JP4918754B2 - 半還元焼結鉱およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、鉄鉱石、炭材、CaO系副原料等の原料を焼結してなり、高炉原料等として使用される半還元焼結鉱およびその製造方法に関する。
高炉製銑法の主原料である焼結鉱は、一般的には、以下のようにして製造される。まず、約8mm以下で、平均粒径2.0〜3.0mmの粉鉄鉱石に、石灰石、生石灰、ドロマイト等のCaOを含んだCaO系副原料(石灰系副原料とも称する)や、硅石、ニッケルスラグ等の含SiO原料、製鉄所内で発生し回収された粉状リサイクル物、粒度が小さく再焼成を要する3〜5mmより小さい焼結粉、およびコークス粉、無煙炭などの炭材を加え、さらに適量の水を加えて調湿し、これらを混合・造粒して平均粒径が3.0〜5.0mmの擬似粒子とする。次いで、この擬似粒子を無端移動式焼結機のパレット上に400〜600mm程度の高さに充填し、充填ベッドの表層の炭材に点火し、下方に向けて空気を吸引しながら炭材を燃焼させて、その際の燃焼熱によって原料である擬似粒子を焼結する。焼結によって得られた焼結ケーキを破砕・整粒して3ないし5mm以上の成品焼結鉱とする。
このような焼結鉱は高炉に装入され、主にCOによりガス還元されて銑鉄となる。
通常、高炉製銑法は、COガスによる間接還元を主に利用するため、ガス還元平衡の制約を受け、多くの還元材を必要とすること、また、高炉内通気性の確保の面から強度の高い高品質の塊コークスが必要とされる。これに対して、近年、CO排出抑制による地球温暖化対策および老朽化が進んでいるコークス炉の炉命延長の観点から、製銑プロセスとして炭素(以下、Cと記す)による酸化鉄の直接還元を主に利用するプロセスが開発され実用化され始めている。この場合は、ガス還元平衡の制約を受けることがなくなるため、還元材の原単位を削減することができ、CO排出抑制およびコークス炉稼働率の低下を可能とする。
直接還元を利用する還元鉄製造方法としては、例えば溶融還元法、回転炉床法、およびロータリーキルン法が挙げられるが、いずれの方法も大規模な設備投資をともなうこと、生産性が著しく低い等の理由から、高炉法の補完プロセスとなっているのが現状である。
一方で、既存焼結機を利用し、焼結機上で塊成化と同時に還元反応も行わせ、金属Feまで還元された組織を一部含む焼結鉱を製造する方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、粉鉱石に5〜20wt%の粉コークス、無煙炭を配合造粒して内層とし、外層に粉鉱石、副原料および2〜5wt%の粉コークス、無煙炭を混合コーティングして2層擬似粒を形成し、これを焼結原料の一部として混合・造粒した後、焼結過程でその原料の外層から生成する融液と内層の粉コークス・無煙炭中の直接還元により、焼結鉱の一部を還元することを特徴とする半還元焼結鉱の製造方法が開示されている。この技術では、内部に粉コークス・無煙炭を閉じこめると、焼結工程において昇温過程前半では粉コークス・無煙炭が空気中の酸素と接触しないので反応せず、1100℃の高温になって初めてFeO+C=Fe+CO−36350kcal/kmolの還元反応を起こし、焼結鉱の一部に金属Feを生成させる。そして、この反応は吸熱反応であるので、熱過剰になるのを防ぐことができるとしている。
また、特許文献2によれば、鉄鉱石に炭材を15〜18%加えて造粒した擬似粒子の表層部にCaOを被覆して、あるいは造粒した擬似粒子をCaOが溶解された溶液に浸漬して擬似粒子表面にCaOを添加することで、焼成後の再酸化が防止され、還元率の高い半還元焼結鉱を製造することができるとしている。
このような既存焼結機において粉鉄鉱石に対して還元に必要な炭材を加え、直接還元反応を利用して半還元焼結鉱を製造する方法は、新規の大規模な設備投資を伴うことなく大量に半還元焼結鉱を製造する方法として実現可能性の高い方法である。そして、このように既存焼結機で得られる半還元焼結鉱は、焼結鉱に含まれる金属Feの比率が低くても、大量に高炉で使用するものであり、かつ還元鉱製造に使われる炭材はCをある程度含有していれば品質に対しての制約が殆どなく、集塵ダスト等も利用できるため、高炉還元材比削減やコークス炉への負荷軽減といったトータルでの効果は大きい。
しかしながら、上記特許文献1および2に示された技術では、通常焼結鉱プロセスの2〜4倍程度の炭材を燃焼させることが必要となるため、上記還元反応が吸熱反応であっても熱過剰になりやすく、原料の粉鉱石がFeやFeから高温でFeOに還元された段階で、鉱石中の脈石や添加したフラックスと反応して大量の融液を発生させる。この融液は、副原料として添加されるCaO系副原料と鉱石との反応により発生するカルシウムフェライト融液および還元により生成したFeOと鉱石中の脈石SiOとの反応によって発生するオリビン系融液である。このようにして大量に発生した融液は、その周囲の粒子同士を急速に融着させると同時に、擬似粒子の外部から内部に向かって溶融を進行させる。原料充填層である焼結ベッド内には擬似粒子の溶融・収縮によって巨大な空隙が形成され、焼結機における吸引ガスは、その部分のみを通過するようになる。その結果として、通常400〜600mmある原料充填層の上層から下層に徐々に燃焼帯が移動すべき焼結反応は妨げられ、焼結ベッドの下層部に未焼部が大量に残り、還元反応の進行が阻止されるとともに生産性が極度に低下するといった問題がある。
このため、既存の焼結機を用いて高炉の主原料として少なくとも日産数千トンの規模で大量に一部が還元された焼結鉱を製造するには問題がある。
特開平4−210432号公報 特開2000−192154号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、現状の焼結機の操業を悪化させることなく製造可能な、鉄鉱石の一部が還元され、かつ金属Feを含有した半還元焼結鉱を提供することを目的とする。
また、現状の焼結機の操業を悪化させることなく直接還元を進行させて、鉄鉱石の一部が還元され、かつ金属Feを含有した半還元焼結鉱を大量に製造することができる半還元焼結鉱の製造方法を提供することを目的とする。
さらに、焼結過程での反応を安定化し、高い還元率および高い金属鉄含有率を達成することができる半還元焼結鉱の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、焼結原料として鉄鉱石と炭材とCaO系副原料とを用い、焼結原料を焼結機に装入して原料層を構成し、この原料層を焼成してなり、鉄鉱石の一部が還元された半還元焼結鉱であって、鉄鉱石または還元鉄製造用粒子の灼熱減量を除いた成分でCaO/SiO の質量比が1以上となるように鉄鉱石にCaO系副原料を加えた混合粉と、前記鉄鉱石または前記混合粉に対して外数で5mass%以上の炭材とを成形してなる複数の還元鉄製造用粒子が、前記焼結原料の一部として、前記原料層の5〜50mass%を構成し、前記還元鉄製造用粒子の1個あたりの容積が10cm 以下であり、焼成により鉄鉱石の一部が還元され、かつ焼結鉱全体の平均値として、3mass%以上の金属Feを含有することを特徴とする半還元焼結鉱を提供する。
本発明の第2の観点では、焼結原料として鉄鉱石と炭材とCaO系副原料とを用い、焼結原料を焼結機に装入して原料層を構成し、この原料層を焼成して上記第1の観点の半還元焼結鉱を製造する方法であって、鉄鉱石と鉄鉱石に対して外数で5mass%以上の炭材とを成形してなる、1個あたりの容積が10cm 以下の複数の還元鉄製造用粒子を、前記焼結原料の一部として、前記原料層の5〜50mass%となるように混合して焼成することにより鉄鉱石の一部を還元し、焼結鉱全体の平均値として、3mass%以上の金属Feを含有する半還元焼結鉱とすることを特徴とする半還元焼結鉱の製造方法を提供する。
本発明の第3の観点では、焼結原料として鉄鉱石と炭材とCaO系副原料とを用い、焼結原料を焼結機に装入して原料層を構成し、この原料層を焼成して上記第1の観点の半還元焼結鉱を製造する方法であって、鉄鉱石にCaO系副原料を加えた混合粉と混合粉に対して外数で5mass%以上の炭材とを成形して、1個あたりの容積が10cm 以下の複数の還元鉄製造用粒子とし、その際に前記CaO系副原料は、還元鉄製造用粒子の灼熱減量を除いた成分でCaO/SiOの質量比が1以上となるように配合し、これら還元鉄製造用粒子を、前記焼結原料の一部として、前記原料層の5〜50mass%となるように混合して焼成することにより鉄鉱石の一部を還元し、焼結鉱全体の平均値として、3mass%以上の金属Feを含有する半還元焼結鉱とすることを特徴とする半還元焼結鉱の製造方法を提供する。
上記第2、第3の観点において、前記還元鉄製造用粒子としては、原料をロール成形機により圧縮成形したもの、または原料を転動造粒したものを用いることができる。
本発明の第4の観点では、焼結原料として鉄鉱石と炭材とCaO系副原料とを用い、焼結原料を焼結機に装入して原料層を構成し、この原料層を焼成して上記第1の観点の半還元焼結鉱を製造する方法であって、鉄鉱石と鉄鉱石に対して外数で10〜20mass%の炭材とを配合し、さらに水と必要に応じてバインダーを加えて混合し、この混合物をロール成形機で圧縮成形して、1個あたりの容積が10cm 以下の複数の還元鉄製造用粒子とし、この還元鉄製造用粒子を、前記焼結原料の一部として、前記原料層の5〜50mass%となるように合し、焼成により鉄鉱石の一部を還元して、焼結鉱全体の平均値として、3mass%以上の金属Feを含有させることを特徴とする半還元焼結鉱の製造方法を提供する。
上記第4の観点において、前記還元鉄製造用粒子を製造する焼結原料が、鉄鉱石で8mm以下、炭材で5mm以下であることが好ましい。この場合に、前記還元鉄製造用粒子を製造するための原料は、125μm以下の粒子を40mass%以上含むことが好ましい。
本発明の第5の観点では、焼結原料として鉄鉱石と炭材とCaO系副原料とを用い、焼結原料を焼結機に装入して原料層を構成し、この原料層を焼成し、上記第1の観点の半還元焼結鉱を製造する方法であって、鉄鉱石にCaO系副原料を加えた混合粉と混合粉に対して外数で10〜20mass%炭材とを配合し、さらに水と必要に応じてバインダーを加えて混合し、この混合物をロール成形機で圧縮成形して、1個あたりの容積が10cm 以下の複数の還元鉄製造用粒子とし、その際に前記CaO系副原料は、還元鉄製造用粒子の灼熱減量を除いた成分でCaO/SiOが1以上となるように配合し、この還元鉄製造用粒子を、前記焼結原料の一部として、前記原料層の5〜50mass%となるように合し、
焼成により鉄鉱石の一部を還元して、焼結鉱全体の平均値として、3mass%以上の金属Feを含有させることを特徴とする半還元焼結鉱の製造方法を提供する。
上記第5の観点において、前記還元鉄製造用粒子を製造するための原料が、鉄鉱石で8mm以下、炭材で5mm以下、CaO系副原料で5mm以下であることが好ましい。この場合に、前記還元鉄製造用粒子を製造するための原料は、125μm以下の粒子を40mass%以上含むことが好ましい。
上記第4、第5の観点において、前記ロール成形機での圧縮成形した還元鉄製造用粒子として、ロール成形機で所定形状に成形された複数のブリケット、またはロール成形機で板状、シート状もしくは棒状に成形した後に所定の大きさに粉砕したものを用いることができる。
上記第4、第5の観点において、前記圧縮成形した還元鉄製造用粒子を焼結機に装入するに際し、原料層下部3/4以下の領域に装入することが好ましい。
記圧縮成形した還元鉄製造用粒子を構成する原料としての鉄鉱石と炭材が、これら全体として125μm以下の粒径のものが70mass%以上となるようにすることが好ましい。
なお、本発明において、バインダーとは、鉄鉱石粒子を結合させる機能を有するものをいい、例えばデンプン、タール、糖蜜等が挙げられるが、上記機能を有すれば原則として特に限定されるものではない。ただし、CaO系副原料は鉄鉱石粒子を結合させる機能を有するものの本発明の趣旨より本発明でいうバインダーには含まれない。
上記本発明の第1〜第5によれば、鉄鉱石および炭材等を成形して還元鉄製造用粒子または成形粒子とし、これを原料層の一部として装入するので、鉄鉱石と炭材との接触が強固で接触面積が大きく、かつ直接還元反応が部分的にのみ生じるため大量の融液を発生させるおそれが少なく、また、還元鉄製造用粒子は鉄鉱石および炭材が強固に密着しており、金属Feの酸化が抑制されて高い金属Fe含有率を得ることができる。このため、現状の焼結機の操業を悪化させることなく直接還元を進行させて、鉄鉱石の一部が還元され、かつ金属Feを含有した半還元焼結鉱を大量に製造することができる。したがって、この半還元焼結鉱を高炉で使用することにより、製造プロセス全体としての還元材使用量を削減することができ、ひいては製造プロセスからのCO排出量も削減することができる。
特に、本発明の第4、第5のように、鉄鉱石および炭材等をロール成形機で圧縮成形して成形粒子としてこれを焼結原料の一部として焼結機に装入し、さらに条件を限定することにより、鉄鉱石と炭材との接触がより強固で接触面積を大きくでき、焼結がより適正化されるので、上記効果をより高めることができる。
また、本発明の第6〜9によれば、焼結原料のうち鉄鉱石の一部および炭材の一部、または焼結原料のうち鉄鉱石の一部、炭材の一部および副原料の一部を予め圧縮成形して圧縮成形体として焼結機に装入するので、鉄鉱石と炭材との接触面積が増加して焼結過程での反応が安定化するとともに還元率を上昇させることができ、しかも圧縮成形体は緻密化しているので外気と遮断され、金属鉄の酸化が抑制されて高い金属鉄含有率を得ることができる。
そして、本発明の第7のように、鉄鉱石および炭材の粒度をこれら全体として125μm以下の粒径のものが40mass%以上と微細にすることにより、より高い還元率を得ることができる。さらに、本発明の第8のように、圧縮成形体に含有させるCaO源として生石灰を用いることにより、CaO源とバインダーの機能を兼備することとなり、圧縮成形体の製造時にバインダーを使用せずに成形可能となるため、低コスト化を図ることができる。さらにまた、本発明の第9のように、圧縮成形体のCaO源の配合量を灼熱減量を除く圧縮成形体中のCaO/SiOが1以上になるような配合量とすることにより、CaO系副原料は圧縮成形体の強度を維持するための骨材としての機能あるいは焼結鉱の溶融組織として難還元性のFeO−SiO系スラグの生成を防止する機能を有効に発揮させることができる。さらに、これらを適宜組み合わせることにより、これらの効果を複合した効果を発揮させることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態では、基本的に、焼結原料として鉄鉱石と炭材とCaO系副原料とを用い、これを焼結機に装入して原料層を構成し、焼成して半還元焼結鉱を製造する。
この際に、原料層の一部として、鉄鉱石と鉄鉱石に対して外数で通常5mass%以上、好ましくは10〜20mass%以上の炭材とを成形してなる複数の還元鉄製造用粒子を装入する。この状態の原料層を焼結機で焼成することにより、鉄鉱石の一部が主に直接還元により還元され、金属Feを含有した半還元焼結鉱が得られる。
このような構成は、本発明者らの以下の知見に基づいている。
(1)Cによる鉄鉱石の直接還元反応を効果的に進行させるためのポイントは、C源である炭材と被還元物質である鉄鉱石との接触状態であり、これらが強固に接触し、かつ接触面積が大きいことが重要であること。
(2)このような成形粒子は還元反応を進めるための炭材が多量に存在しており過剰に溶融するおそれがあるが、その部分が過剰に溶融しても成形粒子は焼結原料の一部であるから、大量の融液を発生させるおそれは少なく、焼結ベッド全体の通気へは実質的に影響を与えずに、焼結鉱の生産性はほとんど低下しないこと。
(3)還元された粒子は、吸引ガス中の酸素により再酸化されるおそれがあるが、鉄鉱石および炭材等を成形した粒子は、これらが強固に密着しているため、還元後もその形態を保ち、表面は酸化されても内部は酸化され難く、良好な還元状態を保っていること。
以下、具体的に説明する。
鉄鉱石の還元反応は、高炉内と同様に、(1)式で示されるコークス等の炭材中の炭素との反応(直接還元)と、(2)式で示されるCOガスとの反応(間接還元)により進行する。間接還元で発生したCOガスはソリューション・ロス反応と呼ばれる(3)式で示される反応によりCOガスとなる。
Fe+3/2C=2Fe+3/2CO (1)
Fe+3CO=2Fe+3CO (2)
CO+C=2CO (3)
これらの還元反応は、温度が900〜1100℃では間接還元が支配的であり、1200℃以上では直接還元が支配的である。本発明では半還元焼結鉱の製造に際し、原料層温度を1400℃程度に到達させ、1200℃以上の滞留時間を長くして直接還元を進行させることを指向する。
この場合に、還元鉄製造用粒子は、被還元物質である鉄鉱石と還元剤である炭材とが強固に接触し、かつ接触面積が大きいので、還元鉄製造用粒子において鉄鉱石の直接還元反応を効果的に進行させることができる。また、還元鉄製造用粒子は原料層の一部として装入するので、上記反応は局部的に生じ、過剰に溶融するのは還元鉄製造用粒子の部分のみであり大量の融液を発生させるおそれが少ない。さらに、還元鉄製造用粒子は鉄鉱石および炭材とが強固に密着しており、還元後もその形態を保っているため、吸引ガス中の酸素によっても内部の再酸化が妨げられ、良好な還元状態を保っている。このため、現状の焼結機の操業を悪化させることなく直接還元を進行させることができ、鉄鉱石の一部が還元され、金属Feを含有した半還元焼結鉱を大量に製造することができる。
このような鉄鉱石の一部が還元され、かつ金属Feを含有した半還元焼結鉱を高炉で使用することにより、製銑プロセス全体としての還元材使用量(還元材比)を削減することができ、ひいては製銑プロセスからのCO排出量も削減することができる。特に、金属Feを優先的に析出させることにより、製銑プロセスからのCO排出量削減効果を大きくすることができる。
この点について、さらに詳細に説明する。
図1は、横軸に焼結鉱の還元率をとり、縦軸に高炉還元材比をとって、これらの関係を示す図であり、微粉炭吹き込み量を131kg/thm(溶銑1トンあたり131kg)とした場合を示す。この図に示すように、焼結鉱の還元率が上昇することにより、高炉の還元材比が低下し、還元率が30%を超えることによりその低下率が急激になることがわかる。通常の焼結鉱は還元率が2%程度であるから、本実施形態に従って還元率が30%以上の半還元焼結鉱を得ることにより、高炉の還元材比を大幅に低下させることができる。
高炉の還元材比はこのように焼結鉱の還元率を上げることにより低下させることができるが、上述したように、CO排出量をより効果的に低減する観点からは、焼結鉱全体の還元率を一様に上げるより、金属Feを析出させるほうが好ましい。このことを図2を参照して説明する。図2は、横軸に焼結鉱の高炉装入時の平均還元率をとり、縦軸に製銑工程からのC排出量をとって、均一に部分還元した焼結鉱と金属Feが優先的に発生した焼結鉱とでC排出量を比較して示す図である。ライン(a)は均一に部分還元した焼結鉱の場合であり、ライン(b)はメタルが優先的に発生した焼結鉱の場合であって、実際の半還元焼結鉱は、ライン(a)とライン(b)の間に存在することになる。なお、図中の「ベース」は部分還元していない焼結鉱を使用した場合のC排出量を示す。この図から明らかなように、均一に部分還元するよりも、金属Feを多く含有させたほうがC排出量、すなわちCO排出量をより低減することができることがわかる。また、均一に部分還元した半還元焼結鉱の場合には、還元率が30%まではむしろC排出量が増加しており、ある程度金属Feが存在していても同様の傾向があると考えられることから、CO排出量を削減するためには、還元率が30%以上であることが好ましいことがわかる。
半還元焼結鉱に含有する金属Feの量は、全体の平均値として3mass%以上であることが好ましい。これにより、高炉における還元材比削減、製銑工程全体でのCO排出量の低減や、コークス炉への負荷軽減の効果を有効に発揮することができる。
本実施形態の半還元焼結鉱を得るに際して、還元鉄製造用粒子の炭材配合量は5mass%以上であることが好ましい。これは、5mass未満であると直接還元反応が有効に生じないおそれがあるためである。炭材配合量が10mass%以上であれば、直接還元反応の促進のためにさらに好ましいが、炭材が20mass%を超えると過剰な溶融が生じやすくなるため、炭材配合量は10〜20mass%が好ましい。炭材としては粉コークスが好適であるが、無煙炭またはコークス冷却設備の集塵粉等他の炭材を用いることができる。
焼成後の還元鉄製造用粒子には、灼熱減量を除いた成分でCaO/SiOの質量比が1以上となるようにCaO系副原料を配合してもよい。CaO系副原料は、還元鉄製造用粒子の強度を維持するための骨材としての機能あるいは焼結鉱の溶融組織として難還元性のFeO−SiO系スラグの生成を防止する機能を有する。CaO/SiO系の質量比が1より小さい場合には、低融点で難還元性のFeO−SiO系融液が発生しやすくなる。一方で、CaOが過剰になってもCaO−Fe系の低融点融液を発生しやすくし、融液を大量に発生した場合には、粒子自体がその形状も残さないほど過剰に溶融する可能性がある。通常の鉄鉱石には0.6〜5.5mass%程度のSiOが含まれており、現状の焼結操業では複数銘柄(通常5〜10銘柄)を配合するので、結果として鉄鉱石原料のSiOは3.7〜4.8mass%となる。骨材として機能するためには、CaO系副原料の含有量はCaO換算で2mass%以上であることが好ましい。また、難焼結性のSiO−CaO系融液の生成を防止し、かつCaO−Fe系の低融点融液の大量発生防止のためには、CaO副原料の含有量はCaO換算で8mass%以下とすることが好ましい。CaO系副原料(石灰系副原料とも称する)としてはCaO分を含有していれば特に限定されないが、代表的なものとして石灰石や生石灰、ドロマイトを挙げることができる。
還元鉄製造用粒子を構成する原料のうち、鉄鉱石の粒径は8mm以下、炭材の粒径は5mm以下、CaO系副原料の粒径は5mm以下であることが好ましい。このように原料の粒径を小さくすることにより、鉄鉱石と炭材との接触面積を高めて還元反応を有効に生じさせ、密度の高い還元粒子を得ることができる。
また、還元鉄製造用粒子は、少なくともその中の鉄鉱石および炭材が125μm以下の粒子を40mass%以上とすることが好ましい。このように鉄鉱石および炭材を微粒化することにより、これらの間の還元反応の反応性が高まり、鉄鉱石の還元率をより高くすることができる。より好ましくは70mass%以上である。還元鉄製造用粒子にCaO系副原料を含有させる場合には、CaO系副原料を含めて還元鉄製造用粒子の全体について125μm以下の粒子を40mass%以上とすることが好ましく、70mass%以上がより好ましい。
還元鉄製造用粒子の大きさは10cm以下であることが好ましい。これは、還元反応は吸熱反応であるため、焼結鉱製造時のコークスの燃焼熱量でその熱を補償するが、還元鉄製造用粒子が大きすぎると内部に十分熱が供給されずに未反応になりやすいからである。10cm以下とすることにより、還元反応が十分に進行するとともに、原料層の通気性を改善する効果を奏する。しかし、還元鉄製造用粒子の大きさが0.065cm(直径5mmの球に相当)より小さい場合には、周りの造粒物よりも小さくなり、焼成時に造粒物と同化溶融してしまい小さすぎると通気性改善効果が有効に発揮され難くなるため、0.065〜10cmが好ましい。通気性改善効果をより重視する場合には、0.3cm以上が好ましい。
上記還元鉄製造用粒子は、原料層全体の5〜50mass%であることが好ましく、10〜50mass%がより好ましい。成形後の還元鉄製造用粒子は、比較的高い強度を有しており、焼結機に装入した時点での崩壊は少なく、原料層の中では通気を確保するための粗粒粒子として機能し、適量配合することにより焼結鉱の生産性を向上させる機能を有する。しかし、その配合量が原料層全体の50mass%を超えると、還元鉄製造用粒子の集中した層ができ、通気が過剰になるため未焼成部が発生しやすくなる。一方、還元鉄製造用粒子が5mass%未満であると、得られた半還元焼結鉱中の金属Feの量が少なくなるので、高炉での還元材比低減やCO排出量の削減の効果が充分に得られなくなる傾向にある。
還元鉄製造用粒子は、鉄鉱石および炭材、または鉄鉱石、炭材およびCaO系副原料を適宜の方法で成形して製造する。この場合の製造方法としては、従来から焼結原料である擬似粒子を製造する方法として知られているドラムミキサーやディスクペレタイザー等による転動造粒や、ブリケットマシンでブリケット化する方法に代表されるロール成形機等で圧縮成形(加圧成形ともいう)する方法を挙げることができる。この中では圧縮成形する方法が好適である。
鉄鉱石および炭材、または鉄鉱石、炭材およびCaO系副原料を圧縮成形する方法は、転動造粒により擬似粒子化する方法に比べて、鉄鉱石と炭材との接触をより強固にしてこれらの接触面積を大きくすることができるので、鉄鉱石の還元反応がより進行しやすくなり、還元率および金属鉄の含有率をより高めることができる。
このことを図3に基づいて説明する。図3は、横軸に焼結鉱の還元率をとり、縦軸に焼結後の金属鉄の含有率をとって、これらの関係を転動造粒による擬似粒子の場合とブリケット粒子の場合とで比較して示す図である。この図から明らかなように、擬似粒子よりもブリケット粒子のほうが焼結した際の還元率が高く、かつ焼結後の金属Feの含有率が高くなることがわかる。
また、ブリケット粒子のような圧縮成形した粒子を用いることにより、原料充填層中での空隙率が大きくなり、焼結ベッドの通気性も改善される。
ブリケット化に代表される圧縮成形によって還元鉄製造用粒子を製造する場合には、上記原料に、水および/またはバインダーを適宜の量添加し、混合した後に圧縮成形を行うことが好ましい。また、転動造粒によって成形するこの場合にも、上記原料に、水および/またはバインダーを適宜の量添加し、混合した後に転動造粒を行うことが好ましい。
原料層の残部としては、通常の焼結鉱に用いる擬似粒子を用いる。すなわち、鉄鉱石と炭材とCaO系副原料を主体とする焼結原料を、ドラムミキサーやディスクペレタイザー等により転動造粒して成形したものを用いる。この場合に、鉄鉱石としては通常の粉鉄鉱石を用い、炭材としては粉コークスを用い、CaO系副原料としては石灰石または生石灰を用いる。配合割合は、鉄鉱石およびCaO系副原料を100mass%とした場合に炭材を外数で2〜6mass%が好ましい。また、CaO系副原料は、鉄鉱石およびCaO系副原料の合計量の内数で4〜10mass%程度が好ましい。
焼結機として、一般的には下方吸引式無端移動型焼結機を用いる。この下方吸引式無端移動型焼結機は、無端移動式の移動グレートを有しており、その移動グレート上に、上記還元鉄製造用粒子と通常の擬似粒子とが供給されて原料層が形成され、この原料層が連続的に焼結されて本実施形態の半還元焼結鉱が製造される。
次に、本実施形態に係る半還元焼結鉱の製造方法の具体例について説明する。
図4は、本実施形態に係る半還元焼結鉱を製造する設備の一例を示す模式図である。この設備は、原料製造設備40と、下方吸引式無端移動型焼結機50とを備えている。
原料製造設備40は、通常擬似粒子の原料である鉄鉱石、炭材およびCaO系副原料等が供給可能な通常擬似粒子用原料源1を有し、この通常擬似粒子用原料源1からの原料がドラムミキサーやディスクペレタイザー等からなる転動造粒装置2で造粒され、通常擬似粒子となる。また、原料製造設備40は、還元鉄製造用粒子の原料である鉄鉱石および炭材、または鉄鉱石、炭材、およびCaO系副原料が供給可能な還元鉄製造用粒子用原料源3を有し、この還元鉄製造用粒子用原料源3からの原料が上述したロール成形機または転動造粒装置のような成形装置4で成形され、還元鉄製造用粒子となる。これら通常擬似粒子と還元鉄製造用粒子とは、例えば、所定の割合で混合機5により混合され、ホッパー6に貯留されるようになっている。
下方吸引式無端移動型焼結機50は、無端移動式の移動グレート11を有しており、その移動グレート11上に、装入システムであるロールフィーダー10により通常擬似粒子と還元鉄製造用粒子との混合物が供給され、原料層13が形成されるようになっている。なお、混合機5を用いずに通常擬似粒子と還元鉄製造用粒子とを別個に移動グレート11上に供給してもよい。
移動グレート11の移動経路には点火炉12が設けられており、移動グレート11上の擬似粒子がその点火炉12を通過する際に点火されて原料層13の焼結が開始され、焼結ケーキ13aが形成される。移動グレート11の出口側には、図示しない破砕機が設けられており、この破砕機により移動グレート11から落下した焼結鉱が粉砕されてコンベア14に供給され、高炉へ供給される。
移動グレート11の直下には、移動グレート11の進行方向に沿って、複数の風箱15が配列されており、各風箱15には垂直ダクト16が接続されている。これにより、原料層13の上方のガスが風箱15および垂直ダクト16により原料層13を通過して吸引されるようになっている。
上記垂直ダクト16は、水平に配置された主排ガスダクト17に接続され、排ガスが主排ガスダクト17を経て排出されるようになっている。主排ガスダクト17には、電気集塵機20、メインブロア21が接続されており、メインブロア21により原料層13の上方のガスを吸引し、風箱15、垂直ダクト16、主排ガスダクト17、電気集塵機20等を経て煙突22から排出される。
なお、原料層13上方の点火炉12の下流側部分にガス供給フードを設け、垂直ダクト16からこのフードに繋がる排ガス循環ダクトを設けて排ガス循環を行うようにしてもよい。このような排ガス循環方式を採用することによって原料層13中の雰囲気(酸素濃度)を適正に制御することが容易となり、金属Feの生成および再酸化防止にさらに効果的である。
このように構成される設備においては、通常擬似粒子用原料源1からの原料を転動造粒装置2で造粒して通常擬似粒子を製造し、かつ還元鉄製造用粒子用原料源3からの原料を成形装置4で成形して還元鉄製造用粒子を製造し、混合機5によりこれら通常擬似粒子と還元鉄製造用粒子とを混合し、この混合物をホッパー6およびロールフィーダー10を介して下方吸引式無端移動型焼結機50の移動グレート11上に供給して原料層13を形成する。このとき、原料層13は、図5に示すように、通常擬似粒子のマトリックス31中に還元鉄製造用粒子32が分散した状態となっている。
そして、点火炉12により原料層13表面に点火し、風箱15を介して下向きにガスを吸引しながら焼成し、原料層13を構成する擬似粒子を焼結させ、焼結鉱とする。このようにして焼結して得られた焼結鉱は、移動グレート11から落下し、出口側の破砕機により落下した焼結鉱が粉砕されてコンベア14に供給され、さらに高炉へ供給される。この場合に、上述したように、原料層13の還元鉄製造用粒子32の中では、鉄鉱石と炭材とで直接還元が生じ、鉄鉱石が部分的に還元され、一部金属Feとなった半還元焼結鉱が製造される。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態では、焼結原料として少なくとも鉄鉱石と炭材とCaO系副原料とを用い、これを焼結機に装入して原料層を構成し、焼成して半還元焼結鉱を製造するに際し、上記第1の実施形態のより具体的な範囲について規定する。
本実施形態においては、粉鉄鉱石と粉鉄鉱石に対して外数で10〜20mass%の炭材とを配合し、さらに水と必要に応じてバインダーを加えて混合し、この混合物をロール成形機で圧縮成形して成形粒子とし、この成形粒子を内数で5〜30mass%配合したものを焼結原料として用いて焼結機に装入する。そして、この成形粒子が5〜50mass%、好ましくは5〜30mass%配合された焼結原料を焼成し、鉄鉱石の一部を還元して、焼結鉱全体の平均値として、3mass%以上の金属Feを含有させた半還元焼結鉱を得る。
本実施形態においては、上記第1の実施形態と同様に、焼結鉱の製造に際し、原料層温度を1400℃程度に到達させ、1200℃以上の滞留時間を長くして直接還元を支配的とする。
本実施形態では、第1の実施形態の還元鉄製造用粒子に対応するものとして、ロール成形機で圧縮成形された成形粒子を用いる。このような圧縮成形された成形粒子は、通常の焼結原料である造粒した擬似粒子に比べて高密度であり、第1の実施形態において説明したように、擬似粒子よりも焼結した際の還元率が高く、かつ焼結後の金属Feの含有率が高くなる。
つまり、ロール成形機で圧縮成形された成形粒子は、その表面においては、被還元物質である鉄鉱石と還元剤である炭材とが強固に接触しかつ接触面積が大きいため、直接還元が進み金属Feまで急速に還元される。一方、内部は高密度のために酸素の拡散速度が遅く、Cの燃焼は起こらず、伝熱により昇温された時点で直接還元反応が進行する。そして、図6に示すように、焼結充填層(原料層)61において通常の擬似粒子62中に分散している成形粒子63の表面には、FeO−SiO系またはFeO−CaO系融液により、溶融組織を有する皮膜64が形成され、この皮膜64により内部での直接還元で発生するCOガスあるいはCOガスによるバーストを防止する。そのため、還元後(焼成後)も皮膜64が残って形状を保持し、今度は還元されたFeまたはFeOの再酸化防止に有効に働く。このように、成形粒子は鉄鉱石の直接還元反応を効果的に進行させることができる。また、成形粒子は焼結原料の一部であり、焼結機内において原料層に分散された状態となるので、上記反応は局部的に生じ、過剰に溶融するのは還元鉄製造用粒子の部分のみであり大量の融液を発生させるおそれが少ない。さらに、成形粒子は、上述のように還元後もその形態を保っており、吸引ガス中の酸素によっても内部の再酸化が妨げられ、良好な還元状態を保っているので、現状の焼結機の操業を悪化させることなく直接還元を進行させることができ、金属Feを3%以上含有した半還元焼結鉱を大量に製造することができる。これにより、第1の実施形態と同様、製造プロセス全体としての還元材使用量(還元材比)を削減することができ、ひいては製造プロセスからのCO排出量も削減することができる。特に、金属Feを優先的に析出させることにより、製造プロセスからのCO排出量削減効果を大きくすることができる。
上記成形粒子は、上記のように鉄鉱石を有効に還元するとともに、高い強度を有していることから焼結機に装入した時点での崩壊は少なく、原料層の中では通気を確保するための粗粒粒子として機能し、適量配合することにより焼結鉱の生産性を向上させる機能を有する。しかし、その配合量が焼結原料全体の30mass%を超えると還元鉄製造用粒子の集中した層ができ、通気が過剰になるため未焼成部が発生しやすくなる。一方、還元鉄製造用粒子が5mass%未満であると得られた焼結鉱中の金属Feを3mass以上にすることが困難となる。このため、本実施形態では、成形粒子の焼結原料中の配合量を5〜30mass%とする。
焼結鉱に含有する金属Feの量を全体の平均値として3mass%以上としたのは、これにより、高炉における還元材比削減やコークス炉への負荷軽減の効果を有効に発揮することができるからである。
本実施形態において、成形粒子の炭材配合量を10〜20mass%以上としたのは、以下の理由からである。鉄鉱石中のトータルFeは56〜65mass%であり、鉄鉱石1tあたりFeは560〜650kgである。その中のFeはほぼFe3+と考えられるから、上記(1)式の直接還元反応によりFeを100%還元するに必要なCの量は180〜210kgとなり、代表的な炭材である粉コークス中の固定Cを88mass%とすれば、Feを100%還元するに必要な粉コークス量は205〜239kg/t−鉄鉱石となる。実際の成形粒子に必要な還元率は約50%以上であるから、必要な粉コークスの量はほぼ100kg/t−鉄鉱石以上、すなわち10mass%以上となる。成形粒子の金属Fe含有量は30mass%が好ましく、その際の還元率は約60%であるから、それに必要な炭材(粉コークス)は123〜143kg/t−鉄鉱石となり理論量の1.2〜1.3倍必要とすれば、炭材の好ましい範囲は15〜19mass%程度となる。また、炭材が20mass%を超えると過剰な溶融が生じやすくなるため、上限を20mass%とする。炭材としては粉コークスが好適であるが、無煙炭またはコークス冷却設備の集塵粉等他の炭材を用いることができる。
通常、鉄鉱石には、脈石としてSiOが1〜5mass%程度含まれ、Alは1〜2.5mass%程度含まれる。一方、CaO系副原料は脈石をほとんど含まない。また、炭材としての粉コークスのアッシュ主要成分はSiOとAlである。したがって、鉄鉱石と炭材のみで焼結により焼結鉱を製造すると、そのスラグ成分は、Feが還元されてできたFeOとSiOからなるFeO−SiO系スラグ、いわゆるファイアライトが生成してしまう。このファイアライトは還元性が極めて悪いが、CaO系副原料を添加することにより、カルシウム−フェライト系スラグを形成し、還元性を改善することができる。また、CaO系副原料成形粒子の強度を維持するための骨材あるいはバインダーとしての機能も有する。したがって、成形粒子には、成形粒子の灼熱減量を除いた成分でCaO/SiOが1以上、好ましくはCaO/SiO>1.5となるようにCaO系副原料を含有することが好ましい。一方で、CaO系副原料は低融点融液を発生しやすくし、融液が大量に発生した場合には、粒子自体がその形状も残さないほど過剰に溶融する可能性がある。したがって、粒子の過剰溶融の防止のためには、CaO系副原料の含有量はCaO換算で8mass%以下であることが好ましい。CaO系副原料としてはCaO分を含有していれば特に限定されないが、代表的なものとして石灰石や生石灰、ドロマイトを挙げることができる。
成形粒子を構成する原料は、鉄鉱石で8mm以下、炭材で5mm以下、CaO系副原料で5mm以下であることが好ましい。このように原料の粒径を小さくすることにより、鉄鉱石と炭材との接触面積を高めて還元反応を有効に生じさせ、密度の高い還元粒子を得ることができる。
また、成形粒子は、少なくともその中の鉄鉱石および炭材が全体として125μm以下の粒子を40mass%以上とすることが好ましい。このように鉄鉱石および炭材を微粒化することにより、これらの間の還元反応の反応性が高まり、鉄鉱石の還元率をより高くすることができる。ここで鉄鉱石と炭材が全体として125μm以下の粒径のものが40mass%以上とは、鉄鉱石および炭材を個々ではなく、これら全体を基準として、鉄鉱石および炭材の125μm以下の粒径のものの合計が40mass%以上であることを意味する。より好ましくは70mass%以上である。また、鉄鉱石および炭材のみならず、CaO系副原料を含めて成形粒子の全体について125μm以下の粒子を40mass%以上とすることが好ましく、70mass%以上がより好ましい。
成形粒子の大きさは10cm以下であることが好ましい。これは、還元反応は吸熱反応であるため、焼結鉱製造時のコークスの燃焼熱量でその熱を補償するが、還元鉄製造用粒子が大きすぎると内部に十分熱が供給されずに未反応になりやすいからである。10cmの場合には直径が26.8mmであり伝熱性の面から限界であり、10cm以下とすることにより、還元反応が十分に進行するとともに、原料層の通気性を改善する効果を奏する。しかし、還元鉄製造用粒子の大きさが0.065cm(直径5mmの球に相当)未満となると、通気性改善効果が有効に発揮され難くなるため、0.065〜10cmが好ましい。通気性改善効果をより重視する場合には、0.3cm以上が好ましい。また、伝熱性の観点からは6cm以下が好ましい。
成形粒子は、鉄鉱石および炭材、または鉄鉱石、炭材およびCaO系副原料をロール成形機等で圧縮成形することにより得られる。ロール成形機による成形は、ブリケッティングとコンパクティングに分類される。前者は、成形物の母型となるポケットが複数形成されている2個のロールが互いに食い込み勝手に同速で回転するように設けられ、これらロール間に原料を供給し、連続して所定形状の成形体であるブリケットを得るものであり、後者はポケットが形成されていない2個のロールを同様に同速で回転させ、板状の成形物を得、次いでこれを粉砕して成形粒子とするものである。この場合には、上記原料にさらに水と必要に応じてバインダーを適量加えて混合した後に圧縮成形を行う。
成形粒子の成形圧力は、980kN/m以上であることが好ましい。これにより、成形粒子を十分な強度とすることができる。このことを確認した実験について説明する。ここでは、8mm以下の鉄鉱石に外数で20質量%の粉コークス(−5mm)を加え、さらに水を外数で3%、バインダーとして40mass%濃度のα化デンプン水溶液を外数で1.4mass%加え、成形圧力を245〜1470kN/mの間で変化させて長さ35mm、幅25mm、厚さ16mmのアーモンド状のブリケットを作成した。各成形圧力のブリケット20kgを用いて、2mの高さから25回繰り返し落下試験を行い、+5mmの歩留りを調査した。その結果を図7に示す。この図に示すように、980kN/m以上で良好な結果が得られることが確認された。980kN/m以上で歩留りは飽和する。なお、2m×25回=50mは、輸送ラインの乗り継ぎ部の落下距離に相当する。
原料層の残部としては、第1の実施形態と同様、通常の焼結鉱に用いる擬似粒子を用いる。すなわち、鉄鉱石と炭材とCaO系副原料を主体とする焼結原料を、ドラムミキサーやディスクペレタイザー等により転動造粒して成形したものを用いる。この場合に、鉄鉱石としては通常の粉鉄鉱石を用い、炭材としては粉コークスを用い、CaO系副原料としては石灰石または生石灰を用いる。配合割合は、鉄鉱石およびCaO系副原料を100mass%とした場合に炭材を外数で4〜6mass%が好ましい。また、CaO系副原料は、鉄鉱石およびCaO系副原料の合計量の内数で4〜10mass%程度が好ましい。
焼結機として、一般的には、第1の実施形態と同様、下方吸引式無端移動型焼結機を用いる。この下方吸引式無端移動型焼結機は、無端移動式の移動グレートを有しており、その移動グレート上に、上記還元鉄製造用粒子と通常の擬似粒子とが供給されて原料層が形成され、この原料層が連続的に焼結されて本実施形態の半還元焼結鉱が製造される。
次に、本実施形態に係る半還元焼結鉱の製造方法の具体例について説明する。
図8は、本実施形態に係る半還元焼結鉱を製造する設備の一例を示す模式図である。この設備は、成形粒子製造設備100と、擬似粒子製造設備200と、下方吸引式無端移動型焼結機300とを備えている。
成形粒子製造設備100は、鉄鉱石、炭材およびCaO系副原料等が供給可能な原料ホッパー群101と、原料とバインダー(例えば、デンプン、タール、糖蜜)を混合する攪拌機102と、混合物から成形粒子を得るためのロール成形機103とを有し、原料ホッパー群101からの原料はコンベア104、105にて攪拌機102に搬送され、攪拌機102で攪拌された混合物はコンベア106にてロール成形機103に搬送され、ロール成形機103で製造された成形粒子はコンベア107で焼結機300に向かうコンベア401に搬送される。
擬似粒子製造設備200は、鉄鉱石、炭材およびCaO系副原料等が供給可能な原料ホッパー群201と、これらを混合するとともに、水を添加して調湿するための混合・調湿機(ドラム)202と、原料を造粒するための造粒機(ドラム)203とを有し、原料ホッパー群201からの原料はコンベア204、205にて混合・調湿機(ドラム)202に搬送され、混合・調湿機(ドラム)202から排出された混合物はコンベア206にて造粒機(ドラム)203に搬送され、造粒機(ドラム)203で製造された擬似粒子はコンベア207で焼結機300に向かうコンベア401に搬送される。
これにより、コンベア401上で成形粒子と擬似粒子とが混合されることとなる。コンベア401上の混合物は、コンベア402に移し替えられて焼結機300に搬送される。
下方吸引式無端移動型焼結機300は、無端移動式の移動グレート311を有しており、その移動グレート311上に、適宜の装入システムにより通常擬似粒子と成形粒子との混合物が供給され、原料層313が形成されるようになっている。
移動グレート311の移動経路には点火炉312が設けられており、移動グレート311上の擬似粒子がその点火炉312を通過する際に点火されて原料層313の焼結が開始され、焼結ケーキ313aが形成される。移動グレート311の出口側には、図示しない破砕機が設けられており、この破砕機により移動グレート311から落下した焼結鉱が粉砕されてコンベア314に供給され、高炉へ供給される。
移動グレート311の直下には、移動グレート311の進行方向に沿って、複数の風箱315が配列されており、各風箱315には垂直ダクト316が接続されている。これにより、原料層313の上方のガスが風箱315および垂直ダクト316により原料層313を通過して吸引されるようになっている。
上記垂直ダクト316は、水平に配置された主排ガスダクト317に接続され、排ガスが主排ガスダクト317を経て排出されるようになっている。主排ガスダクト317には、電気集塵機320、メインブロア321が接続されており、メインブロア321により原料層313の上方のガスを吸引し、風箱315、垂直ダクト316、主排ガスダクト317、電気集塵機320等を経て煙突322から排出される。
なお、原料層313上方の点火炉312の下流側部分にガス供給フードを設け、垂直ダクト316からこのフードに繋がる排ガス循環ダクトを設けて排ガス循環を行うようにしてもよい。このような排ガス循環方式を採用することによって原料層313中の雰囲気(酸素濃度)を適正に制御することが容易となり、金属Feの生成および再酸化防止に更に効果的である。
このように構成される設備においては、成形粒子製造設備100により成形粒子を製造し、擬似粒子製造設備200により擬似粒子を製造し、これをコンベア401上で適宜の手段により混合し、コンベア402を経てこの混合物を下方吸引式無端移動型焼結機300の移動グレート311上に供給して原料層313を形成する。このとき、原料層313は、図9に示すように、通常擬似粒子のマトリックス331中に成形粒子332が分散した状態となっている。
そして、点火炉312により原料層313表面に点火し、風箱315を介して下向きにガスを吸引しながら焼成し、原料層313を構成する擬似粒子を焼結させ、焼結鉱とする。このようにして焼結して得られた焼結鉱は、移動グレート311から落下し、出口側の破砕機により落下した焼結鉱が粉砕されてコンベア314に供給され、さらに高炉へ供給される。この場合に、上述したように、原料層313の成形粒子332の中では、鉄鉱石と炭材とで直接還元が生じ、鉄鉱石が部分的に還元され、一部金属Feとなった半還元焼結鉱が製造される。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態においては、第1および第2の実施形態と同様に、焼結鉱の製造に際し、原料層温度を1400℃程度に到達させ、1200℃以上の滞留時間を長くして直接還元を支配的とするが、そのために、焼結原料として鉄鉱石と炭材と副原料とを焼結機に装入して焼成し、鉄鉱石の一部を炭材により還元してなる半還元焼結鉱を製造するにあたり、焼結原料のうち鉄鉱石の一部および炭材の一部、または焼結原料のうち鉄鉱石の一部、炭材の一部および副原料の一部を予め圧縮成形(加圧成形とも称する)して圧縮成形体とし、焼結原料の残部を造粒物とし、これらを混合して焼成する。
このように、焼結原料のうち鉄鉱石の一部および炭材の一部、または焼結原料のうち鉄鉱石の一部、炭材の一部および副原料の一部を圧縮成形することにより、鉄鉱石と炭材とが圧密されてこれらの接触面積が大きくなるので、このような圧縮成形体を原料の一部として焼結機に装入することにより焼結鉱の還元を促進させることができる。このため、焼結鉱の還元率および金属Feの含有率を高めることができ、このような焼結鉱を高炉で使用することにより、第1の実施形態と同様、製造プロセス全体としての還元材使用量(還元材比)を削減することができ、ひいては製造プロセスからのCO排出量も削減することができる。
また、圧縮成形体は原料が加圧により緻密化しているため、焼結鉱となった場合にも造粒物と比較して原料が緻密に存在している。このとき、圧縮成形により緻密化した部分は外気と遮断され、直接還元により発生した金属鉄の酸化が抑制される。
すなわち、焼結原料のうち鉄鉱石の一部および炭材の一部、または焼結原料のうち鉄鉱石の一部、炭材の一部および副原料の一部を圧縮成形した圧縮成形体を焼結原料の造粒物とともに焼結機に投入して半還元焼結鉱を製造することにより、高い還元率および高い金属鉄含有率が実現される。
本実施形態において、鉄鉱石としては、反応性を良好に維持する観点から、粒径8mm以下の粉鉄鉱石が好ましく、炭材としては、粒径5mm以下の粉コークス、さらには粒径3mm以下の粉コークスが好ましい。また、副原料としてはCaO系副原料、例えば石灰石、生石灰が用いられる。
造粒物のコア部分(後述の凝結材を除いた部分)の組成および圧縮成形体の組成は、鉄鉱石および副原料100質量%に対し還元材としての炭材が10〜20質量%のものが好適である。副原料の含有量は、コア部分の塩基度(CaO/SiO)が1以上になるよう配合することが好ましい。具体的には、4〜10質量%であることが好ましい。造粒物のコア部分は、単一層であってもよいし、例えば、鉄鉱石、副原料および炭材からなる内層の外側に鉄鉱石からなる外層を形成した2層構造のものであってもよい。造粒物は、上記コア部分の外側に燃料(凝結材)としての炭材が被覆されて構成される。また、圧縮成形体として外側に炭材が被覆されたものを用いてもよい。被覆される炭材は、鉄鉱石および副原料のトータル100質量%に対し1〜4質量%であることが好ましい。
ここで、コア部分の炭材量を鉄鉱石および副原料100質量%に対し10〜20質量%としたのは、この範囲であれば、擬似粒子中の鉄鉱石を有効に還元することができ、しかも未反応のコークスが残存し難いからである。また、コア部分に外装される炭材量を鉄鉱石および副原料のトータル100質量%に対し1〜4質量%とすることにより、鉄鉱石の焼結を適切に進行させることができる。
本実施形態において、圧縮成形体とは、ロール成形機における圧縮成形手段により所定形状に成形されたブリケット、またはロール成型機で板状、シート状、もしくは棒状に成形した後に所定の大きさに粉砕したもので、単一粒子の圧潰強度が39.2N以上とされたものをいう。
圧縮成形体は、体積が10cm以下であることが好ましい。この範囲とすることにより最適な通気性が得られる。これよりもサイズが拡大すると通気性が過剰となる傾向となり、また未焼成部分が発生しやすくなる。しかし、圧縮成形体粒子の大きさが0.065cmより小さい場合には、周りの造粒物よりも小さくなり、焼成時に造粒物と同化溶融してしまい、還元率も十分に上がらない。したがって、圧縮成形体の体積は0.065〜10cmがより好ましい。さらに、圧縮成形体の最薄部分の幅を8mm以上20mm以下とすることにより良好な通気性が得られる。
圧縮成形体を構成する原料としての鉄鉱石と炭材は、これら全体として125μm以下の粒径のものが40mass%以上となるようにすることが好ましい。このように鉄鉱石および炭材を微粒化することにより、これらの間の還元反応の反応性が高まり、鉄鉱石の還元率をより高くすることができる。ここで鉄鉱石と炭材が全体として125μm以下の粒径のものが40mass%以上とは、鉄鉱石および炭材を個々ではなく、これら全体を基準として、鉄鉱石および炭材の125μm以下の粒径のものの合計が40mass%以上であることを意味する。より好ましくは70mass%以上である。また、鉄鉱石および炭材のみならず、CaO系副原料を含めて成形粒子の全体について125μm以下の粒子を40mass%以上とすることが好ましく、70mass%以上がより好ましい。
焼結機としては、上記第1および第2の実施形態と同様、下方吸引式無端移動型焼結機を用いることが好ましい。具体的には、その無端移動式の移動グレート上に、焼結原料を造粒した造粒物である擬似粒子および圧縮成形体を供給し、原料層を形成し、移動グレートの移動経路に設けられた点火炉により、原料層が点火されて焼結が行われる。移動グレートの直下には、複数の風箱が配列されており、焼結の際に各風箱を介して原料層上方のガスが下方に吸引される。
圧縮成形体を焼結機に装入するに際しては、焼結機の原料層下部3/4以下の領域に装入することが好ましい。原料層の表面に近い領域では、焼結時の温度が比較的低く、高温の保持時間も短い。また、この領域へ圧縮成形体を装入することにより通気性が改善されるため、この傾向はさらに顕著となる。その結果、成形体の還元反応は、充填層の下層と比べ不十分な状態で終了してしまう。このように装入するためには、例えば、図10に示すように、造粒物である擬似粒子71を搬送手段例えばベルトコンベア79により上方から供給するとともに、原料層72の適宜の位置に圧縮成形体用ホッパー77から装入位置を調整可能なシュート73を介して圧縮成形体74を供給するようにすればよい。なお、符号75は床敷鉱、76は焼結パレット、78は圧縮成形体用定量切出装置、80は偏析装入装置である。
焼結機に装入される造粒物に対する圧縮成形体の混合比、つまり原料層における圧縮成形体の混合割合は5〜50mass%以下であることが好ましい。この混合割合が50mass%を超えると、すなわち圧縮成形体が造粒物と同じ割合よりも高い割合となると、通気性が過剰となる傾向となり、未焼成部分が発生しやすくなる。一方、5mass%未満では、圧縮成形体を混合装入する効果が小さい。好ましくは10〜50mass%である。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本実施形態においては、第1〜第3の実施形態と同様に、焼結鉱の製造に際し、原料層温度を1400℃程度に到達させ、1200℃以上の滞留時間を長くして直接還元を支配的とするが、そのために、焼結原料として鉄鉱石と炭材と副原料とを焼結機に装入して焼成し、鉄鉱石の一部を炭材により還元してなる半還元焼結鉱を製造するにあたり、焼結原料のうち鉄鉱石の一部、炭材の一部および副原料の一部を予め均一に混合後、圧縮成形して圧縮成形体とし、焼結原料の残部を造粒物とし、これらを混合して焼成する。
このように、焼結原料のうち鉄鉱石の一部、炭材の一部および副原料の一部を圧縮成形することにより、鉄鉱石と炭材とが圧密されてこれらの接触面積が大きくなるので、このような圧縮成形体を原料の一部として焼結機に装入することにより焼結鉱の還元を促進させることができる。
また、圧縮成形体は原料が圧縮により緻密化しているため、焼結鉱となった場合にも造粒物と比較して原料が緻密に存在している。このとき、圧縮成形により緻密化した部分は外気と遮断され、直接還元により発生した金属鉄の酸化が抑制される。
すなわち、焼結原料のうち鉄鉱石の一部、炭材の一部および副原料の一部を圧縮成形した圧縮成形体を焼結原料の造粒物とともに焼結機に投入して半還元焼結鉱を製造することにより、高い還元率および高い金属鉄含有率が実現される。このような焼結鉱を高炉で使用することにより、第1の実施形態と同様、製造プロセス全体としての還元材使用量(還元材比)を削減することができ、ひいては製造プロセスからのCO排出量も削減することができる。
本実施形態において、鉄鉱石としては、反応性を良好に維持する観点から、第3の実施形態と同様、粒径8mm以下のものが80%以上の粉鉄鉱石が好ましく、炭材としては、粒径5mm以下のものが80%以上、さらには粒径3mm以下のものが80%以上である粉コークスが好ましい。また、副原料としてはCaO源を含むものが好適であり、CaO源としては、例えば石灰石、生石灰を挙げることができる。
本実施形態においても第3の実施形態と同様、圧縮成形体とは、第3の実施形態と同様、ロール成形機における圧縮成形手段により所定形状に成形されたブリケット、またはロール成形機で板状、シート状、もしくは棒状に成形した後に所定の大きさに粉砕したもので、単一粒子の圧潰強度が39.2N以上とされたものをいう。
この実施形態においても、第3の実施形態と同様、最適な通気性を得る観点および反応性の観点から、圧縮成形粒子の体積が10cm以下であることが好ましい。また、圧縮成形体粒子の大きさが0.065cmより小さい場合には、焼成時に造粒物と同化溶融してしまい、還元率も十分に上がらないおそれがあることから、圧縮成形体の体積は0.065〜10cmがより好ましい。さらに、圧縮成形体の最薄部分の幅を8mm以上20mm以下とすることにより良好な通気性が得られる。
圧縮成形体を構成する原料としての鉄鉱石と炭材は、第3の実施形態と同様、これら全体として125μm以下の粒径のものが40mass%以上となるようにすることが好ましい。このように鉄鉱石および炭材を微粒化することにより、これらの間の還元反応の反応性が高まり、鉄鉱石の還元率をより高くすることができる。ここで鉄鉱石と炭材が全体として125μm以下の粒径のものが40mass%以上とは、鉄鉱石および炭材を個々ではなく、これら全体を基準として、鉄鉱石および炭材の125μm以下の粒径のものの合計が40mass%以上であることを意味する。より好ましくは70mass%以上である。また、鉄鉱石および炭材のみならず、CaO系副原料を含めて成形粒子の全体について125μm以下の粒子を40mass%以上とすることが好ましく、70mass%以上がより好ましい。
副原料として用いるCaO源のうち一部または全部として生石灰を用い、圧縮成形体に副原料として生石灰を含有させた場合には、圧縮成形体はバインダーを使用せずに成形することが好ましい。圧縮成形体に含有させるCaO源として生石灰を用いることにより、生石灰がCaO源として機能するとともにバインダーの機能をも兼備することとなり、圧縮成形体の製造時には、通常用いている有機バインダーを使用せずに成形可能となる。したがって、圧縮成形体を形成する際に通常用いているバインダーを省略して低コスト化を図ることができる。
副原料として用いるCaO源は、圧縮成形体中の配合量よりも造粒物の中の配合量のほうが多いほうが好ましい。具体的には、圧縮成形体中のCaO源の配合量を前記造粒物中のCaO源配合量の40〜70mass%とすることが好ましい。CaO源は、通常、焼結に必要な融液を生成するために添加されるが、本発明における圧縮成形体は、鉄鉱石と炭材との間で有効に還元反応が生じるように圧縮したものであるから、残部の造粒物ほどCaO源の量は多くなくてよく、残部の造粒物に含まれているCaO源配合量の40〜70mass%で十分である。そして、このように圧縮成形体のCaO源配合量を減らしても焼結鉱の品質が適切に維持され、圧縮成形体の還元率はむしろ上昇し、かつCaO源配合量が少なくなった分低コスト化を図ることができる。
圧縮成形体中のCaO系副原料の配合量は、灼熱減量を除く圧縮成形体中のCaO/SiOが1以上になるような配合量とすることが好ましい。これにより、CaO系副原料を圧縮成形体の強度を維持するための骨材としての機能あるいは焼結鉱の溶融組織として難還元性のFeO−SiO系スラグの生成を防止する機能を有効に発揮させることができる。
造粒物のコア部分の組成および圧縮成形体の組成は、鉄鉱石および副原料100質量%に対し還元材としての炭材が10〜20質量%のものが好適である。副原料の含有量は、コア部分の塩基度(CaO/SiO)が1以上になるよう配合することが好ましい。具体的には4〜10質量%であることが好ましい。造粒物のコア部分は、単一層であってもよいし、例えば、鉄鉱石、副原料および炭材からなる内層の外側に鉄鉱石からなる外層を形成した2層構造のものであってもよい。造粒物は、上記コア部分の外側に燃料(凝結材)としての炭材が被覆されて構成される。また、圧縮成形体として外側に炭材が被覆されたものを用いてもよい。被覆される炭材は、鉄鉱石および副原料のトータル100質量%に対し1〜4質量%であることが好ましい。
ここで、コア部分の炭材量を鉄鉱石および副原料100質量%に対し10〜20質量%としたのは、この範囲であれば、擬似粒子中の鉄鉱石を有効に還元することができ、しかも未反応のコークスが残存し難いからである。また、コア部分に外装される炭材量を鉄鉱石および副原料のトータル100質量%に対し1〜4質量%とすることにより、鉄鉱石の焼結を適切に進行させることができる。
焼結機としては、上記第1〜第3の実施形態と同様、下方吸引式無端移動型焼結機を用いることが好ましい。具体的には、その無端移動式の移動グレート上に、焼結原料を造粒した造粒物である擬似粒子および圧縮成形体を供給し、原料層を形成し、移動グレートの移動経路に設けられた点火炉により、原料層が点火されて焼結が行われる。移動グレートの直下には、複数の風箱が配列されており、焼結の際に各風箱を介して原料層上方のガスが下方に吸引される。
焼結機への焼結原料の装入は、圧縮成形体と造粒物とを混合してから行ってもよいし、両方別々に装入し、原料層を形成する際に混合するようにしてもよい。圧縮成形体の装入に分布を持たせるような場合には、例えば上述した図10の装置を用いて別々に装入するようにすることが好ましい。
圧縮成形体を焼結機に装入するに際しては、焼結機の原料層下部3/4以下の領域に装入することが好ましい。原料層の表面に近い領域では、焼結時の温度が比較的低く、高温の保持時間も短い。また、この領域へ圧縮成形体を装入することにより通気性が改善されるため、この傾向はさらに顕著となる。その結果、成形体の還元反応は、充填層の下層と比べ不十分な状態で終了してしまう。
焼結機に装入される造粒物に対する圧縮成形体の混合比、つまり原料層における圧縮成形体の混合割合は5〜50mass%以下であることが好ましい。この混合割合が50mass%を超えると、すなわち圧縮成形体が造粒物と同じ割合よりも高い割合となると、通気性が過剰となる傾向となり、未焼成部分が発生しやすくなる。一方、5mass%未満では、圧縮成形体を混合装入する効果が小さい。好ましくは10〜50mass%である。
以下に本発明の実施例について比較例と比較しつつ説明する。
1.第1の実施例
第1の実施例は上記第1の実施形態に対応するものであり、以下の比較例1,実施例1〜4、比較例2、実施例5〜9が該当する。
(比較例1)
粒径8mm以下で平均粒径が2.3mm、SiO含有量が3.5mass%の粉鉄鉱石、リサイクルダスト、粒径3mm以下の蛇紋岩、粒径5mm以下の石灰石、バインダーとしての生石灰および5mm以下の篩下焼結粉を表1の割合で配合した原料に外数で4.4mass%の粉コークスを加えた焼結混合原料を、ドラムミキサーで加湿しながら3分間混合後、3分間造粒した平均粒径4.0mmの通常擬似粒子を直径φ300mmの試験用のバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入した。ここで、リサイクルダストは高炉ダストおよびミルスケール、所内回収物を使用した(以下の実施例も同様)。また、平均粒径は質量基準の算術平均粒径である(以下の実施例も同様)。算術平均粒径Dは、粒子を複数の粒子径範囲に分級し、各粒子径範囲の代表粒径(範囲の中間値)をd、各粒子径範囲の粒子の合計質量をWとした場合に、以下の式で表すことができる。
D=Σ(W・d)/ΣW
擬似粒子の装入量は45kgであった。焼成炉を排風圧2kPaで吸引しながら、プロパンガスを燃料とした点火バーナーで2分間、充填した原料層表面に着火した後、排風圧を10kPaまで上げて焼成し焼結鉱を製造した。このときの、焼結鉱の成分を表2に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表3に示す。これらに示すように、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度は許容範囲であったが、得られた焼結鉱は金属Feを含有していなかった。
(実施例1)
粒径8mm以下で平均粒径が2.3mmの粉鉄鉱石と、粉鉄鉱石に対し外数で10mass%の炭材(粉コークス)をドラムミキサーで加湿しながら3分間混合した後、直径φ1300mm、深さが150mmのディスクペレタイザーで5分間加湿しながら造粒した後、目開き5mmの篩いを通し、直径5〜12mmの還元鉄製造用粒子を製造した。この還元鉄製造用粒子13.5kgと、比較例1と同じ条件で製造した擬似粒子31.5kgをドラムミキサーで1分間混合した後、比較例1で使用した直径φ300mmのバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入し、同じ条件で焼成した。比較例1と同様、このときの焼結鉱の成分を表2に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表3に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が8.5mass%と高く、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度も良好であった。
(実施例2)
還元鉄製造用粒子の炭材配合量を粉鉄鉱石に対し外数で15mass%とした以外は、実施例1と同じ方法で製造した還元鉄製造用粒子13.5kgと、比較例1と同じ条件で製造した擬似粒子31.5kgを実施例1と同様に混合した後、比較例1で使用した直径φ300mmのバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入し、同じ条件で焼成した。比較例1と同様、このときの焼結鉱の成分を表2に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表3に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が15.5mass%と高く、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度も良好であった。
(実施例3)
還元鉄製造用粒子の炭材配合量を粉鉄鉱石に対し外数で20mass%とした以外は、実施例1と同じ方法で製造した還元鉄製造用粒子13.5kgと、比較例1と同じ条件で製造した擬似粒子31.5kgを実施例1と同様に混合した後、比較例1で使用した直径φ300mmのバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入し、同じ条件で焼成した。比較例1と同様、このときの焼結鉱の成分を表2に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表3に示す。この場合は、金属Feの含有量が19.7mass%と高かったが、還元鉄製造用粒子の周囲に一部過溶融状態が見られたため、生産率が1.41t/m/hと若干低下した。5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度は良好であった。
(実施例4)
還元鉄製造用粒子の炭材配合量を粉鉄鉱石に対し外数で5mass%とした以外は、実施例1と同じ方法で製造した還元鉄製造用粒子13.5kgと、比較例1と同じ条件で製造した擬似粒子31.5kgを実施例1と同様に混合した後、比較例1で使用した直径φ300mmのバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入し、同じ条件で焼成した。比較例1と同様、このときの焼結鉱の成分を表2に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表3に示す。この場合は、金属Fe含有率が0.8mass%であり、金属Feが得られたものの他の実施例よりも低く、高炉還元材比の低減効果は他の実施例より小さかった。生産率は高かったが、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度は他の実施例よりも低い値となった。
(比較例2)
還元鉄製造用粒子の炭材配合量を粉鉄鉱石に対し外数で20mass%とした以外は、実施例1と同じ方法で製造した還元鉄製造用粒子のみを、比較例1で使用した直径φ300mmのバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入し、同じ条件で焼成した。比較例1と同様、このときの焼結鉱の成分を表2に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表3に示す。この場合は、金属Fe含有率は23.2mass%と高かったものの、バッチ焼成炉の上部より3〜5cm下側では過溶融が著しく、中層より下層にかけては未焼成粒子が大量に残っており、生産率、5mm以上の製品歩留まりが著しく低下した。
(実施例5)
還元鉄製造用粒子の配合を粉鉄鉱石に対して内数で6mass%の生石灰および外数で15mass%の炭材とした以外は、実施例1と同じ方法で製造した還元鉄製造用粒子13.5kgと、比較例1と同じ条件で製造した擬似粒子31.5kgを実施例1と同様に混合した後、比較例1で使用した直径φ300mmのバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入し、同じ条件で焼成した。比較例1と同様、このときの焼結鉱の成分を表2に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表3に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が17.9mass%と高く、生産率、5mm以上の製品歩留まりは許容範囲であり、シャッター強度は良好であった。
(実施例6)
粉鉄鉱石に対し内数で8mass%の粒径5mm以下の石灰石および外数で15mass%の炭材を配合し、ヘンシェル式ミキサーで澱粉と水を加えながら5分間混合した後、16.2mm×12mm×8.8mmのアーモンド型カップを切り込んだ直径400mmのダブルロール成型機を用いて20tの成型荷重で容積1cmのブリケットを製造し、これを還元鉄製造用粒子とした。この還元鉄製造用粒子13.5kgと、比較例1と同じ条件で製造した擬似粒子31.5kgを実施例1と同様に混合した後、比較例1で使用した直径φ300mmのバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入し、同じ条件で焼成した。比較例1と同様、このときの焼結鉱の成分を表2に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表3に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が21.2mass%と高く、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度も良好であった。特にシャッター強度は最も高い値を示した。
(実施例7)
還元鉄製造用粒子の生石灰の配合を粉鉄鉱石に対して内数で3.8mass%とし、炭材配合量を粉鉄鉱石に対し外数で15mass%とした以外は、実施例1と同様に混合した後、比較例1で使用した直径300mmのバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入し、同じ条件で焼成した。同じ方法で製造した還元鉄製造用粒子のみを、比較例1で使用した直径φ300mmのバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入し、同じ条件で焼成した。比較例1と同様、このときの、焼結鉱の成分を表2に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表3に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が5.2mass%であった。生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度は、いずれも若干低い値を示した。また、得られた焼結鉱には、過剰に溶融した形跡が認められた。
(実施例8)
還元鉄製造用粒子の炭材配合量を粉鉄鉱石に対し外数で5mass%とした以外は、実施例1と同じ方法で製造した還元鉄製造用粒子20.0kgと、比較例1と同じ条件で製造した擬似粒子25.0kgを実施例1と同様に混合した後、比較例1で使用した直径φ300mmのバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入し、同じ条件で焼成した。比較例1と同様、このときの焼結鉱の成分を表2に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表3に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が2.2mass%であった。また、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度も良好であった。
(実施例9)
還元鉄製造用粒子の炭材配合量を粉鉄鉱石に対し外数で20mass%とした以外は、実施例1と同じ方法で製造した還元鉄製造用粒子2.4kgと、比較例1と同じ条件で製造した擬似粒子42.6kgを実施例1と同様に混合した後、比較例1で使用した直径φ300mmのバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入し、同じ条件で焼成した。比較例1と同様、このときの焼結鉱の成分を表2に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表3に示す。この場合は、金属Feの含有量が3.2mass%で還元的製造用粒子の周囲に一部過溶融状態が見られたものの、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度は良好であった。
Figure 0004918754
Figure 0004918754
Figure 0004918754
以上より、本発明の範囲内の実施例では、得られた焼結鉱は、一部が還元され、金属Feを含有していた。したがって、これらの焼結鉱を高炉で使用すると、前述したように、高炉での還元剤比低減やCO削減効果が得られることとなる。なお、生産率、歩留まりや、シャッター強度も通常の焼結鉱(比較例1)と同等レベル以上であることが確認された。
2.第2の実施例
第2の実施例は上記第2の実施形態に対応するものであり、以下の比較例11,実施例11〜14、比較例12、実施例15、比較例13,14が該当する。
(比較例11)
粒径8mm以下で平均粒径が2.3mm、SiOを3.5mass%含有する粉鉄鉱石、高炉ダストやミルスケール等のリサイクル粉、粒径3mm以下の蛇紋岩、粒径5mm以下の石灰石、造粒バインダーとしての生石灰および5mm以下の篩下焼結粉を表4の割合で配合した、125μm以下の粒子を45mass%含有する原料に外数で4.0mass%の粉コークスを加えた焼結混合原料を、ドラムミキサーで加湿しながら3分間混合後、さらに3分間造粒した平均粒径4.0mmの通常擬似粒子を直径φ300mmの試験用のバッチ式焼成炉に一定層厚になるように装入した。擬似粒子の装入量は乾燥重量で45kgであった。焼成炉を排風圧2kPaで吸引しながら、プロパンガスを燃料とした点火バーナーで2分間、充填した原料層表面に着火した後、排風圧を10kPaまで上げて焼成し焼結鉱を製造した。このときの、焼結鉱の成分を表5に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表6に示す。これらに示すように、生産率、10mm以上の製品歩留まり、シャッター強度は許容範囲であったが、得られた焼結鉱は金属Feを含有していなかった。
(実施例11)
同様の粉鉄鉱石に粉コークスを外数で15mass%加え、ドラムミキサーで水分を加えながら3分間混合した後、攪拌スクリューを有するミキサーで、40mass%濃度のα化デンプン水溶液をバインダーとして添加しながら2分間混合し、ダブルロール成形機により1470kN/mの成形圧をかけながら、長さ35mm×幅25mm×厚さ16mmのアーモンド型ブリケット粒子を製造した。このブリケット粒子を内数で10mass%となるように比較例11で製造した擬似粒子と混合した後、40kgを試料として比較例11と同様の方法で焼成した。このときの、焼結鉱の成分を表5に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表6に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が3.4mass%であり、生産率、10mm以上の製品歩留まり、シャッター強度も良好であった。
(実施例12)
粉コークス配合量を粉鉄鉱石に対し外数で20mass%とした以外は、実施例11と同じ方法でブリケット粒子を製造し、このブリケット粒子を内数で10mass%となるように比較例11で製造した擬似粒子と混合した後、40kgを試料として比較例11と同様の方法で焼成した。このときの、焼結鉱の成分を表5に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表6に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が5.6mass%であり、生産率、10mm以上の製品歩留まり、シャッター強度も良好であった。
(実施例13)
ブリケット粒子の配合量を内数で5mass%とした以外は、実施例12と全く同様の方法で焼成を行い、焼結鉱を製造した。このときの焼結鉱の成分を表5に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表6に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が3.0mass%であり、生産率、10mm以上の製品歩留まり、シャッター強度も良好であった。
(実施例14)
ブリケット粒子のサイズを19mm×14mm×8mmとした以外は、実施例11と同じ方法でブリケットを製造し、このブリケット粒子を内数で30mass%となるように比較例11で製造した擬似粒子と混合した後、実施例11と同様に焼成した。このときの焼結鉱の成分を表5に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表6に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が10.2mass%であり、生産率、10mm以上の製品歩留まり、シャッター強度も良好であった。
(実施例15)
ブリケット粒子に配合する粉コークス量を25mass%にした以外は、実施例12と同様にしてブリケット粒子を製造し、擬似粒子と混合して実施例12と同様に焼成した。このときの焼結鉱の成分を表5に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表6に示す。この場合は、ブリケットは相当程度溶融したが、金属Feの含有量が2.1mass%であった。
(実施例16)
粉鉄鉱石に対しバインダーおよびCaO源として生石灰を6.0mass%混合した原料に、粉コークスを外数で20mass%配合した以外は、実施例11と同じ方法でブリケット粒子を製造し、このブリケット粒子を内数で10mass%となるように比較例11で製造した擬似粒子と混合した後、40kgを試料として比較例11と同様の方法で焼成した。このときの、焼結鉱の成分を表5に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表6に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が7.3mass%であり、生産率、10mm以上の製品歩留まり、シャッター強度も良好であった。
(実施例17)
粉鉄鉱石に対しバインダーおよびCaO源として生石灰を2.0mass%混合した原料に、粉コークスを外数で20mass%配合した以外は、実施例11と同じ方法でブリケット粒子を製造し、このブリケット粒子を内数で10mass%となるように比較例11で製造した擬似粒子と混合した後、40kgを試料として比較例11と同様の方法で焼成した。このときの、焼結鉱の成分を表5に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表6に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が4.8mass%であり、生産率、10mm以上の製品歩留まり、シャッター強度も許容範囲の値であった。
(実施例18)
ブリケット粒子を直径5mmの球形とした以外は、実施例11と同じ方法でブリケットを製造し、このブリケット粒子を内数で50mass%になるように比較例11で製造した擬似粒子と混合した後、実施例11と同様に焼成した。このときの、焼結鉱の成分を表5に示し、生産率、5mm以上の製品歩留まり、シャッター強度を測定した結果を表6に示す。これらに示すように、得られた焼結鉱は、金属Feの含有量が3.8mass%であり、焼成後の焼結鉱には、ブリケットが過剰溶融してできたと考えられる空孔も見られた。また、生産率、10mm以上の製品歩留まり、シャッター強度は許容範囲の値であった。
Figure 0004918754
Figure 0004918754
Figure 0004918754
以上より、本発明の範囲内の実施例では、得られた焼結鉱は、一部が還元され、金属Feを含有していた。したがって、これらの焼結鉱を高炉で使用すると、前述したように、高炉での還元剤比低減やCO削減効果が得られることとなる。なお、生産率、歩留まりや、シャッター強度も通常の焼結鉱(比較例11)と同等レベル以上であることが確認された。
3.第3の実施例
第3の実施例は上記第3の実施形態に対応するものであり、ここでは、鉄鉱石としてペレットフィードを用い、CaO系副原料として石灰石および生石灰を用い、炭材として粉コークスを用いた。これらの組成を表7に示す。
上記焼結原料を用い造粒物および圧縮成形体を作製した。表8および表9に、それぞれ造粒物のコア部分の原料配合および圧縮成形体の原料配合を示す。なお、造粒物としては表8に示すコア部分の外側に凝結剤として装入原料の3mass%となるように粉コークスを被覆したものを用いた。また、圧縮成形体としては表10のA、B、Cに示すような寸法および体積のものを用いた。
これら造粒物および圧縮成形体を用いて焼結鍋試験を行った。焼結鍋試験では、原料の事前処理は同一の混合・造粒条件で行い、原料充填層は直径270mm×高さ300mmとし、吸引負圧6kPaにて実施した。その結果を表11に示す。
表11のうち比較例21は、圧縮成形体を用いず、造粒物のみを使用して焼結鉱を製造した場合である。実施例21は、比較例21の焼結原料配合に対して表10のAに示す圧縮成形体を焼結機装入原料として33mass%添加し、焼結原料充填層内の全体に装入して焼成した場合である。生産率、成品歩留は比較例21と同等であり、造粒物部分の還元率も40%で比較例21と同等であるが、圧縮成形体部分の還元率が60%と高く、焼結鉱全体の還元率は47%で比較例21よりも著しく高い値となった。
実施例22は、実施例21に対して、圧縮成形体を焼結原料充填層内の下部3/4に装入して焼成した場合である。生産率、成品歩留は比較例21および実施例21と同等であり、造粒物部分の還元率も40%で比較例21および実施例21と同等であるが、圧縮成形体部分の還元率が67%と高く、焼結鉱全体の還元率は49%で比較例21よりも著しく高い値となった。
実施例23は、実施例22に対して、圧縮成形体のサイズを拡大し、表10のBとした場合である。圧縮成形体のサイズが増大したことで焼成時の充填層の通気性が改善し、成品歩留まりは悪化したものの焼成時間の短縮により生産率は1.2T/m/hrに改善した。また、圧縮成形体部分の還元率が高く、焼結鉱全体の還元率は47%と、やはり比較例21よりも著しく高い値となった。
実施例24は、実施例23に対して、圧縮成形体を焼結原料充填層内で下部1/2に装入して焼成した場合である。生産率、成品歩留は比較例21と同等であり、造粒物部分の還元率も40%で比較例21と同等であるが、圧縮成形体部分の還元率が69%と高く、焼結鉱全体の還元率は50%で比較例21よりも著しく高い値となった。
実施例25は、実施例23に対して、圧縮成形体を焼結機装入原料として50mass%添加して焼成した場合である。生産率、成品歩留は比較例21と同等であり、造粒物部分の還元率も40%で比較例21と同等であるが、圧縮成形体部分の還元率が60%と高く、焼結鉱全体の還元率は50%で比較例21よりも著しく高い値となった。
実施例26は、実施例23に対して、圧縮成形体の含有量を焼結機装入原料全体の4mass%に変えて焼成した場合である。生産率、成品歩留は比較例21と同等であった。焼結鉱全体の還元率は41%と実施例23よりも低いが、比較例21よりも若干高い値となった。
実施例27は、実施例23に対して、圧縮成形体の含有量を焼結機装入原料全体の55mass%に変えた場合である。成品歩留は比較例21と同等であり、生産率は比較例21よりも高かった。しかし、通気性が上がりすぎ、圧縮成形体の還元率が低下し、焼結鉱全体の還元率は46%と比較例21よりも高いが実施例23よりも低い値となった。
実施例28は、実施例23に対して、圧縮成形体の大きさを小さくして焼成した場合である。生産率、成品歩留は比較例21と同等であった。しかし、焼成が不安定化する傾向があり、焼結鉱全体の還元率は44%と比較例21より高かったが実施例23よりも低い値となった。
実施例29は、実施例23に対し、圧縮成形粒子のCaO/SiOの値を0.9と低くした場合である。生産率、成品歩留は比較例21と同等であった。しかし、CaO/SiOが低いため、圧縮成形体の還元率が低下し、焼結鉱全体の還元率は43%と比較例21よりも若干高いが実施例23よりも低い値となった。
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4.第4の実施例
第4の実施例は上記第4の実施形態に対応するものであり、ここでは、鉄鉱石としてペレットフィードを用い、CaO系副原料として石灰石および生石灰を用い、炭材として粉コークスを用いた。これらの組成を表12に示す。
上記焼結原料を用い造粒物および圧縮成形体を作製した。表13に造粒物のコア部分の原料配合および圧縮成形体の原料配合を示す。なお、造粒物としては表2に示すコア部分の外側に凝結剤として装入原料の3mass%となるように粉コークスを被覆したものを用いた。また、圧縮成形体としては表14に示すような寸法および体積のものを用いた。
これら造粒物および圧縮成形体を用いて焼結鍋試験を行った。焼結鍋試験では、原料の事前処理は同一の混合・造粒条件で行い、原料充填層は直径270mm×高さ300mmとし、吸引負圧6kPaにて実施した。圧縮成形体の配合および特性を表15に示し、試験結果を表16に示す。
表15、16のうち実施例31、32は、圧縮成形体を焼結機装入原料として33mass%添加したものであり、実施例31はCaO源として石灰石を用い、実施例32は生石灰を用いたものである。また、これら実施例31、32とも圧縮成形体のFe/CaOの値が造粒物の値と同じであり、バインダーとしてデンプンを1.4mass%添加している。圧縮成形体の圧潰強度および落下強度は、実施例31よりも実施例32のほうが高く、造粒物と混合して焼成試験を行った結果では、生産率、成品歩留、および還元率は実施例31と実施例32とで同等であった。
実施例33は、実施例31に対しては、バインダーであるデンプンおよびCaO源である石灰石の代わりに、バインダー効果のある生石灰を配合した場合であり、実施例32に対してはバインダーであるデンプンを添加しない場合であり、本発明の範囲内である。圧縮成形体の圧潰強度および落下強度は実施例32より低いが、実施例31と同等であった。また、造粒物と混合して焼成試験を行った結果では、生産率、成品歩留は実施例31と同等であり、還元率は実施例31よりも若干低い程度で問題のないレベルであった。
実施例34は、実施例31に対して配合原料として微細な原料を使用した場合であり、混合後の原料について、粒径が125μm以下の割合が、実施例31の55mass%に対して75mass%であり成品の圧潰強度および落下強度は実施例31より低いが、取り扱う際には問題のない程度であった。また、造粒物と混合して焼成試験を行った結果では、生産率、成品歩留は実施例31と同等であったが、圧縮成形体部分の還元率は68%であり、実施例31の60%より向上した。
実施例35は、実施例31に対してCaOを低減させた配合であり、Fe/CaOは実施例31に対して0.7で、本発明の範囲内である。造粒物と混合して焼成試験を行った結果では、生産率、成品歩留は実施例31と同等であるが、圧縮成形体部分の還元率は65%であり、実施例31の60%より向上した。
実施例36は、実施例31に対してCaOを低減させた配合であり、Fe/CaOは実施例31に対して0.4で、本発明の範囲内である。造粒物と混合して焼成試験を行った結果では、生産率、成品歩留は実施例31と同等であるが、圧縮成形体部分の還元率は63%であり、実施例31の60%より向上した。
実施例37は、実施例32に対してCaOを低減させた配合であり、Fe/CaOは実施例32に対して0.7で、本発明の範囲内である。造粒物と混合して焼成試験を行った結果では、生産率、成品歩留は実施例32と同等であるが、圧縮成形体部分の還元率は68%であり、実施例32の62%より向上した。
実施例38は、実施例32に対してCaOを低減させた配合であり、Fe/CaOは実施例32に対して0.4で、本発明の範囲内である。造粒物と混合して焼成試験を行った結果では、生産率、成品歩留は実施例32と同等であるが、圧縮成形体部分の還元率は65%であり、実施例32の62%より向上した。
実施例39は、実施例31,32のペレットフィードに変えて3mm以下の鉄鉱石粉を圧縮成形体の原料として使用した場合である。生産率、成品歩留は実施例31,32と同程度であるが、圧縮成形体部分の還元率が48%と実施例31,32よりも低かった。
実施例40は、実施例39に対し、鉄鉱石粉を混合前に粉砕し1mm以下とした場合であり、混合原料全体で125μm以下の割合が40mass%であり本発明の範囲内のものである。造粒物と混合して焼成試験を行った結果では、生産率、成品歩留は実施例39と同等であるが、圧縮成形体部分の還元率は56%であり、実施例39の48%より向上した。
実施例41は、実施例39に対し、鉄鉱石粉を混合前に粉砕し1mm以下とした場合であり、混合原料全体で125μm以下の割合が58mass%であり本発明の範囲内のものである。造粒物と混合して焼成試験を行った結果では、生産率、成品歩留は実施例39と同等であるが、圧縮成形体部分の還元率は62%であり、実施例39の48%より向上した。
実施例42は、上記実施例34の圧縮成形体部分のCaO/SiOを1.1に変化させたものである。生産率、成品歩留は実施例34と同等であるが、圧縮成形体部分の還元率は55%であり、実施例34よりは低い値となった。
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焼結鉱の還元率と高炉還元材比との関係を示す図。 焼結鉱の高炉装入時の平均還元率と製銑工程からのC排出量との関係を、均一に部分還元した焼結鉱と金属Feが優先的に発生した焼結鉱とで比較して示す図。 焼結の際の還元率と焼結後の金属鉄の含有率の関係を、転動造粒による擬似粒子の場合とブリケット粒子の場合とで比較して示す図 本発明の第1の実施形態に係る半還元焼結鉱の製造方法を実施するための設備の一例を示す模式図。 本発明の第1の実施形態に係る半還元焼結鉱の製造方法における原料層の構造を示す模式図。 本発明の第2の実施形態に係る半還元焼結鉱の製造方法における焼結中の成形粒子の状態を説明するための模式図。 成形粒子の成形圧力と落下試験後の+5mmの歩留りとの関係を示す図。 本発明の第2の実施形態に係る半還元焼結鉱の製造方法を実施するための設備の一例を示す模式図。 本発明の第2の実施形態に係る半還元焼結鉱の製造方法における原料層の構造を示す模式図。 本発明の第3の実施形態に係る半還元焼結鉱の製造方法における焼結原料の装入方法の一例を説明するための図。
符号の説明
1 通常擬似粒子用原料源
2 転動造粒装置
3 還元鉄製造用粒子用原料源
4 成形装置
5 混合機
6 ホッパー
10 ロールフィーダー
11 移動グレート
12 点火炉
13 原料層
14 コンベア
15 風箱
16 垂直ダクト
17 主排ガスダクト
20 電気集塵機
21 メインブロア
22 煙突
31 通常擬似粒子のマトリックス
32 還元鉄製造用粒子
40 原料製造設備
50 下方吸引式無端移動型焼結機
61 焼結充填層(原料層)
62 擬似粒子
63 成形粒子
64 皮膜
71 擬似粒子
72 原料層
73 シュート
74 圧縮成形体
75 床敷鉱
76 焼結パレット
77 圧縮成形体用ホッパー
78 圧縮成形体用定量切出装置
79 ベルトコンベア
100 成形粒子製造設備
200 擬似粒子製造設備
300 下方吸引式無端移動型焼結機
331 擬似粒子マトリックス
332 成形粒子

Claims (13)

  1. 焼結原料として鉄鉱石と炭材とCaO系副原料とを用い、焼結原料を焼結機に装入して原料層を構成し、この原料層を焼成してなり、鉄鉱石の一部が還元された半還元焼結鉱であって、
    鉱石または還元鉄製造用粒子の灼熱減量を除いた成分でCaO/SiO の質量比が1以上となるように鉄鉱石にCaO系副原料を加えた混合粉と、前記鉄鉱石または前記混合粉に対して外数で5mass%以上の炭材とを成形してなる複数の還元鉄製造用粒子が、前記焼結原料の一部として、前記原料層の5〜50mass%を構成し、前記還元鉄製造用粒子の1個あたりの容積が10cm 以下であり、焼成により鉄鉱石の一部が還元され、かつ焼結鉱全体の平均値として、3mass%以上の金属Feを含有することを特徴とする半還元焼結鉱。
  2. 焼結原料として鉄鉱石と炭材とCaO系副原料とを用い、焼結原料を焼結機に装入して原料層を構成し、この原料層を焼成して請求項1に記載の半還元焼結鉱を製造する方法であって、
    鉄鉱石と鉄鉱石に対して外数で5mass%以上の炭材とを成形してなる、1個あたりの容積が10cm 以下の複数の還元鉄製造用粒子を、前記焼結原料の一部として、前記原料層の5〜50mass%となるように混合して焼成することにより鉄鉱石の一部を還元し、焼結鉱全体の平均値として、3mass%以上の金属Feを含有する半還元焼結鉱とすることを特徴とする半還元焼結鉱の製造方法。
  3. 焼結原料として鉄鉱石と炭材とCaO系副原料とを用い、焼結原料を焼結機に装入して原料層を構成し、この原料層を焼成して請求項1に記載の半還元焼結鉱を製造する方法であって、
    鉄鉱石にCaO系副原料を加えた混合粉と混合粉に対して外数で5mass%以上の炭材とを成形して、1個あたりの容積が10cm 以下の複数の還元鉄製造用粒子とし、その際に前記CaO系副原料は、還元鉄製造用粒子の灼熱減量を除いた成分でCaO/SiOの質量比が1以上となるように配合し、これら還元鉄製造用粒子を、前記焼結原料の一部として、前記原料層の5〜50mass%となるように混合して焼成することにより鉄鉱石の一部を還元し、焼結鉱全体の平均値として、3mass%以上の金属Feを含有する半還元焼結鉱とすることを特徴とする半還元焼結鉱の製造方法。
  4. 前記還元鉄製造用粒子は、原料をロール成形機により圧縮成形したもの、または原料を転動造粒したものであることを特徴とする請求項または請求項に記載の半還元焼結鉱の製造方法。
  5. 焼結原料として鉄鉱石と炭材とCaO系副原料とを用い、焼結原料を焼結機に装入して原料層を構成し、この原料層を焼成して請求項1に記載の半還元焼結鉱を製造する方法であって、
    鉄鉱石と鉄鉱石に対して外数で10〜20mass%の炭材とを配合し、さらに水と必要に応じてバインダーを加えて混合し、この混合物をロール成形機で圧縮成形して、1個あたりの容積が10cm 以下の複数の還元鉄製造用粒子とし、この還元鉄製造用粒子を、前記焼結原料の一部として、前記原料層の5〜50mass%となるように混合し、
    焼成により鉄鉱石の一部を還元して、焼結鉱全体の平均値として、3mass%以上の金属Feを含有させることを特徴とする半還元焼結鉱の製造方法。
  6. 前記還元鉄製造用粒子を製造するための原料が、鉄鉱石で8mm以下、炭材で5mm以下であることを特徴とする請求項に記載の半還元焼結鉱の製造方法。
  7. 前記還元鉄製造用粒子を製造するための原料は、125μm以下の粒子を40mass%以上含むことを特徴とする請求項に記載の半還元焼結鉱の製造方法。
  8. 焼結原料として鉄鉱石と炭材とCaO系副原料とを用い、焼結原料を焼結機に装入して原料層を構成し、この原料層を焼成し、請求項1に記載の半還元焼結鉱を製造する方法であって、
    鉄鉱石にCaO系副原料を加えた混合粉と混合粉に対して外数で10〜20mass%炭材とを配合し、さらに水と必要に応じてバインダーを加えて混合し、この混合物をロール成形機で圧縮成形して、1個あたりの容積が10cm 以下の複数の還元鉄製造用粒子とし、その際に前記CaO系副原料は、還元鉄製造用粒子の灼熱減量を除いた成分でCaO/SiOが1以上となるように配合し、この還元鉄製造用粒子を、前記焼結原料の一部として、前記原料層の5〜50mass%となるように混合し、
    焼成により鉄鉱石の一部を還元して、焼結鉱全体の平均値として、3mass%以上の金属Feを含有させることを特徴とする半還元焼結鉱の製造方法。
  9. 前記還元鉄製造用粒子を製造するための原料が、鉄鉱石で8mm以下、炭材で5mm以下、CaO系副原料で5mm以下であることを特徴とする請求項に記載の半還元焼結鉱の製造方法。
  10. 前記還元鉄製造用粒子を製造するための原料は、125μm以下の粒子を40mass%以上含むことを特徴とする請求項に記載の半還元焼結鉱の製造方法。
  11. 前記ロール成形機での圧縮成形した還元鉄製造用粒子として、ロール成形機で所定形状に成形された複数のブリケット、またはロール成形機で板状、シート状もしくは棒状に成形した後に所定の大きさに粉砕したものを用いることを特徴とする請求項から請求項10のいずれか1項に記載の半還元焼結鉱の製造方法。
  12. 前記圧縮成形した還元鉄製造用粒子を焼結機に装入するに際し、原料層下部3/4以下の領域に装入することを特徴とする請求項5から請求項11のいずれか1項に記載の半還元焼結鉱の製造方法。
  13. 前記圧縮成形した還元鉄製造用粒子を構成する原料としての鉄鉱石と炭材が、これら全体として125μm以下の粒径のものが70mass%以上となるようにすることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の半還元焼結鉱の製造方法。
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