JP4875511B2 - エアバック装置 - Google Patents
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Description
本発明は、エアバックの左右中央部を迅速に下方へ膨張展開することができ、エアバックを効率よく膨張展開させることのできるエアバック装置を低コストで実現することを目的とする。
(構成)
本発明の第1特徴は、折り畳まれた状態で車両の上部に収容され、衝突による膨脹用ガスの供給により最後部座席と後部ガラスとの間に膨脹展開するエアバックを備えたエアバック装置において、次のように構成することにある。
前記エアバックに、前記エアバック上部の左右中央部に位置し前記エアバックに膨脹用ガスを供給するガス供給口と、膨脹展開した状態で前記ガス供給口から下方へ延出される縦方向流路と、膨脹展開した状態で前記縦方向流路から上下に並べて左右両側方に分岐され先端部が閉塞された複数の横方向流路と、上下に隣接する前記横方向流路の間に位置する膨脹しない非膨脹部と、を備え、前記縦方向流路の膨脹用ガスの移動方向に直交する方向の断面積は前記横方向流路の膨脹用ガスの移動方向に直交する方向の断面積よりも大きく構成されている。
本発明の第1特徴によると、衝突によりインフレータからの膨張用ガスがエアバック上部の左右中央部に位置するガス供給口に供給されると、このガス供給口から下方へ延出された縦方向流路に膨張用ガスが供給されて、縦方向流路が上方から下方に膨張する。縦方向流路が膨張するのに少し遅れて、縦方向流路から上下に並べて左右両側方に分岐され先端部が閉塞された複数の横方向流路に、縦方向流路からの膨張用ガスが供給されて横方向流路が膨張し、エアバック全体が膨張展開する。その結果、エアバックの左右中央部を迅速に下方へ膨張させることができ、後方からの衝突により破損した後部ガラス等が早期に飛散し易い後部ガラスの左右中央部に、エアバックを迅速に膨脹展開することができる。
本発明の第1特徴によると、上下に隣接する横方向流路の間に位置する膨張しない非膨張部によって、例えばエアバック全体にエアを供給する構成に比べ膨脹部の容積が少なくなり、エアバックを膨張させるために必要な膨張用ガスの量を少なく抑えることができる。その結果、容量の比較的少ないインフレータによってエアバックを効率よく膨張展開させることができる。
本発明の第1特徴によると、最後部座席側への破損した後部ガラス等の飛散を防止でき、飛散防止の機能を高めることができる。
本発明の第1特徴によると、インフレータの製造コストを削減することができ、エアバック装置の製造コストを削減できるとともに、インフレータの配置上の制約を少なくすることができる。
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴のエアバック装置において、次のように構成することにある。
前記横方向流路は、前記エアバック上部において左右方向に設けられた上側流路と、前記エアバックの下部において左右方向に設けられた下側流路と、前記上側流路と前記下側流路との間において左右方向に設けられた中間流路と、を備え、
前記中間流路の膨脹用ガスの移動方向に直交する方向の断面積は前記上側流路および前記下側流路の膨脹用ガスの移動方向に直交する方向の断面積よりも大きく構成されている。
本発明の第2特徴によると、縦方向流路から中間流路へ多くの膨脹用ガスが供給されて、エアバックの上下中央部における後部ガラスを覆う部分において膨脹する部分を広く確保することができる。
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1または第2特徴のエアバック装置において、次のように構成することにある。
上下に並ぶ複数の前記横方向流路を連通するバイパス流路を備え、前記バイパス流路を前記最後部座席の右及び左の着座位置の後方に配設して、
前記バイパス流路の膨脹用ガスの移動方向に直交する方向の断面積を、前記縦方向流路の膨脹用ガスの移動方向に直交する方向の断面積より狭く設定する。
本発明の第3特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]または[II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第3特徴によると、最後部座席の右及び左の着座位置の後方に配設したバイパス流路によって、最後部座席に右又は左の着座位置に着座した乗員を保護することができる。また、バイパス流路の断面積を縦方向流路の断面積よりも狭く設定することによって、バイパス流路に流れ込む膨張用ガスの量を少なく設定することができ、バイパス流路に多量の膨張用ガスが流入してエアバックの縦方向の展開が遅くなることを防止できる。
本発明の第3特徴によると、本発明の第1または第2特徴と同様に前項[I]または[II]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、エアバックの迅速な縦方向の展開を阻害することなく、膨脹したバイパス流路で最後部座席に右又は左の着座位置に着座した乗員を保護することができる。
図1〜図4に基づいて、エアバック装置15を装着したハッチバックタイプの車両の全体構成及びエアバック装置15の全体構成について説明する。図1及び図2は、車両の後部の左側面図及び車両の全体背面図をそれぞれ示し、図3及び図4は、エアバック装置15が作動していない状態及びエアバック装置15が作動した状態での車両上部の縦断側面図をそれぞれ示す。
図5及び図6に基づいて、エアバック20の詳細構造について説明する。図5は、膨張していない状態におけるエアバック20の展開図を示し、図6は、エアバック20と後部ガラス6との位置関係を示す概略背面図を示す。なお、図5において、エアバック20を構成する表側布体20aと裏側布体20bの縫合位置を実線で、膨張しない非膨張部Bをハッチングで、膨張部Aにおけるインフレータ16からのガスが流れる方向を矢印で、それぞれ表示する。また、図6において、エアバック20を構成する表側布体20aと裏側布体20bとの縫合位置を点線で示す。
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、バイパス流路29を形成しないでエアバック20を構成した例を示したが、図7に示すように、第1サブ流路25と第2サブ流路26と間、及び第2サブ流路26と第3サブ流路27との間にバイパス流路29を形成したエアバック20を採用してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、エアバック20の左右中央部の1箇所にメイン流路24を設けた例を示したが、図8に示すように、エアバック20上部の左右中央部に接続部22を設け、この接続部22から分岐した左右の分岐流路30,30を設けて、この分岐流路30,30をエアバック20の左右両側部に設けた左右のメイン流路24,24に連通して、1箇所の接続部22から左右の分岐流路30,30を介して左右のメイン流路24,24に膨脹用ガスを供給するように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、エアバック20の形状を、接続部22以外の部分を左右対称形状に構成し、後部ガラス6の左右中間位置にメイン流路24の左右中間位置が位置するように、エアバック20を構成した例を示したが、左右対称でない形状のエアバック20(図示せず)、左右対称でない形状のメイン流路24(図示せず)、及び図9に示すような左右対称でない形状の第1〜第4サブ流路25〜28を採用してもよい。また、図示しないが、エアバック20(又は後部ガラス6)に対する接続部22及びメイン流路24の左右方向の位置は、エアバック20(又は後部ガラス6)の左右中央部に位置するのであれば、右又は左に少し偏心した位置に配設してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]及び[発明の実施の第3別形態]においては、エアバック20の形状を横長の長方形状に形成した例を示したが、エアバック20の形状を異なる形状に形成してもよく、例えばエアバック20の形状を縦長の長方形状に形成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]、[発明の実施の第2別形態]、[発明の実施の第3別形態]及び[発明の実施の第4別形態]においては、表側布体20aと裏側布体20bとを縫合することによって、メイン流路24、第1〜第4サブ流路25〜28等をエアバック20に形成した例を示したが、表側布体20aと裏側布体20bを異なる方法によって接合してもよく、例えば非膨脹部Bに位置する表側布体20aと裏側布体20bを接着や溶着することによって、メイン流路24、第1〜第4サブ流路25〜28等をエアバック20に形成してもよい。
6 後部ガラス
15 エアバック装置
20 エアバック
22a ガス供給口
24 メイン流路(縦方向流路)
25 第1サブ流路(横方向流路、上側流路)
26 第2サブ流路(横方向流路、中間流路)
27 第3サブ流路(横方向流路、中間流路)
28 第4サブ流路(横方向流路、下側流路)
29 バイパス流路
B 非膨脹部
L 着座位置
R 着座位置
Claims (3)
- 折り畳まれた状態で車両の上部に収容され、衝突による膨脹用ガスの供給により最後部座席と後部ガラスとの間に膨脹展開するエアバックを備えたエアバック装置において、
前記エアバックに、前記エアバック上部の左右中央部に位置し前記エアバックに膨脹用ガスを供給するガス供給口と、膨脹展開した状態で前記ガス供給口から下方へ延出される縦方向流路と、膨脹展開した状態で前記縦方向流路から上下に並べて左右両側方に分岐され先端部が閉塞された複数の横方向流路と、上下に隣接する前記横方向流路の間に位置する膨脹しない非膨脹部と、を備え、
前記縦方向流路の膨脹用ガスの移動方向に直交する方向の断面積は前記横方向流路の膨脹用ガスの移動方向に直交する方向の断面積よりも大きく構成されているエアバック装置。 - 前記横方向流路は、前記エアバック上部において左右方向に設けられた上側流路と、前記エアバックの下部において左右方向に設けられた下側流路と、前記上側流路と前記下側流路との間において左右方向に設けられた中間流路と、を備え、
前記中間流路の膨脹用ガスの移動方向に直交する方向の断面積は前記上側流路および前記下側流路の膨脹用ガスの移動方向に直交する方向の断面積よりも大きく構成されている請求項1記載のエアバック装置。 - 上下に並ぶ複数の前記横方向流路を連通するバイパス流路を備え、前記バイパス流路を前記最後部座席の右及び左の着座位置の後方に配設して、
前記バイパス流路の膨脹用ガスの移動方向に直交する方向の断面積を、前記縦方向流路の膨脹用ガスの移動方向に直交する方向の断面積より狭く設定してある請求項1または2記載のエアバック装置。
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