JP4926310B2 - 抗ウイルス薬および抗腫瘍薬としてのロイコトリエンb4またはその類似体の使用 - Google Patents
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Description
(a)発明の分野
本発明は、ロイコトリエンB4(LTB4)の抗ウイルス活性、ならびにヒトウイルスおよび動物ウイルスにより起きるウイルス感染を処置するための療法薬としてのロイコトリエンB4(LTB4)の使用に関する。
(b)先行技術の記述
人類を苦しめている多くの重大な感染性疾患がウイルスにより起きる。あるものは、それらが致命的となる頻度が高いので重大である。それらには、狂犬病、痘瘡、灰白髄炎、肝炎、黄熱病、免疫不全症、および種々の脳炎性疾患が含まれる。そのほか、インフルエンザ、麻疹、おたふくかぜおよび水痘、ならびに呼吸器−消化管障害などは、接触感染性が著しく高く、急性不快感を生じるので、同様に重大である。そのほか、風疹ウイルスおよびサイトメガロウイルスは先天性異常を起す可能性がある。最後に、ヒトや動物に腫瘍や癌を起す可能性のある腫瘍ウイルスとして知られるウイルスがある。
ウイルスのうちでは、ヘルペスウイルス科がきわめて重要である。ヘルペスウイルスはヒトに対し播種性が高く、かつ病原性が高い。たとえばエプスタイン・バールウイルス(EBV)は、小児後期、青年期、すなわち青少年に感染性単核細胞症を起すことが知られている。急性感染性単核細胞症の特徴は、咽頭痛、発熱、頭痛、リンパ節症、扁桃肥大、および末梢血中における異型***リンパ球である。他の症状発現には、軽度の肝炎、巨脾腫症および脳炎が含まれる(総説についてはMiller G.,Vilology,B.N.Fields & D.M.Knipe編, ラバン・プレス, 1990,pp.1921-1958参照)。EBVは2形態の癌、すなわちバーキットリンパ腫(BL)および鼻咽頭癌(NPC)にも関係する。赤道直下アフリカの一地方では、BLは最も多い小児悪性疾患であり、小児癌の約80%を占める。NPCは北米白色人種に中程度にみられるが、中国南部では最も多い癌のひとつであり、発症年齢の範囲は26〜55歳である。EBVは、サイトメガロウイルスと同様に移植後リンパ増殖性疾患にも関連がある。これは、実質性臓器や骨髄の移植に伴う、致命的となる可能性のある慢性免疫抑制性合併症である。
他のヘルペスウイルス、すなわち単純ヘルペスウイルス−タイプ1(HSV−1)は、歯肉口内炎の発症因子であることが確認されている。発現症状は発熱、咽頭痛、ならびに口腔の潰瘍性および小胞性病変である。HSVにより起きる最も重症の臨床状態は、原発性生殖器ヘルペス感染症である。HSV−1が生殖器ヘルペス感染症を起す可能性はあるが、HSV−2がこの疾患に関連するおもなウイルスである。このHSV感染症は小胞、膿疱および潰瘍を伴い、生殖器部位の病変を起す。尿貯留症候群が起きることもある。80%以上の人々がHSV−1またはHSV−2に対しセロポジティブであり、調査によれば60%もの再発やウイルス再活性化の頻度を示した。そのほか、脈絡網膜炎および角結膜炎を含めた、皮膚および眼の感染症にもHSVが関連する。米国では、眼のHSV感染症が年間約300,000例診断されている。
ヒトヘルペスウイルス−6(HHV−6)は免疫系の細胞に顕著な向性をもつので、HHV−6感染の結果、免疫反応が変化する可能性がある。現在ではHHV−6は、小児の原発性感染症として、突発性発疹の原因であることが明らかになっている。最近の研究は、移植前にセロポジティブであった臓器移植受容者の有意割合が、免疫抑制後に再活性化の血清学的証拠を示すことを暗示している。異染細胞(heterophil)陰性の単核症様疾病、および非−A、非−B肝炎も、活性HHV−6感染に関連する。HHV−6は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症患者からしばしば分離されている。HIVおよびHHV−6が同じ標的細胞中に存在する可能性があるという事実から、HHV−6感染はHIVセロポジティブ患者が症候性エイズへと進行する際の補因子として作用するのかもしれないと推論される。最近の研究は、ヒトヘルペスウイルスがHIV疾患と密接な関連をもつことも示唆している。事実、HIV感染者におもに起きる腫瘍であるカポージ肉腫(KS)には、感染性病因のあることが分かった。このウイルスはKS関連ヘルペスウイルスと呼ばれるが、その正式な分類はHHV−8であると思われる。
1980年代初頭来、新しい疾患が確認され、後天性免疫不全症候群(エイズ)と命名された。レトロウイルス科に属するヒト免疫不全ウイルス(HIV)がエイズの発症因子であることは知られている。ヒトのHIV感染は、単核症様症候群、持続性無症候性感染症およびエイズのような、多様な疾病状態をもたらす可能性がある。エイズ関連疾患には、カポージ肉腫、肺炎、慢性下痢症、髄膜炎、トキソプラズマ症、脳障害、肛門直腸癌およびB−リンパ球性リンパ腫が含まれる。急性感染症の顕著な症状には、リンパ節症、発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛、疲労、下痢、咽頭痛および神経症状発現が含まれる。
現在では、HIVは3つの主経路で伝達されることが認められている:a)性的接触、b)汚染血液、およびc)母から胎児へ。骨髄、リンパ節、血液、脳および皮膚を含めた、ヒトの多様な臓器や組織に、ウイルスエンベロープタンパク質gp120と細胞表面受容体CD4の相互作用を介してHIVが侵入する可能性がある。
1993年末で推定1400万人がHIVに感染しており、2000年までにはこの数値は2400万にもなるであろう。今日、医療処置は抗ウイルス薬(特に3′−アジド−3′−デオキシチミジン、AZT)の使用と、多数の日和見感染症の処置に限られている。しかしこれらの処置は、HIV感染症の抑制にまだ完全には有効でない。したがってHIV感染症の処置のための新規分子を作り出すことがきわめて重要である。
すべての感染性疾患において、療法の効果は宿主の免疫反応に依存することが多い。ヘルペスウイルスの場合、特にそうである。実際に、すべてのヘルペスウイルスが潜在性感染を樹立する能力をもつので、免疫無防備状態の患者における再活性化感染症の発症率がきわめて高くなる。腎移植片受容者では、40〜70%が潜在性HSV感染症を再活性化し、80〜100%がCMV感染症を再活性化する。このようなウイルス再活性化はHIV陽性患者(エイズ)においてもみられる。
今日、ウイルス感染症の処置に用いられる療法薬の数は、依然として比較的限られている。ヘルペスウイルス感染症の処置に用いられるおもな化合物は、イドキシウリジン、ビダラビン、アシクロビルおよびガンシクロビル、ならびにより最近ではファムシクロビルであり、これは体内でペンシクロビルに変換される。それらの有効性は限られており、かつそれらは多くの副作用を起す。眼のHSV感染症の処置にのみ用いられるイドキシウリジンで処置した患者の35%に、アレルギー作用が報告されている。ビダラビンに最も多い副作用は、消化管障害である(患者の15%)。アシクロビルのおもな副作用は、腎機能変調である。アシクロビルはウイルス細胞と宿主細胞両方のDNAに取り込まれる可能性のあるヌクレオシド類似体であるので、宿主細胞の正常な***が影響を受ける可能性がある。ガンシクロビルの最も重大な副作用は、エイズ患者の約40%に起きる好中球減少症および血小板減少症である。
したがって、副作用がより少ない、より有効な、ウイルス感染症処置のための療法薬の開発が緊急に求められている。
ロイコトリエンB4(LTB4)[5S,12R−ジヒドロキシ−6,8,10,14(Z,E,E,Z)−エイコサテトラエン酸]は、既知の天然分子である。LTB4は5−リポキシゲナーゼ経路に由来するアラキドン酸代謝産物である。LTB、については多くの生物学的特性が報告されている。特に、LTB4は有効な炎症前化合物であると考えられる。その最も重要な生物学的活性は、白血球に対するその走化作用およびケモキネシス作用である。実際にLTB4は、インビトロおよびインビボとも、ヒトの多形核白血球、単球およびマクロファージに対する有効な化学誘引物質であることが示された。LTB4は、脱穎粒およびスーパーオキシドアニオン合成のような他の白血球機能も活性化する。これら炎症前作用のため、LTB4は防御機序の推定成分であると考えられている。さらにLTB4は、多形核白血球、単球およびマクロファージのような炎症細胞により合成され、Bリンパ球によっても合成される。
LTB4は免疫調節活性をもつことも示されている。実際に、LTB4はヒト末梢血単核白血球培養物においてサプレッサー細胞活性を誘導することが認められた。この誘導されたサプレッサー細胞活性は、マイトジェンに対するヒトリンパ球の増殖反応を阻害した(Rola-Pleszczynski M.et al.,BioChem.Biophys. Res.Comm.,1982, 108:1531)。LTB4が、K562赤白血病細胞に対する、また単純ヘルペスウイルスタイプ1に感染していない、または持続感染しているヒト前立腺アデノーマMA−160細胞に対する、天然のヒト細胞毒性細胞活性を高めることも示された(Rola-Pleszczynski M.et al.,BioChem.Biophys.Res.Comm.,1983,113:531;Gagnon L.et al.,Cell Immunol.,1987,110:243)。他の研究で、LTB4、LTA4、LTD4、5−ヒドロペルオキシ−エイコサテトラエン酸および15−ヒドロペルオキシ−エイコサテトラエン酸も、ヒトナチュラルキラー細胞の細胞毒性を高めることが示された(Rola-Pleszczynski M.et al.,Prostaglandins Leukotrienes Med.,1984,13:113;Bray R.A.et al., J.Immunol.,1986,136:1783)。
LTB4に構造的に関連する、プロスタグランジン(プロスタグランジンA、B、D、J、EおよびI)と総称される一群の分子が、インビトロ系およびインビボ系とも抗ウイルスおよび抗癌活性をもつことは、たびたび証明されている。プロスタグランジンはLTB4と同様にアラキドン酸から誘導されるが、異なる生合成経路、すなわちシクロオキシゲナーゼ経路に由来する。
スギウラらの名で1987年8月25日に出願された米国特許第4,689,426号には、抗腫瘍活性および抗ウイルス活性をもつ、プロスタグランジンAまたはDに関連するシクロペンタノン誘導体が記載されている。
若干のプロスタグランジンは抗ウイルス活性をもつことが示されたが、それらは望ましくない副作用を生じ、比較的低い活性を示した。
より高い有効性をもち、かつ既知の抗ウイルス薬がもつ望ましくない副作用を示さない抗ウイルス薬を提供することが、きわめて望ましいであろう。
発明の概要
本発明の目的のひとつは、ウイルス感染症の予防および治療に、より有効であり、かつ既知の抗ウイルス薬がもつ望ましくない副作用を示さない抗ウイルス薬を提供すること、ならびにその使用である。
本発明の他の目的は、レトロウイルス、パピローマウイルス、アデノウイルスおよびヘルペスウイルスのような腫瘍ウイルスにより誘発される癌の予防または治療に用いる抗ウイルス薬を提供することである。
本発明の他の目的は、免疫抑制された患者および動物におけるウイルス感染症の予防または治療に用いる抗ウイルス薬を提供することである。
本発明の他の目的は、癌の治療に用いる抗腫瘍薬を提供することである。
本発明の1態様によれば、ヒトまたは動物におけるウイルス感染症の予防または治療のための、薬理学的に許容しうる、療法上有効な量のロイコトリエンB4(LTB4)薬の使用が提供される。
本発明の他の態様によれば、薬理学的に許容しうる、療法上有効な量のLTB4薬、および薬剤学的に許容しうるキャリヤーを含む、抗ウイルス薬組成物が提供される。
したがって本発明によれば、たとえばEBV、HSV−1、HSV−2、CMV、VZV、HHV−6、HHV−7およびHHV−8よりなる群から選択されるヘルペスウイルスに対する抗ウイルス薬としてのロイコトリエンB4(LTB4)薬の使用が提供される。
本発明によれば、HIV−1およびHIV−2に対する、ならびに他のヒトウイルスおよび動物ウイルスに対する抗ウイルス薬としてのLTB4薬の使用が提供される。これらのウイルスには、ピコルナウイルス科に属するブタエンテロウイルス、またはトガウイルス科に属するウシ下痢ウイルス、パラミクソウイルス科に属するウシRS(respiratory syncytial)ウイルスが含まれるが、これらに限定されない。
本発明によれば、ヒトおよび動物のウイルス感染症の治療における抗ウイルス薬としての、他の抗ウイルス薬と併用した、LTB4薬の使用が提供される。この、他の抗ウイルス薬には、インターフェロン−α、−β、−γ、腫瘍壊死因子α、ガンシクロビル、アシクロビル、ビダラビン、イドキシウリジン、ファムシクロビル、3TC、クリキシバン、ネバレピン、およびプロスタグランジンまたはプロスタグランジン類似体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明によれば、レトロウイルス、パピローマウイルス、アデノウイルスおよびヘルペスウイルスのような腫瘍ウイルスにより誘発される癌の予防および治療に用いる抗ウイルス薬としての、LTB4薬の使用が提供される。
本発明によれば、腫瘍ウイルスにより誘発される癌に対する抗ウイルス薬としての、他の抗腫瘍薬と併用した、LTB4薬の使用が提供される。この、他の抗腫瘍薬には、アドリアマイシン、シクロホスファミドおよびメトトレキセートが含まれるが、これらに限定されない。
本発明によれば、免疫抑制された患者および動物のウイルス感染症の予防および治療における抗ウイルス薬としての、LTB4薬の使用が提供される。
免疫抑制された患者には、臓器または組織移植を受け、かつ免疫抑制薬で処置された患者が含まれ、免疫抑制薬にはアザチオプリン、コルチコステロイド類、アドリアマイシン、シクロホスファミドおよびメトトレキセートが含まれるが、これらに限定されない。免疫抑制された患者には、いずれかの形態の癌または腫瘍性疾患を伴い、抗腫瘍薬で処置された、または処置されていない患者も含まれ、抗腫瘍薬には、アドリアマイシン、シクロホスファミドおよびメトトレキセートが含まれるが、これらに限定されない。免疫抑制された患者には、抗炎症薬で処置された、炎症性疾患を伴う患者も含まれ、抗炎症薬には、コルチコステロイド類、メトトレキセート、アザチオプリンおよびシクロホスファミドが含まれるが、これらに限定されない。免疫抑制された患者には、ショックもしくは重症の外傷(これには火傷による外傷が含まれるが、これに限定されない)を伴う患者、または長期血液透析を受けている患者も含まれる。
本発明によれば、免疫抑制された患者および動物のウイルス感染症に対する抗ウイルス薬としての、他の抗ウイルス薬と併用した、LTB4薬の使用が提供される。
本発明によれば、癌の治療に用いる抗腫瘍薬としてのLTB4薬の使用が提供される。
本発明によれば、癌の治療に用いる抗腫瘍薬としての、他の抗腫瘍薬と併用した、LTB4薬の使用が提供される。この、他の抗腫瘍薬には、アドリアマイシン、シクロホスファミドおよびメトトレキセートが含まれるが、これらに限定されない。
本発明によれば、細菌性グラム+および−感染症または真菌感染症に対する療法薬としての、単独での、または他の抗菌薬もしくは抗真菌薬と併用した、LTB4薬の使用が提供される。
本発明によれば、ヒトおよび動物のウイルス感染症の予防および治療における抗ウイルス薬としての、他の薬剤と併用した、LTB4薬の使用も提供される。この、他の薬剤には、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、インターフェロン、腫瘍壊死因子α、インターロイキン−3およびインターロイキン−5など、白血球を刺激してLTB4または他のアラキドン酸代謝産物(数種類のLTB4を含む)の合成を開始させることが示され、かつLTB4薬の抗ウイルス活性を高めうるものが含まれるが、これらに限定されない。
本発明によれば、ヒトおよび動物のウイルス感染症の予防または治療における抗ウイルス薬としての、レチノイドと併用した、LTB4薬の使用も提供される。レチノイドには、9−cis−レチノイン酸および類似体(13−cis−レチノイン酸または全trans−レチノイン酸)など、レチノイド受容体のリガンドであり、かつLTB4薬の抗ウイルス活性を高めうるものが含まれるが、これらに限定されない。
本発明によれば、ヒトおよび動物のウイルス感染症の予防および治療のための抗ウイルス薬としての、非ステロイド系抗炎症薬と併用した、LTB4薬の使用も提供される。この非ステロイド系抗炎症薬には、N−アセチルサリチル酸、インドメタシン、イブプロフェン、フルルビプロフェンおよびナプロキセンなど、タイプI(構成性)およびII(誘導性)シクロオキシゲナーゼの阻害薬であり、かつヒトおよび動物におけるLTB4薬投与の潜在的副作用を制限するのに有用となりうるものが含まれるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
図1は、EBVにより誘導されるクランプ形成にLTB4が及ぼす影響を示す;
図2は、EBVにより誘導されるエプスタイン・バール核抗原(EBNA)タンパク質合成にLTB4が及ぼす影響を示す;
図3は、EBV粒子の産生にLTB4が及ぼす影響を示す;
図4は、HSV−1により誘導される細胞質抗原合成にLTB4が及ぼす影響を示す;
図5は、HSV−1粒子の産生にLTB4が及ぼす影響を示す;
図6は、HIV−1感染末梢血単核細胞の逆転写酵素活性にLTB4が及ぼす影響を示す;
図7は、細胞の生存率にLTB4が及ぼす影響を示す;
図8Aおよび8Bは、EBVにより誘導されるEBNAタンパク質合成(A)、およびHSV−1により誘導されるウイルスタンパク質合成(B)に、LTB4およびアシクロビルが及ぼす影響を示す;
発明の詳細な記述
i)LTB4
本発明のロイコトリエンB4(LTB4)薬は、LTB4もしくは構造的に関連する特定の多不飽和脂肪酸、あるいは構造的に脂肪酸と関連のない物質であって、細胞によるLTB4もしくは他のLTB4薬の合成を刺激し、またはそれらの生物学的活性を模倣するものである。それらは天然物質、またはそのような天然物質の類似体である。これらのLTB4薬はすべて、文献に記載された方法による化学合成で得ることができ、大部分は市販されている。
LTB4薬の例は、“CRC Handbook of Eicosanoids:Prostaglandins and Related Lipids”,Anthony L. Willis(CRCプレス社、米国フロリダ州、ボカ・レイトン)中にみられる。
本明細書中で用いる“LTB4薬”という用語は、以下の多不飽和脂肪酸1種類またはそれ以上を意味する。これらはLTB4自身のほか、LTB4の類似体、またはLTB4もしくはLTB4類似体の前駆物質もしくは代謝産物である:LTB4、14,15−ジヒドロ−LTB4、17,18−デヒドロ−LTB4、19−ヒドロキシ−LTB4、20−ヒドロキシ−LTB4、ならびにそれらの5(R)−ヒドロキシ、5−ケト、5(S)−ヒドロペルオキシ、5(R)−ヒドロペルオキシおよび5−デオキシ類似体;LTA4;14,15−ジヒドロ−LTA4、17,18−デヒドロ−LTA4;5(S)−ヒドロキシ−6,8,11,14(E,Z,Z,Z)−エイコサテトラエン酸(“5−HETE”)、14,15−ジヒドロ−5−HETE、17,18−デヒドロ−5−HETE、ならびにそれらの5(R)−ヒドロキシ、5−ケト、5(S)−ヒドロペルオキシ、5(R)−ヒドロペルオキシ類似体;12(R)−ヒドロキシ−5,8,10,14(Z,Z,E,Z)−エイコサテトラエン酸(“12−HETE”)、5,6−ジヒドロ−12−HETE、14,15−ジヒドロ−12−HETE、17,18−デヒドロ−12−HETE、ならびにそれらの12(S)−ヒドロキシ、12−ケト、12(S)−ヒドロペルオキシおよび12(R)−ヒドロペルオキシ類似体;ならびに12−オキソ−5,8,10(Z,Z,E)−ドデカトリエン酸、15(S)−ヒドロキシ−5,8,11,13(Z,Z,Z,E)−エイコサテトラエン酸(“15−HETE”)、5,6−ジヒドロ−15−HETE、17,18−デヒドロ−15−HETE、ならびにそれらの15(R)−ヒドロキシ、15−ケト、15(S)−ヒドロペルオキシおよび15(R)−ヒドロペルオキシ類似体。
LTB4という用語には、多不飽和脂肪酸の他の誘導体も含まれ;あるものはシクロオキシゲナーゼ経路、リポキシゲナーゼ経路(5−、12−および15−リポキシゲナーゼ)、またはシトクロムP450経路に由来し;他は天然に形成される化合物の類似体または誘導体である:12(S)−ヒドロキシ−5,8,10(Z,E,E)−ヘプタデカトリエン酸;ロイコトリエンC4、D4およびE4、ならびにそれらの14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;ロイコトリエンC4、D4およびE4のN−アシルまたはN−アルキル誘導体、ならびにそれらの14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;5,12−ジヒドロキシ−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;5,6−ジヒドロキシ−7,9,11,14−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;5,15−ジヒドロキシ−6,8,11,13−エイコサテトラエン酸のすべての異性体(5(S),15(S)−ジヒドロキシ−6,8,11,13(E,Z,Z,E)−エイコサテトラエン酸を含む)、ならびにそれらの17,18−デヒドロ類似体;8−ヒドロキシ−11(12)−エポキシ−5,9,14−エイコサトリエン酸のすべての異性体(ヘポキシリンA3を含む)、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;10−ヒドロキシ−11(12)−エポキシ−5,8,14−エイコサトリエン酸のすべての異性体(ヘポキシリンB3を含む)、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;8,11,12−トリヒドロキシ−5,9,14−エイコサトリエン酸のすべての異性体(トリオキシリンA3を含む)、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;10,11,12−トリヒドロキシ−5,8,14−エイコサトリエン酸のすべての異性体(トリオキシリンB3を含む)、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;11(12)−エポキシ−5,7,9,14−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;11,12−ジヒドロキシ−5,7,9,14−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;8(9)−エポキシ−5,10,12,14−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;8,9−ジヒドロキシ−5,10,12,14−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;8,15−ジヒドロキシ−5,9,11,13−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;14(15)−エポキシ−5,8,10,12−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;14,15−ジヒドロキシ−5,8,10,12−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;5−ヒドロキシ−14(15)−エポキシ−6,8,10,12−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの17,18−デヒドロ類似体;5,14,15−トリヒドロキシ−6,8,10,12−エイコサテトラエン酸のすべての異性体(リポキシンB4を含む)、ならびにそれらの17,18−デヒドロ類似体;5,6,15−トリヒドロキシ−7,9,11,13−エイコサテトラエン酸のすべての異性体(リポキシンA4を含む)、ならびにそれらの17,18−デヒドロ類似体;5(6)−エポキシ−15−ヒドロキシ−7,9,11,13−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの17,18−デヒドロ類似体;5−ヒドロキシ−6,8,11,14−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;8−ヒドロキシ−5,9,11,14−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;9−ヒドロキシ−5,7,11,14−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;11−ヒドロキシ−5,8,12,14−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;12−ヒドロキシ−5,8,10,14−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;15−ヒドロキシ−5,8,11,13−エイコサテトラエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;9−ヒドロキシ−10,12−オクタデカジエン酸のすべての異性体;13−ヒドロキシ−9,11−オクタデカジエン酸のすべての異性体;12(R)−ヒドロキシ−5,8,14(Z,Z,Z)−エイコサトリエン酸;5(6)オキシド−または5,6−ジヒドロキシ−8,11,14−エイコサトリエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;8(9)オキシド−または8,9−ジヒドロキシ−5,11,14−エイコサトリエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;11(12)オキシド−または11,12−ジヒドロキシ−5,8,14−エイコサトリエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは14,15−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体;14(15)オキシド−または14,15−ジヒドロキシ−5,8,11−エイコサトリエン酸のすべての異性体、ならびにそれらの5,6−ジヒドロまたは17,18−デヒドロ類似体。
LTB4という用語には、LTB4薬のナトリウム塩またはカリウム塩のような非共有結合修飾された脂肪酸である変異体も含まれる。
LTB4という用語には、脂肪酸の標的官能基を、その選択した官能基と反応しうる(たとえばLTB4薬のエステルおよびエーテル誘導体を与える)、または分子内転位(たとえばヒドロキシル化脂肪酸とのラクトンの形成)を起しうる有機誘導体化剤と反応させることにより、その分子に修飾を導入した変異体も含まれる。得られた化合物は、変異した生物学的活性および/または生物学的利用能をもつ可能性がある。たとえば共有結合修飾された脂肪酸は、インビボ投与した際に徐々に、より活性な分子(誘導体化していないLTB4薬)に変換される、生物学的活性の低下したプロドラッグであってもよい。変異体は、化合物の処理が遅延するように(代謝および/または排出の低下)変化させた、代謝的に安定で、かつ生物学的に活性なLTB4薬類似体であってもよい。オメガ末端が修飾された変異体(たとえば20,20,20−トリフルオロメチル−LTB4)は、オメガ酸化(不飽和脂肪酸の異化プロセス)に対する抵抗性の増大を示す;炭素13〜20の位置においてオメガ末端修飾された他の変異体(たとえば19−メチル−LTB4もしくは19,19−ジメチル−LTB4、または19−フルオロ−LTB4もしくは19,19−ジフルオロ−LTB4、または18,20−ジフルオロ−LTB4もしくは20−フルオロ−LTB4)はオメガ酸化に対する抵抗性の増大を示すであろう;カルボキシル末端の炭素1、2、3または4の位置が修飾された変異体(たとえば3−チオ−LTB4、3−ヒドロキシ−LTB4、3−メチル−LTB4もしくは3,3−ジメチル−LTB4、または3−フルオロ−LTB4もしくは3,3−ジフルオロ−LTB4もしくは2,3−ジフルオロ−LTB4、LTB4メチルスルホニルアミド、LTB4メチルアミド、1−テトラゾールLTB4)は、β−酸化および/または排出(たとえばプロベネシド感受性有機酸伝達物質による取込み)に対する代謝抵抗性の増大を示すであろう。炭素12の位置が修飾された他の変異体、たとえば12(R)−メチル−LTB4は、11,12二重結合の還元(LTB4の代謝経路)に対する抵抗性の増大を示すであろう。他の変異体は、たとえば以下の構造変化を伴うLTB4薬類似体である:鎖長の変化(鎖長が最高で炭素4個増加または減少)、二重結合(1またはそれ以上)の付加、二重結合(1またはそれ以上)の飽和、二重結合(1またはそれ以上)の幾何学的構造の変化(シスからトランスへ、またはその逆)、二重結合(1またはそれ以上)から三重結合(1またはそれ以上)への変化、1個または数個の官能基の立体配置の変化(RからSへ、またはSからRへ)、あるいは1個または数個の官能基または置換基が除去され、付加し、または他の官能基もしくは置換基(ヒドロペルオキシ、カルボニル、スルフヒドリル、スルホキシド、スルホン、システイニル、グルタチオニル、システイニル−グリシン、メチル、イソプロピル、ベンジル、クロロ、フルオロ)に変化した場合、1個もしくは数個の官能基および/または1個もしくは数個の二重結合が、オメガ末端に対し炭素1、2、3個分移動した場合。LTB4は、上記の構造修飾を1個または数個もつ変異体であってもよい。
LTB4薬およびLTB4薬変異体はLTB4と構造的に関連し、種々の白血球(および他の細胞タイプ)上に存在する細胞表面LTB4(または他の関連エイコサノイド;5−HETE、LTD4、リポキシンA4を含むが、これらに限定されない)結合部位に、またはLTB4の核結合部位である転写因子PPARα(ペルオキシソームプロリフェレーター活性化受容体α)(Devchand P.R., et al.,Nature 384:39,1996)に、または他の未知のLTB4結合部位に、異なる親和性で結合し、または結合する可能性があり、その結果、LTB4およびLTB4薬の生物学的活性を発現する。LTB4薬および変異体は、LTB4のものと質的に類似する生物学的活性(ただしLTB4自身より活性が高いか、または低い)を示し、または示す可能性があり、したがってLTB4のものと類似の抗ウイルス活性を及ぼすと期待できる。LTB4薬およびその変異体は、本発明の範囲に含まれる。
LTB4薬という用語には、構造的にLTB4と関連がないものも含まれる。これには以下のものが含まれるが、これらに限定されない:走化性ペプチドであるホルミル−met−leu−phe(fMLP)(および類似体、たとえばN−ホルミル−nle−leu−phe、N−ホルミル−met−leu−phe−ベンジルアミド、N−ホルミル−met−leu−phe−メチルエステル、およびN−ホルミル−Nle−leu−phe−nle−tyr−lys)、相補体フラグメントC5aおよび類似体、ならびに生物学的活性リン脂質である血小板活性化因子、すなわち1−O−ヘキサデシル−2−O−アセチル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(ならびに類似体、たとえば1−O−オクタデシル−2−O−sn−グリセロ−3−ホスホコリンおよび1−O−ヘキサデシル−2−N−メチルカルバミル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン);これらは、細胞において不飽和脂肪酸(おもにアラキドン酸)の放出、結果的には1種類または数種類のLTB4薬の形成を、刺激し、または刺激する可能性があり、したがってLTB4のものと類似の抗ウイルス活性を示す可能性がある。したがって、構造的にLTB4と関連がない上記のLTB4薬は、本発明の範囲に含まれる。
LTB4薬という用語には、2種類もしくは数種類のLTB4薬の混合物、または1種類のLTB4薬と、1種類または数種類の、同等もしくはより低い活性をもつLTB4薬異性体(位置、幾何、または光学異性体)との混合物を含有しうる配合物も含まれる。
LTB4薬という用語には、LTB4受容体に対する抗体、またはLTB4もしくは上記のLTB4類似体もしくは変異体のいずれかに対し形成された抗体に対する抗イディオタイプ抗体も含まれる。これらはLTB4様の生物学的反応、たとえば抗ウイルス作用を示すと期待できる。
ii)ウイルス感染症
本発明に従ってLTB4で処理できるウイルス感染症は、ヒトウイルスおよび/または動物ウイルスで起きる感染症である。
“ヒトウイルスおよび/または動物ウイルス”という表現は、DNAウイルスおよびRNAウイルス全般ならびにレトロウイルス科を含むものとするが、これは限定ではない。DNAウイルスには、パルボウイルス科、パポーバウイルス科、アデノウイルス科、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科およびヘパドナウイルス科が含まれる。RNAウイルスには、ピコルナウイルス科、トガウイルス科、オルソミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、コロナウイルス科、レオウイルス科、オンコルナウイルス科およびフィロウイルス科が含まれる。
2種類のヘルペスウイルス、EBVおよびHSV−1に対する、ならびにHIVに対するLTB4の抗ウイルス活性を調べた。ヒト末梢血単核細胞を種々の濃度のLTB4の存在下または不在下で計数した。10〜12日の培養後、2パラメーターを評価した:クランプまたはロゼットの形成、これはEBV感染細胞の形態学的特徴である;およびエプスタイン−バール核抗原(EBNA)、すなわちEBV感染細胞内で合成されるウイルス抗原の存在。得られた結果は、LTB4がクランプ形成に顕著な影響を与えることを示す。同様に、EBNA陽性細胞の割合は、30nM LTB4で56%以上、100nMの濃度で70%以上、著しく低下した。HSV−1およびHIV−1についても同様な結果が得られた。事実、細胞培養物中にLTB4(100nM)が存在すると、特異的HSV−1抗原の合成が60%以上、著しく阻害され、HIV−1感染PBMCにおいて逆転写酵素活性が70%以上抑制された。興味深いことに、すべての細胞培養物において細胞の生存率は、同一期間培養した刺激していない細胞(対照)のものに匹敵した。これは、LTB4が細胞に直接的細胞毒性を及ぼさないことを示す。さらに、LTB4はB95−8細胞において新たなEBV粒子の形成を阻害する(>80%)ことが見出された。この作用は、HSV−1(75%の阻害)およびHIV−1(>55%の阻害)についても、それぞれベロ細胞およびJ1.1細胞を用いてみられた。インビボ実験モデル(ヌードマウス)において、HSV−1接種により生じた皮膚病変は、LTB4(10μg、腹腔内)で処理した動物の方がより小さく、より速やかに消失した。これらの結果は、LTB4がきわめて有効な抗ウイルス作用をこれら2種のヘルペスウイルスおよびHIV−1に及ぼし、かつインビボで、感染していない細胞に対する細胞毒性なしに、HSV−1に対する防御作用を発揮することを明らかに示す。
若干のLTB4薬(LTB4自身以外)を試験し、HSV−1またはEBVにインビトロで抗ウイルス作用を及ぼすことを見出した。細胞培地に添加した場合(インキュベーション期間7日目から10日目まで、100pmol/mlを連続4回添加)、LTB4薬20−ヒドロキシ−LTB4、12(R)−HETE、14,15−ジヒドロ−LTB4メチルエステル、およびN−ホルミル−met−leu−pheは、末梢血単核白血球のHSV−1感染(HSV−1抗原の存在により評価)、またはベロ細胞におけるHSV−1粒子の産生を、40%以上阻害した。同じ実験で、10倍高い濃度で用いた抗ウイルス薬アシクロビルが同様な作用を示した。LTB4薬である5(S),15(S)−ジヒドロキシ−6,8,11,13−(E,Z,Z,E)−エイコサテトラエン酸(5,15−ジHETE)、14,15−ジヒドロ−LTA4メチルエステル、LTB4メチルエステル、およびN−ホルミル−met−leu−pheは、末梢血単核白血球のEBV感染(EBV抗原EBNAの存在により評価)、またはB95−8細胞におけるEBV粒子の産生を、40%以上阻害した。LTB4薬の抗ウイルス作用機序は分かっていないが、若干のLTB4薬、特に、LTB4の細胞膜受容体の弱いアゴニストである5,15−ジHETEにつきみられた抗ウイルス活性は、LTB4薬の作用部位が細胞表面のLTB4受容体ではなく、むしろLTB4の細胞内(核)結合部位である転写因子ペルオキシソームプロリフェレーター活性化受容体(PPARα)であることを示唆する。事実PPARαは、不飽和脂肪酸、血中脂質低下薬(hypolipidemic agent)(フィブレート類)、グルココルチコイド、プロスタサイクリン(PGI2)の安定類似体イロプロスト(Iloprost)、および生体内異物を含めた、多様な親油性分子に関与することが知られており、これはPPARα結合分子−リガンド相互作用の選択性が比較的低いことを示す。したがって、LTB4の近縁構造類似体である5,15−ジHETEのような親油性化合物(両化合物ともアラキドン酸のジヒドロキシル化誘導体である)も、PPARαのリガンドであるらしいと思われる。事実、LTB4に構造的に関連する広範な不飽和脂肪酸がPPARαに結合しうると思われる。PPAR類は、脂質代謝(脂肪酸分解を含む)に関与する多数の酵素の発現を制御し、したがって脂質の恒常性を制御する、一群の転写因子を構成する。ウイルスの複製は脂質含有構造体(キャプシド、エンベロープ)の形成を意味するので、LTB4薬によるPPARαの活性化は、ウイルスの集合プロセスを妨害することにより抗ウイルス作用を発揮すると思われる。Steinhart W.L.,et al.(Vilorogy 70:241,1976)およびMehl J.K.,et al.(Antimicrob.Agents Ch.18:269,1980)が、HSV−1に対するインビトロでのクロフィブレートおよびプロセトフェン(PPARαを活性化することが知られている2種類の血中脂質低下薬)の抗ウイルス活性を先に報告したのは興味深い。しかし、PPARαにLTB4薬が結合して活性化したことにより、まだ未知の細胞事象が開始され、その結果抗ウイルス活性を生じたという可能性があるのは、依然として明らかである。さらに、LTB4薬が他の転写因子(1種類またはそれ以上)に結合して活性化した可能性も除外されない。
ガンシクロビルがウイルス複製のインビトロアッセイで1および2.4μMのIC50値(それぞれEBVおよびHSV)をもつことが示されたのは、注目すべきである(Matthews and Boehms,Rev.Inf.Dis.,1988,10,suppl.3:490)。予備的比較試験では、インビトロでLTB4はアシクロビルと比較して有効な抗ウイルス活性を発揮することが示される。さらに高い抗ウイルス活性をもつ分子または生物学的利用能が増大した分子(たとえば親油性の増大、またはインビボでの代謝に対する抵抗性の増大)を得るために、LTB4の構造を修飾することが可能である。
したがってこれらの結果は、LTB4がヒトおよび動物においてウイルス感染症の処置に有用であることを示す。これらのデータは、LTB4が3種のウイルスに抗ウイルス活性を及ぼし、したがって単一タイプのウイルスに特異的ではないことを示すので、いかなるタイプのウイルスにより起きるウイルス感染症の処置にも有用であると期待される。
プロスタグランジン(A、B、D、J、EおよびI)は、インビトロで試験した場合に、モル基準でLTB4より活性が低いことが認められた。
iii)用量範囲
療法上有効なLTB4薬投与量は、用いる個々のLTB4薬、投与の種類や様式、他の有効化合物の併用、宿主の年齢および体格、感染症のタイプ、程度および拡散度、個々の患者の反応などに応じて異なるであろう。LTB4の場合、それはインビトロ実験(実施例I〜IV参照)で有効であると認められたLTB4濃度により示唆されるように、血漿中に約1〜1000nM、通常は約200nMの有効ピーク濃度または定常状態濃度を得るのに十分な用量で投与されるであろう。したがってLTB4薬の有効用量は、医師が上記の基準すべてを考慮した後に決定する。LTB4以外の異なる生物学的活性をもつLTB4薬の場合、必要なピーク濃度または定常状態濃度は、たとえば最高10μM異なる可能性がある。希望する血中濃度を得るのに必要な薬剤投与量は、Marleau et al.,J.Immunol.150:206,1993およびMarleau et al.,Br.J.Pharmacol.112:654,1994に記載される薬物動態試験により判定できる。
iv)薬剤組成物
哺乳動物、特にヒトに、有効用量の本発明のLTB4薬を与えるためには、適した投与の種類や様式をいずれも採用できる。たとえば経口法、非経口法および局所法を採用できる。投与形態には、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤、分散液剤、懸濁液剤、クリーム剤、軟膏剤およびエーロゾル剤が含まれる。
本発明の薬剤組成物は、有効成分としてのLTB4薬、および薬剤学的に許容しうるキャリヤー、ならびに所望により他の療法成分を含む。
LTB4薬はインビボにおいて多様な様式で使用できることを認識すべきである。それは、薬剤学的に有用な組成物を調製する既知の方法のいずれかに従って配合して、薬剤組成物にすることができる。この様式では、上記脂肪酸を薬剤学的に許容しうるキャリヤーベヒクルと混和する。ヒトタンパク質、たとえばヒト血清アルブミンを含めた、適するベヒクルおよびそれらの配合物は、たとえばRemington’s Pharmaceutical Sciences(第16版、Osol,A.編、マック、ペンシルベニア州イーストン[1980])に記載されている。有効な投与に適した薬剤学的に許容しうる組成物を調製するために、それらの組成物は療法上有効な量または抗ウイルス活性を生じる量のLTB4薬を、適した量のキャリヤーベヒクルと共に含有するであろう。抗ウイルス作用に要する量は、インビボ薬理学試験により判定できる。
LTB4薬は、静脈内または動脈内投与に適した、療法用無菌薬剤組成物として配合できる。製品は、無溶剤形であって、使用するためには、適したキャリヤーまたは希釈剤の添加により再構成しうるものであってもよい。あるいはそれは水性または有機の液剤の形であってもよい。
本発明による無溶剤製品を再構成するためには、無菌希釈剤を使用することができ、これは生理学的条件に近似させるために一般に認められている物質を含有してもよい。この様式では、無菌希釈剤は生理学的に許容しうる張性およびpHを達成するための塩類および/または緩衝剤、たとえば塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ならびに/あるいは生理学的に許容しうる、および/または使用するのに安全な、他の物質を含有してもよい。
水溶液として用いる場合、薬剤組成物は大部分は無溶剤製品の再構成用として上記に述べたものと同じ物質の多くを含有するであろう。有機溶剤中の溶液として用いる場合、上記脂肪酸を含有する小容量の溶液が、無溶剤製品の再構成用として上記に述べたものと同じ物質の多くを含有する水溶液で希釈されるであろう。したがって、薬剤組成物は大部分が無溶剤製品の再構成用として上記に述べたものと同じ物質の多くを含有するであろう。
本発明方法に有用なLTB4薬は、たとえば注射用無菌液剤の形で使用でき、あるいはより緩慢な持続性放出のために、封入する(たとえばリポソーム内に)か、または包埋する(たとえば坐剤中に)ことができる。
LTB4薬は、他の薬剤と併用できる。これには抗ウイルス薬、抗癌薬、免疫抑制薬、抗炎症薬、サイトカイン、レチノイド、およびLTB4薬の取込み、排出または代謝を低下させうる化合物、たとえばプロベネシドまたはクロフィブレートが含まれるが、これらに限定されない。
本発明のLTB4薬を抗ウイルス薬として宿主に投与する場合、その薬剤をたとえば動脈内、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内に、注射、坐剤などにより投与できる。大部分のLTB4薬剤が高価であり、それらは安定であるので、投与量をより良く制御しうるためには、LTB4の注射が本発明組成物を患者に投与するための最も有利な形態である。注射による投与方式には、連続注入および1回または多数回のボーラスも含まれる。若干のLTB4薬の循環における半減期が短いことを考えると(Marleau et al.,Br.J.Pharmacol.112:654,1994)、それらを1回または多数回のボーラスとして投与することは、薬剤類が同時に利用されること、あるいはLTB4薬の排出を遅延させ、および/またはその代謝を阻害するためには、循環における半減期が長いLTB4薬類似体を使用することを暗示する。有用な投与の種類や様式には、血管または種々の部位、たとえば腹腔もしくは皮下に連続注入するための埋込み式体内ポンプの使用も含まれる。そのような手法は肝癌の処置に関してCecil’s Text Book of Medicine(164章、第19版、1992)に示されている。LTB4薬を含有するパッチによる経皮投与も、有用な投与様式であろう。
作用期間を制御するために、他の薬剤学的方法も採用できる。たとえば、高分子を利用して薬剤と複合体形成させ、または薬剤を吸収させることにより、制御放出製剤を得ることができる。制御送達は、適切な高分子(たとえばポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−酢酸ビニル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プロタミンまたは血清アルブミン)、適切な高分子濃度および取込み方法の選択により達成できる。この方法で、薬剤の放出を制御できる。
制御放出製剤により作用期間を制御するのに有用な他の可能な方法は、薬剤を高分子材料、たとえばポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)、またはエチレン−酢酸ビニルコポリマーの粒子に取り込ませるものである。
本発明の脂肪酸をポリマー粒子に取り込ませる代わりに、たとえばコアセルベーション法または界面重合法により調製したマイクロカプセル中(たとえば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンのマイクロカプセル、およびポリメタクリル酸メチルのマイクロカプセル)、コロイド状の薬剤送達システム(たとえばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)中、またはマクロエマルション中に、これらの物質を封入することもできる。これらの方法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第16版、Osol,A.編、マック、ペンシルベニア州イーストンロ[1980])に記載されている。
組成物には、経口投与または非経口投与に適した組成物が含まれる。それらは単位用量剤形で提供するのが好都合であり、薬剤技術分野で周知のいずれかの方法により調製される。
実際に使用する際には、LTB4薬を薬剤用キャリヤーとの密な混合物中の有効成分として、従来の薬剤配合技術に従って混和することができる。キャリヤーは、投与のために希望する剤形に応じて、多様な形態をとることができる。経口投与剤形の組成物を調製する際には、通常のいかなる薬剤用媒体も使用できる。たとえば経口液体製剤、たとえば懸濁液剤、エリキシル剤および液剤の場合は、水、グリコール、油、アルコール類、着香剤、保存剤、着色剤など;経口固体製剤、たとえば散剤、カプセル剤および錠剤の場合は、デンプン、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのキャリヤーが用いられる。所望により、錠剤を標準的な水性法または非水性法でコーティングしてもよい。
経口投与に適した本発明の薬剤組成物は、カプセル剤、カシェ剤または錠剤のようなそれぞれ予め定めた量のLTB4薬を含有する独立した単位として、散剤もしくは顆粒剤として、または水性液剤、非水性液剤、水中油型乳剤もしくは油中水型乳剤として提供できる。これらの組成物はいかなる調剤法でも調製できる。このような方法には、必要な成分1種類またはそれ以上を含有するキャリヤーとLTB4薬を混和する工程が含まれる。一般に組成物は、LTB4薬を液体キャリヤーもしくは微細な固体キャリヤーまたは両方と均一かつ密に混合し、次いで必要ならば調製物を希望する形に造形することにより製造される。たとえば錠剤は、所望により1種類またはそれ以上の補助成分と共に圧縮または成形することにより製造できる。圧縮錠剤は、所望により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合した粉末または顆粒のような流動性の形態の有効成分を、適した機械で圧縮することにより製造できる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末状化合物の混合物を、適した機械で成形することにより製造できる。
LTB4薬を薬剤学的または生理学的に許容しうる量で投与すべきであることは理解されるであろう。これは、患者に有害でない量、または各患者に有害な副作用がある場合は有用性の方がまさる量であると理解すべきである。また、LTB4薬を療法上有効な量で投与すべきである。これは、意図する療法目的に適合する量、およびLTB4薬の投与により得られる有用性を与える量であると解すべきである。
本発明は以下の実施例を参照することによって、より容易に理解されるであろう。実施例は、本発明の範囲を限定するためではなく、本発明を説明するために提示される。
実施例I
末梢血単核細胞におけるEBV誘発性のクランプ形成およびEBNA合成のアッセイ
クランプ形成
末梢血単核細胞(PBMC)は、健康なドナーから、Boyum A.(Scand.J.Immunol.,1976,5(5):9)が先に記載したようにデキストラン沈降およびフィコール−パク(Ficoll-Paque、商標)密度勾配上で遠心分離した後に得られた。10%の熱不活性化したウシ胎児血清(FCS)を補充したRPMI−1640培地に、ウイルス力価107トランスフォーミング単位(TFU)/mlの感染性EBV株B95−8の存在下で、細胞を再懸濁した。指示した場合、EBV感染PBMCを、種々の濃度、すなわちそれぞれ0.3、3.0および30nMのLTB4で同時に処理した(1回添加)。96ウェルのミクロプレートで、細胞(106個/ml、ウェル当たり200μl)を12日間培養し、EBV感染細胞を特徴づけるクランプ形成を倒立顕微鏡(100倍)で評価した(図1)。
細胞をミクロプレートで培養し、各ウェルのクランプを計数した。結果は、他の2実験を代表する1実験におけるウェル当たりの平均クランプ数+標準偏差を示す。NS:刺激していない細胞。
エプスタイン−バール核抗原(EBNA)の検出
同様な実験で、PBMCにEBVを感染させ、LTB4(カスケード・バイオケム(Cascade Biochem)社、英国バークシャー)の存在下(LTB4を図2に示した濃度になるまで、培養0、3、6および9日目に添加した)または不在下で培養した。10日間の培養後、EBV感染の結果であるエプスタイン−バール核抗原(EBNA)の存在を調べるために、細胞を収集した。細胞スミアの調製、固定、および抗−補体免疫蛍光(ACIF)試験によるEBNA測定を、Reedman B.M. and Klein G.(Int.J.Cancer,1973,11:499)の記載に従って行った。スミアは、洗浄細胞の濃厚懸濁液(2×106個/ml)50μlを清浄なスライド上に広げ、風乾し、冷アセトン(−20℃)中で10分間固定することにより調製された。EBVセロポジティブドナーから得たヒト血清(50μl)を補体源として用いた。スライドを室温で加湿チャンバー内において45分間インキュベートした。次いでスライドをリン酸緩衝塩類溶液(PBS)中で3回洗浄し、50μlのフルオレセイン−5−イソチオシアネート(FITC、“異性体I”)−共役ヤギIgG画分抗ヒト補体C3(カッペル・リサーチ・プロダクツ(Cappel Research Products)、ノースカロライナ州ダーラム)により、室温で加湿チャンバー内において60分間染色した。スライドをPBS中で洗浄し(3回)、PBS:グリセリン 1:1中に封入し、検査した。陽性対照および陰性対照としては、それぞれRaji細胞およびU937細胞を用いた。EBNA陽性細胞の割合は、30nM LTB4で55%以上、100nM LTB4で70%以上低下した(図2)。図2に示した結果は、他の6実験の代表である。EBVに暴露しなかった細胞は、検出可能なEBNA抗原を示さなかった。
EBV粒子の合成
LTB4が新たに合成されるウイルス粒子の産生に及ぼす影響を評価するために、B95−8細胞(その中でEBVが複製する)をLTB4(図3に示した濃度になるまで、0、5および10日目に)の存在下または不在下で、14日間培養した。10%の熱不活性化したウシ胎児血清(FBS)を補充したRPMI−1640培地中で細胞を増殖させた。細胞の生存率が20%未満になった時点で、無細胞上清を収集し、ポアサイズ0.45μmのフィルターでろ過し、ウイルス粒子をさらに超遠心分離により濃縮した(38,000×g、160分、4℃)。ウイルス力価をPBMC上でのACIF試験により測定し、1ml当たりのトランスフォーミング単位(TFU/ml)で表した。次いでPBMCにこれら種々の濃度のEBV調製物を感染させ、免疫蛍光法(ACIF試験)によりEBNAの存在を評価した。EBNA抗原陽性細胞の低下(それぞれ70%および85%)により示されるように、EBV粒子の産生は、30nMおよび100nMのLTB4で強く阻害された(図3)。図3に示した結果は、他の3実験の代表である。
実施例II
末梢血単核細胞のHSV−1感染のアッセイ
特異的HSV−1抗原の検出
PBMCに、107/mlのTCID50においてHSV−1(マッキンタイヤ(McInTyre)株)を感染させ、実施例Iの記載に従って、種々の濃度のLTB4で処理し(LTB4を図4に示した濃度になるまで、0、2および4日目に添加)、または処理しなかった。5日間の培養後、モノクローナル抗体(H62)(イムノコープ(ImmunoCorp)、カナダ、モントリオール)を用いて免疫蛍光法により、感染細胞の細胞質中で合成された特異的HSV−1関連抗原の存在を評価した。ウイルス抗原の合成は、100nM LTB4の存在下では60%阻害された(図4)。図4に示した結果は、他の5実験の代表である。免疫蛍光アッセイにおいて、特異的抗血清(慢性感染ドナーからのもの)を用いて、同様な結果(阻害率75%)を得た。
HSV−1粒子の合成
LTB4がHSV−1粒子の合成に及ぼす影響を評価するために、Vero細胞(ATCCから入手)を用いて実験を行った。10%の熱不活性化したFBSを補充したM−199培地(ギブコ)中で細胞を増殖させた。細胞が80%集密状態になった時点で、上清を捨て、2%の熱不活性化したFBSを補充したM−199培地(ギブコ)中のHSV−1(107/mlのTCID50)を、付着している細胞に感染させ、LTB4で処理し(LTB4を図5に示した濃度になるまで、0、1および3日目に添加)または処理しなかった。5日間の培養後、無細胞上清を収集し、ポアサイズ0.45μmのフィルターでろ過し、ウイルス粒子をさらに超遠心分離により濃縮した(38,000×g、160分、4℃)。濃縮ウイルス調製物をM−199培地に懸濁した。次いで新たに培養したVero細胞にこれら種々のHSV−1調製物を感染させ、特異的抗血清またはH62モノクローナル抗体を用いる免疫蛍光法により、感染細胞の割合を評価した。HSV−1抗原陽性Vero細胞の低下(それぞれ60%および70%)により示されるように、HSV−1粒子の合成は、培養物中30nMおよび100nMのLTB4の存在下で強く阻害された(図5)。図5に示した結果は、他の4実験の代表である。PBMCに感染させることにより同様な結果が得られた。
インビボでのHSV−1感染のアッセイ
LTB4の抗ウイルス作用をインビボの実験でも評価した。これらの試験では、実験モデル無毛マウス(SKHI系統、チャールズ・リバーズ(Charles Rivers)から入手、5〜6週齢の雌)を用いた。エタノール中のLTB4原液(カスケード・バイオケム社、英国バークシャー)を、ポアサイズ0.22μmのフィルターでろ過した。0.01%BSAを含有するNaCl 0.9%+グルコース5%(50:50,V/V)中に、10μg/100μlの濃度のLTB4希釈液を調製した。
ウイルス接種のためにマウスを固定し、マウス背面の小領域を27ゲージの針で網目模様に6回引掻いた。引掻いた皮膚領域に40μlのウイルス懸濁液(HSV−1株E−377、107TCID50/ml)を付与し、このウイルス懸濁液をプラスチック片で皮膚に20秒間こすりつけた。ウイルス接種により誘発された感染は、皮膚病変を生じた。これは接種部位には接種後3日目に既にみられ、幅4〜5mmの帯状に、まずマウスの側面へ、次いで腹側へ進行した。病変は一般に接種後5〜6日目に完全に発現し、脊椎領域から腹中央部へ広がる連続した帯を形成した。HSV−1感染マウスは後足炎症、痩せなどの症状も発現し、活動度の低下(し眠)も示した。このモデルでは、動物はHSV−1接種後脳炎により死亡する可能性がある。
LTB4を、ウイルス接種の直前(0日目)、ならびに接種後1、3、5、7および9日目に腹腔内注射した(マウス1匹当たり100μl、1mlの注射器および23ゲージの針を使用)。マウスを5匹の群で収容した。これらの群(各群5匹)は、1)接種していないマウス(これらの動物の背面の小領域を引掻き、40μlのMEM培地をこすりつけた)、2)HSV−1を接種し、NaCl:グルコース+0.01%BSAを腹腔内注射したマウス、および3)HSV−1を接種し、NaCl:グルコース+0.01%BSAに溶解したLTB4を腹腔内注射したマウスからなっていた。1日2回、マウスを皮膚病変の測定、他の症状および致死率の評価のために観察した。
得られた結果は、LTB4がインビボでHSV−1感染に対し保護作用を及ぼすことを示す。表1に示したように、感染していない動物(1群)は正常な挙動を示し、14日間生存し続けた;皮膚の引掻きにより起きた病変は3または4日以内に消失した。HSV−1感染動物(2群)は病変(前記)を発現し、これは4日目から8日目が最大(長さ)であった;この同じ期間中、この群のマウスは後足炎症、痩せを示し、活動度がより低く、取り扱う際にほとんど動かなかった。HSV−1感染およびLTB4処理した動物(3群)では、0日目から4日目までは同様に病変が発現したが、2群の動物にみられたものよりはるかに小さく(約80%)、8日目から退行した。さらに、実験期間中、1群の動物と同様に、後足炎症および痩せはみられず、動物の一般状態に減退は認められず、ケージ内および取り扱う際に活発さを維持した。すべての動物が実験期間中、生存した;すべての動物を14日目に屠殺した。
実施例III
末梢血単核細胞のHIV−1感染のアッセイ
HIV−1感染に対するLTB4の抗ウイルス性も評価した。
HIV−1感染細胞の逆転写酵素活性
PBMCを106個/mlの密度で培地(10%FBSを補充したRPMI−1640)に再懸濁し、3μg/mlのPHA−P(シグマ、ミズーリ州セントルイス)および30U/mlの組換えヒトIL−2の存在下に、37℃で2〜3日間、5%CO2雰囲気下で培養した。PHA刺激したPBMCを1×106個/mlに再懸濁し、LTB4の不在下または漸増する濃度のLTB4(0、30、100および200nM)の存在下でHIV−1IIIBを感染させた(種々多様な感染:感染性ウイルス粒子数/標的細胞)。培地を週2回交換し、培地交換ごとに適量のLTB4を添加した。無細胞培養上清を、アッセイするまで一定期間凍結した。ウイルスの複製を、逆転写酵素アッセイ法またはp24アッセイ法により監視した。
短期間感染させた細胞からウイルス原液を調製した。要約すると、モルト(Molt)4、クローン8に、HIV−1IIIBを感染させた。ウイルス産生が最大となった時点で、広範な細胞変性効果がみられる前に、細胞を300×gで5分間遠心分離し、ウイルスを含有する上清を2000×gで30分間澄明化し、0.45μm酢酸セルロース膜でろ過して細胞片を除去した。次いでウイルスを含有する上清をアリコートずつ−80℃で貯蔵した。高感受性MT−4細胞系を用いた終点希釈ミクロアッセイにより、感染性の測定を行った。
逆転写酵素アッセイ法
10μlの溶液A(5mMジチオトレイトール、50mM KCl、0.05%トリトン(Triton)X−100)および40μlの溶液B(5mM MgCl2、0.5M EGTA、0.04mgポリ(rA)−オリゴ(dT)12-18、3mCi[3H]TTP(40〜70Ci/mmol))を添加した無細胞上清50μlを用いて、酵素活性を測定した。37℃で1時間のインキュベーション後、0.15%ピロホスフェートおよび1.66%トリクロロ酢酸を含有する溶液1容量で試料を沈殿させ、次いで細胞収集システムを用いてガラス繊維フィルター上にろ過した。フィルターを乾燥させ、液体シンチレーション計数器(1205/1204 BSベータプレート(Beta-plate);ワラック・オイ(Wallac Oy)、フィンランド、ツルク)で放射能を測定した。アッセイは三重に行われた。
酵素p24アッセイ法
市販の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(オルガノン・テクニカ(Organon Teknika)、ノースカロライナ州ダーラム)を用いて、主ウイルスコアp24タンパク質の定量測定を行った。
培地中にLTB4が存在すると、2週間の培養後に評価したPBMC中のHIV−1ウイルス活性は70%以上低下していた(図6参照)。図6に示した結果は、他の3実験の代表である。上清中へのp24放出を監視することによっても、同様な結果が得られた。
HIV−1粒子の合成
この一組の実験は、J1.1細胞系、すなわち親細胞系ジャーカットE6.1に由来する潜在的感染細胞系を用いて行われた。J1.1細胞を106個/mlの密度で培地(10%FBSを補充したRPMI−1640)に再懸濁し、LTB4の不在下または漸増する濃度のLTB4(0、30、100nM)の存在下に、ホルボールエステルPMA(20ng/ml)で刺激した。培養開始の24時間後に、LTB4を再び添加した(同濃度になるまで)。培養48時間後に、無細胞培養上清を収集し、感染性ウイルス粒子の存在を終点測定法(end-point titration assay)により定量した。
終点測定法(TCID50)
平行した4系列の無細胞上清10倍希釈液を用いて、平底ミクロタイターウェル中で終点測定を行った。MT−4細胞と共に5〜7日間インキュベートした後、無細胞培養上清を収集し、市販の酵素アッセイにより、主ウイルスコアp24タンパク質を検査した。TCID50をReed and Munch法により計算した。
本発明者らの結果は、100nMのLTB4がJ1.1細胞においてHIV−1粒子の合成を55〜79%阻害したことを明らかに証明する(表2)。
実施例IV
LTB4細胞毒性のアッセイ
実施例IおよびIIに記載した細胞培養物において、トリパンブルー色素排除試験により、最高30nMの濃度でLTB4の細胞毒性を評価した。LTB4は細胞毒性を示さないことが認められた(図7)。細胞生存率をトリパンブルー排除試験により評価した;数値(3実験を代表する1実験からのもの)は細胞培養物(n=24)中の平均細胞生存率を表す。
実施例V
LTB4およびアシクロビルがEBV感染に及ぼす抗ウイルス作用
PBMC(106個/ml)をミクロプレート(96ウェル)内においてウェル当たり2×105個で培養し、それぞれ実施例IおよびIIの記載に従って、EBV(107TFU/ml)またはHSV−1(107TCID50/ml)を感染させた。感染後1時間目に、細胞培養物をLTB4(100nM)またはアシクロビル(アシクログアノシン)(1000nM)で処理した。薬物は培養48時間ごとに添加された。EBVおよびHSV−1の感染を、それぞれ7日目および6日目に、実施例IおよびIIの記載に従ってウイルス抗原の合成を評価することにより評価した(図8Aおよび8B)。図8Aおよび8Bに示した結果は、他の4実験を代表する1実験からのものである。アシクロビルは1μMでのみ試験された。
ウイルス抗原の検出を、36培養物につき免疫蛍光法により行った。
本発明をその特定の態様と関連づけて記載したが、さらに修正が可能であることは理解されるであろう。本出願は、一般に本発明の原理に従った本発明のいかなる変更、利用または適合をも包含するものとし、本明細書の記載から当業者に既知の、または慣用される、ならびに以上の記載および以下の請求の範囲から容易になしうるものを含む。
Claims (28)
- ヒトまたは動物におけるウイルス感染症の予防または治療のための抗ウイルス薬を製造するための、薬理学的に許容しうる、療法上有効な量のロイコトリエンB4(LTB4)薬の使用であって、前記LTB4薬は、5,12−ジヒドロキシ−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸およびその異性体、20,20,20−トリフルオロメチル−LTB4;19−メチル−LTB4、19,19−ジメチル−LTB4、19−フルオロ−LTB4、19,19−ジフルオロ−LTB4、18,20−ジフルオロ−LTB4、20−フルオロ−LTB4およびその異性体、3−チオ−LTB4、3−メチル−LTB4、3,3−ジメチル−LTB4、3−フルオロ−LTB4、3,3−ジフルオロ−LTB4、2,3−ジフルオロ−LTB4;14,15−ジヒドロ−LTB4(“LTB3”)、17,18−デヒドロ−LTB4(“LTB5”)、19−ヒドロキシ−LTB4、20−ヒドロキシ−LTB4、ならびにその5(R)−ヒドロキシ、5−ケト、5(S)−ヒドロペルオキシ、5−(R)−ヒドロペルオキシおよび5−デオキシ類似体;LTB4 メチルエステル;5,12−ジヒドロキシ−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸;20,20,20−トリフルオロメチル−LTB4;そのエーテル誘導体;ならびにロイコトリエンB4[5S,12R−ジヒドロキシ−6,8,10,14(Z,E,E,Z)−エイコサテトラエン酸];ならびにこれらの任意の塩および任意の混合物、よりなる群から選択される前記使用。
- ウイルス感染症が、DNAウイルス、RNAウイルスおよびレトロウイルス科よりなる群から選択されるヒトウイルスまたは動物ウイルスの感染症である、請求項1記載の使用。
- ウイルスが、パルボウイルス科、パポーバウイルス科、アデノウイルス科、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科およびヘパドナウイルス科よりなる群から選択されるDNAウイルスである、請求項2記載の使用。
- ウイルスが、EBV、HSV−1、HSV−2、CMV、VZV、HHV−6、HHV−7およびHHV−8よりなる群から選択されるヘルペスウイルス科である、請求項2記載の使用。
- ウイルスが、ピコルナウイルス科、トガウイルス科、オルソミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、コロナウイルス科、レオウイルス科およびフィロウイルス科よりなる群から選択されるRNAウイルスである、請求項2記載の使用。
- ウイルスが、ウシ下痢ウイルス、ブタエンテロウイルス、パラミクソウイルス科のウイルス、またはウシRSウイルスである、請求項2記載の使用。
- LTB4薬がロイコトリエンB4[5S,12R−ジヒドロキシ−6,8,10,14(Z,E,E,Z)−エイコサテトラエン酸]である、請求項1記載の使用。
- ヒトウイルスが、HIV−1またはHIV−2から選択されるレトロウイルス科のウイルスである、請求項2記載の使用。
- LTB4薬を、異なる抗ウイルス薬1種類または数種類と一緒に投与する、請求項1記載の使用。
- 異なる抗ウイルス薬が、インターフェロン−α、−β、−γ、腫瘍壊死因子α、ガンシクロビル、アシクロビル、ビダラビン、イドキシウリジン、ファムシクロビル、3TC、クリキシバン、ネバレピン、プロスタグランジン、プロスタグランジン類似体およびAZTよりなる群から選択される、請求項9記載の使用。
- ヒトまたは動物が、免疫抑制された患者もしくは動物、またはウイルス感染症の発生率を高めることが知られている薬物で処置された患者である、請求項1記載の使用。
- 薬物がアザチオプリン、コルチコステロイド類、アドリアマイシン、シクロホスファミドおよびメトトレキセートよりなる群から選択される、請求項11記載の使用。
- 腫瘍ウイルスにより誘発される癌の予防または治療のための抗ウイルス薬を製造するための、薬理学的に許容しうる、療法上有効な量のロイコトリエンB4(LTB4)薬の使用であって、前記LTB 4 薬は、5,12−ジヒドロキシ−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸およびその異性体、20,20,20−トリフルオロメチル−LTB 4 ;19−メチル−LTB 4 、19,19−ジメチル−LTB 4 、19−フルオロ−LTB 4 、19,19−ジフルオロ−LTB 4 、18,20−ジフルオロ−LTB 4 、20−フルオロ−LTB 4 およびその異性体、3−チオ−LTB 4 、3−メチル−LTB 4 、3,3−ジメチル−LTB 4 、3−フルオロ−LTB 4 、3,3−ジフルオロ−LTB 4 、2,3−ジフルオロ−LTB 4 ;14,15−ジヒドロ−LTB 4 (“LTB 3 ”)、17,18−デヒドロ−LTB 4 (“LTB 5 ”)、19−ヒドロキシ−LTB 4 、20−ヒドロキシ−LTB 4 、ならびにその5(R)−ヒドロキシ、5−ケト、5(S)−ヒドロペルオキシ、5−(R)−ヒドロペルオキシおよび5−デオキシ類似体;LTB 4 メチルエステル;5,12−ジヒドロキシ−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸;20,20,20−トリフルオロメチル−LTB 4 ;そのエーテル誘導体;ならびにロイコトリエンB 4 [5S,12R−ジヒドロキシ−6,8,10,14(Z,E,E,Z)−エイコサテトラエン酸];ならびにこれらの任意の塩および任意の混合物、よりなる群から選択される前記使用。
- ウイルス感染症がEBV感染症である、請求項1記載の使用。
- ウイルス感染症がHSV−1感染症である、請求項1記載の使用。
- ウイルス感染症がHIV−1感染症である、請求項1記載の使用。
- LTB4薬が以下のものよりなる群から選択される、請求項1記載の使用:LTB4、14,15−ジヒドロ−LTB4、17,18−デヒドロ−LTB4、19−ヒドロキシ−LTB4、20−ヒドロキシ−LTB4、ならびにその5(R)−ヒドロキシ、5(S)−ヒドロペルオキシおよび5−デオキシ類似体。
- LTB4薬が以下のものよりなる群から選択される、請求項1記載の使用:LTB4の5(R)−ヒドロキシ、5−ケト、および5−(R)−ヒドロペルオキシ−類似体、14,15−ジヒドロ−LTB4、17,18−デヒドロ−LTB4、19−ヒドロキシ−LTB4、20−ヒドロキシ−LTB4、ならびにこれらの類似体。
- LTB4薬が以下のものよりなる群から選択される、請求項1記載の使用:20,20,20−トリフルオロメチル−LTB4;19−メチル−LTB4、19,19−ジメチル−LTB4、19−フルオロ−LTB4、19,19−ジフルオロ−LTB4、18,20−ジフルオロ−LTB4、20−フルオロ−LTB4;3−チオ−LTB4、3−ヒドロキシ−LTB4、およびその異性体。
- LTB4薬が以下のものよりなる群から選択される、請求項1記載の使用:3−メチル−LTB4、3,3−ジメチル−LTB4、3−フルオロ−LTB4、3,3−ジフルオロ−LTB4、2,3−ジフルオロ−LTB4、およびその異性体。
- LTB4薬がその塩である、請求項1記載の使用。
- LTB4薬がそのエステルまたはそのラクトン誘導体である、請求項1記載の使用。
- LTB4薬がそのエーテル誘導体である、請求項1記載の使用。
- ヒトおよび動物において腫瘍ウイルスにより誘発される癌の処置のための抗ウイルス薬を製造するための、薬理学的に許容しうる、療法上有効な量のLTB4薬の使用であって、前記LTB4薬は、5,12−ジヒドロキシ−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸およびその異性体、20,20,20−トリフルオロメチル−LTB4;19−メチル−LTB4、19,19−ジメチル−LTB4、19−フルオロ−LTB4、19,19−ジフルオロ−LTB4、18,20−ジフルオロ−LTB4、20−フルオロ−LTB4およびその異性体、3−チオ−LTB4、3−メチル−LTB4、3,3−ジメチル−LTB4、3−フルオロ−LTB4、3,3−ジフルオロ−LTB4、2,3−ジフルオロ−LTB4;14,15−ジヒドロ−LTB4(“LTB3”)、17,18−デヒドロ−LTB4(“LTB5”)、19−ヒドロキシ−LTB4、20−ヒドロキシ−LTB4、ならびにその5(R)−ヒドロキシ、5−ケト、5(S)−ヒドロペルオキシ、5−(R)−ヒドロペルオキシおよび5−デオキシ類似体;LTB4 メチルエステル;5,12−ジヒドロキシ−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸;20,20,20−トリフルオロメチル−LTB4;そのエーテル誘導体;ならびにロイコトリエンB4[5S,12R−ジヒドロキシ−6,8,10,14(Z,E,E,Z)−エイコサテトラエン酸];ならびにこれらの任意の塩および任意の混合物、よりなる群から選択される前記使用。
- LTB4薬がロイコトリエンB4[5S,12R−ジヒドロキシ−6,8,10,14(Z,E,E,Z)−エイコサテトラエン酸]である、請求項24記載の使用。
- 薬理学的に許容しうる、療法上有効な量のLTB4薬を、薬剤学的に許容しうるキャリヤーと一緒に含む、抗ウイルス性薬剤組成物であって、前記LTB 4 薬は、5,12−ジヒドロキシ−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸およびその異性体、20,20,20−トリフルオロメチル−LTB 4 ;19−メチル−LTB 4 、19,19−ジメチル−LTB 4 、19−フルオロ−LTB 4 、19,19−ジフルオロ−LTB 4 、18,20−ジフルオロ−LTB 4 、20−フルオロ−LTB 4 およびその異性体、3−チオ−LTB 4 、3−メチル−LTB 4 、3,3−ジメチル−LTB 4 、3−フルオロ−LTB 4 、3,3−ジフルオロ−LTB 4 、2,3−ジフルオロ−LTB 4 ;14,15−ジヒドロ−LTB 4 (“LTB 3 ”)、17,18−デヒドロ−LTB 4 (“LTB 5 ”)、19−ヒドロキシ−LTB 4 、20−ヒドロキシ−LTB 4 、ならびにその5(R)−ヒドロキシ、5−ケト、5(S)−ヒドロペルオキシ、5−(R)−ヒドロペルオキシおよび5−デオキシ類似体;LTB 4 メチルエステル;5,12−ジヒドロキシ−6,8,10,14−エイコサテトラエン酸;20,20,20−トリフルオロメチル−LTB 4 ;そのエーテル誘導体;ならびにロイコトリエンB 4 [5S,12R−ジヒドロキシ−6,8,10,14(Z,E,E,Z)−エイコサテトラエン酸];ならびにこれらの任意の塩および任意の混合物、よりなる群から選択される前記組成物。
- LTB4薬がロイコトリエンB4[5S,12R−ジヒドロキシ−6,8,10,14(Z,E,E,Z)−エイコサテトラエン酸]である、請求項26記載の薬剤組成物。
- 薬剤組成物が、エーロゾル剤の形で投与するために粉末、溶液、分散液、または懸濁液の状態である、請求項26または27記載の薬剤組成物。
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