JP4889497B2 - 車両の走行挙動を改善するための方法及びシステム - Google Patents

車両の走行挙動を改善するための方法及びシステム Download PDF

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Description

この発明は、直線的な走行、カーブ走行などの車両の走行状況を監視及び解析するための走行状況識別部に関する。
1.走行安定性制御(FSR)の一般的構造
走行安定性制御(FSR)の概念の下では、個々の車輪ブレーキの予め設定可能な圧力と、駆動エンジンのエンジン管理への介入によって、車両の走行挙動に影響を与えるための4つの原理が一つにまとめられている。この4つの原理は、制動中個々の車輪のロックを防止するアンチロックブレーキコントロール(ABS)と、駆動される車輪の空転を防止するトラクションスリップコントロール(ASR)と、車両の前車軸と後車軸の間における制動力の配分比を制御する電子式制動力分配(EBV)と、カーブを通過する際における安定した走行状態を提供するヨーイングモーメントコントロール(GMR)とである。
即ち、この関連において、車両とは、油圧式ブレーキ装置を備えた4個の車輪を持つ自動車を指すものとする。油圧式ブレーキ装置では、運転者は、ペダル操作式マスターシリンダによってブレーキ圧を発生させることができる。各々の車輪は、それぞれ吸入バルブと排出バルブに対応するブレーキを備えている。これらの車輪ブレーキは、吸入バルブを介してマスターシリンダと接続される一方、排出バルブは、無圧のタンク又は低圧溜めに通じている。最後に、補助圧力源が設けられている。この補助圧力源は、ブレーキペダルの位置とは無関係に、車輪ブレーキに圧力を加えることができる。吸入バルブと排出バルブは、車輪ブレーキの圧力を制御するために電磁的に操作可能である。
走行中の動的状態を検出するために、各車輪当りに1個、合計4個の回転数センサーと、少なくとも1個のヨーイング速度測定器と、1個の横加速度測定器と、ブレーキペダルによって発生するブレーキ圧のための少なくとも1個の圧力センサーとが設けられている。その際、運転者によって加えられるブレーキ圧が、補助圧力源のブレーキ圧と区別できないような形で、補助圧力源が配置されている場合、この圧力センサーは、ペダルストローク測定器又はベダル力測定器によって置き換え可能である。更に、ギヤの状態、例えば、変速機等に関する情報を照会することができる。
このような多数のセンサーの場合、フォールバック策が実施されていると有利である。これは、センサーの部品が故障したときに、その部品に割り当てられている制御の一部だけを停止することを意味する。例えば、ヨーイング速度測定器が故障すると、確かにヨーイングモーメントコントロールを行うことができないが、ABS、ASR及びEBVは機能し続ける。即ち、走行安定性制御を、これらの残りの3つの機能に制限することができる。
走行安定性制御を行うと、運転者にとって臨界状況において、より良好に走行を支配できるように、或いは臨界状況が最初から回避されるように、車両の走行挙動に影響を与えることとなる。この場合、臨界状況とは、不安定な走行状態であり、極端な場合には、車両が運転者の指示に従わない状態である。即ち、走行安定性制御の機能は、このような状況下において、物理的な限界内で、車両に運転者が希望する車両挙動を与えることにある。
アンチロックブレーキコントロール、トラクションコントロール及び電子式制動力分配にとっては、先ず第1に、道路上でのタイヤの縦方向スリップが重要である一方、ヨーイングモーメントコントロール(GMR)に対しては、他の変数(量)、例えば、ヨー角速度
Figure 0004889497
が入力される。
ヨーイングモーメントコントロールのために、様々な車両参照モデルを用いることができる。最も簡単な場合、単一トラックモデル(単軌道モデル)に基づいて計算を行う。即ち、このモデルでは、前輪と後輪は、それぞれ対を成して、車両縦軸上にある1個の車輪に纏められている。二トラックモデルに準拠する場合、計算は非常に複雑になる。しかし、二トラックモデルの場合、重心の横方向のずれ(ローリング運動)を考慮することができるので、その結果は、より正確となる。
単一トラックモデルに関して、状態空間表示において、次のシステム方程式が成り立つ。
F1.1
Figure 0004889497
F1.2
Figure 0004889497
横滑り角βとヨー角速度
Figure 0004889497
は、システムの状態量である。その際、車両に作用する入力量は、操舵角δであり、この角度によって、車両は、出力量としてヨー角速度
Figure 0004889497
を与える。その際、モデル係数ciiは、次のようにして求められる。
F1.3
Figure 0004889497



この場合、ch とcv は、後車軸又は前車軸におけるタイヤの弾性、車輪懸架装置の弾性及び操舵装置の弾性から生じる剛性を示している。lh とlv は、車両重心からの後車軸と前車軸の距離を示している。Θは、車両のヨーイング慣性モーメント、即ち、垂直軸の周りの車両の慣性モーメントである。
このモデルでは、縦方向力と重心移動は考慮されていない。これらの近似は、小さな角速度についてのみ当てはまる。即ち、このモデルの精度は、カーブの曲率半径が小さくなるにつれて、及び速度が速くなるにつれて低下する。しかしながら、これに対する計算負荷は分かり易い。この単一トラックモデルに関する別の実施形態は、非特許文献1に記載されている。
特許文献1には、車両のための二トラックモデルが提案されている。このモデルの精度は、単一トラックモデルよりも勝っている。この場合にも、ヨー角速度
Figure 0004889497
と横滑り角βが状態量を形成する。しかし、二トラックモデルを使用する場合、十分に短い時間で制御介入を行うことができるようにするためには、膨大な計算能力を必要とすることに留意すべきである。
この方法及び制御システムは、車両の個々のブレーキに目的通り介入することによって、追加の回転モーメントを作り出す働きを有し、この追加の回転モーメントによって、実際に測定した車両の単位時間当りのヨー角の変化(実際のヨーレイト)を介して、運転者が影響を加えた単位時間当りのヨー角の変化(目標のヨーレイト)に適合される。即ち、このような方法及び制御システムは、特に、与えられた状況(例えば、高すぎる速度、滑る走路)のために、追加の回転モーメントが無いと、車両の実際に通るカーブ軌道が、運転者の希望する軌道と一致しなくなる場合に、これを支援する形で車両の操舵挙動に介入するものである。そのような走行安定性を改善するための方法及び制御システムは、原理的には既に広く文献に記載されており、従って、ここでは再度詳しく説明しない。このような方法及び制御システムでは、運転者の希望するカーブ軌道から得られる入力量(例えば、ハンドル角、走行速度)は、常に車両モデル切換部に供給され、この切換部は、周知の単一トラックモデル又は別の走行モデルに準拠して、これらの入力量と、車両の走行挙動に関して特徴的なパラメータと、そしてまた周辺環境の特性によって与えられる量(走路の摩擦係数)とから、測定した実際のヨーレイト(ΨIst )と比較する目標とするヨーレイト(ΨSoll)を決定する。これらのヨーレイトの差分(ΨDiff)は、ヨーイングモーメントコントローラを用いて、分配ロジックの入力量を構成する追加のヨーイングモーメントMG に換算される。
この分配ロジック自身は、又もや、場合によっては車輪ブレーキの所定のブレーキ圧を求める運転者のブレーキ要求に依存して、個々のブレーキに加えるブレーキ圧を決定する。この圧力は、場合によっては所望のブレーキ作用に追加して、更に運転者の操舵要求の方向に向けて車両の走行挙動を支援する追加の回転モーメントを車両に生成させる。
走行時の運転者の挙動外又は内に有る与えられた状況に基づき、走行動特性における車両挙動の変化(例えば、摩擦係数の変化)、例えば、アクセルの戻し又はアクセルの踏み込み、或いはブレーキによる、エンジントルクの変化が発生した場合を例にとると、タイヤの影響、運動力学的な影響、弾性運動力学的な影響などの複数の影響の相互作用によって、特に、車軸における荷重の変化とそのため力の変化が起こるので、車両の走行挙動は変化する。
例えば、アクセルの戻しが起こる、カーブを通り抜ける場合、このアクセルの戻しの前に、駆動輪には、駆動力Fa が作用する。タイヤ接触面の横方向の変形によって、この縦方向の駆動力FA =2xFa は、横方向力に依存して、ほぼ車輪の中央面の外側に作用する。この縦方向の車両軸に対して非対称に作用する縦方向の駆動力FA によって、アンダーステアを起こすヨーイングモーメント(
Figure 0004889497
)が発生する。
アクセルの戻しの後に、エンジン(及びその他の抵抗)が、車両を減速させる場合、(縦方向の)駆動力が負となる。同時に、この減速により、重心SPにおいて、慣性力mxが生じ、それによって、軸荷重が、前輪で上昇するとともに、後輪では、同じ大きさで低下する。そのため、伝達可能な横方向力の配分が変化する。この横方向力の変化(横方向力は、前車軸では僅かに上昇し、後車軸では大きく低下する)は、オーバーステアを起こすヨーイングモーメント(
Figure 0004889497
)を生じさせて、後車軸におけるドリフト角が、大きくなるとともに、車両は、カーブ軌道内で内側に回転する。エンジントルクが、駆動力から制動力に切り換わる場合、このモーメントが逆になることによって、オーバーステア走行挙動からアンダーステア走行挙動への車両の走行挙動の変化が起こる。
当該の要求の部分的な側面だけを満たす方法は、既に存在する。
そのようなものとしては、カーブでの部分的なブレーキ操作に対して、「ABSプラス」という機能が知られている。この機能は、カーブ内側の車輪への圧力を低下させることによって、車両の安定化を達成するものである。しかし、ABSプラスは、専ら測定した車輪速度から車両の挙動を検出している。
運転者が、カーブで、ABSコントロールを作動させる程に強くブレーキをかけた場合、多くの場合、ABS機能自身は、既に内側に回転する傾向に対抗して作用することができる状態にある。このことは、カーブ外側において、カーブ内側よりも大きな接触力とそのためより大きな縦方向力ポテンシャルが支配的であることに基づく。ABSは、縦方向力ポテンシャルを最適に利用することを保証するものである。そして、発生した力のアンバランスは、安定化するためのヨーイングモーメントを生じさせる。
これらの方法は、専用のコントローラを持たず、標準ESPのGMRコントローラを共同使用しているのが欠点である。これらの方法は、GMRコントローラのパラメータに影響を与える(例えば、制御閾値を低下させる)ことによって、その作用を発揮している。
従来の方法は、以下の欠点を有する。
1)各方法は、一つの又は少数の決まった走行状況においてのみ作用し、決まった介入制 御方針にのみ限定されている。
2)各方法は、最適でない部分的な解決策を有する。例えば、圧力を上昇させるために、 油圧ポンプを全力で駆動するので、一つの方法での快適性は最適であるが、他の方法で は、基準ヨーレイトを一貫して利用していない。
3)より多くの個々の方法が並行して作動される程、より多くの走行状況をカバーするこ ととなり、これらの方法の作用範囲(走行状況)が、望ましくないこととしてオーバー ラップする可能性が有る、或いは抜けを残したままとなり、これらの介入制御方針が、 部分的に矛盾することとなるので、速く限界に突き当たる。
ドイツ特許公開明細書第4030704−A1号 "Fahrwerktechnik: Fahrverhalten" von Adam Zomotor, Vogel Buc hverlag, Wuezburg 1987
以上のことから、この発明の課題は、走行状況に応じて早期にかつ快適に、所望の走行挙動に適合するように、車両の走行挙動に影響を与える、車両の走行挙動を改善するための方法及び制御システムを提供することである。更に、この制御の応答特性を向上することである。
この課題は、請求項1の特徴部に挙げた特徴と関連して解決される。
直線的な走行、カーブ走行などの車両の走行状況を監視及び解析するための走行状況識別部は、この車両走行識別部において、車両が、120°/s以下の操舵角速度で、ほぼ定常状態でカーブを進んで行く走行状況を監視及び解析し、その場合に、この走行状況識別部は、部分的なブレーキ操作を伴う直線的な走行状態、部分的なブレーキ操作を伴うカーブ走行状態及び荷重変化を伴うカーブ走行状態の中の少なくとも一つを識別して、コースからの偏差を示す走行状態に応じて、コントローラを作動させる状態機械として構成されていることを特徴とする。
この走行状況識別部の一つの実施形態は、この識別部が、GMR基準量をオフセットにより補正する基準信号モデルと接続されており、その場合に、この走行状況識別部が、このオフセット補正を開始及び停止する時点を決定するとともに、開始時点では、オフセット値を、この基準量に重畳させることを特徴とする。
各車輪に対して一つのブレーキを備えた油圧ブレーキ設備と、車輪回転数、横加速度、ヨー角速度、操舵角、操舵角速度の中の一つ以上を検出又は算出するための少なくとも一つのセンサー又はモデルとを備えた2つの車軸と4つの車輪を持つ車両のヨーイング挙動を制御するための装置は、少なくとも二つの電子式ヨーレイトコントローラを備えており、この場合、目標のヨーレイトと実際のヨーレイトの比較結果がESP介入閾値以下であるのに応じて、第一のコントローラが、追加のヨーイングモーメントMGSESPを、車両の軌道に沿った挙動を改善するように変換し、ESP介入閾値以上では、第二のコントローラ(10)が、ブレーキ操作によって、車両の走行状態を安定化させるように変換することを特徴とする。
追加のヨーイングモーメントを制御するためのESPコントローラと、直線的な走行、カーブ走行などの様々な走行状況を弁別して、制御の際に考慮し、その際、制御閾値に応じて、制御を作動又は停止する状況識別部とを備えている、車両のための走行安定性制御部は、車両が、120°/s以下の操舵角速度で、ほぼ定常状態でカーブを進んで行く走行状況を監視及び解析する別の走行状況識別部が配備されていることと、運転者の希望及び車両状態を表す、定常状態の範囲において期待される、或いは実際に検出した偏差に応じて、ESPコントローラによる制御が停止されている場合に、所望の車両のコースを表す基準量の補正を作動することとを特徴とする。
走行安定性制御部の一つの実施形態は、車両の所望の走行コースを、更にESP制御部において算出して、この所望の走行コースからのずれを評価し、その場合に、所望の走行コースに関して、部分的なブレーキ操作又は荷重変化の状況により、それに続いてカーブからずれる傾向が有るか否かを算出することを特徴とする。
車両の回転挙動を測定して、制御システムの入力量として評価し、その場合に、ヨーレイトと運転者の希望する車両のコースとの論理的な演算によって、車両のコースを変更するための制御量を求め、この車両のコースを変更するための制御量を、制御閾値に応じて、活動状態又は不活動状態に設定する、安定性制御システム(ESP)の制御挙動を改善するための方法は、これらの制御閾値を、走行状況に応じて変化させ、その場合に、車両が、120°/s以下の操舵角速度で、ほぼ定常状態でカーブを進んで行く際には、所望の車両のコースからの偏差を監視及び解析することと、定常状態の範囲において期待される、或いは実際に検出した偏差に関して、これらの制御閾値が、ESP制御閾値を下回る場合に、定義された車両挙動を考慮して、所望の車両のコースを表す基準量を補正することとを特徴とする。
この方法の一つの実施形態は、モデルに準拠した車両基準速度を、車両安定性制御部GMRのセンサー信号から計算することを特徴とする。
この発明の別の実施形態は、モデルに準拠した車両基準速度を、ヨー角速度、操舵角、横加速度、これらの微分値の中の一つ以上又はこれらに代わる信号から算出することを特徴とする。
このSESP(Sensitive Electronic Stability Programm )法は、ゆっくりとした旋回に利用可能である。そのような走行状況は、以下に挙げた条件が、すべて満たされる場合に出現する。
1)運転者が、定常的な走行を希望する、即ち、操舵動作が比較的小さい。これは、直線 的な走行とも、カーブ走行とも考えることができる。
2)車両は、少なくとも初期においては運転者の希望に従う。
3)この定常的な走行の間、車両が、所望の直線的な走行から逸脱するか、或いは所望の カーブ走行の際にカーブ内側に回転(「オーバーステア」)するという意味において、 コースからのずれは、ゆっくりと起こる。
4)このコースからのずれに関して、時間的にその前に測定可能な誘因が有る。
ここでは、オーバーステア状況に限定にして、特に、そのような誘因を問題とし、それらは、直線的な走行の場合には、車輪の縦方向力の非対称的な配分(例えば、不均一な走路、非対称なブレーキの磨耗)を、カーブ走行の場合には、車輪の横方向力ポテンシャルの前車軸への移動を引き起こす(例えば、ブレーキ操作又は荷重変化)ものである。
一方では、自動車産業において、そのようなゆっくりとした旋回プロセスが支配的な場合、ESPコントローラ(ESP(GMR):Electoronic Stability Program)に運転者を支援させよとの要求が有る。この場合、補正による介入は、運転者によって出来る限り気付かれないままでいることが求められる。
ESPコントローラの標準的なAYC(GMR)(AYC:Active Yaw Control)モジュールは、強靭さの理由から、明らかにコースからずれた場合に初めて介入し、この介入は、例えば、圧力上昇が、ブレーキペダル又はハンドルを介して跳ね返って来ることにより、多くの場合、運転者に対しては明らかに感知可能であるので、不十分にしか、この要求を満たしていない。
従って、このAYCモジュールは、所望の目的に対して拡張されなければならない。
新しいSESP法は、前述した要求の意味において、旋回プロセスを補正するための一般的なアプローチである。この方法は、既存の方法とその後の拡張を統合するのに適した構造を提供する。図35は、SESPの構造を図示している。
SESPは、標準的なAYC機能を補完することを目指している。このことによって、一方では、SESPは、AYCの変量及びメカニズムを共同で使用することができる。他方では、AYCは、バックグラウンドで妨害しない形で動作し続けて、SESPが、車両を十分に安定化させることができない場合に、通常通り介入する。標準的なAYCが介入すると、SESP制御が禁止されるか、或いは連続的なSESP制御が中断される。任意選択として、この中断は、突然に、或いは(より快適である)SESP設定量を徐々に低下することによって行われる(図35参照)。
以下において、SESPの個々の構成要素を簡単に述べる。
走行状況識別部は、可能性の有る旋回状況が存在するか否かを決定するために、運転者の希望(例えば、操舵角、エンジントルク要求量、ブレーキ圧)と、その時点の車両状態(例えば、横加速度、見積もったカーブ半径、速度)に関する情報を使用する。この識別部は、状態機械として構成される。図30は、例として、現時点でのSESPの実現形態における可能な状態と許容される状態遷移を図示している。状態機械を使用することによって、検知した走行状況が一義的であることが保証される。SESPコントローラをその時点の走行状況に最適に適合させることができるようにするためには、複数の状態間を区別することが必要である。それと並行して、SESPの介入が許容されるか否かが、(例えば、AYC状態、ABS状態、走路の横方向傾斜、車両速度に基づき)常に調べられる。否定的な結果の場合、直ちに「SESP不活動」状態が指定される。多くの旋回の誘因(例えば、荷重変化)は、本質的に車両挙動に対して、時間的に限定的な作用を持つに過ぎない。これらの場合、SESP走行状況識別部内の当該の状態は、一定の時間後に再び解除される。そのような状態の時間的な限定に関する別の考察は、運転者が、多くの場合、ある程度の「適応時間」後には、自分自身でゆっくりとした旋回プロセスを支配することができるということである。
既に言及した通り、走行状況識別部の検知した状態は、SESPコントローラを作動するとともに、そのパラメータ(例えば、制御閾値)をその時点の走行状況に最適に適合させるために使用される。高感度SESPコントローラを出来る限り早期に「鋭敏に切り換える」ことができるようにするために、SESP走行状況識別部は、車両のリアクションだけでなく、その前に起こる誘因を早くも評価する。コントローラのパラメータに影響を与えること以外に、走行状況識別部は、基準量のオフセット補正用のオフセットを保存すべき時点を、基準信号生成部に通知する課題も有する。このことは、同じく旋回状況に関する可能な誘因を検知した場合に早くも行われる。
この基準信号生成に関して、SESPは、オフセット補正の原理を利用する。運転者の希望は、SESP基準ヨーレイトによって表される。AYC基準ヨーレイトに対して、SESP基準ヨーレイトは、ちょうど荷重変化又はブレーキ操作の開始時において、SESPヨーレイト偏差が零となるような大きさのオフセットを有する。
一方では、このオフセットによって、場合によっては補償されなかったヨーレイトセンサーのオフセットを埋め合わせる。このことは、高感度SESPヨーレイトコントローラのエラー制御を回避するために必要である。他方では、このオフセット補償によって、その時点の車両挙動のずれだけを調節する。
図31は、ヨーレイトセンサーのオフセットが正の場合におけるSESP基準ヨーレイトの生成を図示している。
SESPコントローラの数と形式は、用途に応じて決めることができる。このコントローラの制御量は、ヨーレイトと設定量としての追加のヨーイングモーメントとである。しかし、例えば、横滑り角速度の制御量又は追加のエンジントルクの設定量も、難なく監視することができる。別の可能な設定量は、(それに対するアクチュエーターが存在する限りにおいて)追加の操舵角、スプリング/ダンパー特性の変更、前車軸と後車軸間のエンジントルク配分の変更である。ヨーレイトコントローラは、実際のヨーレイトのSESP基準ヨーレイトからの偏差から、走行安定化に必要な追加のヨーイングモーメントを計算する課題を有する。
純粋なpコントローラとして構成されたコントローラは、作動の判断基準として、許容される走行状況の存在以外に、SESPヨーレイト偏差に関する閾値を有する。この閾値は、走行状況に応じて、最大で標準的なAYCヨーレイトコントローラの閾値の半分の大きさである(図33参照)。「カーブ内での荷重変化」状況に関しては、別の閾値を使用する。
SESPモジュールのアービトレーションにおいて、SESPコントローラの同種のすべての設定量(例えば、追加のヨーイングモーメント)は、一定の優先順位制御に基づき統合される。これらの優先順位制御の選定は、又もや用途に応じて行われる。そのような制御の周知の例は、最大量、追加及び反対の要求の抑制である。更に、このアービトレーションの課題は、このアービトレーションが、SESP設定量を(特に標準的なAYCの)別のコントローラの要求と調整して、願わくは「穏やかな」遷移を保証しなければならないことである。
最後のステップで、これらの設定量を変換する。この場合、運転者が、SESPの介入を出来る限り感知しないようにすることに留意しなければならない。これには、運転者が、インストルメントクラスターを通して、SESPの介入に関する情報を持たないことも含まれる。この場合、このステップにおいて、ESPコントローラの標準的なメカニズムを共同して使用する。このSESPが求める制御方針は、インタフェースを介して、このメカニズムに伝えられる。
以下において、その時点のSESPの実施における追加のヨーイングモーメントの変換について、例を挙げて説明する(図32参照)。先ずは、運転者が、最低限の圧力でブレーキ操作したか否かを調べる。そうである場合、カーブ内側の後輪における圧力の低下によって、追加のヨーイングモーメントを変換する。この介入形式は、一方では、圧力の上昇を作動するのに比べて、バルブ及びポンプの活動を大きく低下することと馴染むとともに、他方では、後車軸への介入によって、ステアリング操作を介した反動を防止するので、快適である。同時に、カーブ内側の後輪の横方向力ポテンシャルを向上させることによって、車両の横方向の安定性を支援する。必要であれば、カーブ内側の前輪において、更に圧力を低下する。運転者のブレーキ圧が、最初に述べた最小限の圧力を下回っている場合、追加のヨーイングモーメントは、カーブ外側の後輪と、必要であれば更にカーブ外側の前輪における圧力を上昇することによって変換される。当該の車輪の横方向力ポテンシャルを保持するために、この圧力は、上方に対して、(既に存在する「スリップモニター」を使用することによって)車輪と道路間の最大限の縦方向力のレベルに制限される。如何なる場合でも、この圧力レベルを上回らないようにするために、安全性を倍化することを目指して、ABSコントローラを高感度モードに切り換える。同時に、意図しない圧力の制限を防止するために、EBVコントローラを停止する。SESP圧力上昇モードの快適性を保証するために、既に存在する低雑音「EUV締切バルブ制御」法を用いて、車輪圧力を調節する。
走路の摩擦係数が低下した場合、能動的な圧力上昇によって、後車軸が不安定化する虞を最小限にするために、見積もった走路摩擦係数が小さくなる程、より多くの圧力をカーブ外側の後輪からカーブ外側の前輪に再配分することを提案する。更に、圧力低下モードと圧力上昇モード間の「二元的な」決定の代わりに、先ずは圧力低下に向けてのポテンシャルを活用するという意味において、流動的な移行を選定するのが有利である場合が有る。そして、追加のヨーイングモーメントのその後において場合によっては未だ考慮されていない部分が、前述した手法により、利用可能な縦方向力ポテンシャルの範囲内で、圧力上昇によって変換される。この部分は、純粋に「二元的な」決定の場合には、考慮されないままである(図32)。
ESPコントローラにおいて、車両にトレーラーが付いているか否かの情報が利用可能である場合、(圧力上昇などの)SESP介入によって生成される車両の縦方向の減速を、トレーラーを不安定化させないレベルに制限するという意味で、この情報をSESPに対して活用することを提案する。最も簡単な場合、例えば、トレーラーを識別している場合、SESPの圧力上昇を完全に停止することができる。
設定量に変換するために、一つの設定量に対して、複数のアクチュエーターが存在する場合、その設定量をそれらのアクチュエーターに比例配分する必要があることにも言及したい。配分の判断基準としては、例えば、快適性又は有効性が、考慮の対象となる。この判断基準は、例えば、以下の原則に基づき考慮することができる。先ずは、設定量は、最も反応の速いアクチュエーターに完全に配分する。次に、そのアクチュエーターに変換することができない分を二番目に速いアクチュエーターに配分する云々。この原則により、最小限の全体的な反応時間が達成される。
更に、追加のヨーイングモーメントを変換するために、先ずは運転者が、約20バールの最小限の圧力でブレーキを踏んでいるか否かを調べることにも言及したい。そうであれば、追加のヨーイングモーメントは、カーブ内側の後輪(と場合によってはカーブ内側の前輪)における快適な圧力低下によって変換される。
運転者のブレーキ圧が、最初に述べた最小限の圧力を下回っっている場合、追加のヨーイングモーメント全体は、カーブ外側の後輪における圧力上昇によって変換される。当該の車輪の横方向力ポテンシャルを保持するために、この圧力を(既に存在する「車輪スリップモニター」を使用して)車輪と道路間の最大限の縦方向力のレベルに制限する。如何なる場合でも、この圧力レベルを上回らないようにするために、安全性を倍化することを目指して、ABSコントローラを高感度モードに切り換える。同時に、意図しない圧力の制限を防止するために、EBVコントローラの作動を阻止する。
圧力上昇モードにおいても、SESPの快適性を保証するために、既に存在する低雑音「EUV締切バルブ制御」法を用いて、このモードにおける車輪圧力を調節する。
図32は、左カーブを例として、SESPが、どの車輪に、圧力低下(−)と圧力上昇(+)を行っているのかを示している。
新SESP法の利点
この新しいSESP法は、既存の方法に対して、以下の利点を有する。
1)このSESPの構造によって、個別に見ると、小さい作用範囲だけをカバーしている 既存の方法を、より大きな作用範囲を持つ一つの全体的な方法に組み合わせることが可 能となる。
2)このSESPの構造は、拡張に対して開かれている。新しい状況、制御量及び設定量 を任意に追加することができる。そのため、この構造は、利用可能なセンサーとアクチ ュエーターの範囲において、ゆっくりとした旋回操縦をカバーする能力を有する。
3)走行状況識別部の部分モジュールであるコントローラと設定量変換部を明確に分離す ることによって、様々な走行状況に対して、同じ作用メカニズムを使用することができ る。このことは、一定した制御品質を保証するとともに、SESPの応用と改善を容易 にする。
4)「横滑り角制御」のモデルに準拠したアプローチと比べて、SESPは、その作用領 域の範囲内において、(個別の車輪力又は車輪ブレーキ圧センサーなどの)追加のセン サーに頼らない。従来のESPセンサーで十分である。
5)時間的にその前の旋回の誘因の徹底的な評価とコントローラの単なる選択的な作動と によって、SESPは、比較的感度の良い制御閾値を使用することができる。このこと は、標準的なAYCとは逆に、SESPが、一方ではゆっくりとした旋回プロセスを検 知することと、他方ではそのことを比較的小さい設定エネルギーで早期に補正すること とを可能としている。
6)専用のSESPコントローラを使用することによって、標準的なAYCコントローラ が、バックグラウンドで動作し続けるとともに、SESPの安定化作用が十分であるか 否かを常に調べることができる。そうではない場合、AYCは、通常通り介入する。
7)前述したオフセット補正された基準量を連続して使用することは、信号エラーの妨げ となる影響を低減する。
8)ここに提案した追加のヨーイングモーメントを変換するための制御方針は、圧力低下 モードにおいても、圧力上昇モードにおいても、高い快適性を有する。同時に、この制 御方針は、一貫して車両安定性の維持のために規定される。
決定的な改善点は、走行状況識別部、制御部及び設定量変換部の間を明確に分離したことである。SESPは、このようにして既存の方法に統合され、これらの方法を最適化し、多くの場合、その後の拡張に対して開かれている。こうすることによって、SESPは、センサー又はアクチュエーターを追加することなく、ESPコントローラの作用範囲を明らかに拡張することが可能である。
走行安定性制御(FSR)フローの全般的な記述を図1に基づき行う。
この車両は、所謂、制御系を形成している。
車両1には、運転者によって与えられる量である、運転者によるブレーキ圧PFahrer又はPTHZ 、アクセル位置、ギヤシフト情報、操舵角δが作用する。車両1では、これらから生じる量である、エンジンの実際のトルクMMotist、横加速度aquer、ヨー角速度
Figure 0004889497
、車輪回転数vwheel 、及び車輪ブレーキ圧PTHZ などの油圧信号が測定されるとともに、ギヤシフト情報が検出される。これらのデータを評価するために、FSR設備は、5個の電子式コントローラ7,8,9,10,20を備えており、これらのコントローラは、それぞれアンチロックコンロールシステムABS、トラクションスリップ制御部ASR、電子式制動力分配部EBV又はヨーイングモーメント制御部GMR、並びに高感度ヨーイングモーメント制御部SESPに組み込まれている。ABS7、ASR8、EBV9及びGMR10のための電子式コントローラは、ほぼ従来技術に対応させることができる。
車輪回転数は、アンチロックコントロールシステム7、トラクションスリップ制御部8、電子式制動力分配装置9及び高感度ヨーイングモーメント制御部20に供給される。更に、トラクションスリップ制御部のコントローラ8は、その時点のエンジントルクであるエンジン実際トルクMMotistに関するデータをも受け取る。この情報は、ヨーイングモーメント制御部GMR用のコントローラ10と高感度ヨーイングモーメント制御部SESP用のコントローラ20にも送られる。SESPコントローラは、更にギヤシフト情報も受け取る。更に、コントローラ10は、車両の横加速度aquerとヨー角速度
Figure 0004889497
に関するデータをセンサーから受け取る。ABSのコントローラ7では、車両の車輪の個々の車輪回転数によって、何れにせよ車両基準速度vRef を算出して、この車両基準速度に基づいて、車輪の中の一つの過度のブレーキのスリップを求めることができるので、このような基準速度は、GMRコントローラ10で計算する必要がなく、ABSコントローラ7によって引き受けられる。車両基準速度をどこで計算するか、或いはヨーイングモーメント制御のために固有の計算を行うか否かは、ヨーイングモーメント制御GMRのプロセスにとって小さな違いにすぎない。同じことが、車両の縦加速度alongについても当てはまる。これに相応して、このための値は、ABSコントローラ7でも算出されて、GMRコントローラ10に送ることができる。このことは、ヨーイングモーメント制御部と高感度ヨーイングモーメント制御部20に対しては、アンチロックコントロールシステムのために計算するよりも正確な摩擦係数を決定することが望ましいので、走路摩擦係数μの決定に関しては、限定的にしか当てはまらない。
FSRの5個のすべてのコントローラ、即ち、SESP20、GMR10、ABS7、ASR8及びEBV9用コントローラは、並行的にかつ互いに独立して、その固有の制御方針に基づいて、個々の車輪のブレーキ圧設定値PSESP,PGMR ,PABS ,PASR ,PEBV を計算する。
更に、ASRコントローラ8、GMRコントローラ10及びSESPコントローラによって、エンジントルクの設定値MASR とMStellM が並行して計算される。
個々の車輪ブレーキ圧用のGMRコントローラ10及びSESPコントローラ20の圧力設定値PGMR とPSESPは、次のようにして算出される。
GMRコントローラ10及びSESPコントローラ20は、先ずは、追加のヨーイングモーメントMGGMR 又はMGSESPをそれぞれ計算し、これらのヨーイングモーメントは、カーブ内での走行状態の安定化或いはカーブ内又は直線的な走行時の走行挙動の改善が相応の能動的なブレーキ操作によって得られる場合に、それをもたらすこととなる。このMGGMR 又はMGSESPは、それぞれ分配ロジック2又は21に供給され、これらの分配ロジックは、それぞれGMRコントローラ10又はSESPコントローラ20の一部とすることもできる。これらの分配ロジック2又は20には、更に、場合によっては存在する、車両を減速するとの運転者の希望が入力され、この運転者の希望は、運転者ブレーキ圧PFahrer(=PTHE )に基づいて識別される。分配ロジック2又は21は、予め定められたヨーイングモーメントMGGMR 又はMGSESPと所望の運転者ブレーキ圧とから、車輪ブレーキ用のヨーイングモーメント制御ブレーキ圧PGMR 又はPSESPを計算し、これらのヨーイングモーメント制御ブレーキ圧は、個々の車輪について個別的に非常に異なる場合が有る。これらのヨーイングモーメント制御ブレーキ圧PGMR 又はPSESPは、ABS、ASR及びEBV用の残りのコントローラ7,8,9によって機能の最適化のために計算される圧力設定値と全く同様に、車輪ブレーキ圧用の優先順位切換部3に供給される。この優先順位切換部3は、運転者の希望を考慮して、最適な走行安定性又は最適な走行挙動のための目標車輪圧力Psollを算出する。この目標車輪圧力は、これらの5個のコントローラの各々の圧力設定値と一致させるか、さもなければ重ね合わせることができる。
上記の車輪ブレーキ圧の場合と同様に、エンジントルクに関しても処理する。ABSとEBVが、車輪ブレーキにのみ作用するのに対し、SESP、GMR及びASRの場合には、エンジントルクへの介入も行われる。SESPコントローラ20、GMRコントローラ10及びASRコントローラ8において別々に計算された、エンジントルクの設定値MMSESP,MStellM及びMASR は、再び優先順位切換部4内で評価され、重ね合わされて目標トルクになる。しかし、この目標トルクMsollは、三つのコントローラの中の一つの計算された設定値にのみ全く一致させることができる。
そこで、車輪ブレーキ圧とエンジントルクの計算した目標設定値PSoll,MSollに基づいて、ブレーキとエンジンへの介入によって走行安定性制御と走行挙動の改善の両方又は一方を行うことができる。そのために、圧力制御部5には、更に、油圧信号又は実際の車輪ブレーキ圧を示す値が入力される。これから、圧力制御部5は、車両1の個々の車輪ブレーキの制御バルブに与えるバルブ信号を生成する。エンジン管理部6は、MSollに応じて車両の駆動エンジンを制御し、それによって、更にエンジンの実際のトルクの変更を行う。そして、これから、FSR設備の5個の電子式コントローラ7,8,9,10及び20用の新しい入力量が、それぞれ再び得られる。
2.高感度ヨーイングモーメントコントローラ(SESP)を備えたヨーイングモーメントコントローラ(GMR)の構造
図2は、GMRコントローラ10及び高感度ヨーイングモーメントコントローラ20内において、分配ロジック2及び21用の追加ヨーイングモーメントMG 及びMSESPが、どのようにして算出されるのかをブロック接続図で示している。そのために、入力量として、操舵角δ、ABSコントローラ7からの車両基準速度vRef 、測定した横加速度aquer及び測定したヨー角速度
Figure 0004889497
が入力される。車両基準速度vRef は、速度が遅い場合に、更なる計算時に分数の分母が零とならないように、零より大きな一定値に設定するフィルター17を通過する。このvRef のフィルターを通過した値は、SESP状況識別部22とアクティベーションロジック25に、フィルターを通過しない値は、車両の静止状態を識別するアクティベーションロジック11に供給される。
このアクティベーションロジック11による車両基準速度vRef の直接的な検出は、フィルターを通過した車両基準速度vRefFilが、その一定の最小値をとった時に、車両の静止状態に有るものと仮定される場合には、省略することもできる。
GMRコントローラには、車両参照モデル12が保存されており、この車両参照モデルは、操舵角δ、フィルターを通過した車両基準速度vRefFil及び測定したヨー角速度
Figure 0004889497
に基づいて、ヨー角速度を変化させるための設定値
Figure 0004889497
を計算する。
この設定値を物理的に可能な範囲内に保つために、この計算には走路摩擦係数μも必要であり、この走路摩擦係数は、摩擦係数及び状況識別部13において、見積値
Figure 0004889497
として計算される。アンチロック制御の範囲内で検出された摩擦係数が十分に正確であるときには、その見積値を使用することもできる。さもなければ、ABSコントローラ7には、GMRコントローラ10で計算した摩擦係数を受け入れる。
摩擦係数及び状況識別部13は、その計算のために、フィルターを通過した基準速度vRefFil、測定した車両横加速度aquer、測定したヨー角速度
Figure 0004889497
及び操舵角δを使用する。
状況識別部13は、直線的な走行、カーブ走行、後退走行及び車両静止状態などの様々な場合を識別する。フィルターを通過した車両基準速度vRefFilが、その一定の最小値をとる場合に、車両静止状態と仮定される。即ち、フィルターを通過しない車両基準速度の代わりに、この車両静止状態を識別するための情報も、アクティベーションロジック11に供給することができる。後退走行を識別するために、所定の操舵角δの場合、ヨー角速度
Figure 0004889497
が、前進走行の時と反対向きになることを利用する。そのために、測定したヨー角速度
Figure 0004889497
を、車両参照モデル12によって与えられる目標ヨー角速度
Figure 0004889497
と比較する。慣用の回転数センサーは、車輪回転方向に関する情報を検出しないので、
Figure 0004889497
は、常に前進走行に対して計算されるため、正負の符号が常に反対向きであり、このことが両カーブの時間による微分値にも当てはまる場合に、後退走行であるとされる。
摩擦係数及び状況識別部13の出力信号は、SESP状況識別部22に供給され、このSESP状況識別部は、GMRコントローラ10の識別した走行状況及び運転者の希望(δ,MMotist,PTHZ ,ギヤシフト情報)とその時点の走行状態(νwheel ,aquer,νref
Figure 0004889497
)13に関する更なる情報に基づき、運転者の希望するコースから逸れている可能性(車両のその縦軸の周りの旋回状態、特に内側への旋回状況)が有るか否かを検出する。この場合、少なくとも操舵角δ、エンジントルク要求量MMotist及び運転者によるブレーキ圧PFahrerが、運転者要求識別部に入力される一方、車両状態は、少なくとも
Figure 0004889497
,vwheel ,aquer,vREF から検出される。別のSESP状況識別部22によって、識別した走行状況の一義性が保証される。SESPヨーイングモーメント制御ルール部の変換用プログラム23が、その時点の走行状況に最適に適合することができるためには、少なくとも荷重変化を伴うカーブ走行状態31、部分的なブレーキ操作を伴うカーブ走行状態32、部分的なブレーキ操作を伴う直線的な走行状態33及び荷重変化を伴う直線的な走行状態34間で状態を区別することが必要である。これと並行して、例えば、GMR状態、ABS状態、走路の横方向傾斜、車両速度の条件に従って、SESP介入を許容するか否かを持続的に調べる。否定的な結果の場合、直ちに「SESP不活動」状態35(図30)が指定される。例えば、荷重変化などの車両が内側に旋回する多くの誘因は、当然に車両の挙動に対して時間的に限定された作用を持つ。これらの場合、SESP走行状況識別部における当該の状態は、所定の時間後に再び解消される。そのような状態が時間的に限定されていることによって、運転者が、ある程度の「適応時間」後には、ゆっくりとした内側への旋回プロセスを自分自身で補正することが可能である。
走行状況識別部22で識別した状態は、SESP制御ルール部23の活動化を引き起こして、パラメータ(例えば、制御閾値)をその時点の走行状況に最適に適合させることとなる。そのために、高感度なSESP制御ルール部23が早期に作動されるように、走行状況識別部22は、PTHE 、ギヤシフト情報、エンジントルク情報などの車両が反応する前に生じる誘因を評価する。SESP制御パラメータに影響を与えること以外に、走行状況識別部22は、基準量のオフセット補正用のオフセットを保存すべき時点を基準信号生成部24に通知するという課題も持っている。このことは、同じく車両1の内側への旋回状況に関して可能性の有る誘因を識別した場合に、早くも実行される。
最後に、GMRコントローラ10において、フィルターを通過した車両基準速度vRefFil、測定した車両横加速度aquer及び測定したヨー角速度
Figure 0004889497
に基づいて、運動力学的な横滑り角速度の決定、短くは運動力学的な
Figure 0004889497
の決定14が行われる。
横滑り角の変化が大きい時にピークを切除するために、横滑り角速度の計算値を、一次のローパスフィルター15に通し、このローパスフィルターは、横滑り角速度の見積値
Figure 0004889497
を、アクティベーションロジック11と、場合によってはSESPアクティベーションロジック25と、ヨーイングモーメント制御ルール部の変換用プログラム16と、SESP基準信号生成部24とに転送する。プログラム16とSESP基準信号生成部24とは、更に、ヨー角速度用の変更設定値
Figure 0004889497
を使用しており、この変更設定値は、測定したヨー角速度
Figure 0004889497
と、車両参照モデル12に基づき計算した目標ヨー角速度
Figure 0004889497
との差として表される。これから、車両に対する追加のヨーイングモーメントMG が算出され、このヨーイングモーメントは、ブレーキ圧を介して伝えられるものとする。
プログラム16とSESPコントローラ20は、常にその時点の制御量を準備して置くために、持続的に作動している。しかしながら、この設定モーメントを、図1と2に図示した分配ロジック2,21に転送するか否かは、アクティベーションロジック11,25に依存する。
アクティベーションロジック11は、後退走行である場合、フィルターを通過していない車両基準速度vRef の値と、上記の通り、横滑り角速度
Figure 0004889497
の値だけではなく、数値として、目標ヨー角速度
Figure 0004889497
と測定したヨー角速度
Figure 0004889497
との偏差
Figure 0004889497
及び状況識別部13からの情報をも受け取る。
車両が後退走行に有る場合、MG の伝達は中断される。これと同じことが、車両静止状態が識別された場合、或いは見積もった横滑り角速度
Figure 0004889497
もヨー角速度
Figure 0004889497
の変更用設定値も、制御を必要とする値に達していない場合に適用される。エンジン設定トルクMStellMの計算のための論理回路は図示されていない。
荷重変化を伴うカーブ走行、部分的なブレーキ操作を伴うカーブ走行、部分的なブレーキ操作を伴う直線的な走行、荷重変化を伴う直線的な走行のSESP状態の中の一つの状態が存在する、或いは見込まれる場合、SESPコントローラ20のアクティベーションロジック25は、SESP基準信号生成部24及びアクティベーションロジック11の値だけでなく、目標ヨー角速度
Figure 0004889497
と測定したヨー角速度
Figure 0004889497
との偏差
Figure 0004889497

Figure 0004889497
の両方又は一方及びSESP状況識別部22の情報をも受け取る。
車両が、前記の検出する状態の中の一つには無いか、或いはこれらの状態が、所定の条件を守りつつ、GMRコントローラ10、ABSコントローラ7又はASRコントローラ8の状態と重なり合っている場合、MGSESPの伝達は中断される。これと同じことが、車両静止状態が識別された場合、或いは見積もった横滑り角速度
Figure 0004889497
もヨー角速度変化
Figure 0004889497
用設定値も、制御を必要とする値に達していない場合に適用される。エンジン設定トルクMSESPStellMの計算のための論理回路は図示されていない。

2.1 GMRコントローラ10の摩擦係数及び状況識別部
図3,4,5には、摩擦係数及び状況識別部13での論理手順を、フローチャートの形で図示している。
図3は、状況識別部に関連したものである。図示した手順により、以下の8個の異なる走行状況を識別することができる。
<0> 車両静止状態
<1> 一定速度での直線的な走行
<2> 加速した直線的な走行
<3> 減速した直線的な走行
<6> 後退走行
<7> 一定速度でのカーブ走行
<8> 加速したカーブ走行
<9> 減速したカーブ走行
論理的な分岐は、フローチャートでは菱形として図示されている。
与えられた決定すべき状況51から出発して、先ずは、菱形52では、車両静止状態で有るか否かが決定される。フィルターを通過した車両基準速度vRefFilが、その最小値vmin をとる場合、車両静止状態、即ち、状況<0>と看做される。vRefFilが、vmin よりも大きい場合、菱形53において、状況識別部のその前の処理結果が質問される。
その前に決定された状況が、後退走行、即ち、状況<6>であると識別されていた場合、車両静止状態がその間に入っていないので、後退走行が更に続いている。さもなければ、即ち、菱形52において、状況<0>が、その間に識別されていた。
状況識別部のその前の処理の結果が、状況<6>と異なる状況である場合、菱形54において、横加速度aquerの数値的な量が質問される。この量が、所定の閾値aquermin よりも小さい場合、車両は直線的な走行をしていた、即ち、状況<1>〜<3>の中の一つが支配していたと看做される。
同じことは、確かに測定した横加速度aquerが数値的に閾値aquermin を上回っているが、次のステップの菱形55において、操舵角δが数値的に閾値δmin よりも小さいことが識別された場合に適用される。この場合、測定した横加速度aquerは、即ち、横加速度測定器が、通常は車両の横軸に固定されて取り付けられており、走路が横方向に傾斜している時に車両と共に傾斜して、その結果実際上存在しない横加速度が示されることから生じる測定エラーである。
車両が直線的な走行中に有る場合、菱形59において、縦加速度alongの量が検討される。この量が、数値的に閾値alongmin よりも小さい場合、一定速度での直線的な走行と看做される。しかし、縦加速度alongが、この閾値よりも数値的に大きい場合、菱形60で正と負の縦加速度が区別される。alongの値が、閾値alongmin を上回る場合、車両は、加速した直線的な走行、即ち、状況<2>に有る。alongの値が、閾値alongmin を下回る場合、このことが意味することは、負の縦加速度、即ち、減速した直線的な走行である状況<3>に有ることに他ならない。
状況<0>〜<3>には有らず、菱形55において、数値的に閾値δmin よりも大きな操舵角δが識別された場合、菱形56において、車両が、その間に後退走行したか否かが質問される。直線的な走行時には、ヨー角速度
Figure 0004889497
が、何れにせよ零とほとんど区別されず、従って、制御介入が行われないので、後退走行の識別は、この時点で初めて必要となる。ヨーイングモーメント制御部が作動状態となるカーブ走行を識別した場合に初めて、後退走行を確実に排除しなければならない。車輪回転数センサーは、走行方向を逆に推し量ることを許容することなく、数値的に速度を再送するだけなので、そのようなセンサーの信号だけに基づいて、このことを実現することはできない。
この状況<6>は、前述した通り、測定したヨー角速度
Figure 0004889497
を、車両参照モデル12で算出した目標ヨー角速度
Figure 0004889497
と比較することによって識別される。正負の符号が、逆であり、かつこのことが、両方の量の時間による微分値であるヨー角加速度
Figure 0004889497
Figure 0004889497
にも当てはまる場合、車両は、後退走行するカーブ内に有る。そのため、ヨー角速度の反対向きの符号が、目標値の時間的に遅れた計算によって生じる位相のずれだけに起因しなくなることを排除することができるように、ヨー角加速度の正負の符号を比較する。
後退走行に関する条件が満たされない場合、前方方向へのカーブ走行となる。このカーブ走行が、一定の速度で行われているか否かは、菱形57で調べられる。既に前の菱形59と60での直線的な走行の場合のように、菱形57では、先ずは、縦加速度alongの値が検討される。この値が、閾値alongmin よりも小さい場合、一定のカーブ走行である状況<7>に有る。縦加速度alongが、数値的に閾値alongmin よりも大きい場合、更に、菱形58で、縦加速度alongが正であるか負であるかが調べられる。縦加速度alongが正である場合、車両は、加速したカーブ走行、即ち、状況<8>に有る一方、縦加速度alongが負である場合、状況<9>に対応し、減速したカーブ走行と識別される。
縦加速度alongは、様々な方法で検出可能である。例えば、ABSコントローラ7から供給される基準速度vRef によって決定することができ、その場合、そのような基準速度vRef は、ABS介入の間に実際の車両速度からずれることがあることを考慮すべできである。即ち、ABSの場合には、vRef の補正が行われる。しかし、そのような計算が、ABSコントローラで行われている場合、縦加速度alongは、場合によっては、ABSコントローラから直接受け取ることもできる。
図3の状況識別部は、持続的に更新処理を行っており、そのため、最後に検出された状況が保存されており、菱形53で利用可能である。
走路の摩擦係数を決定するための可能な処理手順が、図4と5に図示されている。摩擦係数の決定は、ヨーイングモーメントコントローラが、制御を開始した場合にのみ、これらの手順に基づき行われる。しかし、制御を開始した場合、当初は見積もった摩擦係数が未だ存在しないので、制御を開始するために、摩擦係数はμ=1にセットされる。
ヨーイングモーメント制御部が、瞬間的な走行状況に基づいて応答する場合、車両が、少なくとも不安定な走行状況への限界範囲の近くに有るということから出発する。そのため、車両における実際の測定量を検討することによって、走路の瞬間的な摩擦係数を見積もることができる。制御開始時に検出した摩擦係数は、その後のプロセスにおいて、目標ヨー角速度
Figure 0004889497
を制限するための基礎となり、そのためGMR制御ルール部16に伝えられる、ヨー角速度
Figure 0004889497
の制御差分のための基礎ともなる。摩擦係数の決定は、初回は制御開始時に、目標ヨー角速度を物理的に意味のある値に制限するための後続のアクティベーションフェーズと関連して行われる。その際、最初に設定された摩擦係数μ=1から出発して、制御開始時に、最大摩擦係数
Figure 0004889497
が決定され、この最大摩擦係数は、次に追加のヨーイングモーメントMG の計算の基礎として用いられる。
そのために、先ずは、測定した横加速度aquerと縦加速度along用に計算した値とから、内部的な摩擦係数
Figure 0004889497
が計算され、この係数は、摩擦の完全な利用が存在するものと仮定すると、瞬間的な摩擦係数に対応する。しかし、制御開始時に最大摩擦が未だ達成されていないことから出発しなければならないので、この内部的な摩擦係数
Figure 0004889497
には、表、特性曲線又は一定の係数を用いて、より大きな摩擦係数
Figure 0004889497
が割り当てられる。次に、この摩擦係数
Figure 0004889497
は、制御部に供給される。そのため、次の計算ステップでは、走路摩擦係数に適合した目標ヨー角速度
Figure 0004889497
を用いて計算して、この制御を改善することが可能である。この制御の間に、摩擦係数の変更が行われる可能性が有るので、ヨーイングモーメント制御部は、車両に作用する間も、見積もった摩擦係数
Figure 0004889497
を更に更新しなければならない。ヨー角速度
Figure 0004889497
の制御差分が変化した結果、この車両参照モデルにおける摩擦係数の適合に基づく制御が作動されない場合、摩擦係数
Figure 0004889497
は、TμEnd の数のステップまで更に更新される。この更新フェーズ内においても、ヨーイングモーメント制御が開始されない場合、見積もった摩擦係数
Figure 0004889497
は、1にリセットされる。
所定の状況において、見積もった摩擦係数
Figure 0004889497
の適合又は更新を行わずに済ますこともできる。このような状況は、例えば、直線的な走行、後退走行又は車両静止状態、即ち、<0>〜<4>の状況である。これらは、いずれにせよヨーイングモーメント制御が行われず、その結果摩擦係数の見積りも不要な状況である。摩擦係数の更新は、摩擦係数
Figure 0004889497
の時間による微分値、即ち、
Figure 0004889497
が負であり、操舵角δの時間による微分値、即ち、
Figure 0004889497
が、所定の閾値を上回る場合に、行わずに済ますことができる。後者の場合、横加速度aquerの変化が、決して摩擦係数の変化ではなく、操舵角δの変化に基づくものであることから出発することができる。
この方法で計算した摩擦係数は、一般的には、車両の4個すべての車輪の平均的な摩擦係数であると言える。この方法では、摩擦係数を車輪毎に決定することはできない。
ここで、摩擦係数を決定する方法を図4に基づき説明する。各走行状況において、車両挙動に対して、走路の支配的な摩擦係数が、フィールド61で入力される。それに対応する摩擦係数を決定するために、先ずは測定した横加速度aquerが、ステップ62に従ってフィルターされる。即ち、測定した値を平滑化するか、さもなければその特性曲線をローパスフィルターに通して、その結果極端なピークが生じないようにする。ステップ63は、図3の状況識別部を含んでいる。識別した走行状況は、後でステップ74の更新フェースにおいて重要である。菱形64では、制御介入が必要であるか否かが質問される。そのような計算は、先ずは初期摩擦係数μ=1をベースとする。制御が必要であると判断された場合、菱形65において、これが、その前の摩擦係数決定の実行が終了した時の状態でもあったか否かが質問される。それが制御の開始である場合、その前に制御に関する識別が行われておらず、従って、ステップ67では、内部的な摩擦係数
Figure 0004889497
が、初めて決定される。そのような計算は、次式に基づいて行われる。
F2.1
Figure 0004889497
ここで、gは重力定数で、g=9.81m/s2 である。
次に、ステップ68で、ステップ65のためのパラメータregold が、1にセットされる。更に、内部的な摩擦係数
Figure 0004889497
の1回目の摩擦係数の決定が行われたという事実に対応して、計数パラメータTμが、1にセットされる。ステップ69では、見積もった摩擦係数
Figure 0004889497
の計算した内部的な摩擦係数
Figure 0004889497
への割り当てが行われる。これは、存在する加速度成分が、未だ十分に摩擦の活用に基づいていないという仮定の下で行われる。即ち、見積もった摩擦係数
Figure 0004889497
は、通常検出した内部的な摩擦係数
Figure 0004889497
と1の間に有る。このようにして、摩擦係数決定が終了する。
この摩擦係数決定の次のプロセスでは、即ち、走行状況が変わらないという前提では、菱形65において、regold =1と決定される。そして、ここでも、その後のプロセスにおいて、前のプロセスで決定された
Figure 0004889497
に代わる
Figure 0004889497
が決定される。一つの制御の間に、
Figure 0004889497
の更新が行われているので、フィールド68で決定されたパラメータの更新は行われない。その前のプロセスで、regold は、既に1にセットされており、変更されないままである。実行されたプロセスの数Tμは、制御が行われなかった場合にのみ、この数が更に計数されるので、引き続き1のままである。そして、既に前述した通り、
Figure 0004889497
の更新された値に対しても、表、非線形関係、さもなければ一定の係数を用いて、見積もった摩擦係数
Figure 0004889497
が割り当てられる。
菱形64でのプロセスにおいて、制御が必要でないことが決定された場合、更に菱形71において、制御のためのパラメータregold が最新のプロセスで0又は1にセットされたかが質問される。最新のプロセスで1にセットされていた場合、菱形72で、プロセスの計数Tμが質問される。最新のプロセスで制御が行われていた場合、このTμは1である。最新のプロセスから2番目のプロセスで制御が行われていた場合、Tμ=2等である。Tμは、ステップ72で所定のTμEnd に未だ到達しない限り、ステップ73において、1だけ高められて、ステップ74では、内部的な摩擦係数
Figure 0004889497
の新たな更新が行われる。そして、それに続くプロセスの中の一つにおいて、制御が行われずに、計数TμEnd に到達した場合、制御のためのパラメータregold が、再び0にリセットされる(75)。見積もった摩擦係数μ
Figure 0004889497
は、初期摩擦係数μ=1と等しいものとされる。このようにして、摩擦係数μのための更新フェーズが終了する。
そして、次のプロセスの菱形64で、制御が必要でないことが再び識別された場合、菱形71でregold =0であり、フィールド76では、初期摩擦係数
Figure 0004889497
=1が維持される。菱形64において、制御介入の必要性が識別された場合に初めて、再び摩擦係数の決定が行われる。
ステップ74での内部的な摩擦係数
Figure 0004889497
を更新するための判断基準を、図5に図示している。内部的な摩擦係数
Figure 0004889497
を更新するとのフィールド77での設定条件から出発して、ステップ78では、その前に生成した見積もった摩擦係数
Figure 0004889497
又は
Figure 0004889497
と操舵角δの時間による微分値を生成する。
菱形79において、車両が静止状態でも直線的な走行状態でもない、即ち、状況<6>〜<9>の中の一つに有ることが識別された場合、ステップ78の結果が、ステップ80で評価される。既に前に説明した通り、低下する摩擦係数が、ステアリング操作に起因しない場合にのみ、摩擦係数の決定が行われる。車両が、前方又は後方に対する直線的な走行状態或いは車両静止状態に有るか、さもなければ見積もった摩擦係数
Figure 0004889497
の低下が、ステアリング操作に起因する場合、摩擦係数の更新は行われない。
2.2.1 SESP状況識別部
SESP状況識別部22は、状態機械として構成される。この状態機械は、属性値(入力信号)の集合にもとづき、車両の状態(走行状況)を検出する。状態図は、各結果において、車両が所定の状態から隣の状態に遷移することを示す。次の状態は、その時点の状態と入力された結果に依存する。図30は、例として、SESP状況識別部22における荷重変化を伴うカーブ走行31、部分的なブレーキ操作を伴うカーブ走行32、部分的なブレーキ操作を伴う直線的な走行33及び荷重変化を伴う直線的な走行34の可能な状態と許容される状態遷移とを図示している。状態機械を使用することによって、識別した走行状況の一義性が保証される。SESPヨーイングモーメント制御ルール部の変換用プログラム23をその時点の走行状況に最適に適合させることが可能であるためには、複数の状態間の区別が必要である。SESP状況識別部22では、SESP走行状況状態31〜34の計算に関係する、すべての走行状況が検出される。そのために、状況識別部22は、以下の走行状況を検出して、これらの走行状況を、次に状態機械22.1への入力情報として使用する。
定常的な直線的な走行
SESP状況識別部22は、運転者が、直線的な走行を欲しているか否かを決定し、そのために、摩擦係数及び状況識別部13によって検出した走行状況<1>、<2>及び<3>と操舵角δ、即ち、運転者の操舵入力とを使用する。この結果は、Sesp_straight_aheadフラグに保存される。
以下のすべての条件が満たされる場合、このSesp_straight_aheadフラグは、真にセットされる。
i.符号13の走行状況が、<1>、<2>又は<3>である。
ii.操舵角の絶対値|δ|<閾値k1
iii.操舵角速度の絶対値
Figure 0004889497
<閾値k2
それ以外の場合、Sesp_straight_aheadフラグは、偽にセットされる。
定常的なカーブ走行
SESP状況識別部22は、運転者が、カーブし続ける走行を希望しているか否かを決定し、そのために、摩擦係数及び状況識別部13によって検出した走行状況<7>、<8>及び<9>、横加速度、運転者の操舵入力δ及び摩擦係数及び状況識別部13又はGMRコントローラ10においてaquerとvref から見積もった走路の半径を使用する。この結果は、Sesp_steady_curveフラグに保存される。
以下のすべての条件が、所定の時間間隔(カウンター)に渡って満たされる場合、このSesp_steady_curveフラグは、真にセットされる。
iv.符号13の走行状況が、<7>、<8>又は<9>である。
v.(符号10,13の)見積もったカーブ半径<閾値k3
vi.操舵角速度の絶対値
Figure 0004889497
<閾値k4
これらの条件の中の一つが満たされない場合、Sesp_steady_curveフラグは、偽にセットされ、カウンターは、0にリセットされる。
起こる可能性の有るブレーキ操作
SESP状況識別部22は、運転者がブレーキを踏んだために、車両の「ブレーキの片効き(目的とする軌道からのずれ)」が起こる危険性を生じさせる所定の手法で運転者がブレーキを踏んだか否かを決定し、その場合、運転者が、この所定の手法でブレーキを踏んだか否かの情報は、マスターシリンダー圧PTHE とその勾配を用いて検出される。この結果は、Sesp_brake_pull_possibleフラグに保存される。
以下のすべての条件が満たされる場合、このSesp_brake_pull_possibleフラグは、真にセットされる。
vii.GMRコントローラ10が、運転者のブレーキ操作を識別した。
viii.運転者ブレーキ圧PTHE >閾値k5
それ以外の場合、Sesp_brake_pull_possibleフラグは、偽にセットされる。
運転者がブレーキを踏んだことにより、起こる可能性の有る内側への旋回
SESP状況識別部22は、カーブ内での車両の内側への旋回を引き起こすことが可能な所定の手法で、運転者がブレーキを踏んだために、カーブ内でのオーバーステイ傾向(内側への旋回傾向)が発生しているか否かを決定し、その場合、運転者が、この所定の手法でブレーキを踏んだか否かの情報は、マスターシリンダー圧PTHE とその勾配を用いて検出される。この結果は、Sesp_brake_ov_possibleフラグに保存される。
以下のすべての条件が満たされる場合、このSesp_brake_ov_possibleフラグは、真にセットされる。
ix.GMRコントローラ10が、運転者のブレーキ操作を識別した。
x.PFahrerの勾配>閾値k6。運転者によるブレーキ操作を識別した後、依然として 一定の時間間隔の間、車両がカーブ内で内側に旋回する可能性が有るので、この条 件x.は、所定の時間間隔(継続時間)内保持されるものとする。
xi.運転者ブレーキ圧PTHE >閾値k7
それ以外の場合、Sesp_brake_ov_possibleフラグは、偽にセットされる。
起こる可能性の有るエンジン失速トルクによるオーバーステイ
SESP状況識別部22は、カーブ内での内側への旋回を引き起こす可能性の有るエンジン失速トルク又はエンジン軸トルクが存在するか否かを決定する。この結果は、Sesp_drag_ov_possibleフラグに保存される。
以下の条件が満たされる場合、このSesp_drag_ov_possibleフラグは、真にセットされる。
xii.MMotist<閾値k8
これと同時に、以下の条件の中の一つを満たす場合、
xiii.非駆動軸の車輪速度vwheel の合計−駆動軸の車輪速度vwheel の合計<閾値k9 。車輪速度の速度差分の信号は、1次のローパスフィルターでフィルターされる。
車輪の速度差分は、荷重の変化を示す。
xiv.エンジントルクMMotFahrer の勾配<負の閾値k10。条件 xii.が実際に検出さ れた場合、条件 xiv.は、遡って所定の時間間隔(継続時間)内満たされなければ ならない。
xv.ギヤシフトが行われる、或いは行われていた。
それ以外の場合、Sesp_drag_ov_possibleフラグは、所定の時間後に偽にセットされる。識別した荷重の変化は、それが検出された後一定の時間間隔の間依然として車両の走行挙動に作用して、内側への旋回を引き起こす可能性があるため、このフラグの時間的に遅らせたリセットを行う。
内側に旋回する傾向の識別
SESP状況識別部22は、車両が、直線的な走行又はカーブ走行の際に内側に旋回する傾向に有るか否かを決定し、その場合、ヨーレイトとその加速度が使用される。この結果は、Sesp_oversteer_tendencyフラグに保存される。
以下のすべての条件が満たされる場合、このSesp_oversteer_tendencyフラグは、真にセットされる。
xvi.
Figure 0004889497
(=
Figure 0004889497
の微分値)>閾値k11
xvii.
Figure 0004889497
の正負の符号=
Figure 0004889497
の正負の符号
それ以外の場合、Sesp_oversteer_tendencyフラグは、偽にセットされる。
SESPは、運転者が、ほぼ変わらないヨーレイトを希望する状況に限定されるため、これらの条件は、SESPに対して十分である。この場合、SESP基準値は、それが常に利用可能ではないので、使用されない。
後車軸に対するABSの作動
SESP状況識別部22は、後車軸の車輪の中の少なくとも一つが、ABSにより制御させれているか否かを決定する。この結果は、Sesp_abs_active_at_raフラグに保存される。
以下の条件の中の一つが満たされる場合、このSesp_abs_active_at_raフラグは、真にセットされる。
xviii.右側後輪が、ABS制御状態にある。
或いは
xix.左側後輪が、ABS制御状態にある。
それ以外の場合、Sesp_abs_active_at_raフラグは、偽にセットされる。
SESP走行状態
SESP状況識別部22は、SESP走行状態SESP_DRIVE_STATEを計算する。このことは、前述したSESPによる走行状況の個々の検出結果とSESP不活動制御部の結果を入力として使用する状態機械22.1(図30)で行われる。SESP制御を走行状況に適合させるために、SESP_DRIVE_STATEを使用する。
以下の状態遷移は、図30と関連して、SESP_DRIVE_STATEに関して定められたものである。
状態35から状態33への遷移
Sesp_straight_braked:
Sesp_straight_ahead==真
かつ Sesp_brake_pull_possible==真
かつ Abs_cycle==偽
かつ Sesp_forbidden==偽
状態35から状態32への遷移
Sesp_curve_braked:
Sesp_steady_curve==真
かつ Sesp_brake_ov_possible==真
かつ Sesp_oversteer_tendency==真
かつ Sesp_abs_active_at_ra==偽
かつ Sesp_forbidden==偽
状態35から状態31への遷移
Sesp_curve_drag_tq:
Sesp_steady_curve()==真
かつ Sesp_drag_ov_possible()==真
かつ Sesp_oversteer_tendency()==真
かつ Ayc_driver_braking()==偽
かつ Sesp_forbidden()==偽
状態35から状態34への遷移
状態33から状態35への遷移
Sesp_straight_braked
Sesp_drive_idle:
Sesp_straight_ahead==偽
又は Abs_cycle==真
又は Sesp_forbidden==真
又は ((Sesp_in_cycle==偽)
かつ(Sesp_brake_pull_possible==偽))
状態32から状態31への遷移
Sesp_curve_braked
Sesp_curve_drag_tq:
Sesp_in_cycle==真
かつ Sesp_steady_curve==真
かつ Sesp_drag_ov_possible==真
かつ Sesp_brake_ov_possible==偽
かつ Ayc_driver_braking==偽
かつ Sesp_forbidden==偽
状態32から状態35への遷移
Sesp_drive_idle:
Sesp_steady_curve==偽
又は Sesp_brake_ov_possible==偽
又は Sesp_abs_active_at_ra==真
又は Sesp_forbidden==真
又は ((Sesp_in_cycle==偽)
かつ(Sesp_oversteer_tendency==偽))
状態31から状態32への遷移
Sesp_curve_drag_tq
Sesp_curve_braked:
Sesp_in_cycle==真
かつ Sesp_steady_curve==真
かつ Sesp_brake_ov_possible==真
かつ Sesp_abs_active_at_ra==偽
かつ Sesp_forbidden==偽
状態31から状態35への遷移
Sesp_drive_idle:
Sesp_steady_curve==偽
又は Sesp_drag_ov_possible==偽
又は Sesp_forbidden==真
かつ ((Ayc_driver_braking==真)
又は(Sesp_oversteer_tendency==偽))
SESP制御の範囲外では、一つの遷移が、常にSesp_drive_idle状態35を超えて行く。SESP制御の範囲内では、例えば、Sesp_curve_braked状態32とSesp_curve_drag_tq状態31の両方の間(又は状態34と33の間)での遷移は、制御が、新しい状態に進むべき場合、Sesp_drive_idle状態35を超えて行かない。こうすることによって、SESP基準ヨーレイト24のリセットを防止している。
Sesp_curve_braked状態32とSesp_drag_tq状態31に関する条件が同時に満たされる場合、部分的なブレーキ操作を伴う状態、例えば、Sesp_curve_braked状態32は、常に荷重変化を伴う状態よりも高い優先権を有する。
2.1.1.1 SESPコントローラ20,23すべてに共通の入力
GMRコントローラ10によって実行される信号の計算は、SESPコントローラによって、共通の入力として使用される。
最低摩擦
車両1の縦加速度と摩擦係数及び状況識別部13によって算出された摩擦信号を使用して、道路の摩擦を見積もる。この結果は、SESP_MY_MINに保存される。
SESP制御に関連する大抵の状況では、車両は、存在する道路の摩擦を完全には利用していない。そのため、SESP_MY_MINは、通常車両1によって利用される道路の摩擦の一部だけを表すものである。
2.2
Figure 0004889497
Figure 0004889497
の決定
車両状態の安定性に関する尺度は、支配的な横滑り角βとその時間による微分値である横滑り角速度
Figure 0004889497
である。以下において、これらの値の決定について説明する。

2.2.1 運動力学による
Figure 0004889497
の決定
運動力学による
Figure 0004889497
の決定14は、何らかの車両モデルから切り離して、測定した値又は測定した値に基づいて計算された量から、純粋な物理学的考察に従って、以下の通り、横滑り角速度
Figure 0004889497
を算出することに他ならない。
運動平面内での縦軸に対して交差する方向における車両重心の加速度aquerを測定する。車両の重心は、慣性座標系に対して相対的な速度ベクトル
Figure 0004889497
と共に動く。
F2.2
Figure 0004889497
ここで、Ψはヨー角度、βは横滑り角である。
加速度ベクトル
Figure 0004889497
は、時間tによる微分値として得られる。
F2.3
Figure 0004889497
加速度センサーは、加速度ベクトルの車両の横軸への射影を測定する。
F2.4
Figure 0004889497
F2.5
Figure 0004889497
三角関数の線形化( sinβ=β; cosβ=1)により、この式は、以下の式に変形することができる。
F2.6
Figure 0004889497
ここで、横滑り角速度
Figure 0004889497
は、上記の微分方程式に対応して計算可能である。測定量としては、横加速度aquerのほかに、ヨー角速度
Figure 0004889497
と、スカラーの車両速度vと、その時間による微分値
Figure 0004889497
とが入力される。βを算出するために、その前の計算の
Figure 0004889497
を数値的に積分することができ、その場合、第1の
Figure 0004889497
の決定のために、
Figure 0004889497
=0と仮定する。一般的には最後の項が無視されて、βを決定する必要はない場合、簡単化が得られる。
この提案した方法は、横滑り角速度
Figure 0004889497
が、センサー信号から直接導き出され、そのため横方向運動の非線形的な範囲においても検出可能であるという利点がある。この方法の測定ノイズに対する感度と、測定エラーの累積が不利に作用し、それによって、横滑り角の決定が、場合によっては非常に不正確になる。
この欠点は、モデルで支援された方法との組み合わせによって回避される。図6は、このような横滑り角速度
Figure 0004889497
の運動力学的な決定とオブザーバモデルで支援された決定の組み合わせを、どのように構成するのかを図示しており、図2に破線で示したブロック18の代わりに挿入することが可能である。このようなモデル支援による方法では、破線の矢印で示した通り、入力量として、更に操舵角δが入力される。この組み合わせによる横滑り角速度
Figure 0004889497
の決定方法の相互的な影響と補正によって、横滑り角β自身のエラーの少ない計算が可能となり、その結果この横滑り角を、次に
Figure 0004889497
として、制御に利用することもできる。このことは、同様に破線の矢印で示してある。

2.2.2 オブザーバ車両モデルと運動力学的な
Figure 0004889497
の決定との組み合わせ
図2の破線で囲んだ範囲18を、図6の図示と置き換えることができる。それによって、存在する横滑り角速度
Figure 0004889497
だけでなく、支配的な横滑り角βをも決定することが可能である。
横滑り角速度
Figure 0004889497
の純粋な運動力学的な計算とは異なり、ここでは、走行状態を決定するために、運動力学的な
Figure 0004889497
決定83に加えて、オブザーバ車両モデル84を援用している。オブザーバ車両モデル84は、ヨー角速度を決定するための車両参照モデル12と全く同様に、入力量として操舵角δを受け取る。フィルターを通過した車両基準速度vRefFilは、パラメータとして入力される。測定可能な初期量である横加速度aquerとヨー角速度
Figure 0004889497
は、運動力学的な
Figure 0004889497
決定83のためには必要であるが、原理的にこれらの量自身を作り出すオブザーバ車両モデル84には不要である。最も簡単な場合、GMR制御ルール部によって計算される追加ヨーイングモーメントと同一である他の項Yは、制御介入によって生じる車両挙動の変化を示す。即ち、Yは、オブザーバのエミュレートした車両を実際の車両と同じ条件にさらす役割を果たす。
オブザーバ車両モデルは、横滑り角速度
Figure 0004889497
のほかに、ヨー角加速度
Figure 0004889497
用の値をも更に与える。運動力学的な
Figure 0004889497
の決定に由来する、横滑り角速度
Figure 0004889497
用の量は、ローパスフィルターを通過後、重み係数kを掛け算される一方、オブザーバ車両モデルから得られる横滑り角速度
Figure 0004889497
用の量は、測定したヨー角速度に補正量を決定する係数hを掛け算した補正係数を加算された後、重み係数(1−k)を掛け算される。この場合、kの値は、常に0と1の間にある。オブザーバ車両モデルが無い場合、k=1である。両方の横滑り角速度を加算した後、その合計を積分して、見積った横滑り角
Figure 0004889497
とする。これは、運動力学的な横滑り角速度
Figure 0004889497
と共に、同じく制御に利用することができる。更に、横滑り角
Figure 0004889497
は、運動力学的な
Figure 0004889497
の決定83にも、オブザーバ車両モデル84にも送られる。同様の補正量は、オブザーバ車両モデル84によって計算したヨー角加速度
Figure 0004889497
である。
先ずは、この補正量は、積分してヨー角加速度とされるとともに、一方ではオブザーバ車両モデル84に戻され、他方では測定したヨー角速度
Figure 0004889497
から差し引かれる。この差分は、オブザーバ車両モデル84の補正におけるその後の制御ステップの量を決定するとともに、1/s次元を持つ係数h2 を掛け算される。従って、この係数h2 を掛け算されたヨー角速度は、ヨー角加速度
Figure 0004889497
と同じ次元を持ち、その結果両方の量は、互いに加算することができるとともに、更に積分した後ヨー角速度用に戻される補正量を形成する。ヨーイングモーメント制御のプロセスで、項Yは、生成された追加ヨーモーメントMG に対応して、零と異なる値をとる。車両のヨーイング慣性モーメント
Figure 0004889497
によって割ることにより、Yは、同じくヨー角加速度の次元を持つことなり、ヨー角加速度の合計に加算され、その結果積分された補正量は、制御による影響力をも考慮したものとなる。
図6にもとづき、横滑り角速度
Figure 0004889497
の純粋な運動力学的な決定と積分により可能なものよりも信頼できる、横滑り角βの決定を可能とするオブザーバ車両モデル84が存在する場合、そのようにして決定した横滑り角βを、本来のヨーイングモーメントコントローラ10にも送ることができる。
オブザーバ車両モデルと組み合わせて進行する運動力学的な
Figure 0004889497
決定が、図7に図示されている。既に図6から明らかな通り、横加速度aquerとヨー角速度
Figure 0004889497
は、測定した初期量として、式F2.6による計算91に取り入れられている。
フィルターを通過した車両基準速度vRefFilは、フィールド93において、微分されて、車両基準加速度
Figure 0004889497
となり、この車両基準加速度は、フィールド94において、フィルターを通過した車両基準速度vRefFilによって割算され、この結果、非線形的な掛け算95の後、係数fβが得られる。
この非線形的な掛け算95により、
Figure 0004889497
とvRefFilの商が小さい場合、係数fβが零に等しくなり、その結果、横滑り角
Figure 0004889497
の前に有るこの係数は無視することができることとなる。車両加速度
Figure 0004889497
が大きな量に達した場合にのみ、運動力学的な
Figure 0004889497
の決定時に、横滑り角βが考慮される。この場合に使用される
Figure 0004889497
は、制御用の量としても、図6のフィードバック用にも使用される、組み合わせた
Figure 0004889497
である。横滑り角速度用の算出した値は、計算91の後、既に前述した通り、ローパスフィルター92を通過して、見積もった横滑り角速度
Figure 0004889497
を生じさせる。
フィルターを通過した車両基準速度vRefFilは、フィールド93において、微分されて、車両基準加速度
Figure 0004889497
となり、この車両基準加速度は、フィールド94において、フィルターを通過した車両基準速度vRefFilによって割算され、この結果、非線形的な掛け算95の後、係数fβが得られる。この非線形的な掛け算95により、
Figure 0004889497
とvRefFilの商が小さい場合、係数fβが零に等しくなり、その結果、横滑り角
Figure 0004889497
の前に有るこの係数は無視することができることとなる。車両加速度
Figure 0004889497
が大きな量に達した場合にのみ、運動力学的な
Figure 0004889497
の決定時に、横滑り角βが考慮される。この場合に使用される
Figure 0004889497
は、制御用の量としても、図6のフィードバック用にも使用される、組み合わせた
Figure 0004889497
である。横滑り角速度用の算出した値は、計算91の後、既に前述した通り、ローパスフィルター92を通過して、見積もった横滑り角速度
Figure 0004889497
を生じさせる。
図6のオブザーバ車両モデル84が、どのように動作するかを、図8に図示している。この場合、マトリックス表示を選択しており、この場合、“→”はスカラーのエンティティを示し、“⇒”は多次元のエンティティを示す。
このマトリックス表示は、式F1.1〜F1.3から出発している。この場合、状態量βと
Figure 0004889497
が、状態ベクトル
Figure 0004889497
に組み合わされ、その結果次の系の方程式が得られる。
F2.7
Figure 0004889497
ここで、(v(t))はシステムマトリックス、(v(t))は入力マトリックス、(t)は状態ベクトル、(t)は入力ベクトルである。
F2.8
Figure 0004889497
入力ベクトル(t)は、入力量として、操舵角δと、ヨーイングモーメント制御によって生成した追加ヨーイングモーメントを示す項Yとを含む。
算出した量を重みを付けて加算するために、重み係数の代わりに、重みマトリックス 1 と重みベクトル 2 を使用する。
F2.9
Figure 0004889497
状態量を抽出するために、それぞれ状態ベクトル(t)の成分を抽出する2つのベクトルβと
Figure 0004889497
が代入される。
F2.10
Figure 0004889497
オブザーバ車両モデルの動特性、即ち、補正ステップの量は、ベクトルによって決まり、このベクトルの第1の成分h1 は、次元がなく、第2の成分h2 は、次元(1/s)を有する。
F2.11
┌ ┐
│h1
=│ │
│h2
└ ┘
次に、状態空間の記述(F1.1及びF1.2)の車両モデルから出発して、図8によるオブザーバーを用いて、以下に説明する横滑り角βを決定するための構造が得られる。
図8では、車両101は、入力量と出力量とを区別するためだけに図示されている。車両は、横滑り角速度
Figure 0004889497
を決定するための組み合わせ方法の構成要素ではない。
加算器104では、F2.7の系の方程式が形成される。そのために、システムマトリックスが、状態ベクトルと掛け算され、入力マトリックスが、入力量δとY、即ち入力ベクトルと掛け算される。
実際の車両基準速度vRefFilが、唯一の可変のパラメータとして、システムマトリックスと入力マトリックスとに入力される。加算器104での加算によって求められた状態ベクトルの時間による微分
Figure 0004889497
は、F2.9に従って、重みマトリックス 1 と掛け算されて、別の加算器105に供給される。
このプロセスと並行して、直接的な方法103により、横滑り角速度
Figure 0004889497
が見積もられる。そのために、フィルターを通過した車両基準速度vRefFilとその(図7の符号93と同じ)微分器102で算出した時間による微分値
Figure 0004889497
、及び測定した横加速度aquerと測定したヨー角速度
Figure 0004889497
を、式F2.6にもとづき使用する。この場合、第1のステップでは、横滑り角βの値が未だ存在しないので、この式の最後の項は無視される。横滑り角速度の算出後、この横滑り角速度は、図7に既に図示した通り、ローパスフィルター92を通過し、その結果得られる見積もった横滑り角速度
Figure 0004889497
は、他の計算に使用可能である。この
Figure 0004889497
は、図2において破線で示した領域から出力される
Figure 0004889497
に一致する。スカラーの
Figure 0004889497
は、重みベクトル 2 と掛け算され、その結果そのことから、第1の成分が角速度の次元を有し、第2の成分が零と等しいベクトルが生じる。このベクトルも、加算器105に供給される。式F2.7により求めた状態ベクトルの時間的な微分値
Figure 0004889497
と、 2 の掛け算によって得られたベクトルとの合計により生じたベクトルは、積分器106で状態ベクトルに積分される。
Figure 0004889497
とのスカラーによる掛け算によって、これらの成分の中の一つβ又は
Figure 0004889497
は、それぞれ状態ベクトルからスカラーとして抽出されて、更に処理される。抽出された
Figure 0004889497
は、一方ではGMR制御ルール部16に供給され、他方では直接的な方法103に供給される一方、算出された
Figure 0004889497
は、組み合わせる方法内において、オブザーバ内での状態量として及び見積もりエラー決定のためだけに用いられる。そのために、加算器107では、オブザーバ車両モデルから算出したヨー角速度
Figure 0004889497
と測定したヨー角速度
Figure 0004889497
との差を求める。この差は、ベクトルと掛け算され、このベクトルは、その第1の成分は無次元であり、横滑り角速度
Figure 0004889497
用の補正ステップの量を定め、その第2の成分は、次元s-1を有し、ヨー角速度
Figure 0004889497
の補正時の制御ステップの量を決定する。
この横滑り角
Figure 0004889497
も、補正量として、詳しくは図7の運動力学的な
Figure 0004889497
の決定の直接的な方法にフィードバックされ、その結果その後の制御ステップにおいて、式F2.6の最後の項も、値を持つことができる。
両方の計算方法、即ち、車両モデルに準拠した計算と運動力学的な考察に基づく計算との相互の補正によって、横滑り角
Figure 0004889497
の非常に正確な決定が可能となり、その結果この横滑り角も、制御量として、GMR制御ルール部16に供給することができる。
2.3 車両参照モデル
以下において、図9〜15に基づき、車両参照モデルを説明する。
図9には、車両の走行安定性を制御するための、図1と図2による制御系を、更に簡略化して図示している。この場合、図1のコントローラ7〜9と、付属する優先順位切換部3と、エンジン管理部6とを省略するとともに、圧力制御部5を備えた分配ロジック2は簡略化して図示している。この制御系内では、運転者の希望するカーブ軌道が維持されるように、車両の垂直軸の周りの追加ヨーイングモーメントMG を計算、調節している。この場合、追加のヨーイングモーメントMG は、個々の車輪への目的通りの制動プロセスによって生成され、その場合、この制動プロセスの推移と制動すべき車輪の選択は、分配ロジック2によって決定される。運転者は、ハンドルの相応の角度位置によって、所望の走行方向を決定する。ハンドルは、固定の変速比(ステアリングギヤ比)で、操舵される車輪に連結されている。このようにして、車輪の所定の操舵角δを調節している。
2.3.1 動的な単一トラックモデル
GMRコントローラ10内には、所謂、車両参照モデル12(図2)=302(図9)が配備されており、この車両参照モデルには、入力データ(vRef によって表される速度v、操舵角δ)が供給される。車両参照モデル302では、これらの入力データに基づいて、単位時間当りのヨー角の変化(ヨー角速度
Figure 0004889497
)をどのような大きさにすべきかを計算している。後続の比較器303において、ヨー角速度の目標値
Figure 0004889497
を、測定したヨー角速度の実際値
Figure 0004889497
と比較する。比較器303は、出力値として、
Figure 0004889497
Figure 0004889497
の差に対応する出力量
Figure 0004889497
を出力する。このようにして決められた差分値は、ヨーイングモーメントを制御するためめの制御ルール部16に供給される。この制御ルール部は、
Figure 0004889497
に基づき、追加ヨーイングモーメントMG を算出して、分配ロジック2に供給する。分配ロジック2は、この追加ヨーイングモーメントMG と場合によってはブレーキの圧力を上昇させる運転者の希望pFaher に基づいて、出力量を決める。この出力量を、ブレーキ圧値又はバルブ切り換え時間とすることができる。
速度が低い範囲においても、車両参照モデル302の最適な動作方式は重要である。そのために、車両参照モデル302は、上記の線形的な動的単一トラックモデル311に加えて、静的な円形走行モデル306も備えている。
静的な円形走行に関しては、次の式が当てはまる。
F2.12
Figure 0004889497
F2.13
Figure 0004889497
この場合、
F2.14
Figure 0004889497
ここで、v=前方、hは後方、m=質量、l=車軸の重心からの距離、
Figure 0004889497
,βkorr
Figure 0004889497
,βの補正項である。
線形的な動的単一トラックモデルに関しては、F1.1とF1.2の系の方程式が当てはまる。
計算モデル306と311の間の切り換えは、図面には図示していない車両参照モデル302内の切換器によって、車両の速度に依存して自動的に行われる。この場合、一方のモデルから他方のモデルへの切り換えプロセスのために、数km/hのヒステリシスが設けられている。この切り換え閾値以下では、目標ヨー角速度
Figure 0004889497
は、静的な円形走行モデル306に従って計算される。速度が、低い速度から来て、この方向に有効な閾値を上回った場合、ヨー角速度
Figure 0004889497
の目標値の計算は、動的な単一トラックモデル311を用いて行われる。このようにして、速度が高くなった場合の制御に対して特に重要な動的プロセスを、このモデルに含めることができる。
円形走行モデル306から単一トラックモデル311に移行する際、円形走行モデルによって計算された、
Figure 0004889497
やβなどの目標値は、単一トラックモデル用の初期値として使用される。こうすることによって、切り換え時の過渡的な現象が回避される。ここで、更なる計算は、速度が低下する場合、より低い速度閾値を下回るまで、単一トラックモデル311を用いて行われる。ここでも過渡的な現象を小さくするために、円形走行モデル用に必要な補正係数
Figure 0004889497
とβKorrが、その前に単一トラックモデルで計算した
Figure 0004889497
とβ用の値及び入力量である速度vref と操舵角δを用いて計算される。
これらの補正値は、次の大きさを有する。
F2.15
Figure 0004889497
F2.16
Figure 0004889497
これらの補正係数は、その影響が時間に対して、次の法則性に従って幾何級数的に減少する。
F2.17
korr(n+1)=korr(n)×λ
ここで、λは、0と1の間の値をとり得る。この計算プロセスは、n又はn+1により計数されて行く。
こうすることによって、静的な場合、両方の計算方法が、異なる結果を生じさせるので、急激な変化が回避される。従って、計算モデルの切り換えによって、v=0km/hの速度まで、制御用の目標値を非常に精確に決定する方策が得られる。
図9に関連して、車両計算モデルとして異なるモデルが考慮の対象になることを説明した。この場合、有利なモデルは、静的な円形走行モデルとすることができる。このモデルでは、ヨー角速度
Figure 0004889497
は、上記の公式に従って計算することができる。ここで、このような車両計算モデルを表したい場合、測定した値λとvRef を計算回路に供給し、次に、初期値としてヨー角速度
Figure 0004889497
の目標値を入力することが考えられる。

2.3.3 簡単化したモデル
以下において、目標ヨー角速度を算出するための極めて簡単なモデルを作り上げる。このモデルは、上記の組み合わせモデルに代わるモデルとする。このモデルは、小さな計算能力で受入れ可能な結果が得られることを特徴とする。
このモデルでは、目標ヨー角速度
Figure 0004889497
は、次式で計算される。
2.18
Figure 0004889497
この式は、剛性cv とch が、非常に大きいと仮定される場合、式F2.14及びF2.15と共に、F2.12により得られる。
このアプローチは、次の考察に基づいている。
これまでに説明した車両参照モデルでは、目標ヨー角速度
Figure 0004889497
は、動的な車両モデル(例えば、単一トラックモデル)又は静的なモデル(静的円形走行値と呼ばれる)のどちらかを用いて計算されて、測定したヨー角速度
Figure 0004889497
と比較される。しかし、これらのアプローチの各々では、これらの設定値(とそのため制御介入も)は、車両モデルの質に直接依存する。これは、線形的な代替モデルであるので、このモデルは、実際の車両挙動と大きく異なる場合が有る。
更に、実際の車両状態が、例えば、個々の部品の荷重又は摩耗により変化する場合、こモデルは、車両を不十分にしか記述しない。従って、連続したパラメータの見積りにより、モデルの適合を行うべきであり、その場合、次の問題が生じる。
この見積りのためには、ある刺激が存在しなければならない、即ち、運転者が、線形的な範囲内(<0.4g)での操舵設定によって、車両を十分に刺激しなければならない。これは、普通の走行の際には、殆ど起こらない。
更に、線形的な単一トラックモデルのすべてのパラメータを直接見積もることは不可能である。従って、所定のパラメータは、予め固定して選択しなければならない。
即ち、モデルの仮定に基づく制御は、常にモデル設定に関してのみ満足できる解決策を提供する。従って、多くの場合、より簡単な制御原理に従って行動することで十分である。
走行安定性制御の重要な目的は、走行挙動を調整して、運転者の操舵入力、ブレーキ入力及びアクセル入力に対する車両のリアクションを、常に予測可能かつ良好に制御可能とすることである。従って、車両のアンダーステア及びオーバーステアの動作状態を識別して、それに対応したブレーキ介入又はエンジン管理介入によって、中立的な挙動に補正しなければならない。
簡単化された制御原理のための技術思想は、アンダーステア又はオーバーステア挙動に関する直接的な尺度を、制御量として使用することにある。そのために、自動車の制御挙動に関する定義の一つに従って、前車軸と後車軸の平均ドリフト角(αV ,αH )を比較する。それにより、前側のドリフト角が、より大きい場合には、車両は、アンダーステア挙動、その逆の場合には、オーバーステア挙動を有することとなる。ドリフト角が、前側と後側で等しい場合、定義に従って、中立の挙動が存在することとなる。
従って、次の式が、当てはまる。
F2.19
> 0 : アンダーステア
αv −αh = 0 : 中立
< 0 : オーバーステア
即ち、ドリフト角の差分に基づき、車両の瞬間的な走行状態を直接決定することが可能である。単一トラック車両モデル(図10)をアプローチ法として使用する場合、ドリフト角は、そのモデルから、操舵角δ、横滑り角β、ヨーイング角速度
Figure 0004889497
及び車両速度vに依存して、詳しくは以下の通り導き出すことができる。
F2.20a
Figure 0004889497
F2.20b
Figure 0004889497
横滑り角が、直接的に測定できないか、或いは簡単に計算できないので、個々のドリフト角の明確な計算を行うことができない。しかし、その差分が形成される場合、この量を、既存の測定量(操舵角、ヨーイング角速度)、ABSコントローラによって知られる車両基準速度vRef 及び一定のホイールベースlに基づいて計算することが可能である。
F2.21
Figure 0004889497
これによって、アンダーステア又はオーバーステア用の尺度として使用することができる量が利用可能となる。
更に、車両重心のカーブ軌道の瞬間的な曲率半径Rとドリフト角の差分との間の次の周知の関係、
F2.22
Figure 0004889497
が観察された場合、次のF2.19の中立の走行状態、
F2.23
αv −αh =0
を仮定して、カーブ半径Rは、僅かに操舵角αだけで決まる、即ち、以下の式で決まることを分かる。
F2.24

R=───
δ
従って、計算したドリフト角の差分を制御量として直接使用する制御が可能である。この制御に関する条件は、ほぼ中立な挙動を達成するために、制御量の絶対値を小さく保つことである。場合によっては、この許容差の閾値を非対称にセットして、この許容差をオーバーステア挙動の方向に、より小さく選択することができるようにするのが有効である。
この考察に従って、目標ヨーイング速度
Figure 0004889497
を計算することができる(F2.18)。そして、この目標ヨーイング速度
Figure 0004889497
は、
Figure 0004889497
と比較されて、図1に従って、この制御の基礎となる。
2.3.5 GMRコントローラの目標値制限
車両の走行挙動の制御は、車両の車輪が走路上に固着することにより、計算された追加回転モーメントを車両に働かせることが可能な限りにおいて、意味を持つ。
例えば、生じている車両速度に対して、ハンドルを切るのが大きすぎる或いは速すぎる場合、如何なる場合でも、この制御が、操舵角度δにより与えられるカーブ軌道に車両を仕向けることは望ましくない。
従って、如何なる状態においても、
Figure 0004889497
が、選択された車両参照モデルに従って設定されることを避けるべきである。参照モデルだけに従った場合、即ち、不運な事態では、その結果、誤ってハンドル角を大きく調節しすぎると同時に、速度が速すぎる場合には、大きすぎる
Figure 0004889497
も、実際のヨー角速度
Figure 0004889497
を大きく調節して、極端な場合には、車両が固有の軸の周りに回転する一方、車両が、その重心をほぼ真っ直ぐにして動くことになる。この状態は、運転者にとって、車両が、摩擦の関係が悪いために、運転者の希望に従えずに、大きくアンダーステアして真っ直ぐにずれて行く状態よりも、遥かに不利である。その理由は、後者の場合、車両は、少なくとも直線的に走行するだけであり、その場合に同時に固有の軸の周りに回転しないからである。この特殊な場合に不利となる結果を避けるために、摩擦係数
Figure 0004889497
によって、直前に測定した速度に対して適用する最大ヨー角速度
Figure 0004889497
を決定することを可能とする追加の計算アルゴリズムを、車両参照モデルに配備する。この
Figure 0004889497
は、摩擦係数識別部13で決定される。この計算アルゴリズムは、静的円形走行の理論に基づいており、この理論に関しては、
Figure 0004889497
が成り立つ(F2.18)。
基本的に、摩擦係数、速度v、縦加速度along及び場合によっては他のパラメータの関数として、最大許容横加速度aqlimを決定することができる。それによって、
F2.25
qlim=f(μ,v,along ・・・)
最大ヨー角速度は、次式で計算される。
F2.26
Figure 0004889497
従って、ヨー角速度の限界値を決定することが可能であり、この限界値は、運転者の希望を直接的には考慮しないで、車両が突然コースから逸れた場合に、車両が、更に又その垂直軸の周りに回転しないようにすることに寄与する。
適切なμ決定に関する詳細は、別に2.1節で詳しく考察されている。
また、所定の基本的な条件の下でのみ制御介入を許容するものと規定することができる。その可能性は、例えば、大きすぎる横滑り角
Figure 0004889497
が決定された場合に、図2のアクティベーションロジック11が、その時点のMG を分配ロジック2に伝えないことであり、これは、その時に支配的な速度に依存して行うことができる。
2.4 GMRコントローラの制御ルール部
以下において、ヨーイングモーメントコントローラ10の制御ルール部16のプログラム構造について記載する。このプログラムは、4つの入力量から、特に、カーブ走行時に安定した走行挙動を保つために必要な車両の垂直軸周りの追加のヨーイングモーメントMG を計算する。計算したヨーイングモーメントMG は、車輪ブレーキの調節すべき圧力を計算するための基礎となる。
制御ルール部用の入力量として、以下のものが利用可能である(図17参照)。
入力500に対して :
Figure 0004889497
入力501に対して :
Figure 0004889497
入力502に対して :
Figure 0004889497
入力503に対して :
Figure 0004889497
ドリフト角の差分を基礎として使用する場合には、入力500にはΔλが供給され、入力501には
Figure 0004889497
が供給される。
入力503は任意である。この入力は、特に、全体の計算体系に、所謂、オブザーバ車両モデル84が配備されている場合に利用可能である。
入力500の値は、測定したヨー角速度
Figure 0004889497
と、車両参照モデル12を用いて計算した目標ヨー角速度
Figure 0004889497
間の差分として得られる。
入力501の値は、ループ時間T0 によって割り算した、計算ループ間における入力500の量の時間的な変化と、測定したヨー角速度の時間による微分値と計算した目標角速度の時間による微分値の差分のどちらかとして得られる。
計算ループとは、図1のFSRコントローラによる計算を通過することであると理解する。そのような通過は、その構造のために、所定の実時間であるループ時間T0 が必要である。効果的な制御のためには、この時間を十分に小さく保たなければならない。
入力500と501の値、即ち、
Figure 0004889497
Figure 0004889497
は、それぞれ、先ずはローパスフィルター510又は511に供給される。
両方のローパスフィルターは、原理的には同等に形成されており、図18に図示した通りの構造を有する。
図18のローパスフィルターの入力量520はuで、出力量521はyで示している。出力量521は、レジスタ522に供給され、次の計算の際に、その前の値y(k−1)として利用される。そして、この計算ループ用の出力値521は、次の式により計算される。
F2.27
y(k)=λ*y(k−1)+(1−λ)*u*kp
ここで、λは、0と1の間の値をとり得る。λは、ローパスフィルターの有効性を示す。限界値λ=0については、帰納的な関数が消去されて、先行する値y(k−1)は、新しい出力値521の計算に対して意味を持たなくなる。λが、値1に近づけば近づくほど、先行する値が、大きく作用し、その結果その時点の入力値520は、出力値521として、ただゆっくりと形成される。
p は、線形的な評価係数である。
上記のローパスフィルター操作は、両方の入力値500と501に対して行われて、その結果フィルターを通過した値515,516が得られる。
それと同じローパスフィルター操作512が、入力量502、即ち、
Figure 0004889497
に対して行われる。フィルターを通過した値517は、フィルターを通過していない値503と同様に、非線形フィルターに供給される。このフィルターの役目は、小さな入力値に対して出力値を0にセットし、所定の限界値を上回る入力値に対しては、限界値にだけ低減した入力値を送ることである。この制限は、負の範囲でも正の範囲でも行われる。これらの限界値
Figure 0004889497
とβthは、固定的にプログラム内に実装された量とするか、さもなければ他のパラメータ、例えば、タイヤと走路間の摩擦係数に依存する量とすることができる。この場合、これらの限界値は、摩擦係数の線形的な関数として別個に計算される。
4個の量、即ち、515,516,517及び518のすべては、他のステップ530,531,532又は533において、それぞれ線形の係数を用いて重み付けされる。
これらの係数は、固定的に計算体系に実装される。これらの係数は、桁の大きさに従って、相応の車両モデルから計算可能であるが、一般的には走行試験による微調整が必要である。このようにして、各車両又は各車両タイプに対して、相応の線形的な係数セットが決定される。このようにして重み付けされた入力量500,501,502,503が加算され、その際(加算部540により)このプログラムの他の計算プロセスの基礎となる追加ヨーイングモーメントMg が得られる。
しかし、実際には、計算したヨーイングモーメントの補正が更に必要であることが判っっている。
そのために、次の二つアプローチを執ることができる。
1.入力量、特にΔΨを補正する。
2.計算したヨーイングモーメントMg にフィルター操作を受けさせる。
両方のアプローチにより、ヨー角速度を考慮するだけでなく、横滑り角を考慮して、この制御が試みられる。

2.4.1 入力量の補正
車両参照モデルを用いて、既に説明した通り、ヨー角速度用の目標値を計算する。使用する車両参照モデルが、実情と完全には一致しないので、通常はモデル計算の結果を再度補正する必要がある。参照モデルでは、基本的に、ヨー角速度センサーと操舵角センサーが提供する値を評価する。横加速度センサーが提供する値を追加的に考慮することにより、計算した目標ヨー角速度の補正を行うことができる。
この評価は、様々な方法で行うことができる。以下において、先ずは測定した横加速度を横滑り角速度
Figure 0004889497
に換算する方法を提案する。この値を用いて、ヨー角速度の目標値の補正が行われる。
この
Figure 0004889497
の計算は、例えば、運動力学的な
Figure 0004889497
の決定14,15(図2)を用いて行われる。
この方法は、図19に示した図式に従って行われる。横滑り角速度
Figure 0004889497
の見積もった値は、場合によってはローパスフィルター操作の後、第1の閾値th1 と比較される(菱形400)。この比較の意味は、ヨー角速度
Figure 0004889497
の目標値の補正後に初めて得られ、従って、次に、より詳しく説明する。
Figure 0004889497
>th1 である場合、
Figure 0004889497
の絶対値を第2の閾値th2 と比較し(菱形401)、この場合、第2の閾値は、第1の閾値th1 よりも大きい。この第2の閾値をも上回った場合に初めて、時間による横滑り角速度
Figure 0004889497
の積分402が行われる。そのために、横滑り角速度
Figure 0004889497
にループ時間T0 を掛け算して、その前の積分の結果Intgi-1 を加算する。この積分ステップは、nで計数されており、その結果数nは、積分後に1だけ大きくなる(ステップ403)。それによって、積分時間は、実行された積分ステップの数nによって表される。この積分結果
Figure 0004889497
は、閾値βs と比較される(菱形404)。この閾値の量は、理論的に守るべき横滑り角に対する最大許容偏差を表す。閾値βs は、約5°のオーダーである。
この閾値を上回った場合、目標横滑り角速度
Figure 0004889497
は、瞬間的な横滑り角速度
Figure 0004889497
と積分ステップの数nに依存する加算定数Sによって、新たに評価される(ステップ405)。即ち、閾値βs を上回った場合の各新しいループによって、目標ヨー角速度が、更に低減される。加算定数Sは、
Figure 0004889497
の正負の符号に応じて、加算されるか、或いは引算されるかのどちらかであり、その結果如何なる場合でも、目標ヨー角速度の絶対値は減少する。Intgn が、閾値βs に達していない場合、
Figure 0004889497
は制限されない(ステップ407)。
新たなループの通過の際に、見積もった横滑り角速度の絶対値が、閾値th1 よりも小さいか否かを再び調べる。小さい場合には、このことは、車両が、再び安定したと解釈される。その結果、ステップ406で、再び0にセットされるとともに、ステップ407では、更なる計算のために、補正されていない、即ち、車両参照モデルの結果として存在する値と一致する目標ヨー角速度が基礎となる。更に、積分のスタート値Intgn-1 は、零にセットされる。
横滑り角速度の絶対値が、確かにth1 を上回るが、th2 を上回らない場合、古い値Intgn は変わらないままである、即ち、積分は、一つのループに対して中断される。その前の制限が維持され続ける。閾値th2 を再び上回った場合、積分が続行される。
2.4.2 MG の補正
別の可能性は、制御ルール部16によって計算されたヨーイングモーメントMG を操作することである。そのために、その前の値M1 (k−1)とその時点の値M1 (K)との間の差分が求められる。添字1は、この値が、ヨーイングモーメントコントローラの直接的な結果であること、即ち、それに続く補正にもとづき未だ計算されていないことを示している。この差分は、ループ時間T0 に関連して、ΔM1 を生じさせる。この勾配ΔM1 には、補正係数を掛けた
Figure 0004889497
から得られる補正勾配が加算される。このようにして補正された勾配は、ループ時間T0 を掛け算されれて、その前の計算のヨーイングモーメントM(k−1)に加算される。この結果、更なる計算の基礎となるその時点のモーメントMG (k)が得られる。
この計算は、図20に図示した通り、ロジックによって行われる。下位プログラムの「制御ルール部16」から得られる計算したモーメントは、シフトレジスタ420に導入される。シフトレジスタ420の第1の位置には、それぞれその時点の値M1 (k)が有り、シフトレジスタ420の第2の位置422には、その前の値M1 (k−1)が有る。新しい値M1 が生じるや否や、この値は、レジスタ421からレジスタ422にシフトされて、レジスタ421内の値は、新しい値と置き換えられる。レジスタ421及び422内の値は、次の式に従ってΔMを計算する計算ロジック430に供給される。
F2.28
Figure 0004889497
このためは、更に、運動力学的な
Figure 0004889497
の決定から、見積もった横滑り角速度
Figure 0004889497
が、制御ロジック430に供給される。更に、メモリ内には、横滑り角速度をモーメントの変化に換算するための補正係数の値aが設定される。新しいモーメントM(k)の計算は、次の式に従って行われる。
F2.29
M(k)=M(k−1)+ΔM
レジスタ431内には、補正されたモーメントのその時点の値が格納され、レジスタ432には、その前の計算での値が格納されている。レジスタ431内の値は、更なる計算の基礎となる。
2.5 SESPヨーレイト制御ルール部
SESPヨーレイト制御ルール部23のプログラムは、測定したヨーレイトを特定のSESP基準ヨーレイトと比較する。偏差が存在する場合、このコントローラは、この偏差を補正するための追加のヨーイングモーメントMGSESPを要求する。
2.5.1 SESP基準信号生成部
SESP基準信号生成部24は、運転者が意図する車両のヨーレイトであるSESP基準ヨーレイトを計算する。この結果は、sesp_psip_refに保存される。
SESPヨーレイトコントローラは、GMRヨーレイトコントローラ10よりも敏感である。この理由から、センサー又はモデルエラーによる誤った介入を防止するために、このコントローラには、特別なメカニズムが必要である。SESP基準ヨーレイトは、限定した時間に渡って、このエラーを埋め合わせるオフセットSESP_DPSIP_STOREDを有する。
内側への旋回状況に関する疑いが無い場合、このオフセットSESP_DPSIP_STOREDは、測定した又は見積もったヨーレイト
Figure 0004889497
と車両モデル12で計算した基準ヨーレイト
Figure 0004889497
との偏差である。
しかし、内側への旋回状況に関する疑いが存在する場合、このオフセットは、一定に保たれる。以下の条件が満たされる場合に、内側への旋回状況に関する疑いが存在する。
xx.31〜34のSESP状態が存在する(35とは異なる)
又は
xxi.内側への旋回に関するi からxix までのその前の考えられる誘因
ここで、SESP基準ヨーレイト
Figure 0004889497
を計算する。このSESP基準ヨーレイトは、運転者の希望を表す。計算のために、GMR(=AYC)基準ヨーレイトの基準ヨーレイトに対するオフセットを加算する。
Figure 0004889497
このオフセットは、例えば、荷重変化の場合の差分
Figure 0004889497
である。
GMR(=AYC)基準ヨーレイトとは異なり、このSESP基準ヨーレイトは、ちょうどSESPヨーレイトの偏差が、荷重の変化又はブレーキ操作の始めに零となる大きさのオフセットを有する。
このオフセットによって、一方では、場合によってはヨーレイトセンサーの補償されないオフセットを埋め合わせる。このことは、高感度のSESPヨーレイトコントローラの誤った制御を防止するために必要である。他方では、このオフセット補償によって、その時点の車両挙動の偏差だけを埋め合わせる。
図31は、ヨーレイトセンサーのオフセットが正の場合に関するSESP基準ヨーレイトの生成を図示している。
SESP基準信号生成部24は、SESPヨーレイトコントローラの入力として使用されるヨーレイトの偏差
Figure 0004889497
を計算する。更に、図2は、この入力
Figure 0004889497
が、SESPアクティベーションロジック25にも利用可能であることを図示している。
このSESPヨーレイトの偏差は、測定したヨーレイト
Figure 0004889497
とSESP基準ヨーレイトとの間の偏差として計算される。
オフセット補正の生成に関して、所定のアプリケーションのために、更なる改善を規定する。
そのために、以下の状況を弁別する状態機械を規定する。
*Sesp_refcomp_idle:SESP基準量が、必要ではない。
*Sesp_refcomp_straight:SESP基準量を決定することができ、直線的な走行に対して適用される。
*Sesp_refcomp_curve:SESP基準量を決定することができ、カーブ走行に対して適用される。
*Sesp_refcomp_uncertain:SESP基準量が、必要であるが、動的な走行状況のために精確には決定することができない。
この(追加の)状態機械は、連続的な基準オフセット補正の間にも、より適切な状態に切り換えることができるように構成される。この場合、必要があれば、オフセットの新たな決定が開始される。
ここで、これらのSESP基準量は、その時点の状態に依存して、以下の通り生成される。
*Sesp_refcomp_idle:生成されない(これに代わって、SESP基準=実際量)。
*Sesp_refcomp_straight:SESP基準=AYC基準+オフセット、この場合、前述した通り、及び例えば、図31に図示した通り、オフセットを決定する。
*Sesp_refcomp_curve:この状況に入った際にアンダーステアが生じる場合:SESP基準=AYC基準;さもなければ、SESP基準=AYC基準+オフセット。
これらのケースを弁別することによって、SESPの誤って制御するリスクが低減される。このことは、拡大した形で図34に図示している。その場合に、以下が成り立つ。
*Sesp_refcomp_uncertain:SESP基準=AYC基準(=「最善の予測」)。
この場合、SESP基準が、精確には決定されないために、SESPコントローラのアクティベーション閾値は、僅かに増大される。
2.5.2 SESPアクティベーションロジック
SESPヨーレイト制御ルール部23は、制御の非常に短い活動化又は中断を防止するために、時間遅延を有する。このコントローラ入力に関する遅延量は、sesp_dpsip_in_delayとして保存されている。このコントローラ出力に関する遅延量は、sesp_dpsip_out_delayとして保存されている。
より大きなオーバーステアの傾向が存在する場合、即ち、以下のすべての条件が満たされる場合、短い入力遅延sesp_dpsip_out_delay=sesp_dpsip_in_delay_tab[0]を選択する。
a.
Figure 0004889497
>閾値k20;閾値k20は、例えば、車両速度(33,34よりも敏感な状態31,32)、走路の横方向傾斜等の状況に依存する。
b.
Figure 0004889497
Figure 0004889497
、この場合、
Figure 0004889497
Figure 0004889497
の正負の符号は、同じでなければならない;この条件は、オーバーステアの挙動を伴う走行状況が存在することを示す;状態31又は32に対してだけ有効である;動作時間は、例えば、
Figure 0004889497
などの状況に依存する。
このオーバーステア状況は、コントローラ入力に対する前提条件としてだけ使用される。こうすることによって、SESPヨーレイトコントローラの第一の活動は、常にオーバーステアへの介入となろう。しかし、車両のオーバーステア反応を防止するために、それに続く活動を、アンダーステアへの介入とすることができる。この標準的なGMR(AYC)基準ヨーレイトに関するオーバーステアフラグは、同じく現実のアンダーステア状況の間に、SESPオーバーステア介入が開始されないことを保証するために使用される。このことは、基準の品質を低減することができる場合にも行われる。
c.状態機械22.1は、等しくない状態35に有る。
a.〜c.の条件に関しては、それらの条件が、所定の継続時間満たされなければならないものとする。
不活動化は、以下の条件に依存する。
d.
Figure 0004889497
<閾値k21;閾値k21は、状況に依存し、入る場合の閾値k20よりも小さい。
又は
e.状態機械22.1は、状態35に有る;この場合、不活動化が起こる前に、「SESP不活動」状態が、所定の継続時間に渡って存在しなければならない。出る場合の遅延は、状況に依存し、状態35が存在する場合、それは零であるか、さもなければ、
Figure 0004889497
に依存する。
2.5.3 SESP制御ルール部
SESP制御ルール部23は、SESPヨーレイト偏差を補正するために、SESPヨーレイトコントローラによって要求されなければならない追加のヨーイングモーメントを計算する。この結果は、sesp_dpsip_req_yaw_tqの値に保存される。
出る場合の閾値k21を計算し、下方に対しては最低値の零に制限する。ここで計算したこの量は、Pコントローラ用の入力値である。
この増幅率は、見積もった道路の摩擦係数に依存する。摩擦係数見積部13の摩擦係数は、SESP関連走行状況に対しては有効ではないので、測定したaquerから、並びにvref に依存して、車両縦加速度から算出した代替値を使用する。この摩擦係数は、その時点で活用される摩擦係数を表す。Pコントローラの増幅率は、この摩擦係数に依存する。制御ルール部23の出力には、追加のヨーイングモーメントMGSESPが得られる。
2.5.4 SESP分配ロジック
SESP分配ロジックは、SESPからの追加のヨーイングモーメント要求MGSESPを車輪ブレーキ圧に配分する。運転者のブレーキ圧に応じて、様々な変化形態が有る。SESPのその時点のヨーイングモーメント分配状態は、SESP_TQDIS_STATEに保存される。
SESPは、少なくとも一つの車輪のブレーキ圧に影響を与える。この介入のために、以下の変化形態を定義する。
*圧力低下モード:カーブ内側の後輪に関して、必要な場合には更にカーブ内側の前輪に関しても、所定の圧力下限ayc_pdec_sec_pressure_limitに到達するまで、車輪ブレーキ圧を低下させる。圧力低下によるポテンシャルが、MGSESPを変換するのに十分でない場合、その時点では、快適性の理由から、圧力低下は実行されない。しかし、快適性の観点から決定された制御方針にもとづき、圧力上昇も十分に可能である。
*圧力上昇モード:カーブ外側の後輪における車輪ブレーキ圧は、縦方向で最大可能な力によって規定される圧力上限に到達するまで増大される;この圧力上限は、ブレーキスリップ監視機能をEBV機能の抑制と組み合わせて、車輪スリップコントローラ26によって保証される;快適性の理由から、圧力の上昇は、ETR機能によって行われる。
所定のアプリケーションに対して、SESPからの追加ヨーイングモーメントの車輪への分配を規定する。
ここで、SESP圧力上昇の場合に、カーブ外側の前輪の圧力を上昇させることもできる。
後輪の圧力をどの程度の比率で前輪に対して追加して上昇させるかは、見積もった最小限の摩擦係数SESP_MY_MINに依存する特性曲線によって調節することができる。
油圧式制動力ブースターを備えたブレーキシステムに対しては、次の依存性が有意義であることが分かっており、それは、氷に対しては50%、平均的な摩擦係数では100%、摩擦係数が大きい場合には0%である。
摩擦係数が大きい場合における0%の値は、その場合前車軸上での圧力上昇が、運転者により不快と感じ取られるので、有意義ではない。この場合、他方では、安定化のためには、後車軸での圧力上昇は、大きい摩擦係数に対して、より大きな縦方向力を生成することができるので、大抵はそれだけで既に十分である。
前車軸での圧力上昇の可能性は、図32aに図示している。
SESP圧力上昇が終了した場合、後輪での圧力が、もはや急激にではなく、ゆっくりと低下される。走行の快適性が向上される。
ゆっくりとした圧力低下は、AYC制御が開始したために、SESPを中止しなければならない場合にも適用される。
しかし、AYC追加ヨーイングモーメントの正負の符号が、その前のSESP介入と比べて変化したら、直ちに、この圧力を急激に低下させる。前にも述べたSESP圧力低下のケース(17頁)と図32に関して既に言及した、前車軸に対して追加して圧力を低下させる選択肢は、特に、真空制動力ブースターと、例えば、ブレーキシステムの油圧再循環ポンプによる追加的な油圧制動力ブースト機能を備えたブレーキシステムを持つ車両に対して有利である。
圧力低下を行うべきか、或いは圧力上昇を行うべきかの決定は、以下の条件に従う。
圧力低下
f.GMRコントローラ10が、運転者のブレーキ操作PTHZ を識別した。
g.PTHZ >閾値k30
これらの条件が存在しない場合、圧力の上昇が行われる。
圧力上昇モードがアクティブである場合、MGSESPは、vref に従って低減される。こうすることによって、圧力上昇の場合の方が、圧力低下の場合よりも、追加ヨーイングモーメントMGSESPを、効果的に変換することが可能であることを考慮している。
左又は右のカーブ外側又はカーブ内側の車両側へのブレーキの介入を行うか否かの決定は、GMRヨーイングモーメント分配ロジック2の場合と同じ制御にもとづき行われる。当然のことながら、この決定を下すために、SESP分配ロジック21も活用することができる。
この分配ロジック21からは、車輪スリップコントローラ26の限界に注意して、SESPの個別の車輪圧力要求が出力される。更に、別のコントローラ7,8,9には、フラグによって、SESP制御がアクティブであることが知らされる。
このことは、制御閾値以上においても、GMRコントローラ10が、アクティベーションロジックの入力信号
Figure 0004889497
にオフセットを加算して、車両をある程度の範囲内で安定化させる可能性をSESPに与えるので、有利である。この可能性は、ほぼ不安定な走行状況の限定的な状況で、SESPが、遷移領域において、但し、SESPが事前にアクティブになっている場合にのみ、制御することに道を開くものである。このオフセットは、変更可能であり、零にまで低減することができる。
3.GMRコントローラの分配ロジック
3.1 制動力を加えることによる追加ヨーイングモーメント
車両の安定した走行をカーブにおいても達成するために、先ずは、操舵角を検出する必要がある。操舵角は、運転者が希望する車両のカーブ軌道を表す。安定した静的なカーブ走行の場合、車両は、ほぼ一定の横滑り角でかつ不変のヨー角速度で、この軌道を通って行く。運転者は、この横滑り角又はこのヨー角速度からのずれを、それに対抗する操舵によって相殺しなけれならない。しかし、このことは、常に可能であるとは限らず、特に、運転者が、カーブ限界速度でカーブを通り抜ける場合には不可能である。そのような状況では、車両を目的通りに減速して、実際のヨー角速度を所望のヨー角速度に適合させる、垂直軸周りの追加モーメントを車両に加えることが必要である。この関係を示す制御アルゴリズムは、既に記載しており、従って、ここでは、詳しく説明する必要はない。
しかしながら、制御アルゴリズムによって計算された追加ヨーイングモーメントMG を、好適な手法で、制動力を目的通り加えることによって実現するとの問題が残っている。
従って、油圧式ブレーキの場合、この課題は、実際に個々の各車輪ブレーキに対するブレーキ圧を決めることにある。この場合、実現する垂直軸周りのモーメントは、個々のブレーキの出来る限り小さな圧力によって達成すべきである。従って、各々の車輪に対して係数を決定し、生成すべき車両ヨーイングモーメントとそれぞれ重みを付けた係数から、このブレーキ圧を算出することを提案する。
既に説明した通り、特に、油圧に基づいて作動する車両ブレーキ設備の場合には、個々の車輪ブレーキに関するブレーキ圧を直接検出できるような形で、これらの係数を決定するのが有利である。この係数の重み付けは、個々の係数の各々を、すべての係数の2乗の合計で割り算する方法で行われる。
この場合、各係数は、車両のヨーイングモーメントに対する車輪ブレーキ圧とこのようにして生成した個々の車輪制動力との間の関係を決める。個々の係数を決定する際の変数として、車両走行中に変わるパラメータが入力される。これらは、特に、
− 操舵角δ
− タイヤと走路間の摩擦係数μ
− 車両質量m
− 車軸荷重分布Nz
である。
これらの係数を計算する際に入力される、車両特有又はブレーキ特有の変数は、例えば、ディスクブレーキ設備の場合、
− ブレーキピストンの面積A
− ブレーキ当りのピストンの数n
− ディスクとブレーキパッド間の摩擦係数μR
− 動的なタイヤ半径に対する有効摩擦半径の比s
− ブレーキの効率η
である。
この提案した計算方法は、所定の追加ヨーイングモーメントから、相応のブレーキ圧を非常に速く計算することができるという利点がある。走行中に上記のパラメータを変更したい場合、そのことは、ブレーキ圧計算における係数の変化により考慮される。
幾つかの操作変量が、これらの係数の計算に線形的に利用される場合、特に、これらの係数の操舵角δへの依存関係は、非線形である。
しかし、個々の係数と操舵角間の依存関係を線形的に見積ることにより、十分に良好な結果が得られることが分かっている。
図21は、4個の車輪601,602,603,604を備えた車両の直線的な走行を模式的に図示している。各々の車輪には、車輪ブレーキ605,606,607,608が配備されている。これらの車輪ブレーキは、互いに独立して駆動可能であり、その場合、車輪ブレーキによって加えられる車輪制動トルクによって、制動力が、走路表面上での車輪の接触面に生成される。即ち、例えば、車輪601の車輪ブレーキ605を作動させると、制動力Fが生成されて、この制動力は、更に垂直軸周りに、(例えば、正の数の)モーメントMを生成させる。
このような車両の垂直軸周りのモーメントは、車両を運転者の希望する軌道上に安定して保持するために、目的通りに使用することが可能である。
車両内には、更にセンサーが設けられている。これらのセンサーとしては、車輪601,602,603,604の角速度を検出する車輪センサーが有る。更に、ハンドル角が、操舵センサー612を用いて検出される。更に、ヨー角速度用のセンサー613が配備されている。
一方では運転者の希望を、他方では車両の挙動を検出する、これらのセンサーから、実現すべきヨーイングモーメントを計算することができ、このヨーイングモーメントは、それが加えられた場合、車両のヨー角速度と横滑り角とを運転者の希望に一致させることが可能である。そのために、車輪ブレーキ605,606,607,608は、互いに独立して駆動可能であり、そのために、走行安定性を制御するための複雑なプログラムの一部である制御装置が配備されている。
この原理的な状況は、図22に図示されている。ヨーイングモーメントMG を計算するプログラムモジュールを、符号16で示してある。図22は、個々の車輪ブレーキ605,606,607,608に加えるべき圧力pxxを計算する制御装置を図示している。算出された圧力値622,623,624,625は、更に評価して、車輪ブレーキ605,606,607,608用の相応の制御信号に変換することが可能である。
この制御装置自体は、二つの部分から構成され、即ち、第1の部分630は、個々の車輪用の係数cxxを計算する。係数cxxは、車輪ブレーキの圧力と、その制動力によって当該の車輪に加えられるヨーイングモーメントの割り当て分との間の線形関係を生み出すものである。第2の部分631では、個々の係数の重み付けによって、並びに実現すべきヨーイングモーメントMG を考慮して、個々の圧力値pxx622,623,624,625を計算している。
これらの圧力値と係数には、以下の通り、添字を付けている。
v:前側
l:左側
h:後側
r:右側
x:v/l又はh/rを示す
第1の計算部分630は、操舵角を考慮しており、この操舵角は、操舵センサー612の評価部632によって、計算が行われる。これらの係数を計算するのに、評価ユニット633において、車輪回転挙動から導き出される摩擦係数μを考慮する(2.1節も参照)。この車輪回転挙動は、又もや個々の車輪における車輪センサーの信号によって算出される。更に、様々な状況での車両挙動を分析する評価ユニット634において算出される車両質量と荷重分布NZ が入力される。第1のプログラム部分630は、上記の車両特有の値と車輪ブレーキ特有の値を保存したメモリ635にアクセスする。
上記の値から、各々の車輪について係数cxxを計算し、その場合、これらの値640,641,642,643は、並行して、或いは順々に計算することができる。この計算は、このプログラムに実装された機能に従って行われる。この機能では、ブレーキ圧と制動力間の公知の関係が考慮されている。この関係は、通常線形的である。操舵角δだけは、別個に考慮しなければならない。如何にして、好適な手法で操舵角を考慮することができるかについては後述する。
第2の計算ステップ531では、個々の係数640,641,642,643から並行して、或いは順番に、次式に従って、個々の車輪ブレーキに関する圧力値を算出する。
F3.1a
Figure 0004889497
F3.1b
Figure 0004889497
これらの式による個々の圧力の計算は、計算したブレーキモーメントを得るために、車輪ブレーキに比較的小さな圧力を加えるだけでよいという利点がある。更に、このブレーキ圧制御は、特に、操舵角と摩擦係数の変化に非常に敏感かつ迅速に反応することができる。
操舵角δは、これらの係数の計算時に、次の通り考慮される。そのために、図23は、車両の模式図を示しており、この場合、前輪601と602が操舵された状態で図示されている。符号Sで前輪の間隔を、符号lv で前車軸に対する重心610の間隔を示している。
車輪面650,651は、車両の縦軸に対して操舵角652,653を成す。簡単にするために、これらの操舵角δ652,653は、等しい大きさであると仮定する。車輪面650,651内で作用する制動力Fに関して有効なてこの長さh1 又はh2 は、小さな操舵角に関する近似による考察に基づいて、次の通り算出される。
F3.2a
Figure 0004889497
F3.2b
Figure 0004889497
この“小さな操舵角”での近似が、常に満たされるとは限らないので、場合によっては次式で計算するのが有利であることが分かっている。
F3.3a
Figure 0004889497
F3.3b
Figure 0004889497
計算したてこの長さが、零よりも小さい場合、その長さは、零にセットされる。
ここで、車輪係数cxxは、次の通り計算することができる。即ち、
F3.4
xx=chydxx *hl,r
ここで、chydxx には、操舵角δ以外のすべてのパラメータが考慮されている。
このようにして、これらの係数を、2つの項の積として表すことができ、この場合、その一方の項は、有効なてこの長さを決定し、その他方の項は、操舵角に左右されない。
3.2 横方向力の低減による追加ヨーイングモーメント
片側に作用する制動力を加える方法は、車輪が、異なる強さで制動されるように、車輪ブレーキを制御することにある。これを実現する方法は、前の節で述べた。
この方法は、ペダルで制動する間に走行安定性制御を行う場合、即ち、運転者による制動に基づいて、既に車輪ブレーキにおける所定のブレーキ圧が調節されている場合、限界に突き当たる。原理的には、上述の方法は、この場合にも適用可能である。絶対的な圧力の代わりに、既に調節されているブレーキ圧の変化を算出する。
しかしならが、この場合、次の問題が生じる。一方の車輪ブレーキに、既に非常に高い圧力に調節され、その結果非常に大きな制動力が実現されるいる場合、タイヤと走路間のグリップ限界に達しているので、ブレーキ圧の上昇は必ずしも制動力の増大につながらない。この場合には、上記のモデルで想定されたブレーキ圧と制動力間の線形的な関係は、もはや与えられない。
車両の一方の側での制動力の上回ることがない限界は、ヨーイングモーメントコントロールの観点において、車両の他方の側での制動力の低下によって、補償することが可能である。
しかしながら、これは、制動力の低下により、車両の減速も低下させるという欠点がある。このことは、運転者が制動プロセスを開始した場合、車両を出来る限り短い距離で静止状態にすべきであるので、常に受入れられるとは限らない。従って、運転者の希望と比べて、車両の実際の減速の低下が大きすぎることは、一般的には受入れられない。この問題を解決するために、次の方法がとられる。
少なくとも1個の車輪の車輪ブレーキを制御して、その車輪の縦方向スリップ2が、最大の摩擦を生じさせる縦方向スリップよりも大きくなるように調節する。この方法の場合、タイヤの縦方向力である伝達される制動力が、約20%(0%は自由回転車輪;100%はロックされた車輪)の縦方向スリップの場合に、その最大値に達し、20%を超える値の場合に、この伝達可能な制動力が、僅かにだけ減少し、その結果20〜100%の車輪スリップでは、車両減速時に大きな損失が生じないことを利用している。
しかし、同時に、車輪面に対して垂直に作用する力である伝達可能な横方向力を考慮した場合、その力は、車輪スリップへの大きな依存性を示し、そのスリップは、スリップの増大につれて、伝達可能な横方向力が大幅に低下する形で現れる。50%以上のスリップ範囲では、車輪は、ロックされた車輪と同様の挙動状態を示す。即ち、横方向力が、殆ど加わらない。
大きな縦方向スリップを生じさせる車輪を巧みに選択することによって、車両の制御された横滑りを生じさせることができ、この場合、横滑りにより引き起こされるヨー角度の変化を、所望の変化に一致させる。この方法の場合、縦方向力は、ほぼ維持されたままであるが、横方向力が、大幅に減少するので、車両の減速を大きく低下させすぎることなく、ヨー角速度の制御を行うことができる。
縦方向スリップを高めたまま、少なくとも短時間走らせる車輪の選択は、次の制御に従って行われる。そのために、運転者が、右方向へのカーブ走行を希望する場合を考察する。左方向へのカーブ走行に対しては、それに対応した“鏡面対称による”制御が適用される。この場合、車両が、カーブ内で、期待したよりも大きく内側に回転しないケースが発生する場合がある。換言すると、車両はアンダーステアとなる。この場合、カーブ内側の後輪は、スリップ値を増大させた形で駆動される。しかしながら、車両が、カーブ内で大きく回転し過ぎる場合、このケースは、オーバーステアと呼ばれ、カーブ外側の前輪が、大きなスリップ値で駆動される。
更に、前輪の圧力低下を禁止するとができる。これは、次の制御により行われる。車両が、アンダーステアの挙動を示す走行状況では、カーブ外側の前輪のブレーキ圧低下が禁止される。車両が、オーバーステアの挙動を示す状況では、カーブ内側の前輪の圧力低下が禁止される。
ブレーキ圧の実際の制御は、次の通り行うことができる。既に前に説明した通り、個々の車輪ブレーキのブレーキ圧が、達成すべきヨーイングモーメントと重み付けされた車輪係数に依存して決定される。
これらの係数を計算する際に、ブレーキスリップに依存するファクターを取り入れることができ、このファクターは、上述した所望のブレーキスリップが生じるように再調節される。車輪の圧力低下の制限は、それに対応する係数に関する下方の閾値を定めることによって実現することができる。
以下において、ブレーキ設備の制御プログラムに実装する方法を詳しく説明する。
この制御プログラムは、重みを付けた係数に基づいて、個々の車輪ブレーキで、それぞれ生成しなければならないブレーキ圧を計算する。この計算は、車両の制動時、特に、タイヤと走路間の摩擦グリップ限界を利用して減速する場合に問題となる。そのような場合、走行安定性制御を重ね合わせることが必要となる前に、先ずはアンチロックコントロールを開始することが十分に可能である。
そのような場合、制動されない車両のための原理的な考察は、例えば、1つの車輪ブレーキの圧力が高まった場合に、それに対応する制動力が、線形的に増大せず、そのため、摩擦グリップ限界に達していないので、受け入れることはできない。即ち、この車輪ブレーキの圧力を高めることは、追加の制動力と、そのため追加のモーメントを生成させない。
確かに、その車軸の他方の車輪のブレーキ圧を低下させることによって、追加ヨーイングモーメントを生成するのと同じ効果を生じさせることができる。しかし、それによって、全体として制動力の低下が引き起こされ、そのことは、又もや車両を出来る限り短い距離で静止状態にするという要求と相反する。
従って、図24に図示した車両車輪の挙動が利用される。このグラフは、X軸上に0〜100%のスリップ値λを示しており、この場合、0%は、自由回転する車輪を、100%は、ロックされた車輪を表す。Y軸は、0〜1の数値範囲で摩擦係数μB と横方向力値μS を示している。実線は、摩擦係数の異なるドリフト角αに対するスリップへの依存関係を示している。特に、小さなドリフト角に関して、この曲線が、スリップλ=20%の範囲に最大値を有することが分かる。摩擦係数は、100%の方へ向かって僅かに低下している。2°のドリフト角に対して、最大摩擦係数が、約0.98である一方、λ=100%で、それは、未だ0.93の値を有する。これに対して、横方向力値を見ると、特に、ドリフト角が大きい場合、スリップ範囲に渡って極端な低下が生じている。10°のドリフト角において、横方向力値は、0%のスリップ値に対して0.85であり、ほぼ100%のスリップ値に対して、0.27に低下している。
従って、図24の曲線から、40〜80%の範囲のスリップ値の場合に、比較的大きな制動力が伝達できるが、小さい横方向力しか伝達することができないことを読み取ることができる。
この車輪挙動は、車両の所定の車輪の横方向力を目的通りに低下させるために利用することができる。この車輪の選択は、次の手法により行われ、そのことを、図25aと25bに基づき詳しく説明する。
図25a,bは、右カーブでの車両を模式的に図示している。カーブ半径と車両の速度に対応して、車両は、その垂直軸の周りに回転しなければならない、即ち、所定のヨー角速度が、時計周りに生じなければならない。
既に説明した通り、車両は、ヨー角センサーを備えている。測定したヨー角速度
Figure 0004889497
が、達成すべきヨー角速度
Figure 0004889497
からずれている場合、車両の垂直軸の周りに、追加モーメントMG を加えなればならない。
車両が、十分に回転しない形で、測定したヨー角速度が、達成すべきヨー角速度からずれている場合、所謂、アンダーステア挙動となる。この状況では、負の数値の追加モーメントを加えなければならない。この追加モーメントは、車両をカーブ内側へ回転させることとなる。この場合、このことは、右側の車両車輪のブレーキ圧を高めることによって達成可能である。
しかし、車両が、既に運転者によってブレーキをかけられている場合、これらの車輪は、既に最大制動力を伝達されている可能性がある。このことが、評価電子回路によって確認された場合、車輪が、40〜80%の範囲のスリップ値で回転するように、右側後輪のブレーキの圧力を高める。従って、車輪604は、「λ」の印を付けている。この結果、既に説明した通り、横方向力が、大幅に低下することとなる。即ち、右側後輪には、ほんの小さな横方向力が未だ生じており、その結果、車両後部が左に振れる、即ち、車両は、時計周りに回転し始める。横方向力の最小化は、車両の実際のヨー角速度
Figure 0004889497
が、目標ヨー角速度
Figure 0004889497
に一致するまで続けられる。
図25bには、オーバーステアしている車両の状況が図示されている。車両は、計算した目標ヨー角速度に一致するよりも速く垂直軸の周りを回転する。この場合、左前輪601の横方向力を低下させることを提案する。このことは、同じく、この車輪において、40〜80%のスリップ値に調節することによって行われる。従って、ここでは、車輪601は、“λ”の印を付けている。
両方のケースに関して、制御プログラムには、アンダーステア(図25a)のケースに対しては、カーブ外側の前輪601で、オーバーステア(図25b)のケースに対しては、カーブ内側の前輪602で、更なる圧力低下を引き起こす下位のプログラムを組み込むことが可能である。これらの車輪は、それぞれ“pmin ”の印を付けている。左方向へのカーブ走行に対しては、それに対応した制御を横方向に対して逆にして行う。
ここで、個々の車輪の圧力の制御は、個々の各車輪に対して、圧力変化と計算した追加ヨーイングモーメントMG 間の関係を示す係数を決定する手法で行うことができる。
これらの係数は、車両又は車輪ブレーキを規定するパラメータと、走行中変化する量の関数である。これらは、特に、操舵角δと、道路/タイヤを組み合わせた摩擦係数μとである(3.1節も参照)。ここで、上記の制御に対して、更に各車輪の縦方向スリップへの依存性を取り入れる。個々の車輪の圧力低下の禁止は、これらの係数に対する下方の眼界を定義することによって実現することができ、その場合、これらの係数の計算した量は、最小値を下回る時には、最小値で置き換える。
図26には、対応するアルゴリズムを図示している。先ずは、追加ヨーイングモーメントMG を計算する(プログラム640)。このモーメントから、それに対応する制動力変化又は個々の車輪に対するブレーキ圧変化が算出される(プログラム部分641)。算出されたブレーキ圧は、閾値pthと比較され、この閾値は、特に、道路とタイヤを組み合わせた摩擦係数によって決まる(菱形642)。閾値pthは、同時に制動力の増大を伴う車輪ブレーキ圧の更なる上昇が可能であるか否かを決定する。圧力がこの限界値よりも小さいときには、3.1節で述べた方法に従って制御が行われる。計算されたブレーキ圧がこの閾値よりも大きいと、上述の部分644に従って圧力の計算が行われる。
4.優先順位切換部
車輪ブレーキに生じる圧力が追加ヨーイングモーメントMG から分配ロジックによって計算される(3節)。
下位の圧力制御回路において、この圧力値から、吸入バルブと排出バルブのための制御信号が計算され、出力される。この下位の圧力制御回路では、実際の車輪ブレーキ圧が計算された圧力ブレーキ圧と一致させられる。
制御信号が他のコントローラ(ABS7,ASR8,EBV9)に入力されるときには(1節)、その制御信号を、先ずは、コンピュータ内に格納された車輪ブレーキの油圧モデルによって、圧力値に換算される。
GMRコントローラ10の圧力要求は、ABSコントローラと他のコントローラの圧力要求と関連づけられる。これは優先順位切換部で行われる。この優先順位切換部は、どの要求を優先させるか又はどのような平均圧力を車輪ブレーキの圧力制御部5に出力するかを決定する。圧力制御部5は、圧力をバルブ切換え時間に換算する。優先順位切換部には、目標圧力の代わりに目標圧力変化を供給することができる(7節参照)。
この場合、一つの車輪の圧力低下要求が、優先的に満たされ、車輪ブレーキの圧力保持要求が、圧力上昇要求に対して優先されるという規則に従って、優先順位切換部3は、その出力において、圧力変化Δpを出力する。それによって、圧力低下要求があるときに、圧力保持要求又は圧力上昇要求を無視するという規則に従って、優先順位切換部への個々の要求が処理される。これと同様に、圧力保持要求のときには、圧力上昇は行われない。
5.バルブ切換え時間を直接比較する優先順位切換部
それに代わって、他の方法も適用可能である。
分配ロジックは、他のコントローラと同様に、追加ヨーイングモーメントMG から、圧力ではなく、バルブ切換え時間を直接計算する。それによって、GMRのバルブ切換え時間は、例えば、ABSの、必要なバルブ切換え時間と比較することが可能である。優先順位切換部では、今までのように、圧力要求の相違を評価するのではなく、バルブ切換え時間の相違を評価する。
バルブ切換え時間を得るために、分配ロジックは、先ずは各車輪ブレーキの調節すべき圧力変化を計算する。
後続の非線形的な制御部品を用いて、圧力変化から、個々の車輪ブレーキの駆動用切換え時間を計算する。
この非線形的な制御部品は、例えば、カウンタである。
このカウンタは、所定の圧力変化をクロック数に変換する。そのために、ループ時間T0 が、約3〜10の切換え間隔(クロック)に分割される。ループ時間当りのクロックの最大数は、達成すべき制御精度によって決まる固定量である。
計算したクロック数によって、単位ループ時間内でバルブを駆動すべき時間が決定される。
一般的に、車輪ブレーキ当りに2個のバルブが存在し、その場合、一方のバルブ(吸入バルブ)は、車輪ブレーキへの圧力媒体の供給を制御し、他方のバルブ(排出バルブ)は、車輪ブレーキからの圧力媒体の排出を制御するので、全部で8つの信号が生成されることとなる。
これらのクロック数は、優先順位切換部に供給され、優先順位切換部は、他のチャンネルで、他のコントローラのクロック数を受ける。
優先順位切換部は、どのコントローラを優先させるか、即ち、実際のバルブ制御のために、どのクロック数を採用するのかを決定する。
車輪ブレーキの操作によって生成される制動力に対する車両のリアクションは、ヨー角速度の変化である。このヨー角速度は、GMRコントローラ10によって検出されて、このコントローラは、再び新しい追加ヨーイングモーメントを算出する。
即ち、制御回路のどの位置においても、ブレーキ圧は計算又は調節されない。従って、制御アルゴリズムは、車輪ブレーキに関する情報を必要としない、特に、車輪ブレーキが受け取った容積とそれから生じるブレーキ圧の関係に関する情報を必要としない。
クロック時間の計算例を図27に基づいて説明する。
分配ロジック700によって、追加ヨーイングモーメントMG から、個々の車輪ブレーキで発生すべきブレーキ圧が計算される。これがどのように行われるかは、3.1節と3.2節から知ることができる。分配ロジック内での計算の結果として、4輪車両に対して、4つの圧力値P1 〜P4 が生じる。これらの量は、車輪ブレーキへの圧力媒体供給(圧力上昇)又は車輪ブレーキからの圧力媒体排出(圧力低下)を制御するバルブの切換え時間に変換しなければならない。バルブの切換え時間は、既に言及した通り、圧力設定値の絶対値からではなく、圧力設定値の変化から計算する。従って、すべての値pn (n=1〜4)が、シフトレジスタ701に供給される。第1のレジスタ位置702には、その時点の値が書き込まれる。第2のレジスタ位置703には、第1のレジスタ位置702から、その前の値を受け取り、その結果そこには、先行した計算ループからの圧力要求が書き込まれる。この値は、pn で示してある。
次のステップ705では、第1のレジスタ位置702から、その時点の圧力要求pn が読み出される。この値が、0であるか、或いは最小値よりも小さい場合、プログラムは、ループ706に分岐し、このループによって、調節される圧力が零になる程の圧力媒体が、車輪ブレーキから排出されることが保証される。そのために、少なくとも一つのループ時間T0 に渡って、吸入バルブが閉じられて、排出バルブが開けられる。
その時点の圧力要求値が、この最小値を上回る場合、両方のレジスタ値702と703から差分が生成される。このことは、差分演算回路707で行われる。計算した圧力変化Δpは、0よりも大きい又は小さい可能性が有る。これが、0よりも大きい場合、それぞれの車輪ブレーキの圧力を高めなければならない。これが、0よりも小さい場合、それぞれの車輪ブレーキの圧力を低下させなければならない。圧力を高める場合、プログラムは、右側の決定パス710に進む。調節すべき圧力差と圧力要求とを考慮して、或いは対応する信号が存在する場合には、車輪ブレーキの実際の圧力に基づいて、吸入バルブの開放時間でΔtein が計算される。排出バルブの開放時間Δaus は、零にセットされる。これとは逆に、圧力低下が要求されている場合(決定パス711)、吸入バルブの開放時間Δtein が零にセットされる一方、排出バルブの開放時間Δaus は、要求された圧力差と、車輪ブレーキ内のその時点の圧力又は第1のレジスタ702に書き込まれている圧力要求とから計算される。
通常、開放時間Δtと意図した圧力変化Δpとの間に線形的な関係が有る。
上述の通り、開放時間自体ではなく、クロック数によって計算を行う。これは、図28のグラフで詳しく説明した。上記の計算は、一定の時間間隔(ループ時間T0 )で行われ、その場合、計算結果として、車輪ブレーキのバルブの制御信号が、次のループで決定される。ループ時間T0 は、約3ミリ秒である。
制御をどの程度細かく行うべきかに応じて、各ループ時間T0 が、N個の時間区分に分割される。
図28のグラフでは、6個のステップへの分割が規定されている。バルブの切換え時間は、もはや時間量としてではなく、バルブを開放すべき、1ループ内のクロック数として出力される。n=3の場合、例えば、図28から分かる通り、1.5ミリ秒の開放時間が得られる。
要求された開放時間が、ループ時間よりも大きい場合、nは、その都度最大値N(図示した例では、6個に)にセットされる。
この計算は、各車輪ブレーキに対して行われる、即ち、4輪車両の場合には4回行われる。計算は、並行して、或いは順々に行うことができる。結果として、吸入バルブ用の4つの値と排出バルブ用の4つの値の8つの値が得られる。これらの値は、補正優先順位切換部720に供給される。この優先順位切換部720には、同じくクロック時間で表される、ABSコントローラと他のコントローラの切換え時間要求が入力される。
この制御は、車輪ブレーキの圧力変化が生じるように行われる。それによって、制動力と、それにより車両に加わるモーメントが変化する。即ち、車両の走行動特性を示す量での変化が生じる。これらの量は、センサーによって直接又は間接的に検出されて、再びこの計算に供給される。
これから、新たに、上述の通り、バルブの新しい制御信号に変換されるモーメント要求が起こる。
調節すべき圧力差の計算は、先行する計算ループの圧力要求に基づく。しかし、これらは、実際には調節する必要はなく、その結果車輪ブレーキの実際の圧力は、その都度計算した圧力要求と異なることとなる。従って、所定の状況では、車輪ブレーキの実際の圧力を圧力要求と一致させることが必要である。このことは、圧力要求が0である場合、即ち、分配ロジック700が、車輪ブレーキの圧力の零に対応する値を要求する場合、最も簡単に行うことができる。そのような場合、先行する値との差分を生成して、それから制御信号を導き出すのではなく、ステップ705において、実際に零の圧力値に調節することを保証する、切換え時間の計算のためのループ706に分岐する。このことは、排出バルブ用の切換え時間Δtaus を少なくともループ時間T0 にセットすることによって行われる。
相応の情報を優先順位切換部720に与えて、その結果、車輪ブレーキの圧力を零にすることとなる、この時間要求が、他のコントローラの設定値によって重ね合わされることがないようにする必要がある場合もある。更に、この情報において、複数のループ時間に渡っての圧力低下を行って、その結果実際に完全な圧力低下を行うことを決定することができる。
6.車輪ブレーキ圧識別
4節までに記載したFSR圧力コントローラは、結果として車輪ブレーキのブレーキ圧値を提供する。これらの設定値を実現しなければならない。一つの方法は、車輪ブレーキの圧力を測定して、設定値と比較することである。従来のルールに従って作動する圧力コトローラは、車輪ブレーキ圧を設定された目標値に制御する。この方法は、車輪ブレーキ当りそれぞれ1個の圧力センサーを、即ち、4輪車両に対しては4個の圧力センサーを必要とする。
一般的に、既に専らコスト上の理由から、出来る限り少ないセンサーで済ます努力が為されきた。更に、各センサーは、更なる潜在的な障害源である。センサーの故障は、制御系全体を停止しなければならないこととなる可能性が有る。
従って、既に存在するセンサーから得られるデータに基づいて、車輪ブレーキの圧力に対応する圧力量を導き出す評価システムを配備することを提案する。そのために、次の技術思想を提案する。
各車輪ブレーキの圧力は、既に説明した通り、2個のバルブによって制御する。吸入バルブは、圧力媒体の供給を制御する一方、排出バルブは、圧力媒体の排出を制御する。
従って、圧力コントローラから出力される信号は、バルブを開放又は閉鎖すべき時間を示す制御時間である。ループ時間は、一定数の時間区分(クロック)に分割される。そして、これらの制御時間は、バルブを開放又は閉鎖すべき時間区分の数を示すクロック数として表すことができる。
ここで、基本的な考察は、これらの制御信号を、車輪ブレーキにだけでなく、計算量として車両モデルにも与えることにある。現実の車両は、調節されたブレーキ圧に対して反応し、その場合、所定の重心速度vと個々の車輪の車輪回転数ωi が設定される。車両の速度は、直接測定されないで、同様に個々の車輪の車輪回転数ωi から特別なプロラムステップで導き出される。従って、この速度は、基準速度vRef と表示する。
当該の値は、車両モデルでもエミュレーションすることができる。
ωi ,vRef の実際値を、ωi ,vRef の計算した、或いは車両モデルに準拠して見積もった値と比較することにより、個々の車輪ブレーキの圧力の補正量を算出することができ、この場合、この補正量を用いて、油圧モデルで計算した圧力を補正することができ、その結果車輪ブレーキ圧の良好な見積りを与えることが可能となる。
この前に述べた原理的な構造は、図29において、詳しく説明した。
符号800で、図1において番号5が付けられている圧力制御部を表している。この圧力制御部は、調節すべき圧力を表す第1の値801と、車輪ブレーキ内に存在する見積もった、或いは測定した圧力を示す第2の値802とから、車輪ブレーキのバルブに関する制御時間を計算する。これらの制御時間は、ここでは出力量803として図示している。符号810で、車両を示している。それらによって、車両が、車輪ブレーキ内で調節された圧力によって引き起こされる力に対して反応することを図示している。この場合、個々の車輪の車輪回転数ωi も変化する。
車両810には、車輪の車輪回転数を検出する車輪センサーも付属すべきであり、その結果これらの値ωi は、直接利用可能となる。
車両810には、ωi に関する評価ユニットも付属しており、この評価ユニットは、通常、所定の境界条件下におて、個々の車輪の車輪回転数ωi から、車両の実際の速度に対応する、所謂、基準速度vRef を計算するABSコントローラの部分領域である。
個々の車輪回転数と車両基準速度とから、各車輪に関するスリップλi を計算することができる。
これらの値ωi ,vRef は、初期値811として利用可能である。このスリップλi は、値812として利用可能である。
使用した計算モデルは、全体を符号820で示している。この計算モデルは、3つの下位モデル、即ち、
油圧モデル821
車両モデル822
タイヤモデル823
を含んでいる。
油圧モデル821は、ブレーキ圧pと、車輪ブレーキ内に閉じ込められた容積V及びこの容積の或る時間の間吸入バルブ又は排出バルブを開放している場合の変化ΔVとの間の関係を、次の2つの近似式で表す。
F6.1
p=a*V+b*V2
F6.2
Figure 0004889497
これらのパラメータa,b,cは、ブレーキ系統を表す量であり、相応のメモリに値として保存されている。pは、車輪ブレーキ内のその時点の圧力を示している。Vは、車輪ブレーキ内に閉じ込められているその時点の容積を示している。
Δpは、吸入バルブを介して、或いは排出バルブを介して測定され、その場合、吸入バルブを介して測定する際には、圧力源とp間の差分を検出する一方、排出バルブを介して測定する際には、pとタンク内の圧力間の差分を検出し、このタンク内の圧力は、一般的に1バールであり、そのため無視することができる。
制御の開始時に、車輪ブレーキの圧力と閉じ込められた容積とを0にセットすることから出発して、バルブ開放時間を追跡することによって、容積の変化とそれにより個々の車輪ブレーキの圧力の変化をシミュレーションすることができる。
しかしながら、上記の式が、実際の関係を非常に大まかにしか示すことができず、その結果、相応の補正が必要であることは明らかである。車両は、モデル822では、一般的には、4つの接触点(車輪接触面)で平面上に立っている剛体として示されている。
この物体は、平面に対して平行に、即ち、x方向とy方向に移動するとともに、その重心の周りを回転することができ、その場合、回転軸は、運動平面に対して垂直である。
物体に作用する力は、車輪接触面での制動力と空気抵抗力である。
この考察に基づいて、車輪荷重Fz,v とFz,h は、以下の通り計算される。
F6.3a
Figure 0004889497
F6.3b
Figure 0004889497
そのようなモデルは、通常所望の圧力補正を実施することができるためには十分である。必要であれば、当然に、このモデルを改良することができる。更なる計算のために、このモデルは、基本的に重心での減速に依存して、接触面の荷重Fx を供給する。車輪は、或る程度の慣性モーメントを有する回転可能な円板と看做される。
F6.4
Figure 0004889497
車輪に作用する減速モーメントは、車輪ブレーキ圧から線形的に算出される。
F6.5
Br=CBr*p
タイヤモデルでは、摩擦利用度f、即ち、車輪荷重に対する制動力の比は、車輪のスリップに関して線形的に変化する。
F6.6
Figure 0004889497
上記の式により、各車輪の回転数と車両モデルの基準速度を計算することが可能である。
これらの値は、実際の値811と比較することができる。このことは、比較点830において行われる。各車輪の測定した車輪回転数と見積もった車輪回転数間の差分から、補正係数kを考慮して、追加の容積を算出することができる。
この追加の圧力媒体容積ΔVは、算出すべき目標容積に加算されて、新しい目標容積が得られ、この新しい目標容積から、式F6.1に従って、実際の車輪ブレーキ圧に比較的正確に一致する車輪ブレーキ圧を導き出すことができる。
見積りの精度は、当然に、補正係数kに依存し、この補正係数は、場合によっては、試験によって、前もって算出しなければならない。
この係数は、車両毎に異なり、特に、車両モデルが、実際の関係をどの程度良好に表しているのかにも依存する。
この追加の容積には、容積許容差も含むことができ、この容積許容差のために、バルブを通る体積流量が切換え時間に比例しないことを考慮すべきである。バルブの開閉によって、バルブの開口部の横断面は、ゆっくりとしか拡大又は縮小せず、その結果、開口部の横断面全体が、依然として増大又は減少している時間区分では、より少ない容積しか流れない。
7.ヨー角速度測定器の交換
上記の制御に関して、ヨー角速度は、その偏差
Figure 0004889497
が最小化されるべき制御量としての役割を果たしているので、特に特徴的な量を形成する。しかし、以下に述べる通り、有利には、他の制御量を使用することもできる。この節では、簡単化するために、次の符号を用いる。
Figure 0004889497
これと同じことが、それぞれ添字“s”を付けられた図9の目標値に対しても適用される。
図12の測定したヨー角速度は、従来通り、初期信号gI を出力するヨー角速度センサー321を用いて測定される。しかし、このようなヨー角速度を直接出力する公知のヨー角速度センサーは、相当複雑に構成されており、そのため非常に高価である。同じことが、後続の比較器と制御回路に属するコントローラとに言える。従って、ここでは、その対策を講じるとともに、簡単なセンサーと容易に構成されるコントローラを提供するように努める。
図13は、第1の横加速度測定器322と第2の横加速度測定器323とを備えた新型のセンサー321の作用形態を模式図で図示している。両方の加速度測定器322,323は、それぞれ前車軸又は後車軸に対して、車両の縦軸上に配置されている。原理的には、横加速度測定器は、重心SP以外の任意の個所に配置可能であり、その場合、次に相応の換算が行われる。図15には、車両の四角形の輪郭324を、タイヤ325及びセンサーと共に図示している。この構造に基づいて、前側の横加速度測定器322は、前車軸326の高さにおける横加速度aqvを測定し、後側の横加速度測定器323は、後車軸327の高さにおける横加速度aqhを測定する。
両方の横加速度測定器は、ヨー角速度に依存する量を示すことができる。数学的な導出により、横加速度測定器の測定結果から、ヨー角速度と重心SPの横加速度aquerを、以下の通り算出可能であることを示すことができる。
F7.1
Figure 0004889497
F7.2
Figure 0004889497
この場合、図13から明らかな通り、lv ,lh は、横加速度測定器322,323の重心SPからの距離である一方、vは、車両の速度であり、βは、横滑り角である。それにより、横加速度と加速度測定器322,323の距離とから、ヨー角加速度
Figure 0004889497
を決定することができる。従って、前の節で提案したヨー角速度の代わりに、ヨー角加速度
Figure 0004889497
を使用することを提案する。或いは、公知の状態制御と同様に、比較器用の個々の入力値の線形的な重み付けを行うこともできる。この場合、ヨー角速度gと横滑り角βは、車両参照モデル302の出力量と次元が一致する量をセンサー321から得るために、帯域を制限した積分又は1次の階段状ローパスフィルターを用いて、ヨー角ジャーク
Figure 0004889497
と横滑り角速度
Figure 0004889497
とから計算可能である(2.3.1節)。
この場合、帯域を制限した積分については、次式が適用される。
F7.3
Figure 0004889497
一方、ローパスフィルターを使用する場合には、次の関係となる。
F7.4
Figure 0004889497
横滑り角速度は、次の関係の評価にもとづき得られる。
F7.5
Figure 0004889497
これによって、確かに2個の横加速度測定器を使用することにより、公知のヨー角速度測定器が置き換え可能であることが分かった。しかし、この場合、ヨー角加速度をヨー角速度に変換するために、この前に述べた措置を講じなければならない。Δgと
Figure 0004889497
とを求めた後で、図1の制御ルール部16を変更せずに続けることができる。図14では、このようにして計算したモーメントMG を、更に制御ルール部16において、時間による微分によって、モーメントの変化Mに換算している。
しかし、場合によっては、図17の非線形的な制御に移行することが目的に適っており、その制御では、車両参照モデル302の結果として、ヨー角加速度
Figure 0004889497
が、実際値及び目標値として比較器303に供給される。そのために、車両参照モデルでは、相応の微分値を生成しなければならない。
その結果として、ヨー角速度の差分Δgの代わりに、ヨー角加速度の偏差
Figure 0004889497
が、比較器303の出力に生じるとともに、入力量として、制御ルール部16に供給される。更に、図15から明らかな通り、モーメントの変化をより正確に決定するために、ヨーイングモーメント制御ルール部16に、更に横滑り角速度
Figure 0004889497
を供給することができる。
図14に関して既に言及した通り、制御ルール部16の初期信号として、追加ヨーイングモーメントMG を用いないで、その代わりにモーメントの変化
Figure 0004889497
を初期信号として使用することができる。補正された分配ロジックでは、このモーメントの変化
Figure 0004889497
、即ち、追加ヨーイングモーメントMG の微分値は、個々の圧力変化に変換される。これは、圧力変化を個々の車輪ブレーキに分配して、全体として所望の追加ヨーイングモーメントMG が生じるようにすることを意味する。これに関する詳細は、図16に関連して後述する。
場合によっては同時に、運転者のブレーキ操作によって、車輪ブレーキへの所定の圧力分配が生じることを考慮すべきである。この場合、モーメントの変化
Figure 0004889497
の積分によって、モーメントMG を決定するのが、より有利であり、このモーメントから、次に、既に個々の各車輪ブレーキで支配的な圧力に関して設定しなければならない圧力差を直接決定することができる。1〜3節で用いた制御量の微分値を使用することによる上述の有利な改善構成は、3節の分配ロジックと組み合わせることもできる。これによって、2つの制御原理が利用可能となり、その中の一方の制御原理は、追加ヨーイングモメントMG を設定値として供給し、他方の制御原理は、追加ヨーイングモーメントの変化
Figure 0004889497
を供給するものである。この場合、これらの原理間を切り換えるものと規定することができる。それぞれ他方の制御原理への切り換えは、特に、一方の原理の追加制御量(横滑り角等)の他方での計算が、十分な精度で実施できない場合に行われなければならない(例えば、2.2.2節参照)。更に、図15の制御ルール部16に、補正量としての
Figure 0004889497
に加えて、
Figure 0004889497
を更に供給することもできることを付記して置きたい。
図15の制御ルール部16では、適応型増幅器k1,k2,k3の他に、2個の閾値スイッチS2,S3が図示されており、これらの閾値スイッチは、制御ルール部16内での制御挙動を改善して、供給される量の影響を、速度に応じて、理想的な制御挙動に最適に適合させるものである。増幅器k1〜k3は、類似の課題を有する。そして、これらの個々の値が、加算器で加算されて、GMRコントローラ10の出力信号として出力される。ここで相応に当てはまる制御ルール部に関する一般的な説明は、2.4節に記載されている。
図1と関連して、優先順位切換部3において、コントローラ7,8,9の出力の圧力設定値が分配ロジック2の圧力設定値とどのようにして結合されるのかを示す。圧力設定値の使用は、この設定値を出力する装置における事前の相応の変換を前提とする。次に述べる措置により、制御系のプログラムモジュー間の情報交換に関する負担を軽減することができる。
図16には、図9,14の走行安定性を制御するための制御系を、再度非常に簡略化して図示しており、この場合、そこで使用されている符号をそのまま付けている。
図1のGMRコントローラ10は、ここでは、運転者の希望するブレーキへの圧力分配(制動希望)と共に、分配ロジック2に出力される、追加ヨーイングモーメントMG の変化
Figure 0004889497
が、出力に生じているという点が修正されている。
Figure 0004889497
の計算については、図12を参照されたい。
分配ロジック2は、ロジックブロック340と圧力勾配切換部341とを備えている。ロジックブロック340の重要な課題は、走行安定性制御の介入にもかかわらず、運転者が分配ロジック2の入力における圧力信号の設定により希望するよりも強く、車両全体が制動されないようにすることである。それによって、走行安定性制御により、不安定性が更に引き起こされることが避けられる。即ち、運転者の制動希望に基づいて、追加ヨーイングモーメントを達成するために、一つの車輪でのブレーキ圧を設定し、他方では、FSRコントローラを介して、一つ又は二つの車輪での圧力上昇と、反対側の車輪での圧力低下が要求される場合、個々の車輪に関して、互いに矛盾する要求、即ち、圧力上昇と同時に圧力低下が発生することが有る。そして、他の車輪に関して、運転者の制動希望に基づくだけでなく、同時に安定性制御に基づいても、圧力を上昇させる要求が発生することが有る。ここで、このロジックブロックは、先ずは対応する車輪のブレーキ圧を低下する一方、それに続いて、所定の限界値にまでの運転者の希望を上回るブレーキ圧の上昇を実現することができるように対処する。それによって、FSR制御によって引き起こされる追加の回転モーメントを考慮して、すべての車輪に渡っての平均的な制動力が、運転者が希望するよりも大きくならないことが保証される。
既に3.2節で説明した通り、一つの車輪の縦方向スリップλの目的通りの上昇を、横方向力を低減するために使用する一方、縦方向の制動力は維持されたままである。即ち、このようにして、車両の減速を低下させずに、ヨーイングモーメントを加えることができる。
分配ロジック2の圧力勾配切換部341では、所定の定数dxxとモーメントの変化
Figure 0004889497
に基づいて、個々の車輪xxの圧力変化ΔPxxが計算され、この場合、この計算には、更に運転者の希望する制動圧力PFahrerと実際に測定したブレーキ圧Pxxist との間の差分も取り込まれる。従って、次の関係が成り立つ。
F7.6
Figure 0004889497
この場合、
Figure 0004889497
であり、g1 は比例因子である。
実際のブレーキ圧pxxist は、当該の車輪の圧力センサーによって検出されるか、或いはブレーキモデルによって算出され、このブレーキモデルは、車輪における所定の圧力変化に従い、そのため、ちょうど車輪において支配的な圧力のコピーである(6節)。
これらの計算した圧力要求は、優先順位切換部3に供給されて、そこで評価される(前の4節参照)。
上記の説明は、優先順位切換部内で、圧力勾配を直接処理することを前提としている。しかし、これは、必ずしも必要ではない。優先順位切換部3内で、バルブ切換え時間Δtを処理することも可能である(5節)。しかしながら、この場合、バルブ切換え時間切換部343は、分配ロジック2と優先順位切換部3との間に接続しなければならず、その場合、バルブ切換え時間Δtも、他のコントローラ7,8,9から出力される。そして、優先順位切換部は、既に4節においてブレーキ圧に関して述べた通り、相応の図式に従って、入力されたバルブ切換え時間Δtを処理する。優先順位切換部の出力量は、バルブ切換え時間である。個々の車輪xxの要求された圧力変化Δtxxのバルブ切換え時間Δpへの変換は、次式により行われる。
F7.7
Figure 0004889497
ここで、Krxxは、個々の車輪の実際の圧力に依存する増幅率であり、圧力上昇の際には、次の規則に従って計算される一方、
F7.8
Figure 0004889497
圧力低下に関しては、次式が適用される。
F7.9
Figure 0004889497
この場合、xxは、又もや個々の車輪の位置を示す添字である。
走行安定性制御用システムの全体構造のブロック接続図 ヨーイングモーメントコントローラの構造のブロック接続図 走行状況、例えば、カーブ走行などの検出に関するフローチャート 走路の摩擦係数の決定に関するフローチャート 図4に挿入される、走路の摩擦係数の決定に関するフローチャート 横滑り角速度と横滑り角の実際の値を決定するための組み合わせ方法に関するブロック接続図 図6の組み合わせ方法の一部としての、運動力学的な考察から横滑り角速度を直接決定するためのブロック接続図 図6を別の形式で表した、横滑り角速度と横滑り角の実際の値を決定するための組み合わせ方法に関するブロック接続図 車両速度に応じて車両用計算モデルを切り換える、走行安定性制御用制御回路 車両のドリフト角の差分が個々の車輪の横滑り角と速度ベクトルに依存することを示す接続図 車両のドリフト角の差分が個々の車輪の横滑り角と速度ベクトルに依存することを示す接続図 比較器内で互いに比較される量がヨー角速度の微分値である、走行安定性制御用制御回路のブロック接続図 比較器内で互いに比較される量がヨー角速度の微分値である、走行安定性制御用制御回路のブロック接続図 比較器内で互いに比較される量がヨー角速度の微分値である、走行安定性制御用制御回路のブロック接続図 比較器内で互いに比較される量がヨー角速度の微分値である、走行安定性制御用制御回路のブロック接続図 制御量として、車両ブレーキの圧力勾配とバルブ切換時間の両方又は一方を使用する走行安定性検出用制御回路 追加ヨーイングモーメントを計算するためのコントローラを説明するためのブロック接続図 ローパスフィルタを説明するためのブロック接続図 補正された目標ヨー角速度を計算するためのフローチャート 補正された追加ヨーイングモーメントを計算するためのブロック接続図 自動車の模式図 分配ロジックを説明するためのブロック接続図 ハンドルを切った時の自動車と作用する力の模式図 横方向力係数と縦方向力係数が車輪スリップに依存することを説明するためのグラフ アンダーステア及びオーバーステア挙動を説明するための自動車の模式図 分配ロジック内の決定ロジックに関するフローチャート 吸入バルブと排出バルブ用切換時間を算出するためのブロック接続図 算出フロー内での時間間隔を説明するためのグラフ 走行状況識別部の原理的なブロック接続図 車輪ブレーキ圧を決定するための原理的なブロック接続図

Claims (7)

  1. 各車輪に対して一つのブレーキを配備した油圧ブレーキ設備と、車輪回転数、横加速度、ヨー角速度、操舵角、操舵角速度の一つ以上を検出又は算出するための少なくとも一つのセンサー又はモデルとを備えた二つの車軸と四つの車輪を持つ車両のヨーイング挙動を制御するための装置において、
    少なくとも二つの電子式ヨーレイトコントローラを備えており目標のヨーレイトと実際のヨーレイトの比較結果がESP介入閾値以下である場合、第一のコントローラ(20)が、その比較結果を車両の軌道に沿った挙動を改善するための追加のヨーイングモーメントMG SESP に変換し、ESP介入閾値以上では、第二のコントローラ(10)が、その比較結果を車両の走行状態を安定化するための相応のブレーキ操作に変換することと、
    第一のコントローラ(20)が、直線的な走行、カーブ走行などの車両の走行状況を監視及び解析するための走行状況識別部(22)を備えており、この走行状況識別部(22)は、車両が120°/s以下の操舵角速度で、ほぼ定常状態でカーブを進んで行く走行状況を監視及び解析し、この走行状況識別部(22)は、部分的なブレーキ操作を伴う直線的な走行状態、部分的なブレーキ操作を伴うカーブ走行状態及び荷重変化を伴うカーブ走行状態の中の少なくとも一つの状態を識別して、コースからの偏差を示す走行状態に応じて、第一のコントローラ(20)による制御を作動させる状態機械として構成されていることと、
    を特徴とする装置。
  2. 走行状況識別部(22)が、第二のコントローラ(10)で計算されたAYC基準ヨーレイトをオフセットにより補正する基準信号生成部(24)と接続されており、この場合に、走行状況識別部(22)は、このオフセットによる補正を開始及び終了する時点を決定して、開始する時点では、このオフセット値が、このAYC基準ヨーレイトに重畳されることを特徴とする請求項1に記載の装置
  3. 追加のヨーイングモーメントを制御するためのESPコントローラと、直線的な走行、カーブ走行などの様々な走行状況を弁別して、制御の際に考慮し、その際、制御閾値に応じて、制御を作動又は停止する状況識別部とを備えている、車両のための走行安定性制御部において、
    車両が、120°/s以下の操舵角速度で、ほぼ定常状態でカーブを進んで行く走行状況を監視及び解析する別の走行状況識別部が配備されていることと、
    運転者の希望及び車両状態を表す、定常状態の範囲内において期待される、或いは実際に検出した快適性制御偏差に応じて、ESPコントローラによる制御が停止されている場合に、所望の車両のコースを表す基準量の補正を作動することと
    を特徴とする走行安定制御部。
  4. 更に、ESPコントローラにおいて、所望の車両の走行コースを算出するとともに、所望の走行コースからの偏差を評価し、その場合に、所望の走行コースに関して、部分的なブレーキ操作又は荷重変化の状況によって、その後にコースから逸れる傾向が有るか否かを検出することを特徴とする請求項に記載の走行安定性制御部。
  5. 車両の回転挙動を測定して、制御システムの入力量として評価し、その場合に、ヨーレイトと運転者が希望する車両のコースとの論理的な演算によって、車両のコースを変化させるための少なくとも二つの制御量を生成するとともに、これらの車両のコースを変更するための制御量を、制御閾値に応じて、活動状態又は不活動状態に設定する、制御システム(ESP)の制御挙動を改善するための方法において、
    これらの制御閾値を、走行状況に応じて変化させ、その場合に、車両が、120°/s以下の操舵角速度で、ほぼ定常状態でカーブを進んで行く際には、所望の車両のコースからの偏差を監視及び解析することと、
    定常状態の範囲内において期待される、或いは実際に検出した偏差に関して、これらの制御閾値が、ESP制御閾値を下回る場合に、定義された車両挙動を考慮して、所望の車両のコースを表す基準量を補正することと
    を特徴とする方法。
  6. モデルに準拠した車両基準速度を、走行安定性制御のセンサー信号から計算することを特徴とする請求項に記載の方法。
  7. 当該のモデルに準拠した車両基準速度を、ヨー角速度、操舵角、横加速度、これらの微分値の中の一つの以上又はこれらに代わる信号から算出することを特徴とする請求項に記載の方法。
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