JP4887571B2 - プーリ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明に係るプーリ装置は、例えばエンジンの補機やカムシャフトを回転駆動する為の駆動プーリ或は従動プーリに対する無端ベルトの巻き付け角度を確保したり、或はこの無端ベルトに必要な張力を付与したりする、ガイドプーリ或はテンションプーリとして、この無端ベルトを掛け渡した状態で使用する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の補機は、この自動車の走行用エンジンにより回転駆動する。即ち、この走行用エンジンのクランクシャフトの端部に固定した駆動プーリと、上記補機の回転軸の端部に固定した従動プーリとの間に無端ベルトを掛け渡し、上記クランクシャフトの回転に伴って上記補機の回転軸を回転駆動している。この様な構造で、上記回転軸やカムシャフトを確実に回転駆動する為には、上記駆動プーリ或は従動プーリに対する上記無端ベルトの巻き付け角度を確保したり、或はこの無端ベルトに必要な張力を付与したりして、上記駆動プーリ及び従動プーリの外周面とこの無端ベルトの内周面との係合部に滑りが生じない様にする必要がある。
【0003】
この為に従来から、上記無端ベルトの一部で上記駆動プーリ及び従動プーリから外れた部分を、ガイドプーリ或はテンションプーリに掛け渡し、上記巻き付け角度の確保や張力付与を行なっている。又、上記駆動プーリ及び従動プーリの外周面と上記無端ベルトの内周面との摩擦面積を増大させるべく、これら各周面の幅方向に関する断面形状を波形とする事も行なわれている。ポリVベルトと呼ばれる、内周面の断面形状を波形とした無端ベルトの内周面と、ポリVプーリと呼ばれる外周面の断面形状を波形とした駆動プーリ及び従動プーリの外周面とを摩擦係合すれば、動力伝達部である上記無端ベルトの内周面とこれら駆動プーリ及び従動プーリの外周面との摩擦面積を広くして、動力伝達部での滑りを抑える事ができる。尚、ポリVベルトの場合でも、外周面の断面形状は単なる直線状としている。従って、上記ガイドプーリ及びテンションプーリのうち、上記ポリVベルトの内周面と係合するプーリの外周面の断面形状は波形とするが、このポリVベルトの外周面と係合するプーリの外周面の断面形状は、単なる直線状とする。
【0004】
図1〜4は、この様な目的で従来から使用されているプーリ装置の4例を示している。このうちの図1〜2に示した2例は、上記ポリVベルトの内周面と係合する構造のものを示している。これに対して、図3〜4に示した2例は、上記ポリVベルトの外周面に押し付けられる構造のものを示している。
【0005】
先ず、図1に示した第1例のプーリ装置は、鋼板等の金属板をプレス成形して成るプーリ1の中心部に設けた軸受抱持部2に、深溝型玉軸受等の転がり軸受3を抱持して成る。上記プーリ1は、ポリVベルトの内周面と係合する為に外周面の断面形状を波形とした外径側円筒部4と、上記軸受抱持部2を構成する為の内径側円筒部5とを互いに同心に配置し、これら両円筒部4、5の軸方向一端縁同士を円輪状の連結部6により連結して成る。上記内径側円筒部5の軸方向他端縁は径方向内方に折り曲げて内向フランジ状の係止鍔部7とし、この係止鍔部7と上記内径側円筒部5とにより、上記軸受抱持部2を構成している。そして、この様な軸受抱持部2に、上記転がり軸受3を構成する外輪8を、締り嵌めにより内嵌固定している。自動車用エンジンへの組み付け時には上記転がり軸受3を構成する内輪9を図示しない支持軸に外嵌すると共に、上記プーリ1を上記ポリVベルトの内周面に押し付ける。
【0006】
又、図2に示した第2例のプーリ装置は、鋳鉄或はアルミニウム合金ダイキャスト等の金属を鋳造して成る、或は金属素材に削り加工を施して成るプーリ1aの中心部に設けた軸受抱持部2aに、転がり軸受3を抱持して成る。この軸受抱持部2aの端部にも、内向フランジ状の係止鍔部7aを形成している。本例の場合も、上記プーリ1aの外周面の断面形状を波形として、このプーリ1aの外周面とポリVベルトの内周面とを係合自在としている。
【0007】
又、図3に示した第3例のプーリ装置は、上述した第1例の場合と同様に、鋼板等の金属板をプレス成形して成るプーリ1bの中心部に設けた軸受抱持部2に、深溝型玉軸受等の転がり軸受3を抱持して成る。但し、本例の場合、上記プーリ1bの外周面は、ポリVベルトの外周面と係合させる為に、断面形状を単なる直線状としている。
【0008】
更に、図4に示した第4例のプーリ装置は、上述した第2例の場合と同様に、鋳鉄或はアルミニウム合金ダイキャスト等の金属を鋳造して成る、或は金属素材に削り加工を施して成るプーリ1cの中心部に設けた軸受抱持部2aに、転がり軸受3を抱持して成る。但し、本例の場合、上記プーリ1cの外周面は、ポリVベルトの外周面と係合させる為に、断面形状を単なる直線状としている。
【0009】
上述の様な構造を有する、従来から知られているプーリ装置を構成するプーリ1、1a〜1cの表面には、防錆を目的として電着カチオン塗装皮膜を形成する事が行なわれている。但し、何れの場合でも、転がり軸受3の外輪8を内嵌固定する軸受抱持部2、2aの内周面には、上記電着カチオン塗装皮膜を形成していなかった。この理由は、上記外輪8と上記軸受抱持部2、2aとの嵌合締め代を厳密に規制し、この外輪8を軸受抱持部2、2aに内嵌固定した状態で、上記転がり軸受3のラジアル内部隙間を適正値にする為である。
【0010】
即ち、従来は、電着カチオン塗装皮膜を施すと、上記軸受抱持部2、2aの内径寸法がばらつき、上記転がり軸受3のラジアル内部隙間が適正値から外れて、この転がり軸受3の転がり疲れ寿命が短くなったり(負のラジアル内部隙間でその絶対値が大きくなった場合)、転がり軸受3の剛性が低くなってプーリの振れが大きくなったり(正のラジアル内部隙間が大きくなった場合)するものと考えられていた。この為、上記プーリ1、1a〜1cの表面に電着カチオン塗装を行なう際に、上記軸受抱持部2、2aの内周面にマスキングを施してこの内周面に電着カチオン塗装皮膜を形成しない様にしたり、或は上記軸受抱持部2、2aの内周面に形成された電着カチオン塗装皮膜を後から除去する様にしていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様なプーリ装置を自動車用エンジンに組み付けて使用した場合に、転がり軸受の転がり接触部分(内輪軌道、外輪軌道、転動面)に、しばしば早期剥離が発生する事が知られている。この様な早期剥離は、転がり軸受の一般的な転がり疲れ寿命とは異なり、本来の転がり疲れ寿命よりも遥かに短い期間で発生する。特に、無端ベルトとして、一般的なVベルトに代えてポリVベルトを使用した場合に、早期剥離が発生し易くなる事も知られている。
【0012】
この様な、ポリVベルトの使用に伴って発生する、プーリ装置特有の早期剥離の原因に就いて本発明者等が研究したところ、上記転がり接触部分にイオン化した水素原子が吸着し、この水素原子が更にこの転がり接触部分の内部に侵入して、当該部分に組織変化(白色組織)を引き起こす事が原因であると考えられるに至った。そして、水素原子(水素イオン)が上記転がり接触部分の内部に侵入する為には、プーリの外周面とポリVベルトとの接触部分(微小摩擦係合部分)で発生する静電気が大きく影響する事が分かった。即ち、この静電気に基づいて上記転がり接触部分に微小電流が流れる結果、(当該部分の電荷が−になった状態で)水素イオン(H+ )をこの転がり接触部分に吸着し、更にこの転がり接触部分の内部にまで引き入れて、上記組織変化を引き起こすものと考えられるに至った。
【0013】
プーリとして、絶縁材である合成樹脂製のものを使用する構造が従来から知られており、この様な構造の場合には、上述の様な原因での早期剥離は発生しない。但し、合成樹脂製プーリは金属製のプーリに比べて耐摩耗性が劣る為、プーリ装置の耐久性を確保する事が難しい場合がある。
本発明は、この様な事情に鑑み、優れた耐摩耗性を有する金属製のプーリを使用した構造で、上記転がり接触部分に微小電流が流れる事を防止できる構造を低コストで実現すべく発明したものである。即ち、この転がり接触部分の電荷が−になる事を防止して、この転がり接触部分に水素イオンが吸着され、更にこの水素イオンがこの転がり接触部分の内部にまで侵入する事を防止し、この転がり接触部分に上述の様な組織変化が発生するのを防止して、優れた耐久性を有するプーリ装置を実現すべく発明したものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のプーリ装置は、前述の従来から知られているプーリ装置と同様に、エンジンのシリンダブロック等の金属製の固定部材に支持された支持軸の周囲に金属製の転がり軸受を介して回転自在に設けられる金属製のプーリを備える。
特に、本発明のプーリ装置に於いては、上記転がり軸受を構成する外輪を圧入固定する軸受抱持部を含む、上記プーリの表面全体を、絶縁性を有する電着カチオン塗装皮膜で覆う事により、上記外輪とこのプーリとを絶縁すると共に、このプーリ表面に防食処理を施している。又、表面を電着カチオン塗装皮膜により覆う以前での上記軸受抱持部の真円度を5μm以下とし、同じく表面粗さを10点平均粗さで25Rz以下としている。
又、好ましくは、請求項2に記載した様に、外輪をプーリの軸受抱持部に圧入固定した状態での上記転がり軸受のラジアル内部隙間の大きさを、−10μm〜0μmとする。
【0015】
【作用】
上述の様に構成する本発明のプーリ装置によれば、プーリの表面の防食を図ると同時に、転がり軸受の転がり接触部分に微小電流が流れる事を防止できる。即ち、それぞれが金属製であるプーリと転がり軸受の外輪との間に、電気抵抗値が大きな電着カチオン塗装皮膜を設け、これらプーリと外輪とを絶縁している為、無端ベルト部分で発生してこのプーリに伝わった静電気が、上記転がり軸受内を流れる事はない。この為、この転がり軸受の内部に存在する転がり接触部分の電荷が−になる事を防止して、この転がり接触部分に水素イオンが吸着され、更にこの水素イオンがこの転がり接触部分の内部にまで侵入する事を防止する。そして、この転がり接触部分に前述の様な組織変化が発生するのを防止し、優れた耐久性を有するプーリ装置を実現できる。
【0016】
しかも、上記電着カチオン塗装皮膜は、上記金属製のプーリの表面に防食の為の皮膜を形成するのと同時に形成できる為、上記微小電流が流れるのを防止する為に特にコストを要する事はない。
又、表面を電着カチオン塗装皮膜により覆う以前での軸受抱持部の真円度を5μm以下に抑え、同じく表面粗さを10点平均粗さで25Rz以下に抑えているので、上記軸受抱持部に上記外輪を圧入固定する際に、上記電着カチオン塗装皮膜が剥れる事を防止できる。そして、この電着カチオン塗装皮膜による上記組織変化の発生防止を確実に行なえる様にできる。
又、請求項2に記載した様に、外輪をプーリの軸受抱持部に圧入固定した状態での上記転がり軸受のラジアル内部隙間の大きさを、−10μm〜0μmの範囲内に規制すれば、プーリの振れを抑えると共に、上記転がり軸受の疲れ寿命の確保を図れる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に就いて説明するが、本発明の特徴は、転がり軸受を構成する外輪に対してプーリを圧入固定する構造で、ポリVベルト部分で発生して金属製のプーリ1、1a〜1cに伝わった静電気が、転がり軸受3の外輪8にまで流れない様にして、この転がり軸受3の疲れ寿命の向上を図る点にある。プーリ装置の基本的な構造自体は、前述の図1〜4に示した様な、従来から知られているプーリ装置の構造と同様である。就いては、以下の説明は、上記図1〜4に示した構造に、本発明を適用する場合に就いて説明する。
【0018】
図1〜4に示したプーリ装置に本発明を適用する場合、軸受抱持部2、2a部分を含んで、上記プーリ1、1a〜1cの表面全体を、電着カチオン塗装皮膜により覆う。この様にしてこれら各プーリ1、1a〜1cの表面全体を覆った電着カチオン塗装皮膜のうち、上記軸受抱持部2、2aの内面(内周面及び係止鍔部7の内側面)を覆う電着カチオン塗装皮膜は、上記各プーリ1、1a〜1cと上記外輪8とを絶縁する為の絶縁層として機能する。これに対して、上記軸受抱持部2、2aの内面以外の部分を覆う電着カチオン塗装皮膜は、上記各プーリ1、1a〜1cの表面が錆びるのを防止する防食皮膜として機能する。
【0019】
本発明のプーリ装置は、上述の様に、上記軸受抱持部2、2a部分を含む、上記各プーリ1、1a〜1cの表面全体を上記電着カチオン塗装皮膜により覆うので、上記軸受抱持部2、2aの内径側に抱持固定した転がり軸受3の転がり接触部分に微小電流が流れる事を防止できる。即ち、それぞれが金属製である上記各プーリ1、1a〜1cと上記転がり軸受3の外輪8との間に、電気抵抗値が大きな電着カチオン塗装皮膜を設け、これら各プーリ1、1a〜1cと外輪8とを絶縁している為、無端ベルトであるポリVベルト部分で発生して上記各プーリ1、1a〜1cに伝わった静電気が、上記転がり軸受3内を流れる事はない。
【0020】
この為、この転がり軸受3の内部に存在する転がり接触部分、即ち、上記外輪8の内周面に形成した外輪軌道10及び上記内輪9の外周面に形成した内輪軌道11と、これら両軌道10、11同士の間に設けた複数の玉12、12の転動面との転がり接触部分の電荷が−になる事を防止できる。そして、この転がり接触部分に水素イオンが吸着され、更にこの水素イオンがこの転がり接触部分の内部にまで侵入する事を防止する。この結果、この転がり接触部分に前述の様な組織変化が発生するのを防止し、優れた耐久性を有するプーリ装置を実現できる。
【0021】
しかも、上記電着カチオン塗装皮膜は、上記各金属製のプーリ1、1a〜1cの表面に防食の為の皮膜を形成するのと同時に形成できる為、上記微小電流が流れるのを防止する為に特にコストを要する事はない。即ち、上記各プーリ1、1a〜1cの表面に電着カチオン塗装皮膜を形成する作業は、本来、上記転がり軸受3の耐久性確保以外の要求を満たす為に行なうものである。本発明を実施する場合には、この電着カチオン塗装皮膜を、従来は施さなかった軸受抱持部2、2aの内面にまで施すのみで、上記転がり軸受3の耐久性向上を図るものである。上記電着カチオン塗装皮膜を、上記軸受抱持部2、2aを除いた部分のみに形成するよりも、この軸受抱持部2、2aを含む表面全体に形成する作業の方が容易である。又、この軸受抱持部2、2aを被覆する為の塗料の量は少量で済む。従って、本発明により上記転がり軸受3の耐久性向上を図る場合、余分なコストを要する事は殆どない。むしろ、上記軸受抱持部2、2aに塗料を付着させない為に行なう、マスキングや削り取り等の手間が不要になる分、コスト低減を図れる余地がある。
【0022】
又、上記各プーリ1、1a〜1cが振れを抑える必要があるものである場合には、前記外輪8をこれら各プーリ1、1a〜1cの軸受抱持部2、2aに圧入固定した状態での上記転がり軸受3のラジアル内部隙間の大きさを、−10μm〜0μmの範囲内に規制する。このラジアル内部隙間の大きさをこの範囲内に納めれば、上記各プーリ1、1a〜1cの振れを抑えると共に、上記転がり軸受3の疲れ寿命の確保を図れる。即ち、上記各プーリ1、1a〜1cの振れを抑える為には、上記転がり軸受3の角隙間を小さくする必要があり、この角隙間を小さく抑える為には、上記ラジアル内部隙間を小さく抑える必要がある。例えば、このラジアル内部隙間を負の値とし、その絶対値を大きくすれば上記振れを小さく抑える事ができる。一方、負のラジアル内部隙間の絶対値を大きくすると、上記転がり軸受3の転がり接触部の面圧が高くなって、この転がり軸受3の疲れ寿命が短くなる。
【0023】
これに対して、上記転がり軸受3のラジアル内部隙間の大きさを、−10μm〜0μmの範囲内に規制すれば、上記振れの抑制と疲れ寿命の確保とを両立させる事ができる。図5は、プーリの回転支持に利用する転がり軸受として一般的な、呼び番号が6203である単列深溝型玉軸受(内輪内径=17mm、外輪外径=40mm、幅=12mm)に490N(50kgf )のラジアル荷重を負荷した状態での、ラジアル内部隙間と疲れ寿命との関係を表している。この様な図5で、横軸はラジアル内部隙間の大きさを表している。又、縦軸は疲れ寿命を、ラジアル内部隙間を0とした場合の寿命に対する比(寿命比)として表している。この様な図5から明らかな通り、上記ラジアル内部隙間の大きさを−10μm〜0μmの範囲内に規制すれば、上記疲れ寿命を、このラジアル内部隙間が0である場合と同等かそれ以上確保できる。
【0024】
更に、水素イオンの侵入に基づく脆性低下による上記転がり軸受3の疲れ寿命の低下防止効果をより確実に得る為に、前記軸受抱持部2、2aの内面、特に内周面の真円度を向上させ、表面を平滑にしている。即ち、本発明を実施する場合には、表面を電着カチオン塗装皮膜により覆われた上記軸受抱持部2、2a内に上記転がり軸受3を構成する外輪8を、締り嵌めで圧入固定する。この圧入固定作業の際に上記軸受抱持部2、2aの内周面を覆った上記電着カチオン塗装皮膜が強く擦られて、この内周面から剥れ落ちる可能性がある。そして、剥れ落ちた場合には、前記各プーリ1、1a〜1cと上記外輪8とが金属同士で接触して電気的に導通するので、上記疲れ寿命の低下防止効果を十分に得られなくなる。
【0025】
これに対して本発明は、表面を電着カチオン塗装皮膜により覆う以前での上記軸受抱持部2、2aの真円度を5μm以下に抑え、同じく表面粗さを10点平均粗さで25Rz以下に抑えるので、上記軸受抱持部2、2aに上記外輪8を圧入固定する際に、上記電着カチオン塗装皮膜が剥れる事を防止できる。即ち、真円度を向上させる事により、上記外輪8の圧入時に、この外輪8の一部外周面と上記軸受抱持部2、2aの一部内周面とが特に強く擦れ合う事を防止して、上記電着カチオン塗装皮膜が円周方向の一部で剥れ落ちる事を防止できる。又、上記表面粗さを向上させて上記軸受抱持部2、2aの内周面を平滑にするので、この内周面の一部に存在する微小突起部分で上記電着カチオン塗装が削り取られる事を防止できる。そして、この電着カチオン塗装皮膜による上記組織変化の発生防止を確実に行なえる様にできる。尚、上記真円度を5μm以下に、表面粗さを25Rz以下に、それぞれ抑える作業は、旋削、研削等の機械加工により行なう。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成し作用するので、転がり軸受を構成する外輪に対してプーリを圧入固定する構造で、このプーリを支持するこの転がり軸受に、水素原子の吸着に基づく早期剥離が発生するのを防止して、優れた耐久性を有するプーリ装置を、低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象となるプーリ装置の第1例を示す断面図。
【図2】同第2例を示す断面図。
【図3】同第3例を示す断面図。
【図4】同第4例を示す断面図。
【図5】ラジアル内部隙間の大きさが転がり軸受の疲れ寿命に及ぼす影響を示す線図。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c プーリ
2、2a 軸受抱持部
3 転がり軸受
4 外径側円筒部
5 内径側円筒部
6 連結部
7、7a 係止鍔部
8 外輪
9 内輪
10 外輪軌道
11 内輪軌道
12 玉

Claims (2)

  1. 金属製の固定部材に支持された支持軸の周囲に金属製の転がり軸受を介して回転自在に設けられる金属製のプーリを備えたプーリ装置に於いて、この転がり軸受を構成する外輪を圧入固定する軸受抱持部を含む、上記プーリの表面全体を、絶縁性を有する電着カチオン塗装皮膜で覆う事により、上記外輪とこのプーリとを絶縁すると共に、このプーリ表面に防食処理を施しており、表面を上記電着カチオン塗装皮膜により覆う以前での上記軸受抱持部の真円度が5μm以下であり、同じく表面粗さが10点平均粗さで25Rz以下である事を特徴とするプーリ装置。
  2. 外輪をプーリの軸受抱持部に圧入固定した状態で、転がり軸受のラジアル内部隙間の大きさが、−10μm〜0μmである、請求項1に記載したプーリ装置。
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