以下、本発明に係る排気ガス処理装置の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1ないし図9は本発明の第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、排気ガス処理装置として、エンジンから排出される粒子状物質(PM)を粒子状物質除去フィルタ(DPF)によって除去する粒子状物質除去装置(PM除去装置)を例示している。
そして、本実施の形態に用いる排気ガス処理装置は、酸化触媒と消音器筒体を収容した上流筒体と、消音器筒体を収容した下流筒体と、粒子状物質除去フィルタを収容したフィルタ用筒体との3個の筒体をボルトを用いて軸方向に直列に連結し、取付脚を介して車体側に取付ける構成としている。
図中、1は建設機械の代表例としての油圧ショベルで、この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体4と、上部旋回体4の前部側に俯仰動可能に設けられ掘削作業等を行う作業装置5とにより大略構成されている。また、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、キャブ7、エンジン8、排気ガス処理装置21等により構成されている。
6は上部旋回体4のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム6は、強固な支持構造体をなし、旋回装置3を介して下部走行体2上に取付けられている。ここで、旋回フレーム6は、図2に示す如く、前,後方向に延びる厚肉な底板6Aと、該底板6A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板6B,右縦板6Cと、左縦板6Bから左方向に張出した複数本の左張出しビーム6Dと、右縦板6Cから右方向に張出した複数本の右張出しビーム6Eと、各左張出しビーム6Dの先端に固着され前,後方向に延びた左サイドフレーム6Fと、各右張出しビーム6Eの先端に固着され前,後方向に延びた右サイドフレーム6Gとにより大略構成されている。
7は旋回フレーム6の左前部側に搭載されたキャブ(図1参照)で、該キャブ7は、オペレータの運転室を画成するものである。また、キャブ7の内部には、オペレータが着座する運転席、各種操作レバー(いずれも図示せず)等が配設されている。
8は旋回フレーム6の後側に横置き状態で搭載されたエンジンで、このエンジン8は、例えばディーゼルエンジンにより構成されている。また、エンジン8の右側には、図2に示すように、排気ガスを排出する排気ガス通路の一部をなす排気管9が設けられ、該排気管9の途中部位には後述の排気ガス処理装置21が取付けられている。
ここで、エンジン8は、高効率で耐久性にも優れているが、粒子状物質(PM:Particulate Matter)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)等の有害物質を、排気ガスと一緒に排出してしまうものである。そこで、排気管9に取付けられる排気ガス処理装置21は、後述するように、一酸化炭素(CO)等を酸化して除去する酸化触媒25、粒子状物質を捕集して除去する粒子状物質除去フィルタ41を含んで構成されている。
10はエンジン8の右側に取付けられた油圧ポンプで、該油圧ポンプ10は、エンジン8によって駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。ここで、油圧ポンプ10は、図3に示すように、エンジン8に対面する左側の端部がフランジ部10Aとなり、このフランジ部10Aがエンジン8にボルト止めされている。また、油圧ポンプ10のフランジ部10Aをエンジン8に取付けるときには、後述の処理装置支持ブラケット16が一緒に取付けられる構成となっている。
11はエンジン8の左側に位置して設けられた熱交換器で、該熱交換器11は、例えばラジエータ、オイルクーラ、インタクーラ等からなり、エンジン8の作動時に供給される冷却風中に冷媒の熱を放出することにより、エンジン冷却水、作動油、過給空気を冷却するものである。
12は油圧ポンプ10の前側に位置して旋回フレーム6の右側に搭載された作動油タンクで、この作動油タンク12は、油圧ポンプ10に供給する作動油を貯えるものである。また、13は作動油タンク12の前側に設けられた燃料タンクで、この燃料タンク13は、内部にエンジン8に供給する燃料を貯えるものである。
14はエンジン8の後側に位置して旋回フレーム6の後端部に取付けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト14は、作業装置5との重量バランスをとるものである。また、15はカウンタウエイト14の前側に配設された建屋カバーで、該建屋カバー15は、エンジン8、油圧ポンプ10、熱交換装置11等を収容するものである。
16はエンジン8の右側に位置して設けられた処理装置支持ブラケットで、該処理装置支持ブラケット16は、後述の排気ガス処理装置21を支持する車体側(上部旋回体4側)の支持部材を構成するものである。ここで、処理装置支持ブラケット16は、図3及び図4等に示すように、油圧ポンプ10のフランジ部10Aと一緒にエンジン8に取付けられる支持台16Aと、該支持台16A上に前,後方向に間隔をもって配置され、複数個の防振部材16B(2個のみ図示)を介して防振支持された前側取付板16C、後側取付板16Dとにより大略構成されている。
そして、図9に示すように、前側取付板16Cには、後述のボルト33が挿通される左,右のボルト挿通孔16E(一方のみ図示)が穿設され、後側取付板16Dには、後述のボルト36が挿通される左,右のボルト挿通孔16F(一方のみ図示)が穿設されている。また、前側取付板16Cの裏面側には、各ボルト挿通孔16Eと同心状に裏ナット16Gが固着され、後側取付板16Dの裏面側には、各ボルト挿通孔16Fと同心状に裏ナット16Hが固着されている。
次に、エンジン8から排出される排気ガスを浄化するための排気ガス処理装置について述べる。
21はエンジン8の上部右側に位置して排気管9に接続された排気ガス処理装置で、該排気ガス処理装置21は、排気管9と共に排気ガス通路を構成し、上流側から下流側に排気ガスが流通する間に、この排気ガスに含まれる有害物質を除去するものである。また、排気ガス処理装置21は、前,後方向の前側が上流側となり後側が下流側となるように、エンジン8の上部に前,後方向に延びる縦置き状態に配置されている(図2参照)。
そして、排気ガス処理装置21は、図3ないし図6に示すように、後述の上流筒体22と、下流筒体27と、浄化部筒体としてのフィルタ用筒体37とからなる3個の筒体を、互いに直列に接続することにより構成されている。また、図6及び図8に示すように、上流筒体22には、後述する流入管24の消音器筒体24Bと酸化触媒25とが収容され、下流筒体27には、後述する流出管29の消音器筒体29Bが収容され、フィルタ用筒体37には後述の粒子状物質除去フィルタ41が収容されている。
ここで、22は排気ガス処理装置21の前部側に位置して排気ガス通路の上流側に設けられた上流筒体を示している。この上流筒体22は、排気ガスが流入する入口部分を構成する有蓋円筒体からなり、図6ないし図8に示すように、後述の筒状ケース23と、流入管24と、酸化触媒25と、取付脚26とにより大略構成されている。
23は上流筒体22の外殻を構成する筒状ケースで、該筒状ケース23は、大径な円筒状をなす円筒部23Aと、該円筒部23Aの前側(上流側)を閉塞して設けられた蓋部23Bと、円筒部23Aの後側(下流側)の端部に全周に亘って鍔状に設けられたフランジ部23Cとにより構成されている。そして、フランジ部23Cには、周方向に間隔をもって複数個のボルト挿通孔23Dが設けられている。
また、筒状ケース23には、円筒部23Aの上部に位置して2個の温度センサ取付口23Eが設けられている。この2個の温度センサ取付口23Eは、図3及び図4に示すように、後述の温度センサ47,48を取付けるもので、後述の酸化触媒25を前,後方向で挟む2箇所に配置されている。さらに、円筒部23Aの後側位置には、例えば右側に位置して上流側の圧力取出部23Fが設けられ、該圧力取出部23Fは、排気ガス通路を流れる排気ガスの圧力のうち、後述する粒子状物質除去フィルタ41の上流側の圧力を取出すもので、後述の圧力センサ46が上流側配管46Aを介して接続される構成となっている。
24は筒状ケース23の前側(上流側)に設けられた流入管で、該流入管24は、筒状ケース23の円筒部23Aを径方向に貫通している(図7参照)。また、図2に示すように、筒状ケース23から突出した流入管24の一端側は、排気管9に向けて左側方に延び、当該排気管9に接続されている。一方、流入管24の他端側は閉塞板24Aによって閉塞されている。そして、流入管24は、筒状ケース23の内部で消音器筒体24Bを構成し、この消音器筒体24Bに設けられた多数個の小孔24Cを排気ガスが通過することにより、排気音が低減されるものである。
25は流入管24の下流側に位置して筒状ケース23内に収容された酸化触媒で、該酸化触媒25は、排気ガスを浄化処理する処理部材の1つを構成するものである。ここで、酸化触媒25は、図6及び図8に示すように、例えば円筒部23Aの内径寸法と同等の外径寸法をもったセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔25Aが形成され、内面に貴金属等がコーティングされている。そして、酸化触媒25は、所定の温度下で各貫通孔25Aに排気ガスを流通させることにより、この排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去し、窒素酸化物(NO)を二酸化窒素(NO2)として除去するものである。
26は上流筒体22を構成する筒状ケース23(円筒部23A)の下面側に設けられた取付脚で、該取付脚26は、上流筒体22を処理装置支持ブラケット16の前側取付板16C上に取付けるものである。ここで、取付脚26は、図7及び図8等に示すように、例えば帯鋼等をほぼM字状に折曲げることにより形成され、円弧状に湾曲した基端側(上端側)が円筒部23Aの下面に溶接等の手段を用いて固着されている。そして、取付脚26の先端側(下端側)は、処理装置支持ブラケット16の前側取付板16Cに当接する左,右の平板状の当接面26Aとなり、これら左,右の当接面26Aには、後述の長孔32がそれぞれ形成されている。
次に、27は排気ガス処理装置21の後部側に位置して上流筒体22の下流側に設けられた下流筒体を示している。この下流筒体27は、後述のフィルタ用筒体37を挟んで上流筒体22とは反対側に配置され、排気ガスを流出する出口部分を構成する有蓋円筒体からなっている。そして、下流筒体27は、図6及び図8に示すように、後述の筒状ケース28と、流出管29と、取付脚30とにより大略構成されている。
28は下流筒体27の外殻を構成する筒状ケースで、該筒状ケース28は、上流筒体22の筒状ケース23とほぼ同様に、大径な円筒状をなす円筒部28Aと、該円筒部28Aの後側(下流側)を閉塞して設けられた蓋部28Bと、円筒部28Aの前側(上流側)の端部に全周に亘って鍔状に設けられたフランジ部28Cとにより構成されている。そして、フランジ部28Cには、周方向に間隔をもって複数個のボルト挿通孔28Dが設けられている。
また、円筒部28Aの後側位置には、例えば右側に位置して下流側の圧力取出部28Eが設けられ、該圧力取出部28Eは、排気ガス通路を流れる排気ガスの圧力のうち、粒子状物質除去フィルタ41の下流側の圧力を取出すもので、後述の圧力センサ46が下流側配管46Bを介して接続される構成となっている。
29は筒状ケース28の後側(下流側)に設けられた尾管と呼ばれる流出管で、該流出管29は、筒状ケース28の円筒部28Aを径方向に貫通している(図6参照)。また、筒状ケース28から突出した流出管29の上端側は、図1に示す建屋カバー15の上方に突出して大気に解放されている。一方、流出管29の下端側は閉塞板29Aによって閉塞されている。そして、流出管29は、筒状ケース28の内部で消音器筒体29Bを構成し、この消音器筒体29Bに設けられた多数個の小孔29Cを排気ガスが通過することにより、排気音が低減されるものである。
30は下流筒体27を構成する筒状ケース28(円筒部28A)の下面側に設けられた取付脚で、該取付脚30は、下流筒体27を処理装置支持ブラケット16の後側取付板16D上に取付けるものである。ここで、取付脚30は、上述した上流筒体22の取付脚26と同様なM字状に形成され、円筒部28Aの下面に溶接等の手段を用いて固着されている。そして、取付脚30の先端側(下端側)は、処理装置支持ブラケット16の後側取付板16Dに当接する左,右の平板状の当接面30Aとなり、これら左,右の当接面30Aには、後述の長孔35がそれぞれ形成されている。
31は上流筒体22の取付脚26と処理装置支持ブラケット16の前側取付板16Cとの間に設けられた前側(上流側)の筒体移動機構で、該筒体移動機構31は、上流筒体22と下流筒体27との間に後述のフィルタ用筒体37を取付け、取外しするときに、上流筒体22を軸方向に移動させるものである。そして、筒体移動機構31は、図5、図8及び図9に示すように、後述の長孔32と、ボルト33との2つの要素により構成されている。
32は筒体移動機構31を構成する長孔で、該長孔32は、上流筒体22の筒状ケース23に固着された取付脚26の左,右の当接面26Aにそれぞれ形成されている。そして、長孔32は、上流筒体22の軸方向に長尺となるように直線状に延びて形成され、後述のボルト33がその長手方向に移動可能に挿通されるものである。
33は取付脚26の当接面26Aを処理装置支持ブラケット16の前側取付板16Cに締結する締結具としてのボルトで、該ボルト33は、取付脚26の当接面26Aに設けられた長孔32に挿通された状態で、処理装置支持ブラケット16の前側取付板16Cに穿設されたボルト挿通孔16Eを通じて裏ナット16Gに螺入されることにより、取付脚26の当接面26Aを前側取付板16Cに締結するものである(図9参照)。従って、ボルト33を緩めた状態では、取付脚26は、その当接面26Aに設けられた長孔32がボルト33に沿って移動することにより、長孔32の長さ寸法の範囲内で軸方向に移動することができる。
34は下流筒体27の取付脚30と処理装置支持ブラケット16の後側取付板16Dとの間に設けられた後側(下流側)の筒体移動機構で、該筒体移動機構34は、上流筒体22と下流筒体27との間に後述のフィルタ用筒体37を取付け、取外しするときに、下流筒体27を軸方向に移動させるものである。そして、筒体移動機構34は、図5、図8及び図9に示すように、後述の長孔35と、ボルト36との2つの要素により構成されている。
35は筒体移動機構34を構成する長孔で、該長孔35は、下流筒体27の筒状ケース28に固着された取付脚30の左,右の当接面30Aにそれぞれ形成されている。そして、長孔35は、下流筒体27の軸方向に長尺となるように直線状に延びて形成され、後述のボルト36がその長手方向に移動可能に挿通されるものである。
36は取付脚30の当接面30Aを処理装置支持ブラケット16の後側取付板16Dに締結する締結具としてのボルトで、該ボルト36は、取付脚30の当接面30Aに設けられた長孔35に挿通された状態で、処理装置支持ブラケット16の後側取付板16Dに穿設されたボルト挿通孔16Fを通じて裏ナット16Hに螺入されることにより、取付脚30の当接面30Aを後側取付板16Dに締結するものである(図9参照)。従って、ボルト36を緩めた状態では、取付脚30は、その当接面30Aに設けられた長孔35がボルト36に沿って移動することにより、長孔35の長さ寸法の範囲内で軸方向に移動することができる。
ここで、図9に示すように、前側取付板16Cの裏ナット16Gに螺入したボルト33に対し、上流筒体22の取付脚26を長孔32の範囲内で最も前側に移動させ、後側取付板16Dの裏ナット16Hに螺入したボルト36に対し、下流筒体27の取付脚30を長孔35の範囲内で最も後側に移動させた状態では、上流筒体22を構成する筒状ケース23のフランジ部23Cと、下流筒体27を構成する筒状ケース28のフランジ部28Cとの間には、軸方向の間隔Aが形成される構成となっている。そして、上流筒体22のフランジ部23Cと下流筒体27のフランジ部28Cとの間隔Aは、後述するフィルタ用筒体37の軸方向寸法Bよりも大きく設定されている。
次に、37は上流筒体22と下流筒体27との間に直列に接続して設けられた1個のフィルタ用筒体を示し、このフィルタ用筒体37は、排気ガスを浄化処理するための処理部材を内蔵した浄化部筒体を構成するものである。ここで、フィルタ用筒体37は、図6及び図8に示すように軸方向の両端が開口した円筒体からなり、後述の筒状ケース38と、粒子状物質除去フィルタ41とにより大略構成されている。
38はフィルタ用筒体37の外殻を構成する筒状ケースで、該筒状ケース38は、その内部に粒子状物質除去フィルタ41を収容するものである。ここで、筒状ケース38は、上流筒体22の筒状ケース23及び下流筒体27の筒状ケース28とほぼ等しい外径寸法を有する円筒部38Aと、該円筒部38Aの前側(上流側)の端部に全周に亘って鍔状に設けられた前側フランジ部38Bと、円筒部38Aの後側(下流側)の端部に全周に亘って鍔状に設けられた後側フランジ部38Cとにより大略構成されている。
また、図6及び図8に示すように、円筒部38Aの前端側は、前側フランジ部38Bから前方に突出した薄肉円筒状の前側嵌合部38Dとなり、この前側嵌合部38Dは、上流筒体22を構成する筒状ケース23の円筒部23Aの内周面に嵌合するいんろう嵌合部となっている。一方、円筒部38Aの後端側は、後側フランジ部38Cから後方に突出した薄肉円筒状の後側嵌合部38Eとなり、この後側嵌合部38Eは、下流筒体27を構成する筒状ケース28の円筒部28Aの内周面に嵌合するいんろう嵌合部となっている。従って、図9に示すフィルタ用筒体37の軸方向寸法Bは、前側嵌合部38Dの前端縁から後側嵌合部38Eの後端縁までの寸法によって設定されている。
そして、前側フランジ部38Bには、上流筒体22を構成する筒状ケース23のボルト挿通孔23Dと対応する位置に複数個のボルト挿通孔38Fが設けられ、前側フランジ部38Bは、各ボルト挿通孔38Fに挿通されたボルト39及びナット40を用いて、筒状ケース23のフランジ部23Cに直列に接続される構成となっている。また、後側フランジ部38Cには、下流筒体27を構成する筒状ケース28のボルト挿通孔28Dと対応する位置に複数個のボルト挿通孔38Gが設けられ、後側フランジ部38Cは、各ボルト挿通孔38Gに挿通されたボルト39及びナット40を用いて、筒状ケース28のフランジ部28Cに直列に接続される構成となっている。
41は筒状ケース38内に収容された粒子状物質除去フィルタ(通常、Diesel Particulate Filter、略してDPFとも呼ばれている)で、該粒子状物質除去フィルタ41は、処理部材の1つを構成するものである。そして、図6に示すように、粒子状物質除去フィルタ41は、例えばセラミックス材料等からなる多孔質な部材によって円筒状に形成されたフィルタ本体42と、該フィルタ本体42の外周側に全周に亘って設けられた緩衝材層43と、該緩衝材層43の外周側に全周に亘って設けられた断熱材層44とにより大略構成されている。
ここで、フィルタ本体42は、軸方向に多数の小孔42Aが設けられたハニカム構造のセル状筒体をなし、各小孔42Aは、隣同士で交互に異なる端部が目封じ部材42Bによって閉塞されている。そして、フィルタ本体42は、上流側から各小孔42Aに流入する排気ガスを多孔質材料に通すことで粒子状物質を捕集し、排気ガスのみを隣の小孔42Aを通じて下流側へと流出させる。
この場合、フィルタ本体42によって捕集した粒子状物質は、燃焼して除去されるが、その一部は灰となって小孔42A内に徐々に堆積する。また、その他の未燃焼残留物、例えばエンジンオイル中の重金属、カルシウム等も徐々に堆積する。そこで、後述の圧力センサ46によって、粒子状物質除去フィルタ41の上流側の圧力と下流側の圧力を計測し、上流側と下流側の圧力差が所定の値に達したときには、粒子状物質除去フィルタ41をフィルタ用筒体37の筒状ケース38から取外し、堆積物をクリーニングする構成となっている。
45,45は上流筒体22の筒状ケース23とフィルタ用筒体37の筒状ケース38との間、下流筒体27の筒状ケース28とフィルタ用筒体37の筒状ケース38との間にそれぞれ設けられたガスケットを示している。ここで、各ガスケット45は、図6及び図8に示すように、例えばステンレス等の金属板を用いて、筒状ケース38の前側フランジ部38B及び後側フランジ部38Cとほぼ同様な環状体として形成されている。そして、各ガスケット45には、前側フランジ部38B,後側フランジ部38Cの各ボルト挿通孔38F,38Gと対応する複数のボルト挿通孔45Aが形成されている。
そして、ガスケット45は、筒状ケース23のフランジ部23Cと筒状ケース38の前側フランジ部38Bとの間に挟持されることにより、両者間の接続部を気密にシールすると共に、筒状ケース28のフランジ部28Cと筒状ケース38の後側フランジ部38Cとの間に挟持されることにより、両者間の接続部を気密にシールするものである。
46は上流筒体22の外周側に設けられた圧力センサで、該圧力センサ46は、粒子状物質、未燃焼残留物等の堆積量を推測するために、粒子状物質除去フィルタ41の上流側と下流側の圧力(圧力差)を検出するものである。そして、圧力センサ46は、その上流側配管46Aが上流筒体22の筒状ケース23の圧力取出部23Fに接続され、下流側配管46Bが下流筒体27の筒状ケース28の圧力取出部28Eに接続されている。
47は上流筒体22の筒状ケース23の上流側に設けられた上流側温度センサで、該上流側温度センサ47は、筒状ケース23の上流側に位置する温度センサ取付口23Eに取付けられ、コントローラ(図示せず)に接続されている。そして、上流側温度センサ47は、酸化触媒25が機能することができる温度であるか確認するために、筒状ケース23に流入する排気ガスの温度を検出するものである。
48は上流筒体22の筒状ケース23の下流側に設けられた下流側温度センサで、この下流側温度センサ48は、粒子状物質除去フィルタ41によって捕集した粒子状物質の酸化(再生)が可能であるか確認するために、酸化触媒25を通過した排気ガスの温度を検出するものである。
第1の実施の形態による排気ガス処理装置21は上述の如き構成を有するもので、油圧ショベル1によって掘削作業等を行うためにエンジン8を作動させると、エンジン8から排気管9に、粒子状物質、窒素酸化物等の有害物質を含む排気ガスが排出され、この排気ガスは、流入管24を通じて排気ガス処理装置21に導入される。
このとき、排気ガス処理装置21は、上流筒体22内に収容された酸化触媒25を排気ガスが通過するときに、この排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。そして、酸化触媒25を通過した排気ガスが、フィルタ用筒体37内に収容された粒子状物質除去フィルタ41を通過するときに、この粒子状物質除去フィルタ41のフィルタ本体42によって、排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集し、捕集した粒子状物質を燃焼(再生)して除去する。
このようにして、排気ガス処理装置21によって浄化された排気ガスは、下流筒体27内で流出管29の消音器筒体29Bによって消音された後、流出管29を通じて外部に排出される。
このように、粒子状物質除去フィルタ41のフィルタ本体42によって捕集した粒子状物質は、燃焼して除去されるが、その一部は灰となってフィルタ本体42の小孔42A内に徐々に堆積する。また、その他の未燃焼残留物、例えばエンジンオイル中の重金属、カルシウム等も徐々に堆積する。
このため、圧力センサ46によって粒子状物質除去フィルタ41の上流側の圧力と下流側の圧力差を計測し、この圧力差が所定の値に達したときには、粒子状物質除去フィルタ41をフィルタ用筒体37の筒状ケース38から取外し、堆積物をクリーニングする必要がある。
そこで、粒子状物質除去フィルタ41に堆積した粒子状物質を除去するためのクリーニング作業について説明する。
このクリーニング作業を行う場合には、まず、上流筒体22のフランジ部23Cとフィルタ用筒体37の前側フランジ部38Bとを接続する各ボルト39及びナット40と、下流筒体27のフランジ部28Cとフィルタ用筒体37の後側フランジ部38Cとを接続する各ボルト39及びナット40とを取外す。
次に、図9に示すように、前側の筒体移動機構31を構成するボルト33を緩めることにより、上流筒体22の取付脚26を、その当接面26Aに設けた長孔32の範囲内で最も前側に移動させる。また、後側の筒体移動機構34を構成するボルト36を緩めることにより、下流筒体27の取付脚30を、その当接面30Aに設けた長孔35の範囲内で最も後側に移動させる。
これにより、上流筒体22のフランジ部23Cと下流筒体27のフランジ部28Cとの間に、フィルタ用筒体37の軸方向寸法Bよりも大きな軸方向の間隔Aを形成することができる。従って、上流筒体22を取付脚26を介して浄化装置支持ブラケット16の前側取付板16Cに取付け、下流筒体27を取付脚30を介して浄化装置支持ブラケット16の後側取付板16Dに取付けたままの状態で、これら上流筒体22と下流筒体27とに対し、フィルタ用筒体37のみを上方に取外すことができる。
このように、上流筒体22と下流筒体27とに対し、フィルタ用筒体37のみを上方に取外すことができるので、排気ガス処理装置21が、エンジン8、油圧ポンプ10等の搭載機器類と共に建屋カバー15内の狭隘なスペース内に配置されている場合でも、作業者は、他の搭載機器類に邪魔されることなく、安全かつ容易にフィルタ用筒体37のみを取外すことができる。
そして、フィルタ用筒体37内に収容された粒子状物質除去フィルタ41のフィルタ本体42に、例えばエアガン等を用いて圧縮空気を吹付け、小孔42A内に堆積した粒子状物質の灰、未燃焼残留物を除去することにより、粒子状物質除去フィルタ41をクリーニングすることができる。
このようにして、粒子状物質除去フィルタ41をクリーニングした後には、この粒子状物質除去フィルタ41を収容したフィルタ用筒体37を、再び上流筒体22と下流筒体27との間に接続する。
このフィルタ用筒体37を接続する作業を行う場合には、まず、図9に示すように、上流筒体22のフランジ部23Cと下流筒体27のフランジ部28Cとの間に軸方向の間隔Aを形成し、この間隔A内に、前側嵌合部38Dと後側嵌合部38Eとにそれぞれガスケット45を装着したフィルタ用筒体37を挿入する。そして、上流筒体22の取付脚26を、ボルト33に係合した長孔32に沿ってフィルタ用筒体37側に移動させると共に、下流筒体27の取付脚30を、ボルト36に係合した長孔35に沿ってフィルタ用筒体37側に移動させる。
これにより、フィルタ用筒体37の前側嵌合部38Dを、上流筒体22の円筒部23Aの内周面に嵌合した状態で、上流筒体22のフランジ部23Cとフィルタ用筒体37の前側フランジ部38Bとの間にガスケット45を挟込むことができ、かつ、フィルタ用筒体37の後側嵌合部38Eを、下流筒体27の円筒部28Aの内周面に嵌合した状態で、下流筒体27のフランジ部28Cとフィルタ用筒体37の後側フランジ部38Cとの間にガスケット45を挟込むことができる。
この状態で、フィルタ用筒体37の前側フランジ部38Bに設けたボルト挿通孔38F、ガスケット45のボルト挿通孔45A、上流筒体22のフランジ部23Cに設けたボルト挿通孔23Dにボルト39を挿通し、このボルト39にナット40を螺着することにより、ガスケット45を介してフィルタ用筒体37と上流筒体22とを直列に接続することができる。また、フィルタ用筒体37の後側フランジ部38Cに設けたボルト挿通孔38G、ガスケット45のボルト挿通孔45A、下流筒体27のフランジ部28Cに設けたボルト挿通孔28Dにボルト39を挿通し、このボルト39にナット40を螺着することにより、ガスケット45を介してフィルタ用筒体37と下流筒体27とを直列に接続することができる。
このようにして、上流筒体22と下流筒体27との間にフィルタ用筒体37を直列に接続した状態で、前側の筒体移動機構31のボルト33を締込むことにより、上流筒体22の取付脚26を処理装置支持ブラケット16の前側取付板16Cに固定し、後側の筒体移動機構34のボルト36を締込むことにより、下流筒体27の取付脚30を処理装置支持ブラケット16の後側取付板16Dに固定することができる。
かくして、第1の実施の形態による排気ガス処理装置21は、上流筒体22を構成する取付脚26の当接面26Aに長孔32を設け、この長孔32を処理装置支持ブラケット16(前側取付板16C)の裏ナット16Gに螺入したボルト33に係合させることにより、上流筒体22を長孔32に沿って軸方向に移動させると共に、下流筒体27を構成する取付脚30の当接面30Aに長孔35を設け、この長孔35を処理装置支持ブラケット16(後側取付板16D)の裏ナット16Hに螺入したボルト36に係合させることにより、下流筒体27を長孔35に沿って軸方向に移動させる構成としている。
このため、上流筒体22と下流筒体27との間に接続されたフィルタ用筒体37を取外すときには、長孔32に係合するボルト33を緩め、上流筒体22を長孔32の範囲内でフィルタ用筒体37から離間する方向に移動させると共に、長孔35に係合するボルト36を緩め、下流筒体27を長孔35の範囲内でフィルタ用筒体37から離間する方向に移動させることができる。
これにより、図9に示すように、上流筒体22と下流筒体27との軸方向の間隔Aを、フィルタ用筒体37の軸方向寸法Bよりも大きくすることができるので、上流筒体22を処理装置支持ブラケット16の前側取付板16Cに取付け、下流筒体27を処理装置支持ブラケット16の後側取付板16Dに取付けたまま、フィルタ用筒体37のみを取外すことができる。
一方、上流筒体22と下流筒体27との間にフィルタ用筒体37を取付けるときには、上流筒体22と下流筒体27との間隔A内にフィルタ用筒体37を挿入した状態で、上流筒体22を長孔32に沿ってフィルタ用筒体37に接近させると共に、下流筒体27を長孔35に沿ってフィルタ用筒体37に接近させることにより、上流筒体22と下流筒体27との間にフィルタ用筒体37を挟込むことができる。これにより、フィルタ用筒体37の前側嵌合部38Dを、上流筒体22の円筒部23Aに確実にいんろう嵌合させると共に、フィルタ用筒体37の後側嵌合部38Eを、下流筒体27の円筒部28Aに確実にいんろう嵌合させた状態で、上流筒体22と下流筒体27との間にフィルタ用筒体37を直列に接続することができる。
このように、第1の実施の形態による排気ガス処理装置21は、上流筒体22の取付脚26に設けた長孔32と該長孔32に挿通されるボルト33とからなる前側の筒体移動機構31と、下流筒体27の取付脚30に設けた長孔35と該長孔35に挿通されるボルト36とからなる後側の筒体移動機構34とによって、上流筒体22と下流筒体27との軸方向の間隔を適宜に変化させることができる。
この結果、上流筒体22と下流筒体27との間からフィルタ用筒体37を取外し、このフィルタ用筒体37に内蔵された粒子状物質除去フィルタ41に対するクリーニング作業、点検作業、修理作業等のメンテナンス作業を行った後、再びフィルタ用筒体37を上流筒体22と下流筒体27との間に接続する作業を、迅速かつ容易に行うことができ、このメンテナンス作業を行うときの作業性を高めることができる。
次に、図10は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、車体側の支持部材に設けた長孔と、この長孔に挿通された状態で取付脚を支持部材に締結する締結具とにより筒体移動機構を構成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は上流筒体22の取付脚26と処理装置支持ブラケット16の前側取付板16Cとの間に設けられた前側(上流側)の筒体移動機構で、該筒体移動機構51は、第1の実施の形態による筒体移動機構31に代えて本実施の形態に用いたもので、上流筒体22を軸方向に移動させるものである。そして、筒体移動機構51は、後述する長孔52と、ボルト53との2要素により構成されている。
52は筒体移動機構51を構成する長孔で、該長孔52は、処理装置支持ブラケット16の前側取付板16Cのうち、上流筒体22に設けられた取付脚26の左,右の当接面26Aと対応する部位に左,右に離間して形成されている(左側のみ図示)。そして、長孔52は、上流筒体22の軸方向に長尺となるように直線状に延び、ボルト53がその長手方向に移動可能に挿通されるものである。
53は取付脚26の当接面26Aを前側取付板16Cに締結する締結具としてのボルトで、該ボルト53は、取付脚26の当接面26Aに設けられたボルト挿通孔26Bと、前側取付板16Cの長孔52とに挿通され、前側取付板16Cの裏面側からナット54が螺着されることにより、取付脚26の当接面26Aを前側取付板16Cに締結するものである。従って、ボルト53を緩めた状態では、取付脚26は、前側取付板16Cの長孔52に沿ってボルト53が移動することにより、長孔52の長さ寸法の範囲内で軸方向に移動することができる。
55は下流筒体27の取付脚30と処理装置支持ブラケット16の後側取付板16Dとの間に設けられた後側(下流側)の筒体移動機構で、該筒体移動機構55は、第1の実施の形態による筒体移動機構34に代えて本実施の形態に用いたもので、下流筒体27を軸方向に移動させるものである。そして、筒体移動機構55は、後述する長孔56と、ボルト57との2要素により構成されている。
56は筒体移動機構55を構成する長孔で、該長孔56は、処理装置支持ブラケット16の後側取付板16Dのうち、下流筒体27に設けられた取付脚30の左,右の当接面30Aと対応する部位に左,右に離間して形成されている(左側のみ図示)。そして、長孔56は、下流筒体27の軸方向に長尺となるように直線状に延び、ボルト57がその長手方向に移動可能に挿通されるものである。
57は取付脚30の当接面30Aを後側取付板16Dに締結する締結具としてのボルトで、該ボルト57は、取付脚30の当接面30Aに設けられたボルト挿通孔30Bと、後側取付板16Dの長孔56とに挿通され、後側取付板16Dの裏面側からナット58が螺着されることにより、取付脚30の当接面30Aを後側取付板16Dに締結するものである。従って、ボルト57を緩めた状態では、取付脚30は、後側取付板16Dの長孔56に沿ってボルト57が移動することにより、長孔56の長さ寸法の範囲内で軸方向に移動することができる。
第2の実施の形態による排気ガス処理装置は上述の如き筒体移動機構51,55を有するもので、本実施の形態においても、前側の筒体移動機構51によって上流筒体22の取付脚26を軸方向に移動させ、後側の筒体移動機構55によって下流筒体27の取付脚30を軸方向に移動させることにより、上流筒体22と下流筒体27との軸方向の間隔を適宜に変化させることができる。この結果、上流筒体22と下流筒体27との間からフィルタ用筒体37を取外し、このフィルタ用筒体37に内蔵された粒子状物質除去フィルタ41に対するクリーニング作業、点検作業、修理作業等のメンテナンス作業を行った後、再びフィルタ用筒体37を上流筒体22と下流筒体27との間に接続する作業を、迅速かつ容易に行うことができ、このメンテナンス作業を行うときの作業性を高めることができる。
次に、図11及び図12は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、車体側の支持部材に設けられ取付脚を軸方向に沿って移動させるガイド部材と、このガイド部材に取付けられ取付脚を支持部材に押付けて固定する締結具とにより筒体移動機構を構成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、61は上流筒体22の取付脚26と処理装置支持ブラケット16の前側取付板16Cとの間に設けられた前側(上流側)の筒体移動機構で、該筒体移動機構61は、上述した第1の実施の形態による筒体移動機構31に代えて本実施の形態に用いたもので、上流筒体22を軸方向に移動させるものである。そして、筒体移動機構61は、後述する左,右のガイド部材62と、押付ボルト63との2要素により構成されている。
62は筒体移動機構61を構成する左,右のガイド部材で、該各ガイド部材62は、例えば断面L字状をなすブロック体からなり、処理装置支持ブラケット16を構成する前側取付板16Cの上面側に溶接等の手段を用いて固着されている。ここで、ガイド部材62は、前側取付板16Cの上面側に固着された脚部62Aと、該脚部62Aの上端側から水平方向に延び取付脚26の当接面26Aと上,下方向で隙間をもって対面する上面部62Bと、該上面部62Bに上,下方向に貫通して螺設された雌ねじ孔62Cとにより構成されている。
そして、ガイド部材62は、その上面部62Bに取付脚26の当接面26Aを対面させた状態で、脚部62Aの内側面に取付脚26の当接面26Aを当接させて前,後方向に案内することにより、取付脚26を上流筒体22の軸方向に沿って移動させるものである。
63はガイド部材62の雌ねじ孔62Cに螺合された締結具としての押付ボルトで、該押付ボルト63は、取付脚26の当接面26Aを下向きに押圧することにより、この当接面26Aを処理装置支持ブラケット16の前側取付板16Cに押付けて固定するものである。従って、押付ボルト63を緩めた状態では、上流筒体22の取付脚26を、ガイド部材62の脚部62Aに沿って軸方向に移動させることができ、押付ボルト63を締込んだ状態では、上流筒体22の取付脚26を前側取付板16Cに対して強固に固定することができる構成となっている。
64は下流筒体27の取付脚30と処理装置支持ブラケット16の後側取付板16Dとの間に設けられた後側(下流側)の筒体移動機構で、該筒体移動機構64は、上述した第1の実施の形態による筒体移動機構34に代えて本実施の形態に用いたもので、前側の筒体移動機構61と同様に、後述する左,右のガイド部材65と、押付ボルト66との2要素により構成されている。
65は筒体移動機構64を構成する左,右のガイド部材(左側のみ図示)で、該各ガイド部材65も断面L字状をなすブロック体からなり、処理装置支持ブラケット16を構成する後側取付板16Dの上面側に溶接等の手段を用いて固着されている。ここで、ガイド部材65は、上述したガイド部材62と同様に、脚部65Aと、上面部65Bと、雌ねじ孔65Cとにより構成されている。
66はガイド部材65の雌ねじ孔65Cに螺合された締結具としての押付ボルトで、該押付ボルト66は、取付脚30の当接面30Aを下向きに押圧することにより、この当接面30Aを処理装置支持ブラケット16の後側取付板16Dに押付けて固定するものである。従って、押付ボルト66を緩めた状態では、下流筒体27の取付脚30を、ガイド部材65の脚部65Aに沿って軸方向に移動させることができ、押付ボルト66を締込んだ状態では、下流筒体27の取付脚30を後側取付板16Dに対して強固に固定することができる構成となっている。
第3の実施の形態による排気ガス処理装置は上述の如き筒体移動機構61,64を有するもので、本実施の形態においても、前側の筒体移動機構61によって上流筒体22の取付脚26を軸方向に移動させ、後側の筒体移動機構64によって下流筒体27の取付脚30を軸方向に移動させることにより、上流筒体22と下流筒体27との軸方向の間隔を適宜に変化させることができる。この結果、フィルタ用筒体37に内蔵された粒子状物質除去フィルタ41をクリーニングするときに、上流筒体22と下流筒体27とに対するフィルタ用筒体37の取付け、取外しを容易に行うことができ、このクリーニング等のメンテナンス作業を行うときの作業性を高めることができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、上流筒体22の取付脚26と処理装置支持ブラケット16の前側取付板16Cとの間に前側の筒体移動機構31を設け、下流筒体27の取付脚30と処理装置支持ブラケット16の後側取付板16Dとの間に後側の筒体移動機構34を設けた場合を例示している。
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図13に示す第1の変形例のように、上流筒体22の取付脚26の当接面26Aのみに長孔32を形成することにより、前側の筒体移動機構31のみを設け、下流筒体27の取付脚30の当接面30Aには、長孔に代えてボルト挿通孔30Bを設ける構成としてもよい。また、これとは逆に、後側の筒体移動機構34のみを設ける構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態による筒体移動機構51,55、第3の実施の形態による筒体移動機構61,64についても同様である。
また、上述した各実施の形態では、浄化部筒体として、内部に処理部材としての粒子状物質除去フィルタ41を収容したフィルタ用筒体37を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図14に示す第2の変形例のように、処理部材としての尿素水噴射弁67を内蔵した噴射弁用筒体68と、処理部材としての選択還元触媒69を内蔵した還元触媒用筒体70とを、上流筒体22と下流筒体27との間に直列に接続する構成としてもよい。
この場合、尿素水噴射弁67は、尿素水溶液の結晶化による付着物をクリーニングする作業、及び噴射状態の不具合を点検、修理する作業を定期的に行う必要があり、選択還元触媒69は、尿素水溶液の析出による付着物を定期的にクリーニングする必要があるが、筒体移動機構(図示せず)によって上流筒体22と下流筒体27とを軸方向に移動させることにより、上流筒体22と下流筒体27とに対し、噴射弁用筒体68と還元触媒用筒体70とを容易に取付け、取外しすることができる。このため、尿素水噴射弁67に対するクリーニング作業及び点検、修理作業、選択還元触媒69に対するクリーニング作業といったメンテナンス作業を行うときの作業性を高めることができる。
また、上述した各実施の形態では、内部に処理部材としての粒子状物質除去フィルタ41を収容したフィルタ用筒体37を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図15に示す第3の変形例のように、処理部材としての酸化触媒25と粒子状物質除去フィルタ41とを内蔵した浄化部筒体80を用い、この浄化部筒体80を上流筒体81と下流筒体27との間に直列に接続する構成としてもよい。
この場合には、浄化部筒体80を筒状ケース80Aと、前側フランジ部80Bと、後側フランジ部80Cとにより構成し、筒状ケース80Aのうち酸化触媒25を前,後方向で挟む2箇所には、温度センサ取付口80D,80Dを設ける。一方、上流筒体81は、筒状ケース81Aと、蓋部81Bと、フランジ部81Cとにより構成し、筒状ケース81Aには、その内部で消音器筒体24Bを構成する流入管24を設ける。そして、浄化部筒体80の前側フランジ部80Bを、ボルト39及びナット40を用いて上流筒体81のフランジ部81Cに取付け、浄化部筒体80の後側フランジ部80Cを、ボルト39及びナット40を用いて下流筒体27のフランジ部28Cに取付ける構成としてもよい。
また、上述した各実施の形態では、フィルタ用筒体37を構成する筒状ケース38の前端側に、前側フランジ部38Bから前方に突出する前側嵌合部38Dを設け、この前側嵌合部38Dを、上流筒体22の筒状ケース23の内周側にいんろう嵌合すると共に、筒状ケース38の後端側に、後側フランジ部38Cから後方に突出する後側嵌合部38Eを設け、この後側嵌合部38Eを、下流筒体27の筒状ケース28の内周側にいんろう嵌合する構成を例示している。
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図16及び図17に示す第4の変形例のように、いんろう嵌合用の前側嵌合部と後側嵌合部とがない筒状ケース38′を有するフィルタ用筒体37′を用いる構成としてもよい。この場合には、筒状ケース38′の前側フランジ部38Bと上流筒体22の筒状ケース23のフランジ部23Cとを突合わせた状態で、各フランジ部38B,23C間をボルト39とナット40とを用いて締結し、筒状ケース38′の後側フランジ部38Cと下流筒体27の筒状ケース28のフランジ部28Cとを突合わせた状態で、各フランジ部38C,28C間をボルト39とナット40とを用いて締結する構成となる。
さらに、上述した実施の形態では、排気ガス処理装置21を、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1に搭載した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばタイヤ等からなるホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに搭載する構成としてもよい。それ以外にも、ダンプトラック、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く搭載することができる。