JP2011196422A - 転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】 シール摺動部へのグリース移動を防止し、このシール摺動部に油膜が形成されることを防止することで、内外輪とシール部材との導電性の低下を防ぎ、これによって、内外輪の転走面を通電させないようにし脆性剥離対策を行うことができる転がり軸受を提供する。
【解決手段】 この発明の転がり軸受は、内外輪1,2の転走面1a,2a間に複数の転動体3が介在され、リップ部5cが内輪1に摺接して内外輪1,2間の軸受空間を塞ぐシール部材5を外輪2に設けたものである。シール部材5を導電性の材質とし、転動体3を保持する保持器4に、前記軸受空間内のグリースがシール部材5と内輪1との摺接部分に流れることを阻止するグリース漏れ阻止部を設けた。
【選択図】 図1

Description

この発明は、例えば、ベルト伝動機構に配置される軸受、特に、自動車のエンジンのタイミングベルト、補機駆動用ベルト等で使用されるプーリ、オルタネータ・コンプレッサ等の軸支持に使用される転がり軸受に関する。
従来技術にかかる転がり軸受のうち通電軸受は、例えば、軸受空間を塞ぐシール部材に導電性の良い材質のものを使用し、軸受外輪に前記シール部材を固定する固定部を設け、軸受内輪に前記シール部材のリップ部を摺動させるシール摺動部を設けたものが使用されている(特許文献1)。また、通電軸受は、一般的に電食の起こる可能性のある箇所に使用されており、エンジン回りにはあまり使用されていない。
実開平4−124331号公報
自動車のエンジンのタイミングベルト、補機駆動用ベルト等で使用されるプーリ、オルタネータ・コンプレッサ等の軸支持に使用される軸受における脆性剥離対策として、耐脆性剥離グリースや、軸受構成すなわち内外輪の軌道曲率,軸受内部すきま等の対策を講じている。前記「脆性剥離」とは、通常の金属疲労による剥離とは異なる水素の脆化による剥離のことであり、この脆性剥離により軸受が短寿命となる問題がある。
しかし、前記のような脆性剥離対策では、軸受内輪のシール摺動部へのグリース移動を防止することができない場合がある。シール摺動部にグリースが移動すると、シール摺動部に油膜が形成され、これによりシール部材での導電性が低下する。
この発明の目的は、シール摺動部へのグリース移動を防止し、このシール摺動部に油膜が形成されることを防止することで、内外輪とシール部材との導電性の低下を防ぎ、これによって、内外輪の転走面を通電させないようにし脆性剥離対策を行うことができる転がり軸受を提供することである。
この発明の転がり軸受は、内外輪の転走面間に複数の転動体が介在され、リップ部が内輪に摺接して前記内外輪間の軸受空間を塞ぐシール部材を外輪に設けた転がり軸受において、前記シール部材を導電性の材質とし、前記転動体を保持する保持器に、前記軸受空間内のグリースが前記シール部材と内輪との摺接部分に流れることを阻止するグリース漏れ阻止部を設けたことを特徴とする。
この構成によると、シール部材を導電性の材質とすることで、外輪−シール部材−内輪の通電性を良くし、内外輪の転走部への通電を減少させることが可能となる。また、保持器に、シール部材と内輪との摺接部分にグリースが流れることを阻止するグリース漏れ阻止部を設けたため、前記摺接部分に油膜が形成されないようにし得る。したがって、内外輪とシール部材との導電性の低下を防ぎ、内外輪の転走面を通電させないようにして脆性剥離対策を行うことができる。よって、脆性剥離による軸受寿命の低下を防止することができる。
前記転動体を玉とし、グリース漏れ阻止部は、保持器のうち前記玉を保持するポケットの内面に、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部を設けたものであっても良い。
ポケット内面を球面とした従来の一般的な形状の保持器を用いた玉軸受では、転動体である玉が内輪転走面を転がるとき、内輪転走面でのグリースの厚さは、ヘルツ接触中心から軸方向に、また玉表面のグリース厚さもヘルツ接触中心から内輪転走面幅まで対称になる。この玉表面に付着したグリースが、玉の回転によって保持器に入って行くとき、保持器によってグリースが掻き取られる。掻き取られたグリースは保持器に付着するが、このグリース量が増加すると一部は内輪肩部にも付着する。内輪肩部に付着したグリースが増すと、回転している保持器のポケット中央部付近に乗り上げるように付着する。乗り上げたグリースが増すと、内輪肩部のグリースと押し合うようになり、内輪シール溝にまでグリースが付着する。これが一般的な鉄板打ち抜き保持器でのグリースの動きである。さらに、この一般的な形状の保持器では、保持器ポケット中央部に付着したグリースが、シール内面に付着する。これにより、直接潤滑に寄与し難いグリースがシール内面に留まることになる。また、保持器ポケット部とシール内面でグリースのせん断が起こり、軸受のトルクが上昇する。
これに対して、保持器のポケットの内面を凹球面状としこの凹球面状のポケットの内面に、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部を設けたため、内輪肩部にグリースが付着しない。すなわち、玉に最もグリースが付着する位置である保持器内径側の開口縁に開口する凹み部を設けたため、玉の表面の掻き取りが減少し、保持器内径面に溜まるグリース量が減少する。そのため、シール部材と内輪との摺接部分にグリースが流れることを防止することができる。
前記転動体を玉とし、前記保持器は、前記玉を保持するポケットを円周方向複数箇所に有するリング状で、且つ、2個の環状体の保持器半体を軸方向に対面して重ね合わせてなり、これら保持器半体は、それぞれ内周が前記各ポケットの半分を形成する球殻状板部と、隣合うポケット間の部分となる平板部とが円周方向に交互に並ぶ形状であり、前記グリース漏れ阻止部は、前記球殻状板部における玉配列ピッチ円よりも内径側部分における、少なくとも、内輪の転走面両側の肩部高さの外径面部に位置する部分の板厚を、前記平板部の板厚よりも薄くしたものであっても良い。
この場合にも、内輪肩部にグリースが付着しないため、シール部材と内輪との摺接部分にグリースが流れることを防止することができる。また、保持器半体の平板部や球殻状板部の玉配列ピッチ円よりも外径側部分の板厚となる基準板厚は従来と同等とすることで、保持器の強度低下を生じることなく、シール部材と内輪との摺接部分にグリースが流れることを阻止することができる。この保持器は、玉と接触するポケット形状を従来のものと同様に形成することができるため、保持器の可動範囲の増加による保持器間の干渉力の増加も生じない。
前記転動体を玉とし、グリース漏れ阻止部は、内輪の外径面と保持器の内径面との径方向隙間を、前記玉の直径に0.09を乗じた値以上としたものであっても良い。この場合、保持器の内径側に堆積したグリースの逃げ場を設けたことになる。これにより、シール部材と内輪との摺接部分に、軸受空間内のグリースが流れることを防ぐことができる。
前記径方向隙間を、前記玉の直径に0.36を乗じた値以下としても良い。保持器の強度、内外輪の肩部径、保持器の移動量等を考慮した場合、前記径方向隙間を、前記玉の直径に0.36を乗じた値以下とするのが望ましい。
前記内輪の外径面にシール溝を周方向に形成し、このシール溝と内輪の端部との間に外径側に突出する肩部を形成し、前記シール溝に対向した外輪内径面に前記シール部材の外周縁を固定し、前記シール部材の内周部に、前記シール溝の溝壁に接触し摺接する主リップと、前記肩部の径方向外方に配設されるラビリンスリップとを設け、前記主リップに、前記シール溝に対向する内周面を設け、前記ラビリンスリップの内周側に、このラビリンスリップの先端に向かうに従って拡径する傾斜面を設けても良い。
この場合、主リップが、シール溝の溝壁に接触し摺接するため、軸受内部のグリースがシール溝に漏出することを防止し、さらに、外部からの異物や泥水等の軸受内部への侵入を防止することができる。また、シール溝に溜まった泥水が、シール部材の回転等による遠心力で主リップの内周面からラビリンスリップの傾斜面に沿って移動し、軸受外部に排出される。
前記主リップおよびラビリンスリップの基端部から外径側に繋がり、これら主リップおよびラビリンスリップの軸方向厚さよりも薄肉に形成されたくびれ部を、前記シール部材に設けても良い。この場合、くびれ部が軸方向に弾性変形するので、このくびれ部に繋がる主リップは、シール溝の溝壁に対する追従性が維持される。したがって、軸受内部のグリースがシール溝に漏出することをより確実に防止できる。
前記軸受空間に封入するグリースのちょう度を389未満としても良い。前記「ちょう度」とは、グリースの硬さを表すものであり、油の粘度に相当するものである。この「ちょう度」は、25℃で金属製円すいを自重で貫入させたときの貫入深さを、mm単位で読み10倍した値で示す。
本件出願人により、ちょう度とグリース漏れ量の関係について試験した。この試験において、グリースにおける基油の割合を増やすことで、ちょう度を変化させた。同試験において、グリースのちょう度が389以上でグリース漏れが確認された。したがって、グリースのちょう度の上限値は389が望ましい。
これらの発明の転がり軸受は、プーリ用軸受に適用しても良いし、自動車電装補機用軸受に適用しても良い。前記転がり軸受は、従来技術のものよりも確実な脆性剥離対策を行うことができ、よって、プーリ用軸受、自動車電装補機用軸受における脆性剥離による軸受寿命の低下をより確実に防止することができる。
この発明の転がり軸受は、内外輪の転走面間に複数の転動体が介在され、リップ部が内輪に摺接して前記内外輪間の軸受空間を塞ぐシール部材を外輪に設けた転がり軸受において、前記シール部材を導電性の材質とし、前記転動体を保持する保持器に、前記軸受空間内のグリースが前記シール部材と内輪との摺接部分に流れることを阻止するグリース漏れ阻止部を設けたため、シール摺動部へのグリース移動を防止し、このシール摺動部に油膜が形成されることを防止することで、内外輪とシール部材との導電性の低下を防ぎ、これによって、内外輪の転走面を通電させないようにし脆性剥離対策を行うことができる。
この発明の一実施形態に係る転がり軸受の断面図である。 (A)は、同転がり軸受のシール部材の要部を拡大して示す断面図、(B)は、同シール部材の要部をさらに拡大して示す断面図である。 同転がり軸受の保持器の斜視図である。 同保持器の構成部材である保持器半体を表す斜視図である。 同保持器半体の一部につきポケット形状を単純化して示す部分拡大斜視図である。 (A)は同保持器半体における球殻状板部の内面の一例を強調して示す部分拡大斜視図、(B)は同斜視図に仮想円筒を加えた状態を示す斜視図である。 (A)は同保持器半体における球殻状板部の内面の他の一例を強調して示す部分拡大斜視図、(B)は同斜視図に仮想円筒を加えた状態を示す斜視図である。 図6に示す構造の保持器を組み込んだ軸受のグリース漏れ試験の結果の説明図である。 図7に示す構造の保持器を組み込んだ軸受のグリース漏れ試験の結果の説明図である。 一般的な鉄板打ち抜き保持器を組み込んだ軸受のグリース漏れ試験の結果の説明図である。 グリースのちょう度とグリース漏れ量の関係の試験結果を表す図である。 この発明の他の実施形態に係る転がり軸受の一部破断した断面図である。 同軸受に組み込まれた保持器の保持器半体における球殻状板部を示す部分拡大斜視図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る転がり軸受の保持器の部分拡大断面図である。 同保持器の正面図である。 同転がり軸受における内輪の外径面と保持器の内径面の間の径方向隙間の説明図である。 この発明の一実施形態にかかる転がり軸受のグリース漏れ防止効果の試験結果を示す図である。 この発明の他の実施形態にかかる密封型転がり軸受における保持器の正面図である。 同転がり軸受における内輪の外径面と保持器の内径面の間の径方向隙間の説明図である。 この発明の一実施形態にかかる転がり軸受をアイドラプーリに設けた断面図である。 この発明の一実施形態にかかる転がり軸受をオルタネータに設けた断面図である。
この発明の一実施形態を図1ないし図7と共に説明する。この実施形態に係る転がり軸受は、深溝玉軸受である。図1に示すように、この転がり軸受は、内輪1と外輪2の転走面1a,2a間に複数の転動体3を介在させ、これら転動体3を保持する保持器4を設け、内外輪1,2間に形成される軸受空間を塞ぐシール部材5を外輪2に設けたものである。前記転動体3として玉が適用される。前記軸受空間には設定されたちょう度のグリースが封入される。
前記保持器4には、軸受空間内のグリースがシール部材5と内輪1との摺接部分Sbに流れることを阻止する後述のグリース漏れ阻止部を設けている。
図1,図2に示すように、内輪1の外径面1Dのうち、転走面1aの左右側方に周方向のシール溝Smが形成され、各シール溝Smに向かい合う外輪内径面に係止溝2bが形成される。この外輪2の係止溝2bに、シール部材5の外周縁部が圧入固定される。
内輪1のシール溝Smは、内輪1の転走面側の溝壁Smaと、底面Smbと、肩部1b側の溝壁Smcとから形成される。溝壁Smcが軸方向外向きに傾斜し、肩部1bの外周面と連続して形成される。
前記溝壁Smaを「軌道側溝壁Sma」と称し、前記溝壁Smcを「肩部側溝壁Smc」と称す。
シール部材5について説明する。
図1,図2に示すように、シール部材5は接触シールからなり、芯金5aと弾性部材5bとを有し、弾性部材5bの内周部に、主リップLmと、ラビリンスリップLbとが設けられている。シール部材5は、導電性ゴムからなる弾性部材5bを芯金5aにより補強したものである。弾性部材5bに用いられる導電性ゴムとして、例えば、ニトリル、アクリル、フッ素等の伝導性を向上させたものを採用し得る。なお、シール材質については、従来から軸受シールとして使用しているニトリル、アクリル、フッ素に伝導性の良いカーボン等を混合、又はコーティングし導電性を向上させたものが適用される。そのため、使用する材料は導電性を持ったものであれば使用可能である。
シール部材5は、その内周部の弾性部材5bの部分に、肉厚が薄いくびれ部5baが形成される。くびれ部5baは、後述する主リップLmおよびラビリンスリップLbの基端部から外径側に繋がり、これら主リップLmおよびラビリンスリップLbの軸方向厚さよりも薄肉に形成されたものである。つまりくびれ部5baの内周側の先端部には、リップ部5cが設けられ、このリップ部5cは、シール溝Smの軌道側溝壁Smaに接触させた主リップLmと、肩部1bの径方向外方に配設されるラビリンスリップLbとを有する。
主リップLmは、シール溝Smの軌道側溝壁Smaと向かい合い外向きに拡径する傾斜壁面Lmaと、この傾斜壁面Lmaよりも径方向内側に位置し、シール溝Smの底面Smbに対向する内周面Lmbと、傾斜壁面Lmaと内周面Lmbとを連続させる先端部Lmcとを有する。
図1に示すように、シール部材5の外周縁部が、外輪2の係止溝2bに圧入固定されると、図2に示すように、主リップLmの先端部Lmcがシール溝Smの軌道側溝壁Smaに摺接する。主リップLmは、肉厚を薄く形成されたくびれ部5baの先端部に設けられ、くびれ部5baが図2(A)矢符A1の軸方向に弾性変形するので、摺接するシール溝Smの軌道側溝壁Smaに対する追従性が維持される。これにより、軸受内部のグリースがシール溝Smに漏出することをより確実に防止できる。
ラビリンスリップLbは、肩部1bからシール溝Smの肩部側溝壁Smcに至る範囲に向かい合いラビリンスシールLsが形成される。ラビリンスリップLbの内周部には、軸方向内向きに縮径する傾斜面Lba、換言すればラビリンスリップLbの先端に向かうに従って拡径する傾斜面Lbaが設けられる。傾斜面Lbaは、内輪1の肩部1bの外周面に対する傾斜角度α1が10度以上40度以下に設定される。傾斜角度α1がこのように設定されると、この転がり軸受が外輪回転の場合に傾斜面Lbaに付着した泥水等が、シール部材5の回転による遠心力によって傾斜面Lbaに沿って軸方向外向きに移動し、軸受外側に排出される。
傾斜角度α1が10度未満となると、シール部材5の回転による遠心力が、ラビリンスリップLbに付着した泥水に十分に作用しないため、その泥水が排出されにくくなる。傾斜角度α1が40度を超えると、肩部1bの外周面と、ラビリンスリップLbの傾斜面Lbaとの隙間が広くなり、ラビリンスLsによるシール性が低下する。このため、傾斜角度α1を10度以上40度以下に設定している。
ラビリンスリップLbは、その先端部がシール溝Smの肩部側側壁Smc寄りに設けられる。よって、ラビリンスリップLbに付着した泥水が、シール部材5の回転による遠心力でその傾斜面Lbaを移動する距離が短くなり、シール溝Sm内に溜まった泥水が排出され易い。
主リップLmの内周面Lmbと、ラビリンスリップLbの傾斜面Lbaとの間に、段差部Dsが設けられる。段差部Dsは、シール溝Smの肩部側溝壁Smcに向かって突き出して設けられる。これにより、主リップLmの内周面Lmbは、段差部Dsを経てラビリンスリップLbの傾斜面Lbaへと連続して形成されるので、シール溝Smに溜まった泥水が、シール部材5の回転による遠心力でラビリンスリップLbの傾斜面Lbaに沿って軸受外部に排出され易い。
さらに段差部Dsが肩部側溝壁Smcに向かって突出して設けられると、主リップLmの内周面Lmbの外周縁部とシール溝Smの肩部側溝壁Smcとの間に、狭窄部分が形成される。この狭窄部分によってラビリンスシールLsによるシール性を確保できる。シール溝Smと肩部1bとの境界の山部Ydと、ラビリンスリップLbの傾斜面Lbaとの間にも狭窄部分が形成されるので、さらに、ラビリンスシールLsによるシール性を確保できる。
この実施形態に係るシール部材等を玉軸受に組み込んだシール組込み品での脆性剥離試験を行った。
試験条件は次表1の通りである。
Figure 2011196422

プーリ回転速度は、運転開始後6000r/minまで上げ、この6000r/minを5時間維持する。この5時間経過後10500r/minまでプーリ回転速度を上げて同回転速度を300時間維持した後、12000r/minまでプーリ回転速度を上げて700時間維持する。
導電性のない弾性部材を含む標準シール品と、この実施形態に係る前記シール組込み品(通電シール組込み品と称す)とを前記試験条件で試験し、次表2のような結果を得た。試験品が剥離した場合、運転中の回転による振動値が高くなるので、振動確認後に分解し内部調査をし剥離の有無を判断する。
Figure 2011196422

この試験結果から、シール部材5を導電性の材質とすることで、外輪2−シール部材5−内輪1の通電性を良くし、内外輪1,2の転走部1a,2aへの通電を減少させることが可能となり、脆性剥離対策が期待できる。
保持器4について説明する。
保持器4は、図3に示すように、各玉を保持するポケット46を円周方向の複数箇所に有し、各ポケット46の内面を凹球面状としたリング状のものである。この保持器4は、図4に斜視図で示す環状体の保持器半体47の2個を、軸方向に対面して重ね合わせ、リベット孔48に挿通したリベット49で互いに接合して一体に構成される。これら保持器半体47は、内面がポケット46の半分を形成する部分的な球殻状の形状の球殻状板部46Aを複数有し、隣合うポケット46間の部分となる平板部47aと球殻状板部46Aとが円周方向に交互に並んだものとされる。前記球殻状板部46Aは、球殻の一部となる部分であり、換言すれば、内外両面が球面状となったカウンタシンク形状の膨らみ部分である。保持器半体47の軸方向の投影形状は、半径方向幅が全周にわたって一定のリング状である。
保持器半体47の一部を拡大して図6に斜視図で示す。図5は、図6と対応する部分につき、ポケット内面を単調な球面とした場合の図である。図5において、2点鎖線で示す部分Aは、この保持器半体47における平板部47aが周方向に並ぶ円周帯域を示す。その円周帯域Aの平板部47aでない部分にポケット46の半分である前記球殻状板部46Aが形成される。同図における球殻状板部46Aの一側部が保持器45の内径側部分46Aiとなり、球殻状板部46Aの他側部が保持器45の外径側部分46Aoとなる。
この実施形態の保持器4のポケット46の内面には、グリース漏れ阻止部として、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部50を設けている。すなわち、保持器4のポケット46のうち球殻状板部46Aの内面には、図6に示すように、保持器4の上記内径側部分46Aiにおいて、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部50を設けている。この凹み部50の内面の保持器円周方向に沿う断面形状(すなわち保持器中心軸に垂直な平面で断面した断面形状)を、ポケット46の内面となる凹球面の曲率半径Raよりも小さな曲率半径Rbの円弧状としている。
この凹み部50の内面形状は、同図(B)に示すように、保持器4の半径方向の直線Lを中心とする仮想円筒Vの表面に略沿う円筒面状の形状である。前記仮想円筒Vは、凹み部50を加工する砥石の表面であっても良い。この凹み部50は、保持器半径方向につき、保持器内径側の開口縁から玉配列ピッチ円PCDまで延びていて、保持器内径縁から玉配列ピッチ円PCDに至るに従って、徐々に小さく、つまり徐々に浅くかつ幅が狭くなる形状とされている。凹み部50は、この実施形態では、丁度、玉配列ピッチ円PCDまで延びているが、玉配列ピッチ円PCDよりも保持器外径側まで若干延びていても、また玉配列ピッチ円PCDに若干達しないものであっても良い。なお、玉配列ピッチ円PCDはポケットPCDとも呼ぶ。
凹み部50の深さは、ポケット内面の凹球面の中心O46から凹み部50の最深位置までの距離Rcが、玉の半径の1.05倍以上となる深さ(丁度1.05倍であって良い)であることが好ましい。ポケット46の内面となる凹球面の曲率半径Raは、玉の半径よりも僅かに大きくし、玉の半径の1.05未満としている。
図7は、保持器4のポケット46の内面の他の形状例を示す。
この例では、ポケット46のうち球殻状板部46Aの内面の内径側部分46Aiに設けられるグリース漏れ阻止部としての凹み部50Aを、ポケット46の開口縁における保持器円周方向の中心OW46の両側に位置する2箇所としてしている。各凹み部50Aの内面形状は、保持器円周方向に沿う断面形状(すなわち保持器中心軸に垂直な平面で断面した断面形状)が、ポケット46の内面となる凹球面の曲率半径Raよりも小さな曲率半径RAbの円弧状であり、詳しくは同図(B)に示すように、保持器4の半径方向の直線LAを中心とする各仮想円筒VAの表面に略沿う円筒面状の形状である。この凹み部50Aは、保持器半径方向につき、保持器内径側の開口縁から玉配列ピッチ円PCDの付近まで延びていて、保持器内径縁から玉配列ピッチ円PCDに近づくに従って徐々に小さく、つまり徐々に浅くかつ幅狭となる形状である。
2個の凹み部50Aの位置は、例えば、ポケット46の開口縁における保持器円周方向の中心OW46に対する周方向の配向角度を40°±15°とした対称な2箇所である。この例でも、凹み部50Aの深さは、ポケット内面の凹球面の中心O46から凹み部50Aの最深位置までの距離RAcが、玉の半径の1.05倍以上となる深さであることが好ましい(丁度1.05倍であって良い)。
この実施形態では凹み部50Aを2箇所としたが、3箇所以上としても良い。
グリース漏れ阻止部としての凹み部50,50Aの保持器円周方向に沿う断面形状は、図6、図7の各例の形状に限らず、部分楕円状や、矩形溝状、台形溝状や、その他任意の断面形状としても良い。また、凹み部50,50Aの断面形状は、凹み部中心に対して非対称の形状であっても良い。
ポケット46における内面形状は、球面状に限らず、玉配列ピッチ円PCDよりも内径側の部分が、保持器内径側開口縁に近づくに従って小径となる形状であれば良く、例えば、玉配列ピッチ円PCDよりも外径側の部分が円筒面状、内径側の部分が円すい面状であっても良い。
前記各保持器を製造する場合、例えば、鋼板をプレスしてリング状の金属帯板を打ち抜く。次に、前記保持器半体47の球殻状板部46Aの内面を形成する凸側プレス金型と、前記球殻状板部46Aの外面を成形する凹側プレス金型とを有するプレス金型組を用意し、これら凸側プレス金型と凹側プレス金型の間に前記リング状の金属帯材を挟み込んで、保持器半体47をプレス成形する。このプレス成形は、粗押しと仕上げ押しの2段階で行っても良く、また一度で行っても良い。
このようにして得られた2つの保持器半体47を重ね合わせ、保持器半体47の平板部47aが重なり合う部分をリベット49で接合して保持器4とする。
図8〜図10は、グリース付着状態の確認を行った試験結果を示す。この試験では、図6の実施形態、および図7の実施形態の保持器4を組み込んだ玉軸受と、一般的な鉄板打ち抜き保持器を組み込んだ玉軸受とを、軸受呼び番号「6203」、シール無し、外輪回転、回転速度3600min−1、アキシアル荷重39N、運転時間5秒の試験条件で運転して比較した。この試験結果から、一般的な鉄板打ち抜き保持器を組み込んだ玉軸受では、内輪シール溝にグリースが付着するが、この実施形態の保持器4を組み込んだ玉軸受ではグリースの付着がないことを確認した。
また、前記各玉軸受に接触シール(NTN製LUシール)を組み付けて、グリース漏れ頻度の確認試験も行った。この試験では、前記試験条件のうち運転時間のみを15分に変更して行った。その結果、従来品の保持器は、全10個中9個のグリース漏れが発生したのに対し、実施形態の保持器を組み込んだ軸受では、全4個中グリース漏れの発生したものは無かった。
これらの試験結果からわかるように、この実施形態の保持器4を組み込んだ玉軸受では、グリース漏れ阻止部として保持器4のポケット46の内面に凹み部50,50Aを設けたため、内輪シール溝Smへのグリースの付着を無くすことができる。すなわち、玉に最もグリースが付着する位置である保持器内径側の開口縁に開口する凹み部50,50Aを設けたため、グリースの掻き取りが生じる際の、玉の表面の掻き取りが減少し、保持器内径面に溜まるグリース量が減少する。そのため、内輪シール溝Smへグリースが付着することを防止することができる。
グリースのちょう度について説明する。
グリースのちょう度とグリース漏れ量との関係についても試験を行った。
試験条件は、次表3の通りである。この試験において、グリースにおける基油の割合を増やすことで、ちょう度を変化させた。
Figure 2011196422

試験結果は、次表4および図11の通りである。
Figure 2011196422

この試験結果により、グリースのちょう度が389以上でグリース漏れが確認された。したがって、グリースのちょう度の上限値は389が望ましい。
以上説明した転がり軸受によると、シール部材5を導電性の材質とすることで、外輪2−シール部材5−内輪1の通電性を良くし、内外輪1,2の転走部への通電を減少させることが可能となる。また、保持器4に、シール部材5と内輪1との摺接部分Sbにグリースが流れることを阻止するグリース漏れ阻止部として凹み部50,50Aを設けたため、前記摺接部分Sbに油膜が形成されないようにし得る。したがって、内外輪1,2とシール部材5との導電性の低下を防ぎ、内外輪1,2の転走面1a,2aを通電させないようにして脆性剥離対策を行うことができる。よって、脆性剥離による軸受寿命の低下を防止することができる。
この発明の他の実施形態として、図12および図13に示す保持器4Aは、グリース漏れ阻止部として、球殻状板部46Aにおける玉配列ピッチである玉配列ピッチ円PCDよりも内径側部分に薄肉部分46Aaを形成している。この薄肉部分46Aaは、内輪1の転走面1aの両側の外径面部1Dに位置する部分の板厚t1を、平板部47aの板厚t0よりも薄くしたものである。外径面部1Dは、シール溝Smが設けられている場合、転走面1aとシール溝Smとの間の外径面部分のことである。球殻状板部46Aは、この外径面部分1Dの軸方向範囲Wに位置する部分の板厚t1を薄くする。なお、図12において、球殻状板部46Aを薄肉化しない場合の断面形状を想像線で示している。
板材t1を薄くする形態は、保持器半径方向において、玉配列ピッチ円PCDに相当する箇所から内径側に至る範囲の全体を薄くしても良く、また玉配列ピッチ円PCDと保持器内径縁間の途中の箇所から内径縁に至る範囲を薄くなるようにしても良い。これらの場合に、板厚t1は、保持器半径方向の内径側に至るに従って次第に薄くなって内径縁が最小板厚となるようにしても良く、また薄くする範囲の全体を略一定して薄くしても良い。さらに、球殻状板部46Aのポケット内面形状を維持したままで、外面側の形状が変わるように板厚を薄くしても良く、また球殻状板部46Aの外面形状を維持したままで、ポケット内面側の形状が変わるように板厚を薄くしても良い。
この保持器4Aは、このようにポケット46を構成する球殻状板部46Aの内径部に薄肉部分46Aaを形成しており、この薄肉部分46Aaは、内輪1の外径面部1Dと軸方向に重なり合う部分であって、玉の表面に付着したグリースが保持器4Aで掻き取られる部分、またはその掻き取られたグリースが移動してくる部分である。この部分46Aaの板厚t1が薄ければ、ここに堆積し得るグリース量が減少するため、内輪1の外径面部1Dに到達し得る頻度や量が減少し、結果としてグリースの軸受外部への漏れが防止できる。すなわち、保持器4Aの外径側へグリースが移動しやすくなり、内径側に留まり得るグリース量が減少する。
しかし、保持器全体の板厚を薄くすることは、保持器の単体の強度が低下するため、ミスアライメント下あるいは外部加振下において保持器に繰り返し応力が作用する場合に保持器の損傷が生じやすくなるなど、難しい。
そこで、保持器4Aの内径部において、内輪1の外径面部2Dと軸方向に重なり合う範囲Wのみの板厚を薄くしており、これにより、実質上の保持器4Aの強度の低下が無く、かつグリース漏れを防止可能な保持器4Aが成立する。
図14〜図16に示す保持器4Bは、グリース漏れ阻止部として、玉の直径をDaとしたとき、内輪1の外径面と保持器4Bの内径面との間の径方向隙間δが0.09Da以上に規定される。また、その径方向隙間δとして許される最大値は、保持器4Bの強度、内外輪1,2の肩部径、保持器4Bの移動量などを考慮して、0.36Daとされている。すなわち、転がり軸受における前記径方向隙間δは、0.09Daから0.36Daの範囲内の値(0.09Da≦δ≦0.36Da)に設定されている。
この転がり軸受では、内輪1の外径面と保持器4Bの内径面の間の径方向隙間δを0.09Da以上と大きくしたので、保持器4Bの内径側に堆積したグリースの逃げ場を設けたことになる。そのため、内輪1のシール溝Sm(図1)にグリースが入り込むのを防ぐことができ、これによりグリース漏れを防止できる。したがって、シール部材5と内輪1との摺接部分Sb(図2(B))に油膜が形成されないようにでき、これにより内外輪1,2とシール部材5との導電性の低下を防ぎ、内外輪1,2の転走面1a,2aを通電させないようにして脆性剥離対策を行うことができる。
前記径方向隙間δが、0.36Da以下であることが望ましいのは、次の理由による。
すなわち、保持器強度のために帯幅(保持器の半径方向の幅B)は0.26Da以上必要、内外輪肩径(軌道面溝底と肩部との半径の差)は0.18Da以上必要、保持器移動量はMAX0.17Da。よって、移動量最大時のすきまは0.36Daとなる。
図17は、前記径方向隙間δを0.09Da以上としたこの実施形態の転がり軸受の複数個と、径方向隙間δ以外の構成はこの実施形態の場合と同様であるが、径方向隙間δを0.09Da未満とした転がり軸受の複数個について、グリース漏れ発生率について行なった試験結果をプロットして示したものである。この試験結果から、前記径方向隙間δを0.09Da以上としたこの実施形態の転がり軸受において、グリース漏れ発生率が著しく低下していることが分かる。
図18および図19に示す転がり軸受では、図18に平面図で示すように、その保持器4Bにおいて、ポケット46のある円周方向部分の内周面が、軸方向から見て外径側に凹む多角形状の凹み部Haとされている。具体的には、前記内周面は、ポケット46間の円周方向部分の内周面Hbに対し外径側へ傾斜する一対の傾斜面部Haaと、両端がこれら一対の傾斜面部Haaの外径側端に連なり内径が一定な一定径面部Habとでなる台形状をしている。これにより、ポケット46のある円周方向部分(凹み部Ha)の内径の保持器中心からの半径Rpは、ポケット46間の円周方向部分の内径の保持器中心からの半径Riよりも大きくなっている(Rp>Ri)。
この実施形態の場合、玉の直径をDaとしたとき、図19に示すように、内輪1の外径面と保持器4Bの前記凹み部Haの間の径方向隙間δ1は、0.09Da以上とされている。また、その径方向隙間δ1として許される最大値は、保持器4Bの強度、内外輪1,2の肩部径、保持器4Bの移動量などを考慮して、0.36Daとされている。すなわち、この転がり軸受における前記径方向隙間δ1は、0.09Daから0.36Daの範囲内の値(0.09Da≦δ1≦0.36Da)に設定されている。この実施形態の場合も、先の実施形態の場合と同様のグリース漏れ発生率の試験を行なったところ、同様の結果が得られた。
図20は、この発明の一実施形態にかかる転がり軸受BR1をアイドラプーリに設けた断面図を示す。このアイドラプーリ21では、軸20の外周に同転がり軸受BR1を嵌合し、この転がり軸受BR1によりアイドラプーリ21を回転自在に支持している。このアイドラプーリ用軸受によると、グリース漏れを防止し、内外輪とシール部材との導電性の低下を防ぎ、内外輪の転走面を通電させないようにして脆性剥離対策を行うことで、脆性剥離による軸受寿命の低下を防止することができる。
図21は、この発明の一実施形態にかかる転がり軸受を電装補機であるオルタネータ22に設けた断面図を示す。このオルタネータ22では、オルタネータ用軸受として用いられる転がり軸受BR1に、シャフト23が挿入され、突き出たシャフト23の端部にプーリ24が取付けられている。プーリ24には、図示しない伝動ベルトが掛けられる係合溝25が設けられている。このオルタネート用軸受においても、グリース漏れを防止し、内外輪とシール部材との導電性の低下を防ぎ、内外輪の転走面を通電させないようにして脆性剥離対策を行うことで、脆性剥離による軸受寿命の低下を防止することができる。
前記各実施形態の転がり軸受として、深溝玉軸受を適用しているが、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受を適用することも可能である。
1…内輪
2…外輪
1a,2a…転走面
3…転動体
4…保持器
5…シール部材
5ba…くびれ部
5c…リップ部
46…ポケット
46A…球殻状板部
47…保持器半体
47a…平板部
50,50A…凹み部
Lm…主リップ
Lb…ラビリンスリップ
Sm…シール溝

Claims (10)

  1. 内外輪の転走面間に複数の転動体が介在され、リップ部が内輪に摺接して前記内外輪間の軸受空間を塞ぐシール部材を外輪に設けた転がり軸受において、
    前記シール部材を導電性の材質とし、
    前記転動体を保持する保持器に、前記軸受空間内のグリースが前記シール部材と内輪との摺接部分に流れることを阻止するグリース漏れ阻止部を設けたことを特徴とする転がり軸受。
  2. 請求項1において、前記転動体を玉とし、グリース漏れ阻止部は、保持器のうち前記玉を保持するポケットの内面を凹球面状としこの凹球面状のポケットの内面に、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部を設けたものである転がり軸受。
  3. 請求項1において、前記転動体を玉とし、前記保持器は、前記玉を保持するポケットを円周方向複数箇所に有するリング状で、且つ、2個の環状体の保持器半体を軸方向に対面して重ね合わせてなり、これら保持器半体は、それぞれ内周が前記各ポケットの半分を形成する球殻状板部と、隣合うポケット間の部分となる平板部とが円周方向に交互に並ぶ形状であり、
    前記グリース漏れ阻止部は、前記球殻状板部における玉配列ピッチ円よりも内径側部分における、少なくとも、内輪の転走面両側の肩部高さの外径面部に位置する部分の板厚を、前記平板部の板厚よりも薄くしたものである転がり軸受。
  4. 請求項1において、前記転動体を玉とし、グリース漏れ阻止部は、内輪の外径面と保持器の内径面との径方向隙間を、前記玉の直径に0.09を乗じた値以上としたものである転がり軸受。
  5. 請求項4において、前記径方向隙間を、前記玉の直径に0.36を乗じた値以下としたものである転がり軸受。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記内輪の外径面にシール溝を周方向に形成し、このシール溝と内輪の端部との間に外径側に突出する肩部を形成し、前記シール溝に対向した外輪内径面に前記シール部材の外周縁を固定し、
    前記シール部材の内周部に、前記シール溝の溝壁に接触し摺接する主リップと、前記肩部の径方向外方に配設されるラビリンスリップとを設け、
    前記主リップに、前記シール溝に対向する内周面を設け、前記ラビリンスリップの内周側に、このラビリンスリップの先端に向かうに従って拡径する傾斜面を設けた転がり軸受。
  7. 請求項6において、前記主リップおよびラビリンスリップの基端部から外径側に繋がり、これら主リップおよびラビリンスリップの軸方向厚さよりも薄肉に形成されたくびれ部を、前記シール部材に設けた転がり軸受。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記軸受空間に封入するグリースのちょう度を389未満とした転がり軸受。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の転がり軸受を適用したプーリ用軸受。
  10. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の転がり軸受を適用した自動車電装補機用軸受。
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