JP4904916B2 - パワーモジュール用基板およびパワーモジュール用基板の製造方法並びにパワーモジュール - Google Patents
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Description
しかしながら、このようにエッチング処理により導体パターンを形成すると、この導体パターンの側面は、その表面(半導体チップ側)から裏面(セラミックス板側)に向かうに従い漸次、その導体パターンの外側に向けて拡がるような末広がり形状になるため、近年のパワーモジュールに対するさらなるコンパクト化、すなわち導体パターンを構成する導体の幅を狭くして、隣合う導体同士の間隔を狭くすることについての要求に応えることが困難であるという問題があった。
そこで、本発明者等は、母材から打ち抜いた導体パターン部材、若しくは鋳造により形成した導体パターン部材を、セラミックス板にろう付けすることによって、側面がセラミックス板の表面から略垂直に立上がった導体パターンを形成することについて検討している。
そして、このように表面に乗り上げたろう材上にさらに半導体チップを接合すると、この接合時にろう材の組成成分の一部が溶融することがあり、半導体チップと導体パターンの表面との接合部にボイドが発生し、半導体チップと導体パターンとの接合信頼性を低下させるおそれがある。
特に、例えばろう材がAl−Si系とされてSiを含有し、導体パターンが純Al若しくはAl合金により形成されている場合には、導体パターンの表面に乗り上げたろう材は、この導体パターンよりも硬いうえに、パワーモジュールを使用する過程での熱サイクルによりさらに加工硬化させられることによって、導体パターンに対してその表面および側面から大きな外力を作用させ、導体パターンとセラミックス板との接合界面に大きな応力が作用し、導体パターンがセラミックス板の表面から剥離し易くなり、パワーモジュールの熱サイクル寿命を低下させるおそれがある。
また、導体パターンの表面においてろう材が乗り上げた部分に、ワイヤボンディングが施されると、ろう材は前記のように導体パターンと比べて硬いので、この部分とワイヤボンディングとの接合部における熱サイクル寿命を低下させるおそれがある。
さらに、導体パターンの表面に前記のように乗り上げたろう材は、視認することができ、外観品質を低減させるおそれもある。
また、ろう溜め凹部がセラミックス板の表面に向けて開口し、セラミックス板の表面との間に形成される空間に、前記余剰のろう材が収納されるようになっているので、ろう溜め凹部を導体パターンに形成したことにより、この導体パターンが広幅になりパワーモジュールのコンパクト化が実現できなくなるのを防ぐことが可能になる。すなわち、例えば、エッチングにより形成された導体パターンにおいて、その側面が、表面側(半導体チップ側)から裏面側(セラミックス板側)に向かうに従い漸次、導体パターンの外側に向けて拡がるような末広がり形状とされてその長さを大きく確保した上で、この側面に凹部を形成することにより、余剰のろう材を収納できるようにすると、セラミックス板の表面に占める導体パターンの占有面積が大きくなりパワーモジュールのコンパクト化を図ることができない。
この場合、セラミックス板の表面から前記切欠き部に到達したろう材を、このろう材に作用する自重によって、セラミックス板の表面上に落下させ易くすることが可能になる。しかも、ろう溜め凹部が導体パターンの側面および裏面の双方に開口しているので、このろう溜め凹部の、ろう材の収納量を十分に確保することが可能になり、導体パターンの表面に乗り上げるろう材の量を確実に低減させることができる。
この場合、前記のパワーモジュール用基板を容易かつ確実に形成することができる。
このパワーモジュール10は、セラミックス板11の表面に、例えば、純Al若しくはAl合金により形成された導体パターン12がAl−Si系のろう材13により接合されたパワーモジュール用基板14と、導体パターン12の表面12cに第1はんだ層17を介してはんだ接合された半導体チップ15と、セラミックス板11の裏面側に接合されたヒートシンク16とを備えている。
以上の構成において、導体パターン12の表面12cの外周縁からセラミックス板11の表面に向けて略垂下させた仮想線12eと、ろう溜め凹部12d(側面12a)と、セラミックス板11の表面とがなす空間12fに、導体パターン12の裏面12bとセラミックス板11の表面との間に介在しているろう材13が一体的に満たされている。
まず、純Al若しくはAl合金からなる母材を打ち抜いて導体パターン12と同形同大の導体パターン部材を形成する。この際、導体パターン部材の側面(導体パターン12の側面12a)、および裏面(導体パターン12の裏面12b)の双方に開口する切欠き部としてのろう溜め凹部12dを形成しておく。
一方、セラミックス板11の裏面にろう材箔を介して金属板18を配置する。以上より、セラミックス板11の表面に、ろう材箔と導体パターン部材とがこの順に配置され、裏面にろう材箔と金属板18とがこの順に配置された積層体を形成する。
まず、材質については、導体パターン12および金属板18を純度99.98%の純Al、ろう材13をAl−Si系(Alが93wt%、Siが7wt%)、セラミックス板11をAlNによりそれぞれ形成した。厚さについては、導体パターン12および金属板18を約0.4mm、ろう材箔を約13μm、セラミックス板11を約0.635mmとした。なお、導体パターン12は平面視四角形とされ、縦および横の寸法はそれぞれ、約28mmおよび約70mmとした。また、導体パターン部材および金属板18と、ろう材箔とは、揮発性有機媒体(オクタンジオール)により仮固定した。
そして、前記積層体を600℃〜650℃の真空中に置いた状態で、約1時間、積層方向に0.23MPa〜0.35MPaで加圧して、パワーモジュール用基板14を形成した。
したがって、導体パターン12と半導体チップ15との接合信頼性を低下させたり、パワーモジュール10の熱サイクル寿命を低減させたり、さらには、パワーモジュール用基板14の外観品質を低下させたりするのを防ぐことができる。
例えば、前記実施形態では、導体パターン部材を母材から打ち抜いて形成したが、これに代えて、鋳造により形成してもよい。
なお、図5に示されるように、導体パターン12の側面12aにおいて表面12c側の部分にも、裏面12b側の部分に形成した前記切欠き部と同形同大の切欠き部を形成してもよい。
11 セラミックス板
12 導体パターン
12a 導体パターンの側面
12b 導体パターンの裏面
12c 導体パターンの表面
12d ろう溜め凹部
13 ろう材
14 パワーモジュール用基板
15 半導体チップ
16 ヒートシンク
Claims (4)
- セラミックス板の表面に、導体パターンがろう材により接合され、この導体パターンの表面に半導体チップが設けられるパワーモジュール用基板であって、
前記導体パターンは、半導体チップが接合される導体パターンの表面と、前記セラミックス板の表面に接合される導体パターンの裏面と、前記セラミックス板の表面から立上がる導体パターンの側面とを有しており、
ろう付け時の溶融したろう材を溜め込み可能な切欠き部が前記導体パターンの側面及び前記導体パターンの裏面の双方に開口するよう形成されており、かつ、前記切欠き部の断面が矩形であることを特徴とするパワーモジュール用基板。 - 請求項1に記載のパワーモジュール用基板において、
前記ろう材はAl−Si系とされるとともに、前記導体パターンは純Al若しくはAl合金により形成されていることを特徴とするパワーモジュール用基板。 - 母材から打ち抜いた導体パターン部材、または鋳造により形成した導体パターン部材を形成する導体パターン部材形成工程と、セラミックス板の表面にろう材箔を介して導体パターン部材を配置して積層体を形成する配置工程と、積層体をこの積層方向に加圧して加熱することによりろう材箔を溶融し、セラミックス板の表面に導体パターンをろう材により接合する接合工程とを有するパワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記導体パターン形成工程は、前記導体パターンの側面及び前記導体パターン部材の裏面の双方に開口する前記切欠き部を形成し、前記配置工程は、前記切欠き部がセラミックス板の表面に向けて開口するように、導体パターン部材の裏面をろう材箔を介してセラミックス板の表面に載置し、その後、前記接合工程を経ることにより、請求項1又は2に記載のパワージュール用基板を形成することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - セラミックス板の表面に、導体パターンがろう材により接合されたパワーモジュール用基板と、導体パターンの表面に接合された半導体チップと、セラミックス板の裏面側に接合されたヒートシンクとを備えたパワーモジュールであって、
前記パワーモジュール用基板が、請求項1又は2に記載のパワーモジュール用基板であることを特徴とするパワーモジュール。
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