JP4852925B2 - グラビア印刷機およびその制御方法 - Google Patents
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Description
制御装置は、このモータの操作量に基づいて第2の印刷ユニットのモータの目標モータ回転速度を算出し、モータの実際の回転速度がこの算出された目標モータ回転速度と略同一となるようモータを制御して版胴の回転速度を調整する。このことにより版胴の位相補正が行われて見当合わせが行われる。
しかしながら、セクショナルドライブ型のグラビア印刷機においては、各版胴の位相補正が印刷ユニット毎に行われ、これらの各版胴の回転により前後の両方の印刷ユニット間のテンションを変動させてしまう。
このため、とりわけ下流側の印刷ユニットにおいては、上流側にある他の印刷ユニットの見当制御によるテンション変動が干渉し、印刷の見当ずれに対して所望の見当合わせを行うことが困難である。
このようなグラビア印刷機によれば、下流側の印刷ユニットにおいてモータにより版胴の回転速度を調整して印刷の見当合わせを行う際、上流側のテンション変動に起因した見当変動を考慮して当該下流側の印刷ユニットのモータを制御することができる。このことにより、各印刷ユニットによる印刷の見当ずれを早期に定常状態に収束させることができる。
とりわけ、上流側にある他の後段印刷ユニットのモータにより版胴の回転速度を変えてウェブの所定箇所に対してテンション変動を引き起こしてから、下流側にある一の後段印刷ユニットのモータにより版胴の回転速度を変えてウェブの当該所定箇所に対してテンション変動を引き起こすまでの時間(遅れ時間)を考慮しながら、前記の一の後段印刷ユニットに対応するモータ操作量算出器に、より実際の運転状況に沿った見当ずれの大きさを送ることができる。このことにより、各印刷ユニットによる印刷の見当ずれをより早期に定常状態に収束させることができる。
このようなグラビア印刷機の制御方法によれば、下流側の印刷ユニットにおいてモータにより版胴の回転速度を調整して印刷の見当合わせを行う際、上流側のテンション変動に起因した見当変動を考慮して当該下流側の印刷ユニットのモータを制御することができる。このことにより、各印刷ユニットによる印刷の見当ずれを早期に定常状態に収束させることができる。
とりわけ、上流側にある他の後段印刷ユニットのモータにより版胴の回転速度を変えてウェブの所定箇所に対してテンション変動を引き起こしてから、下流側にある一の後段印刷ユニットのモータにより版胴の回転速度を変えてウェブの当該所定箇所に対してテンション変動を引き起こすまでの時間(遅れ時間)を考慮しながら、前記の一の後段印刷ユニットに対応するモータ操作量算出器に、より実際の運転状況に沿った見当ずれの大きさを送ることができる。このことにより、各印刷ユニットによる印刷の見当ずれをより早期に定常状態に収束させることができる。
このため、下流側の印刷ユニットにおいて、モータにより版胴の回転速度を調整して印刷の見当合わせを行う際、上流側のテンション変動に起因した見当変動を考慮して当該下流側の印刷ユニットのモータを制御することができる。このことにより、各印刷ユニットによる印刷の見当ずれを早期に定常状態に収束させることができ、見当合わせ時間を短縮することができる。このため、歩留まりを向上させることができ、生産効率を向上させることができる。
図1乃至図3は、本発明によるグラビア印刷機の実施の形態を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態のグラビア印刷機の構成を示す図であり、図2は、図1のグラビア印刷機の制御装置による制御方法を示すブロック図であり、図3は、図2の制御装置において各モータ操作量算出器に送られる見当ずれの大きさを経時的に示す説明図である。
また、このグラビア印刷機は、前段印刷ユニット10a、後段印刷ユニット10b、10c、10dを制御する制御装置30を有している。
なお、本発明において、モータ13aとしてはサーボモータに限定されることはなく、この場合、サーボドライバ17aの代わりにベクトルインバータ等を使用してもよい。
設定器30cは例えばタッチパネルからなり、見当コントローラ30aに指令を与えてこの見当コントローラ30aによる制御内容の設定を行うようになっている。具体的には、この設定器30cにおいて後述のように制御ゲインsおよび遅れ時間tの設定を行うようになっている。
見当コントローラ30a、モーションコントローラ30bおよび設定器30cからなる制御装置30による制御方法の詳細については後述する。
ウェブWが図1に示すグラビア印刷機に搬送されると、このウェブWはまず第1色目の前段印刷ユニット10aに送られる。このときに版胴11aはモータ13aにより回転駆動されており、前段印刷ユニット10aに送られたウェブWは回転駆動する版胴11aと圧胴12aとの間で挟持されて第1色目の印刷が施される。この際、ウェブWに対して第1の見当マークが版胴11aにより付けられる。
次に、見当マーク検出センサ15bにより、版胴11bから送られたウェブW上の第1の見当マークおよび第2の見当マークがそれぞれ検出され、これらの見当マークの信号が制御装置30の見当コントローラ30aに送られる。
同様に、後段印刷ユニット10cにおいて第3色目の印刷が施されたウェブWは、次に第4色目の後段印刷ユニット10dに送られて印刷が施される。ウェブWに対する第4色目の後段印刷ユニット10dの作用は、前述の第2、第3色目の後段印刷ユニット10b、10cの作用と略同一となっており、見当マーク検出センサ15dにより、版胴11dから送られたウェブW上の第3の見当マークおよび第4の見当マークがそれぞれ検出され、これらの見当マークの信号が制御装置30の見当コントローラ30aに送られる。
この際に、サーボドライバ17a、17b、17c、17dは、パルスジェネレータ18a、18b、18c、18dにより検出された実際のモータ13a、13b、13c、13dのモータ回転速度を、各々制御装置30のモーションコントローラ30bにより算出された目標モータ回転速度に近づけるよう、各モータ13a、13b、13c、13dに送るモータ駆動電流の大きさをそれぞれ調整するようになっている。
まず、各見当ずれ算出器31b、31c、31dの作用について、最も上流側にある見当ずれ算出器31bを一例として説明する。
見当ずれ算出器31bにおいて、対応する後段印刷ユニット10bの見当マーク検出センサ15bにより検出された、ウェブW上におけるこの後段印刷ユニット10bの版胴11bにより付けられた第2の見当マークおよび後段印刷ユニット10bの上流側に設けられた前段印刷ユニット10aの版胴11aにより付けられた第1の見当マークの間隔の大きさから、予め設定された間隔の設定値を減算することにより、見当ずれの大きさEb(n)(nは時刻)が予め設定された時間間隔で経時的に複数検出される。
具体的には、この時間間隔は例えば版胴11bが1回転する時間(t=1)とされ、見当ずれ算出器31bにより、経時的な複数の見当ずれの大きさEb(n)、Eb(n+1)、Eb(n+2)、・・・Eb(n+k)が検出されるようになっている。
見当ずれ算出器31c、31dにおいても、見当ずれ算出器31bと略同一の作用が行われる。すなわち、ウェブW上における第3の見当マークと第2の見当マークとの間隔の大きさから設定値を減算することにより見当ずれの大きさEc(n)が、また第4の見当マークと第3の見当マークとの間隔の大きさから設定値を減算することにより見当ずれの大きさEd(n)が、それぞれ予め設定された時間間隔で経時的に複数検出される。
一方、図2に示すように、モータ操作量算出器32cには、見当ずれ算出器31cにより算出された見当ずれの大きさEc(n)と、モータ操作量算出器32bに送られた見当ずれの大きさEb(n)との両方に基づいて求められた見当ずれの大きさEc´(n)が経時的に送られる。
具体的には、モータ操作量算出器32cに送られる見当ずれの大きさEc´(n)は、下記式(1)で求められる値となる。
Ec´(n)=Ec(n)+sEb(n−t) ・・・式(1)
式(1)において、sは予め設定された制御ゲインであり、tは予め設定された遅れ時間である。これらの制御ゲインsおよび遅れ時間tは、設定器30cにおいて、例えばオペレータによりタッチパネル等を介して手動で設定されるもの、あるいはグラビア印刷機の運転状態に応じて自動的に設定されるものとなっている。
Ed´(n)=Ed(n)+sEc´(n−t) ・・・式(2)
図3において横軸は時刻(t)であり、図3の右方向に時間が流れるようになっている。具体的には、例えば時刻t=n+2において、モータ操作量算出器32bに送られる見当ずれの大きさはEb(n+2)となり、モータ操作量算出器32cに送られる見当ずれの大きさはEc(n+2)+Eb(n)となり、また、モータ操作量算出器32dに送られる見当ずれの大きさはEd(n+2)+Ec(n)となる。
モータ操作量算出器32bは、このモータ操作量算出器32bに送られる見当ずれの大きさEb(n)が小さくなるよう、PID制御を行って後段印刷ユニット10bのモータ13bの操作量Xb(n)を前述の時間間隔(例えば、版胴11bが1回転する時間)で経時的に算出する。ここで、PID制御とは、比例制御(P制御)、積分制御(I制御)および微分制御(D制御)を組み合わせた制御のことをいう。
モータ操作量算出器32c、32dにおいても、モータ操作量算出器32bと略同一の作用が行われ、それぞれ各モータ操作量算出器32c、32dに送られる見当ずれの大きさEc´(n)、Ed´(n)が小さくなるよう、モータ13c、13dの操作量Xc(n)、Xd(n)が前述の時間間隔で経時的に複数算出される。
このため、例えば下流側の後段印刷ユニット10cにおいてモータ13cにより版胴11cの回転速度を調整して印刷の見当合わせを行う際、上流側のテンション変動に起因した見当変動を考慮して当該下流側の後段印刷ユニット10cのモータ13cを制御することができる。
このことにより、各後段印刷ユニット10b、10c、10dによる印刷の見当ずれを早期に定常状態に収束させることができる。
このため、上流側にある後段印刷ユニット10bのモータ13bにより版胴11bの回転速度を変えてウェブWの所定箇所に対してテンション変動を引き起こしてから、下流側にある後段印刷ユニット10cのモータ13cにより版胴11cの回転速度を変えてウェブWの当該所定箇所に対してテンション変動を引き起こすまでの時間(遅れ時間t)を考慮しながら、後段印刷ユニット10cに対応するモータ操作量算出器32cに、より実際の運転状況に沿った見当ずれの大きさを送ることができる。このことにより、各印刷ユニット10b、10c、10dによる印刷の見当ずれをより早期に定常状態に収束させることができる。
実施例および比較例に用いられるグラビア印刷機における前段印刷ユニットおよび後段印刷ユニットは、図1に示す前述の前段印刷ユニット10aおよび後段印刷ユニット10b、10c、10dと略同一の構成となっている。
しかしながら、実施例と比較例とでは、見当ずれ算出器からモータ操作量算出器へ送られる見当ずれの大きさの伝達方法が異なっている。
具体的には、例えばモータ操作量算出器32cには、見当ずれ算出器31cにより算出された見当ずれの大きさEc(n)と、モータ操作量算出器32bに送られた見当ずれの大きさEb(n)との両方に基づいて下記式(3)で求められる見当ずれの大きさEc´(n)が送られる。
Ec´(n)=Ec(n)+Eb(n) ・・・式(3)
具体的には、例えばモータ操作量算出器32cに送られる見当ずれの大きさEc´(n)は、式(4)に示すように、見当ずれ算出器31cにより算出された見当ずれの大きさEc(n)と同一である。
Ec´(n)=Ec(n) ・・・式(4)
すなわち、本実施例のように下流側の印刷ユニットにおいてモータにより版胴の回転速度を調整して印刷の見当合わせを行う際、上流側の見当変動を考慮して当該下流側の印刷ユニットのモータを制御することにより、各印刷ユニットによる印刷の見当ずれを早期に定常状態に収束させることができることがわかる。
10b、10c、10d 後段印刷ユニット
11a、11b、11c、11d 版胴
12a、12b、12c、12d 圧胴
13a、13b、13c、13d モータ(サーボモータ)
15b、15c、15d 見当マーク検知センサ
17a、17b、17c、17d サーボドライバ
18a、18b、18c、18d パルスジェネレータ
30 制御装置
30a 見当コントローラ
30b モーションコントローラ
30c 設定器
31b、31c、31d 見当ずれ算出器
32b、32c、32d モータ操作量算出器
33b、33c、33d モータ制御器
W ウェブ
Claims (2)
- 連続的に搬送されるウェブに対して印刷を施すとともに見当マークをこのウェブに付ける版胴と、この版胴に連結され、当該版胴を回転駆動させるモータとを有する前段印刷ユニットと、
前段印刷ユニットの下流側に設けられ、ウェブに対して印刷を施すとともに見当マークをこのウェブに付ける版胴と、版胴の下流側に設けられ、ウェブ上の見当マークを検出する見当マーク検出センサと、版胴に連結され、この版胴を回転駆動させるモータとをそれぞれ有する複数の後段印刷ユニットと、
一の後段印刷ユニットの見当マーク検出センサにより検出された、ウェブ上における一の後段印刷ユニットの版胴により付けられた見当マークと、一の後段印刷ユニットの上流側に設けられた前段印刷ユニットまたは他の後段印刷ユニットの版胴により付けられた見当マークとの間の見当ずれの大きさを算出する見当ずれ算出器と、見当ずれの大きさに基づいて一の後段印刷ユニットのモータの操作量を算出するモータ操作量算出器と、モータ操作量算出器から送られた前記のモータの操作量に基づいて一の後段印刷ユニットのモータを制御して版胴の回転速度を調整し、この版胴の位相補正を行うモータ制御器とをそれぞれ複数有する制御装置と、を備え、
制御装置は、他の後段印刷ユニットに対応するモータ操作量算出器に見当ずれの大きさを送ってから予め設定された遅れ時間が経過した後に、一の後段印刷ユニットに対応する見当ずれ算出器により算出される見当ずれの大きさと、他の後段印刷ユニットのモータ操作量算出器に既に送られた前記の見当ずれの大きさに予め設定された制御ゲインを掛けて求めた見当ずれの大きさとを加算し、この見当ずれの合計の大きさを一の後段印刷ユニットに対応するモータ操作量算出器に送ることを特徴とするグラビア印刷機。 - 請求項1記載のグラビア印刷機の制御方法において、
一の後段印刷ユニットの見当マーク検出センサにより検出された、ウェブ上における一の後段印刷ユニットの版胴により付けられた見当マークと、一の後段印刷ユニットの上流側に設けられた前段印刷ユニットまたは他の後段印刷ユニットの版胴により付けられた見当マークとの間の見当ずれの大きさを制御装置の見当ずれ算出器により算出する工程と、
見当ずれの大きさに基づいて一の後段印刷ユニットのモータの操作量を制御装置のモータ操作量算出器により算出する工程と、
モータ操作量算出器から送られた前記のモータの操作量に基づいて、制御装置のモータ制御器により一の後段印刷ユニットのモータを制御して版胴の回転速度を調整し、この版胴の位相補正を行う工程と、を備え、
他の後段印刷ユニットに対応するモータ操作量算出器に見当ずれの大きさを送ってから予め設定された遅れ時間が経過した後に、一の後段印刷ユニットに対応する見当ずれ算出器により算出される見当ずれの大きさと、他の後段印刷ユニットのモータ操作量算出器に既に送られた前記の見当ずれの大きさに予め設定された制御ゲインを掛けて求めた見当ずれの大きさとを加算し、この見当ずれの合計の大きさを一の後段印刷ユニットに対応するモータ操作量算出器に送ることを特徴とするグラビア印刷機の制御方法。
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