JP4884568B2 - ポリ乳酸系樹脂組成物、成形体およびポリ乳酸系マスターバッチペレット - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1、2、3記載の樹脂組成物は、耐衝撃性は向上するものの、ポリ乳酸の長所である透明性が損なわれるため、透明性が求められる食品用フィルムや工業用フィルムなどの用途に用いるには困難であった。
さらに、特許文献5では、ポリ乳酸と多層構造重合体とを含有する樹脂組成物が開示されている。しかしながら、これらの特許文献では、耐衝撃性、柔軟性、耐屈曲性に優れた樹脂組成物を得るために、実質的には一種類の多層構造重合体が、少なくとも10質量%程度添加されている。樹脂組成物に一種類の多層構造重合体が10質量%程度添加されないと、耐衝撃性、耐屈曲性の向上効果が発現しないが、添加量が多くなると透明性が低下するという問題があった。
しかしながら、エポキシ変性シリコーン・アクリルゴムは、ポリ乳酸と反応し、ゲル化しやすくなるため、これを含有する樹脂組成物をシートやフィルムなどに成形すると、成形体にはゲル化した部分が目立ち、品位や透明性に劣るものしか得られないという問題があった。
また、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合ゴムは、コアシェル型構造のコア層がブタジエン・スチレン重合体であるため、得られる樹脂組成物や成形体の透明性が損なわれるという問題があった。
このように特許文献6に開示されている樹脂組成物は、耐衝撃性は向上するものの、ゲル化しやすく、ポリ乳酸特有の優れた透明性も損なわれるという問題点があり、透明性が求められるシートやフィルム用途に用いることは困難であった。
(1)ポリ乳酸(A)と、多層構造重合体(B)と、多層構造重合体(C)とを含有する樹脂組成物であり、多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)のそれぞれの含有量が、樹脂組成物全体の0.5〜8質量%であり、多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)のそれぞれが、コア層とシェル層とから構成され、多層構造重合体(B)は、コア層が、アクリルゴム(ただし、シリコーン成分を含むものを除く)により形成され、シェル層が、コア層のアクリルゴムの存在下に、コア層のアクリルゴムにグラフト重合させて得られたメチルメタクリレート系重合体により形成されたものであり、多層構造重合体(C)は、コア層が、アクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムにより形成され、シェル層が、コア層のアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムの存在下に、コア層のアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムにグラフト重合させて得られたメチルメタクリレート系重合体により形成されたものであることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。なお、多層構造重合体(C)のコア層を形成するアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムとは、アクリル成分とシリコーン成分とを共重合した成分から構成されるゴム、又はアクリル成分からなるゴムとシリコーン成分からなるゴムをブレンドした混合体をいう。
(2)多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)の合計含有量が、樹脂組成物全体の2〜16質量%であることを特徴とする(1)記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(3)上記(1)または(2)に記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体。
(4)ポリ乳酸(A)と、多層構造重合体(B)と、多層構造重合体(C)とを含有する樹脂組成物にて構成され、多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)のそれぞれの含有量が、樹脂組成物全体の8〜30質量%であり、多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)のそれぞれが、コア層とシェル層とから構成され、多層構造重合体(B)は、コア層が、アクリルゴム(ただし、シリコーン成分を含むものを除く)により形成され、シェル層が、コア層のアクリルゴムの存在下に、コア層のアクリルゴムにグラフト重合させて得られたメチルメタクリレート系重合体により形成されたものであり、多層構造重合体(C)は、コア層が、アクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムにより形成され、シェル層が、コア層のアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムの存在下に、コア層のアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムにグラフト重合させて得られたメチルメタクリレート系重合体により形成されたものであることを特徴とするポリ乳酸系マスターバッチペレット。なお、多層構造重合体(C)のコア層を形成するアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムとは、アクリル成分とシリコーン成分とを共重合した成分から構成されるゴム、又はアクリル成分からなるゴムとシリコーン成分からなるゴムをブレンドした混合体をいう。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、フィルム、シート、射出成形体、発泡体等の種々の成形体に成形することができ、得られる成形体は、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるものであるため、透明性、耐衝撃性、耐屈曲性、柔軟性に優れたものであり、各種の用途に広く用いることが可能となる。
本発明のポリ乳酸系マスターバッチペレットを用いると、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を容易に得ることができ、本発明の成形体を得る際の作業性や操業性も向上することができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物(以下、樹脂組成物と略することがある)は、ポリ乳酸(A)と、コア層が、アクリルゴム(ただし、シリコーン成分を含むものを除く)により形成され、シェル層が、コア層のアクリルゴムの存在下に、コア層のアクリルゴムにグラフト重合させて得られたメチルメタクリレート系重合体により形成された多層構造重合体(B)と、コア層が、アクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムにより形成され、シェル層が、コア層のアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムの存在下に、コア層のアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムにグラフト重合させて得られたメチルメタクリレート系重合体により形成された多層構造重合体(C)とを含有するものである。
残留ラクチド量を低減する方法としては、ポリ乳酸(A)を重合する際に融点以上の温度で減圧して除去する方法や、ポリ乳酸(A)重合後のペレットを高温(60〜160℃)減圧下で処理して除去する方法や、温水中に浸漬して抽出除去する方法が挙げられる。
本発明では、多層構造重合体(B)として、コア層が、アクリルゴム(ただし、シリコーン成分を含むものを除く)により形成され、シェル層が、コア層のアクリルゴムの存在下に、コア層のアクリルゴムにグラフト重合させて得られたメチルメタクリレート系重合体により形成されたものを使用する。この多層構造重合体(B)をポリ乳酸系樹脂組成物に含有させることにより、得られる成形体の耐衝撃性や耐屈曲性、柔軟性を向上させることができ、また、この多層構造重合体(B)を樹脂組成物に含有させても、ポリ乳酸の優れた透明性を損なうことがない。
ビニル系単量体としては、メチルメタクリレートを単独で用いるか、またはメチルメタクリレートに、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等を併用して用いることができる。これら単量体の使用量はアクリルゴムグラフト共重合体の20質量%以下であることが好ましい。
本発明では、多層構造重合体(C)として、コア層が、アクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムにより形成され、シェル層が、コア層のアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムの存在下に、コア層のアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムにグラフト重合させて得られたメチルメタクリレート系重合体により形成されたものを使用する。この多層構造重合体(C)をポリ乳酸系樹脂組成物に含有させることにより、得られる成形体の耐衝撃性や耐屈曲性、柔軟性を向上させることができる。
オルガノシロキサンとしては、鎖状構造のものとして、例えば、ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン等が挙げられ、また、環状構造のものとして、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いられる。オルガノシロキサンの使用量は、シリコーン成分中、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレートが挙げられ、n−ブチルアクリレートが好ましい。
グラフト交叉剤としては、例えば、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレートは架橋剤として用いることもできる。
架橋剤やグラフト交叉剤は、単独であるいは2種以上併用して用いられる。架橋剤とグラフト交叉剤の合計使用量は、アクリル成分中、0.1〜20質量%であることが好ましい。
ビニル系単量体としては、メチルメタクリレートを単独で用いるか、またはメチルメタクリレートに、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等を併用して用いることができる。
多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)の2種類の多層構造重合体を併用することでそれぞれの効果が相乗的に発揮され、多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)とが樹脂組成物中に少量ずつ添加されていても、それぞれが有する効果が十分に発揮され、透明性、耐衝撃性、耐屈曲性、柔軟性に優れた成形体を得ることが可能となる。したがってコスト的にも有利である。
多層構造重合体(B)のみを添加した樹脂組成物では、得られる成形体は、耐衝撃性、耐屈曲性、柔軟性の向上が不十分なものとなる。また多層構造重合体(C)のみを添加した樹脂組成物では、得られる成形体の耐衝撃性、耐屈曲性、柔軟性は、多層構造重合体(B)のみを添加した場合より向上するが、透明性に劣るものとなる。
多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)の合計含有量が2質量%未満であると、多層構造重合体を含有することによる本発明の効果が乏しくなり、耐衝撃性、耐屈曲性、柔軟性の付与が不十分となりやすい。一方、多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)の合計含有量が16質量%を超えると、得られる成形体は透明性に劣るものとなる。
また、厚み10〜60μmのフィルムの場合、ヘイズ値は4%以下とすることが可能である。中でもヘイズ値は3%未満であることが好ましい。フィルムのヘイズ値が3%未満であると、透明性が極めてよく、例えばフィルムの裏側から印刷した場合でも表側からはっきりと印刷内容が判別可能である。ヘイズ値が3%以上のフィルムであると、透明性が低下し、このように裏側から印刷した場合には、表側から見た場合に印刷内容をはっきりと判別することができない。
また、厚み10〜60μmのフィルムの場合、ゲルボテスト(後述する実施例において評価方法を記載)で評価する耐屈曲性において、200回屈曲において白紙に移ったインキの数は10個未満とすることが可能であり、中でも5個未満であることが好ましい。
多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)は粉末状態であることが多く、製造工程での供給ラインの汚染が問題になりやすい。このため、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造に際しては、ポリ乳酸(A)中に多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)とが高濃度に添加されたマスターバッチペレットを作製し、このマスターバッチペレットをポリ乳酸(A)で希釈することによりポリ乳酸系樹脂組成物を得る方法を採用することが好ましい。
多層構造重合体(B)の含有量は、樹脂組成物全体の8〜30質量%であり、10〜20質量%であることが好ましく、また多層構造重合体(C)の含有量は、樹脂組成物全体の8〜30質量%であり、10〜20質量%であることが好ましい。
多層構造重合体(B)や多層構造重合体(C)の含有量が、樹脂組成物全体の8質量%未満であると、本発明の樹脂組成物を得る際にマスターバッチペレットの使用量が多くなり、多層構造重合体を高濃度に含有するマスターバッチペレットとは言えないものとなる。一方、多層構造重合体(B)や多層構造重合体(C)の含有量が、樹脂組成物全体の30質量%を超えると、マスターバッチペレット作製時の操業性が低下し、多層構造重合体の分散性が低くなり、得られたマスターバッチペレットに濃度むらが生じる。
まず、本発明のマスターバッチペレットの製造方法について説明する。押出機中に、ポリ乳酸(A)と、多層構造重合体(B)と、多層構造重合体(C)とを添加し、溶融混練する。このとき、1軸押出機あるいは2軸押出機で溶融混練を行い、シリンダー温度180〜230℃、ダイス温度190〜240℃に加熱し、樹脂組成物を溶融混練して押出して、ストランドを冷却後、ペレットサイズにカットする方法が好ましい。用いる押出機は混練能力から2軸押出機が好ましい。また、ポリ乳酸(A)はホッパーから供給し、多層構造重合体(B)及び(C)は、粒径が異なるうえに添加量も多いことから、それぞれ別フィーダーで計量して添加することが好ましい。多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)とをそれぞれ別フィーダーから1軸押出機あるいは2軸押出機中に添加する際には、混練部全体の2分の1より供給部側から行うことが好ましい。例えば、混練部がC1部(供給側)〜C11部(ダイス側)までの11の部分に分かれている場合、C1部〜C5部の間で多層構造重合体(B)及び(C)を添加することが好ましい。多層構造重合体(B)及び(C)は分散性が低くないが、混練部全体の2分の1以降から添加した場合、多層構造重合体の分散性が低くなり、得られたマスターバッチペレットに濃度むらができやすくなる。このようなマスターバッチペレットを用いると、得られるポリ乳酸系樹脂組成物も濃度むらが生じ、得られる成形体の物性にばらつきが生じやすくなる。
そして、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、上記のようにして得られたマスターバッチペレットを用い、多層構造重合体(B)や多層構造重合体(C)が所望の濃度となるように、ポリ乳酸(A)で希釈することにより得ることができる。
本発明の成形体は、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるものであり、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を、押出成形、射出成形、ブロー成形、インフレーション成形、インジェクションブロー成形、発泡シート成形、および、シート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の方法により成形されたものである。
すなわち、本発明の成形体として、押出成形してなるフィルム、シート、および、これらフィルム、シートから加工してなる成形体、あるいは、射出成形してなる成形体、あるいは、ビーズ発泡、押出発泡の成形体、ブロー成形してなる中空体、および、この中空体から加工してなる成形体などが挙げられる。
シートの製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー法等が挙げられる。なかでも、Tダイを用いて材料を溶融混練して押出すTダイ法、インフレーション法が好ましい。
Tダイ法によりポリ乳酸系シートを製造する場合には、予め上記したようなマスターバッチペレットを作製しておき、マスターバッチペレットとポリ乳酸(A)とを製膜装置の押出機ホッパーに供給することが好ましい。溶融混練に際しては、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダーなどの一般的な混練機を使用することができる。
製膜時の温度条件としては、シリンダー温度は150〜250℃、Tダイ温度は160〜250℃とすることが好ましい。また、キャストロールは20〜40℃に制御されていることが好ましい。この方法によれば、厚み50〜2000μmのポリ乳酸系シートが得られる。
延伸での面倍率は4〜16倍であることが好ましい。面倍率が4倍未満であると、得られるフィルムの機械物性、特に引張強度が低く、実用に耐えないことがある。また、面倍率が16倍を超えると、フィルムが延伸途中で延伸応力に耐えきれず破断してしまうことがあるため好ましくない。
延伸時のシート温度は、50〜110℃が好ましく、60〜90℃がさらに好ましい。延伸温度が50℃未満であると、延伸のための熱量不足によりフィルムが延伸初期で破断する。また110℃を超えると、フィルムに熱が加わりすぎてドロー延伸となり延伸斑を多発する傾向がある。
また、延伸フィルムに寸法安定性を付与する目的で、延伸後、熱弛緩処理を施してもよい。熱弛緩処理の方法としては、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法、ヒートロール上に接触させる方法等が選択でき、均一に精度良く加熱できる点で熱風を吹き付ける方法が好ましい。その際、80〜160℃の範囲で1秒以上であることが好ましく、かつ、2〜8%のリラックス率の条件下で実施することが好ましい。
示差屈折率検出器(島津製作所社製、RID−10A)を備えたゲル浸透クロマトグラフィ装置(島津製作所社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液として、流速1.0ml/min、40℃で測定した。カラムは、SHODEX KF−805L、KF−804L(昭和電工社製)を連結して用いた。サンプルは、ポリ乳酸(A)10mgをクロロホルム0.5mlに溶解後、THF5mlで希釈し、0.45μmのフィルターでろ過してから測定に供した。分子量はポリスチレン(Waters社製)を標準試料として換算した。
ポリ乳酸(A)約0.3gを1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mlに加え、65℃にて充分撹拌し、ポリ乳酸を分解させた後、硫酸450μlを加えて、65℃にて撹拌し、乳酸メチルエステルとした。このサンプル5ml、純水3ml、および、塩化メチレン13mlを混合して振り混ぜた。静置分離後、下部の有機層を約1.5ml採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard製HP−6890SeriesGCsystemでGC測定した。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を算出し、これをD体含有量(%)とした。
ポリ乳酸(A)0.5gにジクロロメタン10ml、100ppmの2,6−ジメチル−γ−ピロン内部標準液を0.5ml加えてシェーカー(150rpm×40分)により攪拌し溶解させて測定用試料溶液を作成した。そこへシクロヘキサンを添加し、ポリマーを析出させ、HPLC用ディスクフィルター(孔径0.45μm)で濾過し、ガスクロマトグラフィーで測定した。標準物質は東京化成工業製のL−ラクチドを用いた。
ガスクロマトグラフィー(Hewlett Packard社製、HP−6890)は、ヘリウム(He)をキャリアガスとして、流速2.5ml/minで、オーブンプログラムは80℃で1分間保持し、20℃/minで200℃まで昇温し、30℃/minで280℃まで昇温し、5分間保持する条件で行った。カラムは、J&W社製DB−17(30m×0.25mm×0.25μm)を用い、検出器はFID(温度300℃)、内部標準法で測定した。
示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC装置 DSC7)を用い、ポリ乳酸(A)を20℃から250℃まで20℃/分で昇温させ、5分間保持した後、250℃から0℃まで20℃/分で冷却して、0℃で5分間保持し、さらに0℃から250℃まで20℃/分で再昇温して測定される融解ピーク温度(Tm)を融点とした。
得られた厚み250μmのシート、厚み25μmの延伸フィルムについて、JIS−K7105により、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000を用いて測定した。このとき、それぞれサンプル数を5とし、これらの測定値の平均値を測定値とした。
東洋精機製作所社製フィルム衝撃試験機を使用し、20℃、65%RH雰囲気下において、緊張下で固定した得られた厚み250μmのシートに振り子容量30kgf・cmの衝撃ヘッド(0.5インチ半球形)を打ち付け、厚み250μmシートの貫通に要したエネルギーを測定した。
得られた延伸フィルムから縦180mm×横280mmの試験片を作製し、ASTM F 392に従い、テスター産業社製ゲルボテスターにおいて20℃雰囲気下で、200回、500回屈曲を繰り返した。それぞれの回数屈曲試験を施した後の試験片を白紙の上に置き、インキを塗布し、白紙に移ったインキの数をカウントした。インキの数により以下の4段階で評価した。
〔200回屈曲後の評価〕
◎:白紙に移ったインキの数が5個未満。
○:白紙に移ったインキの数が5個以上、10個未満。
△:白紙に移ったインキの数が10個以上、20個未満。
×:白紙に移ったインキの数が20個以上または延伸フィルムが破れる。
〔500回屈曲後の評価〕
◎:白紙に移ったインキの数が10個未満。
○:白紙に移ったインキの数が10個以上、40個未満。
△:白紙に移ったインキの数が40個以上、100個未満。
×:白紙に移ったインキの数が100個以上または延伸フィルムが破れる。
得られた延伸フィルムの風合いを触感にて以下の3段階で評価した。
○:良好。
△:普通。
×:劣る。
〔アイゾット衝撃試験〕
得られた射出成形体(X)を用い、ASTM−256に従ってノッチをつけてアイゾット衝撃強度を測定した。測定値により以下の4段階で評価した。
◎:100J/m以上。
○:50J/m以上、100J/m未満。
△:30J/m以上、50J/m未満。
×:30J/m未満。
〔落錘衝撃試験〕
得られた射出成形体(Y)を用い、ASTM−2794に従って衝撃強度を測定した。すなわち、落下重錘300gf、撃心Rを1/8インチとして落錘高さ(cm)を変更しながら、試験回数5回毎の破壊状態を目視観察し、全く破壊されない時の落錘高さ(cm)を衝撃強度とした。測定値により以下の3段階で評価した。
○:100cm以上。
△:30cm以上、100cm未満。
×:30cm未満。
ポリ乳酸(A)
(A−1):ポリ乳酸(ネイチャーワークス社製、品番:4032D)、D体含有量1.2モル%、残留ラクチド量0.2質量%、質量平均分子量(Mw)16万、融点165℃。
(A−2):ポリ乳酸(ネイチャーワークス社製、品番:4042D)、D体含有量4.0モル%、残留ラクチド量0.2質量%、質量平均分子量(Mw)16万、融点150℃。
(A−3):ポリ乳酸(ネイチャーワークス社製、品番:3001D)、D体含有量1.4モル%、残留ラクチド量0.2質量%、質量平均分子量(Mw)13万、融点165℃。
(A−4):ポリ乳酸(海正社製、品番:REVODE110)、D体含有量2.0モル%、残留ラクチド量0.2質量%、質量平均分子量(Mw)16万、融点160℃。
(B−1):ロームアンドハース社製パラロイドBPM−500、コアシェル型、コア層・・・アクリルゴム、シェル層・・・ポリメチルメタクリレート。
(B−2):三菱レイヨン社製メタブレンW−450A、コアシェル型、コア層・・・アクリルゴム、シェル層・・・メチルメタクリレート系共重合体。
(B−3):三菱レイヨン社製メタブレンW−600A、コアシェル型、コア層・・・アクリルゴム、シェル層・・・メチルメタクリレート系共重合体。
(C−1):三菱レイヨン社製メタブレンS−2006、コアシェル型、コア層・・・シリコーン成分とアクリル成分の複合ゴム、シェル層・・・メチルメタクリレート系共重合体。
(C−2):三菱レイヨン社製メタブレンS−2001、コアシェル型、コア層・・・シリコーン成分とアクリル成分の複合ゴム、シェル層・・・メチルメタクリレート系共重合体。
(D−1):三菱レイヨン社製メタブレンC−223A、コアシェル型、コア層・・・ブタジエンゴム。
(D−2):三菱レイヨン社製メタブレンC−323A、コアシェル型、コア層・・・ブタジエンゴム。
(E−1):日本油脂社製ブレンマーPDE50、ジエチレングリコールジメタクリレート。
(F−1):日本油脂社製ジ−t−ブチルパーオキサイド。
(G−1):三洋化成社製ペレスタット230、ポリエーテル/オレフィンブロック共重合樹脂。
(G−2):三菱レイヨン社製アクリペットVH、PMMA樹脂。
二軸押出機(池貝社製PCM−30)を用い、ポリ乳酸(A−1)をホッパーから供給し、多層構造重合体(B−1)、多層構造重合体(C−1)をそれぞれ別フィーダーで計量して添加し、樹脂組成物中のこれらの含有量が表1に示す値となるようにし、シリンダー温度200℃、ダイス温度210℃で溶融混練して押出し、ストランドを冷却後、ペレットサイズにカットし、マスターバッチペレット(M−1)を得た。
二軸押出機に供給するポリ乳酸(A)、多層構造重合体(B)、多層構造重合体(C)の種類、添加量を変更し、樹脂組成物中のこれらの種類、含有量が表1に示すものとなるようにした以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチペレット(M−2)〜(M−10)、(m−1)、(m−2)を得た。
二軸押出機に供給するポリ乳酸(A−1)、多層構造重合体(B−1)、多層構造重合体(C−1)の添加量を変更し、かつ架橋剤(E−1)と架橋剤(F−1)を添加し、樹脂組成物中のこれらの含有量が表1に示す値となるようにした以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチペレット(M−11)を得た。
多層構造重合体(C)を添加せずに、ポリ乳酸(A)、多層構造重合体(B)の種類、添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチペレット(m−3)〜(m−8)を得た。
多層構造重合体(B)を添加せずに、ポリ乳酸(A)、多層構造重合体(C)の種類、添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチペレット(m−9)〜(m−13)を得た。
多層構造重合体(C)を添加せずに、多層構造重合体(B)を二種類添加した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチペレット(m−14)を得た。
多層構造重合体(B)を添加せずに、多層構造重合体(C)を二種類添加した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチペレット(m−15)を得た。
多層構造重合体(C)を添加せずに、多層構造重合体(D)を添加した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチペレット(m−16)、(m−17)を得た。
多層構造重合体(B)を添加せずに、多層構造重合体(D)を添加した以外は、実施例1と同様にしてマスターバッチペレット(m−18)、(m−19)を得た。
〔樹脂組成物〕
実施例1で得られたマスターバッチペレット(M−1)とポリ乳酸(A−1)とを、質量比〔(M−1)/(A−1)〕15/85でドライブレンドして、下記に示すシート、延伸フィルム、射出成形体を製造した。つまり、これらの成形体を構成する樹脂組成物の組成は、ポリ乳酸(A−1)の含有量が95質量%、多層構造重合体(B−1)の含有量が2.5質量%、多層構造重合体(C−1)の含有量が2.5質量%であった。
〔シート〕
上記のようにドライブレンドしたマスターバッチペレット(M−1)とポリ乳酸(A−1)とを、口径90mmの単軸押出機にてTダイ温度230℃で溶融押出し、35℃に温度制御されたキャストロールに密着させて冷却し、本発明の樹脂組成物からなる厚さ250μmのポリ乳酸系シートを得た。
〔延伸フィルム〕
得られたポリ乳酸系シートの端部を、テンター式同時二軸延伸機のクリップに把持し、81℃の予熱ゾーンを走行させた後、温度79℃でMDに3.0倍、TDに3.3で同時二軸延伸した。その後TDの弛緩率5%として、温度140℃で4秒間の熱処理を施した後、室温まで冷却して巻き取り、厚さ25μmのポリ乳酸系延伸フィルムを得た。
〔射出成形体〕
上記のようにドライブレンドしたマスターバッチペレット(M−1)とポリ乳酸(A−1)とを、東芝機械社製 IS−80G型射出成形機を用いて、シリンダー温度200℃、金型表面温度を25℃に調整しながら、一般物性測定用試験片として、縦5インチ、横1/2インチ、厚さ1/8インチの射出成形体(X)と、縦85mm、横50mm、厚さ2mmの射出成形体(Y)を作製した。
〔樹脂組成物〕
用いるマスターバッチペレットを表1に示すものに変更し、また用いるポリ乳酸の種類や、マスターバッチペレット(M)とポリ乳酸(A)の質量比(M/A)を表2、表3に示すように変更してドライブレンドした。そして、下記に示すシート、延伸フィルム、射出成形体を製造した。各例におけるこれらの成形体を構成する樹脂組成物の組成を表2、表3に示す。
〔シート〕
上記のようにドライブレンドしたマスターバッチペレット(M)とポリ乳酸(A)を供給した以外は、実施例12と同様にして厚さ250μmのポリ乳酸系シートを得た。
〔延伸フィルム〕
得られたポリ乳酸系シートを用いた以外は、実施例12と同様にして厚さ25μmのポリ乳酸系延伸フィルムを得た。
〔射出成形体〕
上記のようにドライブレンドしたマスターバッチペレット(M)とポリ乳酸(A)を用いた以外は、実施例12と同様にして一般物性測定用試験片として、射出成形体(X)と射出成形体(Y)を作製した。
〔樹脂組成物〕
マスターバッチペレットを用いず、ポリ乳酸(A−1)のみを使用した。そして、下記に示すシート、延伸フィルム、射出成形体を製造した。
〔シート〕
ポリ乳酸(A−1)のみを供給した以外は、実施例12と同様にして厚さ250μmのポリ乳酸系シートを得た。
〔延伸フィルム〕
得られたポリ乳酸系シートを用いた以外は、実施例12と同様にして厚さ25μmのポリ乳酸系延伸フィルムを得た。
〔射出成形体〕
ポリ乳酸(A−1)のみを用いた以外は、実施例12と同様にして一般物性測定用試験片として、射出成形体(X)と射出成形体(Y)を作製した。
〔樹脂組成物〕
ポリ乳酸(A−1)と、他樹脂(G)としての(G−1)とを、質量比〔(A−1)/(G−1)〕90/10でブレンドし、下記に示すシート、延伸フィルム、射出成形体を製造した。つまり、これらの成形体を構成する樹脂組成物の組成は、ポリ乳酸(A−1)の含有量が90質量%、他樹脂(G−1)の含有量が10質量%であった。
〔シート〕
上記のようにブレンドしたポリ乳酸(A−1)と他樹脂(G−1)を供給した以外は、実施例12と同様にして厚さ250μmのポリ乳酸系シートを得た。
〔延伸フィルム〕
得られたポリ乳酸系シートを用いた以外は、実施例12と同様にして厚さ25μmのポリ乳酸系延伸フィルムを得た。
〔射出成形体〕
上記のようにブレンドしたポリ乳酸(A−1)と他樹脂(G−1)を供給した以外は、実施例12と同様にして一般物性測定用試験片として、射出成形体(X)と射出成形体(Y)を作製した。
〔樹脂組成物〕
ポリ乳酸(A−1)と、他樹脂(G)としての(G−2)とを、質量比〔(A−1)/(G−2)〕50/50でブレンドし、下記に示すシート、延伸フィルム、射出成形体を製造した。つまり、これらの成形体を構成する樹脂組成物の組成は、ポリ乳酸(A−1)の含有量が50質量%、他樹脂(G−2)の含有量が50質量%であった。
〔シート〕
上記のようにブレンドしたポリ乳酸(A−1)と他樹脂(G−2)を供給した以外は、実施例12と同様にして厚さ250μmのポリ乳酸系シートを得た。
〔延伸フィルム〕
得られたポリ乳酸系シートを用いた以外は、実施例12と同様にして厚さ25μmのポリ乳酸系延伸フィルムを得た。
〔射出成形体〕
上記のようにブレンドしたポリ乳酸(A−1)と他樹脂(G−2)を供給した以外は、実施例12と同様にして一般物性測定用試験片として、射出成形体(X)と射出成形体(Y)を作製した。
〔樹脂組成物〕
ポリ乳酸(A−1)と、マスターバッチペレット(m−3)と、他樹脂(G)としての(G−2)とを、質量比〔(A−1)/(m−3)/(G−2)〕21.9/33/45でブレンドし、下記に示すシート、延伸フィルム、射出成形体を製造した。つまり、これらの成形体を構成する樹脂組成物の組成は、ポリ乳酸(A−1)の含有量が45質量%、多層構造重合体(B−1)の含有量が10質量%、他樹脂(G−2)の含有量が45質量%であった。
〔シート〕
上記のようにブレンドしたポリ乳酸(A−1)とマスターバッチペレット(m−3)と他樹脂(G−2)を供給した以外は、実施例12と同様にして厚さ250μmのポリ乳酸系シートを得た。
〔延伸フィルム〕
得られたポリ乳酸系シートを用いた以外は、実施例12と同様にして厚さ25μmのポリ乳酸系延伸フィルムを得た。
〔射出成形体〕
上記のようにブレンドしたポリ乳酸(A−1)とマスターバッチペレット(m−3)と他樹脂(G−2)を供給した以外は、実施例12と同様にして一般物性測定用試験片として、射出成形体(X)と射出成形体(Y)を作製した。
〔樹脂組成物〕
ポリ乳酸(A−1)と、マスターバッチペレット(m−9)と、他樹脂(G)としての(G−2)とを、質量比〔(A−1)/(m−9)/(G−2)〕21.9/33/45でブレンドし、下記に示すシート、延伸フィルム、射出成形体を製造した。つまり、これらの成形体を構成する樹脂組成物の組成は、ポリ乳酸(A−1)の含有量が45質量%、多層構造重合体(C−1)の含有量が10質量%、他樹脂(G−2)の含有量が45質量%であった。
〔シート〕
上記のようにブレンドしたポリ乳酸(A−1)とマスターバッチペレット(m−9)と他樹脂(G−2)を供給した以外は、実施例12と同様にして厚さ250μmのポリ乳酸系シートを得た。
〔延伸フィルム〕
得られたポリ乳酸系シートを用いた以外は、実施例12と同様にして厚さ25μmのポリ乳酸系延伸フィルムを得た。
〔射出成形体〕
上記のようにブレンドしたポリ乳酸(A−1)とマスターバッチペレット(m−9)と他樹脂(G−2)を供給した以外は、実施例12と同様にして一般物性測定用試験片として、射出成形体(X)と射出成形体(Y)を作製した。
ただし、実施例28の樹脂組成物は、架橋剤を添加したものであったため、未反応の架橋剤がポリ乳酸と反応してゲル化した部分が生じ、これにより得られた成形体の品位が低下し、透明性の評価が少し劣るものとなった。
一方、表3から明らかなように、比較例20、21で得られた樹脂組成物は、多層構造重合体(B)、(C)を含有しないかあるいはそれらの含有量が少ないものであったため、得られた成形体は、透明性には優れているものの、耐衝撃性、耐屈曲性、柔軟性に劣るものであった。
比較例22、23の樹脂組成物は、多層構造重合体(B)または多層構造重合体(C)の含有量が多すぎたため、得られた成形体は透明性に劣るものであった。また、これらは両方の多層構造重合体を含有していたが、一方の多層構造重合体の含有量が多すぎたため、両方の多層構造重合体の効果がバランスよく発揮されず、得られた成形体は透明性に劣るものであった。比較例24の樹脂組成物は、多層構造重合体(B)および多層構造重合体(C)の含有量が多すぎたため、得られた成形体は透明性に劣るものであった。
比較例25、26の樹脂組成物は、多層構造重合体(B)を本発明で規定する量を含有するが、多層構造重合体(C)を含有しないものであったため、得られた成形体は、透明性に優れるものの、耐衝撃性や耐屈曲性に劣るものであった。比較例27〜32の樹脂組成物は、多層構造重合体(B)のみ含有し、かつ含有量が多かったため、得られた成形体は、耐衝撃性や耐屈曲性の向上が不十分であり、しかも透明性に劣るものであった。
比較例33、34の樹脂組成物は、多層構造重合体(B)とコア層がブタジエン系ゴムの多層構造重合体(D)とを含有するものであったため、得られた成形体は、透明性の劣るものであった。
比較例35〜41の樹脂組成物は、多層構造重合体(C)のみを含有するものであったため、得られた成形体は透明性に劣るものであった。
比較例42、43の樹脂組成物は、多層構造重合体(C)とコア層がブタジエン系ゴムの多層構造重合体(D)とを含有するものであったため、得られた成形体は、透明性の劣るものであった。
比較例44、45の樹脂組成物は、多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)を含有せず、他樹脂を含有するものであったため、得られた成形体は、透明性、耐衝撃性、耐屈曲性、柔軟性のいずれかに劣るものであった。比較例46、47において、多層構造重合体(B)または多層構造重合体(C)を添加しても、得られた成形体は、透明性、耐衝撃性、耐屈曲性、柔軟性のいずれかに劣るものであった。
Claims (4)
- ポリ乳酸(A)と、多層構造重合体(B)と、多層構造重合体(C)とを含有する樹脂組成物であり、
多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)のそれぞれの含有量が、樹脂組成物全体の0.5〜8質量%であり、
多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)のそれぞれが、コア層とシェル層とから構成され、
多層構造重合体(B)は、コア層が、アクリルゴム(ただし、シリコーン成分を含むものを除く)により形成され、シェル層が、コア層のアクリルゴムの存在下に、コア層のアクリルゴムにグラフト重合させて得られたメチルメタクリレート系重合体により形成されたものであり、
多層構造重合体(C)は、コア層が、アクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムにより形成され、シェル層が、コア層のアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムの存在下に、コア層のアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムにグラフト重合させて得られたメチルメタクリレート系重合体により形成されたものであることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
なお、多層構造重合体(C)のコア層を形成するアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムとは、アクリル成分とシリコーン成分とを共重合した成分から構成されるゴム、又はアクリル成分からなるゴムとシリコーン成分からなるゴムをブレンドした混合体をいう。 - 多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)の合計含有量が、樹脂組成物全体の2〜16質量%であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体。
- ポリ乳酸(A)と、多層構造重合体(B)と、多層構造重合体(C)とを含有する樹脂組成物にて構成され、
多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)のそれぞれの含有量が、樹脂組成物全体の8〜30質量%であり、
多層構造重合体(B)と多層構造重合体(C)のそれぞれが、コア層とシェル層とから構成され、
多層構造重合体(B)は、コア層が、アクリルゴム(ただし、シリコーン成分を含むものを除く)により形成され、シェル層が、コア層のアクリルゴムの存在下に、コア層のアクリルゴムにグラフト重合させて得られたメチルメタクリレート系重合体により形成されたものであり、
多層構造重合体(C)は、コア層が、アクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムにより形成され、シェル層が、コア層のアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムの存在下に、コア層のアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムにグラフト重合させて得られたメチルメタクリレート系重合体により形成されたものであることを特徴とするポリ乳酸系マスターバッチペレット。
なお、多層構造重合体(C)のコア層を形成するアクリル成分とシリコーン成分とを含有する複合ゴムとは、アクリル成分とシリコーン成分とを共重合した成分から構成されるゴム、又はアクリル成分からなるゴムとシリコーン成分からなるゴムをブレンドした混合体をいう。
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