JP4857891B2 - 運転支援装置及びプログラム - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されている技術は、視線検知手段により運転者の視線を検知し、運転者がモニタ装置を見ようとしたときや、後方に障害物体が接近してきたときのみ、モニタ装置に撮影画像を表示させたり、既に表示させている撮影画像の解像度や明度を上げるようにしたものである(特許文献1の段落「0030」等参照)。
本発明は、このような問題にかんがみなされたものであり、運転者が認識すべき対象物に対して運転者の視線を従来よりも短時間のうちに誘導することができる運転支援装置等を提供することを目的とする。
また、制御手段は、車両の周辺を複数の周辺領域に分けると共に、車両側方に位置する周辺領域Aと、車両の外側に取り付けられたバックミラーを介して運転者が視認可能な周辺領域Bと、車室内に取り付けられたルームミラーを介して運転者が視認可能な周辺領域Cとの少なくとも三つを、それぞれ、周辺領域とする。そして、警告対象情報に基づき、周辺領域A,周辺領域B,周辺領域Cに警告対象が存在するか否かを、周辺領域C,周辺領域B,周辺領域Aの順番で判定し、これらの周辺領域のうち、該警告対象が存在すると判定された周辺領域に対応付けられた領域を、視線領域として決定する。
なお、ここで言う「警告対象に関する情報(警告対象情報)」というのは、例えば、歩行者、二輪車、他車両、落下物等の、存在位置、移動速度、移動方向等である。また、「運転者の意識を特定の方向へ直接的に誘導」とは、「後方を確認してください」というようなメッセージを意味する文字列や図形や音声等による誘導ではなく、運転者がそのようなメッセージの認識を行わずとも自然と意識がその方向に向く誘導である。つまり、どの方向に意識を向けなければならないかを運転者が判断することなく、意識を向けなければならない方向に自然と意識が向く誘導である。
また、視線領域を決定する際、警告対象の存在位置や警告対象の形状に合わせて厳密に視線領域を決定するようになっていてもよいが、このように厳密に視線領域を決定すると視線領域の決定にかかる計算処理が複雑になるという問題や、誤差に対する扱いを厳密に行わなければならないという問題が生ずる。また、人間の視野は、点ではなくある程度の範囲を有している。
これに対し、請求項1に記載の運転支援装置によれば、制御手段は、車両の周辺を複数の周辺領域に分け、警告対象が存在する周辺領域に対応づけられた領域を視線領域として決定する。つまり、複数ある周辺領域のうちの何れかの周辺領域に警告対象が存在すれば、その周辺領域内のどこに警告対象が存在していても、当該周辺領域に対応した一の視線領域を用いるのである。
このため、視線領域の決定にかかる計算処理が複雑になるという問題や誤差に対する扱いを厳密に行わなければならないという問題を軽減することができる。
さらに、請求項1に記載の運転支援装置によれば、バックミラーやルームミラーで視認可能か領域が周辺領域として設定されているため、運転者の視線が警告対象を視認可能な方向にあるかどうかを効率的に判定することができる。
ところで、運転者が視認すべき視線領域に視線を移動させた後(≒運転者が警告対象を認識した後)は、それ以上、意識誘導手段を機能させる必要性は少ない。なぜなら、運転者が警告対象を一度でも認識すれば、それ以降、運転者はその警告対象に注意を払うようになると考えられるからである。また、無意味な意識誘導が繰り返し行われると運転者が煩わしさを感じたり意識誘導に慣れることによって意識が誘導されなくなってしまうおそれもある。
そこで、運転支援装置は、請求項1と同様の警告対象情報取得手段,意識誘導手段と、警告対象情報取得手段によって取得された警告対象情報に基づき、運転者が視線を向けるべき領域である視線領域を決定し、その決定した視線領域のある方向へ意識誘導手段によって運転者の意識を向けさせる制御手段と、運転者の視線方向に関する情報である視線方向情報を取得する視線方向情報取得手段と、を備えていても良い。
そして、制御手段は、視線方向情報取得手段により取得された視線方向情報に基づいて特定された運転者の視線方向が、決定した視線領域に含まれる場合、意識誘導手段の機能を停止させても良い。
なお、ここで言う「運転者が視線を向けるべき領域(視線領域)」というのは、運転者がこの領域へ視線を向けることによって警告対象が視認可能になる領域である。なお、ミラー等を介して警告対象を視認できてもよい。
このような運転支援装置によれば、運転者が認識すべき対象物を従来よりも警告から短時間で認識することができると共に、無意味な意識誘導の繰り返しによる上述した弊害を軽減することができる。
ところで、意識誘導手段は、単一の意識誘導方法によってのみ運転者の意識を特定の方向へ誘導するようになっていてもよいが、請求項2に記載のように、複数の意識誘導方法によって運転者の意識を特定の方向へ誘導することができるようになっており、制御手段は、決定する視線領域の場所に応じた意識誘導方法により、意識誘導手段に運転者の意識
を特定の方向へ向けさせるようになっているとよい。
なお、意識誘導手段が実行可能な意識誘導方法の具体例としては、視線領域の場所に対応した、光の点灯、光の点滅、点灯箇所の移動、警告音の発生、及び、警告音の音源移動のうちの何れか一つ、又は何れか二つ以上の意識誘導方法であるとよい(請求項3,4)。「光の点灯」がなされれば、人の意識は自然と光の方向に向くことは広く知られている通りである。また、「光の点滅」についても同様である。また、「点灯箇所の移動」というのは、複数の光源が並んでおり点灯する光源(又は点灯しない光源)の位置が順に隣に配置された光源に変わることであり、この場合も点灯光源(非点灯光源)の位置の変化方向(移動方向)に人の意識が自然と向く。また、人は音源方向を瞬間的に把握することができるため、視線領域の位置に対応した場所から警告音を発生させれば、音源の方向に人の意識は自然と向く。また、各種の立体音響効果等によって音源を移動させることによっても音源の移動方向に人の意識は向く。
図1に示すブロック図は、運転支援装置11が有する機能を示す機能ブロック図及び運転支援装置11に接続された装置等を示す構成ブロック図である。運転支援装置11には、周辺カメラ群21、視線カメラ22、表示部23、音声出力部24、ルームミラーLED31が接続されている。
視線検出部15は、視線カメラ22から得られた運転者の眼球部分の映像から運転者の視線方向を検出する部位である。視線方向は、例えば、運転者の頭部中心を基準に3次元ベクトルによって表すようになっているとよい。
警報出力制御部17は、視線注視状態判定部16から得られる情報から警報(意識誘導)の開始や停止についての判定を行う部位である。
表示部23は、液晶パネル、有機ELパネル等から構成され、様々な情報を画像として出力することができるものである。なお、表示部23は、センターコンソール内や、運転者正面のインツルメントパネル内に設置されている。
次に、運転支援装置11のCPUが実行する意識誘導処理について、図2〜図5のフローチャートを用いて説明する。なお、CPUは上述した各部(警告対象検出部12、警告対象位置算出部13、視線領域設定部14、視線検出部15、視線注視状態判定部16及び警報出力制御部17)の機能を、プログラムを実行することによって実現するが、理解を容易にするため以下の説明においては各部を区別せず説明を行う。意識誘導処理は運転支援装置11が搭載された車両のエンジンが始動された際に実行が開始される。
一方、警告対象が有ると判定した場合に進むS130では、その警告対象の位置を算出する。これは、周辺カメラ群21から得られた複数の映像を用いて三角法等により算出する。
本実施形態では、車両の周辺を4つの領域(周辺領域A,B,C及びそれ以外)に分けている。周辺領域Aは、存在物体を運転者が直視することによって視認することが可能な領域である。周辺領域Bは、存在物体を運転者が左ミラーによって視認することが可能な領域である。周辺領域Cは、存在物体を運転者がルームミラーによって視認することが可能な領域である。なお、これらの領域の分け方は、車両に搭載された視覚補助装置(ルームミラーやドアミラーやフェンダーミラーや後方映像表示装置や側方映像表示装置等)による視認範囲に対応させて分けていれば、他の分け方であってもよい。
第二種意識誘導というのは、周辺領域Bに存在する警告対象を運転者に視認させることを目的とした意識誘導であり、具体的には、左フロントスピーカ26から警告音を発生させることによって運転者の意識を左ドアミラーに誘導させる。なお、警告音としては短信音が適しており、望ましくは左ドアミラー自体から警告音が発生しているよう運転者に感じさせるようになっているとよい(他のスピーカも機能させて音場制御を行ってもよい)。
以上、本発明の実施形態の一つを説明したが、上記実施形態の運転支援装置11によれば、警告対象の存在位置に対応した視線領域の場所へ、運転者の意識を直接的に向かせるようになっている(S165,S215,S265)。したがって、どの方向に視線を向けなければならないかを運転者が判断する必要がなく、判断に時間がかからない。ゆえに、運転者は認識すべき対象物を従来よりも警告から短時間で認識することができる。
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、意識誘導方法として、ルームミラーLED31を点滅させる方法や、左フロントスピーカ26等から警告音を発生させる方法を採用していたが、他の方法であってもよい。
この場合には、ルームミラーLED31の点滅の代わりに(又はルームミラーLED31の点滅と共に)ルームミラー領域35の近傍のLED列41(LED41a〜41c)を点灯(又は点滅)させる。このようにすることにより、運転者30はルームミラー領域35に意識が向き、自然と視線をその方向へ向ける。その結果、運転者30は、周辺領域Cに存在する警告対象を視認することになると考えられる。
この場合には、LED41aからLED41dまで順に0.1秒程度点灯させ、LED41aの点灯開始から0.5秒程度でLED41dの点灯順になるように点灯させる。その後、0.5秒程度、全てのLEDを消灯させた状態に保ち、その後再びLED41aからLED41dまで順に点灯させる。
この場合には、LED41aからLED41eまで順に0.1秒程度点灯させ、LED41aの点灯開始から0.5秒程度でLED41eの点灯順になるように点灯させる。その後、0.5秒程度、全てのLEDを消灯させた状態に保ち、その後再びLED41aからLED41eまで順に点灯させる。
(2)上記実施形態では、視覚補助装備として、ドアミラーとルームミラーが装備されている場合について説明したが、他にも、車両の後方の映像を表示する後方映像表示装置や、車両前端の側方を撮影する側方映像表示装置(壁に囲まれていて見通しの悪いが交差点に進入する場合等に用いられる表示装置)が装備されているのであれば、それらの表示部を視線領域として割り当て、それらの撮影範囲を周辺領域として設定するようになっているとよい。そして、その周辺領域に警告対象が侵入した場合に、対応する視線領域へLEDや警告音等によって直接的に運転者の意識を誘導するようになっているとよい。
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載した用語との対応を示す。
Claims (5)
- 車両周辺に存在する警告対象に関する情報である警告対象情報を取得する警告対象情報取得手段と、
運転者の意識を特定の方向へ直接的に誘導可能な意識誘導手段と、
前記警告対象情報取得手段によって取得された前記警告対象情報に基づき、運転者が視線を向けるべき領域である視線領域を決定し、その決定した視線領域のある方向へ前記意識誘導手段によって運転者の意識を向けさせる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
車両の周辺を複数の周辺領域に分けると共に、車両側方に位置する周辺領域Aと、車両の外側に取り付けられたバックミラーを介して運転者が視認可能な周辺領域Bと、車室内に取り付けられたルームミラーを介して運転者が視認可能な周辺領域Cとの少なくとも三つを、それぞれ、前記周辺領域とし、
前記警告対象情報に基づき、前記周辺領域A,前記周辺領域B,前記周辺領域Cに前記警告対象が存在するか否かを、前記周辺領域C,前記周辺領域B,前記周辺領域Aの順番で判定し、これらの前記周辺領域のうち、該警告対象が存在すると判定された前記周辺領域に対応付けられた領域を、前記視線領域として決定すること、
を特徴とする運転支援装置。 - 請求項1に記載の運転支援装置において、
前記意識誘導手段は、複数の意識誘導方法によって運転者の意識を特定の方向へ誘導することができ、
前記制御手段は、前記決定する視線領域の場所に応じた意識誘導方法により、前記意識誘導手段に運転者の意識を特定の方向へ向けさせること、
を特徴とする運転支援装置。 - 請求項1に記載の運転支援装置において、
前記意識誘導手段が実行可能な意識誘導方法は、前記視線領域の場所に対応した、光の点灯、光の点滅、点灯箇所の移動、警告音の発生、及び、警告音の音源移動のうちの何れか一つの意識誘導方法であること、
を特徴とする運転支援装置。 - 請求項2に記載の運転支援装置において、
前記意識誘導手段が実行可能な意識誘導方法は、前記視線領域の場所に対応した、光の点灯、光の点滅、点灯箇所の移動、警告音の発生、及び、警告音の音源移動のうちの少なくとも何れか二つ以上の意識誘導方法であること、
を特徴とする運転支援装置。 - 請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載した前記制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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