JP4918752B2 - 有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス装置、電子機器 - Google Patents
有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス装置、電子機器 Download PDFInfo
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有機EL装置は、発光層からの光取り出し方向の違いにより、基板側から光を取り出すボトムエミッション型と、封止部材側から光を取り出すトップエミッション型とに分類される。近年では、画素の高開口率化、高効率化を実現するのに有利なトップエミッション型の有機EL装置の開発が盛んに行われている(例えば特許文献1参照)。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液相法により形成された有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置であって、均一な膜厚に形成された有機機能層を具備し、もって均一かつ高度の発光が得られる有機エレクトロルミネッセンス装置とその製造方法を提供することを目的とする。また、このような有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた高輝度、高コントラストの高画質表示が可能な電子機器を提供することを目的とする。
液相法により前記有機機能層を形成する場合、第1電極上に有機機能層を形成するための形成材料と溶媒とを含む液体材料を配し、乾燥固化させることで有機機能層を形成する。ここで、本発明では、前記第1電極の表面に第2突起からなる第2突起群が形成されているので、前記液体材料を乾燥固化させる際に、前記第2突起群により前記液体材料が第1電極上で流動するのを堰き止めることができる。これにより、液体材料が偏った状態で固化されることが防止され、有機機能層が均一な膜厚、膜質を有して形成されるようになる。また、膜厚が均一であることから、電極間での短絡も良好に防止され、信頼性に優れた有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置が得られる。さらに、第1電極の表面に凹凸形状が付与されていると、第1電極と有機機能層との界面が広がるので、発光効率も向上する。また、有機機能層の膜厚が凹凸によって微視的に不均一となるため、光の干渉条件が凹凸のある部分とない部分とで異なったものとなり、表示光を取り出す際の色味の視角依存性が緩和される。
この方法によれば、液体材料をより良好に保持することができ、また第2突起による表示への影響も抑えることができる。
この方法によれば、第1突起を形成するための新たな工程が必要なくなるため、プロセスが簡略化され、製造コストも抑えることができる。
この構成によれば、均一な発光が得られ、発光効率も高く、色味の視角依存性も少ない有機EL装置を提供することができる。
この構成によれば、有機機能層を液相法で形成する場合に、第1電極の上に配置される液体材料を第2突起群によって良好に保持することができ、第1電極上での液体材料の均一配置、並びに形成される有機機能層の膜厚の均一化という効果を得ることができる。この場合、前記第2突起のサイズを2μm以上10μm以下、前記第2突起の高さを50nm以上200nm以下、前記第2突起の配置ピッチを5μm以上200μm以下とすることで、前記効果をより良好なものとすると共に、突起に起因した表示不良の発生も確実に防止することができる。
この構成によれば、高輝度、高コントラストの高画質表示が可能な表示部を備えた電子機器を提供することができる。また、均一な発光が可能であることから、ラインプリンタの露光手段等、表示装置以外の電子機器の光源としても好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施の形態では、有機EL素子を画素として基体上に配列してなるトップエミッション型の有機EL装置(有機エレクトロルミネッセンス装置)を例示して説明する。この有機EL装置は、例えば電子機器等の表示手段として好適に用いることができるものである。
図1は本発明の第1の実施形態の有機EL装置の回路構成図、図2は、同有機EL装置に備えられた各画素71の平面構造を示す図であって、(a)は画素71のうち、主にTFT等の画素駆動部分を示す図、(b)は画素間を区画するバンク(隔壁部材)等を示す図である。また図3は、図2(a)のA−A線に沿う断面構成を示す図である
画素電極141は、基板Pを介して光を取り出すボトムエミッション型の場合には、ITO(インジウム錫酸化物)等の透光性導電材料により形成されるが、トップエミッション型の場合には透光性である必要はなく、金属材料等の適宜な導電材料によって形成できる。
なお、このような陰極保護層は、共通電極154の平面領域の外側の基板上まで、10nmから300nm程度の厚みに形成される。
また、画素電極141の表面に凹凸形状が付与されていると、画素電極141と有機機能層140との界面が広がるので、発光効率も向上する。また、有機機能層140の膜厚が凹凸によって微視的に不均一となるため、光の干渉条件が凹凸のある部分とない部分とで異なったものとなり、表示光を取り出す際の色味の視角依存性が緩和される。
突起141Pのサイズ(径)は2μm以上10μm以下であることが望ましい。突起141Pの平面サイズが10μm×10μm以上であると、ブロードな構造体として認識されるため、流れ止めの効果が得られなくなる。突起141Pの平面サイズが2μm×2μm以下では、逆にサイズが小さくなりすぎて、やはり流れ止めの効果が得られなくなる。また、このような小さなサイズのものはパターニングも困難となる。
突起141Pの配置ピッチは、5μm以上10μm以下であることが望ましい。また、突起141Pのある部分とない部分が等ピッチで配置されることが望ましい。このような構成とすることで、より大きな流れ止めの効果が得られるようになる。
また、図2(b)では、突起141Pを画素領域全体に設けたが、突起141Pの配置は必ずしもこれに限定されない。下地の構造物によって形成された段差の上面部分にのみ突起141Pを設ける構成としてもよい。突起143Pの設置面積を小さくすることで、表示への影響を最小限に抑えることができる。
また、図2(b)では、突起141Pを一定のピッチで配列したが、突起141Pの配置ピッチは必ずしも一定である必要はない。液体材料の溜まり易い部分と溜まりにくい部分とで密度差を設けることも可能である。
以下、本発明に係る有機EL装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、図1から図3に示した構成を備えた有機EL装置を、液滴吐出法(インクジェット法)を用いて製造する方法を例示して説明する。なお、以下に示す手順や液体材料の材料構成は一例であってこれに限定されるものではない。また、液滴吐出装置については公知のものを用いることができる。
まず、基板Pに対し、必要に応じてTEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約200〜500nmのシリコン酸化膜からなる下地保護膜(図示せず)を形成しておく。その後、基板温度を350℃程度に設定して基板Pの表面にプラズマCVD法により厚さ約30〜70nmのアモルファスシリコン膜を形成し、公知のフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることで半導体膜210を形成する。そしてこの半導体膜210を、レーザアニールまたは固相成長法などによる結晶化工程に供することで結晶化してポリシリコン膜とする。レーザアニール法では、例えばエキシマレーザであってビームの長寸が400mmのラインビームを用いることができ、その出力強度は例えば200mJ/cm2である。ラインビームについては、その短寸方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査する。
なお、突起143Pは、ゲート電極143Aとは別に形成することも可能である。例えば、ゲート電極143Aを形成した後に、SiN等の材料を100nm程度成膜し、これをパターニングすることによって、突起143Pを形成することができる。突起143Pの材料は、SiNに限らず、均一に成膜できて精密にパターニングできる材料であればよい。
なお、図4及び図5では、図面を見易くするために、突起群を4つの突起によって図示しているが、実際には多数の突起が形成されている。
また、このバンク150を形成するに際しては、バンク150の開口部151の壁面を、無機バンク149の開口部149bから若干外側へ後退させて形成するのがよい。このようにバンク150の開口部151内に無機バンク149を一部露出させておくことで、バンク150内での液体材料の濡れ広がりを良好なものとすることができる。
係る撥液処理として、例えばバンクの表面をフッ素系化合物などで表面処理するといった方法を採用できる。フッ素化合物としては、例えばCF4、SF6、CHF3などがあり、表面処理としては、例えばプラズマ処理、UV照射処理などが挙げられる。
この発光層形成材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料である、ポリフルオレン誘導体(PF)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリジアルキルフルオレン(PDAF)、ポリフルオレンベンゾチアジアゾール(PFBT)、ポリアルキルチオフェン(PAT)や、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等のポリシラン系などを好適に用いることができる。また、これらの発光材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
このような極性溶媒として具体的には、水、メタノール、エタノール等の水と相溶性のあるアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、2,3−ジヒドロベンゾフラン等の有機溶媒または無機溶媒が挙げられ、これらの溶媒を2種以上適宜混合したものであってもよい。
また、上記実施形態では、特に有機EL装置の構造をトップエミッション型とした。これは、トップエミッション型の有機EL装置においては、画素電極の平面領域内に配線等の構造物が形成されることが多く、より本発明の効果が発揮され易いからである。しかし、ボトムエミッション型の構造であっても、下地の構造物によっては画素電極の表面に段差等の凹凸形状が形成されることがあり、このような場合には、前述した本発明の構成を採用することで、上記と同様の効果を得ることができる。
図6は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視構成図である。
図6に示す映像モニタ1200は、先の実施形態の有機EL装置を備えた表示部1201と、筐体1202と、スピーカ1203等を備えて構成されている。そして、この映像モニタ1200は、先の有機EL装置により高画質で、均一な明るさの表示が可能である。特に大型のパネルでは画素が大型であるため、発光部である有機機能層を均一に形成するのが困難になるが、本発明に係る有機EL装置では、任意の大きさの有機機能層を均一に形成できるため、大型のパネルに用いて好適な有機EL装置となっている。
上記各実施の形態の有機EL装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、高画質表示が可能になっている。さらに、本発明の有機EL装置は、ラインプリンタの露光手段として使用する等、表示装置以外の電子機器にも広く適用可能である。
Claims (6)
- 基体上に第1電極と有機機能層と第2電極とを積層してなる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記基体上に複数の第1突起からなる第1突起群を形成する工程と、
前記第1突起群の上に前記第1電極を形成する工程と、
前記第1突起群の凹凸形状に対応して、表面に複数の第2突起からなる第2突起群が形成された前記第1電極の上に、前記有機機能層の形成材料を含む液体材料を配置する工程とを備えたことを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。 - 前記第2突起は、概ね一定のピッチで規則的に配列されていることを特徴とする、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
- 前記第1突起は、前記基体と前記第1電極との間に配置される構造物を形成する際に同時に形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
- 基体上に第1電極と有機機能層と第2電極とを積層してなる有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
前記基体と前記第1電極との間には、複数の第1突起からなる第1突起群が設けられており、前記第1電極の表面には、前記第1突起群の凹凸形状に対応して、複数の第2突起からなる第2突起群が形成されていることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス装置。 - 前記第2突起は、概ね一定のピッチで規則的に配列されていることを特徴とする、請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載の製造方法により製造されてなる有機エレクトロルミネッセンス装置又は請求項4又は5に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたことを特徴とする、電子機器。
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