以下、図面を参照しながら、本発明の第1〜第2の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態における映像記録制御システムの構成の一例を示す図である。図1には、3階建てのビルの中に設けられている映像記録制御システムが図示されている。この映像記録制御システムでは、ビルの1階に8台の監視カメラ(映像撮像装置)10〜17(ただし、図1では、監視カメラ10、11、17の3台のみ図示)、ビルの2階に5台の監視カメラ20〜24(ただし、図1では、監視カメラ20、21、24の3台のみ図示)、ビルの3階に3台の監視カメラ30〜32が、それぞれ各階の所定の場所の撮像を行うように設置されている。なお、以下では、すべての監視カメラを表す際には、監視カメラ10〜32と表記する。
また、1階〜3階のすべての階を接続するためのLAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)60が設けられており、各監視カメラ10〜32は、LAN60に接続されている。また、ビルの各階には、映像記録装置41〜43が1台ずつ設置されており、これらの映像記録装置41〜43もLAN60に接続されている。各階に設置されている映像記録装置41〜43は、監視カメラ10〜32によって撮像された映像を受信して記録する機能を有している。ここでは、通常の状態(後述の動作モード『1』の状態)では、1階に設置されている映像記録装置41は、8台の監視カメラ10〜17から映像を受信して記録し、2階に設置されている映像記録装置42は、5台の監視カメラ20〜24から映像を受信して記録し、3階に設置されている映像記録装置43は、3台の監視カメラ30〜32から映像を受信して記録するものとする。
なお、以下の説明では、各監視カメラ10〜32によって撮像される映像フォーマットをJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式とし、各監視カメラ10〜32は、画像圧縮時の圧縮率を調整することで、3段階(高、中、低)の品質のJPEG画像を生成することができるものとするが、上記の前提は一例に過ぎず、映像フォーマットは必ずしもJPEG方式である必要はなく、また、必ずしも画像の品質を変えることが可能な映像フォーマットを利用する必要もない。また、ここでは、各映像記録装置41〜43が毎秒240枚のJPEG画像を記録する記録能力を有しているものとする。
映像記録装置41〜43は、循環リレー式にイベントを通知することが可能である。具体的には、図1の例では、映像記録装置41は、映像記録装置42に対してイベント情報(後述)を送信し、映像記録装置42は、映像記録装置43に対してイベント情報を送信し、映像記録装置43は、映像記録装置41に対してイベント情報を送信するように構成されている。なお、図1に示す構成例では、3台の映像記録装置41〜43しか存在していないが、上記のように循環リレー式にイベントを通知することで、映像記録装置41〜43の台数が増えたとしても、各映像記録装置41〜43は、ただ1台の映像記録装置41〜43からイベントを受信し、ただ1台の映像記録装置41〜43にイベントを送信すればよいことになる。また、イベント情報の通知先を循環リレー式にせずに、2台ずつの組を設定して、それぞれがお互いにイベント情報を通知し合うことも可能である。この場合、3台以上の組を設定して、これらの映像記録装置間で循環リレー式によるイベント情報の通知を行うことも可能である。
次に、図1に図示されている映像記録制御システムの構成要素である監視カメラ10〜32、映像記録装置41〜43のそれぞれの機能について説明する。
まず、映像記録装置41〜43の機能について説明する。なお、映像記録装置41〜43は同一の機能を備えていればよく、特に、特定の映像記録装置に特別な機能を設ける必要はない。ここでは、映像記録装置41〜43を代表して、映像記録装置41の内部構成について説明を行うが、他の映像記録装置も同一の機能を有していればよく、また、更に特別な機能を有していてもよい。
図2は、本発明の第1の実施の形態における映像記録制御システムの映像記録装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。図2に図示されている映像記録装置41は、システム制御部411、通信処理部412、映像記録部413、映像表示部414、稼動管理部415、記録容量管理部416、動作モード管理部417、動作モード情報格納部418、イベント管理部419、及びイベント対応表情報格納部420を有している。
システム制御部411は、映像記録装置41において行われる主な処理や制御などを行う機能を有している。また、通信処理部412は、LAN60における通信機能を有しており、監視カメラ10〜32から送信された映像を受信したり、他の所定の映像記録装置43からイベント情報を受信したり、他の所定の映像記録装置42に対してイベント情報を送信したりする機能を有している。通信処理部412で受信された映像は、映像記録部413に供給される。
また、映像記録部413は、通信処理部412で受信した監視カメラ10〜32の映像を、所定の記録媒体(例えば、磁気記録テープや光記録媒体、ハードディスクなど)に記録する機能を有している。なお、映像記録部413は、通信処理部412で受信したすべての映像を記録してもよいが、監視カメラ10〜32の映像を選択的に記録することも可能である。
また、映像表示部414は、通信処理部412で受信した監視カメラ10〜32の映像を表示するモニタである。なお、複数の監視カメラ10〜32の映像を表示する場合には、例えば、分割画面を利用してすべての監視カメラ10〜32からの映像を一度に表示してもよく、また、所定の時間ごとに各監視カメラ10〜32の映像を切り換えて表示してもよい。また、通信処理部412で受信したすべての映像を表示してもよいが、監視カメラ10〜32の映像を選択的に表示することも可能である。
また、稼動管理部415は、映像記録装置41の各プロセスや記録媒体、ハードウェアなどの稼動状態を常に監視し、その監視結果をイベント管理部419に通知する機能を有している。また、記録容量管理部416は、映像記録部413で行われる映像の記録に用いられている記録媒体の記録可能容量を把握する機能を有している。例えば、記録容量管理部416は、記録媒体の記録可能容量が所定量以下となった場合に、その旨をイベント管理部419に通知する機能を有している。
また、動作モード管理部417は、システム制御部411から通知される動作モードに基づいて、動作モード情報格納部418に格納されている動作モード情報の管理、読み出しを行う機能を有しており、動作モード情報格納部418は、他の映像記録装置42、43における動作に応じて選択される複数の動作モード情報を格納している。なお、各映像記録装置41〜43は、それぞれ異なる動作モード情報を格納している。動作モード情報に関しては、後で図5、図6を参照しながら説明する。
また、イベント管理部419は、稼動管理部415、記録容量管理部416、動作モード管理部417などから情報を取得し、この情報に基づいて何らかのエラーが発生していると判断された場合に、エラーの発生を示すイベント情報を所定の映像記録装置(循環リレー式にあらかじめ定められた隣接する映像記録装置42)に送信する機能を有している。イベント管理部419は、イベント対応表情報格納部420に格納されているイベント対応表情報を参照して、発生したエラーに対応するイベント情報の生成を行う。また、イベント管理部419は、エラーが発生していない場合であっても、エラーが発生していない旨を示すイベント情報を定期的に送信することが可能であり、これによって、エラーが発生していない旨を他の所定の映像記録装置42に明示的に示すことができるとともに、他の所定の映像記録装置42は、エラーが発生していない旨を示すイベント情報の受信ができなくなった場合に、その映像記録装置41における何らかの障害の発生を検出することができる。
さらに、イベント対応表情報格納部420に格納されているイベント対応表情報は、他の所定の映像記録装置42に対してイベント情報を送信する際だけではなく、他の所定の映像記録装置43からイベント情報を受信した場合に、その内容を把握するために参照される。
ここで、図3を参照しながら、イベント対応表情報格納部420に格納されているイベント対応表情報の一例について説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態における映像記録制御システムの映像記録装置によって保持されているイベント対応表情報の一例を模式的に示す図である。なお、基本的に、映像記録装置41〜43には、同一のイベント対応表情報があらかじめ格納されているが、各装置の役割に応じて異なるイベント対応表情報が格納されていてもよい。
図3に図示されているように、イベント対応表情報は、各イベント情報に含まれる固有情報と映像記録装置の稼動状態との対応関係(すなわち、映像記録装置の稼動状態に対応して、隣接する映像記録装置に対して通知すべきイベント情報)及び各イベント情報に含まれる固有情報と動作モードとの対応関係(すなわち、隣接する映像記録装置から受信したイベント情報に応じて設定すべき動作モード)を有している。また、イベント対応表情報には、任意の付加情報が記載されていてもよい。
例えば、図3に図示されているイベント対応表情報には、映像記録装置41自身の稼動状態が正常稼動の場合にはイベント1の固有情報を通知する旨が記載されている。すなわち、イベント管理部419は、特に映像記録装置41自身にエラーが発生していない場合には、イベント対応表に基づいて、隣接する所定の映像記録装置42に対してイベント1のイベント情報を通知する。また、映像記録装置41は、隣接する所定の映像記録装置43からイベント1のイベント情報を受信した場合には、イベント対応表情報を参照して動作モードを『1』とする。
また、例えば、図3に図示されているイベント対応表情報には、映像記録装置41自身の稼動状態が記録容量不足の場合にはイベント2の固有情報を送信する旨が記載されている。すなわち、イベント管理部419は、記録媒体の残容量がわずかとなり、映像記録装置41自身がこれ以上記録できない状態となった場合には、イベント対応表に基づいて、隣接する所定の映像記録装置42に対してイベント2のイベント情報を通知する。なお、図3のイベント対応表情報によって示されているように、イベント情報に付加情報として残容量の値を含ませることも可能である。また、映像記録装置41は、隣接する所定の映像記録装置43からイベント2のイベント情報を受信した場合には、イベント対応表情報を参照して動作モードを『2』とする。
また、例えば、図3に図示されているイベント対応表情報には、映像記録装置41自身の稼動状態がエラー発生である場合にはイベント3の固有情報を送信する旨が記載されている。すなわち、イベント管理部419は、映像記録装置41自身のハードウェアに、映像の記録は不可能ではないが動作に何らかの支障が生じる(動作が不安定になる)エラーが発生した場合には、イベント対応表に基づいて、隣接する所定の映像記録装置42に対してイベント3のイベント情報を通知する。なお、図3のイベント対応表情報によって示されているように、イベント情報に付加情報としてエラーの発生箇所を含ませることも可能である。また、映像記録装置41は、隣接する所定の映像記録装置43からイベント3のイベント情報を受信した場合には、イベント対応表情報を参照して動作モードを『3』とする。
また、例えば、図3のイベント対応表情報に示されているように、監視カメラ10〜32からアラームを受信した場合には、その旨をイベント4のイベント情報として、他の所定の映像記録装置42に通知することも可能である。また、この際、アラームの送信元である監視カメラ10〜32の識別情報(カメラ番号)をイベント情報に付加することも可能である。
また、例えば、図3のイベント対応表情報に示されているように、映像記録装置41は、隣接する所定の映像記録装置43からイベント情報を受信できなくなった場合には、イベント2の場合と同様に、隣接する所定の映像記録装置43で映像の記録が不可能になったと判断して、動作モードを『2』とする。
次に、監視カメラ10〜32の機能について説明する。なお、すべての監視カメラ10〜32は、同一の機能を備えていればよく、特に、特定の監視カメラに特別な機能を設ける必要はない。ここでは、監視カメラ10〜32を代表して、監視カメラ10の内部構成について説明を行うが、他の監視カメラも同一の機能を有していればよく、また、更に特別な機能を有していてもよい。
図4は、本発明の第1の実施の形態における映像記録制御システムの監視カメラの構成の一例を示す機能ブロック図である。図4に図示されている監視カメラ10は、映像撮像部100、エンコーダ101、及び映像送信部102を有している。
映像撮像部100は、映像を撮像する機能を有しており、所定の場所を撮像するためのカメラや、カメラによって取り込まれた光信号を電気信号に変換するコンバータなどを有している。また、エンコーダ101は、映像撮像部100によって撮像された映像を所定の映像フォーマット(例えば、JPEG方式)に符号化する機能を有している。
また、映像送信部102は、エンコーダ101によって符号化された映像を、LAN60を通じて伝送可能なフォーマットに変換する機能(例えば、パケット化機能)や、パケット化された映像を、LAN60を介して所定の送信先に送信する機能を有している。なお、映像の送信先や送信する映像の品質、映像の単位時間当たりの送信枚数には、例えば、映像記録装置41〜43によって指示された情報が設定される。
なお、監視カメラ10〜32は、指示された送信先に対して映像を送信するタイプでもよく、映像の要求を行った相手を送信先として映像を送信するタイプであってもよい。また、監視カメラ10〜32は、映像記録装置41〜43に対して、映像をユニキャストで送信してもよく、あるいはマルチキャストで送信してもよい。なお、マルチキャストで送信する場合には、映像記録装置41〜43は、映像を受信すべき各監視カメラ10〜32のマルチキャストグループに参加する前処理を行う必要がある。
次に、本発明の第1の実施の形態における映像記録制御システムの映像記録装置41〜43で行われる処理について説明する。映像記録装置41〜43で行われる処理は、映像記録装置が他の所定の映像記録装置に対してイベント情報を送信する際の処理と、他の所定の映像記録装置からイベント情報を受信した際の処理の2つの処理に大別される。
以下、映像記録装置41〜43の処理について説明する。なお、ここでは、映像記録装置41〜43を代表して、映像記録装置41における処理について説明するが、他の映像記録装置42、43においても同一の処理が行われる。
上述のように循環リレー式でイベント情報が通知される場合には、映像記録装置41は、映像記録装置43からイベント情報を受信する。映像記録装置43は、正常稼動を示すイベント1のイベント情報を定期的に送信している。映像記録装置41は、映像記録装置43からイベント1のイベント情報を受信した場合には、動作モード管理部417が動作モード情報格納部418に格納されている動作モード情報を参照して、イベント1に対応する動作モード『1』をシステム制御部411に通知する。システム制御部411は、監視カメラ10〜17の映像の記録を行う通常の動作モード『1』の動作モード情報を動作モード情報格納部418から読み出して、動作モード『1』に係る動作を行う。なお、同一のイベント情報を受信し続けている場合には動作モードの変更は行われないので、映像記録装置41の動作モード管理部417は、特に、動作モード情報の参照やシステム制御部411へのイベントの固有情報の通知を行う必要はない。
図5は、本発明の第1の実施の形態における映像記録制御システムの映像記録装置によって保持されている動作モード『1』の動作モード情報の一例を模式的に示す図である。図5に図示されている動作モード『1』の動作モード情報は、各監視カメラ10〜17の品質(撮像される映像の品質)、送信枚数(単位時間(例えば1秒)当たりに送信する枚数)、映像記録装置41における記録枚数(単位時間(例えば1秒)当たりに映像記録装置41が記録する枚数)、映像記録装置41における映像記録の要否(図5では○が要、×が否)、映像記録装置41における映像表示の要否(図5では○が要、×が否)の各項目を有している。
映像記録装置41は、例えば監視カメラ10の行を参照して、監視カメラ10に対して高品質の映像を1秒当たり30枚送信するように指示し、監視カメラ10から受信した映像を1秒当たり30枚記録するとともに表示画面上に表示を行う。なお、映像記録装置41は、すべての行(監視カメラ10〜17の行)を参照して、同様に監視カメラ10〜17への指示や映像の記録及び表示を行う。
また、映像記録装置43において記録容量不足となり、映像記録装置43が、記録容量不足を示すイベント2のイベント情報を送信したとする。この場合、イベント2のイベント情報を受信した映像記録装置41の動作モード管理部417は、動作モード情報格納部418に格納されている動作モード情報を参照して、イベント2に対応する動作モード『2』をシステム制御部411に通知する。システム制御部411は、動作モード『2』の動作モード情報を動作モード情報格納部418から読み出して、動作モード『2』に係る動作を行う。
図6は、本発明の第1の実施の形態における映像記録制御システムの映像記録装置によって保持されている動作モード『2』の動作モード情報の一例を模式的に示す図である。図6に図示されている動作モード『2』の動作モード情報は、各監視カメラ10〜17、30〜32の品質(撮像される映像の品質)、送信枚数(単位時間(例えば1秒)当たりに送信する枚数)、映像記録装置41における記録枚数(単位時間(例えば1秒)当たりに映像記録装置41が記録する枚数)、映像記録装置41における映像記録の要否(図6では○が要、×が否)、映像記録装置41における映像表示の要否(図6では○が要、×が否)の各項目を有している。
動作モード『1』の動作モード情報と、動作モード『2』の動作モード情報との最も大きな違いは、動作モード『2』では、映像記録装置43で記録していた監視カメラ30〜32の映像を映像記録装置41で記録する点にある。すなわち、イベント2のイベント情報は、映像記録装置43において映像の記録が不可能な旨を通知する情報であり、このイベント2のイベント情報の受信によって、映像記録装置41は、映像記録装置43によって行われていた映像の記録を補完する必要がある。
また、イベント2のイベント情報では、記録枚数の総計を映像記録装置41が記録可能な上限の記録枚数(毎秒240枚)に抑えるために、各監視カメラ10〜17、30〜32の記録枚数がそれぞれ毎秒20枚に設定されている。
映像記録装置41は、例えば監視カメラ30の行を参照して、監視カメラ30に対して中品質の映像を1秒当たり30枚送信するように指示し、監視カメラ30から受信した映像を1秒当たり20枚記録するとともに表示画面上に表示を行う。なお、映像記録装置41は、すべての行(監視カメラ10〜17、30〜32の行)を参照して、同様に監視カメラ10〜17、30〜32への指示や映像の記録及び表示を行う。
また、映像記録装置43においてハードウェアにエラーが発生して不安定な状態となり、映像記録装置43が、エラー発生を示すイベント3のイベント情報を送信したとする。この場合、イベント3のイベント情報を受信した映像記録装置41の動作モード管理部417は、動作モード情報格納部418に格納されている動作モード情報を参照して、イベント3に対応する動作モード『3』をシステム制御部411に通知する。システム制御部411は、動作モード『3』の動作モード情報を動作モード情報格納部418から読み出して、動作モード『3』に係る動作を行う。
図7は、本発明の第1の実施の形態における映像記録制御システムの映像記録装置によって保持されている動作モード『3』の動作モード情報の一例を模式的に示す図である。図7に図示されている動作モード『3』の動作モード情報は、各監視カメラ10〜17、30〜32の品質(撮像される映像の品質)、送信枚数(単位時間(例えば1秒)当たりに送信する枚数)、映像記録装置41における記録枚数(単位時間(例えば1秒)当たりに映像記録装置41が記録する枚数)、映像記録装置41における映像記録の要否(図7では○が要、×が否)、映像記録装置41における映像表示の要否(図7では○が要、×が否)の各項目を有している。
動作モード『2』の動作モード情報と、動作モード『3』の動作モード情報との最も大きな違いは、記録枚数の設定にある。動作モード『2』では、映像記録装置43における映像の記録が不可能となるため、映像記録装置41で映像の記録の肩代わりを完全に行う必要がある。一方、動作モード『3』では、映像記録装置43における映像の記録が不安定となるが、完全に記録が不可能となるわけではない。したがって、動作モード『3』では、映像記録装置41において、念のために監視カメラ30〜32による映像を毎秒10枚記録するとともに、記録枚数の総計を映像記録装置41が記録可能な上限の記録枚数(毎秒240枚)に抑えるために、各監視カメラ10〜17の記録枚数をそれぞれ毎秒25枚とする。
また、映像記録装置41が、映像記録装置43から定期的に受信すべきイベント1のイベント情報を受信できなくなったとする。この場合には、イベント情報を受信できなくなった映像記録装置41の動作モード管理部417は、動作モード情報格納部418に格納されている動作モード情報を参照して、イベント無しに対応して映像記録装置43に障害が発生して映像の記録が不可能になったとみなす動作モード『2』をシステム制御部411に通知する。システム制御部411は、上述のイベント2のイベント情報を受信した場合と同様に、動作モード『2』の動作モード情報を動作モード情報格納部418から読み出して、動作モード『2』に係る動作を行う。
以上、説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、ある映像記録装置が別の1台の映像記録装置を循環リレー的に監視するように構成し、第1の映像記録装置が監視対象とする第2の映像記録装置に障害が発生した場合には、あらかじめ設定された障害発生時の動作モードに移行して動作を行う一方、第1の映像記録装置自身に障害が発生した場合には、第1の映像記録装置を監視対象とする第3の映像記録装置に障害の発生を通知することで、集中制御を行う制御装置を設けずに効率的な映像記録制御を実現し、映像記録装置に障害が発生した場合でも、映像の記録が中断されることなく継続して行われるようにするとともに、記録した映像データの削除を最低限に抑えることが可能な映像記録制御システムを低コストかつ効率的に実現することが可能となる。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。上述の本発明の第1の実施の形態では、各映像記録装置は、その監視対象である映像記録装置に障害が発生した場合の動作が記載された動作モード情報をあらかじめ保持しているが、監視対象の映像記録装置から動作モードを取得し、その動作モードに従って、障害発生時における最適な動作を判断することも可能である。以下、監視対象の映像記録装置から動作モードを取得して、その動作モードに従って、障害発生時における最適な動作を判断する場合について説明する。
映像記録装置41〜43の主要な構成要素は、本発明の第1の実施の形態と比較してほぼ変更はないが、本発明の第1の実施の形態と大きく異なる点は、映像記録装置41〜43間で、イベント情報に加えて動作モード情報の通知が行われる点にある。これにより、本発明の第2の実施の形態に係る映像記録制御システムは、本発明の第1の実施の形態に係る映像記録制御システムに比べて、予期できない障害に対しても柔軟に対処することができるという効果を有する。
例えば、映像記録装置41のシステム制御部411は、起動時に動作モード管理部417に対して、映像記録装置41を監視対象とする映像記録装置42に映像記録装置41の動作モードを送信するように指示する。動作モード管理部417は、通信処理部412を介して映像記録装置42に動作モードを通知する。なお、動作モード管理部417は、映像記録装置42への動作モードの通知時に、映像記録装置42から正常に受信した旨を示す応答を待ち、この応答を受信することができない場合には、正常に受信した旨を示す応答を受信するまで、一定時間おきに再度動作モードを通知する処理を繰り返し行うことが望ましい。また、映像記録装置41の動作モードに何らかの変更が生じた場合には、映像記録装置42で保持されている映像記録装置41の動作モードの更新が同期して行われるようにすることが望ましい。
一方、動作モード管理部417は、映像記録装置41が監視対象とする映像記録装置43から動作モードを受信した場合には、その動作モードを動作モード情報格納部418に格納するとともに、通信処理部412を介して映像記録装置43に対して、正常に受信した旨を示す応答を返す。
図8は、本発明の第2の実施の形態における映像記録制御システムの映像記録装置41によって保持される映像記録装置43の動作モード情報の一例を模式的に示す図である。障害の発生していない通常の状態では、上述のように、3階に設置されている映像記録装置43は3台の監視カメラ30〜32から映像を受信して記録するように構成されている。したがって、通常の状態では、映像記録装置43は、図8に図示されているように、3台の監視カメラ30〜32から映像を記録及び表示する動作モードで動作を行っている。
ここで、映像記録装置41が、映像記録装置43から記録容量不足を示すイベント2のイベント情報を受信したとする。このとき、映像記録装置41のシステム制御部411は、動作モード管理部417に対して、最適な動作モードの問い合わせを行い、動作モード管理部417は、動作モード情報格納部418に格納されている映像記録装置43の動作モード及び映像記録装置41自身の動作モードに基づいて、新たな動作モードを決定する。この処理によって、動作モード管理部417は、映像記録装置41自身が映像の記録を行っている監視カメラ10〜17に加えて、映像記録装置43が映像の記録を行っている監視カメラ30〜32を肩代わりする判断を行い、その結果、例えば、図5に図示されている動作モードに、図8に図示されている動作モードが加えられて、図6に図示されている動作モードが決定される。なお、映像記録装置41は、その他のイベント情報に関しても同様に、新たな動作モードを決定して、柔軟に対応することが可能である。
なお、映像記録装置41〜43は、新たな動作モードを決定する際に、例えば、すべての監視カメラ10〜32の毎秒の記録枚数(記録レート)を一定にしてもよく、また、監視場所の重要度に応じて記録レートの割り振りを行ってもよい。例えば、映像記録装置41は、図6に図示されている動作モードに示されているようにすべての監視カメラ10〜32の記録レートを一定にせずに、高品質に設定されている監視カメラ10、12、13、15、16、31による映像の重要度が高いと判断して、監視カメラ10、12、13、15、16、31を毎秒30枚の記録レートとし、監視カメラ11、14、17、30、32は毎秒10枚の記録レートとしてもよい。また、すべての監視カメラ10〜32を毎秒30枚の記録レートで記録できるように、一部又はすべての監視カメラ10〜32の映像品質を落とすことも可能である。また、例えば重要な監視カメラ10〜32の映像のみを記録するようにしてもよい。すなわち、例えば、高品質に設定されている監視カメラ10、12、13、15、16と映像記録装置43が映像の記録を行っていたすべての監視カメラ30〜32のみを毎秒30枚で記録し、監視カメラ11、14、17による映像の記録を中止するように決定してもよい。
以上、説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、ある映像記録装置が別の1台の映像記録装置を循環リレー的に監視するとともに、監視を行う映像記録装置が、その監視対象である映像記録装置の動作モードを示す動作モード情報を取得するように構成し、第1の映像記録装置が監視対象とする第2の映像記録装置に障害が発生した場合には、障害が発生する前に動作していた第2の映像記録装置の動作モードに基づいて新たな動作モードを決定し、その新たな動作モードに移行して動作を行う一方、第1の映像記録装置自身に障害が発生した場合には、第1の映像記録装置を監視対象とする第3の映像記録装置に障害の発生を通知することで、集中制御を行う制御装置を設けずに効率的な映像記録制御を実現し、映像記録装置に障害が発生した場合でも、映像の記録が中断されることなく継続して行われるようにするとともに、記録した映像データの削除を最低限に抑えることが可能な映像記録制御システムを低コストかつ効率的に実現することが可能となる。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。上述の本発明の第1及び第2の実施の形態では、主に映像記録装置に障害が発生した場合の動作モードの変更に関して説明したが、この本発明の第3の実施の形態では、障害が発生していない場合における動作モードの変更について説明する。なお、このような場合の一例としては、例えばビルに人が侵入した場合に動作モードを変更して、詳細な画像を記録することができるように普段よりも高品質の画像を記録する場合が考えられる。また、以下では、主に、本発明の第1の実施の形態の動作に基づいて、本発明の第3の実施の形態の動作を説明するが、本発明の第2の実施の形態の動作にも適用可能である。
本発明の第3の実施の形態においても、上述の図1に図示されている映像記録制御システムを参照しながら説明する。ここで、図1に図示されている映像記録制御システムにおいて、監視カメラ11がビルの入り口に設置されていると仮定する。このとき、例えば、映像記録装置41は、人の侵入を検出した旨を通知するアラーム信号を1階の監視カメラ11から受信すると、例えば1階のすべての監視カメラ10〜17によって撮像される映像の品質を高品質に変更する。
すなわち、映像記録装置41のイベント管理部419は、通信処理部412を介して監視カメラ11からのアラーム信号を受信すると、図9に図示されているようなイベント対応表を参照して、動作モード『4』への切替が発生したことをシステム制御部411に通知する。システム制御部411は、動作モード管理部417に対して動作モード『4』に対応する動作モードを問い合わせる。動作モード管理部417は、動作モード情報格納部418から、人の侵入を検出した場合の動作モード『4』に対応する動作モード情報(図11に図示されている動作モード『4の動作モード情報』)をシステム制御部411に返す。
なお、監視カメラ11には、動き検出機能やセンサ入力ポートなどの人の侵入が検出可能な機能が設けられており、人の侵入を検出すると映像記録装置41にアラーム信号を送出するように構成されていることが望ましいが、人の侵入を検出する機能(検出装置)が、監視カメラ11とは異なる装置として設けられていてもよく、また映像記録装置41内部に設けられていてもよい。
映像記録装置41の動作モード情報格納部418に格納されているイベント対応表は、例えば、図9に図示されているような構造及び情報を有している。なお、通常の状態では、映像記録装置41の動作モードは、図9に図示されているイベント対応表のイベント1に基づき、図10に図示されている動作モード『1』に設定されている。
図10に図示されている動作モード『1』の動作モード情報は、各監視カメラ10〜17の品質(撮像される映像の品質)、送信枚数(単位時間(例えば1秒)当たりに送信する枚数)、映像記録装置41における記録枚数(単位時間(例えば1秒)当たりに映像記録装置41が記録する枚数)、映像記録装置41における映像記録の要否(図9では○が要、×が否)、映像記録装置41における映像表示の要否(図5では○が要、×が否)の各項目を有している。なお、特別な状態にならない限り、通常は、映像記録装置41は、この動作モード『1』に従って動作を行っている。
一方、監視カメラで人の侵入が検出されて監視カメラ11からアラーム信号を受信した場合には、映像記録装置41は、図9に図示されているイベント対応表のイベント4が発生したことを検知し、動作モードを図11に図示されている動作モード『4』に変更する。
図11に図示されている動作モード『4』の動作モード情報のテーブルも、上述の図10と同様の構成を有している。映像記録装置41が動作モード『4』に設定された場合には、詳細な画像を撮像できるように、すべての監視カメラ10〜17によって撮像される画像が高品質に設定されるとともに、送信枚数及び記録枚数も最大の毎秒30枚に設定され、さらに、すべての映像の表示及び記録も行われるようになる。
さらに、映像記録装置41は、通信処理部412を介して映像記録装置42に対して、監視カメラ11からアラーム信号を受信した旨を示すイベントを発行する。映像記録装置41からこのイベントを受信した映像記録装置42は、監視カメラ20〜24においても詳細な画像を記録できるように設定を変更して、人の侵入が検出されたという異常事態に備える。なお、映像記録装置42においても、映像記録装置41の上述の動作と同様に、イベント発生時にイベント対応表を参照し、適切な動作モードに変更する。
映像記録装置42は、例えば、図12に図示されているようなイベント対応表を保持している。通常の状態では、映像記録装置42の動作モードは、図12に図示されているイベント対応表のイベント1に基づき、図13に図示されている動作モード『1』に設定されている。
図13に図示されている動作モード『1』の動作モード情報も、上述の図10と同様の構成を有しており、特別な状態にならない限り、通常は、映像記録装置42は、この動作モード『1』に従って動作を行っている。なお、ここで、映像記録装置42によって管理されている2階は、通常はほとんど人の行き来がない場所であり、動作モード『1』は効率良く長時間撮像できる設定となっている。特に、監視カメラ23に関しては、通常は映像の送信や記録、表示が行われない。
一方、映像記録装置41からイベント4の発生の通知を受信した場合には、映像記録装置42は、図12に図示されているイベント対応表のイベント4が発生したことを検知し、動作モードを図14に図示されている動作モード『4』に変更する。
図14に図示されている動作モード『4』の動作モード情報のテーブルも、上述の図10と同様の構成を有しているが、上述の映像記録装置41における動作モード『4』と同様に、詳細な画像を撮像できるように、すべての監視カメラ20〜24によって撮像される画像が高品質に設定されるとともに、送信枚数及び記録枚数も最大の毎秒30枚に設定され、さらに、すべての映像の表示及び記録も行われるようになる。
なお、ここでは、イベントの一例として、監視カメラ11によって人の侵入が検出された場合に送信されるアラーム信号が挙げられているが、動作モードの変更のトリガとなるイベントは、これに限定されるものではない。他のイベントの一例としては、例えば、図9や図12に図示されているイベント対応表に記載されているように、記録容量が不足している場合やエラーが発生した場合、あるいはその他の任意の監視カメラにおいて何らかの異常が検出されたアラーム信号が送信された場合などが挙げられる。なお、映像記録装置41、42は、それぞれのイベントに対応した動作モード情報を保持しており、各イベントに適した動作を行うことができることが望ましい。
また、ここでは、イベント発生を映像記録装置41から映像記録装置42に通知しているだけであるが、さらに映像記録装置41又は映像記録装置42から別の映像記録装置(例えば映像記録装置43)に通知することによって、他の場所においてもイベント発生事項(人の侵入検出)に備えることが可能となる。また、メールや音声などの他の通知手段を介して、他の任意の装置にイベント発生を通知することも可能である。
以上、説明したように、本発明の第3の実施の形態によれば、映像記録制御システム全体の集中制御を行う制御装置を設けずに効率的な映像記録制御を実現し、特に、任意のイベント発生に対応し、効率良く映像データの記録を行うことが可能となる。
なお、上述の本発明の第1〜第3の実施の形態における監視カメラは、汎用のネットワークカメラによって実現可能である。また、上述の本発明の第1及び第2の実施の形態における映像記録装置は、汎用のネットワークビデオレコーダ(ネットワークに接続されたDVD(Digital Versatile Disc)レコーダやHDD(Hard Disk Drive)レコーダ)や、PCなどの汎用のコンピュータによって実現可能である。
また、上述の本発明の第1〜第3の実施の形態では、映像フォーマットがJPEG方式であることを前提として説明したが、映像フォーマットは特に限定されるものではなく、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)方式やH.264方式などを利用することも可能である。また、特に、MPEG方式やH.264方式の場合には、1秒間の送信枚数ではなく、送信レート(1秒間の送信ビット数)に基づいて、上述の映像記録装置の割り当て動作を行ったり、送信枚数や映像の品質を落とす代わりに、送信レートを落とすことによって、監視カメラから送出される映像情報を減らしたりすることが望ましい。
また、映像記録装置は、受信した映像データを記録したり表示したりするだけではなく、遠隔操作によって別の場所で映像監視できるように、映像データをネットワークに送信できる機能を有していてもよい。