JP4848902B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
この第2スライド機構60は、いわゆる台形ねじを有するねじ軸とこれに噛み合うナットからなるねじ軸機構を主体とするもので、ねじ軸の回転によりナットをねじ軸方向に移動させることによりシート本体10を昇降ベース55に対して移動させる構成となっていた。このため、ねじ軸が電動モータにより積極回転されない限り、シート本体10は昇降ベース55に対して移動不能にロックされた状態(セルフロック機能)となる。
これに対して、例えば車両前突時等であってシート本体10に大きなシートベルト荷重が付加された場合には、第2スライド機構60においてねじ軸が積極回転されないため当該シート本体10の水平移動がロックされていることから、当該シートベルト荷重はシート本体10の後部を上方へ浮かせる方向(図12中白抜きの矢印で示す方向)の大きな外力として作用する。この場合には、フック90が斜め上方へ変位して係合ブラケット80に係合し、これにより当該シート本体10の後部を上方へ変位させる方向の外力を強固に受けて当該シート本体10の不正な方向への変位(シートベルト荷重により移動する動作であって、この場合後部を上方へ変位させる前のめり方向への変位)を阻止することができるようになっている。
これに対して、上記したようにシート本体10に大きなシートベルト荷重が付加されて上側の不正変位ロック機構Rにおいてフック90が係合ブラケット80に係合され、その結果回転ベース35に対して上方へ変位させる方向の外力が付加された場合に、引き掛けブラケット95の引き掛け部95aが受けブラケット85の受け部85aに対して下側から係合され、これにより引き掛けブラケット95と受けブラケット85を経て回転ベース35が上方への変位について車両フロアFに結合され、結果的に上記シートベルト荷重が車両フロアF側で強固に受けられる。
このように、従来車両用シートにおいて、シート本体10に付加された大きなシートベルト荷重を上下の不正変位ロック機構R,Zを経て車両フロアF側で直接受けることにより、シート本体10の不正な方向への変位を規制できるようになっている。
本発明は、この問題を解消するためになされたもので、シート本体を昇降ベースに対して水平移動させる第2スライド機構についてセルフロック機能を期待することができない例えばラックピニオン機構を用いた場合であっても、不正変位ロック機構を確実に機能させてシートベルト荷重による当該シート本体の不正な方向への変位を確実に阻止することができるようにすることを目的とする。
第1の発明は、シート本体と、シート本体を車両正面向きの位置とドア開口部側に向いた位置との間で水平回転させる回転機構と、回転機構とシート本体との間に介装されてシート本体を水平移動させる第1スライド機構と、第1スライド機構の昇降支持ベースに昇降機構を介して昇降可能に支持された昇降ベースと、昇降ベース上に設置されてシート本体を水平移動させる第2スライド機構と、シート本体の車両前方への水平移動を許容する一方、シートベルト荷重付加時にその後部の上方への不正な変位を規制する不正変位ロック機構を備えた車両用シートであって、シート本体が車両正面向きに位置する状態において、シート本体の後部に対して車両前方への水平移動を規制しつつ上方へ案内して不正変位ロック機構を機能させるロック補助機構を備えた車両用シートである。
第1の発明によれば、シート本体が車両正面向きに着座位置する例えば車両走行状態において車両前突等によりシート本体に対して前方斜め上方への大きなシートベルト荷重が付加された場合に、ロック補助機構によりシート本体の前方への水平移動が規制されてその後部が前方斜め上方へ案内されるので、不正変位ロック機構を確実に機能させてシートベルト荷重を受けることができ、これにより当該シート本体の前のめり方向の不正変位を確実に防止することができる。
このようにシート本体にシートベルト荷重が付加された場合にロック補助機構によってシート本体の前方への水平移動が規制されるので、第2スライド機構について従来のねじ軸機構に代えてセルフロック機能を期待できない例えばラックピニオン機構を用いた場合でも車両前突時等において不正変位ロック機構を確実に機能させることができる。
第2の発明は、第1の発明において、ロック補助機構は、回転機構により水平回転する回転ベースに上方の規制位置と下方の退避位置との間を傾動可能かつ下方の退避位置側へばね付勢して設けられ、第1スライド機構の昇降支持ベースの後退動作によりばね付勢に抗して規制位置へ傾動される補助レバーと、シート本体の後部に一体に設けられた後部規制部を備え、シート本体が着座位置に位置する状態では、補助レバーの後側に後部規制部を当接させて前方への水平移動を規制しつつ前方斜め上方へ案内する構成とした車両用シートである。
第2の発明によれば、特別の駆動源を用いることなく補助レバーを上下に傾動させてロック補助機構を作動させることができる。すなわち、第1スライド機構により昇降支持ベースの後退動作により補助レバーがばね付勢に抗して上方の規制位置へ傾動され、昇降支持ベースが前進するとこの補助レバーはばね付勢により下方の退避位置へ戻される。昇降支持ベースが後退してシート本体が着座位置に位置する状態では、補助レバーが規制位置に位置し、シート本体にシートベルト荷重が付加された場合には当該補助レバーの後側によって後部規制部が前方斜め上方に案内されることによりシート本体の前方への水平移動が規制されてその後部が上方へ変位することにより付勢変位ロック機構が確実に機能する。
第3の発明は、第2の発明において、補助レバーが退避位置に位置する状態でシート本体の後退動作により後部規制部が補助レバーの後側へ通過した後、昇降支持ベースの後退動作により補助レバーを上方の規制位置に傾動させる構成とした車両用シートである。
第3の発明によれば、シート本体の後退動作と補助レバーの傾動動作のタイミングが適切に設定されることにより、シート本体が着座位置に位置する状態においてその後部規制部が補助レバーの後側に位置される。すなわち、シート本体の後部規制部が当該シート本体の後退動作により補助レバーの前側から後側に移動し、その後昇降支持ベースにより当該補助レバーが上方の規制位置に傾動される。このため、シート本体が車両正面向きの着座位置に位置する状態では、補助レバーが規制位置に位置してシート本体の後部規制部の前側に位置し、これにより後部規制部ひいてはシート本体の前方への水平移動が規制されるとともに、シートベルト荷重が付加された場合には、後部規制部が補助レバーの後側によって前方斜め上方に案内されることにより不正変位ロック機構を確実に機能させることができる。
図1に示すようにこの車両用シート100は、シート本体10を車両前方に向けた車両正面向きの着座位置(図中実線で示す位置)とドア開口部D側に向けられた乗降位置(図中二点鎖線で示す位置)との間で水平に約90°回転させ、ドア開口部D側に向けた乗降位置でさらに当該ドア開口部Dを経て車室内側間を移動させる機能を備えている。なお、図1中符号Hはステアリングハンドルを示し、符号P1は助手席を示し、符号P2は後部席を示している。
図2に示すようにこの車両シート100は、シートクッション11とシートバック12を有するシート本体10を備えている。このシート本体10は、車両フロアF上に設置した前後スライド機構20により車両前後方向へ一定の範囲で移動可能となっている。この前後スライド機構20は、車両フロアFに固定したユニットベース23上に設置されている。ユニットベース23には車両前後方向に沿って相互に平行にスライドレール22,22が固定されている。このスライドレール22,22を介して前後スライドベース21が車両前後方向に移動可能に支持されている。前後スライドベース21とユニットベース23と間には、前後スライドモータ24aとこれにより回転するねじ軸24bとこれに噛み合わされたナット24cを有するねじ軸駆動機構24が介装されている。前後スライドモータ24aがユニットベース23上に設置され、ねじ軸24bがユニットベース23上に回転可能に支持され、ナット24cが前後スライドベース21の下面に固定されている。前後スライドモータ24aが起動すると、ねじ軸24bがその軸回りに回転し、これによりナット24cがねじ軸24bに沿って移動することにより前後スライドベース21が車両前後方向に一定の範囲で水平移動する。
回転ベース35上には、第1スライド機構40を介して昇降支持ベース44が水平方向にスライド可能に支持されている。第1スライド機構40は、左右一対の直動案内機構42,42と、第1スライドモータ45aとこれにより回転する歯の断面形状が台形のねじ軸45bとこれに噛み合わされたナット45cを有するねじ軸駆動機構45を備えている。第1スライドモータ45aは回転ベース35上に設置され、ねじ軸45bは同じく回転ベース35上に回転可能に支持され、ナット45cは昇降支持ベース44側に固定されている。このため、第1スライドモータ45aが起動するとねじ軸45bがその軸回りに回転し、これによりナット45cがねじ軸45bに沿って移動して昇降支持ベース44が回転ベース35上を水平移動する。
昇降支持ベース44の両側部には、左右一対の昇降機構50,50が支持されている。両昇降機構50,50は、それぞれ昇降アーム51,52を備えている。両昇降アーム51,52の基端側が昇降支持ベース44の側部に上下に傾動可能に支持されている。また、図2に示すように外側昇降アーム51,51は、内側昇降アーム52,52の外側に配置されている。
この左右一対の昇降機構50,50の傾動先端部間に昇降ベース55が支持されている。この昇降ベース55と上記昇降支持ベース44と両ベース44,55を結合する昇降機構50の昇降アーム51,52により四節平行リンク機構が構成されている。両昇降機構50,50の外側昇降アーム51,51は、それぞれ回転ベース35の室外側端部に設けた受けローラ53上に載せ掛けられている。
このため、第1スライド機構40の動作により昇降支持ベース44が回転ベース35上を車室内側から車室外側に移動すると、上記受けローラと昇降支持ベース44間の距離が小さくなるため、左右一対の平行リンク機構を構成する昇降アーム51,51,52,52が下方に傾動して昇降ベース55が車室外側へ移動しつつ下方へ平行移動する。逆に、昇降支持ベース44が車室外側から車室内側へ移動すると、昇降支持ベース44と受けローラ間の間隔が大きくなるため、昇降アーム51,51,52,52が上方へ傾動して昇降ベース55が車室内側へ移動しつつ上方へ平行移動する。
昇降ベース55が車室内外間を移動しつつ上下に平行移動されることによりシート本体10が車室内側間で着座姿勢を維持しつつ昇降される。
ラックピニオン駆動機構76は、昇降ベース55上に取り付けた第2スライドモータ71と、この第2スライドモータ71の出力軸に取り付けたピニオンギヤ72と、このピニオンギヤ72が噛み合わされたラック73を備えている。ラック73はシートホルダ75の下面に取り付けられている。ラック73はその長手方向をシート本体10の前後方向に沿わせて固定されている。また、ラック73は、左右の直動案内機構74,74の直動レール74a,74aと平行に固定されている。
第2スライドモータ71が起動するとピニオンギヤ72が回転して、これが噛み合わされたラック73が昇降ベース55に対して移動し、従ってシート本体10がその前後方向に移動する。
以上のように構成された車両用シート100は以下のように動作して、車両Mへの乗降を楽に行うことができる。シート本体10を車室内から車室外へ移動させる場合(降車モード)には、図2に示す着座位置から、前後スライド機構20及び回転機構30の作動によりシート本体10が車両前方へ移動しつつドア開口部D側に向けて約90°回転される。こうしてシート本体10がドア開口部D側に向けられた状態が図6に示されている。
次に、図7に示すようにシート本体10がドア開口部D側に向けられた状態で、先ず第2スライド機構70の第2スライドモータ71が降車側に起動する。第2スライドモータ71が降車側に起動すると、ピニオンギヤ72が回転してラック73が車室外側へ移動し、これによりシート本体10が昇降ベース55に対して車室外側(ドア開口部D側)へ水平移動される。
車室外に取り出されたシート本体10に着座者が着座し、逆にシート本体10から着座者が立ち上がって空席になったシート本体10を車室内へ戻す場合(乗車モード)には、各機構を上記とは逆の順序で作動させる。すなわち、図8に示す状態で、先ず第1スライド機構40が乗車モード側に作動して昇降支持ベース44が車室内側へ移動し、これにより左右の昇降機構50,50が上方へ傾動しつつ車室内側に戻される。これにより昇降ベース55及びシート本体10が着座姿勢を維持して上昇しつつ車室内側へ移動する。
昇降支持ベース44が第1スライド機構40のスライド後端位置まで戻されて、シート本体10が図7に示す高さまで戻された後、第2スライド機構70が乗車モード側に作動して、シート本体10が車室内側に水平移動される。図6に示すようにシート本体10が第2スライド機構70のスライド後端位置まで戻された後、前後スライド機構20及び回転機構30が乗車モード側に作動してシート本体10が後退しつつ車両正面向きの位置まで水平回転される。こうしてシート本体10が車両正面向きの着座位置に戻されると、着座者の乗車が完了する。
また、シート本体10の側部であって上記フック90の近傍には、シートベルトのバックルBが取り付けられている。
さらに、上記上側の不正変位ロック機構Rの下側には従来と同様の不正変位ロック機構Zが設けられている。図2に示すようにこの下側の不正変位ロック機構Zは、回転ベース35の側部に取り付けた引き掛けブラケット95と、車両フロアF上に固定した受けブラケット85を備えている。引き掛けブラケット95の引き掛け部95aが、受けブラケット85の受け部85aに対して下側から係合されると、回転ベース35がその上方への変位について車両フロアF側に結合される。この点は従来と同様であるので詳細な説明を省略する。
これに対して、車両前突時等であってシート本体10に大きなシートベルト荷重IがバックルBを経て付加された場合には、シート本体10に前のめり方向(前方斜め上方、図4において白抜きの矢印で示す方向)の大きな外力が作用し、従って当該シート本体10の後部に対して上方へ変位させる方向の外力(シートベルト荷重I)が作用する。このシートベルト荷重Iによってシート本体10の後部が前方斜め上方の不正な方向へ変位し始めた直後、フック90の引き掛け部90aが係合ブラケット80の係合孔80aの上端部に引き掛けられ、これによりシート本体10の後部の前方斜め上方への不正な変位が強固に阻止される。
また、上記のように上側の不正変位ロック機構Rを経てシート本体10が回転ベース35に結合される結果、当該回転ベース35に対して上方へ変位する方向(不正方向)の外力が付加され、これにより下側の不正変位ロック機構Rにおいて引き掛けブラケット95の引き掛け部95aが受けブラケット85の受け部85aに対して下側から係合されて、回転ベース35が車両フロアF側に結合される。こうして上下の不正変位ロック機構R,Zを経てシート本体10が車両フロアF側に結合されることによりシートベルト荷重Iが車両フロアF側で受けられ、結果的にシート本体10の不正方向への変位を規制することができる。
ここで、第1スライド機構40は、台形ねじのねじ軸45bを有するねじ軸駆動機構45を主体とすることから、ねじ軸45bが第1スライドモータ45aにより積極回転されない限りシート本体10は水平移動されず、いわゆるセルフロック機能を有することからシート本体10にシートベルト荷重Iが付加された場合であっても、当該第1スライド機構40によってはシート本体10が水平移動することがない。これに対して、本実施形態の車両用シート100では、第2スライド機構70はラックピニオン機構76を主体として動作し、これにより従来のねじ軸機構を用いた場合よりも高さ方向のコンパクト化を実現した構成となっている。ラックピニオン機構76にはねじ軸機構のようなセルフロック機能を期待することができない。このため、別途対策を施さないと、車両前突時等にシート本体10に大きなシートベルト荷重Iが付加された場合には、第2スライド機構70において第2スライドモータ71が起動していないにも係わらずピニオンギヤ72を回転(空転)させつつラック73が前方へ移動(動力の逆入力)してしまうことによりシート本体10が前方へ水平移動し、その結果フック90が係合ブラケット80に係合されない(不正変位ロック機構Rが機能しない)おそれがある。
補助レバー111は、回転ベース35の幅方向中央後端部に設けたブラケット部35aに支軸112を介して上方の規制位置と下方の退避位置との間を上下に傾動可能に支持されている。支軸112の周囲であって補助レバー111とブラケット部35aとの間には捩りばね113が介装されている。この捩りばね113によって補助レバー111は下方の退避位置側に傾動する方向に付勢されている。図9及び図10はこの補助レバー111が下方の退避位置に位置する状態を示し、図11は補助レバー111が上方の規制位置に位置する状態を示している。
レバー動作部120と受け部125は、それぞれ昇降支持部ベース44の幅方向中央後部に設けられている。レバー動作部120は受け部125の前側かつ下側に設けられている。レバー動作部120と受け部125はそれぞれ後方斜め下方に張り出す状態に設けられており、それぞれの先端側はL字形に屈曲している。レバー動作部120と受け部125は、相互に前後方向及び上下方向に予め適切に設定された一定の間隔を保って昇降支持ベース44と一体で移動する。
後部規制部130は、シートホルダ75の幅方向中央後端部に一体に設けられている。シートホルダ75の幅方向中央後端部には、概ね平板形状をなすストッパ縁部131が一体に設けられている。このストッパ縁部131の上面側には弾性ゴムを素材とするストッパゴム132が取り付けられている。このストッパゴム132は、シート本体10が車室内の着座位置に位置する時に、上記昇降支持ベース44の受け部125に対して前側から弾性的に押圧され、これによりシートホルダ75の昇降支持ベース44に対するスライド後端位置でのがたつき防止及び振動吸収がなされるようになっている。
ストッパ縁部131の下面側に後部規制部130がビス止めにより一体に固定されている。後部規制部130は、ストッパ縁部131から前側へ張り出しており、その先端側は前方斜め上方へ延びている。
先ず、シート本体10が車室外側から車室内に戻される乗車モード動作の過程(図8に示す位置から図6に示す位置に戻される過程)において、前記したように第1スライド機構40の作動により昇降支持ベース44が車室内側へ戻される段階で、当該昇降支持ベース44がそのスライド後端位置に至る手前(図7に示す位置の左側手前)で第1スライド機構40が一旦停止される。この状態が図9に示されている。この状態では、受け部125及びレバー動作部120が共に補助レバー111の手前(図9において左側)に位置している。このため、補助レバー111は捩りばね113の付勢力により依然として下方の退避位置に位置する状態となっている。
このように昇降支持ベース44がそのスライド後端位置の手前で一旦停止された状態で、第2スライド機構70が乗車モード側に作動してシート本体10が車室内側に移動する。シート本体10が第2スライド機構70のスライド後端位置に至ることによりストッパゴム132が受け部125に当接し、この段階で第2スライド機構70が停止される。この段階の状態が図10に示されている。この段階では、シート本体10側の規制レバー130は補助レバー111の手前に位置している。また、この段階では、第2スライド機構70はそのスライド後端まで作動されて、乗車モード時におけるその作動が完了した状態となり、従って昇降支持ベース44に対してシート本体10がスライド後端位置に至っている。
次に、再度第1スライド機構40が乗車モードで作動し、これにより昇降支持ベース44が残りの僅かなストロークを後退する。この段階ではシート本体10も昇降支持ベース44と一体で車室内側に僅かなストロークだけ戻される。
このように乗車モードでの作動によりシート本体10が第2スライド機構70により昇降支持ベース44に対してスライド後端位置に戻され、かつ第1スライド機構40により昇降支持ベース44が回転ベース35に対してスライド後端位置に戻された後、回転機構30及び前後スライド機構20によりシート本体10がドア開口部D側から車両正面向きの位置に回転しつつ車両後側に戻されて当該乗車モード時の一連の動作が完了する。
この乗車モードでの作動完了時点では、補助レバー111がレバー動作部120によって上方の規制位置に保持され、この補助レバー111の後部にシート本体10側の規制レバー130が当接された状態となっている。補助レバー111の後部に規制レバー130が当接した状態では、当該規制レバー130が補助レバー111の後部に沿って前方斜め上方への移動が許容される一方、前方への水平移動が阻止された状態となっている。このため、シート本体10の前方への水平移動が規制され、当該シート本体の後部について前方斜め上方への変位が許容された状態となっている。
また、この乗車モードでの作動完了時点では、図4に示すように上側の不正変位ロック機構Rにおいてシート本体10側のフック90の引き掛け部90aが回転ベース35側の係合ブラケット80の係合孔80aに挿通された状態となり、また下側の不正変位ロック機構Zにおいて回転ベース35側の引き掛けブラケット95の引き掛け部95aが車両フロアF側の受けブラケット85の受け部85aの下側に隙間をおいて位置する状態となっている。この状態でシート本体10に着座者が着座し、車両Mが走行する。
この不正変位ロック機構R,Zは、ロック補助機構110により確実に機能する。このロック補助機構110によれば、レバー動作部130により上方の規制位置に保持された補助レバー111の後部にシート本体10側の規制レバー130が当接され、当該シート本体10の後部に前方斜め上方への変位が許容される一方、その前方への水平変位が規制された状態とされ、これにより車両前突時等によりシート本体10に大きなシートベルト荷重Iが付加された時には、不正変位ロック機構Rのフック90を係合ブラケット80に確実に係合させ、その結果引き掛けブラケット95の引き掛け部95aを受けブラケット85の受け部85aに確実に係合させてシート本体10を車両フロアF側に結合させて当該シートベルト荷重Iを車両フロアF側で確実に受けることができる。
このことから、第1スライド機構40ではセルフロック機能を有するねじ軸機構を用いる一方、第2スライド機構70においてねじ軸機構のようなセルフロック機能を有しないラックピニオン機構76を用いることができ、これにより当該第2スライド機構70ひいては車両用シート100を高さ方向にコンパクトに構成することができるようになる。
また、上記のように不正変位ロック機構R,Zを確実に機能させるためのロック補助機構110における補助レバー111は、主として昇降支持ベース44の移動動作を利用して規制位置と退避位置との間を傾動させる構成であるので、そのための特別の駆動源を必要としないことから簡易な構成で上記作用効果を得ることができるとともに確実な動作を実現することができる。
F…車両フロア
B…シートベルトのバックル
1,100…車両用シート
10…シート本体
20…前後スライド機構
21…前後スライドベース、22…スライドレール
24…ねじ軸機構
30…回転機構
35…回転ベース
40…第1スライド機構(ねじ軸タイプ)
44…昇降支持ベース
45…ねじ軸駆動機構
50…昇降機構
55…昇降ベース
60…第2スライド機構(ねじ軸タイプ)
70…第2スライド機構(ラックピニオンタイプ)
71…第2スライドモータ
72…ピニオンギヤ
73…ラック
75…シートホルダ
76…ラックピニオン駆動機構
R…不正変位ロック機構(上側)
Z…不正変位ロック機構(下側)
80…係合ブラケット,80a…係合孔
85…受けブラケット
90…フック、90a…引き掛け部
95…引き掛けブラケット
I…シートベルト荷重
110…ロック補助機構
111…補助レバー
113…捩りばね
120…レバー動作部
125…受け部
130…後部規制部
132…ストッパゴム
Claims (4)
- シート本体と、該シート本体を車両正面向きの位置とドア開口部側に向いた位置との間で水平回転させる回転機構と、該回転機構と前記シート本体との間に介装されて該シート本体を水平移動させる第1スライド機構と、該第1スライド機構の昇降支持ベースに昇降機構を介して昇降可能に支持された昇降ベースと、該昇降ベース上に設置されて前記シート本体を水平移動させる第2スライド機構と、前記シート本体の車両前方への水平移動を許容する一方、シートベルト荷重付加時にその後部の上方への不正な変位を規制する不正変位ロック機構を備えた車両用シートであって、
前記第1スライド機構と前記第2スライド機構のうち前記第1スライド機構のみがセルフロック機能を有しており、
前記シート本体が前記車両正面向きに位置する状態において、該シート本体の後部に対して車両前方への水平移動を規制して前記第2スライド機構の動作をロックしつつ該シート本体を前方斜め上方へ案内して前記不正変位ロック機構を機能させるロック補助機構を備えた車両用シート。 - 請求項1記載の車両用シートであって、前記ロック補助機構は、上方の規制位置と下方の退避位置との間を移動可能に支持され、前記シート本体が前記車両正面向きに位置した状態で前記規制位置に移動する補助レバーを備え、該規制位置に位置する補助レバーが前記シート本体の後部に当接しながら当該シート本体を前方斜め上方へ案内する構成とした車両用シート。
- 請求項2記載の車両用シートであって、前記補助レバーは、前記回転機構により水平回転する回転ベースに上方の規制位置と下方の退避位置との間を傾動可能かつ下方の退避位置側へばね付勢して設けられ、前記第1スライド機構の昇降支持ベースの後退動作により前記ばね付勢に抗して前記規制位置へ傾動される構成とされ、該補助レバーに加えて前記ロック補助機構は、前記シート本体の後部に一体に設けられた後部規制部を備え、
前記シート本体が着座位置に位置する状態では、前記補助レバーの後側に前記後部規制部を当接させて前方への水平移動を規制しつつ前方斜め上方へ案内する構成とした車両用シート。 - 請求項3記載の車両用シートであって、前記補助レバーが退避位置に位置する状態で前記シート本体の後退動作により前記後部規制部が該補助レバーの後側へ通過した後、前記昇降支持ベースの後退動作により前記補助レバーを上方の規制位置に傾動させる構成とした車両用シート。
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