JP4936237B2 - 正帯電性疎水性酸化チタン微粉末とその製法および用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、正帯電性の疎水性酸化チタン微粉末に関するものであり、より詳しくは、粉体塗料や電子写真用トナー等において、それらの粉体の流動性改善、固結防止、帯電調整等の目的で添加される添加剤として用いられる正帯電性疎水性酸化チタン微粉末とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、カラーレーザープリンタやカラーコピーマシンについて、そのデジタル化、高画質化が進められている。これまでのデジタル方式のカラープリンタやカラーコピーマシンのドラムは、OPCドラムが主に使用され、負帯電性のトナーが多く使用されており、外添剤も負帯電性のものが使用されていた。しかし、OPCドラムは耐久性や環境性に問題があり、これに代えてα-Si用のドラムもよく用いられている。このシステムでは正帯電のトナーがよく用いられ、その外添剤として正帯電性のものが提案されている。
【0003】
例えば、特公平1-3144号公報には正帯電性の外添剤として正帯電性シリカが提案されている。しかし、正帯電性シリカは外添したトナーの経時変化を生じやすく、環境安定性に問題があった。そこで、経時変化や環境安定性を改善する目的で、例えば、特開平11−278845号公報には、気相で揮発性のチタン化合物を熱分解ないし加水分解して酸化チタン微粒子を生成させた後、オルガノシラン化合物で表面処理することによって得た疎水性の酸化チタン超微粒子が提案されている。しかし、この疎水性酸化チタン超微粒子は負帯電性を示すため、正帯電性トナーと混合した際に帯電性が変動すると云う問題がある。
【0004】
一方、特開平8−220791号公報、特開平8−220795号公報および特開平8−220796号公報には、トナーの外添剤として湿式法で製造された酸化チタンを水系中で疎水化処理したものを用いる技術が提案されている。しかしながら、この酸化チタン微粉末は疎水化処理が水系中で行われているために乾燥工程や嵩密度が大きく、しかも凝集するため、これを解砕する工程が必要であるなどの問題点があった。また、このような方法で製造された酸化チタン微粉末は粒子の吸着水分が多く、温度および湿度といった環境に対して帯電特性が変動しやすいという問題もある。
【0005】
また、特開昭60−136755号公報には、負帯電性トナーに疎水性酸化チタンと疎水性シリカとを加えることによってトナーの流動性を高めることが記載されているが、ここで使用されている疎水性酸化チタンは平均粒径30nm、BET比表面積50m2/gのものであり、単独でトナーに添加しても良好な流動性を得ることができない。しかもこの酸化チタン粉末は高価であり、コストが嵩む問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電子写真などにおいて高画質化が求められており、トナー粒子等が次第に微細化しており、従来よりトナー粒子等の流動性を高める必要が生じ、外添剤の添加量を増しても帯電安定性の高いものが求められている。本発明はこのような要請に応えるものであり、トナー粉末等に添加混合した際に、高い流動性と正帯電安定性を付与するトナー用外添剤を提供することを目的とし、特に疎水性を高めるだけでは得られない、経時変化に対する高い抵抗性を備えたトナー用外添剤の提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸化チタン微粉末を正帯電付与剤と疎水化剤によって表面処理する際に、処理剤相互の量比、および酸化チタン微粉末表面のOH基に対する量比についてその最適範囲内で処理することにより、環境変動に対して格段に安定な正帯電性を有する疎水性酸化チタン微粉末を提供する。
【0008】
すなわち、本発明は以下の正帯電性疎水性酸化チタン微粉末に関する。
〔1〕(イ)温度40℃および湿度85%の高温高湿環境に24時間放置した後の鉄粉との摩擦による帯電量(この帯電量をHH環境下の帯電量と云う)と、温度10℃および湿度20%の低温低湿環境に24時間放置した後の鉄粉との摩擦による帯電量(この帯電量をLL環境下の帯電量と云う)について、(HH環境下の帯電量)/(LL環境下の帯電量)の比を摩擦帯電量の環境変動比とし、
(ロ)45wt%メタノール水溶液の沈降体積と全沈した90wt%のメタノール水溶液との体積比を疎水化率とし、
(ハ)孔径150μm、75μm、45μmの各スクリーンをおのおの振動させながら順次篩い分けし、各スクリーンを全て通過した割合を流動性とするとき、
BET比表面積55〜150m 2 /g、摩擦帯電量の環境変動比が0.7以上〜1.0以下、疎水化率が12%以下、および流動性が87%以上であることを特徴とする正帯電性疎水性酸化チタン微粉末。
〔2〕BET比表面積55〜150m2/gの酸化チタン微粉末を原料とし、この酸化チタン微粉末を乾式下で正帯電付与剤と疎水化剤によって表面処理することにより正帯電性と疎水性を付与した酸化チタン微粉末であって、疎水化剤としてシランカップリング剤またはシリコーン化合物を用い、正帯電付与剤としてアミノシランまたはアミノ変性シリコーンオイルを用い、正帯電付与剤/疎水化剤のモル比が0.01〜30であって、両処理剤の総処理剤量と酸化チタン表面のOH基のモル比、すなわち総処理剤量/OH基が0.1以上になるように表面処理してなる上記[1]に記載する正帯電性疎水性酸化チタン微粉末。
〔3〕全重量中、炭素量0.5wt%以上、窒素量50ppm以上〜10000ppm以下である上記[1]または上記[2]の何れかに記載する正帯電性疎水性酸化チタン微粉末。
【0009】
また、本発明は以下の製造方法および用途に関する。
〔4〕BET比表面積55〜150m2/gの酸化チタン微粉末を原料とし、疎水化剤としてシランカップリング剤またはシリコーン化合物を用い、正帯電付与剤としてアミノシランまたはアミノ変性シリコーンオイルを用い、正帯電付与剤/疎水化剤のモル比が0.01〜30であって、両処理剤の総処理剤量と酸化チタン表面のOH基のモル比、すなわち総処理剤量/OH基が0.1以上になるように、正帯電付与剤および疎水化剤を、不燃性ガス下で高速攪拌されている酸化チタン微粉末中に噴霧し、または蒸気と共に導入し、酸化チタン微粉末を乾式下で表面処理することによって、摩擦帯電量の環境変動比が0.7以上〜1.0以下、疎水化率が12%以下、および流動性が87%以上の正帯電性疎水性酸化チタン微粉末を製造することを特徴とする方法。
〔5〕上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する正帯電性疎水性酸化チタン微粉末に、二酸化珪素および/または酸化アルミニウムを添加してなることを特徴とする電子写真用トナー組成物。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明の正帯電性疎水性酸化チタン微粉末は、電子複写機用トナーなどの粉体材料に混合して正帯電性混合物としたときに、高温高湿環境下での摩擦帯電量と低温低湿環境下での摩擦帯電量の比(環境変動比と云う)が0.7以上〜1.0以下であることを特徴とするものである。ここで、高温高湿環境とは、例えば温度40℃および湿度85%であり、低温低湿環境とは、例えば温度10℃および湿度20%の環境を云う。また、摩擦帯電量は鉄粉との摩擦による帯電量であり、摩擦帯電量の環境変動比は、上記高温高湿環境下および低温低湿環境下におのおの24時間放置した後の摩擦帯電量比である。この環境変動比が1に近いほど環境変動に対して摩擦帯電量が安定である。従来の疎水性酸化チタン粉末における摩擦帯電量の環境変動比は概ね0.5以下であり、本発明の酸化チタン微粉末より大幅に低い。
【0011】
本発明の正帯電性疎水性酸化チタン微粉末は、揮発性のチタン化合物をガス状で可燃性または不燃性ガスの存在下で高温分解して得たBET比表面積が55〜150m2/gの酸化チタン超微粒子を原料として用いると良い。酸化チタン微粉末のBET比表面積が55m2/gより小さいと均一に分散され難く、トナーの流動性が低下する。一方、BET比表面積が150m2/gより大きいと酸化チタンの凝集力が非常に大きくなり、この場合にもトナーの流動性が低下する。
【0012】
上記酸化チタン微粉末を乾式下で正帯電付与剤と疎水化剤によって表面処理することにより正帯電性と疎水性を付与する。疎水化剤としてはシランカップリング剤、および/またはシリコーン化合物が好適である。具体的には、疎水化剤として次式[I]または[II]に示すシランカップリング剤、または次式[III]、[IV]に示すシリコーン化合物が好ましい。
【0013】
X4-nSiRn ・・・…[I]
R3SiNHSiR3 ・・・…[II]
上記式[I]、[II]において、Xは水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子から選択された基、Rは炭素数1〜18のアルキル基、nは0〜3までの整数である。なお、炭素数が18よりも大きい長鎖アルキルシランカップリング剤を用いると立体障害等のために表面改質が均一に行われ難く、しかも凝集しやすい。
【0014】
【0015】
【0016】
上記式[III]、[IV]において、R'で表される置換基はメチル基またはエチル基から選択される基であり、R''はメチル基またはエチル基もしくは水素原子でありこの置換基の一部はビニル基またはフェニル基を含むアルキル基であってもよく、Xは水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、またはアルキル基から選択された基、mは1〜500までの整数である。なお、重合度500以上の高分子のシリコーン化合物によって表面処理すると疎水性を有するが凝集しやすいので好ましくない。
【0017】
正帯電付与剤としては、アミノシランおよび/またはアミノ変性シリコーンオイルが好ましい。具体的には、次式[V]、[VI]に示すアミノシラン化合物、あるいは上記式式[IV]に示すアミノ変性シリコーンオイルが好ましい。
【0018】
XnR(n-3)Si−(CH2)m−NH2 ・・・…[V]
式中、Xはクロロ基、アルコキシ基、アセトキシ基、ヒドロキシ基など加水分解可能な官能基であり、Rは水素基またはメチル基、エチル基などのアルキル基であり、nは1〜3の整数、mは1〜6の整数である。
【0019】
XnR(n-3)Si−(CH2)m−NR1R2 ・・・…[VI]
式中、Xはクロロ基、アルコキシ基、アセトキシ基、ヒドロキシ基など加水分解可能な官能基、Rは水素基またはメチル基、エチル基などのアルキル基、R1およびR2は水素基またはメチル基、エチル基、ブチル基などのアルキル基、またはフェニル基などのアリール基、または窒素原子、酸素原子、硫黄原子などの官能基を有するアルキル基などであり、R1=R2=Hの場合は除く。
【0020】
以上の正帯電付与剤と疎水化剤とを、不燃性ガス下、高速攪拌されている酸化チタン微粉末中に乾式下で導入することにより表面処理する。乾式下で導入するとは、例えば、これらの正帯電付与剤と疎水化剤とを酸化チタン微粉末にスプレーにより噴霧し、または蒸気と共に導入する。この場合、正帯電付与剤/疎水化剤のモル比が0.01〜30であり、かつ両処理剤の総処理剤量と酸化チタン表面のOH基のモル比(総処理剤量/OH基)が0.1以上となるように両処理剤の添加量を調整するのが好ましい。
【0021】
処理剤のモル比(正帯電性付与剤/疎水化剤)が0.01未満のとき、この疎水性酸化チタン微粉末は正帯電性を示さない。また、このモル比が30を上回ると摩擦帯電量は正帯電性を示すものの、高疎水化を満足できず、外添したトナーが経時変化をおこしやすい。一方、総処理剤量と酸化チタン表面のOH基のモル比(処理剤量/OH基)が0.1未満では正帯電性を示さず、しかも経時変化を生じやすい。
【0022】
これらの表面改質剤は、同時に用いても良く、または個々に段階的に添加しても良い。また、表面改質を乾式で行えば酸化チタン微粉末の凝集を招かず、しかも排水処理が不要であるので環境汚染を生じることがない。また、乾式処理は比較的、安価に実施できる利点もある。
【0023】
以上の表面処理によって、全重量中、炭素量が0.5wt%以上、窒素量50ppm以上〜10000ppm以下、疎水化率40%以下であって、高温高湿環境下と低温低湿環境下での摩擦帯電量の環境変動比が0.7以上〜1.0以下の正帯電性疎水性酸化チタン微粉末を得ることができる。なお、炭素量が0.5wt%未満では高温高湿環境下で摩擦帯電量が不安定であるので好ましくない、一方、炭素量が0.5wt%以上であればこのような不都合を生じない。また、窒素量が50ppm未満では低温低湿環境下において摩擦帯電量が不安定であり、10000ppmより多いと高温高湿環境下において摩擦帯電量が不安定であるので好ましくない。窒素量が50〜10000ppmの範囲であれば何れの環境下でも摩擦帯電量が安定であり、また疎水化率が40%以下である。
【0024】
摩擦帯電量の環境変動比を求めるには、上記正帯電性疎水性酸化チタン微粉末を電子複写機用トナーにその混合物が正帯電となる割合で混合し、この混合物から二つの試料を分取し、一つを高温高湿環境下(温度=40℃、湿度=85%)に、他の一つを低温低湿環境下(温度=10℃、湿度=20%)において、おのおの24時間放置した後、各試料について測定された鉄粉との摩擦帯電量の比を測定する。
【0025】
本発明の上記正帯電性疎水性酸化チタン微粉末は電子複写機用トナーの添加剤として用いることができる。トナーは一成分磁性系、一成分非磁性系、二成分系の何れでも良い。またモノクロ用のトナー、あるいはカラー用のトナーの何れでも良い。さらに、正帯電性疎水性酸化チタン微粉末は一種のみでなく他の金属酸化物微粉末と共に用いても良い。例えば、本発明の正帯電性疎水性酸化チタン微粉末と表面改質した乾式シリカ微粉末、あるいは表面改質した湿式酸化チタン微粉末等と共に併用することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の正帯電性疎水性酸化チタン微粉末は疎水性と正帯電性が何れも高く、しかも帯電量の環境変動が少ない。従って、本発明の正帯電性疎水性酸化チタン微粉末を電子写真用トナーに用いた場合、長期間にわたって帯電安定性と高い流動性を得ることができる。
【0027】
一般にシリコーンオイルなどによる疎水化処理とアミノシランなどによる正帯電化処理とはアミノ基が親水性であるために互いに打ち消し合う関係にあり、正帯電性と流動性とを何れも高くするのは難しい。本発明は酸化チタン微粉末を正帯電付与剤と疎水化剤によって表面処理する際に、処理剤相互の量比、および酸化チタン微粉末表面のOH基に対する量比についてその最適範囲内で処理することにより、流動性と正帯電性とを何れも高く保つことができるようにしたものであり、しかもその正帯電性は環境変動に対して格段に安定である。
【0028】
【実施例および比較例】
以下、実施例および比較例を示す。各例におけるトナー組成物の環境に対する帯電安定性、炭素量、窒素量、疎水化率、45μmスクリーン通過率、摩擦帯電量、画像特性は以下の方法によって測定したものである。なお、実施例および比較例の結果を処理条件と共に表1に示した。
【0029】
〔トナー組成物の環境に対する帯電安定性〕
ガラス容器(容積75ml)に正帯電性疎水性酸化チタン微粉末0.4gと負帯電性トナー(粒径8μm)40gとを入れて、ミキサーで攪拌混合してトナー組成物とし、このトナー組成物2gに鉄粉キャリア48gを入れ、高温高湿環境下(HH環境下と略記)および低温低湿環境下(LL環境下と略記)に各々24時間放置する。ここで、HH環境下とは温度40℃、湿度85%、LL環境下とは温度10℃、湿度20%の雰囲気を云う。HH環境下およびLL環境下に各々24時間放置したトナー組成物と鉄粉キャリアの混合物をそれぞれターブラミキサーで5分間振とうした後、この混合物を0.2g採取して帯電量を求め、両者の比(HH環境下の帯電量/LL環境下の帯電量)を環境変動比とした。この環境変動比が0.6以上のものを環境に対して安定であるとした。なお、帯電量はブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル社製品:TB-200型)を用い、1分間窒素ブローした後の測定値をトナー組成物の帯電量とした。
【0030】
〔炭素量〕
正帯電性疎水性酸化チタン微粉末を酸素雰囲気中で1100℃に加熱し、熱分解した後に微量炭素分析装置(堀場社製品:EMIA-110型)によって炭素含有量を測定した。
〔窒素量〕
正帯電性疎水性酸化チタン微粉末を酸素雰囲気中で800℃に加熱し、NOxに熱分解した後に微量炭素分析装置(三菱化学社製品:TN-10型)によって窒素含有量を測定した。
〔疎水化率〕
正帯電性疎水性酸化チタン微粉末0.2gを200mlの遠沈管に計りとり、これに45.9wt%のメタノール水溶液7mlを加えて栓をし、ターブラーミキサーで30秒間振とうする。振とう後、遠心分離機を用い、2000r.p.mの回転数で10分間遠心分離する。分離後、沈降した正帯電性疎水性酸化チタン微粉末の体積を測定する。45wt%メタノール水溶液の沈降体積と全沈した90wt%のメタノール水溶液の体積比を疎水化率とした。
【0031】
〔流動性〕
正帯電性疎水性酸化チタン微粉末0.4gと負帯電性トナー(粒径8μm)40gとをミキサーで攪拌混合してトナー組成物とした。このトナー組成物をパウダテスタ(ホソカワミクロン社製品PT-N型)にて、150μm、75μm、45μmのスクリーンをおのおの振動させながら順次篩い分けを行ない、各スクリーンを全て通過した割合を流動性とし、この値が80%以上を良好であるとした。
〔摩擦帯電量〕
ガラス容器(容積75ml)に鉄粉キャリア50gと正帯電性疎水性酸化チタン微粉末0.1gを入れて混合し、ターブラミキサーで5分間振とうした後、この混合物0.1gを採取し、ブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル社製品:TB-200型)で1分間窒素ブローした後の値を摩擦帯電量とした。
〔画像特性〕
市販の複写機を用いて50,000枚印刷を行い、画像特性(かぶり、画像濃度)を観察した。かぶりや画像濃度が低下した複写枚数を画像限界とした。
【0032】
実施例1
乾式法で製造したBET比表面積55m2/gの酸化チタン微粉末100重量部をミキサーに入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシラン5重量部、3-アミノプロピルトリエトキシシラン3部を各々滴下し、200℃で2時間加熱攪拌した後に冷却して正帯電性疎水性酸化チタン粉末を得た。この酸化チタン粉末について摩擦帯電量の環境変動比を測定したところ0.8であった。また疎水化率は12%であり、画像限界は見られなかった。
【0033】
実施例2
乾式法で製造したBET比表面積90m2/gの酸化チタン微粉末100重量部をミキサーに入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながらi−ブチルトリメトキシシラン10部、3-アミノプロピルトリエトキシシラン5部を各々滴下し、200℃で2時間加熱攪拌した後に冷却して正帯電性疎水性酸化チタン粉末を得た。この酸化チタン粉末について摩擦帯電量の環境変動比を測定したところ0.8であった。また疎水化率は0%であり、画像限界は見られなかった。
【0034】
参考例
乾式法で製造したBET比表面積が150m2/gの酸化チタン微粉末100重量部をミキサーに入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながらn−オクタデシルトリメトキシシラン5部、3-アミノプロピルトリエトキシシラン5部を各々滴下し、200℃で2時間加熱攪拌した後に冷却して正帯電性の疎水性酸化チタン粉末を得た。この酸化チタン粉末について摩擦帯電量の環境変動比を測定したところ0.9であった。また疎水化率は0%であり、画像限界は見られなかった。
【0035】
比較例1
トナーに外添剤を加えずに摩擦帯電量の環境変動比を測定した。この環境変動比は0.2であった。
比較例2
乾式法で製造したBET比表面積が55m2/gの酸化チタン微粉末100重量部をミキサーに入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら3-アミノプロピルトリエトキシシラン8部を滴下し、200℃で2時間加熱攪拌した後に冷却して正帯電性の疎水性酸化チタン粉末を得た。この酸化チタン粉末について摩擦帯電量の環境変動比を測定したところ0.3であった。また疎水化率は12%であり、画像限界は3万枚であった。
【0036】
比較例3
乾式法で製造したBET比表面積が90m2/gの酸化チタン微粉末100重量部をミキサーに入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながらi-ブチルトリメトキシシラン8重量部を滴下し、200℃で2時間加熱攪拌した後に冷却し、負帯電性の疎水性酸化チタン粉末を得た。この酸化チタン粉末について摩擦帯電量の環境変動比を測定したところ0.4であった。また疎水化率は0%であり、画像限界は25,000枚であった。
【0037】
比較例4
乾式法で製造したBET比表面積が150m2/gの酸化チタン微粉末100重量部をミキサーに入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながらn−オクタデシルトリメトキシシラン0.5重量部、3-アミノプロピルトリエトキシシラン0.3部を各々滴下し、200℃で2時間加熱熱攪拌した後に冷却し、正帯電性の疎水性酸化チタン粉末を得た。この酸化チタン粉末について摩擦帯電量の環境変動比を測定したところ0.5であった。また疎水化率は100%であり、画像限界は205,000枚であった。
【0038】
【表1】
Claims (5)
- (イ)温度40℃および湿度85%の高温高湿環境に24時間放置した後の鉄粉との摩擦による帯電量(この帯電量をHH環境下の帯電量と云う)と、温度10℃および湿度20%の低温低湿環境に24時間放置した後の鉄粉との摩擦による帯電量(この帯電量をLL環境下の帯電量と云う)について、(HH環境下の帯電量)/(LL環境下の帯電量)の比を摩擦帯電量の環境変動比とし、
(ロ)45wt%メタノール水溶液の沈降体積と全沈した90wt%のメタノール水溶液との体積比を疎水化率とし、
(ハ)孔径150μm、75μm、45μmの各スクリーンをおのおの振動させながら順次篩い分けし、各スクリーンを全て通過した割合を流動性とするとき、
BET比表面積55〜150m 2 /g、摩擦帯電量の環境変動比が0.7以上〜1.0以下、疎水化率が12%以下、および流動性が87%以上であることを特徴とする正帯電性疎水性酸化チタン微粉末。 - BET比表面積55〜150m2/gの酸化チタン微粉末を原料とし、この酸化チタン微粉末を乾式下で正帯電付与剤と疎水化剤によって表面処理することにより正帯電性と疎水性を付与した酸化チタン微粉末であって、疎水化剤としてシランカップリング剤またはシリコーン化合物を用い、正帯電付与剤としてアミノシランまたはアミノ変性シリコーンオイルを用い、正帯電付与剤/疎水化剤のモル比が0.01〜30であって、両処理剤の総処理剤量と酸化チタン表面のOH基のモル比、すなわち総処理剤量/OH基が0.1以上になるように表面処理してなる請求項1に記載する正帯電性疎水性酸化チタン微粉末。
- 全重量中、炭素量0.5wt%以上、窒素量50ppm以上〜10000ppm以下である請求項1または請求項2の何れかに記載する正帯電性疎水性酸化チタン微粉末。
- BET比表面積55〜150m2/gの酸化チタン微粉末を原料とし、疎水化剤としてシランカップリング剤またはシリコーン化合物を用い、正帯電付与剤としてアミノシランまたはアミノ変性シリコーンオイルを用い、正帯電付与剤/疎水化剤のモル比が0.01〜30であって、両処理剤の総処理剤量と酸化チタン表面のOH基のモル比、すなわち総処理剤量/OH基が0.1以上になるように、正帯電付与剤および疎水化剤を、不燃性ガス下で高速攪拌されている酸化チタン微粉末中に噴霧し、または蒸気と共に導入し、酸化チタン微粉末を乾式下で表面処理することによって、摩擦帯電量の環境変動比が0.7以上〜1.0以下、疎水化率が12%以下、および流動性が87%以上の正帯電性疎水性酸化チタン微粉末を製造することを特徴とする方法。
- 請求項1〜請求項3の何れかに記載する正帯電性疎水性酸化チタン微粉末に、二酸化珪素および/または酸化アルミニウムを添加してなることを特徴とする電子写真用トナー組成物。
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