JP4934988B2 - 積層型圧電体素子及び、これを用いたインジェクタ - Google Patents

積層型圧電体素子及び、これを用いたインジェクタ Download PDF

Info

Publication number
JP4934988B2
JP4934988B2 JP2005128629A JP2005128629A JP4934988B2 JP 4934988 B2 JP4934988 B2 JP 4934988B2 JP 2005128629 A JP2005128629 A JP 2005128629A JP 2005128629 A JP2005128629 A JP 2005128629A JP 4934988 B2 JP4934988 B2 JP 4934988B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concave
piezoelectric element
electrode
groove
insulating filler
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005128629A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006066878A (ja
Inventor
一秀 佐藤
章 藤井
幸紀 右高
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2005128629A priority Critical patent/JP4934988B2/ja
Priority to DE200510034904 priority patent/DE102005034904A1/de
Publication of JP2006066878A publication Critical patent/JP2006066878A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4934988B2 publication Critical patent/JP4934988B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/80Constructional details
    • H10N30/87Electrodes or interconnections, e.g. leads or terminals
    • H10N30/872Connection electrodes of multilayer piezoelectric or electrostrictive devices, e.g. external electrodes
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/50Piezoelectric or electrostrictive devices having a stacked or multilayer structure
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/50Piezoelectric or electrostrictive devices having a stacked or multilayer structure
    • H10N30/503Piezoelectric or electrostrictive devices having a stacked or multilayer structure with non-rectangular cross-section orthogonal to the stacking direction, e.g. polygonal, circular
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02MSUPPLYING COMBUSTION ENGINES IN GENERAL WITH COMBUSTIBLE MIXTURES OR CONSTITUENTS THEREOF
    • F02M63/00Other fuel-injection apparatus having pertinent characteristics not provided for in groups F02M39/00 - F02M57/00 or F02M67/00; Details, component parts, or accessories of fuel-injection apparatus, not provided for in, or of interest apart from, the apparatus of groups F02M39/00 - F02M61/00 or F02M67/00; Combination of fuel pump with other devices, e.g. lubricating oil pump
    • F02M63/0012Valves
    • F02M63/0014Valves characterised by the valve actuating means
    • F02M63/0015Valves characterised by the valve actuating means electrical, e.g. using solenoid
    • F02M63/0026Valves characterised by the valve actuating means electrical, e.g. using solenoid using piezoelectric or magnetostrictive actuators

Description

本発明は、動作信頼性の高い積層型圧電体素子及び、この積層型圧電体素子を利用した燃料噴射用のインジェクタに関する。
従来より、例えば、積層型圧電体素子としては、層状の内部電極が圧電層の全面を覆う構造を呈する全面電極構造のものと、内部電極が圧電層を覆わない部分を残す構造である部分電極構造のものがある。一般に、全面電極構造の積層型圧電体素子では、部分電極構造のものよりも変位が得られやすく、内部電極の端部に応力が集中するおそれも少ない。そのため、全面電極構造を採用すると、高い変位特性を有し、かつ、信頼性の高い積層型圧電体素子を実現できる。
一方、全面電極構造の場合には、積層型圧電体素子の側面全面に、層状の内部電極の外周端部が露出する。そのため、この全面電極構造の積層型圧電体素子では、各内部電極について、一方の側面電極との電気的な接触を確保する一方で、他方の側面電極との電気的な絶縁構造が必要になる。このような積層型圧電体素子について圧電変位が繰り返されると、上記の側面電極と内部電極との間の絶縁構造に大きな応力が繰り返し作用する。そのため、上記絶縁構造では、内部電極と側面電極との間の絶縁性を長期間の使用に渡って維持させるための構造上の工夫が必要になる。従来、例えば、積層型圧電体素子の側面に溝を設けてその溝に絶縁樹脂を充填する絶縁構造が提案されている(例えば、特許文献1〜5)。
特開2001−69771号公報 特開2001−102647号公報 特開2002−111088号公報 特開2001−244513号公報 特開2001−77436号公報
しかしながら、上記従来の絶縁構造では次のような問題がある。すなわち、上記積層型圧電体素子が長期間に渡って使用されると、上記側面電極がセラミック積層体の側面から剥離し、内部電極との電気的な接続が十分でなくなる等、電気的なトラブルを発生するおそれがあるという問題がある。そして、このような電気的なトラブル等により、上記積層型圧電体素子の動作信頼性及び耐久性が低下し、その製品寿命が短くなっていた。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、電気的な信頼性が高く、動作信頼性、耐久性に優れた積層型圧電体素子を提供しようとするものである。
第1の発明は、圧電材料よりなる複数の圧電層と、導電性を有する複数の層状の内部電極とを交互に積層してなるセラミック積層体を有し、該セラミック積層体の側面に第1側面電極及び第2側面電極が設けられ、上記内部電極としては、上記第1側面電極に導通する第1内部電極と、上記第2側面電極に導通する第2内部電極とを交互に配置してなる積層型圧電体素子において、
上記セラミック積層体における上記第1側面電極を設けた側面には、底部に上記第2内部電極の端部を露出させた凹溝である第1凹溝部が設けられ、一方、上記第2側面電極を設けた側面には、底部に上記第1内部電極の端部を露出させた凹溝である第2凹溝部が設けられており、
上記第1凹溝部及び上記第2凹溝部には、それぞれ上記第2内部電極の端部及び上記第1内部電極の端部を覆うように電気絶縁性を有する絶縁充填材が充填されており、
上記第1凹溝部及び上記第2凹溝部に充填された上記絶縁充填材の外表面には、上記セラミック積層体の側面から内方に窪む凹面部が形成されており、
上記絶縁充填材の上記凹面部と、上記第1側面電極あるいは上記第2側面電極との間には、空隙を設けてあることを特徴とする積層型圧電体素子にある(請求項1)。
上記第1の発明の積層型圧電体素子は、上記第1凹溝部及び上記第2凹溝部に充填した上記絶縁充填材の外表面の少なくとも一部に、上記セラミック積層体の側面から内方に向けて窪む凹面部を有している。このように上記絶縁充填材の外表面に凹面部を設ければ、特に、上記セラミック積層体の側面から上記第1側面電極及び上記第2側面電極(以下、適宜、両者をあわせて単に側面電極という。)を剥離させるように作用する応力を効果的に抑制させることができる。
例えば、凹面部に接して側面電極を形成した場合には、熱膨張した上記絶縁充填材から上記側面電極に作用する応力を、上記凹面部の略円弧状を呈する断面形状の内側、つまり、円弧の中心方向に向けて作用させることができる。そして、この場合には、上記応力のうち、積層方向に沿って作用する成分は、上記側面電極内部で吸収される。一方、上記応力のうち、積層型圧電体素子の径方向に作用する成分は、上記側面電極と上記セラミック積層体の側面との間の接合面で、該接合面の法線方向の引っ張り方向に作用する。ここで、一般に、側面電極の接合強度は、接合面の法線方向の引っ張りの力に対して強固であるが、接合面に沿う方向に作用する剪断方向の力に対して弱い。それ故、上記のごとく、凹面部に接して側面電極を形成した場合には、側面電極に対して上記接合面に沿って作用するおそれがある剪断方向の力を、凹面部を設けたことで効果的に抑制できる。その結果、側面電極が剥離等するおそれを抑制できる。
さらに、例えば、絶縁充填材に凹面部を設けると共に、該凹面部の窪み部分と側面電極との間に隙間を設けることも良い。この場合にも、熱膨張した上記絶縁充填材から上記側面電極に作用する応力を抑制することができる。そして、上記絶縁充填材から上記側面電極に作用する応力自体を抑制すれば、該側面電極が剥離等するおそれを確実性高く抑制させることができる。
以上のように、上記第1の発明の積層型圧電体素子では、上記凹面部を設けたことで、セラミック積層体の側面から側面電極が剥離等するおそれが低減される。それ故、上記積層型圧電体素子では、第1(2)内部電極と第1(2)側面電極との電気的な接続を安定的に維持し得ると共に、第1(2)内部電極と第2(1)側面電極との電気的な絶縁性を長期間に渡って信頼性高く維持し得る。
したがって、上記第1の発明の積層型圧電体素子は、各側面電極がセラミック積層体の側面から剥離するおそれが効果的に抑制され、動作信頼性及び耐久性を格段に高めたものとなる。
第2の発明は、圧電アクチュエータの変位を利用して弁体を開閉させ、燃料の噴射制御を行うよう構成されたインジェクタにおいて、
上記圧電アクチュエータは、上記第1の発明の積層型圧電体素子よりなることを特徴とするインジェクタにある(請求項)。
上記第2の発明のインジェクタは、上記の優れた品質の積層型圧電体素子を用いて構成した圧電アクチュエータを用いている。この積層型圧電体素子は、上記セラミック積層体の側面に上記側面電極を耐久性高く接合したものである。そのため、高温雰囲気下という過酷な状態で使用されるインジェクタにおいても、作動時の各側面電極の剥離等の発生を抑制して耐久性を向上でき、インジェクタ全体の動作信頼性の向上を図ることができる。
上記第1の発明においては、上記凹面部は、積層型圧電体素子に許容される温度範囲内の最高温度下で、その窪み形状を維持するように形成されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、許容温度範囲の全域に渡って、上記絶縁充填材の凹面部の窪み形状を維持することで、上記各側面電極が上記セラミック積層体の側面から剥離等するおそれを確実性高く抑制できる。それ故、上記積層型圧電体素子の動作信頼性、耐久性をさらに向上することができる。
また、上記圧電層の線膨張係数と、上記絶縁充填材の線膨張係数との差が、20ppm/℃以上300ppm/℃以下であることが好ましい(請求項3)。
上記圧電層と上記絶縁充填材との間で、線膨張係数の差が上記の範囲にある場合には、熱膨張した上記絶縁充填材の変形度合いが大きくなる。そのため、この絶縁性充填材から側面電極に作用する応力が大きくなるおそれがある。それ故、この場合には、上記側面電極が上記セラミック積層体の側面から剥離等するおそれを抑制できるという上記第1の発明の作用効果が特に有効となる。
また、上記絶縁充填材は、シリコン又は、ポリイミド又は、エポキシ又は、ウレタンの少なくともいずれかを含むものであることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記絶縁充填材を用いて上記積層型圧電体素子の電気的な絶縁信頼性を高めることができる。それ故、上記積層型圧電体素子全体の電気的な信頼性を一層、向上することができる。
また、上記第1側面電極及び上記第2側面電極は、Sn−Agペーストよりなることが好ましい(請求項5)。
Sn−Agペーストは、内部電極と金属的な接合をするため導電性は良好であるが、上記積層型圧電体素子との密着性が低い。そのため、溝部の絶縁樹脂の熱膨張による剥がれに対しては、他の導電材料と比べて弱いおそれがある。したがって、上記各側面電極としてSn−Agペーストを適用する場合には、上記第1の発明の作用効果が特に有効となる。なお、Sn−Agペーストに代えて、樹脂材料にAgを含有させた樹脂銀や、はんだ等により上記側面電極を形成することもできる。
また、上記絶縁充填材の上記凹面部と、上記第1側面電極あるいは上記第2側面電極との間には、空隙を設けてある
この場合には、上記凹面部と上記各側面電極との間に設けた空隙により、熱膨張した絶縁充填材から各側面電極に作用する応力を効果的に抑制できる。それ故、上記積層型圧電体素子では、上記セラミック積層体の側面から上記各側面電極が剥離等するおそれをさらに抑制できる。
また、上記第1凹溝部及び上記第2凹溝部の幅は、5μm以上150μm以下であり、上記凹面部の窪み深さは、2μm以上100μm以下であることが好ましい(請求項)。
この場合には、上記各凹溝部の幅に対して、上記凹面部の窪み深さを上記の範囲に設定すれば、広範な温度範囲において上記凹面部の窪み形状を維持させることができる。それ故、上記積層型圧電体素子は、使用可能な温度範囲が広く、耐熱性、耐久性等に優れたものとなる。
また、上記第1凹溝部及び上記第2凹溝部の溝深さは、10μm以上400μm以下であることが好ましい(請求項)。
この場合には、圧電層を覆う内部電極の有効電極面積の減少が少なく、積層型圧電体素子の良好な変位特性を十分に維持することができる。なお、上記溝深さが400μmを超えると変位特性への影響が顕在化するおそれがある。一方、上記溝深さが10μm未満であると絶縁充填材による電気的な絶縁を十分に確保できなくなるおそれがある。
また、上記第1凹溝部及び上記第2凹溝部に充填された上記絶縁充填材の外表面には、上記凹面部が形成されていない非凹面部が存在しており、上記各第1凹溝部及び上記各第2凹溝部における、全長をA、上記非凹面部の部分の長さをBとした場合、(A−B)/Aが0.3以上であることが好ましい(請求項)。
即ち、上記凹面部は、上記絶縁充填材の外表面の全ての部分において形成されている必要はなく、一部において上記凹面部が形成されていない部分、つまり、上記非凹面部が形成されていてもよい。
上記(A−B)/Aが0.3未満の場合には、上記セラミック積層体の側面から上記各側面電極が剥離等するおそれを抑制する効果を充分に得ることができないおそれがある。それ故に、より好ましくは、上記(A−B)/Aが0.6以上である。
なお、上記の全長Aは、上記各第1凹溝部及び上記各第2凹溝部の個々の長さによって決まるものである。
参考例1
本例は、圧電効果を奏する積層型圧電体素子1に関する例である。この内容について図1〜図19を用いて説明する。
本例の積層型圧電体素子1は、図1に示すごとく、圧電材料よりなる複数の圧電層11と、導電性を有する複数の層状の内部電極21、22とを交互に積層してなるセラミック積層体10を有し、該セラミック積層体10の側面101、102に第1側面電極31及び第2側面電極32を設けたものである。内部電極21、22としては、第1側面電極31に導通する第1内部電極(以下、適宜第1内部電極21と記載する。)と、第2側面電極32に導通する第2内部電極(以下、適宜第2内部電極22と記載する。)とを交互に配置してある。
上記セラミック積層体10における第1側面電極31を設けた側面101には、底部410に第2内部電極22の端部を露出させた凹溝である第1凹溝部41が設けられ、一方、第2側面電極32を設けた側面102には、底部420に第1内部電極21の端部を露出させた凹溝である第2凹溝部42が設けられている。
そして、第1凹溝部41及び第2凹溝部42には、図2に示すごとく、それぞれ第2内部電極22の端部及び第1内部電極21の端部を覆うように電気絶縁性を有する絶縁充填材5が充填されている。ここで、第1凹溝部41及び第2凹溝部42に充填された絶縁充填材5の外表面には、セラミック積層体10の側面101、102から内方に窪む凹面部50が形成されている。
以下に、この内容について詳しく説明する。
本例の積層型圧電体素子1は、図1に示すごとく、印加電圧に応じて伸縮する圧電層11と印加電圧供給用の内部電極21、22とを交互に積層構成した八角柱形状のセラミック積層体10を有している。そして、その側面のうち一対の側面101、102には、上記第1側面電極31、第2側面電極32をそれぞれ設け、さらにこれらには外部電極接続用のリード線7が接続されている。なお、本例では、セラミック積層体10の積層方向の上端と下端には、圧電効果を生じないダミー層18、19を設けてある。積層体形状は、上記以外にも円柱、3角柱、4角柱等でもいい。又、側面電極31、32は向き合っている必要はない。更に、リード線7は積層体上部のみでなく、下部まであってもいい。
第1内部電極21は、図1及び図2に示すごとく、側面101にその端部を露出させ、第1側面電極31と電気的に接触している。一方、側面101に対向する側面102では、第1内部電極21は、第2凹溝部42の底部420に露出し、この第2凹溝部42に充填した絶縁充填材5によって覆われている。そして、この絶縁充填材5の外方には、上記第2側面電極32を配設してある。
同様に、第2内部電極22は、側面102にその端部を露出させ、第2側面電極32と電気的に接触している。一方、側面102に対向する側面101では、第2内部電極22は、第1凹溝部41の底部410に露出し、この第1凹溝部41に充填した絶縁充填材5によって覆われている。そして、この絶縁充填材5の外方には、上記第1側面電極31を配設してある。
また、各第1凹溝部41及び第2凹溝部42は、図2及び図9に示すごとく、その底部410、420がなす底面が、側面101、102と略平行となるよう設けられ、その溝深さDは約100μmである。また、各第1凹溝部41及び第2凹溝部42の溝幅Wは約70μmとし、厚みL=80μmである圧電層11の約90%の厚みとした。なお、本例の第1凹溝部41及び第2凹溝部42は、断面略矩形状を呈している。
そして、各第1凹溝部41及び第2凹溝部42には、上記のごとく、絶縁充填材5を充填してある。本例では、絶縁充填材5としては、材質ポリイミドよりなる樹脂材料を溶剤としてのγ−ブチルラクトンに溶解させたものを用いた。本例では、100重量%の絶縁充填材5中の溶剤であるγ−ブチルラクトンの含有比率を50重量%とした。なお、絶縁充填材5を構成する樹脂材料としては、本例のポリイミドのほか、エポキシ、シリコン、ウレタン等を用いることもできる。また、絶縁充填材5を構成する溶剤としては、本例のγ−ブチルラクトンのほか、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸ブチル、ブチルセルソルブ等を用いることもできる。
ここで、本例では、図2に示すごとく、各凹溝部41、42に充填した絶縁充填材5の外表面(セラミック積層体10の外周側に面する表面)に、凹面部50を形成してある。本例では、各凹溝部41、42の積層方向の溝幅W=70μmに対して、凹面部50の深さDp=20μmとしてある。なお、本例の凹面部50の深さDp=20μmは、積層型圧電体素子1の最高許容温度である160℃まで絶縁充填材5が加熱され、熱膨張したとしても、凹面部50の窪み形状がある程度維持(Dp>0の状態。)できるように設定した値である。
また、上記第1側面電極31及び第2側面電極32は、各側面101、102に塗付したSn−Agペーストを加熱して形成した。Sn−Agペーストよりなる側面電極31、32は、接合力と柔軟性とが両立されており、変位特性を低下させることなく耐久性を向上することができる。なお、側面電極31、32としては、電気絶縁性を有する樹脂材料中に導電性材料を含有させてなる導電性樹脂層より構成することも良い。例えば、材質エポキシ、シリコン、ポリイミド、ウレタン等を樹脂材料として用い、導電性材料として銀、Ni、銅等を含有させることができる。その他、側面電極31、32としては、はんだ等により形成することもできる。
また、側面電極31、32としては、2つの材料を積層して形成しても良い。例えば、図3に示すごとく、Sn−Agペーストよりなる第1の側面電極層31a、32aの表面に、銀フィラー添加のエポキシ樹脂よりなる第2の側面電極層31b、32bを形成することができる。
次に、上記構成の積層型圧電体素子1の製造方法につき簡単に説明する。
まず、圧電材料となるセラミックグリーンシートを焼成して上記圧電層11を得る圧電層焼成工程を行う。
本例では、上記圧電層11としてPZTを採用すべく、次のようにグリーンシートを作製した。まず、圧電材料の主原料となる酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、炭酸ストロンチウム等の粉末を所望の組成となるように秤量する。また、鉛の蒸発を考慮して、上記混合比組成の化学量論比よりも1〜2%リッチになるように調合する。これを混合機にて乾式混合し、その後800〜950℃で仮焼する。
次いで、仮焼粉に純水、分散剤を加えてスラリーとし、パールミルにより湿式粉砕する。この粉砕物を乾燥、粉脱脂した後、溶剤、バインダー、可塑剤、分散剤等を加えてボールミルにより混合する。その後、このスラリーを真空装置内で撹拌機により撹拌しながら真空脱泡、粘度調整をする。
次いで、スラリーをドクターブレード装置により一定厚みのグリーンシートに成形する。回収したグリーンシートはプレス機で打ち抜くか、切断機により切断し、7mm角の四角形に成形した。なお、得ようとする積層型圧電体素子1の形状に応じて、四角形、楕円形、樽型などに成形することも勿論可能である。
次に、このグリーンシートを脱脂処理した後に、焼成して圧電層11を得る。脱脂処理は、グリーンシートを電気炉により400〜700℃の温度に所定時間保持することにより行った。また、焼成処理は、グリーンシートを900〜1200℃の温度に所定時間保持して行った。このようにして、本例では厚みが80μmであり、主にPb(Zr、Ti)O3系のペロブスカイト構造の酸化物であるPZTを焼成した圧電層11を、1層ごとに別々に形成した。
次に、図4に示すごとく、得られた圧電層11と、Cuを含有する電極材料20とを交互に積層してなる積層体を作製する積層体作製工程を行った。
本例では、上記電極材料20として、純度99.9%のCuよりなり、厚み5μmの銅箔を用いた。また、銅箔の形状は、図4に示すごとく、7mm角の四角形とし、圧電層11と同じにした。そして、圧電層11と電極材料20とを交互に積層し、圧電層11の積層数が250層となるように積層体を作製した。また、この積層体の積層方向の上下端には、それぞれダミー層となる圧電層11を配置した。
次に、上記積層体にその積層方向から約3MPaの荷重を加えた状態で炉内に配置し、その炉内雰囲気を1×10-2Paの真空度まで真空引きした後、炉内の圧力が10Paに維持されるよう不活性ガスとしてのN2ガスを炉内に導入した。そして、温度960℃に10分間保持することにより、上記電極材料20よりなる内部電極21、22と圧電層11とを接合する加熱接合工程を実施した。
これにより、図5に示すごとく、4つの側面101〜104を有し、これらの側面全面に端部を露出させた内部電極21、22を有する略四角柱形状のセラミック積層体10を得る。
次に、図6に示すごとく、上記四角柱形状の角部を平面研削し、新たに4つの側面105〜108を設け、略八角柱形状のセラミック積層体10を成形する。
次に、図7に示すごとく、セラミック積層体10の側面101に露出した第2内部電極22の端部に沿ってレーザを照射して溝加工を行い、第1凹溝部41を形成した。また同様に、セラミック積層体10の側面102に露出した第1内部電極21の端部に沿ってレーザを照射して溝加工を行い、第2凹溝部42を形成した。本例では、上記レーザとしてCO2レーザを用い、ガルバノ光学スキャナーを用いて走査しながら照射する方法を採用した。なお、この溝加工は、レーザ照射による加工に代えて、砥石による研削やショットブラスト等を利用して行うこともできる。なお、第1凹溝部41及び第2凹溝部42の断面形状は、上述したごとく、溝深さD=100μm、溝幅W=70μm(図2参照。)とした。
次に、図8に示すごとく、第1凹溝部41及び第2凹溝部42内に、ディスペンサーを用いて絶縁充填材5を供給した後、真空引きすることにより、第1凹溝部41及び第2凹溝部42内に隙間なく絶縁充填材5を充填した。これ以外の充填方法としては、スクリーン印刷、メタルマスク印刷等も可能である。その後、絶縁充填材5に対し、温度200℃に60分間保持する加熱処理を加え、絶縁充填材5を熱硬化させた。
なお、本例では、硬化後の絶縁充填材5の表面に、深さDp=20μmの上記の凹面部50(図2)を形成するように、凹溝部41、42に絶縁充填材5を充填した。本例では、硬化時に溶剤であるγ−ブチルラクトンが揮発し、約20%の硬化収縮を生じるという本例の絶縁充填材5の特性を利用し、セラミック積層体10の側面101、102と、凹溝部41、42に充填した絶縁性充填材5の表面とが、略面一となるように硬化前の絶縁充填材5を充填した。これにより、凹溝部41、42に充填した絶縁充填材5の硬化収縮により、深さDp=20μmの凹面部50を形成した。なお、セラミック積層体10の側面101、102からの窪み量であるDpを調整する方法としては、絶縁充填材5の充填時において、その充填量を調整する方法や、所定の充填量に対して絶縁充填材5中の溶剤の含有比率を調整する方法等がある。
次に、セラミック積層体の側面101、102に、Sn−Agペーストを印刷(本例では、メタルマスク法により印刷。)し、その後、温度260℃、3MPa加圧の状態に、120分保持して熱硬化させた。これにより、図1及び図9に示すごとく、側面101においては第1側面電極31と各第1内部電極21との間の電気的導通を確保し、側面102においては第2側面電極32と各第2内部電極22との間の電気的導通を確保した。なお、側面電極31、32としては、本例のSn−Agペーストのほか、はんだ、銀フィラー添加のエポキシ樹脂等により形成することができる。そして、図1に示す本例の積層型圧電体素子は、銀フィラー添加のエポキシ樹脂を用いて、第1側面電極31及び第2側面電極32にリード線7を接合したものである。
次に、本例の積層型圧電体素子1における作用効果につき説明する。
本例の積層型圧電体素子1は、上記のごとく、第1凹溝部41及び第2凹溝部42に充填した絶縁充填材5における外表面に、セラミック積層体10の側面101、102から内方に窪む凹面部50を形成してある。特に、本例では、積層型圧電体素子1の最高許容温度である160℃下においても、上記凹面部50がその窪み形状(Dp>0である形状。)を維持するように構成してある。
ここで、絶縁充填材5が熱膨張すると、絶縁充填材5から第1側面電極31又は第2側面電極32に応力が作用する。一般に、側面電極31、32の接合強度は、接合面である側面101、102の法線方向の引っ張りの力に対して強固であるが、側面101、102に沿う方向に作用する剪断方向の力に対して弱い。
本例では、絶縁充填材5の外表面に凹面部50を設けたことで、図10に示すごとく、絶縁充填材5が初期状態(実線L1で示す状態。)から熱膨張した状態(破線L2で示す状態。)に変形したときに側面電極31、32に作用する応力は、図中、矢印で示すごとく凹面部50の略円弧状を呈する断面形状の内側、つまり、円弧の中心方向に向けて作用する。そのため、上記応力のうち、積層方向に沿って作用する剪断方向の成分は、側面電極31、32内部で吸収される。一方、上記応力のうち、積層型圧電体素子1の径方向に作用する成分は、側面電極31、32とセラミック積層体10の側面101、102との間の接合面で、該接合面の法線方向の引っ張り方向に作用する。
以上のように、本例の積層型圧電体素子1の絶縁充填材5では、その外表面に凹面部50を設けたことにより、各側面電極31、32に対して側面101、102に沿って作用する剪断方向の力を抑制してある。それ故、セラミック積層体10の側面101、102から側面電極31、32が剥離等するおそれが少ない。
ここで、比較のために、セラミック積層体10の側面101、102に対して絶縁充填材5の外表面を略面一に形成した場合に起こり得るトラブルについて説明する。図11に示すごとく、絶縁充填材5の外表面をセラミック積層体10の側面101、102と略面一にすると、絶縁充填材5が、熱膨張により、その初期状態(実線L1で示す状態。)から熱膨張した状態(破線L2で示す状態。)に変形すると、側面電極31、32に対して、図中矢印で示すごとく応力が作用する。すなわち、絶縁充填材5が熱膨張してなる凸状湾曲面(破線L2で示す面。)から放射方向に応力が作用する。ここでは、セラミック積層体10の側面101、102に沿って発生する剪断方向の成分が側面電極31、32の内部で吸収されない。そして、この剪断方向の成分の力が、側面電極31、32とセラミック積層体10の側面101、102との接合面に直接、作用する。それ故、この場合には、長期間の使用に渡って、絶縁充填材5に冷熱サイクルが作用すると、セラミック積層体10の側面101、102から側面電極31、32が剥離するおそれがある。
これに対して、本例の積層型圧電体素子1では、上述したように、側面電極31、32がセラミック積層体10の側面101、102から剥離等するおそれが少ない。そのため、内部電極21(22)と側面電極31(32)との間の電気的な接続を安定的に維持し得ると共に、内部電極21(22)と側面電極32(31)との間の電気的な絶縁性を長期間に渡って信頼性高く維持し得る。
それ故、例えば、積層型圧電体素子1に冷熱サイクルを繰り返して付与しても、セラミック積層体10の側面101、102に形成した側面電極31、32が良好な状態に維持され得る。これにより、上記積層型圧電体素子1は、従来よりも、側面電極31(32)と内部電極21(22)との間の電気的な信頼性が高いものとなる。
さらに、第1凹溝部41及び第2凹溝部42の溝幅Wを上記のごとく、圧電層11の厚みLの90%に設定してある。そのため、積層型圧電体素子1の圧電変位に応じて絶縁充填材5に過大な内部応力等が発生するおそれを抑制でき、クラック、剥がれ等の不具合の抑制効果を一層、高めることができる。なお、内部電極としては、本例の銅に代えて、銀又は銀−パラジウム合金を含む内部電極を形成しても良い。
なお、凹面部50の形成形状としては、本例の湾曲凹状のほか、三角形状(図12)、台形状(図13)等様々な形状とすることができる。さらに、凹面部50は、積層方向の対称形状であっても、非対称形状(図14、図15)であっても良い。
また、凹溝部41、42の形成形状としては、本例の長方形状のほか、三角形状(図16)、台形状(図17)、多角形状(図18)等様々な形状とすることができる。さらに、凹溝部41、42は、積層方向の対称形状であっても、非対称形状(図19)であっても良い。
参考例2
本例は、参考例1の積層型圧電体素子1における各凹溝部の凹面部の深さDpを変更して、その耐久性を調べた例である。この内容について、図20及び図21を用いて説明する。
本例では、各積層型圧電体素子に対して、サイクル時間60min、−40℃〜160℃の冷熱サイクルを500サイクル実施した後の側面電極と内部電極との間の電気的な接触抵抗を測定した。
その結果を図20に示す。同図では、横軸に凹面部の窪み量Dpを規定し、縦軸に内部電極と側面電極との間の電気的な接触抵抗である抵抗値を規定してある。同図から知られるように、凹面部の窪み量Dpがゼロを超えると、上記抵抗値が小さくなっている。すなわち、Dpをゼロよりも大きくして絶縁充填材の表面に凹面部を設けることで、側面電極と内部電極との電気的な接触箇所の耐久性、信頼性を向上できる。特に、Dpがゼロを超えて約4μmまでの領域では、Dpがゼロを超えて大きくなるにつれて、側面電極と内部電極との接触箇所の耐久性が向上するという効果が顕著である。そして、Dp=約4μmのところで変曲点Aを迎え、Dp=約4μm以上の領域では、Dpを大きくしても、側面電極と内部電極との接触箇所の耐久性が累積的に高まるという効果が薄れている。
本例では、さらに、凹溝部の溝深さDに対して、上記の変曲点Aの位置がどのように変化するかを調べた。この結果を図21に示す。同図では、凹溝部の溝深さDを横軸に規定し、溝深さDに対応する変曲点Aの窪み量Dpを縦軸に規定している。同図から知られるように、凹溝部の溝深さDと変曲点Aの窪み量Dpとの関係は、Dp=(5%/100%)×Dを表す近似直線B(図中、破線で示す。)によって近似できる。したがって、凹面部の窪み量Dpの大きさを、凹溝部の溝深さDのおよそ5%以上に設定すれば、内部電極と側面電極との電気的な接触箇所の耐久性を高めるという作用効果を最大に近づけることができる。
一方、凹溝部の溝深さDに対して凹面部の窪み量Dpを過大にすると、内部電極の外周端部を覆う絶縁充填材の量が十分でなくなるおそれがある。それ故、内部電極と側面電極との電気的な接触箇所の耐久性を高めるという作用効果と、絶縁充填材により内部電極の外周端部を覆って電気的な絶縁性を確実にするという作用効果とを、高いレベルで両立するためには、凹面部の窪み量Dpの大きさを、凹溝部の溝深さDのおよそ5%以上90%以下に設定するのが好ましい。
なお、その他の構成及び作用効果については参考例1と同様である。
実施例1
本例は、参考例1の積層型圧電体素子1を基にして、絶縁充填材と側面電極との間に隙間を設けた例である。この内容について、図22及び図23を用いて説明する。
本例では、図22に示すごとく、側面電極31(32)におけるセラミック積層体10側の当接面を略平坦に形成することで、絶縁充填材5の凹面部50との間に隙間505を設けてある。
本例では、同図に示すごとく、セラミック積層体10の側面101(102)に塗布するSn−Agペーストの粘性を高く設定することで、凹面部50と側面電極31(32)との間に隙間505が形成されるようにした。すなわち、側面電極31(32)をなすSn−Agペーストの粘性を高くすると、絶縁充填材5の凹面部50が形成する窪み内に入り込み難くなり、セラミック積層体10の側面101(102)に沿って側面電極31(32)が形成される。これにより、凹面部50と側面電極31(32)との間に隙間505を空けることができる。
なお、側面電極31(32)を形成する電極材料の粘性をコントロールして上記の隙間505を設ける方法に代えて、側面電極31(32)を形成する際の熱処理温度をコントロールして上記隙間505を形成することもできる。一般に、側面電極31(32)を形成するための電極材料は、加熱されると一旦、粘度が低下し、その後、粘度が上昇するという粘度特性を有している。そして、この粘度特性を積極的に活用できるように熱処理の際の加熱プロファイルを適宜、設定することにより電極材料が硬化する際の粘度を高くすれば、上記隙間505を形成することができる。
さらになお、凹溝部41(42)の溝形状及び、凹面部50の形成形状については、参考例1と同様、様々な形状を採用することができる。
また、図23には、本例の積層型圧電体素子について、参考例2と同様の冷熱サイクル試験を実施した結果を示している。すなわち、同図では、凹面部50の隙間量Dpと、冷熱サイクル後における側面電極31(32)と内部電極21(22)との電気的な接触抵抗の大きさとの関係を示す。同図では、縦軸に側面電極31(32)と内部電極21(22)との間の抵抗値を規定し、横軸に凹面部50の隙間量Dpを規定している。
図23から知られるように、凹面部50の隙間量Dpがゼロを超えると、上記抵抗値が小さくなっている。すなわち、Dpをゼロよりも大きくして絶縁充填材5の表面に凹面部50を設けることで、側面電極31(32)と内部電極21(22)との電気的な接触箇所の耐久性、信頼性を向上できる。特に、Dpがゼロを超えて約1μmまでの領域では、Dpがゼロを超えて大きくなるに伴って、側面電極と内部電極との接触箇所の耐久性が向上するという効果が顕著である。そして、Dp=約1μmのところで変曲点Aを迎え、Dp=約1μm以上の領域では、Dpを大きくするにつれて、側面電極と内部電極との接触箇所の耐久性が累積的に高まるという効果が若干、薄れている。
なお、その他の構成及び作用効果については参考例1と同様である。
参考例3
本例は、参考例1の積層型圧電体素子1を基にして、各凹溝部に充填された絶縁充填材の外表面の一部に非凹面部が形成されている例である。この内容について、図24〜図29を用いて説明する。
本例では、図24、図25に示すごとく、凹溝部41、42に充填された絶縁充填材5の外表面の一部に、凹面部50が形成されていない部分である非凹面部51が設けられている。ここで、非凹面部51とは、凹溝部41、42に充填された絶縁充填材5の外表面がセラミック積層体10の側面101、102から外方に突出して形成されている部分(図26〜図28)、またはセラミック積層体10の側面101、102に沿って形成されている部分(図29)をいう。
例えば、図30、図31のような複雑な形状の場合、絶縁充填材5がセラミック積層体10の側面101、102に対して内方に窪んでいる部分の面積Sと外方に突出している部分の面積Tとを比較し、S>Tであれば凹面部、S≦Tであれば非凹面部と判断することができる。なお、内方に窪んでいる部分又は外方に突出している部分が複数ある場合には、各部分の面積の和により面積S又は面積Tを求める。例えば、図30では、S=s1、T=t1+t2となる。また、図31では、S=s2+s3、T=t3となる。
この非凹面部51は、図25に示すごとく、各第1凹溝部41及び各第2凹溝部42における全長をA、非凹面部51が形成されている部分の長さをBとした場合、(A−B)/Aが0.3以上となるように形成してある。非凹面部51が複数形成されている場合には、その部分の長さの和をBとする。例えば、図25では、B=b1+b2となる。なお、上記の全長Aは、形成する第1凹溝部41及び第2凹溝部42の個々の長さによって決まるものである。
また、本例では、セラミック積層体10の形状が四角柱のものを用いた(図5参照)。
その他は、参考例1と同様の構成である。
この場合には、参考例1と同様に、絶縁充填材5の外表面に凹面部50を設けたことにより、セラミック積層体10の側面101、102から側面電極31、32が剥離等するおそれを抑制することができる。
また、上記の効果をより充分、かつ確実に得るためには、上記(A−B)/Aが0.6以上となるように凹面部50を形成すればよい。
その他は、参考例1と同様の作用効果を有する。
参考例4
本例は、参考例1又は参考例2の積層型圧電体素子1をインジェクタ6の圧電アクチュエータとして用いた例である。
本例のインジェクタ6は、図32に示すごとく、ディーゼルエンジンのコモンレール噴射システムに適用したものである。
このインジェクタ6は、同図に示すごとく、駆動部としての上記積層型圧電体素子1が収容される上部ハウジング62と、その下端に固定され、内部に噴射ノズル部64が形成される下部ハウジング63を有している。
上部ハウジング62は略円柱状で、中心軸に対し偏心する縦穴621内に、積層型圧電体素子1が挿通固定されている。縦穴621の側方には、高圧燃料通路622が平行に設けられ、その上端部は、上部ハウジング62上側部に突出する燃料導入管623内を経て外部のコモンレール(図略)に連通している。
上部ハウジング62上側部には、また、ドレーン通路624に連通する燃料導出管625が突設し、燃料導出管625から流出する燃料は、燃料タンク(図略)へ戻される。ドレーン通路624は、縦穴621と駆動部(圧電体素子)1との間の隙間60を経由し、さらに、この隙間60から上下ハウジング62、63内を下方に延びる図示しない通路によって後述する三方弁651に連通している。
噴射ノズル部64は、ピストンボデー631内を上下方向に摺動するノズルニードル641と、ノズルニードル641によって開閉されて燃料溜まり642から供給される高圧燃料をエンジンの各気筒に噴射する噴孔643を備えている。燃料溜まり642は、ノズルニードル641の中間部周りに設けられ、上記高圧燃料通路622の下端部がここに開口している。ノズルニードル641は、燃料溜まり642から開弁方向の燃料圧を受けるとともに、上端面に面して設けた背圧室644から閉弁方向の燃料圧を受けており、背圧室644の圧力が降下すると、ノズルニードル641がリフトして、噴孔643が開放され、燃料噴射がなされる。
背圧室644の圧力は三方弁651によって増減される。三方弁651は、背圧室644と高圧燃料通路622、またはドレーン通路624と選択的に連通させる構成である。ここでは、高圧燃料通路622またはドレーン通路624へ連通するポートを開閉するボール状の弁体を有している。この弁体は、上記駆動部1により、その下方に配設される大径ピストン652、油圧室653、小径ピストン654を介して、駆動される。
そして、本例においては、上記構成のインジェクタ6における駆動源として、参考例1で示した上記積層型圧電体素子1を用いている。この積層型圧電体素子1は、上記のごとく、内部電極21、22と側面電極31、32との間の絶縁構造の信頼性が高く、非常に耐久性に優れたものである。そのため、高温雰囲気下という過酷な状態で使用されるインジェクタ6においても、作動時のクラックの発生を抑制することができ、耐久性を向上させることができ、インジェクタ6全体の性能向上及び信頼性向上を図ることができる。
なお、その他の構成及び作用効果については、参考例1あるいは参考例2と同様である。
参考例1における、積層型圧電体素子の構造を示す説明図。 参考例1における、絶縁充填材の凹面部の周辺構造を示す説明図。 参考例1における、積層型圧電体素子の別構造を示す説明図。 参考例1における、セラミック積層体の積層順序を示す説明図。 参考例1における、四角柱形状のセラミック積層体を示す説明図。 参考例1における、八角柱形状のセラミック積層体を示す説明図。 参考例1における、第1凹溝部及び第2凹溝部を形成した状態を示す説明図。 参考例1における、第1凹溝部及び第2凹溝部に絶縁充填材を充填した状態を示す説明図。 参考例1における、積層型圧電体素子の積層方向に直交する断面を示す説明図。 参考例1における、絶縁充填材の熱膨張により側面電極に作用する応力を示す説明図。 参考例1における、比較例の絶縁充填材の熱膨張により側面電極に作用する応力を示す説明図。 参考例1における、その他の凹面部の形状を示す説明図。 参考例1における、その他の凹面部の形状を示す説明図。 参考例1における、その他の凹面部の形状を示す説明図。 参考例1における、その他の凹面部の形状を示す説明図。 参考例1における、その他の凹溝部の形状を示す説明図。 参考例1における、その他の凹溝部の形状を示す説明図。 参考例1における、その他の凹溝部の形状を示す説明図。 参考例1における、その他の凹溝部の形状を示す説明図。 参考例2における、冷熱サイクルによる信頼性試験実施後の窪み量Dpと抵抗値との関係を示すグラフ。 参考例2における、溝深さDと窪み量Dpとの関係を示すグラフ。 実施例1における、絶縁充填材の凹面部の周辺構造を示す説明図。 実施例1における、冷熱サイクルによる信頼性試験実施後の窪み量Dpと抵抗値との関係を示すグラフ。 参考例3における、セラミック積層体の構造を示す説明図。 参考例3における、セラミック積層体の側面の構造を示す説明図。 参考例3における、絶縁充填材の非凹面部を示す説明図。 参考例3における、絶縁充填材の非凹面部を示す説明図。 参考例3における、絶縁充填材の非凹面部を示す説明図。 参考例3における、絶縁充填材の非凹面部を示す説明図。 参考例3における、絶縁充填材の凹面部又は非凹面部の判断方法を示す説明図。 参考例3における、絶縁充填材の凹面部又は非凹面部の判断方法を示す説明図。 参考例4における、インジェクタの断面構造を示す説明図。
符号の説明
1 積層型圧電体素子
10 セラミック積層体
101、102 側面(セラミック積層体の側面)
11 圧電層
21 第1内部電極(内部電極)
22 第2内部電極(内部電極)
31 第1側面電極(側面電極)
32 第2側面電極(側面電極)
41 第1凹溝部(凹溝部)
42 第2凹溝部(凹溝部)
410、420 底部
5 絶縁充填材
50 凹面部
51 非凹面部
505 隙間
6 インジェクタ

Claims (9)

  1. 圧電材料よりなる複数の圧電層と、導電性を有する複数の層状の内部電極とを交互に積層してなるセラミック積層体を有し、該セラミック積層体の側面に第1側面電極及び第2側面電極が設けられ、上記内部電極としては、上記第1側面電極に導通する第1内部電極と、上記第2側面電極に導通する第2内部電極とを交互に配置してなる積層型圧電体素子において、
    上記セラミック積層体における上記第1側面電極を設けた側面には、底部に上記第2内部電極の端部を露出させた凹溝である第1凹溝部が設けられ、一方、上記第2側面電極を設けた側面には、底部に上記第1内部電極の端部を露出させた凹溝である第2凹溝部が設けられており、
    上記第1凹溝部及び上記第2凹溝部には、それぞれ上記第2内部電極の端部及び上記第1内部電極の端部を覆うように電気絶縁性を有する絶縁充填材が充填されており、
    上記第1凹溝部及び上記第2凹溝部に充填された上記絶縁充填材の外表面には、上記セラミック積層体の側面から内方に窪む凹面部が形成されており、
    上記絶縁充填材の上記凹面部と、上記第1側面電極あるいは上記第2側面電極との間には、空隙を設けてあることを特徴とする積層型圧電体素子。
  2. 請求項1において、上記凹面部は、積層型圧電体素子に許容される温度範囲内の最高温度下で、その窪み形状を維持するように形成されていることを特徴とする積層型圧電体素子。
  3. 請求項1又は2において、上記圧電層の線膨張係数と、上記絶縁充填材の線膨張係数との差が、20ppm/℃以上300ppm/℃以下であることを特徴とする積層型圧電体素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記絶縁充填材は、シリコン又は、ポリイミド又は、エポキシ又は、ウレタンの少なくともいずれかを含むものであることを特徴とする積層型圧電体素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、上記第1側面電極及び上記第2側面電極は、Sn−Agペーストよりなることを特徴とする積層型圧電体素子。
  6. 請求項1〜のいずれか1項において、上記第1凹溝部及び上記第2凹溝部の幅は、5μm以上150μm以下であり、上記凹面部の窪み深さは、2μm以上100μm以下であることを特徴とする積層型圧電体素子。
  7. 請求項1〜のいずれか1項において、上記第1凹溝部及び上記第2凹溝部の溝深さは、10μm以上400μm以下であることを特徴とする積層型圧電体素子。
  8. 請求項1〜のいずれか1項において、上記第1凹溝部及び上記第2凹溝部に充填された上記絶縁充填材の外表面には、上記凹面部が形成されていない非凹面部が存在しており、上記各第1凹溝部及び上記各第2凹溝部における、全長をA、上記非凹面部の部分の長さをBとした場合、(A−B)/Aが0.3以上であることを特徴とする積層型圧電体素子。
  9. 圧電アクチュエータの変位を利用して弁体を開閉させ、燃料の噴射制御を行うよう構成されたインジェクタにおいて、
    上記圧電アクチュエータは、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層型圧電体素子よりなることを特徴とするインジェクタ。
JP2005128629A 2004-07-27 2005-04-26 積層型圧電体素子及び、これを用いたインジェクタ Expired - Fee Related JP4934988B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005128629A JP4934988B2 (ja) 2004-07-27 2005-04-26 積層型圧電体素子及び、これを用いたインジェクタ
DE200510034904 DE102005034904A1 (de) 2004-07-27 2005-07-26 Gestapeltes piezoelektrisches Element und dieses verwendende Injektionseinrichtung

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004219108 2004-07-27
JP2004219108 2004-07-27
JP2005128629A JP4934988B2 (ja) 2004-07-27 2005-04-26 積層型圧電体素子及び、これを用いたインジェクタ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006066878A JP2006066878A (ja) 2006-03-09
JP4934988B2 true JP4934988B2 (ja) 2012-05-23

Family

ID=35721682

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005128629A Expired - Fee Related JP4934988B2 (ja) 2004-07-27 2005-04-26 積層型圧電体素子及び、これを用いたインジェクタ

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4934988B2 (ja)
DE (1) DE102005034904A1 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102006011293A1 (de) * 2006-03-10 2007-09-13 Siemens Ag Piezoaktor und Verfahren zum Herstellen eines Piezoaktors
ATE432537T1 (de) * 2006-03-17 2009-06-15 Delphi Tech Inc Piezoelektrischer aktor
WO2010013670A1 (ja) * 2008-07-29 2010-02-04 京セラ株式会社 積層型圧電素子およびこれを用いた噴射装置ならびに燃料噴射システム
JP5594557B2 (ja) * 2008-10-15 2014-09-24 株式会社リコー 圧電アクチュエータと液滴吐出ヘッド及び画像形成装置
DE102010022911B4 (de) * 2010-06-07 2017-01-19 Continental Automotive Gmbh Verfahren zum Herstellen eines Piezoaktors und Piezoaktor
DE102012107341B4 (de) 2012-08-09 2020-07-09 Tdk Electronics Ag Verfahren zum Befüllen von mindestens einer Kavität eines Vielschichtbauelements mit einem Füllmaterial
KR200477826Y1 (ko) 2014-09-23 2015-07-28 홍성욱 활성수 제조를 위한 수 처리기
DE102015214778A1 (de) * 2015-08-03 2017-02-09 Continental Automotive Gmbh Herstellungsverfahren zum Herstellen eines elektromechanischen Aktors und elektromechanischer Aktor
DE102015215204A1 (de) * 2015-08-10 2017-02-16 Continental Automotive Gmbh Herstellungsverfahren zum Herstellen eines elektromechanischen Aktors und elektromechanischer Aktor.
CN107180912B (zh) * 2017-06-09 2019-08-20 西人马联合测控(泉州)科技有限公司 压电陶瓷堆叠结构及压电式传感器
KR102568647B1 (ko) * 2017-12-11 2023-08-22 쑤저우 레킨 세미컨덕터 컴퍼니 리미티드 압전 센서 및 압전 센서의 제조 방법

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04253383A (ja) * 1991-01-30 1992-09-09 Nec Corp 圧電アクチュエータ
JP3668072B2 (ja) * 1999-09-28 2005-07-06 京セラ株式会社 積層型圧電アクチュエータ
JP2001244514A (ja) * 2000-02-29 2001-09-07 Kyocera Corp 積層型圧電アクチュエータおよびこれを用いた噴射装置
DE10152490A1 (de) * 2000-11-06 2002-05-08 Ceramtec Ag Außenelektroden an piezokeramischen Vielschichtaktoren
JP2003051627A (ja) * 2001-08-07 2003-02-21 Ricoh Co Ltd 圧電型駆動体及びその製造方法、圧電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006066878A (ja) 2006-03-09
DE102005034904A1 (de) 2006-02-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4934988B2 (ja) 積層型圧電体素子及び、これを用いたインジェクタ
US7061162B2 (en) Laminated piezoelectric element
EP1160886B1 (en) Piezoelectric element for injector
JP2006303045A (ja) 積層型圧電体素子
EP1753039B1 (en) Multilayer piezoelectric element
JP4929875B2 (ja) 積層型圧電素子
WO2010024277A1 (ja) 積層型圧電素子および噴射装置ならびに燃料噴射システム
JP4590868B2 (ja) 積層型圧電体素子及びその製造方法
US20070001031A1 (en) Multilayer piezoelectric element and fuel injector
JP2004266260A (ja) 積層型圧電体素子
US8264125B2 (en) Piezoelectric component comprising a security layer and an infiltration barrier and a method for the production thereof
JP4479271B2 (ja) 積層型圧電体素子
JP4345699B2 (ja) 積層型圧電体素子及びそれを用いたインジェクタ
US20100090033A1 (en) Multi-Layer Piezoelectric Element, Injection Apparatus Using the Same and Method of Multi-Layer Piezoelectric Element
JP4742651B2 (ja) 積層型圧電体素子及びその製造方法
JP5419976B2 (ja) 積層型圧電素子およびこれを用いた噴射装置ならびに燃料噴射システム
JP6199757B2 (ja) 積層型圧電素子、圧電アクチュエータおよびこれを備えたマスフローコントローラ
US20150132589A1 (en) Method for Producing a Multi-Layered Structural Element, and a Multi-Layered Structural Element Produced According to Said Method
JP2006005314A (ja) 積層型圧電体素子及び、この積層型圧電体素子を利用したインジェクタ
JP5705509B2 (ja) 積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システム
JP4631342B2 (ja) 積層型圧電体素子の製造方法
WO2012011302A1 (ja) 積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システム
JP7129478B2 (ja) 圧電アクチュエータ
WO2013065710A1 (ja) 圧電アクチュエータ
JP4822664B2 (ja) 積層型圧電素子およびその製法、並びに噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070618

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110322

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110520

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120124

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120206

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150302

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150302

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees