JP4904737B2 - Ic一体型薄膜振動片の製造方法。 - Google Patents

Ic一体型薄膜振動片の製造方法。 Download PDF

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本発明は、例えば、シリコン基板のような基板上に電極と圧電体薄膜とが形成されている薄膜振動片の製造方法に関する。
一般に、通信機器や各種信号処理には、共振子やフィルタなどを構成する弾性表面波デバイスが用いられている。この弾性表面波デバイスには、シリコン基板などの基板上にZnO薄膜などの圧電体薄膜を形成した薄膜振動片を用いた弾性表面波デバイスが提案されている(例えば、特許文献1、及び特許文献2)。
この薄膜振動片の詳細を図面に沿って説明する。図6は、従来の薄膜振動片を示す正断面図である。図6に示すように、薄膜振動片100は、シリコン基板101上に、電極102が形成され、電極102の表面も含むシリコン基板101上に圧電体薄膜103が形成されている。圧電体薄膜103上には、IDT(インタディジタル変換子、例えば櫛歯電極などの励振電極)105や反射器104が形成されている。IDT105、反射器104は、電極102と接続配線106により接続されている。なお、電極102は、図示しない発振回路や各種信号処理回路などと接続されている。
次に、薄膜振動片100の製造方法について説明する。先ず、シリコン基板101上に、例えば、導電性を有するアルミなどによる電極102を蒸着法、エッチング法などを用いて形成する。次に、電極102を含むシリコン基板101上にZnO薄膜などの圧電体薄膜103を形成する。圧電体薄膜103は、例えば、蒸着法などを用いて形成する。次に、圧電体薄膜103の膜質を向上させるために、300℃〜500℃程度の高温処理を行う。次に、圧電体薄膜103上に、IDT105、反射器104などの弾性表面波を励振させるための電極を形成する。
特開2000−151451号公報 実開平3−24719号公報
しかしながら、前述の従来の薄膜振動片100の製造方法では、薄膜振動片100を構成する電極102、及び電極102上に形成された圧電体薄膜103が、高温処理工程で300℃〜500℃程度まで加熱される。電極102、圧電体薄膜103は、異なった熱膨張係数を有しているため、加熱によりそれぞれが異なる量の変形を生じる。例えば、アルミで形成された電極102の熱膨張係数は、23.1×10-6/℃であり、ZnOで形成された圧電体薄膜103の熱膨張係数は、4×10-6/℃である。即ち、電極102は、圧電体薄膜103と比較して5倍以上の熱膨張による変形が起こることになる。このように、電極102が圧電体薄膜103より大きく変形するため、電極102上に形成されている圧電体薄膜103が変形に耐え切れず、割れ、剥離を生じることがあった。この剥離した圧電体薄膜103が、基板101、圧電体薄膜103などの表面を汚染し、この汚染に起因する励振電極の欠損が発生してしまう問題点があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧電体薄膜の割れ、剥離を生じることなく高温処理などの加熱、冷却を行うことが可能な、薄膜振動片の製造方法、薄膜振動片、薄膜振動子及び圧電発振器を提供することにある。
かかる問題を解決するために、本発明の薄膜振動片の製造方法は、基板上に電極部と、前記電極部の熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有する圧電体薄膜とが形成された薄膜振動片の製造方法であって、前記基板上に、前記電極部を形成する工程と、少なくとも前記電極部の表面に非晶質薄膜を形成する工程と、前記非晶質薄膜の表面を含む前記基板上に前記圧電体薄膜を形成する工程と、前記圧電体薄膜を高温で処理するアニ−ル工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の薄膜振動片の製造方法によれば、基板上に形成された電極部の表面に非晶質薄膜を形成し、その非晶質薄膜の表面に圧電体薄膜を形成する。即ち、電極部と圧電体薄膜との間に非晶質薄膜を形成する。非晶質薄膜は、原子配列が無秩序に並んだ構造をしているため原子が隙間に移動しやすく、そのため粘り強い強靭な性質を有している。この非晶質薄膜の粘り強い強靭な性質によって、薄膜振動片を高温処理する際の加熱、冷却などの温度変化により発生する、異なる熱膨張係数を有する電極部と圧電体薄膜との変形量の違いを吸収する。つまり、非晶質薄膜が熱変化による変形に対する緩衝作用を果たし、電極部の変形が圧電体薄膜に影響することを防止する。従って、圧電体薄膜を高温で処理しても、電極部と圧電体薄膜との熱膨張係数の相違による変形量の違いを起因とする圧電体薄膜の割れ、剥離を防止することができる。これにより、剥離した圧電体薄膜が、基板或いは圧電体薄膜などの表面を汚染することによる励振電極の欠損などの発生を防ぐことが可能となる。
また、前記非晶質薄膜の熱膨張係数が、前記電極部の熱膨張係数より小さいことが望ましい。
このようにすれば、電極部と比較して、高温処理のための加熱、冷却による変形量の比較的小さな非晶質薄膜の変形量が圧電体薄膜に伝わることとなるため、圧電体薄膜の受ける変形による影響が小さくなる。即ち、電極部の変形量が大きなことによって発生する圧電体薄膜の割れ、剥離などが生じ難い薄膜振動片を提供することができる。
本発明の薄膜振動片は、前述の薄膜振動片の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
本発明の薄膜振動片によれば、薄膜振動片を高温で処理しても、電極部と圧電体薄膜との熱膨張係数の相違による変形量の違いを起因とする圧電体薄膜の割れ、剥離を生じることのない薄膜振動片を提供することが可能となる。
本発明の薄膜振動子は、保持器と、前記保持器に接続された前述の薄膜振動片の製造方法を用いて製造された薄膜振動片と、を有することを特徴とする。
本発明の薄膜振動子によれば、薄膜振動子を高温で処理しても、用いている薄膜振動片の電極部と圧電体薄膜との熱膨張係数の相違による変形量の違いを起因とする圧電体薄膜の割れ、剥離を生じることのない薄膜振動子を提供することが可能となる。
本発明の圧電発振器は、保持器と、前記保持器に接続された前述の薄膜振動片の製造方法を用いて製造された薄膜振動片と、前記保持器および前記薄膜振動片に接続された少なくとも前記薄膜振動片を励振させる機能を有する回路部と、を有することを特徴とする。
本発明の圧電発振器によれば、圧電発振器を高温で処理しても、用いている薄膜振動片の電極部と圧電体薄膜との熱膨張係数の相違による変形量の違いを起因とする圧電体薄膜の割れ、剥離を生じることのない圧電発振器を提供することが可能となる。
本発明に係る、薄膜振動片の製造方法、薄膜振動片、薄膜振動子及び圧電発振器の最良の形態について、以下に図面を用いて説明する。
(第一実施形態)
第一実施形態として、本発明に係る薄膜振動片の製造方法およびその製造方法を用いた薄膜振動片について図面を用いて説明する。図1は、本発明の薄膜振動片の一例としての薄膜弾性表面波振動片を示し、(a)は、平面図、(b)は、正断面図である。図2は、本発明の薄膜振動片の一例としての薄膜弾性表面波振動片の製造方法を示す工程フロー図である。
先ず、薄膜弾性表面波振動片10の構成について説明する。図1に示すように、例えば、シリコン(Si)などの基板11上に、電極部としての、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などを用いたPAD電極12が形成されている。本例のPAD電極12は、アルミニウム(Al)を用い、0.6μm程度の厚さを有して形成されている。PAD電極12が形成されていない部分の基板11上、及び、図示しないPAD電極12から延在された配線などの上面に、非晶質薄膜としての、例えば、酸化シリコン(SiO2)薄膜(以下、「SiO2薄膜」という。)13が形成されている。このSiO2薄膜13は、1μm程度の厚さで形成されている。SiO2薄膜13上には、圧電体薄膜としての、例えば、酸化亜鉛(ZnO)薄膜(以下、「ZnO薄膜」という。)14が形成されている。このZnO薄膜14は、2μm程度の厚さで形成されている。
ZnO薄膜14上面には、弾性表面波を励振するための励振電極16を構成する櫛歯電極16a,16b、反射器17を構成する反射電極17a,17b、バスバー18a,18b,19a,19bが形成されている。櫛歯電極16a,16bは、それぞれが複数設けられて櫛歯状に構成され、櫛歯電極16aと櫛歯電極16bとが交互に一定間隔で弾性表面波の伝播方向(図示左右方向)に配列されている。そして、櫛歯電極16aがバスバー18aにより接続され、櫛歯電極16bがバスバー18bにより接続されて励振電極16が構成されている。反射電極17a,17bは、上記伝播方向に上記一定間隔にて複数配列されており、反射電極17aがバスバー19a、反射電極17bがバスバー19bにより接続されて反射器(いわゆるグレーティング反射器)17が構成される。この反射電極17a,17bは、櫛歯電極16a,16bの配列領域の上記伝播方向両側にそれぞれ配置されている。
ZnO薄膜14には、6箇所の開口部15が設けられている。開口部15は、PAD電極12に対向する部分のZnO薄膜14とSiO2薄膜13とを貫通するように形成されている。従って、開口部15の内壁面には、SiO2薄膜13とZnO薄膜14との端面が露出している。この開口部15が形成されていることにより、薄膜弾性表面波振動片10の上表面にPAD電極12が露出している。なお、開口部15の数は、露出が必要なPAD電極12の数により決定され、その数量はいくつであってもよい。PAD電極12は、例えば、図示しないワイヤーボンディングなどの接続手段によって、薄膜弾性表面波振動片10と薄膜弾性表面波振動片10以外の素子などとの接続を行うために用いる。また、PAD電極12は、励振電極16、反射器17などとの接続を行うために用いることもできる。
なお、基板11は、シリコン(Si)を一例として説明したがこれに限らない。例えば、化合物半導体(GaAs,GaP,InP,SiGe,ZnSなど)などで構成される半導体基板、ガラス基板、石英基板、セラミック基板などで構成されていてもよい。
また、圧電体薄膜として酸化亜鉛(ZnO)薄膜を一例として説明したがこれに限らない。例えば、AlN、PZT(Pb−Zr−Ti)、CdS、ZnS、Bi−Pb−O、LiNbO3、TaNbO3、KNbO3などの、弾性表面波を励振可能な各種圧電体薄膜でもよい。
また、非晶質薄膜として酸化シリコン(SiO2)薄膜を一例として説明したがこれに限らない。例えば、サファイア、酸化チタン(TiO2)などを用いることもできる。
また、SiO2薄膜13が基板11上の全面に設けられていない場合は、基板11上とSiO2薄膜13上面とにZnO薄膜14が形成される。また、ZnO薄膜14は、基板11上の全面に設けられていなくてもよい。
次に、薄膜弾性表面波振動片10の製造方法について、図2に示す工程フローに沿って説明する。先ず、図2(a)に示すように、基板11の上面に電極部としてのPAD電極12を、0.6μm程度の厚さで形成する。PAD電極12の形成は、基板11の上面にアルミニウム(Al)の薄膜を蒸着法などによって形成し、そのアルミニウムの薄膜をフォトリソグラフィ法などを用いて成形することで行う。なお、図には示していないが、電極部としての配線、接続電極などPAD電極12以外の他の電極も同時に形成する。
次に、図2(b)に示すように、基板11、及びPAD電極12の上面を覆うようにSiO2薄膜13を形成する。SiO2薄膜13は、スパッタリング法、蒸着法などを用いて形成する。SiO2薄膜13は、0.1〜2μm程度の厚さで形成することが望ましいが、本例では1μmの厚さで形成している。なお、SiO2薄膜13の厚さとは、PAD電極12の表面からの厚さを表している。
次に、図2(c)に示すように、SiO2薄膜13の上面に、ZnO薄膜14を形成する。ZnO薄膜14は、スパッタリング法、蒸着法などを用いて形成する。ZnO薄膜14は、その材質や結晶性に応じて適宜の厚さで形成される。例えば、一般的には0.1〜5μm程度の厚さであり、本例では2μmの厚さで形成している。
ここで、ZnO薄膜14を一例とする圧電体薄膜の厚さが所定範囲内であることが望ましい理由を次に述べる。圧電体薄膜は、薄すぎると弾性表面波の伝播態様が下層の影響を受けやすくなるとともに、圧電体薄膜の表面(図示例では上面)の結晶性が不十分となる、又は、圧電特性が充分な大きさを示さない場合がある。通常、圧電体薄膜の厚さは励起される弾性表面波の1波長以上の厚さとされることが望ましい。逆に、圧電体薄膜が厚すぎると、製造工程に時間がかかり、製造コストが増大するため、薄膜弾性表面波素子としたメリットが薄くなる。
その後、形成されたZnO薄膜14の膜質を向上させるために、300℃〜500℃程度の高温処理を行う。この高温処理は、ZnO薄膜14に向けてランプ光を照射し、ZnO薄膜14を高温状態とする、いわゆるランプアニ−ル法などを用いて行うことができる。
次に、図2(d)に示すように、励振電極16、反射器17を形成するための、例えば、アルミニウム(Al)薄膜20をZnO薄膜14上面に形成する。アルミニウム(Al)薄膜20は、スパッタリング法、蒸着法などを用いて形成する。
次に、図2(e)に示すように、励振電極16、反射器17を形成する。励振電極16、反射器17は、図示しないレジストなどによるマスクを用いたフォトリソグラフィ法などを用いて形成する。次に、PAD電極12に対応する部分のZnO薄膜14とSiO2薄膜13とを除去し、PAD電極12を露出するための開口部15を形成する。開口部15は、前述と同じようにフォトリソグラフィ法などを用いて形成する。従って、開口部15の内壁面には、SiO2薄膜13とZnO薄膜14との端面が露出している。
ここで、SiO2薄膜13について詳細に説明する。SiO2薄膜13は、前述の高温処理の際の加熱、冷却によるPAD電極12の変形の影響をZnO薄膜14が受けることを防止するために設けるものである。次に、SiO2薄膜13の膜の厚さについて、ZnO薄膜14の厚さとの関係も含めて説明する。なお、以下では、SiO2薄膜13、及びZnO薄膜14の膜の厚さを「膜厚」という。それぞれの薄膜の熱膨張係数を次に示す。SiO2薄膜13を形成するSiO2の熱膨張係数(α1)は、0.55×10-6/℃である。ZnO薄膜14を形成するZnOの熱膨張係数(α3)は、4×10-6/℃である。参考に示すと、PAD電極12を形成するアルミニウム(Al)の熱膨張係数(α2)は、23.1×10-6/℃である。
先ず、膜厚と熱膨張、収縮による変形量(以下、「変形量」という。)との関係を説明し、SiO2薄膜13とZnO薄膜14の膜厚の設定について述べる。
ZnO薄膜14の変形量、及びSiO2薄膜13の変形量は、それぞれ、hZ×α3×ΔT、hS×α1×ΔT、である。ZnO薄膜14の変形量をSiO2薄膜13の変形量より小さくするためには、hZ×α3×ΔT<hS×α1×ΔT、とする必要がある。そのためには、hS>hZ×α3/α1・・・(1)となる。(1)式のα3とα1に数値を代入すると、hS>hZ×α3/α1≒7・・・(2)となる。
ZnO薄膜14の厚さ:hZ、SiO2薄膜13の厚さ:hS、常温と加熱される温度との差:ΔT、ZnOの熱膨張係数:α3、SiO2の熱膨張係数:α1。
(2)式より、SiO2薄膜13の厚さは、ZnO薄膜14の厚さの、約7倍の厚さがあれば、ZnO薄膜14の変形量を小さくするために十分な効果を有していることがわかる。例えば、ZnO薄膜14の膜厚(hZ)が0.1μmであれば、SiO2薄膜13の厚さ(hS)が0.7μm程度であることが望ましい。しかしながら、SiO2薄膜13は、その膜厚が前述の計算式で求められた数値より小さな数値により、ZnO薄膜14とPAD電極12との間に形成されていても、変形量の緩和効果は有している。本第一実施形態では、SiO2薄膜13の厚さを、1μm、ZnO薄膜14の厚さを、2μmで形成したが、割れ、剥離などの問題は生じなかった。
本第一実施形態の薄膜弾性表面波振動片10の製造方法、及びその製造方法によって製造された薄膜弾性表面波振動片10によれば、SiO2薄膜13が、ZnO薄膜14とPAD電極12との間に形成されている。これにより、前述の高温処理の際の加熱、冷却などによるPAD電極12の変形量の影響をZnO薄膜14が受けることを防止することが可能となる。このことについて、以下に詳述する。PAD電極12は、SiO2薄膜13と接続しているため、SiO2薄膜13がPAD電極12の大きな変形量の影響を受ける。SiO2薄膜13を形成するSiO2は、非晶質薄膜である。図3の非晶質薄膜における原子配列の模式図に示すように、非晶質薄膜は、原子配列が無秩序に並んだ構造をしているため原子80が隙間85に移動しやすく、そのため粘り強い強靭な性質を有している。この非晶質薄膜の粘り強さによって、PAD電極12に大きな変形量が生じてもSiO2薄膜13は破壊されず、割れ、剥離などが起こることがない。
また、SiO2薄膜13の熱膨張係数(α1)は、PAD電極12の熱膨張係数(α2)より小さく構成されている。ZnO薄膜14は、SiO2薄膜13の一面と接しているため、PAD電極12の大きな変形量の影響は受けず、PAD電極12の変形量よりも小さなSiO2薄膜13の変形量の影響を受けることになる。従って、ZnO薄膜14のクラック、剥離などが生じ難い。換言すれば、SiO2薄膜13を設けることによりPAD電極12の大きな変形量がZnO薄膜14に影響すること防ぐ、いわゆる緩和効果を有することとなる。この緩和効果により、ZnO薄膜14のクラック、剥離などを防止することができる。また、剥離したZnO薄膜14が、基板11或いはZnO薄膜14などの表面を汚染することによる励振電極16の欠損などの発生を防ぐことが可能となる。
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態として、薄膜振動片を用いた薄膜振動子を図面に沿って説明する。図4は、第二実施形態としての薄膜振動子の概略正断面図である。
図4に示すように、本発明の薄膜振動子30は、薄膜振動片としての薄膜弾性表面波振動片10、薄膜弾性表面波振動片10を収納するための保持器としてのパッケージ42、及びパッケージ42の開口部を封止する蓋体41から構成される。セラミック等で形成されたパッケージ42の凹部底面に、接続電極層44が形成されている。接続電極層44は、表面に図示しない金層が設けられており、薄膜弾性表面波振動片10の接続部であるバンプ43と接合されている。接続電極層44は、図示しないがパッケージ42の外側に設けられた外部端子にも接続されている。薄膜弾性表面波振動片10が収納されたパッケージ42の上面には蓋体41が、例えば、シーム溶接、金属加熱融着などを用いて固着されている。この蓋体41により、パッケージ42の開口部が封止される。
なお、本第二実施形態で用いる薄膜弾性表面波振動片10は、前述の第一実施形態で説明したものと同じ構成であるため、第二実施形態では詳細な説明を省略する。薄膜弾性表面波振動片10は、基板31上に、電極部としてのPAD電極32が形成されている。さらに、PAD電極32が形成されていない部分の基板31上、及び、図示しないPAD電極32から延在された配線、或いは他の電極の上面に、非晶質薄膜としての、例えば、酸化シリコン(SiO2)薄膜(以下、「SiO2薄膜」という。)33が形成されている。SiO2薄膜33上には、圧電体薄膜としての、例えば、酸化亜鉛(ZnO)薄膜(以下、「ZnO薄膜」という。)34が形成されている。ZnO薄膜34上面には、弾性表面波を励振するための励振電極36、および反射器37が形成されている。さらに、ZnO薄膜34には、開口部35が設けられている。開口部35は、PAD電極32に対向する部分のZnO薄膜34とSiO2薄膜33とを貫通するように形成されている。この開口部35が形成されていることにより、薄膜弾性表面波振動片10の上表面にPAD電極32が露出している。
上述の第二実施形態に示す薄膜振動子30によれば、前述の第一実施形態で説明した薄膜弾性表面波振動片10が収納されている。このため、薄膜振動子30を高温で処理しても、薄膜弾性表面波振動片10のPAD電極32とZnO薄膜34との熱膨張係数の相違による変形量の違いを起因とするZnO薄膜34の割れ、剥離を生じることを防止することが可能となる。これにより、ZnO薄膜34の割れ、剥離を生じることによる励振電極36などの欠損がなく、或いは、特性の変化の少ない、所謂高安定性を有する薄膜振動子30を提供することが可能となる。
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態として、薄膜振動片を用いた圧電発振器を図面に沿って説明する。図5は、第三実施形態としての圧電発振器の概略正断面図である。
図5に示すように、本発明の圧電発振器50は、薄膜振動片としての薄膜弾性表面波デバイス1000、薄膜弾性表面波デバイス1000を収納するための保持器としてのパッケージ62、及びパッケージ62の開口部を封止する蓋体61から構成される。セラミック等で形成されたパッケージ62の凹部底面に、接続電極層67が形成されている。接続電極層67は、表面に図示しない金層が設けられており、薄膜弾性表面波デバイス1000の接続部であるバンプ63と接合されている。接続電極層67は、図示しないがパッケージ62の外側に設けられた外部端子にも接続されている。薄膜弾性表面波デバイス1000が収納されたパッケージ62の上面には蓋体61が、例えば、シーム溶接、金属加熱融着などを用いて固着されている。この蓋体61により、パッケージ62の開口部が封止される。
薄膜弾性表面波デバイス1000は、例えば、シリコン(Si)などの基板51上に、電極部としての、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などからなるPAD電極52が形成されている。さらに、PAD電極52が形成されていない部分の基板51上、及び、図示しないPAD電極52から延在された配線、或いは他の電極の上面に、非晶質薄膜としての、例えば、酸化シリコン(SiO2)薄膜(以下、「SiO2薄膜」という。)53が形成されている。SiO2薄膜53上には、圧電体薄膜としての、例えば、酸化亜鉛(ZnO)薄膜(以下、「ZnO薄膜」という。)54が形成されている。ZnO薄膜54上面には、弾性表面波を励振するための励振電極56、および反射器57が形成されている。さらに、ZnO薄膜54には、開口部55が設けられている。開口部55は、PAD電極52に対向する部分のZnO薄膜54とSiO2薄膜53とを貫通するように形成されている。この開口部55が形成されていることにより、薄膜弾性表面波デバイス1000の上表面にPAD電極52が露出している。
基板51のPAD電極52が設けられた面の他方の表面に近い領域或いは基板の表面上(表層部ともいう)には、少なくとも弾性表面波を励振させる機能を有する回路64が形成されている。この回路64は、通常のモノリシック半導体回路の製造プロセス技術やハイブリッド回路の製造プロセス技術を用いて容易に形成することができる。回路64は、接続配線65によりバンプ63、PAD電極52、励振電極56、反射器57などと接続されている。なお、接続配線65のうち、励振電極56、反射器57との接続配線は図示していない。回路64、接続配線65の表面には絶縁層66が被覆されている。バンプ63は、絶縁層66上に露出するように形成されている。
上述の第三実施形態の圧電発振器50によれば、パッケージ62内に収納されている薄膜弾性表面波デバイス1000において、SiO2薄膜53が、ZnO薄膜54とPAD電極52との間に形成されている。これにより、前述の高温処理の際の加熱、冷却などの熱変化によるPAD電極52の変形量の影響をZnO薄膜54が受けることを防止することが可能となる。この説明については前述の第一実施形態と同様なため省略する。このため、圧電発振器50を高温で処理しても、薄膜弾性表面波デバイス1000のPAD電極52とZnO薄膜54との熱膨張係数の相違による変形量の違いを起因とするZnO薄膜54の割れ、剥離を生じることを防止することが可能となる。これにより、ZnO薄膜54の割れ、剥離を生じることによる励振電極56などの欠損がなく、或いは、特性の変化の少ない、所謂高安定性を有する圧電発振器50を提供することが可能となる。
なお、上述の第三実施形態では、一つの基板内に弾性表面波を励振する部分と回路部とを設けた構成で説明したが、弾性表面波を励振する部分と回路部とが、それぞれ別の基板に形成され、パッケージ内に収納される構成でもよい。
第一実施形態の薄膜弾性表面波振動片を示し、(a)は、平面図、(b)は、正断面図。 薄膜弾性表面波振動片の製造方法を示す工程フロー図。 非晶質薄膜における原子配列の模式図。 第二実施形態としての薄膜振動子の概略正断面図。 第三実施形態としての圧電発振器の概略正断面図。 従来の薄膜振動片を示す正断面図。
符号の説明
10…薄膜弾性表面波振動片、11,31,51…基板、12,32,52…電極部としてのPAD電極、13,33,53…非晶質薄膜としてのSiO2薄膜、14,34,54…圧電体薄膜としてのZnO薄膜、15,35,55…開口部、16,36,56…励振電極、16a,16b…櫛歯電極、17,37,57…反射器、17a,17b…反射電極、18a,18b,19a,19b…バスバー、20…アルミニウム薄膜、30…薄膜振動子、41,61…蓋体、42,62…保持器としてのパッケージ、43,63…バンプ、44,67…接続電極層、64…回路、65…接続配線、66…絶縁層、80…原子、85…隙間、1000…薄膜弾性表面波デバイス。

Claims (1)

  1. 少なくとも弾性表面波を励振させる機能を有する回路部を備えた基板上に、電極部と、前記電極部の熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有する圧電体薄膜とが形成されたIC一体型薄膜振動片の製造方法であって、
    前記基板上に、前記回路部に接続される前記電極部を形成する工程と、
    少なくとも前記電極部の表面に、前記電極部の熱膨張係数より小さい熱膨張係数の非晶質薄膜を形成する工程と、
    前記非晶質薄膜の表面を含む前記基板上に、前記圧電体薄膜を形成する工程と、
    前記圧電体薄膜を300〜500℃で処理するアニ−ル工程と、
    前記圧電体薄膜の表面に前記電極部に接続される励振電極を形成する工程と、
    前記電極部に対応する部分の前記圧電薄膜と前記非晶質薄膜を除去し、前記電極部が露出するための開口部を形成する工程と、を含むことを特徴とするIC一体型薄膜振動片の製造方法。
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