JP4868818B2 - 静止シリンダ型クラッチ装置 - Google Patents

静止シリンダ型クラッチ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4868818B2
JP4868818B2 JP2005305372A JP2005305372A JP4868818B2 JP 4868818 B2 JP4868818 B2 JP 4868818B2 JP 2005305372 A JP2005305372 A JP 2005305372A JP 2005305372 A JP2005305372 A JP 2005305372A JP 4868818 B2 JP4868818 B2 JP 4868818B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston
clutch
race
drum
thrust bearing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005305372A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007113684A (ja
Inventor
靖 妻藤
修一郎 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihatsu Motor Co Ltd
Original Assignee
Daihatsu Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daihatsu Motor Co Ltd filed Critical Daihatsu Motor Co Ltd
Priority to JP2005305372A priority Critical patent/JP4868818B2/ja
Publication of JP2007113684A publication Critical patent/JP2007113684A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4868818B2 publication Critical patent/JP4868818B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Description

本発明は自動変速機や無段変速機などに用いられる静止シリンダ型クラッチ装置に関するものである。
一般に、クラッチ装置は、入出力回転部材を構成するハブおよびドラムと、上記ハブの外周とドラムの内周との間に配置されたクラッチ板と、上記ドラムの内部に配置され、油圧を受けてクラッチ板を締結させるピストンとで構成されている。ピストンとの間で油圧室を構成するクラッチドラムが入力回転部材あるいは出力回転部材と一体回転するため、クラッチドラムへの供給油路中に油漏れ防止用のシールリングを設ける必要があり、フリクションロスが大きいという問題がある。また、回転に伴う遠心力によりクラッチドラムの油圧室内に遠心油圧が発生するため、油圧制御が複雑になるという問題もある。
このような問題を解決するため、特許文献1には静止シリンダ型クラッチ装置が開示されている。このクラッチ装置は、油圧を受けてクラッチ板を締結させるピストンを変速機ケースなどの静止部材に設けたものである。そのため、クラッチドラムへの供給油路中に油漏れ防止用のシールリングを設ける必要がなく、フリクションロスを小さくできるとともに、クラッチドラムの油圧室内に遠心油圧が発生するのを防止できる。
図7は特許文献1の図20に示された静止シリンダ型クラッチ装置である。
このクラッチ装置は、ケース100に収容されたピストン101と、回転しているクラッチドラム102およびクラッチハブ103の間に配置されたクラッチ板(クラッチディスク及びクラッチプレート)104と、クラッチ板104を押圧する押圧部材105と、ピストン101と押圧部材105との間に配置されたスラストベアリング106とを備えており、ピストン101の推力を差回転のある状態でクラッチ板104に伝達するものである。ケース100とピストン101との間にはリターンスプリング107が介装されている。クラッチ装置を解放している状態では、押圧部材105とクラッチ板104との間には所定のクリアランスδが設けられている。ピストン101がスラストベアリング106を介して押圧部材105を押す部位と、押圧部材105がクラッチ板104を押す部位とは、半径方向に寸法Rだけオフセットしている。
ところが、このクラッチ装置では、スラストベアリング106のレースとピストン101及び押圧部材105とがインロー嵌合のみで支持されているため、クラッチ解放時にスラストベアリング106とピストン101間、あるいはスラストベアリング106と押圧部材105間に隙間が発生する可能性がある。隙間が発生した状態でインロー部が摺動しない場合、継続的にこの間にクリアランスが発生し、逆にクラッチ板104と押圧部材105との間のクリアランスδが取れなくなり、完全なクラッチ解放状態が得られなくなる可能性がある。
このような問題を解消するため、特許文献2には、図8のような構造の静止シリンダ型クラッチ装置が提案されている。
このクラッチ装置は、ケース110に収容されたピストン111と、回転しているクラッチドラム112およびクラッチハブ113の間に配置されたクラッチ板(クラッチディスク及びクラッチプレート)114と、クラッチ板114を押圧する押圧部材115と、ピストン111と押圧部材115との間に配置されたスラストベアリング116とを備えており、ピストン111の推力を差回転のある状態でクラッチ板114に伝達している。クラッチハブ113と押圧部材115との間にはリターンスプリング117が介装され、押圧部材115からスラストベアリング116を介してピストン111に対して戻り方向のばね力を与えている。クラッチ装置を解放している状態では、押圧部材115とクラッチ板114との間には所定のクリアランスδが設けられている。このクラッチ装置の場合も、ピストン111がスラストベアリング116を介して押圧部材115を押す部位と、押圧部材115がクラッチ板114を押す部位とが半径方向に寸法Rだけオフセットしている。
図8に示すクラッチ装置の場合には、クラッチ板114と押圧部材115との間のクリアランスδは確実に確保できるが、図7と同様に、ピストン111がスラストベアリング116を介して押圧部材115を押す部位と、押圧部材115がクラッチ板114を押す部位とが半径方向にオフセットRしているため、クラッチ装置の締結時にピストン111の推力がクラッチ板114に効果的に伝わらず、エネルギーロスとなるという欠点があり、押圧部材115がクラッチ板114に偏当たりし、クラッチ板114が偏摩耗を起こす可能性がある。同様に、スラストベアリング116と押圧部材115との間でも偏当たりが発生するため、スラストベアリング116の耐久性低下を招く恐れがある。クラッチ板114およびスラストベアリング116の偏当たり防止のために、押圧部材115の板厚を増加させて剛性を高める方法もあるが、軸方向寸法の増大や重量増加を招くという欠点がある。
特開平10−61733号公報 特開平10−122260号公報
そこで、本発明の目的は、軸方向寸法の増大や重量増加を招くことなく、ピストンの推力をエネルギーロスなくクラッチ板に伝達でき、クラッチ板の偏摩耗を防止できる静止シリンダ型クラッチ装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、入出力回転部材を構成するハブおよびドラムと、上記ハブの外周とドラムの内周との間に配置されたクラッチ板と、静止部材に軸方向に移動可能に配置され、油圧を受けて上記クラッチ板を締結させるピストンと、上記ピストンとクラッチ板との間に配置され、上記ピストンとクラッチ板との相対回転を許容しながら推力を伝えるスラストベアリングとを備えた静止シリンダ型クラッチ装置において、上記スラストベアリングは少なくとも1つのレースとこのレースによって回転自在に保持された転動体とを有し、上記レースは上記ドラムの内周部に軸方向移動自在に嵌合されており、上記レースの外周部には、上記ドラムの内スプラインに軸方向移動自在に嵌合し、上記レースを上記ドラムに対して回り止めする爪片がレースの半径方向外側に向かって突設されており、上記クラッチ装置の解放時において、上記スラストベアリングと上記ピストンとの間に、上記レースと上記ドラムとの嵌合代より小さい軸方向隙間が形成されることを特徴とする静止シリンダ型クラッチ装置を提供する。
スラストベアリングの転動体は少なくとも1つのレースに回転自在に保持されており、このレースはクラッチ板を支持しているドラムの内周部に軸方向に移動可能に嵌合されている。ピストンを作動させると、ピストンはドラムに支持されているスラストベアリングに接触してクラッチ板を押圧し、クラッチ板を締結することができる。このようにスラストベアリングを構成する転動体とレースとは、クラッチ板と同様にドラムの内周部に嵌合されているため、小型に構成できるとともに、ドラムによって半径方向に保持され、組付が簡単である。
本発明では、ピストンの推力はスラストベアリングを介して直接クラッチ板に伝達される。押圧部材のような中間部材が介在しないので、部品数の削減、軸方向寸法の短縮および重量軽減を図ることができる。
また、ピストンとスラストベアリングとの接触点と、スラストベアリングとクラッチ板との接触点とを軸方向に揃えることができるので、ピストンの推力がクラッチ板にロスなく伝達され、しかもスラストベアリングがクラッチ板に偏当たりせず、クラッチ板の偏摩耗を防止できる。
クラッチ装置の解放時において、スラストベアリングとピストンとの間に、レースとドラムとの嵌合代より小さい軸方向隙間が形成されるため、完全なクラッチ解放状態を得ることができるとともに、スラストベアリングがドラムから脱落するのを防止できる。同時に、スラストベアリングがクラッチ板の抜け止めの機能を果たすことができる。
転動体を保持しているレースの外周部に、ピストン方向に向かって折り曲げられ、ドラムの内スプラインの内周面に摺動自在に接する円筒状のガイド部を形成してもよい。
この場合には、レースのガイド部がドラムの内周面にそって円滑に軸方向移動できるので、スラストベアリングの傾きを防止でき、クラッチ板の引っ掛かりを防止できる。そのため、クラッチ板の締結、解放を安定して行うことができる。
転動体を保持しているレースの外周部に、ドラムの内スプラインに嵌合し、このレースをドラムに対して回り止めする爪片を形成するのがよい。
クラッチ板側のレースがドラムに対して相対回転すると、クラッチ板との間で摩耗や発熱が生じる可能性がある。そこで、レースの外周部にドラムの内スプラインに嵌合する爪片を形成することで、上記レースを確実に回り止めできる。
以上のように、本発明によれば、スラストベアリングの転動体を保持するレースをドラムの内周部にスライド可能に嵌合し、クラッチ解放時にスラストベアリングとピストンとの間に、レースとドラムとの嵌合代より小さい軸方向隙間を形成するようにしたので、クラッチ解放時にスラストベアリングとピストンとの間に所定のクリアランスを安定的に確保することができるとともに、スラストベアリングがドラムから脱落するのを防止できる。
また、ピストンの推力をスラストベアリング(転動体)を介して直接クラッチ板に伝達し、ピストンとスラストベアリングとの接触点と、スラストベアリングとクラッチ板との接触点とを軸方向に揃えることができるので、エネルギーロスを少なくでき、しかもスラストベアリングがクラッチ板に偏当たりせず、クラッチ板の偏摩耗を防止できる。
さらに、ピストンの推力をクラッチ板に伝達するための中間部材を必要としないので、部品数の削減、軸方向寸法の短縮および重量軽減を実現できる。
以下に、本発明の実施の形態を、実施例を参照して説明する。
図1〜図4は本発明にかかる静止シリンダ型クラッチ装置を適用した無段変速機の一例を示す。
この実施例の無段変速機はFF横置き式の自動車用変速機であり、大略、エンジン出力軸1によりトルクコンバータ2を介して駆動される入力軸3、入力軸3の回転を正逆切り替えて駆動軸10に伝達する前後進切替装置4、駆動プーリ11と従動プーリ21と両プーリ間に巻き掛けられたVベルト15とからなる無段変速装置A、従動軸20の動力を出力軸32に伝達するデファレンシャル装置30などで構成されている。入力軸3と駆動軸10とは同一軸線上に配置され、従動軸20とデファレンシャル装置30の出力軸32とが入力軸3に対して平行でかつ非同軸に配置されている。したがって、この無段変速機は全体として3軸構成とされている。
この実施例で用いられるVベルト15は、一対の無端状張力帯と、これら張力帯に支持された多数のブロックとで構成された公知の金属ベルトである。
無段変速機を構成する各部品は変速機ケース5の中に収容されている。トルクコンバータ2と前後進切替装置4との間には、オイルポンプ6が配置されている。このオイルポンプ6は、図2に示すように、変速機ケース5に固定されたポンプボデー7と、ポンプボデー7に対して固定されたポンプカバー8と、ポンプボデー7とポンプカバー8との間に収容されたポンプギヤ9とで構成されている。ポンプギヤ9はトルクコンバータ2のポンプインペラ2aにより駆動される。なお、トルクコンバータ2のタービンランナ2bは入力軸3に連結され、ステータ2cはワンウエイクラッチ2dを介してポンプカバー8により支持されている。
前後進切替装置4は、図2に示すように、遊星歯車機構40と逆転ブレーキ50と直結クラッチ51とで構成されている。遊星歯車機構40のサンギヤ41は入力軸3に連結され、リングギヤ42は無段変速機Aの駆動軸10に連結されている。遊星歯車機構40はシングルピニオン方式であり、逆転ブレーキ50はピニオンギヤ43を支えるキャリア44と変速機ケース5との間に設けられ、直結クラッチ51はキャリア44とサンギヤ41との間に設けられている。直結クラッチ51を解放して逆転ブレーキ50を締結すると、入力軸3の回転が逆転され、かつ減速されて駆動軸10へ伝えられ、前進走行状態となる。逆に、逆転ブレーキ50を解放して直結クラッチ51を締結すると、遊星歯車機構40のキャリア44とサンギヤ41とが一体に回転するので、入力軸3と駆動軸10とが直結され、後退走行状態となる。
なお、前後進切替装置4の詳しい構造については後述する。
無段変速装置Aの駆動プーリ11は、駆動軸(プーリ軸)10上に一体に形成された固定シーブ11aと、駆動軸10上に軸方向移動自在に、かつ一体回転可能に支持された可動シーブ11bと、可動シーブ11bの背後に設けられた油圧サーボ12とを備えている。油圧サーボ12への供給油圧を制御することにより、変速制御が実施される。従動プーリ21は、従動軸(プーリ軸)20上に一体に形成された固定シーブ21aと、従動軸20上に軸方向移動自在に、かつ一体回転可能に支持された可動シーブ21bと、可動シーブ21bの背後に設けられた油圧サーボ22とを備えている。油圧サーボ22への供給油圧を制御することにより、トルク伝達に必要なベルト推力が与えられる。
従動軸20の一端部はエンジン側に向かって延び、この一端部に出力ギヤ27が固定されている。出力ギヤ27はデファレンシャル装置30のリングギヤ31に噛み合っており、デファレンシャル装置30から左右に延びる出力軸32に動力が伝達され、車輪が駆動される。
ここで、前後進切替装置4について、図2〜図4を参照しながら詳細に説明する。
キャリア44は円盤状のキャリアフランジ45と円環状のキャリアリム46とで構成されている。キャリアフランジ45の内径部は前後方向に延びており、入力軸3上に回転自在に支持されている。キャリアフランジ45にはキャリアリム46に向かって軸方向に突出する複数の連結部45a(図2参照)が一体に形成され、これら連結部45aの間の周方向空間にピニオンギヤ43が配置されている。連結部45aの先端部とキャリアリム46とは焼結にて金属結合され、キャリアフランジ45とキャリアリム46とは一体的に固定されている。なお、溶接、ロー付、ネジ止めなどによって固定してもよい。
キャリアフランジ45とキャリアリム46との間に、ピニオンギヤ43を支持するピニオン軸47が架け渡して支持されている。また、ピニオンギヤ43の内周とピニオン軸47の外周との隙間にはニードルベアリング48が配置され、ピニオンギヤ43はピニオン軸47に対して回転自在である。キャリアフランジ45に挿入されたピニオン軸47の一端部は、キャリアフランジ45の半径方向外方から圧入されたローラピン49によって、キャリアフランジ45に対して所定の位相となるように回り止めされかつ抜け止めされている。すなわち、ピニオン軸47の内部に形成された潤滑穴の開口端が、キャリアフランジ45の内部に半径方向に形成された油供給穴の開口端と一致するように位置決めされる。
キャリアリム46には、前側(エンジン側)に向かって軸方向に突出する円筒部46aが一体に形成されており、円筒部46aの内周部に直結クラッチ51のクラッチ板51aの外径部がスプライン係合する内スプライン46bが形成され、円筒部46aの外周部に逆転ブレーキ50のブレーキ板50aの内径部がスプライン係合する外スプライン46cが形成されている。このように円筒部46aは逆転ブレーキ50のブレーキハブと直結クラッチ51のクラッチドラムとを兼ねている。
逆転ブレーキ50のピストン50bは、図2に示すように、変速機ケース5の内側壁に配置されており、ピストン50bと変速機ケース5との間に供給される油圧によりピストン50bは作動され、ブレーキ板(ブレーキディスクとブレーキプレート)50aを締結することができる。ピストン50bの圧力によって押されたブレーキ板50aの端部を支える反力部材として、静止部材であるポンプカバー8から円筒状のストッパ部8aが一体に突設されている。
図3に示すように、サンギヤ41の中間部は入力軸3に一体形成されたフランジ部3aの外周にスプライン嵌合しており、サンギヤ41の前側(エンジン側)には、直結クラッチ51のクラッチハブとなる円筒部41aが一体に突設されている。円筒部41aの外周に直結クラッチ51のクラッチ板51aの内径部がスプライン係合している。サンギヤ41の後部外周部にピニオンギヤ43とかみ合うギヤ部41cが形成され、サンギヤ41の後部内周部とキャリアフランジ45の内径部外周面との間にボールベアリング57が取り付けられている。
図3に示すように、ポンプカバー8の後面側(反エンジン側)には断面コ字形のピストン51bが配置され、このピストン51bによって直結クラッチ51のクラッチ板(クラッチディスクとクラッチプレート)51aが締結される。クラッチ板51aとピストン51bとの間には、相対回転を許容しながら推力を伝えるスラストベアリング52が配置されている。そのため、ピストン51bの軸方向圧力はクラッチ板51aに効果的に伝達され、かつピストン51bがクラッチ板51aと連れ回りするのが防止される。なお、クラッチ板51aの後側には、クッションばね56を介してキャリアリム46(ピニオン軸47)の側面が位置しているため、ピストン51bによって押されたクラッチ板51aの端部をキャリアリム46で支えることができ、スナップリングや格別な反力部材を省略できる。
ここで、静止シリンダ型クラッチ装置である直結クラッチ51について、図3,図4を参照してさらに詳しく説明する。
スラストベアリング52は転動体の一例である複数のローラ52aを備えており、ローラ52aは保持器52cを介してレース52bによって回転自在に保持されている。レース52bの外周部には、ピストン方向に向かって折り曲げられ、キャリアリム46の円筒部46aの内スプライン46bの内周面に摺動自在に接する円筒状のガイド部52b1 が一体に形成されている。さらにレース52bの外周部には1個または複数個の爪片52b2 が半径方向に突設されており、爪片52b2 を円筒部46aの内スプライン46bに係合させることにより、レース52bは円筒部46aに対して回り止めされる。レース52bは、クラッチ板51aの圧接部の領域Sより広い面積を有しており、ピストン51bからスラストベアリング52を介して伝達される推力を、クラッチ板51aの圧接部に対して全面に作用させることができる。特に、ローラ52aをクラッチ板51aの圧接部の半径方向領域S内に配置するのがよく、さらに望ましくはローラ52aの中心とクラッチ板51aの圧接部の中心とをほぼ一致させるのがよい。その結果、ピストン51bの推力がスラストベアリング52を介してクラッチ板51aに対して半径方向にオフセットすることなく伝達され、ピストン51bの推力がエネルギーロスなくクラッチ板51aに伝達される。また、スラストベアリング52やクラッチ板51aの偏摩耗も防止できる。
ローラ52aと対向するピストン51bの後側面には、スラストベアリング52の他方のレースを兼ねる支持板53が配置されている。支持板53はピストン51bより高強度の材料で形成されており、ローラ52aとの接触によってピストン51bが変形するのを防止している。この例の支持板53は、その内径部が軸方向後方へ折り曲げられており、ピストン51bの内径部にインロー嵌合している。そのため、支持板53の傾きを抑制でき、ピストン51bの後側面に沿った位置で安定させることができる。直結クラッチ51の解放時において、ローラ52aと支持板53との間に、レース52bと円筒部46aとの嵌合代Lより小さい軸方向隙間δが形成される。そのため、直結クラッチ51の完全な解放状態が得られ、かつスラストベアリング52(ローラ52a,レース52b)が円筒部46aから脱落するのを防止できる。
直結クラッチ用ピストン51bの外径部にはスプリングリテーナ54が嵌合しており、スプリングリテーナ54の外周端と逆転ブレーキ用ピストン50bとの間にリターンスプリング55(図2参照)が配置されている。このスプリング55は、直結クラッチ用ピストン51bと逆転ブレーキ用ピストン50bの両方のリターンスプリングを兼ねるものであり、逆転ブレーキ50のブレーキディスク50aの外周側に適数個設けられている。逆転ブレーキ50と直結クラッチ51は同時に作動されることがないので、1種類のスプリング55で両者のリターンスプリングを兼ねることができる。
上記実施例では、他方のレースを兼ねる支持板53をピストン51bの側面に配置したが、他方のレースをピストン51b自体で構成することもできる。すなわち、クラッチ板51aと対向するピストン51bの側面に対して窒化処理などの表面処理を行ったり、ピストン51b自体を高硬度材料で形成することで、他方のレースを省略することも可能である。
図5は本発明の第2実施例を示す。図3と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施例では、支持板53の内径部をピストン51bの内径部に沿って軸方向へ延長し、延長部53aの端部をピストン51bの端部とほぼ同一位置とし、この端部をリターンスプリング58で押圧するようにしたものである。リターンスプリング58の他端面はポンプカバー8に係止されたスプリングリテーナ59によって支持されている。この場合には、リターンスプリング58によって支持板53をピストン51bの後側面に常時押し付けるので、支持板53の軸方向位置が安定する。
この実施例のリターンスプリング58は、直結クラッチ51専用であるため、逆転ブレーキ50用のリターンスプリングを別に設ける必要がある。
図6は本発明の第3実施例を示す。図3と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施例は、スラストベアリング52を、ローラ52aと、ローラ52aを回転自在に保持する保持器52cと、保持器52cを保持する一対のレース52b,52dとで構成したものである。この場合には、ローラ52aの両面を挟持する一対のレース52b,52dが一体的に組み付けられているので、ピストン51bの側面に配置される支持板53(図3参照)を省略することができる。直結クラッチ51の解放時において、レース52dとピストン51bとの間に、レース52bとドラム46aとの嵌合代Lより小さい軸方向隙間δが形成される。そのため、直結クラッチ51の完全な解放状態が得られ、かつスラストベアリング52(ローラ52a,レース52b,52d)がドラム46aから脱落するのを防止できる。
本発明は上記実施例に限定されるものではない。
図3の実施例では、ピストン51bの後側面に他方のレースを兼ねる支持板53を配置したが、この支持板53をピストン51bの外周部に配置されたスプリングリテーナ54と兼用してもよい。すなわち、スプリングリテーナ54の一端部を内径方向に延長し、この延長部を支持板として用いてもよい。
上記実施例では、静止シリンダ型クラッチ装置を無段変速機の前後進切替装置における直結クラッチに適用した例を示したが、自動変速機などに用いられる一般的なクラッチ装置にも適用できることは勿論である。
本発明にかかる静止シリンダ型クラッチ装置を適用した無段変速機の一例のスケルトン図である。 図1に示す無段変速機の前後進切替装置の詳細断面図である。 静止シリンダ型クラッチ装置である直結クラッチの詳細断面図である。 スラストベアリングの拡大断面図である。 本発明にかかる静止シリンダ型クラッチ装置の第2実施例の断面図である。 本発明にかかる静止シリンダ型クラッチ装置の第3実施例の断面図である。 従来の静止シリンダ型クラッチ装置の一例の断面図である。 従来の静止シリンダ型クラッチ装置の他の例の断面図である。
符号の説明
3 入力軸
4 前後進切替装置
8 ポンプカバー(静止部材)
41 サンギヤ
41a 円筒部(ハブ)
44 キャリア
46 キャリアリム
46a 円筒部(ドラム)
46b 内スプライン
51 直結クラッチ(静止シリンダ型クラッチ装置)
51a クラッチ板
51b ピストン
52 スラストベアリング
52a ローラ(転動体)
52b レース
52b1 ガイド部
52b2 爪片
52c 保持器
53 支持板(他方のレース)

Claims (1)

  1. 入出力回転部材を構成するハブおよびドラムと、上記ハブの外周とドラムの内周との間に配置されたクラッチ板と、静止部材に軸方向に移動可能に配置され、油圧を受けて上記クラッチ板を締結させるピストンと、上記ピストンとクラッチ板との間に配置され、上記ピストンとクラッチ板との相対回転を許容しながら推力を伝えるスラストベアリングとを備えた静止シリンダ型クラッチ装置において、
    上記スラストベアリングは少なくとも1つのレースとこのレースによって回転自在に保持された転動体とを有し、
    上記レースは上記ドラムの内周部に軸方向移動自在に嵌合されており、
    上記レースの外周部には、上記ドラムの内スプラインに軸方向移動自在に嵌合し、上記レースを上記ドラムに対して回り止めする爪片がレースの半径方向外側に向かって突設されており、
    上記クラッチ装置の解放時において、上記スラストベアリングと上記ピストンとの間に、上記レースと上記ドラムとの嵌合代より小さい軸方向隙間が形成されることを特徴とする静止シリンダ型クラッチ装置。
JP2005305372A 2005-10-20 2005-10-20 静止シリンダ型クラッチ装置 Expired - Fee Related JP4868818B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005305372A JP4868818B2 (ja) 2005-10-20 2005-10-20 静止シリンダ型クラッチ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005305372A JP4868818B2 (ja) 2005-10-20 2005-10-20 静止シリンダ型クラッチ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007113684A JP2007113684A (ja) 2007-05-10
JP4868818B2 true JP4868818B2 (ja) 2012-02-01

Family

ID=38096062

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005305372A Expired - Fee Related JP4868818B2 (ja) 2005-10-20 2005-10-20 静止シリンダ型クラッチ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4868818B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5279679B2 (ja) * 2009-10-22 2013-09-04 ダイハツ工業株式会社 静止シリンダ型クラッチ装置の潤滑構造
JP5652914B2 (ja) * 2010-12-28 2015-01-14 ダイハツ工業株式会社 静止シリンダ型クラッチ装置
KR101701878B1 (ko) * 2015-06-29 2017-02-02 현대위아 주식회사 스러스트 하중 지지용 구름 부재를 갖는 클러치 드럼

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01224526A (ja) * 1988-03-03 1989-09-07 Toyota Motor Corp 油圧式クラッチの制御装置
JP2736786B2 (ja) * 1988-07-28 1998-04-02 富士重工業株式会社 4輪駆動車の動力分配用湿式油圧多板クラッチ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007113684A (ja) 2007-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4597138B2 (ja) 無段変速機の前後進切替装置
US9441719B2 (en) Lock-up device for torque converter
US7585243B2 (en) Automatic transmission
US5967929A (en) Multiple disk clutch
JP5310630B2 (ja) 変速機付き圧縮機
JP4793983B2 (ja) 前後進切替装置の潤滑構造
JP5279679B2 (ja) 静止シリンダ型クラッチ装置の潤滑構造
JP4868818B2 (ja) 静止シリンダ型クラッチ装置
WO2006070535A1 (ja) 遊星歯車装置
JP6245929B2 (ja) トルクコンバータ
JP4663294B2 (ja) 静止シリンダ型クラッチ装置
JP4545489B2 (ja) クッションプレート
JP5072672B2 (ja) 遊星歯車装置の潤滑構造
JP4557679B2 (ja) 無段変速機
JP4566044B2 (ja) 変速機の前後進切替装置
JP5652914B2 (ja) 静止シリンダ型クラッチ装置
JP4671706B2 (ja) 遊星歯車装置
JP2015075220A (ja) 自動変速機
JP2006132550A (ja) 無段変速機の組立構造および組立方法
JP2006170345A (ja) トルクコンバータ
JP4606124B2 (ja) 無段変速機
JP6379216B2 (ja) ベルト式無段変速機
JP2021156342A (ja) 摩擦係合装置および変速装置
JP2000018289A (ja) リターンスプリングリテーナの取付け構造
JP2005188662A (ja) ロックアップクラッチ付流体伝動装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080612

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110322

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110512

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111115

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees