JP4869449B1 - パルプ複合強化樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】衝撃強度が高く、気泡による意匠性の低下を防止できるパルプ複合強化樹脂の製造方法を得ること。
【解決手段】第1級アミン化合物の水溶液を含むパルプ粉砕物を攪拌しながら、エポキシ基で置換された脂肪族炭化水素基を有する第一の界面活性剤と亜硝酸類化合物とを含む混合液をパルプ粉砕物に塗布する第一工程と、前記混合液を塗布したパルプ粉砕物を攪拌しながら、脂肪族炭化水素基を有する疎水基及びエチレンオキサイド基を有する親水基を有する第二の界面活性剤並びにエラストマーを含む水分散液をパルプ粉砕物に付着させる第二工程と、前記水分散液を付着させたパルプ粉砕物と溶融状態のポリプロピレンとを混練する第三工程とを行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、パルプ複合強化樹脂及びその製造方法に関する。
様々な成形品の材料となる樹脂について、従来、炭酸ガス排出量の抑制と資源の有効利用を目的とした天然素材の活用が進められている。その一例として、汎用のポリプロピレンの使用量を削減する目的で、例えば回収紙等を粉砕して得たパルプ粉砕物をポリプレピレンに混入する技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開平05−320367号公報
一般に、パルプ粉砕物の表面は部分的にフィブリル化されている。このため、パルプ粉砕物の表面には微細繊維があることが多い。ところが、この微細繊維はパルプ粉砕物とポリプロピレンとの密接を阻害する傾向があるので、パルプ粉砕物とポリプロピレンとを直接的で強固に接合させることは困難であった。そのため、パルプ粉砕物とポリプロピレンとを複合化した従来のパルプ複合強化樹脂は、剛性及び耐熱性に優れるが、衝撃強度が十分ではなく、複合化に伴う強度の向上効果の改善が望まれていた。
さらに、前記の微細繊維間にある空気は、単純な混練では容易に排出されないために、パルプ複合強化樹脂に残留する傾向がある。このため、前記の空気は例えば射出成形等の高圧下での流動過程においてパルプ粉砕物から分離し、得られるパルプ複合強化樹脂の成形品に気泡として残留して、成形品の意匠性を低下させることがあった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、衝撃強度が高く、気泡が少なく意匠性の良好なパルプ複合強化樹脂及びその製造方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のパルプ複合強化樹脂の製造方法は、第1級アミン化合物の水溶液を含むパルプ粉砕物を攪拌しながら、エポキシ基で置換された炭素原子数が10以上25以下の脂肪族炭化水素基を有する第一の界面活性剤と亜硝酸類化合物とを含む混合液をパルプ粉砕物に塗布する第一工程と、前記混合液を塗布したパルプ粉砕物を攪拌しながら、脂肪族炭化水素基を有する疎水基及びエチレンオキサイド基を有する親水基を有する第二の界面活性剤並びに重量平均分子量が15000以上300000以下のポリイソブチレンを含む水分散液をパルプ粉砕物に付着させる第二工程と、前記水分散液を付着させたパルプ粉砕物と溶融状態のポリプロピレンとを混練して複合化する第三工程とを含む、ことを特徴とする。
また、本発明のパルプ複合強化樹脂は、セルロースを含むパルプ粉砕物の前記セルロースとエポキシ基で置換された炭素原子数10以上25以下の脂肪族炭化水素基を有する第一の界面活性剤との反応生成物が、脂肪族炭化水素基を有する疎水基及びエチレンオキサイド基を有する親水基を有する第二の界面活性剤を含む重量平均分子量15000以上300000以下のポリイソブチレンを介して、ポリプロピレンと複合化したことを特徴とする。
本発明によれば、衝撃強度が高く、気泡が少なく意匠性の良好なパルプ複合強化樹脂及びその製造方法を実現できる。
以下に、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
〔1.概要〕
本発明のパルプ複合強化樹脂の製造方法は、第1級アミン化合物の水溶液を含むパルプ粉砕物を攪拌しながら、エポキシ基で置換された脂肪族炭化水素基を有する第一の界面活性剤と亜硝酸類化合物とを含む混合液(以下、適宜「第一混合液」ということがある。)をパルプ粉砕物に塗布する第一工程と、前記第一混合液を塗布したパルプ粉砕物を攪拌しながら、脂肪族炭化水素基を有する疎水基及びエチレンオキサイド基を有する親水基を有する第二の界面活性剤並びにエラストマーを含む水分散液(以下、適宜「第二水分散液」ということがある。)をパルプ粉砕物に付着させる第二工程と、前記第二水分散液を付着させたパルプ粉砕物と溶融状態のポリプロピレンとを混練して複合化する第三工程とを含む。また、本発明のパルプ複合強化樹脂の製造方法では、所望のパルプ複合強化樹脂が得られる限り、第一工程、第二工程及び第三工程以外の他の工程を行ってもよい。
〔2.パルプ粉砕物の用意〕
本発明のパルプ複合強化樹脂の製造方法では、第1級アミン化合物の水溶液を含むパルプ粉砕物を用意する。
パルプ粉砕物とは、パルプを粉砕したものを意味する。パルプは、セルロースを含む材料であり、例えば回収紙由来のパルプがコストを抑制でき、また環境に悪影響を与え難いために有効であるが、ほかに木材、麻、綿、ケナフ、バーク、藁などの植物由来のものを用いてもよい。ただし、回収紙由来のパルプを用いる場合には、例えば酸又は塩基等のような、変色及び変質を促す残留薬品が少ないものが好ましい。なお、パルプは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
パルプの粉砕方法に制限は無いが、例えば回収紙由来のパルプを粉砕する場合には、所定の間隙を開けて対向する2枚のディスクを備える粉砕機を用い、前記のディスクの間の間隙にパルプを投入することにより、ディスクから加えられる剪断力によって粉砕することが好ましい。
粉砕の程度は、粉砕機に設けた篩(フィルター)の目の開口が通常2500μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下の篩をパルプ粉砕物が通過できる程度である。この際、パルプ粉砕物が凝集することなく粉体状態を維持して、自動計量装置及び樹脂との複合化のための混練機への投入に支障を来さない条件を選択することが肝要である。
第1級アミン化合物とは、第1級アミノ基(−NH基)を有する化合物である。また、1分子の第1級アミン化合物が含む第1級アミノ基の数は、1個でもよく、2個以上でもよい。第1級アミノ基は、第一工程において亜硝酸類化合物と反応してジアゾニウム塩を生じうる。このジアゾニウム塩は、粉砕パルプに含まれるセルロースと第一の界面活性剤が有するエポキシ基との反応の触媒として機能しうる。
前記の触媒としての機能を十分に発揮させるために、第1級アミン化合物は、活性水素当量アミン価が低いものが好ましい。活性水素当量アミン価が低い第1級アミン化合物は、ジアゾニウム塩が生成しやすい傾向があるので、第一の界面活性剤のエポキシ基とセルロースとの反応性が低い場合でも、第一の界面活性剤のパルプ粉砕物への固定化が促進される。
第1級アミン化合物の例を挙げると、ジエチレントリアミン(DTA)、トリエチレンテトラミン(TTA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ジプロピレンジアミン(DPDA)等の脂肪族アミン類などが挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
第1級アミン化合物の水溶液は、パルプ粉砕物の粒子の少なくとも一部分に含まれるようにする。これにより、パルプ粉砕物の粒子の、前記第1級アミン化合物の水溶液を含む部分において、パルプ粉砕物のセルロースと第一の界面活性剤のエポキシ基との反応を進行させることができるので、当該部分におけるセルロースの分子構造を、エラストマー及びポリプロピレンの分子と絡み合いを生じやすい構造にすることができる。ただし、第1級アミン化合物の水溶液はパルプ粉砕物の粒子の全体に容易に染み込む傾向があるので、通常はパルプ粉砕物の粒子全体に第1アミン化合物が含まれる。
パルプ粉砕物に第1級アミン化合物の水溶液を含ませる方法は、例えば、パルプ粉砕物を攪拌しながら、第1級アミン化合物の水溶液を霧状に吹き付ける方法が挙げられる。この際、パルプ粉砕物を浮遊させた状態で水溶液を吹き付けると、パルプ粉砕物全体に水溶液を含ませることが容易となるので、好ましい。このような方法は、例えば、ヘンシェンミキサー等の、高速回転する羽根を備えた混合機を用いて行ってもよい。
〔3.第一工程〕
第一工程では、第1級アミン化合物の水溶液を含むパルプ粉砕物に、第一の界面活性剤と亜硝酸類化合物とを含む第一混合液を塗布する。
〔3−1.第一の界面活性剤〕
第一の界面活性剤は、エポキシ基で置換された脂肪族炭化水素基を有する界面活性剤である。第一の界面活性剤は親水性及び疎水性の両方を有し、親水性のセルロース並びに疎水性のエラストマーの両方に親和性を有する。このため、第一の界面活性剤の作用により、第二工程においてパルプ粉砕物とエラストマーの混和を促すことができる。
第一の界面活性剤において、エポキシ基で置換された脂肪族炭化水素基とは、脂肪族炭化水素基が有する水素原子の一部が酸素原子で置換されることにより、その炭素鎖にエポキシ基が結合したものを意味する。このようにエポキシ基で置換された脂肪族炭化水素基は、そのエポキシ基とパルプ粉砕物のセルロースとが反応することにより、セルロースに結合しうる。このため、エポキシ基で置換された脂肪族炭化水素基を有する第一の界面活性剤は、セルロース分子に対して枝状に分岐する炭素鎖として導入できるようになっている。
第一の界面活性剤においてエポキシ基で置換された脂肪族炭化水素基は、鎖状脂肪族炭化水素基でもよく、脂環式炭化水素基でもよい。中でも、セルロース分子に導入される第一の界面活性剤由来の枝状の炭素鎖とエラストマーの分子との絡み合いを生じやすくする観点から、鎖状脂肪族炭化水素基が好ましい。
また、第一の界面活性剤においてエポキシ基で置換された脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基でもよく、不飽和炭化水素基でもよい。中でも、第一の界面活性剤の安定性の観点、並びに、第三工程における混練時の高温域での不用意な付加反応を抑制する観点から、飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
さらに、第一の界面活性剤においてエポキシ基で置換された脂肪族炭化水素基は、鎖状脂肪族炭化水素基である場合、直鎖状でもよく、分岐を有していてもよい。中でも、セルロース分子に導入される第一の界面活性剤由来の枝状の炭素鎖とエラストマーの分子との絡み合いを生じやすくする観点から、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
第一の界面活性剤の分子において、エポキシ基で置換された脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは10個以上であり、好ましくは25個以下、より好ましくは20個以下である。前記炭素原子数を前記範囲の下限値以上とすることにより、セルロース分子に導入される第一の界面活性剤由来の枝状の炭素鎖を長くして、エラストマーの分子との絡み合いを生じやすくできるので、パルプ粉砕物とエラストマーとの接合力を向上させることができる。また、上限値以下とすることにより、第一の界面活性剤の疎水性が過度に強くなることを防止して、第一の界面活性剤がセルロースに安定して結合するようにできる。
前記の脂肪族炭化水素基の例を挙げると、ステアリル基、ベヘニル基、ラウリル基、パルミチル基等のアルキル基などが挙げられる。なお、第一の界面活性剤の分子が含む脂肪族炭化水素基は、1個でもよく、2個以上でもよく、また、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
第一の界面活性剤におけるエポキシ基の位置は、当該第一の界面活性剤の分子の末端であることが好ましい。具体的には、第一の界面活性剤が有する脂肪族炭化水素基の末端の炭素原子に、エポキシ基が有する2本の結合手の一方が結合していることが好ましい。このようにエポキシ基が分子内の末端にあれば、第一の界面活性剤とパルプ粉砕物のセルロースとが反応する際に、立体障害による影響を低減させたり無くしたりすることができる。
第一の界面活性剤が一分子中に2個以上の脂肪族炭化水素基を有する場合、それらの脂肪族炭化水素基のうちの1個のみがエポキシ基で置換されていてもよく、2個以上がエポキシ基で置換されていてもよい。
第一の界面活性剤は、カチオン系の界面活性剤でもよく、アニオン系の界面活性剤でもよく、ノニオン系の界面活性剤でもよい。中でも、第一の界面活性剤は、カチオン系の界面活性剤が好ましく、特に第4級アンモニウム塩型のカチオン系の界面活性剤がより好ましい。OH基を多く有するパルプに対して親和性が高いためである。
第4級アンモニウム塩型のカチオン系の界面活性剤のなかでも、アルキルトリメチル型界面活性剤及びアルキルジメチルベンジル型界面活性剤が好ましい。第一の界面活性剤とセルロースとの反応を安定して進行させることができるからである。ここで、アルキルトリメチル型界面活性剤は通常はR(CHで表される化合物であり、アルキルジメチルベンジル型界面活性剤は通常はR(CH(CHPh)Nで表される化合物である。なお、前記のRはそれぞれ独立にアルキル基を表し、CHPhはベンジル基を表し、Aはカウンターアニオンを表す。アルキルトリメチル型界面活性剤及びアルキルジメチルベンジル型界面活性剤を用いる場合、通常は、アルキル基Rにエポキシ基が置換した界面活性剤を、第一の界面活性剤として用いる。
第一の界面活性剤の好適な例を挙げると、以下のものが挙げられる。
Figure 0004869449
なお、第一の界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
〔3−2.亜硝酸類化合物〕
亜硝酸類化合物としては、通常、亜硝酸塩を用いる。亜硝酸類化合物は、例えば下記の反応式で示すように、第1級アミン化合物と反応してジアゾニウム塩を生じる。このようにして生じたジアゾニウム塩は、通常は第一の界面活性剤との親和性に優れ、パルプ粉砕物のセルロースと第一の界面活性剤との反応の触媒として作用する。なお、下記の反応式において、Rは第1級アミン化合物のアミノ基以外の部分を表し、Xはジアゾニウム塩におけるジアゾニウムイオンのカウンターアニオンを表す。
Figure 0004869449
亜硝酸類化合物の例を挙げると、例えば、亜硝酸ナトリウムなどが挙げられる。なお、亜硝酸類化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
〔3−3.第一の界面活性剤及び亜硝酸類化合物以外の成分〕
第一混合液は、所望のパルプ複合強化樹脂が得られる限り、第一の界面活性剤及び亜硝酸類化合物以外の成分を含んでいてもよい。
例えば、第一混合液は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、通常は水を用いる。
〔3−4.第一工程において生じる反応〕
第一工程においてパルプ粉砕物に第一混合液を塗布すると、パルプ粉砕物に含まれる第1級アミン化合物と第一混合液に含まれる亜硝酸類化合物とが反応して、上述したようにジアゾニウム塩が生じる。このジアゾニウム塩が触媒となって、第一混合液に含まれる第一の界面活性剤とセルロースとが反応したり、第一の界面活性剤同士が反応したりする。
すなわち、例えば下記の反応式で示すように、第一の界面活性剤のエポキシ基がジアゾニウム塩の作用(下記反応式の破線を参照)によって開環し、その後、水と反応することによって、式(1)で示される中間体が生成する。この中間体の末端にある水酸基(−OH基)が、セルロースが有する水酸基と脱水縮合反応をすることにより、第一の界面活性剤がセルロースの分子に結合する。なお、下記反応式において、Rは第一の界面活性剤のエポキシ基が結合した炭素鎖以外の部分を表す。
Figure 0004869449
Figure 0004869449
また、例えば下記の反応式で示すように、第一の界面活性剤のエポキシ基がジアゾニウム塩の作用によって開環し、その後、エポキシ基が開環した第一の界面活性剤同士が結合することにより、高分子量化が進行する。高分子量化した第一の界面活性剤は、前述した要領でセルロースと結合することになる。
Figure 0004869449
上述したように第一の界面活性剤とセルロースとが結合することにより、セルロース骨格から枝状に分岐した第一の界面活性剤由来の炭素鎖を有するセルロース誘導体が、反応生成物として得られる。このセルロース誘導体が有する枝状の炭素鎖は、第一の界面活性剤が有していた脂肪族炭化水素基に対応しており、通常は長い炭素鎖となる。このため、この長い炭素鎖がエラストマーの分子と絡まりあうことにより、パルプ粉砕物とエラストマーとの接合力を高めることができる。
また、第一の界面活性剤同士が反応すると、第一の界面活性剤同士が結合して高分子量化し、この高分子量化した界面活性剤が更にセルロースと反応することになる。このように第一の界面活性剤が高分子量化することにより、当該第一の界面活性剤のエラストマーに対する親和性及び混和性を向上させることができる。さらに、高分子量化した第一の界面活性剤由来の炭素鎖は、エラストマーの分子と絡まり合いやすいため、パルプ粉砕物とエラストマーとの接合力を更に高めることができる。
さらに、ジアゾニウム塩を触媒としたことにより、セルロースと第一の界面活性剤との反応を特に円滑に進めることができる。このため、第一工程では、通常、パルプ粉砕物の表面に欠陥無く強固に第一の界面活性剤を結合させることができる。
〔3−5.第一工程での操作〕
パルプ粉砕物への第一混合液の塗布は、パルプ粉砕物を攪拌しながら行う。パルプ粉砕物の全体に第一混合液を安定して塗布するためである。
具体的な方法としては、例えば、パルプ粉砕物を攪拌しながら、第一混合液をパルプ粉砕物に霧状に吹き付ける方法が挙げられる。この際、パルプ粉砕物を浮遊させた状態で第一混合液を吹き付けると、パルプ粉砕物の全体に第一混合液を効率良く塗布することができるので、好ましい。このような方法は、例えば、ヘンシェンミキサー等の、高速回転する羽根を備えた混合機を用いて行ってもよい。
〔4.乾燥工程〕
第一工程の後、第二工程を行なう前に、必要に応じて、第一混合液を塗布したパルプ粉砕物を乾燥させてもよい。第一混合液が溶媒を含む場合、乾燥によってパルプ粉砕物から前記溶媒が除去されるので、パルプ粉砕物の攪拌を容易に行うことが可能となる。
乾燥方法としては、例えば、加熱した乾燥空気をパルプ粉砕物に吹き付ける方法を採用してもよい。具体例を挙げると、パルプ粉砕物を浮遊させた状態で攪拌しながら、鉛直下方から乾燥空気を吹き付けるようにすると、乾燥を効率的に行うことができ、好ましい。
〔5.第二工程〕
必要に応じて乾燥工程を行った後で、第二工程を行う。第二工程では、第一混合液を塗布した前記のパルプ粉砕物に、第二の界面活性剤並びにエラストマーを含む第二水分散液を付着させる。
〔5−1.第二の界面活性剤〕
第二の界面活性剤は、脂肪族炭化水素基を有する疎水基及びエチレンオキサイド基を有する親水基を有する界面活性剤である。第二の界面活性剤は親水性及び疎水性の両方を有し、疎水性のエラストマーを、水に良好に分散させることができる。また、疎水基及び親水基として脂肪族炭化水素基及びエチレンオキサイド基を組み合わせた第二の界面活性剤は、セルロース誘導体、エラストマー及びポリプロピレンのいずれに対しても特に高い親和性を有し、パルプ粉砕物、エラストマー及びポリプロピレンの混和を顕著に促すことができる。
第二の界面活性剤の分子において、疎水基となる脂肪族炭化水素基は、鎖状脂肪族炭化水素基でもよく、脂環式炭化水素基でもよい。
また、第二の界面活性剤の分子において、疎水基となる脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基でもよく、不飽和炭化水素基でもよい。
さらに、第二の界面活性剤の分子において、疎水基となる脂肪族炭化水素基は、鎖状脂肪族炭化水素基である場合、直鎖状でもよく、分岐を有していてもよい。中でも、セルロース誘導体との親和性を高める観点から、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
第二の界面活性剤の脂肪族炭化水素基の例を挙げると、第一の界面活性剤においてエポキシ基で置換される脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。なお、第二の界面活性剤の分子が含む脂肪族炭化水素基は、1個でもよく、2個以上でもよく、また、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
第二の界面活性剤は、疎水基として脂肪族炭化水素基以外の基を有していてもよい。ただし、第二の界面活性剤の疎水基は脂肪族炭化水素基からなることが好ましく、直鎖状のアルキル基からなることが特に好ましい。これにより、第二の界面活性剤とセルロース誘導体との親和性を顕著に高めることができ、ひいてはパルプ粉砕物とエラストマーとの混和を効果的に促進できる。
第二の界面活性剤において、親水基となるエチレンオキサイド基は、エチレンオキサイドが開環した2価の基であり、−CH−CH−O−で表される基である。
第二の界面活性剤は、エチレンオキサイド基を1分子当たり、1個だけ有していてもよく、2個以上有していてもよい。中でも、第二の界面活性剤におけるエチレンオキサイド基の数は、2個以上5個以下が好ましい。
第二の界面活性剤は、親水基としてエチレンオキサイド基以外の基を有していてもよい。ただし、第二の界面活性剤の親水基はエチレンオキサイド基からなることが好ましい。
第二の界面活性剤は、カチオン系の界面活性剤でもよく、アニオン系の界面活性剤でもよく、ノニオン系の界面活性剤でもよい。
第二の界面活性剤としては、エチレンオキサイド基を主体とする親水基と、直鎖状のアルキル基からなる疎水基とを併せ持つものが特に好ましい。このような第二の界面活性剤は、疎水性のポリプロピレンと親水性のパルプ粉砕物との親和、並びに、当該第二の界面活性剤とポリイソブチレン等のエラストマーとの親和を促すことができる。
なお、第二の界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
〔5−2.エラストマー〕
エラストマーは、通常は疎水性である。このため、エラストマーは、ポリプロピレンとの親和性に優れる一方で、セルロースとの親和性は一般に低い。しかし、セルロースに対して第一の界面活性剤を結合させたことにより、エラストマーの分子が前記の第一の界面活性剤に由来する枝状の炭素鎖と分子レベルで絡み合えるようになったので、エラストマーはパルプ粉砕物に対して強固に結着できるようになっている。
エラストマーは一般に一時的又は恒久的に変形可能であり、当該変形によりエラストマーが衝撃を吸収しうるため、パルプ複合強化樹脂の衝撃強度を改善することができる。さらに、エラストマーの弾性は低いことが好ましく、特に恒久的に変形可能なものが好ましい。エラストマーがこのように恒久的に変形しうるものであれば、その変形により衝撃を効果的に吸収できるので、パルプ複合強化樹脂の衝撃強度を更に改善することができる。特に、エラストマーとして例えばポリイソブチレン(PIB)を用いる場合、ポリイソブチレンは通常粘性を有し、前記の衝撃吸収作用に特に優れるため、衝撃強度を顕著に改善できる。また、通常は、このようなエラストマーを用いることにより、パルプ粉砕物とポリプロピレンとの剥離を更に生じ難くして、パルプ複合強化樹脂の靭性を向上させたり、パルプ複合強化樹脂の流動性を向上させて、巻き込まれた空気の排出を促して気泡の発生を防止したりすることも可能である。
エラストマーの弾性等の物性を好適にする観点からは、エラストマーの分子量は低いことが好ましい。しかし、エラストマーとセルロース誘導体が有する第一の界面活性剤由来の枝状の炭素鎖とを絡み合い易くする観点からは、エラストマーの分子量は大きいことが好ましい。具体的な分子量の値は当該エラストマーの種類に応じて一様ではないが、前記の観点から、エラストマーの重量平均分子量は、好ましくは15000以上であり、また好ましくは300000以下であり、特に常温において高い粘着性を呈する80000程度が好ましい。
また、エラストマーとしては、通常は水に溶解せず、第二の界面活性剤の作用によって水に分散しうるものを用いる。水に溶解しない程度に高い疎水性を有することにより、エラストマーとポリプロピレンとの親和性を高めることができる。また、水に分散しうるものを用いることにより、セルロース誘導体の表面にエラストマーを容易に付着させることができる。
エラストマーとしては、単独重合体を用いてもよく、共重合体を用いてもよい。
エラストマーの例としては、ポリイソブチレン(PIB)などが挙げられる。なお、エラストマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
パルプ粉砕物に付着させるエラストマーの量は、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば任意であるが、第1級アミン化合物の水溶液を含ませる以前のパルプ粉砕物100重量部(即ち、第1級アミン化合物の水溶液及び第一混合液の重量を除いたパルプ粉砕物自体の重量100重量部)に対して、通常0.8重量部程度である。
〔5−3.水〕
第二水分散液は分散媒として水を含む。第二水分散液において、通常、第二の界面活性剤は水に溶解若しくは分散しており、また、エラストマーは水に分散している。このため、第二水分散液は、通常、水にエラストマーが分散したエマルジョンとなっている。
水の量は、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば任意であるが、第二水分散液に含まれるエラストマーの濃度が、通常5重量%程度となる量とする。
〔5−4.第二の界面活性剤、エラストマー及び水以外の成分〕
第二水分散液は、所望のパルプ複合強化樹脂が得られる限り、第二の界面活性剤、エラストマー及び水以外の成分を含んでいてもよい。
〔5−5.第二工程において生じる現象〕
第二工程においてパルプ粉砕物に第二水分散液を付着させると、パルプ粉砕物の表面にエラストマーが付着する。
この際、第二水分散液に含まれる第二の界面活性剤の作用により、エラストマーは、パルプ粉砕物が有するセルロース誘導体と高い親和性を有して接触する。また、当該セルロース誘導体のセルロース骨格から分岐した第一の界面活性剤由来の枝状の炭素鎖は通常は疎水性であり、エラストマーに対する親和性が高い。このように高い親和性を有して接触することにより、エラストマーはパルプ粉砕物の表面に馴染み易くなっているので、エラストマーはパルプ粉砕物の表面に容易且つ均一に付着でき、したがって、エラストマーとパルプ粉砕物との界面に空気が侵入して気泡が生じることを防止できる。
また、付着したエラストマーの分子は、セルロース誘導体が有する第一の界面活性剤由来の枝状の炭素鎖と、容易に絡み合う。これにより、パルプ粉砕物とエラストマーとを、強固に結着させることができる。
〔5−6.第二工程での操作〕
第二工程において用いる第二水分散液は、例えば、エラストマーと第二の界面活性剤と水とを混合し、攪拌することにより製造できる。この際の温度は、通常50℃以下で行う。
また、例えば重量平均分子量が100000以上のエラストマーを用いる場合には、適切な溶媒にエラストマーを溶解させたり前記溶媒によってエラストマーを膨潤させたりすることによって当該エラストマーの粘度を低下させてから、第二の界面活性剤及び水と混合することが好ましい。これにより、エラストマーを容易に分散させることが可能となる。
パルプ粉砕物への第二水分散液の付着は、パルプ粉砕物を攪拌しながら行う。パルプ粉砕物の全体に第二水分散液を安定して付着させるためである。
具体的な方法としては、例えば、第一の界面活性剤を含む第一混合液を含有して湿潤状態のパルプ粉砕物を攪拌し、混合機内で浮遊する状態を維持しながら、エラストマーを含む第二水分散液をパルプ粉砕物に霧状に吹き付ける方法が挙げられる。エラストマーは極めて微細な粒子状で水中に均一分散しており、パルプ粉砕物が含んでいる第一の界面活性剤との優れた親和性によって、パルプ粉砕物の微細繊維間への侵入が容易となる。仮に、第二水分散液を噴霧せずに直接投入した場合は、均質な塗布状態が得られず、部分的に過度な湿潤状態を形成し、その部分がパルプ粉砕物の表面に存在する微細繊維に収束するため、十分な強度向上の効果が得られない可能性がある。このような方法は、例えば、ヘンシェンミキサー等の、高速回転する羽根を備えた混合機を用いて行ってもよい。
〔6.乾燥工程〕
第二工程の後、第三工程を行なう前に、必要に応じて、第二水分散液を付着させられたパルプ粉砕物を乾燥させてもよい。乾燥によってパルプ粉砕物から水が除去されるので、パルプ粉砕物の攪拌を容易に行うことが可能となる。
乾燥の程度は混練機の種類によるが、パルプ粉砕物の水分含有率が、通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下となる程度まで行うことが好ましい。
乾燥方法としては、例えば、第一工程の後で行った乾燥と同様の方法を採用してもよい。
〔7.第三工程〕
必要に応じて乾燥工程を行った後で、第三工程を行う。第三工程では、第二水分散液を付着させたパルプ粉砕物と溶融状態のポリプロピレンとを混練して複合化する。前記の混練により、パルプ粉砕物とポリプロピレンとを含む組成物として、パルプ複合強化樹脂が得られる。
〔7−1.ポリプロピレン〕
ポリプロピレンは、プロピレンを重合してなる繰り返し単位を有するポリマーである。ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体であってもよく、プロピレンと他の単量体との共重合体であってもよい。なお、他の単量体は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ポリプロピレンの量は、通常、混練後に得られるパルプ複合強化樹脂においてパルプ粉砕物の量が、通常20重量%以上55重量%以下となる量とする。
〔7−2.混練操作〕
パルプ粉砕物とポリプロピレンとの混練は、溶融状態のポリプロピレンを用いて行う。したがって、パルプ粉砕物とポリプロピレンとの混練は、ポリプロピレンが溶融状態となりうる程度に高温で行う。具体的な混練温度はポリプロピレンの組成及び分子量等に応じて設定してもよく、通常200℃以下、好ましくは180℃以下である。
パルプ粉砕物とポリプロピレンとの混練は、減圧雰囲気において行うことが好ましい。パルプ粉砕物とポリプロピレンとを混練する際、パルプ粉砕物に残留した水分が気化する可能性があるため、気化した水分を円滑に排出させるためである。また、パルプ粉砕物に残留するジアゾニウム塩が触媒となって混練時に例えばアンモニア類等の気体が発生する可能性があるため、発生した気体を円滑に排出させるためでもある。
パルプ粉砕物とポリプロピレンとを混練した直後において、得られるパルプ複合強化樹脂は溶融状態であるため、通常は、冷却して硬化させる。この際、吸湿による成形時の発泡を防止するために、前記の冷却は空冷により実施することが好ましい。
パルプ粉砕物とポリプロピレンとの混練に用いる装置に制限は無いが、通常は押出機を用いる。押出機を用いて混練を行った場合、パルプ複合強化樹脂はストランド状に押し出し成形されたものとして得られる。このストランド状のパルプ複合強化樹脂は、通常、適切な寸法で裁断されてペレットにされる。ペレットとしておくと、運搬、保存、取り扱い等が簡単であるため、好ましい。
第二工程を経たことにより、パルプ粉砕物の表面には第二の界面活性剤を含むエラストマーが付着している。このエラストマーは通常は疎水性であり、更には第二の界面活性剤がポリプロピレンとの親和性の高い脂肪族炭化水素基を有するため、エラストマーとポリプロピレンとは親和性が高い。このため、パルプ粉砕物はポリプロピレンと容易に混和しうるので、パルプ粉砕物をポリプロピレンに良好に分散させることができ、パルプ粉砕物とポリプロピレンとの界面に空気が侵入して気泡が生じることを防止できる。また、混練の際に加えられる力によって、パルプ粉砕物に付着したエラストマーの分子とポリプロピレンの分子とが絡み合うので、パルプ粉砕物とポリプロピレンとを強固に接合させることができる。
〔8.パルプ複合強化樹脂〕
上述した製造方法により、本発明のパルプ複合強化樹脂が得られる。このパルプ複合強化樹脂は、パルプ粉砕物のセルロースと第一の界面活性剤との反応生成物であるセルロース誘導体が、第二の界面活性剤を含むエラストマーを介して、ポリプロピレンと複合化した樹脂となっている。したがって、パルプ複合強化樹脂を巨視的に見れば、パルプ粉砕物の表面をエラストマーの層が覆い、更にその外側にポリプロピレンが充填された構成となっている。
本発明のパルプ複合強化樹脂は、以下のような利点を有している。
i.気泡の削減
本発明のパルプ複合強化樹脂は、例えパルプ粉砕物にフィブリル化が生じていた場合であっても、パルプ粉砕物とエラストマーとの界面において気泡が残留し難い。これは、第一の界面活性剤及び第二の界面活性剤の作用により、セルロース誘導体とエラストマーとの親和性が高められているからである。すなわち、第一の界面活性剤がセルロースに結合することにより、得られるセルロース誘導体は第一の界面活性剤に由来する枝状の炭素鎖を有することになる。この炭素鎖は疎水性が高いため、エラストマーに対する親和性を向上させる作用がある。また、第二の界面活性剤は親水基及び疎水基を含むので、これらの親水基及び疎水基が親水性のセルロース骨格と疎水性のエラストマーとの親和性を高める作用を発揮する。さらに、第一の界面活性剤と第二の界面活性剤はいずれも脂肪族炭化水素基を含み、その分子構造が似ているので、第一の界面活性剤と第二の界面活性剤の親和性は高く、これによってもセルロース誘導体とエラストマーとの親和性が高められている。したがって、エラストマーはパルプ粉砕物の表面に馴染み易くなり、フィブリル化した微細繊維の間隙を含むパルプ粉砕物の表面にエラストマーが容易に密接できるようになるので、気泡の残留を抑制できる。
さらに、本発明のパルプ複合強化樹脂は、エラストマーとポリプロピレンとの界面においても気泡が残留し難い。エラストマーは通常は疎水性の化合物であり、一般に疎水性のポリプロピレンに対して高い親和性を有する。また、エラストマーに含まれる第二の界面活性剤が有する脂肪族炭化水素基は、オレフィンポリマーであるポリプロピレンとの親和性に優れる。したがって、ポリプロピレンはパルプ粉砕物の表面を覆うエラストマーに馴染み易く、エラストマーとポリプロピレンとは容易に密接できるようになるので、気泡の残留を抑制できる。
なお、パルプ粉砕物の一部はエラストマーに覆われないこともありえる。しかし、そのような部分の割合は通常は低く、またそのような部分でも第一及び第二の界面活性剤の作用によってセルロース誘導体とポリプロピレンとの親和性が高められている。このため、パルプ粉砕物の一部にエラストマーに覆われない部分があったとしても、気泡の残留は抑制可能である。
このように、パルプ複合強化樹脂においては、パルプ粉砕物、エラストマー及びポリプロピレンのいずれの界面においても気泡が残留し難い。したがって、気泡による白化を抑制して、意匠性の低下を防止することができる。
さらに、前記の界面には応力が集中し易く、従来のように気泡があると当該気泡を起点としてパルプ粉砕物、エラストマー及びポリプロピレンが剥がれることもあった。しかし、本発明のパルプ複合強化樹脂では、気泡を抑制することにより前記のような剥がれを防止できるので、通常は強度を向上させることができる。
ii.衝撃強度の向上
セルロースは、多数のβ−グルコース分子がグリコシド結合によって直鎖状に重合した構造を有する天然高分子であり、水素結合によるらせん状の立体構造を有する。このセルロースと、一般に活性基を有さないポリプロピレンとの間には、分子同士の間又は高分子内の異なる部分同士の間に働く静電相互作用に基づく引力(分子間力)が及ばない。また、前記の相互作用が得られないため、セルロースとポリプロピレンの間では、分子同士の共有結合による化学架橋、並びに、分子鎖の部分結晶化などで生成した微少な固体相(例えば、結晶相又は非晶相)による物理架橋も形成され難い。このため、従来のようにセルロースとポリプロピレンとを混練するのみでは、セルロースとポリプロピレンとが容易に剥がれ、衝撃強度を向上させることは難しかった。
また、パルプ粉砕物とポリプロピレンとを含む樹脂を製造するにあたって、気泡を抑制するべくパルプ粉砕物に予めポリプロピレン又は前記ポリプロピレンと親和性を有する他のポリマーの溶液を付着させ、それらによりパルプ粉砕物を覆ってから更にポリプロピレンと混練する方法も、考えられる。ところが、ポリプロピレンは一般に溶液を得ることが困難であるので、前記の方法は実用化が困難であった。また、ポリプロピレンは前記のようにセルロースとの接合力に劣るので、パルプ粉砕物とポリプロピレンとの界面に集中する負荷応力に対する耐性が低くなる傾向がある。このため、前記の方法によっても、衝撃強度を向上させることは困難であった。
これに対し、本発明のパルプ複合強化樹脂においては、パルプ粉砕物とエラストマーとポリプロピレンとが強固に接合している。これは、パルプ粉砕物のセルロース誘導体においてセルロース骨格から枝状に分岐した第一の界面活性剤由来の炭素鎖とエラストマーの分子とが絡み合い、また、エラストマーの分子とポリプロピレンの分子とが絡み合い、それぞれ物理的な架橋構造を形成しているからである。このため、応力が集中しやすいパルプ粉砕物、エラストマー及びポリプロピレンの界面は密着し、剥がれ難いため、本発明のパルプ強化複合樹脂は衝撃強度に優れる。
特に、上述した製造方法で得られたパルプ複合強化樹脂では、第一の界面活性剤が高分子量化してセルロースに導入されうるため、セルロース骨格から枝状に分岐した第一の界面活性剤由来の炭素鎖は長くなり、分子の絡み合いを生じやすい。このため、絡み合った分子によってゴムのような網目構造を容易に得られるので、衝撃強度を顕著に向上させることができる。
iii.靭性の向上
従来のパルプ複合強化樹脂では、パルプ粉砕物の添加によって樹脂の剛性を向上させることが可能となる一方で、パルプ粉砕物とポリプロピレンとが剥がれて欠陥が生じやすく、靭性に劣っていた。
これに対し、本発明のパルプ複合強化樹脂では、パルプ粉砕物とエラストマーとポリプロピレンとが強固に接合している。このため、パルプ粉砕物とエラストマーとポリプロピレンとの間に欠陥が生じ難い。また、パルプ複合強化樹脂が変形する場合、エラストマーが前記の変形により生じる応力を吸収できる。したがって、本発明のパルプ複合強化樹脂では、通常は、靭性を高めることができる。
iv.その他の利点
本発明のパルプ複合強化樹脂は、パルプ粉砕物を含むため、通常は、ポリプロピレンのみからなる樹脂と比べて剛性及び耐熱性に優れる。また、エラストマーとして恒久的に変形可能な低弾性のものを用いれば、パルプ複合強化樹脂の流動性を向上させ、パルプ複合強化樹脂の成形性を高めることができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧の環境下において行った。
[実施例1]
〔ポリイソブチレンの水分散液の用意〕
エラストマーであるポリイソブチレン(poly−iso−butylene;重量平均分子量200000)100部と、脂肪族炭化水素基及びエチレンオキサイド基を有する第二の界面活性剤2.5部とを、水中で高温で高速攪拌した。水の量は、ポリイソブチレンの濃度が10%となる量とした。これにより、水中にポリイソブチレンが分散したエマルジョン状の組成物として、ポリイソブチレンの水分散液を得た。
〔パルプ粉砕物の用意〕
酸及び塩素等の変色又は変質を促す残留薬品が無い回収紙を用意した。この回収紙を、対向する2枚のディスクを設けた粉砕機に投入し、前記ディスク間に設けた間隙内において解繊及び粉砕して、パルプ粉砕物を得た。
このパルプ粉砕物100部をヘンシェルミキサー中で攪拌しながら浮遊させた状態で、当該パルプ粉砕物に対し、第1級アミン化合物であるジエチレントリアミン(DTA)の3%水溶液を、ジエチレントリアミンの量で0.3部だけ霧状に吹き付けた。これにより、ジエチレントリアミン水溶液を含むパルプ粉砕物を得た。
〔第一の界面活性剤と亜硝酸類化合物を含む混合液の塗布〕
第一の界面活性剤100%と亜硝酸類化合物である亜硝酸ナトリウム0.1%とを含有した第一の界面活性剤組成物を用意した。この第一の界面活性剤は、エポキシ基を分子内の末端(具体的には、アルキル基の末端)に備えた第4級アンモニウム塩であり、前記のアルキル基としてステアリル基及びベヘニル基を用いたアルキルトリメチル型のカチオン界面活性剤であった。これを、第一の界面活性剤の濃度が5%となるように水と混合し、混合液を得た。
このように調製した混合液を、前記のようにジエチレントリアミン水溶液を吹き付けた直後のパルプ粉砕物に対し、攪拌を維持した状態で、第一の界面活性剤の量で0.2部だけ霧状に吹き付け、パルプ粉砕物の表面に塗布した(第一工程)。
〔ポリイソブチレンの水分散液の付着〕
撹拌を維持した状態で、混合機の底部から50℃に加温した乾燥空気を吹き込み、パルプ粉砕物を乾燥させ、水分含有率を10%以下にした時点で乾燥空気の吹き込みを停止した。
乾燥させたパルプ粉砕物に対し、先に用意したポリイソブチレンの水分散液を、ポリイソブチレンの量で1.8部だけ霧状で吹き付け、パルプ粉砕物の表面に均一に付着させた(第二工程)。
この後、50℃の乾燥空気を再度吹込み、水分含有率が5%〜10%のパルプ粉砕物を得た。
〔パルプ粉砕物と樹脂との混練〕
前記のパルプ粉砕物と、溶融状態のポリプロピレン(poly−propylene)とを、パルプ粉砕物の量が35%となるように、押出機を用いて減圧下で、シリンダー温度180℃、ノズル温度175℃において混練し、パルプ複合強化樹脂を製造した(第三工程)。得られたパルプ複合強化樹脂は、ストランド状に押出成形し、吸湿に伴う発泡等を防止するために空冷固化を行い、これを適度に裁断してペレット化した。
〔評価〕
得られたパルプ複合強化樹脂について、以下の要領で評価を行った。結果を表1に示す。
(1)メルトフローインデックスの評価
JIS K 7210(230℃、2.16kg荷重)に準じて、パルプ複合強化樹脂のメルトフローインデックス(Melt flow index。略称MFI;メルトインデックス(Melt index(略称MI))ともいう。;ISOではメルトフローレート(Melt flow rate(略称MFR)))を測定した。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で一定量の合成樹脂を、定められた温度で加熱及び加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押し出される樹脂量を測定する。測定値は、「g/10min」との単位で表示される。試験機械は、JIS K 6760で定められた押出し形プラストメータを用いる。
(2)曲げ強度の評価
JIS K 7171に準じて、パルプ複合強化樹脂の曲げ強度を測定した。
(3)曲げ弾性率の評価
JIS K 7203に準じて、パルプ複合強化樹脂の曲げ弾性率を測定した。
(4)衝撃強度の評価
JIS K 7110に準じて、ノッチがある場合とノッチが無い場合の両方について、衝撃強度を測定した。
(5)熱変形温度の評価
JIS K 7191(荷重4.7kgf/cm)に準じて、パルプ複合強化樹脂の熱変形温度を測定した。
(6)外観意匠の評価
ペレット化したパルプ複合強化樹脂を平板状に押出成形し、得られた成形体を観察することにより、外観の意匠性を評価した。ここでの評価基準は、以下の通りである。
優:光沢にムラが無く、また、着色が無く透明である。
良:光沢に僅かにムラがあるが、着色が無く透明である。
可:光沢にムラがあるか、着色があるが、許容範囲に収まる。
不良:光沢にはっきりとムラがあり、明らかに白化している。
[比較例1]
第一の界面活性剤と亜硝酸類化合物を含む混合液をパルプ粉砕物に塗布する操作を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、パルプ複合強化樹脂を製造し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
ポリイソブチレンの水分散液をパルプ粉砕物に付着させる操作を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、パルプ複合強化樹脂を製造し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
第一の界面活性剤と亜硝酸類化合物を含む混合液をパルプ粉砕物に塗布する操作、及び、ポリイソブチレンの水分散液をパルプ粉砕物に付着させる操作をリボンミキサーで行ない、パルプ粉砕物を攪拌した状態で行わず、代わりにパルプ粉砕物が滞留した状態で行ったこと以外は実施例1と同様にして、パルプ複合強化樹脂を製造し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004869449
[検討]
表1より、実施例1のパルプ複合強化樹脂は、衝撃強度が高く、気泡による意匠性の低下を防止できることが分かる。特に、第一の界面活性剤を用いなかった比較例1と比べて、実施例1では、曲げ強度、曲げ弾性率、及び衝撃強度の大幅な向上が見られることから、第一の界面活性剤をセルロースに導入することにより、分子の絡み合いによる衝撃強度及び靭性の向上が実現できたことが確認された。
また、第二の界面活性剤及びポリイソブチレンを用いなかった比較例2では、衝撃強度が著しく低い。このことから、衝撃強度を向上させるためには、パルプ粉砕物のセルロースに第一の界面活性剤を結合させて結着力を高めることと、エラストマーによる衝撃吸収の作用を発現させることとを組み合わせることが有効であることが確認された。
さらに、比較例3において各特性が不十分であることから、衝撃強度及び意匠性の改善のためには、第一の界面活性剤と亜硝酸類化合物を含む混合液を塗布する操作、並びに、ポリイソブチレンの水分散液を付着させる操作を、パルプ粉砕物を攪拌しながら行うことにより、十分な分散状態を得ることが好ましいことが確認された。
[実施例2]
エラストマーであるポリイソブチレンの重量平均分子量を15000に変更したこと以外は実施例1と同様にして、パルプ複合強化樹脂を製造し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例3]
エラストマーであるポリイソブチレンの重量平均分子量を300000に変更したこと以外は実施例1と同様にして、パルプ複合強化樹脂を製造し、評価した。結果を表2に示す。
[比較例4]
第一の界面活性剤と亜硝酸類化合物を含む混合液を塗布する操作、並びに、ポリイソブチレンの水分散液をパルプ粉砕物に付着させる操作を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、パルプ複合強化樹脂を製造し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例4]
エラストマーであるポリイソブチレンの重量平均分子量を10000に変更したこと以外は実施例1と同様にして、パルプ複合強化樹脂を製造し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例5]
エラストマーであるポリイソブチレンの重量平均分子量を350000に変更したこと以外は実施例1と同様にして、パルプ複合強化樹脂を製造し、評価した。結果を表2に示す。
Figure 0004869449
[検討]
表2から、実施例4,5に比べ、実施例2,3の方が衝撃強度に優れることが分かる。このことから、エラストマーであるポリイソブチレンの分子量は、セルロース分子に導入された第一の界面活性剤由来の枝状の炭素鎖とエラストマーの分子との絡み合いに影響を及ぼし、ひいてはセルロース誘導体とポリイソブチレンとの接合力に影響を及ぼすことが分かる。
また、表2から、実施例4,5に比べ、実施例2,3の方が外観意匠に優れることが分かる。このことから、エラストマーであるポリイソブチレンの分子量は、ポリイソブチレンのパルプ粉砕物の表面への馴染み易さにも影響を及ぼし、ひいては気泡の発生にも影響を及ぼすことが分かる。
これらの事項から、衝撃強度の改善及び気泡防止のためには、エラストマーの分子量には適切な範囲が存在することが確認された。
また、第一の界面活性剤、亜硝酸類化合物、第二の界面活性剤及びエラストマーを加えず、単にパルプ粉砕物とポリプロピレンとを混練した比較例4では、メルトフローインデックスが低い。このため、エラストマーであるポリイソブチレンには、流動性を向上させる効果があることが分かる。さらに、比較例4ではパルプ複合強化樹脂の表面に部分的白化が生じていたことから、気泡の発生を防止する観点では、混練時のパルプ複合強化樹脂の粘度を適度に設定して残留気泡の排出を促すことが好ましいことが確認された。
本発明のパルプ複合強化樹脂は、例えば、建材、車両用の内装部品及び外装部品、並びに、電化製品等の成形材料などとして有用である。

Claims (7)

  1. 第1級アミン化合物の水溶液を含むパルプ粉砕物を攪拌しながら、エポキシ基で置換された炭素原子数が10以上25以下の脂肪族炭化水素基を有する第一の界面活性剤と亜硝酸類化合物とを含む混合液をパルプ粉砕物に塗布する第一工程と、
    前記混合液を塗布したパルプ粉砕物を攪拌しながら、脂肪族炭化水素基を有する疎水基及びエチレンオキサイド基を有する親水基を有する第二の界面活性剤並びに重量平均分子量が15000以上300000以下のポリイソブチレンを含む水分散液をパルプ粉砕物に付着させる第二工程と、
    前記水分散液を付着させたパルプ粉砕物と溶融状態のポリプロピレンとを混練して複合化する第三工程とを含む、パルプ複合強化樹脂の製造方法。
  2. 前記第一の界面活性剤が、第4級アンモニウム塩型のカチオン系の界面活性剤であって、アルキルトリメチル型界面活性剤又はアルキルジメチルベンジル型界面活性剤である、請求項1記載のパルプ複合強化樹脂の製造方法。
  3. 前記第一の界面活性剤が、エポキシ基を分子の末端に有する、請求項1又は2記載のパルプ複合強化樹脂の製造方法。
  4. 前記第一の界面活性剤の前記脂肪族炭化水素基の炭素原子数が10以上20以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパルプ複合強化樹脂の製造方法。
  5. 前記第二の界面活性剤の前記疎水基が、直鎖状のアルキル基からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパルプ複合強化樹脂の製造方法。
  6. セルロースを含むパルプ粉砕物の前記セルロースとエポキシ基で置換された炭素原子数10以上25以下の脂肪族炭化水素基を有する第一の界面活性剤との反応生成物が、脂肪族炭化水素基を有する疎水基及びエチレンオキサイド基を有する親水基を有する第二の界面活性剤を含む重量平均分子量15000以上300000以下のポリイソブチレンを介して、ポリプロピレンと複合化した、パルプ複合強化樹脂。
  7. 前記第二の界面活性剤の前記疎水基が、直鎖状のアルキル基からなる、請求項記載のパルプ複合強化樹脂。
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