁歪膜と母材の距離が大きくされ、磁気的作用関係で分離されることにより、インピーダンス特性のばらつきを低減することができる。
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図3を参照して磁歪式トルクセンサの基本的構成について説明する。図1〜図3は磁歪式トルクセンサの一構造例を示している。図1は磁歪式トルクセンサの基本的構造を示す一部断面側面図を示し、図2は磁歪式トルクセンサの基本的構成(電気回路部を含む)を概念的に示す側面図を示し、図3は回転軸における磁歪膜が形成された箇所の要部断面図を示している。
図1と図2に示すように磁歪式トルクセンサ10は、回転軸11と、この回転軸11の周囲に配置される1つの励磁コイル12と2つの検出コイル13A,13Bとから構成されている。回転軸11は、図1と図2では、説明の便宜上、上部および下部を切断し省略して示している。
回転軸11は、例えば操舵系のステアリングシャフトの一部である。回転軸11は、その軸心11aの周りに矢印Aのごとく右回転(時計回り)または左回転(反時計回り)の回転力(トルク)を受ける。回転軸11には、軸(軸心)方向に沿って図1中で上下2箇所に磁歪膜14A,14Bが設けられている。磁歪膜14A,14Bの各々は、回転軸11の軸方向にて一定の幅(軸方向幅)を有しかつ回転軸11の円周方向の全周に渡って形成されている。各磁歪膜14A,14Bの軸方向の幅寸法、および2つの磁歪膜14A,14Bの間隔寸法は条件に応じて任意に設定される。磁歪膜14A,14Bは、実際には、電解めっき加工処理等により回転軸11の表面に磁歪材めっき部として形成される。この磁歪材めっき部に磁気異方性加工を施すことにより、磁気異方性を有する磁歪膜14A,14Bが形成される。なお図1等では磁歪膜14A,14Bの膜厚は少し誇張して示している。
上記回転軸11は金属棒であり、材質的に、例えばクロムモリブデン鋼材(SCM材)等の構造鋼材(母材)が用いられている。
また2つの磁歪膜14A,14Bの磁歪材にはFe(鉄)−Ni(ニッケル)の合金材が用いられる。回転軸11の表面における円周方向において電解めっき処理に基づいて磁歪膜14A,14Bが形成される。磁歪膜14A,14Bは磁歪を示す磁性膜であればよく、パーマロイに限らず、スーパーマロイ等の膜であってもよい。また完成した2つの磁歪膜14A,14Bは、各々の磁気異方性は軸対称となって、互いに逆方向であり、磁歪式トルクセンサの動作範囲における正のトルク印加に対して、一方の磁歪膜は、軸方向の透磁率が増加する特性を有し、かつ他方の磁歪膜は、軸方向の透磁率が減少するという特性を有している。以下の説明では、磁歪式トルクセンサの動作範囲における正のトルク印加に対して、上側の磁歪膜14Aは軸方向の透磁率が増加する特性を有し、下側の磁歪膜14Bは軸方向の透磁率が減少するという特性を有するものとする。
さらに図3に示すごとく、回転軸11の母材と磁歪膜14A(14B)との間には中間層として下地膜61が形成されている。下地膜61は回転軸母材の材質よりも透磁率の低い材料が用いられている。下地膜61の材質としてはNi(ニッケル),Co(コバルト)を挙げることができ、さらに透磁率の低い組成比のFe−Niの合金材を用いることもできる。Ni、または透磁率の低い組成比のFe−Niであれば、磁歪膜14A,14Bとの密着性も良好になる。かかる構造によって、回転軸11の母材と磁歪膜14A,14Bとの間の磁気的な相互作用を下地膜61によって弱めることができ、回転軸母材から磁歪膜への磁気的な影響を低減できる。下地膜61の膜厚が厚ければ厚いほど、回転軸母材から磁歪膜への磁気的影響は少なくなる。
上記において、例えば代表的に、回転軸11の母材の透磁率はほぼ500であり、磁歪膜14A,14Bを形成するFe−Niの透磁率はほぼ2000であり、下地膜61の透磁率はほぼ100である。透磁率の値はこれらに限定されない。
上記の励磁コイル12と検出コイル13A,13Bは、図1に示すごとく、回転軸11の表面に形成された2つの磁歪膜14A,14Bのそれぞれに対応して設けられる。すなわち、図1に示されるように、磁歪膜14Aの周囲には隙間を介在させて検出コイル13Aが配置される。リング状の検出コイル13Aは、磁歪膜14Aの全周囲を囲み、かつ検出コイル13Aの軸方向の幅寸法は磁歪膜14Aの軸方向の幅寸法と略等しい。また磁歪膜14Bの周囲には隙間を介在させて検出コイル13Bが配置される。同様に、リング状の検出コイル13Bは、磁歪膜14Bの全周囲を囲み、かつ検出コイル13Bの軸方向の幅寸法は磁歪膜14Bの軸方向の幅寸法と略等しい。さらに、2つの検出コイル13A,13Bのそれぞれの周囲にはリング状の励磁コイル12が配置される。図1では、磁歪膜14A,14Bのそれぞれに対応して個別に励磁コイル12が設けられるように図示されているが、実際には1つの励磁コイル12の2つの部分を分けて示したものである。検出コイル13A,13Bと励磁コイル12は、回転軸11の周囲に回転軸11を囲むように設けられたリング状の支持枠体部15A,15Bを利用して磁歪膜14A,14Bの周囲スペースに巻設されている。
図2では、回転軸11の磁歪膜14A,14Bに対して配置される励磁コイル12と検出コイル13A,13Bを電気的関係として概念的に示している。磁歪膜14A,14Bに対して共通に配置される励磁コイル12には、励磁用交流電流(交流正弦波電流)を常時に供給する交流電源16が接続されている。本実施形態に係る励磁コイル12の励磁電流供給のための電気回路構成では、交流正弦波電流を出力する交流電源16に加えて、直流電流であるバイアス電流(I)を供給するバイアス電源17が設けられている。また磁歪膜14A,14Bのそれぞれに対応して配置される検出コイル13A,13Bの各出力端子からは、検出対象であるトルクに対応する誘導電圧V,Vが出力される。
回転軸11の表面に形成された磁歪膜14A,14Bは、Ni−Feめっきによる電解めっき加工処理で作られた互いに異なる磁気異方性を有する磁歪膜である。2つの磁歪膜14A,14Bの各々は、互いに逆方向の磁気異方性を有するように作られている。回転軸11に対して回転力によるトルクが作用したとき、磁歪膜14A,14Bの各々に生じる逆の磁歪特性を、磁歪膜14A,14Bの周囲に配設した検出コイル13A,13Bを利用して検出する。
本実施形態に係る磁歪式トルクセンサ10の製造方法は次の通りである。
磁歪式トルクセンサ10の製造方法について、特に、磁歪式トルクセンサ10の回転軸11の製造工程は、大きく分けると、通常、磁歪膜形成工程、磁気異方性付加工程、特性安定化工程、検査工程から構成されている。磁歪式トルクセンサ10として完成するためには、検査工程の後に、回転軸11に対して励磁コイル12や検出コイル13A,13B等の検出器を付設する検出器付設工程が設けられている。
従来、通常的に最初に実行された磁歪膜形成工程では、電解めっき処理により回転軸11の表面の所定箇所に磁歪材めっき部が磁歪膜の基礎となる部分として形成される。
本実施形態に係る磁歪式トルクセンサ10では、磁歪膜形成工程の前に下地膜形成工程が実行される。下地膜形成工程では、各種の成膜手法によって上記の下地膜61が成膜される。
上記のごとき下地膜61を、回転軸母材と磁歪膜との間の中間層として設けることにより、下地膜61と磁歪膜との間での磁気的な相互作用は小さいので磁歪膜における磁気モーメントは回転しやすくなり、少ない入力トルクで透磁率変化を生じるという特性が生じる。これによりセンサ感度が向上することになる。センサ感度の向上としては、実験的に例えば23%程度の向上効果が得られた。
さらに上記の下地膜61を設けることによって、回転軸11の母材と磁歪膜14A,14Bとの間の距離を大きくすることができたので、磁歪膜を成膜する際に母材磁性の影響を受けにくくなり、回転軸11の母材磁性のばらつきの影響を低減することができ、その結果、磁歪膜14A,14Bのインピーダンス(Z)の特性を低減することができる。当該ばらつきの低減として、実験的に例えば45%の低減が達成された。
なお中間層としての上記の下地膜 の材質としては、上記の磁性材料Ni,Coの他に、非磁性の材料Cu,Al,Au,Sn,Pd,Bi,In,Zn,Ti,Pt等を用いることもできる。
上記の磁歪式トルクセンサ10は、例えば図4に示すごとく電動パワーステアリング装置のステアリングシャフトに操舵トルク検出部として組み込まれる。図4において、図1と図2で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付している。図4では、操舵トルク検出部20、ステアリングシャフト21(回転軸11に対応)の支持構造、ラック・ピニオン機構34、動力伝達機構35、操舵力補助用モータ42の構成が示されている。
図4において、ステアリングシャフト21の上部は車両のステアリングホイール(図示せず)に結合される。ステアリングシャフト21の下部は、ラック・ピニオン機構34を介して、ラック軸を備えた車軸に操舵力を伝達するように構成される。ステアリングシャフト21の上部に付設された操舵トルク検出部20は、上記の磁歪式トルクセンサ10を利用して構成されている。操舵トルク検出部20は磁歪式トルクセンサ10に対応し、また磁歪膜14A,14Bが形成されたステアリングシャフト21の部分が上記回転軸11に対応している。
ギヤボックス31を形成するハウジング31a内で、ステアリングシャフト21は、2つの軸受け部32,33によって回転自在になるよう支持されている。ハウジング31aの内部にはラック・ピニオン機構34と動力伝達機構35が収納される。
ステアリングシャフト21に対して操舵トルク検出部20(磁歪式トルクセンサ10)が付設されている。ステアリングシャフト21には前述した磁歪膜14A,14Bが形成され、これらの磁歪膜14A,14Bに対応して励磁コイル12と検出コイル13A,13Bが支持枠体部15A,15Bおよびヨーク部36A,36Bに支持され、設けられている。
ハウジング31aの上部開口はリッド37で塞がれている。ステアリングシャフト21の下端部に設けられたピニオン38は軸受け部32,33の間に位置している。ラック軸39は、ラックガイド40で案内され、かつ圧縮されたスプリング41で付勢され、ピニオン38側へ押し付けられている。動力伝達機構35は、操舵力補助用モータ42の出力軸に結合された伝動軸43に固定されるウォームギヤ44と、ステアリングシャフト21に固定されたウォームホイール45とによって形成される。上記操舵トルク検出部20はリッド37の円筒部37aの内部に取り付けられている。
操舵トルク検出部20は、ステアリングシャフト21に作用する操舵トルクを検出する。その検出値は、制御装置(図示しない)に入力され、モータ42に適切な補助操舵トルクを発生させるための基準信号として使用される。操舵トルク検出部20は、ステアリングシャフト21に対してステアリングホイールからの操舵トルクが作用したとき、ステアリングシャフト21に生じる捩れに応じた磁歪膜14A,14Bの磁気特性の変化を、検出コイル13A,13Bの各出力端子から誘導電圧V,Vの変化として電気的に検出する。
ステアリングシャフト21に操舵トルクが作用したときステアリングシャフト21に捩れが生じ、その結果、磁歪膜14A,14Bに磁歪効果が生じる。操舵トルク検出部20では、交流電源16から励磁コイル12に励磁用電流が常に供給されているので、磁歪膜14A,14Bでの磁歪効果に起因する磁界変化を検出コイル13A,13Bによって誘導電圧V,Vの変化として検出する。操舵トルク検出部20によれば、誘導電圧V,Vの変化に基づき、2つの誘導電圧V,Vの差を検出電圧値として出力する。従って操舵トルク検出部20の出力電圧値(V−V)に基づいてステアリングシャフト21に加えられた操舵トルクの方向と大きさを検出することができる。
図5は、2つの磁歪膜14A,14Bのそれぞれの磁歪特性曲線51A,51Bを示す図である。図5において、横軸は、ステアリングシャフト21に加えられた操舵トルクを意味し、正側(+)が右回転に対応し、負側(−)が左回転に対応している。また図5の縦軸は電圧軸を意味する。
磁歪膜14A,14Bについての上記磁歪特性曲線51A,51Bは同時に検出コイル13A,13Bの検出出力特性を表している。すなわち、磁歪特性曲線51A,51Bを有する磁歪膜14A,14Bに対して共通の励磁コイル12により励磁用交流電流を供給し、この励磁用交流電流に感応して検出コイル13A,13Bは誘導電圧を出力していることから、検出コイル13A,13Bの誘導電圧の変化特性は、磁歪膜14A,14Bの磁歪特性曲線51A,51Bに対応している。換言すれば、磁歪特性曲線51Aは検出コイル13Aから出力される誘導電圧Vの変化特性を示し、他方、磁歪特性曲線51Bは検出コイル13Bから出力される誘導電圧Vの変化特性を示している。
磁歪特性曲線51Aによれば、検出コイル13Aから出力される誘導電圧Vの値は、操舵トルクの値が負領域から正領域に変化しさらに操舵トルクの正の値T1に到るにつれて略線形特性にて増加し、操舵トルクが正の値T1となったときにピーク値となり、操舵トルクがT1よりさらに増加すると徐々に減少するという特性を有する。他方、磁歪特性曲線51Bによれば、検出コイル13Bから出力される誘導電圧Vの値は、操舵トルクの値が負の値−T1に到るまでは徐々に増加し、操舵トルクが負の値−T1のときにピーク値をとり、操舵トルクがさらに−T1よりも増加して負領域から正領域に変化すると略線形特性にて減少するという特性を有する。
図5に示すように、検出コイル13Aに関連する磁歪特性曲線51Aと検出コイル13Bに関連する磁歪特性曲線51Bは、磁歪膜14A,14Bのそれぞれで互いに逆方向となる磁気異方性を有することが反映して、両磁歪特性曲線が交わる点を含む縦軸に関して略線対称との関係になっている。
図5において示された線52は、磁歪特性曲線51A,51Bの共通領域であって略線形特性を有する領域において、検出コイル13Aの出力電圧として得られる磁歪特性曲線51Aの各値から、検出コイル13Bの出力電圧として得られる磁歪特性曲線51Bの対応する各値を差し引いた値に基づいて作成されるグラフを示す。操舵トルクがゼロのときに、各検出コイル13A,13Bから出力される誘導電圧は等しいので、その差の値はゼロとなる。操舵トルク検出部20では、上記の磁歪特性曲線51A,51Bにおける操舵トルクの中立点(ゼロ点)付近の略一定勾配とみなされる領域を使用することで、上記線52を略直線特性を有するものとして形成している。なお線52の特性グラフに関しては、図5の縦軸は差電圧の値を示す軸を意味している。特性グラフである直線52は、原点(0,0)を通る直線であって、縦軸および横軸の正側・負側に存在する。操舵トルク検出部20の検出出力値は前述のごとく検出コイル13A,13Bから出力される誘導電圧の差(V−V)として得られることから、上記直線52を利用することに基づいて、ステアリングシャフト21に加えられた操舵トルクの方向と大きさを検出することができる。
上記のごとく、操舵トルク検出部20の出力値に基づき、ステアリングシャフト21(回転軸11)に入力された操舵トルクに関してその回転方向と大きさに対応した検出信号を取り出すことが可能となる。すなわち、操舵トルク検出部20から出力される検出値によって、ステアリングシャフト21に作用した操舵トルクの回転方向と大きさを知ることができる。
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ、材質、および配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
本発明は、電動パワーステアリング装置の操舵トルク検出部として使用される磁歪式トルクセンサの感度性能向上および製造プロセスの簡略化に利用される。
本発明に係る磁歪式トルクセンサの基本的構造を示す一部断面側面図である。 磁歪式トルクセンサの検出用電気回路を概念的に示す側面図である。 磁歪膜が形成された回転軸の部分の要部断面図である。 磁歪式トルクセンサを操舵トルク検出部として電動パワーステアリング装置のステアリングシャフトに組み込んだ具体的構造の要部縦断面図である。 磁歪式トルクセンサにおける各検出コイルに関する磁歪特性曲線とセンサ検出特性を示すグラフである。 従来の一般的な磁歪式トルクセンサの要部構成を示す側面図である。 磁歪式トルクセンサのセンサ構成における入力トルク検出の原理を説明するための入力トルク・出力特性を示すグラフである。
符号の説明
10 磁歪式トルクセンサ
11 回転軸
12 励磁コイル
13A,13B 検出コイル
14A,14B 磁歪膜
20 操舵トルク検出部
21 ステアリングシャフト
51A,51B 磁歪特性曲線(インピーダンス特性曲線)
61 下地膜

Claims (2)

  1. 入力トルクに応じて回転するように用いられかつ磁歪膜が設けられた回転軸と、前記磁歪膜に交番磁界を印加させる励磁コイルと、前記磁歪膜の磁気特性の変化を検出する検出コイルとを有する磁歪式トルクセンサにおいて、
    前記回転軸の円周表面と前記磁歪膜との間に前記回転軸を形成する材質のほぼ500の透磁率よりも小さい値のほぼ100の透磁率を有する下地膜が設けられ
    前記回転軸の材質は構造鋼材であり、
    前記磁歪膜の主成分は、ほぼ2000の透磁率を有するNi−Feであり、
    前記下地膜には前記磁歪膜よりも透磁率の低い組成比のNi−FeまたはNiが用いられて、前記ほぼ100の透磁率が形成されることを特徴とする磁歪式トルクセンサ。
  2. ステアリング装置のステアリングシャフトに加えられる操舵トルクを操舵トルク検出部で検出し、この操舵トルク検出部で検出した操舵トルクに応じて補助トルクを前記ステアリングシャフトに与えるモータを駆動制御する制御手段を備える電動パワーステアリング装置において、
    前記操舵トルク検出部に請求項1記載された磁歪式トルクセンサを用い、前記ステアリングシャフトが前記磁歪式トルクセンサの前記回転軸となることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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