JP2007088445A - 圧電体、圧電素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び圧電体の製造方法 - Google Patents

圧電体、圧電素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び圧電体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶性が制御されて高い配向性を有し優れた圧電特性を有し、圧電体膜と電極との密着性が高く、膜剥がれが抑制されて耐久性が高い圧電体及び、作動環境の温度が変化しても圧電特性が劣化しない圧電体を得て、これを用いた圧電体、圧電素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置を提供する。
【解決手段】特定のABO3ペロブスカイト型酸化物の積層構造を有し、積層構造が、第1の結晶相の層と、該第1の結晶相と異なる結晶相を有する第2の結晶相の層と、第1の結晶相の層と第2の結晶相の層との間に設けられる境界層とを有し、第1の結晶相と第2の結晶相が特定の結晶相を有し、境界層が結晶相が層の厚さ方向において漸次に変化するものであり、積層構造全体として、単結晶構造または一軸配向結晶構造を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体吐出装置に使用される圧電体、圧電体素子、液体吐出ヘッド及びこれらの製造方法に関する。より詳しくは、大面積・高密度の圧電体素子及び液体吐出ヘッドやこれらの製造方法に関する。
インクジェットプリンタにおいて、高解像度化および高速印字さらにはヘッドの長尺化が求められている。そのためヘッドを微細化したマルチノズルヘッド構造を実現することが求められている。そして、液体吐出ヘッドを微細化するために、液体を吐出させるための圧電体素子を小型化することが必要となり、更に、圧電体素子を小型化するために、微細化しても駆動能力が低減しない高い圧電定数を持つ圧電体が必要となる。このために、圧電体膜を用いた圧電体の場合、圧電体膜として結晶性の優れた膜、即ち、高配向結晶の結晶性が制御された膜が要請される。圧電体膜を高配向結晶とするためには、圧電体膜作製時の直下の層がより高い結晶性を有し、かつ圧電体膜とその直下の層とが格子整合性のよい組み合わせであることが好ましい。
その上、圧電体膜とその直下の層とは、圧電体膜の薄膜化に伴う界面にかかる応力による膜剥離が生じやすく、この膜剥離を抑制するため圧電体膜との密着性がよいことの要請もある。
従来から、圧電体素子に用いられる圧電体膜には、PbO、ZrO2およびTiO2の粉末のペーストをシート状に成型加工してグリーンシートを作成した後、これを焼結して得られるPZT系圧電材料が用いられている(特許文献1)。
しかし、上述の特許文献1に記載されるPZT系酸化膜としては、例えば10μm以下の厚さに形成することは困難である。また、グリーンシートの焼結は1000℃以上の温度で行うため、加温時に圧電体膜が70%程に収縮してしまうという問題がある。このため、圧電体膜とインク室等の構造体とを数ミクロンオーダーの寸法精度で位置合わせをすることは困難であることから、満足できる小型の圧電体素子は得られていない。
また、グリーンシートを焼結することにより形成されたセラミックス圧電体膜は、その厚さが薄くなるにしたがって、結晶粒界の影響が無視できないようになり、良好な圧電特性を得ることができない。その結果、グリーンシートを焼結して10μm以下の圧電体膜を作製しても、かかる圧電体膜においては記録液を吐出させるための十分な圧電特性を得ることができないという問題点がある。
上記方法の他、圧電体膜の作製方法としては、スパッタ法やCVD法、MBE法、ゾルゲル法などの方法がある。これらの方法を用いて酸化物を成膜すると膜厚が、10μm以下の薄膜を得ることができる。しかし、これらの方法によって作製した圧電体膜は、その密度が高いために、膜の面内応力が非常に高くなり、その下層の下部電極との密着性が悪くなるという問題がある。インクジェットヘッドの圧電体素子として、繰返し駆動で発生する応力に耐え得るには、圧電体膜とその下層の下部電極間に高い密着性を有することが必要である。上記方法により作製された圧電体膜はインクジェットの圧電体素子としては、使用に耐え得るものではない。
また、圧電体は材料によるが、温度により圧電特性が変動する場合は、作動環境温度を一定に保つことが必要となり、温度依存性が少なく、しかも優れた圧電特性を有する圧電素子に適用可能な圧電体は未だ見出されていない。
特開昭62−213399号公報
本発明の課題は、結晶性が制御されて高い配向性を有し優れた圧電特性を有し、電極との密着性が高く、膜剥離が抑制されて耐久性が高い圧電体を提供することにある。更に、これを用いた圧電体素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置を提供することにある。
また、本発明の課題は、作動環境の温度が変化しても圧電特性が劣化しない圧電体を得て、これを用いた圧電体素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置を提供することにある。
更に、本発明の課題は、半導体プロセスで一般に用いられている微細加工の技術を利用した圧電体の製造方法を得て、これを用いて高密度に形成された吐出口を有し、信頼性が高い液体吐出ヘッドを提供することにある。
本発明は、(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3(式中、MがLa、Ca、Ba、Sr、Bi、Sb、及びWから選択されるいずれか1種類の元素を示す。)で示されるABO3ペロブスカイト型酸化物の積層構造を有する圧電体であって、積層構造は、正方晶、菱面体晶、擬似立方晶または単斜晶のいずれかから選択された結晶相を有する層状の第1の結晶相と、
正方晶、菱面体晶、擬似立方晶または単斜晶のいずれかから選択され、かつ前記第1の結晶相の結晶相と異なる結晶相を有する層状の第2の結晶相と、前記第1の結晶相と前記第2の結晶相との間に、結晶相が層の厚さ方向において漸次に変化する境界層とを有し、積層構造全体として、単結晶構造または一軸配向結晶構造を有することを特徴とする圧電体に関する。
また、本発明は、上記圧電体に一対の電極を設けた圧電素子や、該圧電素子を用いた液体吐出ヘッド、該液体吐出ヘッドを用いた液体吐出装置に関する。
また、本発明は、上記圧電体の製造方法であって、スパッタリングにより各結晶相を成膜することを特徴とする圧電体の製造方法に関する。
本発明の圧電体は、結晶性が制御されて高い配向性を有し優れた圧電特性を有し、電極との密着性が高く、膜剥離が抑制されて、薄膜であっても耐久性が高く、作動環境の温度が変化しても圧電特性の劣化を抑制できる。また、高密着度の圧電体素子や液体吐出ヘッドに使用して、優れた圧電特性を発揮することができる。
また、本発明の圧電体の製造方法は、半導体プロセスで一般に用いられている微細加工の技術を利用することにより信頼性の高い圧電体を製造することができ、高密度の圧電体素子や液体吐出ヘッドを製造することができる。
本実施形態の圧電体は、一般式ABO3で記述されるペロブスカイト型酸化物の単結晶構造または一軸配向(単一配向)結晶構造を含む積層構造を有する。前記圧電体は、正方晶、菱面体晶、擬似立方晶、斜方晶および単斜晶から選択された結晶相を含む層状の結晶相で、かつ異なる前記結晶相を複数有する積層構造を有する。該結晶相が、(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3(式中、MがLa、Ca、Ba、Sr、Bi、Sb、Wから選択されるいずれか1種類の元素を示す。)で表されるペロブスカイト型酸化物の結晶相であって、第1の結晶相と、これと異なる結晶相の第2の結晶相とを有する。第1の結晶相と第2の結晶相とは同一の元素で構成される元素組成が異なるペロブスカイト型酸化物ABO3に限らず、異なる元素構成、元素組成の上記ペロブスカイト型酸化物ABO3であってもよい。更に、積層構造における第1の結晶相、第2の結晶相の異なる2層を有するもののみならず、第3、第4、・・・の結晶相と3以上の異なる結晶相をその間に介在する境界層と組み合わせたものであってもよい。さらに、前記異なる結晶相の間に、結晶構造が層の厚さ方向において漸次に変化する結晶相(境界層)を備えたことを特徴とする。これら第1の結晶相、境界層、第2の結晶相は周期的に積層されたものであってもよい。各結晶相は、例えばエピタキシャル成長させたものであって、積層構造を構成するが、積層構造全体として単結晶構造または、一軸配向結晶構造を示す。
上記複数の異なる結晶相を有する積層構造が全体として単結晶または、一軸配向結晶構造を示すためには、積層構造の各層を構成するペロブスカイト型酸化物ABO3の結晶相が<100>配向することが好ましい。積層構造の各層を構成する正方晶、菱面体晶、擬似立方晶、斜方晶、単斜晶が<100>配向することにより、積層構造全体として単結晶または一軸配向構造をとることができると考えられる。本実施態様のペロブスカイト型酸化物においては、正方晶系、菱面体晶系、擬似立方晶系、斜方晶系、単斜晶系は相互に近い格子定数を持ち、これらの結晶相が結晶軸方向を膜厚方向に配向した状態で存在し、単一結晶構造または一軸配向結晶構造を有するものとなる。
このような積層構造を有する圧電体として、例えば、図1に示すように、一定の結晶構造を有する第1の結晶相21と第2の結晶相22と、これらの間に設けられる境界層211、221を有するものを挙げることができる。かかる境界層としては、具体的には、単一結晶構造を有する正方晶の第1の結晶相21と、単一結晶構造を有する菱面体晶の第2の結晶相22間に設けられる以下のような結晶構造を有する。境界層211は結晶相21側から結晶相22方向へ向かって、正方晶から菱面体晶へ漸次に変化する結晶構造を有する。境界層221は結晶相22側から結晶相21方向へ向かって、菱面体晶から正方晶へ漸次に変化する結晶構造を有する。
ここでいう境界層の結晶構造の漸次の変化とは、結晶相21と結晶相22との結晶構造が混相されたようなものを含む。混相とは、2種以上の結晶相が一体として、単結晶または一軸配向結晶構造を形成してなるものである。複数の結晶相が結晶軸方向をそれぞれ異にして多結晶の状態で粒界が存在して含まれるものとは異なり、一つのペブロスカイト型酸化物の粒子中に複数の結晶相が存在するものであって、一体となって結晶を形成しているものが好ましい。
このような構成により、偏った方向からの歪を均等に分散して吸収することができるため、剥離が生じやすいミクロンオーダーの膜厚でも歪に伴う剥離を抑制できる。つまり、圧電体膜と電極との密着性が高く、膜剥離が抑制され耐久性が高い圧電体を得ることができ、結晶相各層に負荷される応力を更に緩和できて圧電体の耐久性を更に向上することができる。
また、ある特定の相に微細なクラック等の欠損が生じた場合において、結晶相が一層構造の圧電体ではクラックが広がるおそれがある。しかし、上記積層構造により、各層毎のヤング率が異なるため、ヤング率の大きい層から発生したクラックがヤング率の小さい層を越えて次のヤング率の大きい層への進展が抑制される。このため、クラックが広がりにくく、全体として耐久性の高い圧電体を得ることができる。
更に、このような積層構成において、エピタキシャル成長により形成する場合、その成膜過程で成膜温度から室温までの冷却に伴う相変化において、異なる組成の結晶相が膜自身にかかる応力を分散して吸収する。さらに、特定の温度領域毎に特定の結晶相が歪を吸収し、全体として幅広い温度領域で良好な圧電特性を有する。
また、本実施形態の圧電体の積層構造として、各結晶相の層のうち少なくとも2層が異なる厚さを有するものが好ましい。例えば、圧電体として、図2に示すように、膜厚T1の結晶相31、膜厚T2の結晶相32、膜厚T3の結晶相33を有し、膜厚T1、T2、T3がそれぞれ異なる厚さを有するものを挙げることができる。各結晶相の間には、結晶構造が漸次変化する境界層311、321、331を有している。ここでいう、膜厚T1、T2、T3は、境界層の中心から次の境界層の中心までの距離を示す。このような積層構造を有する圧電体としては、圧電体を使用する条件に最も適した結晶相の層の膜厚を充分に厚くしたものが好ましく、かかる圧電体においては負荷される応力をその他の結晶相の層において緩和することができる。各結晶相によって厚さが異なる圧電体においては、使用条件に応じて各結晶相の厚さの割合を配分し、使用環境に応じた圧電体とすることができる。また、境界層においては、漸次変化するものが好ましいが、境界層にそれぞれ接する結晶相の混相であってもよい。
本実施態様の圧電体に用いるペロブスカイト型酸化物ABO3は、(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3で表される。式中、MはLa、Ca、Ba、Sr、Bi、Sb、及びWから選択されるいずれか1種類の元素を示す。上記式中、0.45≦y<1を満たすことが好ましい。また、0≦x≦0.10、0≦xm≦1.3を満たすことが好ましい。このような元素組成を満たすことにより、後述する境界層の形成が容易となる。
本実施形態の圧電体における積層構造を形成する各層の膜厚としては、1nm以上、1000nm以下あることが好ましい。各層の膜厚が1nm以上であれば圧電体において圧電特性を充分に得ることができ、1000nm以下であれば、積層構造において面内にかかる応力による剥離を抑制することができる。
[圧電体素子]
本実施態様の圧電体素子は、上記本実施態様の圧電体と、該圧電体に接して設けられた一対の電極とを有するものであれば、特に制限されるものではない。本実施態様の圧電体素子の一例として、図3に示すように、基体41、振動板42、バッファ層43、下部電極44、圧電体45および上部電極46が順次積層された積層構造を有する圧電体素子51を挙げることができる。
本実施態様の圧電体素子における基体の材質としては、結晶性のよいものが好ましく、例えば、Siなどが好ましく、具体的にはSi上にSiO2膜を形成したSOIなどを挙げることができる。基体の厚さとしては、例えば、100〜1000μmを挙げることができる。
上記振動板は圧電体の変位を伝達するために設けられ、基体に対して格子整合性が高く、振動板として機能するために十分にヤング率の高いものが好ましい。基板の材質が酸化ケイ素の場合、振動板の材質としては、例えば、安定化ジルコニアなどが好ましい。また、基体としてSOIを用いた場合は、Si単結晶層上のSiO2層を振動板として用いてもよい。振動体の厚さとしては、例えば、2〜10μmを挙げることができる。
上記バッファ層は、基体の結晶格子定数と圧電体の結晶格子定数との格子整合性を合わせる役割を担うために設けられ、基体と圧電体相互間で格子整合性がよい場合は省略することもできる。バッファ層は何層か複数層の積層構造を有するものとして、その機能を達成するようにしてもよい。バッファ層の材質としては、直下の振動板に対しても結晶格子整合性が高い材質であることが好ましく、基体の材質がケイ素の場合、例えば、安定化ジルコニアYSZ(Y23−ZrO2)、CeO2などを挙げることができる。
上記下部電極は、バッファ層43の直上に設けられても、振動板42とバッファ層43間に設けられていてもよい。また、バッファ層を設けない場合は下部電極はバッファ層の機能を兼備するものであってもよく、この場合は、下部電極は振動板との密着性を向上させるため、密着層を介して設けてもよい。下部電極の材質としては、白金族の金属や、これらの酸化物系導電材料が好ましい。下部電極の材質として、具体的には、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等の白金族金属や、SrRuO3、BaPbO3、RuO3等の酸化物系導電材料を挙げることができる。密着層の材質としては、例えばTi、Cr、Irなどの金属や、これらの酸化物としてTiO2、IrO2などを挙げることができる。
このような下部電極44は、その上に設けられる圧電体の配向結晶方位に影響を及ぼすため、基板面の優先配向結晶方位が(010)、(101)、(110)、(111)のいずれかであることが好ましい。下部電極の基板面の優先配向結晶方位が(010)、(101)、(110)、(111)であるとき、積層される圧電体45が優先配向結晶方位をそれぞれ(100)、(001)、(010)、(101)、(110)、(111)として配向する。また、圧電体45の圧電特性は優先配向結晶方位を(001)又は(111)とするときに、下部電極の基板面の優先配向結晶方位が(001)又は(111)であることが特に好ましい。
このような下部電極を構成する金属薄膜または酸化物導電材料薄膜において結晶配向率が70%以上であることが好ましい。結晶配向率とは、XRD(X線回折)のθ−2θ測定による膜のピーク強度における割合である。金属電極薄膜の結晶配向率が70%以上であれば、下部電極が良好な電気特性を有し、その上に設けられる圧電体45が優れた結晶性を有するものとなる。下部電極の金属薄膜または酸化物導電材料薄膜の結晶配向率が85%以上であることがより好ましい。また、下部電極の膜厚としては100nmから1000nmが好ましく、密着層の膜厚としては5nmから300nmが好ましく、より好ましくは10〜70nmである。
本実施態様の圧電体素子に用いられる圧電体は本実施態様の圧電体である。圧電体の膜厚としては、100nm以上10μm以下が好ましく、より好ましくは500nm以上8μm以下である。圧電体の膜厚が100nm以上であれば、圧電体素子を液体吐出ヘッドに用いた場合、繰り返し駆動により発生する応力に対し耐久性を有し、10μm以下であれば、膜剥離の発生を抑制することができる。
上記上部電極46は、圧電体45の直上に設けられ、下部電極と共に圧電体を電荷する。上部電極と圧電体間に上記下部電極と振動板間に設けられる密着層と同様の材質の密着層を設けてもよい。上部電極46の材質としては、下部電極と同様のものを挙げることができる。
このような本実施態様の圧電体素子として、具体的には以下の層構成のものを挙げることができる。この層構成の表示は、上部電極46//圧電体45//下部電極44//振動板42として表示し、/により異なる積層構造を示す。
例1:Pt/Ti//PbZrTiO3//Pt/Ti//YSZ(Y2O3-ZrO2)/Si
例2:Au//PbZrTiO3//Pt/Ti//YSZ(Y2O3-ZrO2) /Si
例3:Pt/Ti//PbZrTiO3/PbTiO3//Pt/Ti//YSZ(Y2O3-ZrO2)/Si
例4:Au/Cr//PbZrTiO3/PbTiO3//Pt/Ti//YSZ(Y2O3-ZrO2)/Si
例5:Au/Cr//PbZrTiO3//Pt/Ti//SiO2/Si
例6:Au//PbZrTiO3 /PbTiO3//Pt/Ti//YSZ(Y2O3-ZrO2)/Si
例7:Pt/Ti//PbZrTiO3//Pt/Ti//SiO2/Si
例8:Au//PbZrTiO3//Pt/Ti//SiO2/Si
例9:Pt/Ti//PbZrTiO3 /PbTiO3//Pt/Ti//SiO2/Si
例10:Au//PbZrTiO3/PbTiO3//Pt/Ti//SiO2/Si
例11:Pt//PbZrTiO3//Pt/Ti//SiO2/Si
例12:Au//PbZrTiO3/PbTiO3//Ir/Ti//SiO2/Si
例13:Ir//PbZrTiO3//Ir/Ti//SiO2/Si
例14:Ir//PbZrTiO3//Pt/Ti//SiO2/Si
例15:Ir//PbZrTiO3//Ir/Ti//SiO2/Si
例16:Ir//PbZrTiO3//Pt/Ti//SiO2/Si
[液体吐出ヘッド]
本実施態様の液体吐出ヘッドは、吐出口と、吐出口に連通する個別液室と、個別液室に対応して設けられた本実施態様の圧電体素子と、個別液室と圧電体素子との間に設けられた振動板とを有するものであれば、特に制限されない。本実施態様の液体吐出ヘッドの一例として、図3に示すインクジェットヘッドを挙げることができる。かかるインクジェットヘッドには、基体41と、基体に並列して設けられる複数の個別液室である圧力室61とが設けられる。各圧力室には液吐出口(吐出口)53および圧電体素子51が設けられ、圧力室と圧電体素子との間には振動板42が設けられる。このインクジェットヘッドにおいては吐出口53は、基体41の下側に設けられるノズルプレート52に所定の間隔をもって形成されているが、側面側に設けることもできる。
上記圧電体素子51は、一例として、各圧力室61にそれぞれ対応して設けられる。各圧電体素子51は、一例として、バッファ層43、下部電極44、圧電体薄膜である圧電体45、上部電極46が順次積層された積層体から構成される。
本実施態様の液体吐出ヘッドにおいて、圧電体の変位が伝達された振動板により生じる個別液室内の体積変化によって個別液室内の液体を吐出口から吐出する。
本実施態様の液体吐出ヘッドはインクジェットヘッドの他、各種液体を吐出する装置の液体吐出部に適用することができる。
本実施態様の液体吐出ヘッドにおいては、基体上に振動板、圧電素子を構成するバッファ層、下部電極、圧電体、上部電極などがそれぞれ結晶配向の方位の揃った圧電体素子を用いているため、各圧電体素子の性能にばらつきが少ない。このため高密着のデバイスを得ることができ、さらに小型化に十分な圧電特性および機械特性を得ることができる。また、高配向結晶の圧電体を用いることで、圧電体素子の耐久性が向上し、液体吐出ヘッドにおいて耐久性に優れる。
[液体吐出装置]
本実施態様の液体吐出装置は、上記本実施態様の液体吐出ヘッドを有するものである。
本実施態様の液体吐出装置の一例として、インクジェット記録装置を挙げることができる。図4に示すように、インクジェット記録装置は、記録媒体としての記録紙を装置本体96内へ自動給送する自動給送部97を有する。更に、自動給送部97から送られる記録紙を所定の記録位置へ導き、記録位置から排出口98へ導く搬送部99と、記録位置に搬送された記録紙に記録を行う記録部91と、記録部91に対する回復処理を行う回復部90とを有する。記録部91には、本実施態様の液体吐出ヘッドを収納し、レール上を往復移送されるキャリッジ92が備えられる。
このようなインクジェット記録装置において、コンピューターから送出される電気信号によりキャリッジ92がレール上を移送され、圧電体を挟持する電極に駆動電圧が印加されると圧電体が変位する。この圧電体の変位により振動板を介して各圧電室を加圧し、インクを吐出口から吐出させて、印字を行なう。
本実施態様の液体吐出装置においては、均一に高速度で液滴を吐出させることができ、装置の小型化を図ることができる。
上記例は、プリンターとして例示したが、本実施態様の液体吐出装置は、ファクシミリや複合機、複写機などのインクジェット記録装置の他、産業用液体吐出装置として使用することができる。
[圧電体の製造方法]
本実施態様の圧電体の製造は、上記圧電体の製造方法であって、複数の圧電体材料を異なる領域に配置したターゲットを設ける工程と、スパッタを行うターゲットの領域を変化させスパッタリングを行う工程とを有する。例えば、図1に示す圧電体を製造する方法としては、圧電体の基体となる基体と、結晶相を構成する圧電体材料、上記ペロブスカイト型酸化物ABO3の元素組成の圧電体材料を配置したターゲットとを対向して設けたチャンバーを用いる。チャンバー内を高真空にした後、基体とターゲット間を印加してグロー放電を生成し、導入したアルゴンガスなどをイオン化する。更にこのイオンを高電界で加速してターゲットを叩き、ターゲットからの反跳元素により基体上に結晶相を成長させる。特に、異なる結晶相を周期的に反復して積層して圧電体を製造するには、ターゲットとして、図5に示すように、ターゲット領域を分割した異なる領域に異なる結晶相を構成する2種の圧電体材料、組成1、組成2をそれぞれ配置したものを用いる。シャッターの開口をターゲットの該当する圧電体材料の領域に対向させる。該当する圧電体材料の領域だけを開口を介して所定時間スパッタリングを行ない、反跳元素を基板へ成膜させる。その後、次の結晶相を形成する別の組成の圧電体材料領域に開口が対向するようにシャッターを徐々に移動し、スパッタリングを行う。これを反復し、異なる組成、即ち異なる2種の結晶相とその間の境界層とが順次積層された積層構造を有する圧電体を得ることができる。更に、3種の結晶相と境界層が積層された積層構造を有する圧電体の場合は、図6に示すように、異なる結晶相を構成する3種の圧電体材料、組成1〜3を、ターゲット領域を3分割した領域のそれぞれ異なる領域に配置する。シャッターの開口を該当する圧電体材料の領域に、順次、周期的に対向させてスパッタリングを行うことにより、組成1〜3の結晶相とその境界層とが積層された積層構造を有する圧電体を得ることができる。
ターゲットとして用いる上記(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3で表されるペロブスカイト型酸化物ABO3の圧電体材料は、例えば、焼結法、所望組成で調製した粉末法により得ることができる。
また、結晶構造が層の厚さ方向において漸次に変化する境界層の製造は、異なる圧電体材料が配置される領域へ開口を対向させるシャッターの移動速度を調整して行なう。シャッターの移動速度を、圧電体の厚さ方向において漸次に変化する結晶相に相当する成膜がなされるような開口の移動速度とすることにより、結晶相が漸次に変化する結晶相を作製することができる。
このように、上記ペロブスカイト型酸化物ABO3の元素組成のターゲットを用い、エピタキシャル成長させることにより、異なる結晶相を有する積層構造において、全体として単結晶構造または、一軸配向構造を有する圧電体を得ることができる。
[圧電体素子の製造方法]
上記本実施態様の圧電体素子の製造方法としては、薄膜成膜技術を使用する方法を挙げることができる。上記構成の圧電体素子の製造において、振動板42の作製方法としては、スパッタ法、CVD法、レーザーアブレーション法、MBE法等の薄膜作製方法を用いることができる。特に、スパッタ法では、加熱中に十分成膜基板を加熱することによって、基体41に対してエピタキシャル成長した酸化物薄膜を得ることができる。
また、上記圧電体素子の製造における基板41上に積層される下部電極44や、上部電極の作製方法としては、スパッタ法、CVD法、PLD法、Sol−Gel法、MBE法、水熱合成等の薄膜作製技術を用いることができる。これらの方法により、電極材料を特定の方向に配向させて成膜することができる。
下部電極44上に圧電体45を成膜するには、スパッタ法、CVD法、Sol−Gel法、MBE法、水熱合成法等の方法で圧電体を成膜、結晶成長させる方法を用いることができる。
また、圧電体45上に上部電極46を成膜するには、上述の方法に加えて、蒸着法などの気相法、スクリーン印刷法などの塗布法、メッキ法などの液相法など方法によることができる。
上記圧電体素子のバッファ層の作製としては、バッファ材料を用いて電極の作製方法と同様の方法を使用することができる。
[液体吐出ヘッドの製造方法]
本実施態様の液体吐出ヘッドの製造方法としては、薄膜成膜技術を使用する方法を挙げることができる。本実施態様の液体吐出ヘッドを製造するには、上記構成の圧電体素子の基体41に個別液室(圧力室)61を設ける方法と、別の基体に個別液室を設け、これと圧電体素子とを接合する方法などによることができる。
前者の方法としては、上記と同様の方法で圧電体素子を作製し、基体41の一部を一定のピッチで除去し、複数の個別液室となる凹部を形成する。この凹部の形成には、例えば、異方性エッチングを利用したウエットエッチングや、ICP、リーガプロセス、ボッシュプロセスなどのドライエッチング、あるいはサンドミル等の方法を用いることができる。個別液室の平面形状としては、長方形、円形、楕円形等適宜選択することができる。また、サイドシューターの場合、個別液室の形状を液吐出口に向かってテーパー部を有する絞った形状にすることもできる。この凹部に対応して吐出口53を穿孔したノズルプレート52を接合する、あるいは、吐出口53および連通孔を形成したノズルプレートを接合して液体吐出ヘッドを作製することができる。ノズルプレートの材質としては接合する基体と同じ材質であっても異なる材質、例えば、SUS、Ni等であってもよく、接合する基体との熱膨張係数の差が1E−6/℃から1E−8/℃である材料が好ましい。ノズルプレートに吐出口を穿孔する方法としては、エッチング、機械加工、レーザー光照射などの方法を挙げることができる。
上記基体41とノズルプレート52の接合方法としては、有機接着剤を用いる方法でもよいが、無機材料による金属接合による方法が好ましい。金属接合に用いられる材料としては、In、Au、Cu、Ni、Pb、Ti、Cr等を挙げることができる。これらの金属材料は250℃以下の低温で上記基体とノズルプレートとを接合することができ、基体との熱膨張係数の差が小さく、長尺化された場合に素子の反り等による問題が回避され、圧電体に対する損傷も抑制できる。
以下、本実施態様の圧電体、圧電体素子を用いた液体吐出ヘッドについて具体的に説明する。本実施態様の圧電体や圧電体素子、これを用いた液体吐出ヘッドの技術的範囲はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
以下の方法により液体吐出ヘッドを作製した。
まず、スパッタリング装置(L−210−FH(ANELVA製))を用い、Si基板の開口部上に安定化ジルコニアYSZ(Y23−ZrO2)を成膜し、振動板を作製した。このとき、Si基板は800℃に加熱し、イオン化するガスとして、Ar及びO2を用い、Si基板とターゲット間の印加電力は60W、装置内の圧力は1.0Paとして結晶成長させ、単一配向の膜厚200nmの振動板を得た。
次に、振動板の作製法方と同様の方法で下部電極を作製した。このとき、ターゲットとしてPtを用い、基板の温度600℃、イオン化するガスArを用い、振動板とターゲット間の印加電力は100W、装置内の圧力は0.5Paとして、単一高配向の膜厚400nmのPt膜を得た。
その後、上記スパッタリング装置を用い、ターゲットとして以下のターゲット組成(1)(2)の2種のペロブスカイト酸化物を、異なる領域に配置した図5に示すものを用いた。シャッターの開口をターゲットの一つの組成領域に対向させ、一定時間固定し基板へ成膜した後、開口が他の組成領域に対向するようにシャッターを移動し成膜をすることを反復した。異なる組成の結晶相各々20層が交互に積層され、各結晶相間に境界層が積層された圧電体を得た。基板の温度650℃、イオン化するガスAr及びO2を用い、電極とターゲット間の印加電力は100W、装置内の圧力は0.5Paとした。ターゲット組成(1)及び(2)の領域のスパッタリング時間8min、シャッターの開口のターゲットの一つの領域から次の領域への移動時間(境界層形成時間)を2minとした。図1に示す正方晶と菱面体晶とその混相の境界層からなる膜厚3000nmの圧電体を得た。
ターゲット組成
(1)(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3式中、x=0、y=0.45
(2)(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3式中、x=0、y=0.55
その後、上部電極を、上記下部電極の作製方法と同様の方法により作製した。
次に、Si基板を、振動板42が設けられた面と反対側の面からICPによるドライエッチング法を行って中央部を取り除き凹部を形成した。このとき、基板の温度は20℃、使用ガスはSF6、C48、高周波コイルの誘電はRFで1800W、装置内の圧力は4.0Paとした。液体出口53を備えたSi製のノズルプレートを凹部を形成したSi基板に、Si−Si接合法により張り合わせた。圧電体素子の振動板の長さ5000μm、幅100μmの液体吐出ヘッドを作製した。
得られた圧電体素子と液体吐出ヘッドについて、印可電圧20V、10kHz時の圧電体素子変位量と、液体吐出ヘッドの液滴の吐出量と吐出速度を測定した。
[実施例2]
圧電体作製のターゲット組成を以下のものとし、図6に示すターゲットを使用した他は実施例1と同様の方法により液体吐出ヘッドを作製した。3分割したターゲット領域にそれぞれ圧電体材料としてターゲット組成(1)〜(3)を配置した。各々の組成領域のスパッタリング時間は各々15min、13min、11minとし、シャッターの開口の移動時間を4minとした。正方晶、菱面体晶、この両方の結晶相が混在するMPB層の3層の各々20層と、その混相の境界層が順次積層された圧電体を得た。各結晶相の成膜時間を異ならせることで、図2に示すような各結晶相の膜厚の異なる圧電体を形成することができた。
ターゲット組成
(1)(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3式中、M=La、x=0.07、y=0.40、xm=1.10
(2)(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3式中、M=Ca、x=0.02、y=0.52、xm=1.10
(3)(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3式中、M=Ba、x=0.03、y=0.55、xm=1.10
得られた圧電体素子と液体吐出ヘッドについて、実施例1と同様にして変位量と液滴吐出量と吐出速度を測定した。
[実施例3]
圧電体作製のターゲット組成として以下(1)〜(6)を用い、6分割したターゲット領域に圧電体材料をそれぞれ配置したターゲットを使用した。それ以外は実施例1、2と同様の方法により液体吐出ヘッドを作製した。各々の組成領域のスパッタリング時間は各々24min、24min、24min、30min、24min、36minとした。シャッターの開口の移動時間を6minとした。正方晶、菱面体晶、正方晶、擬似立方晶、正方晶、単斜晶を各々10層と、境界層を順次積層した圧電体を得た。ターゲットの分割領域と、スパッタ時間を適宜変更して、目的の膜厚を有する複数の結晶相が積層された圧電体を形成することができた。
ターゲット組成
(1)(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3式中、M=La、x=0.07、y=0.40、xm=1.15
(2)(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3式中、M=Sr、x=0.02、y=0.52、xm=1.15
(3)(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3式中、M=Bi、x=0.03、y=0.40、xm=1.15
(4)(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3式中、M=Sb、x=0.02、y=0.52、xm=1.15
(5)(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3式中、M=W、x=0.02、y=0.40、xm=1.15
(6)(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3式中、M=La、x=0.03、y=0.52、xm=1.15
Zr量0.52の上記(2)(4)(6)により成膜時間を24min、30min、36minとしたため、膜に対して負荷される応力に差が生じ、(2)は菱面体晶、(4)擬似立方晶、(6)は単斜晶の構造をとると考えられる。
得られた圧電体素子と液体吐出ヘッドについて、実施例1、2と同様にして変位量と液滴吐出量と吐出速度を測定した。
[比較例1]
圧電体作製のターゲット組成を(Pb1-xx)(ZryTi1-y)O3 式中、x=0、y=0.50焼結体とし、基板の加熱温度を600℃とする他は実施例1と同様の方法により液体吐出ヘッドを作製した。正方晶と菱面体晶とが混在する多結晶の圧電体を得た。
得られた圧電体素子と液体吐出ヘッドについて、実施例1と同様にして変位量と液滴吐出量と吐出速度を測定した。
結果より、実施例1圧電体素子の変位量は0.40nmであった。実施例2の変位量は0.55nmであった。実施例3の変位量は0.54nmであった。これに対し、比較例1の正方晶の層のみからなる圧電体素子の変位量は0.35nmであった。
実施例1の液体吐出ヘッドに20Vの電圧を印加(10kHz)したときの吐出量は17pl、吐出速度は14m/secであった。実施例2の液体吐出ヘッドに20Vの電圧を印加(10kHz)したときの吐出量は19pl、吐出速度は16m/secであった。実施例3の液体吐出ヘッドに20Vの電圧を印加(10kHz)したときの吐出量は19pl、吐出速度は15m/secであった。これに対し、比較例1の液体吐出ヘッドの吐出量、吐出速度はそれぞれ16pl、13m/secであり、吐出量、吐出速度は実施例と比較して低下した。
さらに、これらの液体吐出ヘッドの耐久試験を行なったところ、本実施態様の実施例の液体吐出ヘッドは109回を越えても不吐ノズルはなかったのに対し、比較例では106〜107回で剥離が生じ、不吐出のノズル部分が発生した。本実施態様の圧電体を適用することで、耐久性が高く、剥離の生じにくい圧電素子を得ることができることが分かる。
本発明の圧電体の一実施態様の積層構成を示す模式図である。 本発明の圧電体の一実施態様の積層構成を示す模式図である。 本発明の液体吐出ヘッドの一実施態様を示す斜視図である。 本発明の液体吐出装置の一実施態様を示す斜視図である。 本発明の圧電体の製造方法に用いるスパッタ装置のターゲットとシャッターとの関係を示す模式図である。 本発明の圧電体の製造方法に用いるスパッタ装置のターゲットとシャッターとの関係を示す模式図である。
符号の説明
41 基体
42 振動板
43 バッファ層
44 下部電極
45 圧電体
46 上部電極
51 圧電体素子
52 ノズルプレート
53 吐出口
61 圧力室(個別液室)
81 インクジェット記録装置(液体吐出装置)

Claims (6)

  1. (Pb1-xxxm(ZryTi1-y)O3(式中、MがLa、Ca、Ba、Sr、Bi、Sb、及びWから選択されるいずれか1種類の元素を示す。)で表されるペロブスカイト型酸化物ABO3の積層構造を有する圧電体であって、
    該積層構造は、
    正方晶、菱面体晶、擬似立方晶または単斜晶のいずれかから選択された結晶相を有する層状の第1の結晶相と、
    正方晶、菱面体晶、擬似立方晶または単斜晶のいずれかから選択され、かつ前記第1の結晶相の結晶相と異なる結晶相を有する層状の第2の結晶相と、
    前記第1の結晶相と前記第2の結晶相との間に、結晶相が層の厚さ方向において漸次に変化する境界層とを有し、
    積層構造全体として、単結晶構造または一軸配向結晶構造を有することを特徴とする圧電体。
  2. 前記式中、0.45≦y<1を満たすことを特徴とする請求項1に記載の圧電体。
  3. 請求項1または2に記載の圧電体と、該圧電体に接して設けられた1対の電極とを有することを特徴とする圧電体素子。
  4. 吐出口に連通する個別液室と、該個別液室に対応して設けられた圧電体素子とを有し、前記個別液室内の液体を前記吐出口から吐出する液体吐出ヘッドであって、前記圧電体素子として請求項3に記載の圧電体素子を用いることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 請求項4に記載の液体吐出ヘッドを有することを特徴とする液体吐出装置。
  6. 請求項1または2に記載の圧電体の製造方法であって、
    複数の圧電体材料を異なる領域に配置したターゲットを設ける工程と、
    スパッタを行うターゲットの領域を変化させスパッタリングを行う工程とを有することを特徴とする圧電体の製造方法。
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