JP4888370B2 - 燃料遮断弁 - Google Patents
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Description
しかし、従来のケーシングはOリングを含めて4つの部品であり、部品点数を減らし、構成を簡単にすることが検討されている。
しかし、蓋体は、燃料タンクに溶着可能な高密度ポリエチレンを含んだ樹脂材料から形成されているために、ポリアセタールなどより燃料膨潤量が大きい。このために、燃料タンク内に満たされた燃料蒸気により、シール部の周辺に大きな燃料膨潤を生じる。このような燃料膨潤は、特に蓋体が燃料タンクに溶着されて拘束されている場合に、蓋体を上方に盛り上げかつ不均一に湾曲させる変形を生じる。このため、シール部は、燃料膨潤に伴う中心軸のズレや変形をして、高いシール性を維持することができないという問題があった。
適用例1は、燃料タンクの上部に装着され、該燃料タンクに接続される弁室および該弁室と外部とを接続する接続通路を有するケーシングと、上記弁室に収納され該弁室内の燃料液位により昇降することで上記接続通路を開閉するフロートとを有する燃料遮断弁において、
上記ケーシングは、円筒状の側壁部を有するケーシング本体と、上記側壁部の上部に配置された蓋体とを備え、
上記蓋体は、上記側壁部の上部開口の一部を覆うとともに上記接続通路を有する蓋本体と、該蓋本体の外周部に形成され上記燃料タンクの上部に熱溶着可能である溶着部と、上記接続通路に臨んで配置され上記フロートの上部が着座するシール部とを備え、
上記蓋本体は、上記ケーシング本体の上部開口のうち外周部を覆う平板部と、該平板部より上方に上記シール部を配置する嵩上げ部とを有すること、
を特徴とする。
適用例2において、上記嵩上げ部は、上記平板部から上方に突設された円筒状の立壁部と、該立壁部の上部に一体に形成され上記シール部を設けた天板部を有する構成をとることができる。嵩上げ部は、平板部よりシール部を上方に配置できる構成であればよく、上述の適用例のほかに傾斜壁やドーム形状であってもよい。
図1は燃料遮断弁10を示す側面図、図2は燃料遮断弁10を示す断面図である。燃料タンクFTは、その表面が高密度ポリエチレンを含む複合樹脂材料から形成されており、そのタンク上壁FTaに取付穴FTbが形成されている。このタンク上壁FTaには、燃料遮断弁10がその下部を取付穴FTbに突入した状態にて取り付けられている。燃料遮断弁10は、ケーシング20と、フロート50と、スプリング70とを主要な構成として備えており、燃料タンクFT内の燃料が所定の液位まで上昇したときに、外部(キャニスタ)への流出を規制するものである。以下、燃料遮断弁10の各部の構成および作用について説明する。
(2)−1 ケーシング20
図3は燃料遮断弁10を分解した断面図である。ケーシング20は、ケーシング本体30と、蓋体40とを備え、ケーシング本体30と蓋体40とにより囲まれたスペースが弁室20Sになっており、この弁室20Sにスプリング70に支持されたフロート50が収納されている。
蓋本体41の天板部41dの中央部には、下方に向けて円筒状の通路形成部44が形成されている。通路形成部44内には、接続通路44aが貫通しており、その接続通路44aの弁室20S側が環状のシール部44bになっている。
ケーシング本体30を蓋体40に装着するための構成として、装着手段が設けられている。装着手段は、ケーシング本体30に設けられた保持部36と、蓋体40に設けられた円筒状の挿入部45と、ケーシング本体30と蓋体40とを爪で機械的に連結する連結手段とを備えている。
図4は燃料遮断弁を分解した側面図である。保持部36は、複数(実施例では4箇所)の支持脚部36aと、支持脚部36aの上部を連結する環状連結部36bとを備えている。支持脚部36aは、側壁部32の外壁から断面L字形に突設されている。図5は図1の5−5線に沿った断面図である。環状連結部36bは、ケーシング本体30の側壁部32の外周壁に対して所定間隙を隔てることで、側壁部32との間で挿入部45を挿入可能である保持間隙38Sを形成している。
また、環状連結部36bの内周部には、上下方向にリブ38が複数形成されている。リブ38は、保持間隙38Sを跨いで挿入部45に当接するように上下方向に形成されている。
図3において、フロート50は、円筒状のフロート本体51と、フロート本体51の上部に突設された弁部52とを備えている。フロート本体51は、下方を開放した容器形状に構成されており、その内側スペースが浮力を生じるためのフロート室50Sになっている。
次に、燃料遮断弁10を燃料タンクFTのタンク上壁FTaに装着する作業について説明する。図2に示すように、ケーシング本体30の弁室20S内に、フロート50およびスプリング70を収納する。さらに、図3および図5に示すように、蓋体40の挿入部45をケーシング本体30の保持部36の保持間隙38Sに挿入する。このとき、蓋体40の挿入部45の係合穴45aに係合爪36dが係合する。これにより、保持部36で挿入部45が挟持されるとともに、係合穴45aに係合爪36dが係合することにより、蓋体40とケーシング本体30とが一体化する。
次に、燃料遮断弁10の動作について説明する。図2において、燃料タンクFT内の燃料液面が所定の液位以下であると、フロート50は下降位置にあり、接続通路44aを開け、燃料タンクFT内と外部との通気を確保している。そして、車両の揺動や傾斜などにより、燃料遮断弁10の付近の燃料液位が上昇すると、燃料タンクFT内の上部に溜まっていた燃料蒸気は、連通孔32a(図3)、弁室20S、接続通路44a、管体通路43aを通じてキャニスタ側へ逃がされる。そして、燃料タンクFT内の燃料液位が所定の液位に達すると、燃料は、底壁部34の連通孔34aを通じて弁室20Sに流入する。これにより、フロート50に浮力が生じて上昇し、弁部52がシール部44bに着座して接続通路44aを閉塞して燃料がキャニスタ側へ流出するのを防止する。したがって、燃料タンクFT内の燃料液位の上昇によって、燃料タンクFTから燃料蒸気を逃がすとともに燃料が燃料タンクFT外へ流出するのを防止することができる。
上記実施例の構成により、以下の作用・効果を奏する。
(5)−1 蓋体40は、燃料タンクFTと同じ高密度ポリエチレンから形成されているから、締結部材などを必要とせず、熱溶着により燃料タンクFTの上部に容易に固定することができる。
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
(6)−1 上記実施例において、図5に示すようにリブ38は、環状連結部36bの内壁から突設したが、これに限らず、保持間隙に跨る形状であれば、挿入部の外壁に突設する構成や、ケーシング本体の側壁部と挿入部との間に保持間隙を設けて、挿入部の内壁または側壁部の外壁に設けてもよく、また両部材からそれぞれ突設してもよい。
(6)−2 上記実施例において、ケーシングを構成するケーシング本体は、側壁部と底壁部とを一体に形成したが、これに限らず、別体に形成しても同様な作用効果を奏する。
20…ケーシング
20S…弁室
30…ケーシング本体
32…側壁部
32a…連通孔
34…底壁部
34a…連通孔
34b…スプリング受け部
36…保持部
36a…支持脚部
36b…環状連結部
36c…係合部
36d…係合爪
36e…スリット
38…リブ
38S…保持間隙
40…蓋体
41…蓋本体
41a…平板部
41b…嵩上げ部
41c…立壁部
41d…天板部
42…フランジ
42a…溶着部
43…管体部
43a…管体通路
44…通路形成部
44a…接続通路
44b…シール部
45…挿入部
45a…係合穴
45b…切欠き
50…フロート
50S…フロート室
51…フロート本体
52…弁部
70…スプリング
FT…燃料タンク
FTa…タンク上壁
FTb…取付穴
FTd…溶着部
Claims (2)
- 燃料タンク(FT)の上部に装着され、該燃料タンク(FT)に接続される弁室(20S)および該弁室(20S)と外部とを接続する接続通路(44a)を有するケーシング(20)と、上記弁室(20S)に収納され該弁室(20S)内の燃料液位により昇降することで上記接続通路(44a)を開閉するフロート(50)とを有する燃料遮断弁において、
上記ケーシング(20)は、円筒状の側壁部(32)を有するケーシング本体(30)と、上記側壁部(32)の上部に配置された蓋体(40)とを備え、
上記蓋体(40)は、上記側壁部(32)の上部開口の一部を覆うとともに上記接続通路(44a)を有する蓋本体(41)と、該蓋本体(41)の外周部に形成され上記燃料タンク(FT)の上部に熱溶着可能である溶着部(42a)と、上記接続通路(44a)に臨んで配置され上記フロート(50)の上部が着座するシール部(44b)とを備え、
上記蓋本体(41)は、上記ケーシング本体(30)の上部開口のうち外周部を覆う平板部(41a)と、該平板部(41a)より上方に上記シール部(44b)を配置する嵩上げ部(41b)とを有すること、
を特徴とする燃料遮断弁。 - 請求項1に記載の燃料遮断弁において、
上記嵩上げ部(41b)は、上記平板部(41a)から上方に突設された円筒状の立壁部(41c)と、該立壁部(41c)の上部に一体に形成され上記シール部(44b)を設けた天板部(41d)を有する、燃料遮断弁。
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