JP4901799B2 - 表面処理性に優れた熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

表面処理性に優れた熱延鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車等のように表面の美麗さが要求される用途に好適な熱延鋼板の製造方法に関する。
熱延鋼板の表面にはスケールが付着しているため、熱延鋼板を冷間圧延する場合にはスケールを除去する必要がある。スケールを除去する手段として、一般的に酸洗処理が行われるが、特に冷間圧延後の電着塗装の前処理である化成処理性の向上や、メッキ工程で美麗な外観とする目的のためには、表面のスケールを完全に除去することが必要となる。
そのために、例えば特許文献1に開示されているように、冷延加工、酸洗、ブラシ研磨等の各処理を組み合わせることにより、脱スケール処理を施す技術が提案されている。また、特許文献2には、圧延機で圧下率0.1%〜20%の圧延を行うことにより、熱延鋼板表面のスケールを破砕した後に酸洗を行う技術が提案されている。
これらの手段により、表面外観上はスケールが除去された美麗な表面状態となる。しかしながら、このようにして酸洗した鋼板を冷間圧延した後、化成処理を行うと表面処理物質の付着ムラを生じてしまうことがあった。
これらの原因は、Feよりも酸化されにくいNiやCu等の元素が酸化スケールの生成に伴って地鉄の表層部に不均一に濃化することであると考えられる。これを解決するために、例えば特許文献3では、熱延鋼板を酸洗してスケール除去した後、さらにインヒビタを添加しない最終酸洗によってさらに鋼板表層を溶解する技術が提案されている。
特開平11−156427号公報 特開昭61−144213号公報 特開2005−281775号公報
しかしながら、特許文献3に開示された方法では、酸洗を2回行うことが必要であり、処理コストが高くなるという問題がある。また、Niなどの濃化の影響は解消できるものの、依然として表面処理物質の付着むらが発生してしまう場合があった。
本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、表面処理物質の付着むらが生じない表面処理性に優れた熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、質量%で、C:0.001〜0.05%、Si:0.001〜0.2%、Mn:0.01〜0.4%、P:0.001〜0.100%、S:0.001〜0.02%、Al:0.005〜0.09%、N:0.001〜0.015%、Ni:0.002〜0.1%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼組成のスラブを1150℃以上の温度に加熱する工程と、前記加熱したスラブに対して熱間圧延を施すことにより得られた熱延鋼板を700℃〜850℃の巻取温度で巻き取る工程と、前記巻き取った熱延鋼板を冷間加工率1〜2.5%で冷間圧延する工程と、前記冷間圧延した熱延鋼板を、HCl濃度10〜15質量%である酸洗液により酸洗温度85〜95℃、酸洗時間45〜120秒で酸洗する工程とを有することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記スラブは、更に質量%で、Cr:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ti:0.1%以下、Nb:0.05%以下、V:0.05%以下、Mo:0.05%以下、Ca:0.005%以下、B:0.005%以下の1種または2種以上を、さらに含有することを特徴とする。
本発明によれば、肉眼で観察することができるスケールを除去することができることに加え、鋼板表面におけるFe以外の元素の濃化部を除去することが可能となり、電着塗装の前処理である化成処理で表面への付着性が悪化してしまうのを防止することや、鋼板表面においてムラが生じない均一なメッキを施すことが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、詳細に説明する。以下、組成における質量%は、単に%と記載する。
本発明者らは、化成処理やメッキなどの表面処理物質の付着ムラの原因を明らかにするために、従来の方法で酸洗した熱延鋼板および化成処理ムラを生じた鋼板を詳細に調査した。その結果、酸洗後の鋼板表面には、従来言われていたNi以外にPの濃化が見られ、それも表面処理物質の付着ムラの原因となっていることを見出した。さらに、MnSなどの粗大な析出物が表面に露出している場合に、付着ムラの原因になっていることを見出した。
そこで本発明者らは、上述した表面処理物質の付着ムラの原因を解消するための条件について検討した。MnSの粗大な析出物は、鋼板表面に濃化して存在しているわけではなく、鋼板中にほぼランダムに存在しているが、鋼板表面に露出した場合に表面処理物質の付着ムラの原因となる。したがってこれら粗大な析出物の生成を抑制することが必要となるが、そのためには、MnとSの濃度を調整するとともに、スラブの加熱時に固溶させることが有効であることを見出した。
Pは酸化されてスケール中に取り込まれやすいが、表面処理物質の付着性への影響が大きく、わずかに濃化部が残存するだけでも付着ムラの原因となってしまうことがわかった。したがってPの濃化をできるだけ抑制することが必要となるが、熱延後の巻き取り温度を高くすることで、表面近傍のPを酸化させ、スケールに取り込まれるのを助長することができ、地鉄表面のP濃度を低減させることができることを見出した。
またNi等の酸化しにくい元素は、熱延後の巻き取り温度を高くしても鋼板表面において濃化させたまま残存することになるが、一度巻き取った熱延鋼板に対して冷間圧延を施した後に酸洗することにより、これらNi等の元素を地鉄と同時に酸に溶解させて除去し、ひいてはNiの如き元素を鋼板表面からできるだけ低減させることができることを見出した。
次に、鋼組成の成分を限定した理由について説明をする。
C:0.001〜0.05%
Cは、鋼板の強度を確保するために必要な元素である。しかしながら、このC含有量が0.001%未満では、高い強度の要求に応えることができない。これに対して、C含有量が0.05%を超えると、熱間圧延の過程において発生するスケールの部分的な厚みが不均一となり、酸洗後の部分的なスケールの残存により、均一な表面処理が実現できなくなる。このため、上限を0.05%としている。
Si:0.001〜0.2%
Siは、固溶強化元素として、延性を低下させることなく強度の上昇に寄与する。Siは、鋳造段階において鋼板中のFeとともに酸化されたフェライトが、熱延、酸洗後においても鋼板表面に残存してしまう場合もあり、また固溶状態で鋼板表面に濃化してしまう場合がある。酸化したSiが鋼板表面近傍において濃化すると、即ち、このSi含有量が0.2%を超えると、酸洗の際に、スケールが充分に除去されず残存しやすくなり、微量に残存するスケールによって表面処理性が低下するため、その量は少ないほうが好ましい。このため、Siの上限を0.2%とした。またSi含有量が0.001未満では、固溶強化の効果が得られないことから、下限を0.001%としている。
Mn:0.01〜0.4%
Mnは、鋼板の強度を確保すると共に、鋼中のSに起因する熱間圧延時の割れを防止する効果がある。Mnを添加することにより生成するMnS自体は、表面濃化することなく、ほぼランダムに分布する。しかしながら、生成するMnSのサイズが大きい場合には、これが表面に露出すると、化成処理やメッキを施す上でのムラとなりやすい。このため、生成されるMnSのサイズは0.5μm以下とすることが好ましく、そのためには、Mnの上限を0.4%としている。なお、Mn含有量が0.01%未満である場合には、熱間圧延時の割れを防止することができず、外観性状が低下してしまう。このため、Mnの下限を0.01%としている。
P:0.001〜0.100%
Pは、不純物として鋼中に不可避的に含有される元素である。このP含有量が0.100%を超えると、熱延後の巻き取り温度を高くしても、局部的な偏析が発生して鋼板表面にスジ状模様が形成され、外観性状が低下し、表面処理性が低下してしまう。このため、Pの上限を0.100%としている。また、P含有量を0.001未満とするには、製造コストが上昇してしまい好ましくない。このため、Pの下限を0.001%としている。
S:0.001〜0.02%
Sは、Pと同様に不純物として含有される元素であり、鋼中でMnSを形成し、切削性を向上させる有用元素である。しかしながら、上述したように生成されるMnSのサイズが大きい場合には、これが表面に露出すると、化成処理やメッキを施す上でのムラとなりやすい。このため、生成されるMnSのサイズを0.5μm以下とするために、Sの上限を0.02%としている。これに対して、このS含有量を0.001未満とするには、製造コストが上昇してしまい好ましくないため、下限を0.001%としている。
Al:0.005〜0.09%
Alは、鋼を製造する上での脱酸元素として必要であり、Nによる延性低下を防止して鋼板の加工性を確保するために使用される。このAlが0.005%未満では上述した効果を十分に発揮することができず0.03%以上が好ましい。また、Alが0.09%を超えると上述した効果が飽和してしまう。このため、Al含有量は、0.005〜0.09%とする。
N:0.001〜0.015%
Nは、溶鋼処理中に空気中の窒素が取り込まれることから、鋼中に不可避的に混入する元素である。このNは、鋼板の延性低下原因となるため、少ないほうが望ましい。ちなみに、このNは、強化元素としても有効である。Nは、AlやB等と窒化物を形成して母材組織の細粒化を促進し、ひいては鋼板の加工性の向上にも寄与する。しかしながら、このN含有量が0.015%を超えると延性低下が著しくなるため、0.015%を上限としている。また、N含有量が0.001未満では、鋼板の結晶粒が局部的に異常成長を起こす場合があり、その場合は局部的に強度が低下する等のデメリットがある。また、このNが0.015%を超えると、鋼板の延性低下が著しくなる。このため、N含有量は、0.001〜0.015%とする。
Ni:0.002〜0.1%
Niは、スケールの均一性を確保する機能を発揮する元素である。このNiが0.002%未満では上述した効果を十分に発揮することができない。0.1%を超えると鋼板表面に局所的に濃化して表面処理性が低下してしまうため、0.1%を上限としている。
Cr:0.5%以下
Crは、強度上昇に有効であり、耐食性を向上させるためにも必要に応じて添加するが、0.5%を超えると表面性状が低下して表面処理性が悪化するため、上限を0.5%としている。
Cu:0.5%以下
Cuは、鋼板の強度上昇とともに、スケールの密着度を向上させる効果がある。このCuが0.5%を超えると熱延における鋼板表面の荒れが発生して表面処理性が低下してしまうため、上限を0.5%としている。
Ti:0.1%以下
Tiは、C,Nとの親和力が強く、凝固時にTiC、TiNとして析出して、C,Nによる延性低下を防止するために用いられる。しかしながら、このTiが0.1%を超えるとその効果が飽和するため、上限を0.1%としている。
Nb:0.05%以下
Nbは、組織の微細粒化により靭性を向上させる。Nbは、Nによる延性低下を防止する役割も果たすが、Nb含有量0.05%を超えるとその効果が飽和する。このため、Nbの上限を0.05%としている。
V:0.05%以下
Vは、母材の強度を増加させるとともに靭性を向上させる元素である。しかしながら、このV含有量が0.05%を超えると、その効果が飽和してしまう。このため、Vの上限を0.05%としている。
Mo:0.05%以下
Moは、鋼の強度向上に有用なだけでなく、靭性も大幅に向上させる。しかし、このMo含有量が0.05%を超えるとその効果は飽和するため、上限を0.05%としている。
Ca:0.005%以下
Caは、MnS生成による鋼板の強度低下を防止するために添加されるが、Ca添加量が0.005%を超えるとその効果が飽和するため、上限を0.005%としている。
B:0.005%以下
Bは、NをBNとして固着する作用もあることから、Nによる鋼板の延性低下を防止する役割を果たすとともに、ロウ付け強度を向上させる作用もある。しかしながら、このB含有量が0.005%を超えるとその効果が飽和してしまうため、上限を0.005%としている。
次に、本発明を適用した熱延鋼板の製造方法の条件について詳細に説明する。
先ず上述した鋼構成からなるスラブを加熱炉において1150℃以上の温度で加熱をする。この加熱温度が1150℃以上とする理由としては、MnSを鋼板内部に一度固溶させるためである。また、加熱温度が1250℃を超えると、結晶粒径が大きくなり過ぎて、必要な材質が得られなくなる場合があるので、1250℃以下であることが好ましい。
次に、この加熱したスラブを粗圧延機、仕上げ圧延機により熱間圧延し、冷却装置により冷却して巻取機により巻き取る。この巻き取る際の巻取温度は、700℃〜850℃の範囲とする。巻取温度が700℃未満では、Pの酸化を促進させることができず、固溶して残存するPの表面付近の濃度が却って向上してしまう。巻取温度が700℃以上とすることにより、鋼板表面におけるPの酸化を促進させるとともに、固溶して残存するPを地鉄側に引き込み、鋼板表面近傍におけるP濃度を低減させることが可能となる。
また、巻取温度が850℃を超えると、熱延鋼板の結晶粒が大きくなりすぎ、強度が低下してしまうため、上限を850℃に規定する。
次に、この巻き取った熱延鋼板を、冷間圧延機により、冷間加工率1%以上で冷間圧延する。この冷間加工を施すことにより、熱延鋼板表面のスケールに微細なクラックを多数導入することが可能となる。その結果、酸洗におけるHCl水溶液を鋼板表面からクラックを通じて奥深く浸透させることができ、酸洗により熱延鋼板を表面からより深く溶解することが可能となる。冷間加工率が1%未満では微小亀裂を導入するために不十分である。また、冷間加工率が2.5%を超える場合には、必要以上に多数のクラックが発生してしまい、またクラックの深さも深くなり、不均一に溶解されたりピット状に溶解され表面外観が損なわれる場合がある。このため、冷間加工率は、1〜2.5%の範囲としている。
なお、ここでいう冷間加工率とは、冷間加工する前の熱延鋼板の板厚をD、また冷間加工による減厚量をdとしたとき、1−(d/D)×100(%)で表される。
次に、この冷間圧延した熱延鋼板をHCl濃度10〜12質量%である酸洗液で、酸洗温度85〜95℃、酸洗時間45〜120秒の条件で酸洗する。この条件での酸洗を、上述した冷間圧延を施した後に実施することによって、従来の酸洗よりも溶解深さを深くすることができ、スケールだけでなく、NiやPの表面に濃化部を除去することができる。それぞれの酸洗条件(HCl濃度、酸洗温度、酸洗時間)が下限値未満であると、スケールが完全に除去できない、あるいはスケールは除去できてもNiなどの濃化部を除去できない。それぞれの酸洗条件が上限値を超えると溶解能が強すぎて、不均一に溶解されたり、ピット状に溶解され表面外観が損なわれてしまう場合がある。
なお上述した例では、酸化しやすいP、酸化しにくいNiを例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば、Cr、Cu、Mo等についても同様に、上述した加熱条件の下で酸洗表面近傍まで引き込み、その後の酸洗のプロセスを通じて、これらの元素が濃化した地鉄を含めて削り取ることが可能となる。その結果、最終的に得られた鋼板表面においてFe以外の元素の濃化部を低減させることが可能となり、表面処理性を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施例について説明する。先ず、本発明の実施例として、上述した熱延鋼板の製造方法に基づいて熱延鋼板を作製した。具体的には、下記表1に示す組成で、厚さが250mmのスラブを加熱温度T℃に加熱した後、粗圧延機によって35mmの厚さまで粗圧延し、粗圧延鋼板を作製した。次に、この粗圧延鋼板に向けてデスケーリング装置により15MPaの圧力で水を噴射し、表面に生成したスケールを除去した後、直ちに7機の圧延スタンド間を連続的に通過させて熱間圧延する仕上げ圧延を行って、厚さが3.6mmの熱延鋼板を作製した。
この圧延した熱延鋼板は、巻取温度T(℃)で巻き取り、その後冷間加工率C(%)で冷間圧延し、更にこれを酸洗槽に浸漬した。酸洗槽では、HCl濃度L(%)である酸洗液が満たされており、酸洗温度T(℃)とし、酸洗時間はI(秒)に亘って酸洗を行う。
このとき、各工程における条件(T、C、L、T、I)を変化させ、酸洗後の表面性状を観察した。この表面性状の観察については、実際に酸洗後の熱延鋼板表面に化成処理を施すことにより実行した。化成処理は、70mm×150mmサイズに切り出した鋼板を用いて実施し、表面に付着する油分を脱脂液で除去した後、表面調整剤(日本パーカライジング製の”PL-Z“溶液)に浸漬した後、日本パーカライジング製のリン酸鉄亜鉛処理液PB-L3020に浸漬させることで、鋼板表面にリン酸鉄亜鉛結晶を付着させる処理を施した。
このリン酸鉄亜鉛処理後に、鋼板を水洗、乾燥させた。そして、この鋼板の中央部から20mm四方の試験片を切り出し、表面の外観観察及びリン酸鉄亜鉛の結晶粒を走査型電子顕微鏡にて観察した。観察は試験片の表面全面について行い、リン酸鉄亜鉛結晶によって鋼板表面が被覆されているものを○とし、被覆されていない箇所があるものを×とした。なお、被覆されていないというのは、観察した試験片表面全面のうち、リン酸鉄亜鉛の結晶粒が付着していない10ミクロンメートル四方以上の領域が20mm四方の試験片について2箇所以上あるものを指す。
結果を下記表2にまとめて示す。また、下記表2には、各実施例及び比較例における加熱温度T、巻取温度T、冷間加工率C、HCl濃度L、酸洗温度T、酸洗時間Iも併せて示す。
なお、下記表1に示す鋼組成における残部は、Fe及び不可避的不純物である。また、下記表1及び表2における下線は、本発明の範囲外であることを示す。
Figure 0004901799
Figure 0004901799
表1に示す本発明鋼1〜18は、何れも上記規定した成分の範囲内にある。これに対して、比較例19はPの含有量が、比較鋼20はSiの含有量が、比較鋼21はMn、Sの含有量が、比較例19、23はPの含有量が、比較例22はNiの含有量が、比較例23はP、Niの含有量が本発明において規定した成分の範囲から逸脱している。
表2に示す本発明例1〜14は、何れも本発明鋼1〜18の何れか1以上を実験で使用し、各製造条件は本発明で規定した条件の範囲内としている。これに対して比較例15〜20は、何れも本発明鋼1〜18の何れか1以上を実験で使用しているが、製造条件の何れかが本発明で規定した条件の範囲外としている。比較例21〜23は、何れも比較鋼19〜23を実験で使用するものであり、本発明で規定した成分の範囲を逸脱させてはいるが、各製造条件は本発明で規定した条件の範囲内である。
表2の結果から示すように表面性状は、本発明例1〜14において何れも良好であった。
これに対して比較例15、20は、巻取温度Tが本発明で規定した下限より低く、上述したようにPの表面付近の濃度が却って向上する結果、表面性状が悪化していた。また、比較例16は、冷間加工率Cが0%であり本発明で規定した下限より低く、微細なクラックを多数導入するには不十分であり、酸洗により熱延鋼板を表面からより深く溶解することができず、表面性状が悪化していた。また、比較例17は、酸洗温度Tが68℃であり本発明で規定した下限より低く、スケールが完全に除去できない等の理由で表面性状が悪化していた。また比較例18は、加熱温度が1020℃であり本発明で規定した下限より低く、また、冷間加工率Cも本発明で規定した範囲より低く、表面性状が悪化していた。また比較例19は、HCl濃度Lが5%であり、本発明で規定した下限より低いために、スケールが完全に除去できない、あるいはスケールは除去できてもNiなどの濃化部を除去できない等の理由で表面性状が悪化していた。更に、比較例21〜23は、比較鋼19〜23を供試材として使用したものであり、本発明で規定した成分の範囲から逸脱しているため、表面性状が悪化していた。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.001〜0.05%、Si:0.001〜0.2%、Mn:0.01〜0.4%、P:0.001〜0.100%、S:0.001〜0.02%、Al:0.005〜0.09%、N:0.001〜0.015%、Ni:0.002〜0.1%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼組成のスラブを1150℃以上の温度に加熱する工程と、
    前記加熱したスラブに対して熱間圧延を施すことにより得られた熱延鋼板を700℃〜850℃の巻取温度で巻き取る工程と、
    前記巻き取った熱延鋼板を冷間加工率1〜2.5%で冷間圧延する工程と、
    前記冷間圧延した熱延鋼板を、HCl濃度10〜15質量%である酸洗液により酸洗温度85〜95℃、酸洗時間45〜120秒で酸洗する工程とを有すること
    を特徴とする表面処理性に優れた熱延鋼板の製造方法。
  2. 前記スラブは、更に質量%で、Cr:0.5%以下、Cu:0.5%以下、Ti:0.1%以下、Nb:0.05%以下、V:0.05%以下、Mo:0.05%以下、Ca:0.005%以下、B:0.005%以下の1種または2種以上を、さらに含有すること
    を特徴とする請求項1記載の表面処理性に優れた熱延鋼板の製造方法。
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