図1は、実施例1に係るワイパーブレード10が車両Cに適用された状態を模式的に示す斜視図であり、図2は、ワイパーブレード10を模式的に示す斜視図であり、図3は、ワイパーブレード10を各構成部品に展開して示した模式的な斜視図である。
ワイパーブレード10は、図1に示すように、車両Cのフロントガラスまたはリアガラス等からなる払拭面S(実施例1ではフロントガラス)を払拭するために車両Cに設けられる。ワイパーブレード10は、図2および図3に示すように、ブレードラバー11と、バーティブラ12と、6つのホルダー13と、ブレード本体14と、2つのストッパ15とを備え、取付手段16を介して車両Cに装着される。
ワイパーブレード10は、図1に示すように、車両Cに設けられたワイパーアーム20に固着されている。ワイパーアーム20は、図示は略すがワイパーモータにワイパーリンクを介して接続され、当該ワイパーモータの駆動により払拭面Sに沿って往復動可能(矢印G、B参照)とされている。実施例1では、ワイパーアーム20は、図示は略すが基端側に位置される往復動のための揺動軸が払拭面Sを構成するガラスの取り付け開口部の下辺近傍に設けられており、駆動されていない状態では当該下辺に略沿う静止姿勢Iaとされている。ワイパーブレード10は、ワイパーアーム20が揺動されると、ワイパーブレード10の長尺方向(以下、長尺方向という。)と交差する方向が進行方向となるようにワイパーアーム20に装着されている。ワイパーブレード10は、実施例1では、ワイパーアーム20が駆動されることにより、静止姿勢Iaから払拭面Sに沿って車両Cの上後方へと揺動される往路Gと、該往路Gの端から払拭面Sに沿って車両Cの下前方へと揺動される復路Bとを往復移動されて払拭面Sを払拭するように構成されている。ワイパーブレード10では、ワイパーアーム20の駆動に伴ってブレードラバー11が払拭面S上を往復移動するように摺動される。
ブレードラバー11は、払拭面Sを傷つけることなく払拭面Sを摺動可能な弾性部材で形成されており、長尺形状を呈している。図4は、図2のI−I線に沿って得られた断面で示す図である。ブレードラバー11は、図4に示すように、払拭面Sに当接される払拭部11aと、払拭部11aの上方に位置する頭部11bと、払拭部11aおよび頭部11bを連結する首部11cと、この首部11cから突出する腕部11dとを有する。払拭部11aの断面形状は、略逆三角形状を呈し、頭部11bの断面形状は、矩形状を呈する。首部11cは、払拭部11aおよび頭部11bの間に凹部を形成する。腕部11dは、首部11cから斜め上方へ向けて突出され、首部11cが傾倒されることによりブレード本体14の下壁面14aに当接可能とされている(図9および図10参照)。払拭部11aは、その下端の払拭個所11eで払拭面Sに当接しており、払拭個所11eが払拭面S(図1および図4参照)を摺動される。このブレードラバー11は、上記のような形状を呈する所謂ネック反転構造である。このブレードラバー11では、撓み変形(主に首部11cを撓み変形させるネック反転)を利用して、往路Gから復路Bへまたは復路Bから往路Gへと移行する際(すなわち払拭面Sへの摺動方向が反対側へと変化される際)に払拭面Sに対する傾斜方向が逆転される(以下、反転という(図9および図10参照)。)とともに、付勢力を受けて払拭面Sに押圧された状態で反転される際に首部11cが湾曲されて払拭部11aが払拭面Sに対して適切な倒れ角度とされることにより、払拭面Sに対する払拭個所11eの当接関係が適切なものとされる。この際、腕部11dがブレード本体14の下壁面14aに当接することにより、首部11cの湾曲により払拭部11aが適切な倒れ角度とすることを補助している(図9および図10参照)。このブレードラバー11の頭部11bにバーティブラ12が設けられている。
バーティブラ12は、図3に示すように、弾性を有する樹脂材料または金属材料から長尺な板形状に形成されており、長尺方向に対して弓なりに湾曲した形状を呈している。バーティブラ12は、弓なりに湾曲させたバーティブラ12の中央部12aを押し下げて平らにした場合に、この力を分散させてバーティブラ12の長手方向で見て均等化する役割を果たす。このため、実施例1では、バーティブラ12が、中央部を押し下げて平らにした場合に当該力を分散させるべく長尺方向に湾曲されたばね板部材として機能している。ワイパーブレード10では、使用時に押し下げられる方向に払拭面S(図3および図4参照)が位置されるようにバーティブラ12が配設されている。バーティブラ12には、ブレードラバー11の取り付けのためにホルダー13が取り付けられている。図5は、ホルダー13を模式的に示す斜視図である。
ホルダー13は、図5に示すように、矩形板材の両側部が折り返されかつ2段階にL字状に折り込まれるように加工されており、その断面で見て逆凸字状を呈している。ホルダー13の下壁部13aには、切り欠き21が形成されている。切り欠き21は、一定の間隔を保ちつつバーティブラ12の伸長方向に沿って伸長している。
また、ホルダー13の内方には、その上部に位置する第1空間22と、第1空間22の下方に位置する第2空間23とが規定されている。第1空間22は、全体に直方体形状を呈し、バーティブラ12を挿通するために必要な横幅寸法及び高さ寸法を確保できる幅寸法w及び高さ寸法hとされており、バーティブラ12の受け入れを許す(図4参照)。第2空間23は、第1空間22よりも幅の狭い直方体形状を呈しており、ブレードラバー11の頭部11b(図4参照)を挿通するために必要な横幅寸法及び高さ寸法が確保されている。第2空間23は、頭部11bが挿通された際、ホルダー13の切り欠き21の周縁部両端がブレードラバー11の首部11cを挟持する構造とされており、ブレードラバー11がホルダー13から抜け落ちない構造となっている(図4参照)。このため、ホルダー13は、取り付けられたバーティブラ12上でブレードラバー11を保持することにより、バーティブラ12にブレードラバー11を取り付けることができ、ホルダー13の長さ寸法lは、バーティブラ12へのブレードラバー11の取り付け強度を十分なものとすることができる大きさに設定されている。
ホルダー13は、ブレードラバー11の払拭個所11eがその全長に渡り均等な圧力で払拭面Sに当接するようにバーティブラ12にブレードラバー11を取り付けられるものであることから、バーティブラ12の長さ寸法に応じて、取り付け位置および個数が適宜設定される。実施例1では、図3に示すように、同一形状で等しい大きさ寸法の6個のホルダー13が用いられており、各ホルダー13は、バーティブラ12の伸長方向に沿って適切な間隔を置いてバーティブラ12に配設され、かつ後述するクリップベース17が装着される中央部12aを中心に左右に均等に配置されている。このバーティブラ12には、ブレード本体14が取り付けられている。
ブレード本体14は、図3に示すように、バーティブラ12よりも少し長い長さ寸法の長尺形状を呈し、ゴム等の弾性体材料から金型(図示せず)を用いて形成されている。ブレード本体14には、嵌合溝部24が形成されている(図4参照)。嵌合溝部24は、図4に示すように、断面形状がバーティブラ12の両側縁部を挟持可能な逆凸字形状を呈しつつブレード本体14の長手方向に沿って延在し、溝部開口24aでブレード本体14の下壁面14aを開口している。嵌合溝部24は、ブレード本体14の延在方向と直交する断面で見て、バーティブラ12を挿通するために必要な横幅寸法及び高さ寸法とされており、バーティブラ12の嵌合が可能とされている。嵌合溝部24は、ブレード本体14の中央部に設けられた取付開口24bでブレード本体14の上面を開口している。ブレード本体14の嵌合溝部24は、ホルダー13を介してブレードラバー11の頭部11bを保持した状態のバーティブラ12を、溝部開口24aからブレードラバー11の払拭個所11eが露呈した状態で収納することができる。この収納状態のブレード本体14の各端部14bにストッパ15(図3参照)が装着される。
各ストッパ15は、図3に示すように、筒状の受入部15aと、その一方の端部を閉塞する蓋部15bとを有する。各ストッパ15は、ブレード本体14の各端部14bを受入部15aで受け入れるように装着され、蓋部15bがバーティブラ12の各端部14bでブレード本体14の嵌合溝部24の開放端(14c)を遮蔽する。これにより、各ストッパ15は、ブレードラバー11がブレード本体14の各端面14cから外部へと抜け落ちることを防止すると共に、ブレード本体14の各端面14cの外観の意匠性を高めることができる(図2参照)。このブレード本体14にバーティブラ12が収納された状態において、取付開口24bからは、バーティブラ12の中央部12aが露出されており、その中央部12aに取付手段16が取り付けられる。
本発明に係るワイパーブレード10では、往路Gから復路Bへまたは復路Bから往路Gへと移行する際、ブレードラバー11が円滑に反転するように、取付手段16がブレードラバー11の反転を促すように動作する構成とされている。これについて以下に説明する。図6は、ワイパーブレード10における取付手段16を模式的に示す斜視図であり、図7は、取付手段16を各構成部品に展開して示した模式的な斜視図であり、図8は、図2のII−II線に沿って得られた断面図である。
取付手段16は、図6ないし図8に示すように、ばね板保持部30と、揺動軸31と、連結基部としてのクリップベース17と、連結本体部としてのクリップ18と、連結軸としてのリベット32とを有する。
ばね板保持部30は、図7に示すように、所定の形状とされた単一の板部材が折り曲げられて形成されており、バーティブラ12をその両側方から挟持することが可能とされている。ばね板保持部30は、バーティブラ12の両側縁部でバーティブラ12を介在させて対向する一対の対向壁部分33、34と、この両対向壁部分33、34をバーティブラ12の幅方向(長尺方向と直交し払拭面Sに平行な方向)で繋ぐ架渡壁部分35とを有する。この架渡壁部分35には、実施例1では、その中央部に開口35aが設けられている。この開口35aは、ばね板保持部30を軽量化させるとともにばね板保持部30を弾性的に撓ませることを容易とする。なお、この開口35aは、設けなくてもよい。
一対の対向壁部分33、34には、挟持部分36が対を為して形成されている。各挟持部分36は、長尺方向で見たばね板保持部30の両端位置で幅方向に向き合うように設けられ、バーティブラ12の各側縁部を受け入れ可能な(図7および図8参照)コ字形状を呈し、互いに協働してバーティブラ12を挟持することが可能とされている。ばね板保持部30は、各挟持部分36がバーティブラ12の各側縁部を受け入れて当該バーティブラ12を挟持した状態において、各挟持部分36がバーティブラ12を両側方から内方へ向けて押圧する間隔となるように、両挟持部分36が設けられた一対の対向壁部分33、34およびそれらを繋ぐ架渡壁部分35の大きさ寸法が設定されている。このため、ばね板保持部30は、両挟持部分36の間隔を押し広げるように一対の対向壁部分33および架渡壁部分35を弾性的に撓ませてバーティブラ12の各側縁部を各挟持部分36に挿入して、バーティブラ12に取り付けられる。このため、一対の対向壁部分33、34および架渡壁部分35が、ばね板保持部30において払拭面Sとは反対側(上方側)で両挟持部分36を幅方向に結合する結合部分として機能している。この結合部分を構成する一方の対向壁部分34に結合側保持腕個所37、38が設けられている。
結合側保持腕個所37、38は、長尺方向で見た対向壁部分34の両端から突出する板状部分が幅方向の外方側に折り曲げられ、長尺方向に沿う同一の軸線上に位置する結合側揺動軸受孔37a、38aが形成されて構成されている。実施例1では、一方の結合側揺動軸受孔37aは、揺動軸31の後述する大径部31aが嵌入可能な大きさの径寸法とされ、他方の結合側揺動軸受孔38aは、揺動軸31の後述する小径部31cが嵌入可能な大きさの径寸法とされている。
揺動軸31は、全体に円柱状を呈する大径部31aの一端に鍔部31bが設けられ、かつ他端が小径部31cとされており、大径部31aと小径部31cとの径寸法の差により段部31dが形成されている。揺動軸31は、大径部31aが一対の結合側保持腕個所37、38の間隔に一方の結合側保持腕個所37の厚さ寸法を加えた長さ寸法とされている。この揺動軸31は、長尺方向で対向する結合側保持腕個所37、38の外方から大径部31aが結合側揺動軸受孔37aに挿通されかつ小径部31bが結合側揺動軸受孔38aに挿通され、鍔部31bが結合側保持腕個所37の外側面に係合されるとともに段部31dが結合側保持腕個所38の内側面に係合され、この状態において結合側揺動軸受孔38aに挿通された小径部31cのうち結合側保持腕個所38の外側面から突出した個所が押し潰されることにより(図6の31e参照)、押潰部31eと段部31dとで結合側保持腕個所38を挟持し、回動が防止された状態で結合側保持腕個所37、38(ばね板保持部30)に固着される。この揺動軸31を介して、ばね板保持部30にはクリップ18を取り付けるためのクリップベース17が取り付けられる。
クリップ18は、合成樹脂で形成されており、車両Cに設けられたワイパーアーム20の先端部20a(図1参照)の固定が可能とされている。クリップ18には、リベット32を回転可能に保持することができ、かつリベット32を嵌め込むことができる保持切欠18aが設けられている。このクリップ18はクリップベース17に保持される。
クリップベース17は、所定の形状とされた単一の板部材が折り曲げられて形成されており、クリップ18の両側縁部でクリップ18を介在させて対向する一対の対向壁部分17a、17bと、この両対向壁部分17a、17bを繋ぐ底壁部分17cとを有する。底壁部分17cには、クリップ18の操作を容易とするための操作用切欠17fが形成されている。対向壁部分17aにはリベット挿着孔17dが、対向壁部分17bにはリベット挿着孔17eが、互いに対向して設けられている。実施例1では、リベット挿着孔17dは、後述するリベット32の小径部32cを嵌入可能な大きさの径寸法とされており、リベット挿着孔17eは、後述するリベット32の大径部32aを嵌入可能な大きさの径寸法とされている。このリベット挿着孔17dおよびリベット挿着孔17eにリベット32が挿着される。
リベット32は、全体に円柱状を呈する大径部32aの一端に鍔部32bが設けられかつ他端が小径部32cとされて構成され、大径部32aと小径部32cとの径寸法の差により段部32dが形成されている。リベット32は、大径部32aがクリップベース17の一対の対向壁部分17a、17bの間隔に他方の対向壁部分17bの厚さ寸法を加えた長さ寸法とされている。このリベット32は、クリップベース17の外方から大径部32aがリベット挿着孔17eに挿通されかつ小径部32cがリベット挿着孔17dに挿通され、鍔部32bが対向壁部分17bの外側面に係合されるとともに段部32dが対向壁部分17aの内側面に係合され、この状態においてリベット挿着孔17dに挿通された小径部32cのうち対向壁部分17aの外側面から突出した個所が押し潰される(図8の符号32e参照)ことにより、押潰部32eと段部32dとで対向壁部分17aを挟持し(図8参照)、クリップベース17に回転が防止された状態で固着される。このリベット32にクリップ18が保持切欠18aから嵌め込まれることにより、クリップ18は、クリップベース17に対してリベット32回りに揺動可能に装着されることとなる。このクリップベース17の対向壁部分17aに連結側保持腕個所39、40が設けられている。
連結側保持腕個所39、40は、ばね板保持部30の一対の結合側保持腕個所37、38に内接するように設定されており、長尺方向で見た対向壁部分17aの両端から突出する板状部分が幅方向の外方側に折り曲げられ、長尺方向に沿う同一の軸線上に位置する連結側揺動軸受孔39a、40aが形成されて構成されている。この連結側揺動軸受孔39a、40aには、ブッシュ41が挿着される。この両ブッシュ41は、連結側揺動軸受孔39a、40a内で挿通される揺動軸31を支持するものである。連結側揺動軸受孔39a、40aは、それぞれブッシュ41を介在させた状態で揺動軸31の大径部31aを受け入れ可能な大きさの径寸法とされている。
この連結側保持腕個所39、40は、ばね板保持部30の結合側保持腕個所37、38に保持される揺動軸31を連結側揺動軸受孔39a、40a(ブッシュ41)に挿通させることにより、クリップベース17とばね板保持部30とを揺動軸31を介して接続することができる。図8に示すように、連結側保持腕個所39、40は、この接続状態において、その延在端部39b、40b(図8では延在端部40bのみ示す。)がばね板保持部30の対向壁部分34と微少な間隔を置くように、設定されている。この微少な間隔は、ばね板保持部30とクリップベース17との揺動軸31回りの相対的な揺動を可能とするための空間であるとともに、後述するように、相対的な揺動により連結側保持腕個所39、40の延在端部39b、40bが対向壁部分34に当接する際のばね板保持部30とクリップベース17との相対的な角度を設定するための空間でもある。
取付手段16は、次のように取り付けられる。6つのホルダー13を介してブレードラバー11を保持するバーティブラ12にブレード本体14が挿着された状態において、図7に示すように、ブレード本体14の取付開口24bから露出するバーティブラ12の中央部12a(図3参照)が介在するように、ばね板保持部30の両挟持部分36の間隔を拡げ、各対向壁部分33、34の両挟持部分36でバーティブラ12の中央部12aを挟持させて(図7および図8参照)、ばね板保持部30をバーティブラ12に装着する(図6および図8参照)。
これとは別に、連結側保持腕個所39、40の連結側揺動軸受孔39a、40aにブッシュ41を挿着する(矢印A1参照)。また、クリップベース17のリベット挿着孔17eおよびリベット挿着孔17dにリベット32を挿通して(矢印A2参照)、対向壁部分17aの外側面から突出した個所を押し潰して(図8の符号32e参照)、クリップベース17にリベット32を固着する。
このクリップベース17を、その連結側保持腕個所39、40がばね板保持部30の結合側保持腕個所37、38に内接するように配置する(矢印A3参照)。この状態において、結合側保持腕個所37の結合側揺動軸受孔37a、連結側保持腕個所39の連結側揺動軸受孔39a(ブッシュ41)、連結側保持腕個所40の連結側揺動軸受孔40a(ブッシュ41)の順に揺動軸31の大径部31aを挿通し、かつ結合側保持腕個所38の結合側揺動軸受孔38aに揺動軸31の小径部31cを挿通し(矢印A4参照)、小径部31cのうち結合側保持腕個所38の外側面から突出した個所を押し潰して(図6の符号31e参照)、ばね板保持部30に揺動軸31を固着する。この状態では、クリップベース17とばね板保持部30とが揺動軸31回りに相対的に揺動自在とされて互いに取り付けられていることとなる。このばね板保持部30とクリップベース17との相対的な揺動は、クリップベース17の連結側保持腕個所39、40の延在端部39b、40bと、ばね板保持部30の対向壁部分34との当接により揺動範囲が制限されており、これについては後述する。
このクリップベース17に取り付けられたリベット32にクリップ18の保持切欠18aを嵌め込ませてクリップ18をクリップベース17に装着する(矢印A5参照)。これにより、クリップ18は、クリップベース17に対してリベット32回りに揺動可能となる。このような手順により、取付手段16が取り付けられる。なお、クリップ18は、クリップベース17とばね板保持部30との取り付けの前に装着してもよく、両ブッシュ41の挿着前にリベット32をクリップベース17に固着してもよい。
ここで、ワイパーブレード10では、長尺方向で見て、バーティブラ12を挟持しているばね板保持部30の両端部が、ブレード本体14の取付開口24bに近接された2つのホルダー13(図3参照)と当接することにより、長尺方向に沿うばね板保持部30(取付手段16)とバーティブラ12との相対的な位置ずれが防止されている。この状態において、上記したように構成されたワイパーブレード10は、ワイパーアーム20の先端部20aが、回動自在なクリップ18に取り付けられて車両に装着される(図1参照)。
本発明に係るワイパーブレード10では、往路Gから復路Bへまたは復路Bから往路Gへと移行する際、ブレードラバー11が円滑に反転する。このワイパーブレード10における反転時のブレードラバー11の動作について説明する。
ワイパーブレード10では、前述したように、ワイパーアーム20からの押圧力によりブレードラバー11の払拭部11aの払拭個所11eが払拭面Sを押圧している(図9および図10参照)。この状態において、ワイパーアーム20が駆動されることにより、ワイパーブレード10が払拭面S上を往復移動されて払拭面Sを払拭する(図1参照)。この往復移動の際、ブレードラバー11では、その頭部11bが取付手段16のばね板保持部30にバーティブラ12を介して保持されていることから、頭部11bはワイパーアーム20の駆動に伴って払拭面Sに沿って往復移動される。しかしながら、ブレードラバー11の払拭部11aの払拭個所11eは、払拭面Sに当接されて当該払拭面Sを摺動することから、払拭面Sとの摩擦により進行方向で見て頭部11bよりも後方で払拭面Sに沿って往復移動されている。換言すると、ブレードラバー11およびバーティブラ12では、往路Gにあっては図9に示す矢印Rのような揺動力が作用することとなり、復路Bにあっては図10に示す矢印Lのような揺動力が作用することとなる。ここで、ブレードラバー11の頭部11bを保持しているバーティブラ12は、取付手段16を介してワイパーアーム20に装着されていることから、往路Gおよび復路Bではブレードラバー11が払拭面Sに対して所定の傾斜角度とされることとなる。
詳細には、往路Gの場合、図9に示すように、ブレードラバー11には反時計回りの揺動力Rが作用することとなるので、取付手段16においてバーティブラ12に固定的に取り付けられているばね板保持部30にも反時計回りの揺動力Rが作用することとなる。すると、ばね板保持部30は、ワイパーアーム20が装着されるクリップ18が設けられたクリップベース17に対して、揺動軸31回りに相対的に揺動可能とされていることから、反時計回り側に傾斜されることとなる。この傾斜は、クリップベース17に設けられた連結側保持腕個所39、40の延在端部39b、40b(図9では連結側保持腕個所40の延在端部40bのみ示す。)の下端39c、40cが、ばね板保持部30の対向壁部分34に係合することにより制限される。
また、復路Bの場合、図10に示すように、ブレードラバー11には時計回りの揺動力Lが作用することとなるので、取付手段16においてバーティブラ12に固定的に取り付けられているばね板保持部30にも時計回りの揺動力Lが作用することとなり、ばね板保持部30が時計回り側に傾斜されることとなる。この傾斜は、クリップベース17に設けられた連結側保持腕個所39、40の延在端部39b、40b(図10では連結側保持腕個所40の延在端部40bのみ示す。)の上端39d、40dが、ばね板保持部30の対向壁部分34に係合することにより制限される。
このように、ワイパーブレード10では、往路Gを移動しているときと復路Bを移動しているときとでは、ばね板保持部30が、クリップベース17すなわちワイパーアーム20を基準として逆側に傾斜されることとなる。このことから、取付手段16では、ばね板保持部30がクリップベース17に対して揺動することによりブレードラバー11全体(ブレードラバー11の高さ方向で見た軸線)を払拭面Sに対して傾斜させ、この傾斜の方向をばね板保持部30が往路Gから復路Bへまたは復路Bから往路Gへと移行する際に逆転させることとなるので、弾性変形(撓み変形)の方向を逆転させる切っ掛けをブレードラバー11に与える、すなわちブレードラバー11の反転を促進することとなる。
よって、本発明のワイパーブレード10では、往路Gから復路Bへまたは復路Bから往路Gへと移行する際、ブレードラバー11を円滑に反転させることができる。このため、ワイパーブレード10は、適切に払拭面Sを払拭することができる。これは、ワイパーブレードでは、往復路の折り返しの際にブレードラバーが円滑に反転されないと、ビビリに起因する異音が生じたり、払拭面Sに拭きムラが生じたりすることによる。
また、ワイパーブレード10では、所謂フラット式のワイパーブレードの構成とされていることから、氷雪の付着に起因して払拭面Sを適切に払拭することができなくなってしまうことを防止することができる。これは、例えば、バーティブラが4つのヨークの両端部で回動可能に保持され、この各ヨークが略中央部を2つのセカンダリーレバーの両端部で回動可能に保持され、この両セカンダリーレバーがプライマリーレバーの両端部で回動可能に保持され、このプライマリーレバーの略中央部に設けられたクリップベースおよびクリップにワイパーアームが取り付けられて、複数の階層構造とされて構成されている所謂トーナメント式のワイパーブレードでは、各階層を連結する回動箇所に氷雪が付着して当該回動が不可能となった場合、払拭面Sを適切に払拭することができなくなる虞があることによる。
さらに、ワイパーブレード10では、取付手段16が、長尺方向回りに揺動させるために、クリップ18が設けられたクリップベース17と、バーティブラ12を保持するばね板保持部30とが、長尺方向に延在する揺動軸31回りに相対的に揺動可能な状態で接続され、この長尺方向回りの揺動とブレードラバー11の撓み変形とにより、往復路の折り返しの際のブレードラバー11の反転を円滑なものとする構成であることから、揺動時の角度設定が容易であるとともに長期間に渡り使用されても払拭性能の低減を抑制することができる。この揺動時の角度設定が容易であるとは、取付手段16においてばね板保持部30がクリップベース17に対して揺動することにより、払拭面Sに対するブレードラバー11全体(ブレードラバー11の高さ方向で見た軸線)の傾斜角度を設定することができることによる。この傾斜角度の設定は、実施例1では、揺動軸31を基準として、適切な角度位置で、クリップベース17に設けられた連結側保持腕個所39、40の延在端部39b、40bの下端39c、40cおよび上端39d、40dがばね板保持部30の対向壁部分34に係合するように設定する、換言すると、揺動軸31の揺動中心に対して、連結側保持腕個所39、40の延在端部39b、40bの下端39c、40cおよび上端39d、40dとばね板保持部30の対向壁部分34との間隔を適宜設定すればよい。これに対し、トーナメント式のワイパーブレードでは、複数の階層間の軸支による各連結箇所に設けられた回動を可能とするための遊びを利用することとなるが、この各連結箇所の遊びは長尺方向回りの揺動のために設けられたものではないことから、当該揺動を繰り返すことにより各連結箇所の遊び量が変化してしまう虞がある。
ワイパーブレード10では、取付手段16においてバーティブラ12に取り付けられるばね板保持部30が、単一の板部材を折り曲げることにより両対向壁部分33でバーティブラ12を挟持しつつ固定する構成であることから、簡易な構成でばね板保持部30のバーティブラ12への取り付けを容易なものとすることができる。
ワイパーブレード10では、取付手段16において、クリップベース17とばね板保持部30とが揺動軸31を介在させて払拭面Sに沿って並列された構成であることから、取付手段16(すなわちワイパーブレード10)の高さ寸法(すなわち払拭面Sに直交する方向への大きさ寸法)を小さくすることができる。このため、払拭面S上を往復動される際の風の抵抗を抑制することができ、ワイパーアーム20の動力を抑制することができるとともに払拭性能を向上させることができる。
ワイパーブレード10では、ばね板保持部30から幅方向に延出された結合側保持腕個所37、38と、クリップベース17から幅方向に延出された連結側保持腕個所39、40とで、ばね板保持部30とクリップベース17との間に位置された揺動軸31を保持する構成であることから、ブレードラバー11全体を払拭面Sに対して所望の傾斜角度とするためのばね板保持部30とクリップベース17との相対的な揺動範囲を小さくすることができる。
ワイパーブレード10では、連結側保持腕個所39、40の延在端部39b、40bの下端39c、40cおよび上端39d、40dがばね板保持部30の対向壁部分33に係合することにより、払拭面Sに対するブレードラバー11全体(ブレードラバー11の高さ方向で見た軸線)の傾斜角度を設定する構成であることから、例えば適用される車種の変更に伴ってブレードラバー11の傾斜角度の変更を要する場合であっても、クリップベース17(その連結側保持腕個所39、40)を変更するだけでよく、安価にかつ容易に異なる車種に適合させることができる。
ワイパーブレード10では、取付手段16において、単一の板部材から形成されるばね板保持部30と、これとは別個に単一の板部材から形成されるクリップベース17とが、ワイパーブレード10の往復移動の度に接触されることとなるが、樹脂材料または金属材料で形成することが可能な形状とされていることから、製造の容易性を確保しつつ接触に対する強度を適切なものとすることができる。
したがって、フラット式のワイパーブレードの構成とされた実施例1に係るワイパーブレード10では、払拭性能の低減を招くことなく往復路の折り返しの際にブレードラバー11を円滑に反転させることができる。
次に、実施例2のワイパーブレード100(図11および図12参照)について説明する。ワイパーブレード100は、取付手段160において、ばね板保持部300が実施例1のばね板保持部30とは異なる構成とされた例である。ワイパーブレード100は、その基本的な構成は実施例1と同様であるので、同一機能部分には実施例1と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ワイパーブレード100では、取付手段160のばね板保持部300が、第1構成部材50と、第2構成部材51とを有する。第1構成部材50は、所定の形状とされた単一の板部材が折り曲げられて形成されており、板状の対向壁部分330と、その下端に設けられた一方の挟持部分36とを有する。実施例2では、第1構成部材50の対向壁部分330に2つの結合用挿通孔330aが設けられている。この対向壁部分330に第2構成部材51が接合される。
第2構成部材51は、所定の形状とされた単一の板部材が折り曲げられて形成されており、接合壁部分52と、架渡壁部分350と、対向壁部分340と、他方の挟持部分36とを有する。接合壁部分52は、第1構成部材50の対向壁部分330と面当接される箇所であり、対向壁部分330の両結合用挿通孔330aに適合する位置に、内方にネジ溝が切られた結合用ネジ孔52aが設けられている。この対向壁部分330から略直角に折り曲げられて架渡壁部分350が形成され、かつ架渡壁部分350から略直角に折り曲げられて対向壁部分340が形成され、この対向壁部分340の下端に他方の挟持部分36が形成されている。連結側保持腕個所39、40は、実施例1と同様に対向壁部分340に設けられている。
取付手段160では、第1構成部材50と第2構成部材51とを接合するために、2つのネジ部材53が用いられる。ネジ部材53は、第1構成部材50の結合用挿通孔330aに嵌入可能であり第2構成部材51の結合用ネジ孔52aに螺合可能なネジ部53aと、そのネジ部53aの一端に設けられたネジ頭部53bとを有する。
この取付手段160のばね板保持部300は、次のように取り付けられる。図12に示すように、第1構成部材50の挟持部分36にバーティブラ12の一方の側縁部を挿入し、かつ第2構成部材51の挟持部分36にバーティブラ12の他方の側縁部を挿入するように、第1構成部材50の対向壁部分330と第2構成部材51の接合壁部分52とを面当接させて(矢印A10参照)、両挟持部分36にバーティブラ12を挟持させる。この状態において、両ネジ部材53を、第1構成部材50の対向壁部分330の結合用挿通孔330aを挿通して、第2構成部材51の接合壁部分52の結合用ネジ孔52aに螺合する(矢印A11参照)。これにより、ばね板保持部300がバーティブラ12に取り付けられる。この他の取付手段160の取り付け方は実施例1の取付手段16と同様であることから省略する。
このワイパーブレード100では、実施例1のワイパーブレード10と同様に、フラット式のワイパーブレードの構成であり、払拭性能の低減を招くことなく往復路の折り返しの際にブレードラバー11を円滑に反転させることができる。
また、ワイパーブレード100では、実施例1のワイパーブレード10(取付手段16)に比較して、取付手段160をバーティブラ12に容易に取り付けることができる。
さらに、ワイパーブレード100では、別体の第1構成部材50と第2構成部材51とをネジ部材53で締結する構成であることから、取付手段160をより強固にバーティブラ12に取り付けることができる。
なお、上記した各実施例では、取付手段のばね板保持部が、一体的な板部材で形成されている(実施例1)か、2つの板部材で形成されている(実施例2)かに拘わらず、対を為す対向壁部分の間隔(挟持部分の間隔)を拡げることによりバーティブラを挟持する構成とされていたが、ばね板保持部はバーティブラに取り付けることができればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
また、上記した各実施例では、取付手段のばね板保持部が、対を為す対向壁部分(挟持部分)でバーティブラを挟持する構成とされていたが、ばね板保持部はバーティブラに取り付けることができればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
さらに、上記した各実施例では、クリップベースに設けられた連結側保持腕個所の延在端部が、ばね板保持部の対向壁部分に係合することにより、クリップベースに対するばね板保持部の傾斜角度すなわち払拭面Sに対するブレードラバー11全体(ブレードラバー11の高さ方向で見た軸線)の傾斜を制限する構成であったが、払拭面Sに対するブレードラバー11全体の傾斜を制限することができるものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。例えば、ばね板保持部に設けられた結合側保持腕個所の延在端部を、クリップベースの対向壁部分に係合させる構成とすることにより、払拭面Sに対するブレードラバー11全体の傾斜を制限することができる。
上記した各実施例では、ばね板部材としてのバーティブラ12を例示したが、ばね板部材は、中央部を押し下げて平らにした場合に当該力を分散させるべく長尺方向に湾曲されたものであれば、例えば、ブレードラバーの頭部に長尺方向に沿って埋め込まれていてもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、氷雪が付着する虞がある場面(冬期)について述べていたが、フラット式のワイパーブレードであれば、夏期に対応する仕様(例えば、ブレードラバーの材質の変更)のものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、払拭面Sは車両Cのフロントガラスにより構成されていたが、リアガラスであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。