JP4931148B2 - ペロブスカイト型酸化物積層体及び圧電素子、液体吐出装置 - Google Patents

ペロブスカイト型酸化物積層体及び圧電素子、液体吐出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4931148B2
JP4931148B2 JP2007258464A JP2007258464A JP4931148B2 JP 4931148 B2 JP4931148 B2 JP 4931148B2 JP 2007258464 A JP2007258464 A JP 2007258464A JP 2007258464 A JP2007258464 A JP 2007258464A JP 4931148 B2 JP4931148 B2 JP 4931148B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
perovskite
oxide film
film
substrate
perovskite oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007258464A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009084126A (ja
Inventor
宏之 小林
幸雄 坂下
勉 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2007258464A priority Critical patent/JP4931148B2/ja
Priority to US12/243,701 priority patent/US7872402B2/en
Publication of JP2009084126A publication Critical patent/JP2009084126A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4931148B2 publication Critical patent/JP4931148B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14201Structure of print heads with piezoelectric elements
    • B41J2/14233Structure of print heads with piezoelectric elements of film type, deformed by bending and disposed on a diaphragm
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/20Piezoelectric or electrostrictive devices with electrical input and mechanical output, e.g. functioning as actuators or vibrators
    • H10N30/204Piezoelectric or electrostrictive devices with electrical input and mechanical output, e.g. functioning as actuators or vibrators using bending displacement, e.g. unimorph, bimorph or multimorph cantilever or membrane benders
    • H10N30/2047Membrane type
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/704Piezoelectric or electrostrictive devices based on piezoelectric or electrostrictive films or coatings
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/80Constructional details
    • H10N30/85Piezoelectric or electrostrictive active materials
    • H10N30/853Ceramic compositions
    • H10N30/8561Bismuth-based oxides
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14201Structure of print heads with piezoelectric elements
    • B41J2/14233Structure of print heads with piezoelectric elements of film type, deformed by bending and disposed on a diaphragm
    • B41J2002/14258Multi layer thin film type piezoelectric element
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2202/00Embodiments of or processes related to ink-jet or thermal heads
    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
    • B41J2202/03Specific materials used

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compounds Of Iron (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

本発明は、ペロブスカイト型酸化物積層体及びペロブスカイト型酸化物積層体を備えた圧電素子、この圧電素子を用いた液体吐出装置に関するものである。
ペロブスカイト型酸化物は、強誘電性を有するため、圧電素子やスイッチング素子等の用途に利用されている。例えば、良好な圧電特性を示すペロブスカイト型酸化物としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が知られている。PZTは電界無印加時において自発分極性を有する強誘電体であり、モルフォトロピック相境界(MPB)及びその近傍で高い圧電性能を示すと言われている。しかしながら、より大きな圧電特性の要求、更に鉛系材料の環境負荷を考慮した非鉛系圧電材料の要求が高まっており、ペロブスカイト型酸化物の新規非鉛材料開発が進められている。
新規非鉛材料開発を進めていく上で、理論上高特性と考えられるペロブスカイト型酸化物の中には、通常の常圧の高温焼成ではペロブスカイト型の結晶構造を取りえないが、数ギガPaを超えるような高圧下での焼成によりペロブスカイト型酸化物となるようなものがある。しかしながら高圧下での焼成は、装置構成が複雑であり、またそのプロセスも容易ではない。
上記のような、高圧下での焼成でなければペロブスカイト構造にできない材料を、薄膜にて実現する方法が試みられている。
非特許文献1には、容易にペロブスカイト型の結晶構造をとなるBiFeOに高圧での焼成でないとペロブスカイト型の結晶構造を取り得ないBiAlOを固溶させることにより、薄膜にてペロブスカイト型の結晶構造を作り出すことが記載されている。しかしながら、固溶させてしまうと、固溶体としての特性を有するものとなってしまうために、BiAlO固有の特性を取り出すことができない。非特許文献2には、同様にBiFeOに高圧での焼成でないとペロブスカイト型の結晶構造を取り得ないBiScOを固溶させることにより、薄膜にてペロブスカイト型の結晶構造を作り出すことが記載されている。
また薄膜にて固溶させずにペロブスカイト型の結晶構造を得る手法として、基板との格子整合による応力を利用してペロブスカイト型の結晶構造とする方法が検討されている(特許文献1)。特許文献1には、高圧合成法によってしか得られなかった無限層構造の高温超伝導薄膜を、一般式ABOで表されるペロブスカイト型酸化物の下地上にスパッタリング法や蒸着法等の薄膜堆積法を用いてエピタキシャル成長させることによりペロブスカイト型の結晶構造とすることが記載されている。
特開平6―239696号公報 M. Okada et al, Japanese J. of Applied Physics, Vol. 43, 9B, p.6609-6645, 2004 S. Yasui et al, Japanese J. of Applied Physics, Vol. 45, 9B, p.7321-7324, 2006
しかしながら、特許文献1に記載のペロブスカイト型酸化物は一般式ABOで表されるものであり、一般式ABOで表される単純ペロブスカイト構造に適用可能であるとの記載はない。また、基板からの格子整合による応力は、所定の膜厚を超えると緩和されてしまうため、膜厚の増加に従ってペロブスカイト型の結晶構造をとることができなくなってしまう恐れがあり、成膜可能な膜厚が制限される。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、通常ペロブスカイト型構造を取り得ないペロブスカイト型酸化物を、その物質固有の特性を有して、常圧にて、且つ厚みを制限されることなく製造可能とすることを目的とするものである。
本発明はまた、かかるペロブスカイト型酸化物を常圧にて製造可能とすることにより、これまで理論上高い圧電性能を有すると考えられるが、常圧にて製造できなかったペロブスカイト型酸化物を用いた圧電膜及び圧電素子を提供することを目的とするものである。
本発明のペロブスカイト型酸化物積層体は、基板上に交互に積層されてなる、
少なくとも1層の下記一般式(P1)で表される第1のペロブスカイト型酸化物膜(不可避不純物を含んでいてもよい)と、
通常ペロブスカイト型の結晶構造を取り得ない酸化物からなり(不可避不純物を含んでいてもよい)、下記一般式(P2)で表される少なくとも1層の第2のペロブスカイト型酸化物膜とからなることを特徴とするものである。
ABO ・・・(P1)
CDO ・・・(P2)
(上記式中、A及びCはAサイト元素であり1種又は複数種の金属元素、B及びDはBサイト元素であり1種又は複数種の金属元素、Oは酸素原子。)
式(P1)及び(P2)において、Aサイト元素の総モル数及びBサイト元素の総モル数の、酸素原子のモル数に対する比は、それぞれ1:3が標準であるが、ペロブスカイト構造を取り得る範囲内で1:3からずれてもよい。
本発明では、通常ペロブスカイト型構造を取り得ないペロブスカイト型酸化物を、その物質固有の特性を有して、常圧にて製造可能とすることを目的としている。本明細書において「常圧」とは、大気圧近傍の圧力、及び薄膜の成膜方法において一般的な圧力の範囲内での圧力範囲を意味する。圧電体薄膜の成膜方法はスパッタ法、パルスレーザデポジション法(PLD法)、化学気相成長法(CVD法)等の気相法とゾルゲル法等の液相法とに大別され、気相法では10−4〜10Pa(7.6×10−4mTorr〜7.6×10mTorr)程度の範囲、液相法では、大気圧下(約10Pa(760Torr))の成膜環境が一般的とされている。
本発明のペロブスカイト型酸化物積層体において、第1のペロブスカイト型酸化物膜と第2のペロブスカイト型酸化物膜は、基板上に交互に積層されている。本発明において、第2のペロブスカイト型酸化物膜は、その下地となるものとの格子整合による応力を利用してペロブスカイト型の結晶構造を有するようになるので、下地は必ず通常ペロブスカイト型の結晶構造を有するものとなる。下地となるものは、基板であっても第1のペロブスカイト型酸化物膜であってもよい。
本明細書において、「通常ペロブスカイト型の結晶構造を取り得ない」とは、バルクセラミックスの場合は、例えば大気圧程度の圧力下での固相反応法による焼結では、ペロブスカイト型の結晶構造にならないことを意味する。
また薄膜においては、例えばアモルファス基板上に成膜したときにペロブスカイト型の結晶構造にならないことを意味する。アモルファス基板としては、たとえば、石英基板や熱酸化膜つきのSi基板等が挙げられる。
また、単結晶基板に成膜する際にはエピタキシャル膜でないことを指す。例えば基板の(001)面にBiXOの(001)面が格子整合する形で成膜した場合に、基板の格子定数をCs、BiXOの格子定数をCとした際にnCs / mCが、0.95~1.05(n,m=1〜5)の範囲外である場合(エピタキシャル成長しない条件のとき)にはペロブスカイト型の結晶構造にならないことを意味する。
本発明のペロブスカイト型酸化物積層体において、Aサイト元素CはBiであることが好ましく、Bサイト元素DがAl,Sc,Gaからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素からなるものであることがより好ましい。
前記第1のペロブスカイト型酸化物膜及び前記第2のペロブスカイト型酸化物膜はエピタキシャル膜であることが好ましい。
前記基板はシリコン単結晶基板又は酸化物単結晶基板であることが好ましい。
本発明の圧電素子は、上記本発明のペロブスカイト型酸化物積層体と、該ペロブスカイト型酸化物積層体と一体的に形成された電極とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の液体吐出装置は、上記本発明の圧電素子と、該圧電素子の前記基板に一体的にまたは別体として設けられた液体吐出部材とを備え、該液体吐出部材は、液体が貯留される液体貯留室と、該液体貯留室から外部に前記液体が吐出される液体吐出口とを有するものであることを特徴とするものである。
特開2001−302400号公報には、2種類以上のペロブスカイト型酸化物薄膜を繰り返し積層した酸化物超格子が開示されており、積層構造により格子の歪みを調整して特性の向上を実現できることが記載されている。従って、2種類以上のペロブスカイト型酸化物薄膜が積層された積層構造体は公知である。しかしながら、この特許文献の酸化物超格子を形成する2種類のペロブスカイト型酸化物はいずれも、常圧でのバルク焼成やアモルファス基板上への成膜によっても容易にペロブスカイト型の結晶構造を取り得るものであり、この特許文献では積層することにより特性の向上をはかることを目的としている。
一方、上記本発明のペロブスカイト型酸化物積層体は、積層されるペロブスカイト型酸化物のうち一方が、通常ペロブスカイト型の結晶構造を取り得ないものとしており、このような物質を常圧での製造により容易にペロブスカイト型の結晶構造を有するようにすることを目的としている。上記特許文献には、このような本発明の目的に関する示唆はなく、本発明の目的を達成可能なものではない。従って、上記特許文献と本発明とは目的も構成も異なるものである。
本発明のペロブスカイト型酸化物積層体は、基板上に交互に積層されてなる、少なくとも1層の第1のペロブスカイト型酸化物膜(不可避不純物を含んでいてもよい)と、通常ペロブスカイト型の結晶構造を取り得ない酸化物からなる(不可避不純物を含んでいてもよい)少なくとも1層の第2のペロブスカイト型酸化物膜とからなることを特徴としている。かかる構成とすることにより、第2のペロブスカイト型酸化物膜をその下地との格子整合による応力を利用して成膜するため、常圧においても容易に製造することが可能である。また、第2のペロブスカイト型酸化物膜の膜厚を、下地となるペロブスカイト型酸化物からの応力が緩和されない膜厚とし、第1のペロブスカイト型酸化物膜と第2のペロブスカイト型酸化物膜とを所望の厚みとなるまで交互に積層させる構造としているため、膜厚が制限されることがない。
更に、本発明では、第1のペロブスカイト型酸化物膜と第2のペロブスカイト型酸化物膜とが固溶体ではなく、それぞれ独立した酸化物の膜であるため、得られる積層体の特性は固溶体の特性ではなく、各膜の特性を備えたものとすることができる。例えば、第2のペロイブスカイト型酸化物膜の膜厚を第1のペロブスカイト型酸化物膜に比して大きくすることにより、第2のペロブスカイト型酸化物膜の特性の強いものとすることが可能である。
従って、本発明によれば、通常ペロブスカイト型の結晶構造を取り得ないペロブスカイト型酸化物を、その物質固有の特性を有して常圧にて、且つ厚みを制限されることなく製造可能とすることができる。
本発明によれば、通常ペロブスカイト型の結晶構造を取り得ないものを常圧にて製造可能とすることができるので、これまで理論上高い圧電性能を有すると考えられるが、常圧にて製造できなかったペロブスカイト型酸化物を用いた圧電膜及び圧電素子を提供することができる。
「ペロブスカイト型酸化物積層体」
図面を参照して本発明にかかる一実施形態のペロブスカイト型酸化物積層体について説明する。図1は、本実施形態のペロブスカイト型酸化物積層体の厚み方向断面図である。
図1に示されるように、ペロブスカイト型酸化物積層体1は、基板11上に、少なくとも1層の第1のペロブスカイト型酸化物膜21と少なくとも1層の第2のペロブスカイト型酸化物膜22とが交互に積層された構成としている。図1では、基板11上に第1のペロブスカイト型酸化物膜21が直接成膜された例を示してある。
第1のペロブスカイト型酸化物膜21は、常圧でのバルク焼成やアモルファス基板上への直接成膜でペロブスカイト型の結晶構造を容易に取り得るものであり(以下、通常ペロブスカイト型構造をとりうるもの、とする。)、第2のペロブスカイト型酸化物膜22は常圧でのバルク焼成やアモルファス基板上への直接成膜でペロブスカイト型の結晶構造を取り得ないもの(以下、通常ペロブスカイト構造を取り得ないもの、とする。)である。本実施形態のペロブスカイト型酸化物積層体1は、基板11又は第1のペロブスカイト型酸化物膜21を下地としてその下地との格子整合による応力を利用して、通常ペロブスカイト構造を取り得ない第2のペロブスカイト型酸化物膜22を常圧にて成膜したものである。
本実施形態では、第2のペロブスカイト型酸化物膜22を下地との格子整合による応力を利用してペロブスカイト型の結晶構造とする。第2のペロブスカイト型酸化物膜22は、アモルファス基板上への直接成膜では基板からの応力が得られないためにペロブスカイト型の結晶構造をとることができないが、第2のペロブスカイト型酸化物膜22の下地がペロブスカイト型の結晶構造を有している場合には、下地からの応力によりペロブスカイト型の結晶構造を有するようになる。従って、第2のペロブスカイト型酸化物膜22の下地は必ずペロブスカイト型の結晶構造を有する層である。第2のペロブスカイト型酸化物膜22の下地としては、第1のペロブスカイト型酸化物膜21又はペロブスカイト型酸化物基板11が挙げられる。
第2のペロブスカイト型酸化物膜22の下地が第1のペロブスカイト型酸化物膜21である場合は、基板11と第1のペロブスカイト型酸化物膜21との間に、電極やバッファ層などの層が成膜されていても構わない。また、最上層のペロブスカイト型酸化物膜の上層に金属電極等の層を有していても構わない。また、電極やバッファ層がペロブスカイト型の結晶構造を有する場合は、これらを第1のペロブスカイト型酸化物膜21とすることができる。
第2のペロブスカイト型酸化物膜22は、結晶配向膜あるいはエピタキシャル膜であれば、安定的にペロブスカイト型の結晶構造を得ることができ好ましい。
第2のペロブスカイト型酸化物膜22がエピタキシャル膜である場合、その下地となる層は、エピタキシャル膜又は単結晶基板である必要がある。基板11がペロブスカイト型の単結晶基板である場合には、基板11上に第2のペロブスカイト型酸化物膜22が直接成膜されてもよく、また第1のペロブスカイト型酸化物膜21を介して成膜されてもよい。本実施形態では、隣接する2層の格子整合性がよい方が好ましいため、隣接する層との格子整合性を考慮して積層されることが好ましい。ペロブスカイト型の結晶構造を有する単結晶基板としては、SrTiO等の酸化物単結晶基板が挙げられる。
基板11がペロブスカイト型の結晶構造を有さない場合は、基板11から格子整合の応力を利用できないため、第2のペロブスカイト型酸化物膜22は第1のペロブスカイト型酸化物膜21を介して成膜されることになる。ここで第1のペロブスカイト型酸化物膜21もエピタキシャル膜であることが好ましいため、従って、基板11は単結晶基板であることが好ましい。かかる単結晶板としては、Si単結晶基板が挙げられる。
いずれの場合にせよ、基板11上に積層される膜(層)は、それぞれその下地に対して格子整合するように材料が選択されることが好ましく、エピタキシャル膜であることが好ましい。
第1のペロブスカイト型酸化物膜21は、下記一般式(P1)で表される通常ペロブスカイト型の構造をとりえるものであれば特に制限なく、下地及びその上に成膜される膜と格子整合性が良好なものであることが好ましい。
ABO ・・・(P1)
(上記式中、AはAサイト元素であり1種又は複数種の金属元素、BはBサイト元素であり1種又は複数種の金属元素、Oは酸素原子。)
また、第1のペロブスカイト型酸化物膜21は、ペロブスカイト型酸化物積層体の用途に応じて好ましい材料を選択すればよい。例えば圧電体としての用途であれば、圧電特性に優れたものであることが好ましい。かかる第1のペロブスカイト型酸化物膜21としては、例えば、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ジルコニウム酸鉛、チタン酸鉛ランタン、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛、ニッケルニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛、亜鉛ニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛等の鉛含有化合物、及びこれらの混晶系;
チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、ビスマスフェライト等の非鉛含有化合物、及びこれらの混晶系が挙げられる。
第2のペロブスカイト型酸化物膜22は、下記一般式(P2)で表される通常ペロブスカイト型の構造を取り得ないが高圧のバルク焼成や単結晶基板上に成膜された薄膜であればペロブスカイト型構造を取り得る酸化物からなる。
CDO ・・・(P2)
(上記式中、CはAサイト元素であり1種又は複数種の金属元素、DはBサイト元素であり1種又は複数種の金属元素、Oは酸素原子。)
Aサイト元素C及びBサイト元素Dとしては特に制限されず、第1のペロブスカイト型酸化物膜21と同様にペロブスカイト型酸化物積層体の用途に応じて選択される。
本出願人は、圧電特性の良好なペロブスカイト型酸化物の新規な材料設計法に基づいたペロブスカイト型酸化物の製造方法及びそれにより製造されたペロブスカイト型酸化物に関する特許を出願している(特願2007−10185)。本特許出願明細書において、Aサイト元素としてBiを主成分とすることにより良好な圧電特性を有する非鉛系ペロブスカイト型酸化物が得られることが記載されている。また、Bサイト元素はAl,Sc,Ga,In,及びYからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素からなるものであることが好ましいことも記載されている。しかしながら、Bサイト元素がAl,Sc,Gaからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素からなるものである場合、組成によっても異なるが通常ペロブスカイト構造を取り得ないものとなりやすい。つまり、材料設計上非常に高い圧電特性が期待されながらも、通常の製造方法ではペロブスカイト構造を得にくく、組成等が限定されてしまう可能性がある。
従って、本実施形態において、第2のペロブスカイト型酸化物膜22として、上記一般式(P2)において、Aサイト元素CをBi、Bサイト元素DをAl,Sc,Gaからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素からなるものとすることにより、かかる式(P2)で表される高特性な非鉛系圧電材料を常圧にて容易に得ることができる。
本実施形態において、上記したように、第1のペロブスカイト型酸化物膜21と第2のペロブスカイト型酸化物膜22は少なくとも1層ずつ積層されていればよい。各ペロブスカイト型酸化物膜21,22の層数は、必要とされる膜厚に応じて適宜設計すればよい。例えば圧電体としての用途であれば、100nm〜数μm程度の膜厚であることが好ましい
第1のペロブスカイト型酸化物膜21の1層あたりの膜厚は、特に制限されず、上に成膜される第2のペロブスカイト型酸化物膜22に対して充分な格子整合による応力が与えられる膜厚であれば薄くても構わない。
第2のペロブスカイト型酸化物膜22の1層あたりの膜厚は、下地となる層(基板11又は第1のペロブスカイト型酸化物膜21)からの、格子整合による応力が緩和されない膜厚の範囲であれば特に制限されない。格子整合による応力が緩和されない膜厚は、下地となる層の材料及び第2のペロブスカイト型酸化物膜22の材料によって異なる。
第1のペロブスカイト型酸化物膜21としてビスマスフェライト(BiFeO)を例示したが、BiFeOは、圧電特性は良好であるが絶縁特性が良くないためにリーク電流を生じやすいことが知られている。従って、BiFeOにおいてリーク電流の発生を抑制する為に、Mn等の添加剤を導入したり、特性を見るだけの用途であっても低温(−150℃付近)での測定を行う等の対策を施すことを余儀なくされている。
本実施形態のペロブスカイト型酸化物膜1は、第1のペロブスカイト型酸化物膜21と第2のペロブスカイト型酸化物膜22とが交互に積層された構成としているので、第2のペロブスカイト型酸化物膜22として絶縁特性の良いBiAlO等を用いてBiFeOを挟み込む構成とすることができる。かかる構成とすることによりBiFeOにおけるリーク電流の発生を抑制し、絶縁特性を改善することができると考えられる。
本実施形態のペロブスカイト型酸化物積層体1は、基板11上に交互に積層されてなる、少なくとも1層の第1のペロブスカイト型酸化物膜21(不可避不純物を含んでいてもよい)と、通常ペロブスカイト型の結晶構造を取り得ない酸化物からなる(不可避不純物を含んでいてもよい)少なくとも1層の第2のペロブスカイト型酸化物膜22とからなることを特徴としている。かかる構成とすることにより、第2のペロブスカイト型酸化物膜22をその下地との格子整合による応力を利用して成膜するため、常圧においても容易に製造することが可能である。また、第2のペロブスカイト型酸化物膜22の膜厚を、下地となるペロブスカイト型酸化物からの応力が緩和されない膜厚とし、第1のペロブスカイト型酸化物膜と第2のペロブスカイト型酸化物膜とを所望の厚みとなるまで交互に積層させる構造としているため、膜厚が制限されることがない。
更に、本発明では、第1のペロブスカイト型酸化物膜と第2のペロブスカイト型酸化物膜とが固溶体ではなく、それぞれ独立した酸化物の膜であるため、得られる積層体の特性は固溶体の特性ではなく、各膜の特性を備えたものとすることができる。例えば、第2のペロブスカイト型酸化物膜22の膜厚を第1のペロブスカイト型酸化物膜21に比して大きくすることにより、第2のペロブスカイト型酸化物膜22の特性の強いものとすることが可能である。
従って、本発明によれば、通常ペロブスカイト型の結晶構造を取り得ないペロブスカイト型酸化物を、その物質固有の特性を有して常圧にて、且つ厚みを制限されることなく製造可能とすることができる。
「圧電素子、インクジェット式記録ヘッド」
図2を参照して、本発明に係る実施形態の圧電素子、及びこれを備えたインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)の構造について説明する。図2はインクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜異ならせてある。
本実施形態の圧電素子1は、上記実施形態のペロブスカイト型酸化物積層体1に一体化して形成された電極とを備えたものである。図示されるように、圧電素子1は、基板11の表面に、下部電極12と圧電体膜13と上部電極14とが順次積層された素子である。下部電極12、圧電体膜13、上部電極14は、上記実施形態のペロブスカイト型酸化物積層体1に一体化して形成されており、圧電体膜13は、下部電極12と上部電極14とにより膜厚方向に電界が印加されるようになっている。
圧電アクチュエータ2は、圧電素子1の基板11の裏面に、圧電体膜13の伸縮により振動する振動板16が取り付けられたものである。圧電アクチュエータ2には、圧電素子1を駆動する駆動回路等の制御手段15も備えられている。
インクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)3は、概略、圧電アクチュエータ2の裏面に、インクが貯留されるインク室(液体貯留室)31及びインク室31から外部にインクが吐出されるインク吐出口(液体吐出口)32を有するインクノズル(液体貯留吐出部材)30が取り付けられたものである。
インクジェット式記録ヘッド3では、圧電素子1に印加する電界強度を増減させて圧電素子1を伸縮させ、これによってインク室31からのインクの吐出や吐出量の制御が行われる。
基板11とは独立した部材の振動板16及びインクノズル30を取り付ける代わりに、基板11の一部を振動板16及びインクノズル30に加工してもよい。例えば、基板11を裏面側からエッチングしてインク室31を形成し、基板自体の加工により振動板16とインクノズル30とを形成することができる。
本実施形態では、圧電素子1は上記実施形態のペロブスカイト型酸化物積層体1を備えたものであるので、基板11の好ましい材料は上記ペロブスカイト型酸化物積層体の実施形態と同様である。
下部電極12の主成分としては特に制限なく、Au,Pt,Ir,IrO,RuO,LaNiO,及びSrRuO等の金属又は金属酸化物、及びこれらの組合せが挙げられる。また、基板11と下部電極12との間にバッファ層等を設けても構わない。
圧電体膜13はペロブスカイト型構造を有しており、そのペロブスカイト構造としては、単純ペロブスカイト構造、複合ペロブスカイト構造、及び層状ペロブスカイト構造が挙げられる。圧電体膜13の結晶構造としては、単純ペロブスカイト構造又は複合ペロブスカイト構造が好ましい。圧電体膜13としては、上記ペロブスカイト型酸化物積層体1の実施形態にて記載した、圧電体の用途において好適な第1のペロブスカイト型酸化物膜21と第2のペロブスカイト型酸化物膜22とが積層されたものであることが好ましい。
下部電極12としてLaNiO,及びSrRuO等のペロブスカイト型酸化物電極を用いる場合は、下部電極12が第1のペロブスカイト型酸化物膜21となるので、圧電体膜13の最下層は第2のペロブスカイト型酸化物膜22であってもよい。
上部電極14の主成分としては特に制限なく、下部電極12で例示した材料,Al,Ta,Cr,Cu等の一般的に半導体プロセスで用いられている電極材料、及びこれらの組合せが挙げられる。下部電極12と上部電極14の厚みは特に制限なく、50〜500nmであることが好ましい。
本実施形態の圧電素子1は、上記実施形態のペロブスカイト型酸化物積層体1を備えたものである。ペロブスカイト型酸化物積層体1によれば、通常ペロブスカイト型の結晶構造を取り得ないものを常圧にて製造可能とすることができるので、これまで理論上高い圧電性能を有すると考えられるが、常圧にて製造できなかったペロブスカイト型酸化物を用いた圧電素子1及びインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)3を提供することができる。
「インクジェット式記録装置」
図3及び図4を参照して、上記実施形態のインクジェット式記録ヘッド3を備えたインクジェット式記録装置の構成例について説明する。図3は装置全体図であり、図4は部分上面図である。
図示するインクジェット式記録装置100は、インクの色ごとに設けられた複数のインクジェット式記録ヘッド(以下、単に「ヘッド」という)3K,3C,3M,3Yを有する印字部102と、各ヘッド3K,3C,3M,3Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、印字部102のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送する吸着ベルト搬送部122と、印字部102による印字結果を読み取る印字検出部124と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とから概略構成されている。
印字部102をなすヘッド3K,3C,3M,3Yが、各々上記実施形態のインクジェット式記録ヘッド3である。
デカール処理部120では、巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム130により記録紙116に熱が与えられて、デカール処理が実施される。
ロール紙を使用する装置では、図3のように、デカール処理部120の後段に裁断用のカッター128が設けられ、このカッターによってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター128は、記録紙116の搬送路幅以上の長さを有する固定刃128Aと、該固定刃128Aに沿って移動する丸刃128Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃128Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃128Bが配置される。カット紙を使用する装置では、カッター128は不要である。
デカール処理され、カットされた記録紙116は、吸着ベルト搬送部122へと送られる。吸着ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部102のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)となるよう構成されている。
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示略)が形成されている。ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において印字部102のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン135で吸引して負圧にすることによってベルト133上の記録紙116が吸着保持される。
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図示略)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図3上の時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録紙116は図3の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。
吸着ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部102の上流側に、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後に乾きやすくなる。
印字部102は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙送り方向と直交方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図4を参照)。各印字ヘッド3K,3C,3M,3Yは、インクジェット式記録装置100が対象とする最大サイズの記録紙116の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙116の送り方向に沿って上流側から、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応したヘッド3K,3C,3M,3Yが配置されている。記録紙116を搬送しつつ各ヘッド3K,3C,3M,3Yからそれぞれ色インクを吐出することにより、記録紙116上にカラー画像が記録される。
印字検出部124は、印字部102の打滴結果を撮像するラインセンサ等からなり、ラインセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まり等の吐出不良を検出する。
印字検出部124の後段には、印字された画像面を乾燥させる加熱ファン等からなる後乾燥部142が設けられている。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けた方が好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
後乾燥部142の後段には、画像表面の光沢度を制御するために、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144では、画像面を加熱しながら、所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で画像面を加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして得られたプリント物は、排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット式記録装置100では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り替える選別手段(図示略)が設けられている。
大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列にプリントする場合には、カッター148を設けて、テスト印字の部分を切り離す構成とすればよい。
インクジェット記記録装置100は、以上のように構成されている。
本発明に係る実施例について、説明する。
(実施例1)
(100)SrTiO単結晶基板11の表面に、パルスレーザーデポジション(PLD)法にて、基板温度650℃,酸素分圧100mTorr、レーザ発振周波数10Hz(248nmエキシマレーザ使用)、レーザ光強度200mJの条件で、まず第1のペロブスカイト型酸化物膜21としてBiFeO膜(膜厚50nm)を形成し、更にその上に第2のペロブスカイト型酸化物膜22としてBiAlO膜(膜厚10nm)を1層ずつ成膜した。PLD法において、図5に示されるターゲットを用いて、ターゲット及び基板を回転させ、それぞれの回転速度を調整することにより、所望の厚みとなるように各層の成膜を行った。
得られた試料についてXRDにより結晶構造解析を行ったところ、ペロブスカイト単相膜であることが確認された。
また、RHEEDによる表面の観察からは、エピタキシャル成長を示すスポット像が観察された。
(比較例1)
ガラス基板の表面に、実施例1と同様の成膜条件にてBiAlO膜を成膜し、同様にXRD測定及びRHEEDによる観察を行った。その結果、XRDからはペロブスカイト構造ではない結晶相が観察され、またRHEEDでは多結晶を示すハローパターンが観察された。
本発明の圧電素子は、インクジェット式記録ヘッド,磁気記録再生ヘッド,MEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)デバイス,マイクロポンプ、及び超音波探触子等に搭載される圧電アクチュエータ、及び強誘電メモリ(FRAM)等に好ましく利用できる。
本発明に係る一実施形態のペロブスカイト型酸化物積層体の構造を示す厚み方向断面図。 本発明に係る一実施形態の圧電素子及びこれを備えたインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)の構造を示す要部断面図 図2のインクジェット式記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置の構成例を示す図 図3のインクジェット式記録装置の部分上面図 実施例1で使用したターゲットの面内組成を示す図
符号の説明
1 ペロブスカイト型酸化物積層体,圧電素子
11 基板
12、14 電極
13 圧電体膜
21 第1のペロブスカイト型酸化物膜
22 第2のペロブスカイト型酸化物膜
3,3K,3C,3M,3Y インクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)
30 インクノズル(液体貯留吐出部材)
31 インク室(液体貯留室)
32 インク吐出口(液体吐出口)
100 インクジェット式記録装置

Claims (5)

  1. 基板上に交互に積層されてなる、
    少なくとも1層の下記一般式(P1)で表される第1のペロブスカイト型酸化物膜(不可避不純物を含んでいてもよい)と、
    下記一般式(P2)で表される少なくとも1層の第2のペロブスカイト型酸化物膜とからなることを特徴とするペロブスカイト型酸化物積層体。
    ABO ・・・(P1)
    CDO ・・・(P2)
    (上記式中、A及びCはAサイト元素であり、Aは1種又は複数種の金属元素、CはBi、B及びDはBサイト元素であり、Bは1種又は複数種の金属元素、DはAl,Sc,Gaからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素、Oは酸素原子。)
  2. 前記第1のペロブスカイト型酸化物膜及び前記第2のペロブスカイト型酸化物膜がエピタキシャル膜であることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト型酸化物積層体。
  3. 前記基板がシリコン単結晶基板又は酸化物単結晶基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載のペロブスカイト型酸化物積層体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のペロブスカイト型酸化物積層体と、該ペロブスカイト型酸化物積層体と一体的に形成された電極とを備えたことを特徴とする圧電素子。
  5. 請求項4に記載の圧電素子と
    該圧電素子の前記基板に一体的にまたは別体として設けられた液体吐出部材とを備え、
    該液体吐出部材は、液体が貯留される液体貯留室と、該液体貯留室から外部に前記液体が吐出される液体吐出口とを有するものであることを特徴とする液体吐出装置。
JP2007258464A 2007-10-02 2007-10-02 ペロブスカイト型酸化物積層体及び圧電素子、液体吐出装置 Expired - Fee Related JP4931148B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007258464A JP4931148B2 (ja) 2007-10-02 2007-10-02 ペロブスカイト型酸化物積層体及び圧電素子、液体吐出装置
US12/243,701 US7872402B2 (en) 2007-10-02 2008-10-01 Perovskite-oxide laminates, and piezoelectric devices, and liquid discharge devices containing the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007258464A JP4931148B2 (ja) 2007-10-02 2007-10-02 ペロブスカイト型酸化物積層体及び圧電素子、液体吐出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009084126A JP2009084126A (ja) 2009-04-23
JP4931148B2 true JP4931148B2 (ja) 2012-05-16

Family

ID=40507397

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007258464A Expired - Fee Related JP4931148B2 (ja) 2007-10-02 2007-10-02 ペロブスカイト型酸化物積層体及び圧電素子、液体吐出装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US7872402B2 (ja)
JP (1) JP4931148B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011037148A (ja) * 2009-08-12 2011-02-24 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド及びそれを用いた液体噴射装置
JP5605545B2 (ja) * 2009-08-19 2014-10-15 セイコーエプソン株式会社 液滴噴射ヘッド、液滴噴射装置、圧電素子およびセラミックス
JP5472596B2 (ja) * 2009-08-27 2014-04-16 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド及びそれを用いた液体噴射装置
JP5534197B2 (ja) * 2010-03-12 2014-06-25 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、圧電素子及び焦電センサー
JP2011192951A (ja) * 2010-05-13 2011-09-29 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP5429492B2 (ja) * 2010-06-22 2014-02-26 セイコーエプソン株式会社 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、圧電素子及びアクチュエーター装置
JP5975210B2 (ja) * 2012-03-26 2016-08-23 セイコーエプソン株式会社 圧電素子、液体噴射ヘッド、液体噴射装置、超音波デバイス及びセンサー並びに圧電素子の製造方法
US9147827B2 (en) * 2012-11-28 2015-09-29 Tdk Corporation Piezoelectric element, piezoelectric actuator, piezoelectric sensor, hard disk drive, and inkjet printer device
EP2974867B1 (en) * 2013-03-15 2023-12-06 Konica Minolta, Inc. Inkjet head, method for manufacturing same, and inkjet printer
DE102013219583A1 (de) 2013-09-27 2015-04-02 Carl Zeiss Smt Gmbh Spiegel, insbesondere für eine mikrolithographische Projektionsbelichtungsanlage
JP6874351B2 (ja) * 2016-12-07 2021-05-19 Tdk株式会社 圧電薄膜積層体、圧電薄膜基板、圧電薄膜素子、圧電アクチュエータ、圧電センサ、ヘッドアセンブリ、ヘッドスタックアセンブリ、ハードディスクドライブ、プリンタヘッド、及びインクジェットプリンタ装置

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06234520A (ja) * 1993-02-08 1994-08-23 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 多層構造酸化物薄膜およびその製造方法
JPH06239696A (ja) * 1993-02-16 1994-08-30 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 高温超伝導薄膜
JP2001302400A (ja) 2000-02-18 2001-10-31 Murata Mfg Co Ltd 酸化物超格子
US6903491B2 (en) * 2001-04-26 2005-06-07 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Piezoelectric element, actuator, and inkjet head
JP4561629B2 (ja) * 2003-02-27 2010-10-13 Tdk株式会社 薄膜積層コンデンサ
US7298018B2 (en) * 2004-12-02 2007-11-20 Agency For Science, Technology And Research PLT/PZT ferroelectric structure
JP2006245247A (ja) * 2005-03-02 2006-09-14 Seiko Epson Corp 圧電素子及びその製造方法、液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
JP2007088445A (ja) * 2005-08-23 2007-04-05 Canon Inc 圧電体、圧電素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び圧電体の製造方法
JP4237208B2 (ja) * 2005-09-26 2009-03-11 富士フイルム株式会社 圧電素子及びその駆動方法、圧電装置、液体吐出装置
JP2007194429A (ja) * 2006-01-19 2007-08-02 Fujitsu Ltd 強磁性・強誘電性材料及び半導体装置
JP5407330B2 (ja) * 2006-02-28 2014-02-05 コニカミノルタ株式会社 圧電磁器組成物
US7456548B2 (en) * 2006-05-09 2008-11-25 Canon Kabushiki Kaisha Piezoelectric element, piezoelectric actuator, and ink jet recording head
US7525239B2 (en) * 2006-09-15 2009-04-28 Canon Kabushiki Kaisha Piezoelectric element, and liquid jet head and ultrasonic motor using the piezoelectric element
US7918542B2 (en) * 2006-09-15 2011-04-05 Fujifilm Corporation Perovskite oxide, process for producing the perovskite oxide, piezoelectric body, piezoelectric device, and liquid discharge device
US8114307B2 (en) * 2006-09-15 2012-02-14 Canon Kabushiki Kaisha Piezoelectric body and liquid discharge head
JP5546105B2 (ja) * 2007-01-19 2014-07-09 富士フイルム株式会社 ペロブスカイト型酸化物とその製造方法、圧電体膜、圧電素子、液体吐出装置
JP5507097B2 (ja) * 2008-03-12 2014-05-28 富士フイルム株式会社 ペロブスカイト型酸化物とその製造方法、圧電体、圧電素子、液体吐出装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20090085445A1 (en) 2009-04-02
US7872402B2 (en) 2011-01-18
JP2009084126A (ja) 2009-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4931148B2 (ja) ペロブスカイト型酸化物積層体及び圧電素子、液体吐出装置
JP4237208B2 (ja) 圧電素子及びその駆動方法、圧電装置、液体吐出装置
JP5290551B2 (ja) ペロブスカイト型酸化物とその製造方法、圧電体、圧電素子、液体吐出装置
JP5307986B2 (ja) 圧電素子とその製造方法、及び液体吐出装置
JP5546105B2 (ja) ペロブスカイト型酸化物とその製造方法、圧電体膜、圧電素子、液体吐出装置
US7768178B2 (en) Piezoelectric device, piezoelectric actuator, and liquid discharge device having piezoelectric films
JP5394765B2 (ja) ペロブスカイト型酸化物膜、強誘電体、圧電素子、液体吐出装置
JP2008266770A (ja) 強誘電体膜とその製造方法、強誘電体素子、及び液体吐出装置
JP2008252071A (ja) 圧電素子とその製造方法、及び液体吐出装置
US10103316B2 (en) Piezoelectric film, piezoelectric element including the same, and liquid discharge apparatus
JP2008192868A (ja) 圧電体膜及びそれを用いた圧電素子、液体吐出装置
US10217929B2 (en) Piezoelectric film, piezoelectric element, and liquid discharge apparatus
JP2009289982A (ja) 強誘電性酸化物構造体、及び強誘電性酸化物構造体の製造方法、液体吐出装置
US8210658B2 (en) Piezoelectric material, method for producing piezoelectric material, piezoelectric device and liquid discharge device
JP5265973B2 (ja) 圧電素子及び液体吐出装置
JP5329820B2 (ja) 液体吐出装置
JP5345868B2 (ja) ペロブスカイト型酸化物膜、強誘電体、圧電素子、液体吐出装置
JP2007314368A (ja) ペロブスカイト型酸化物、強誘電素子、圧電アクチュエータ、及び液体吐出装置
JP5110703B2 (ja) ペロブスカイト型酸化物膜、強誘電体、圧電素子、液体吐出装置
US10011111B2 (en) Piezoelectric film, production method thereof, piezoelectric element, and liquid discharge apparatus
JP2010010654A (ja) ペロブスカイト型酸化物膜、強誘電体、圧電素子、液体吐出装置
JP2008192867A (ja) ペロブスカイト型酸化物とその製造方法、圧電体膜、圧電素子、液体吐出装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100707

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120119

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120207

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4931148

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150224

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees