JP4840004B2 - 用紙処理装置及び用紙処理方法 - Google Patents

Description

この発明は、白黒用及びカラー用のコピー機や印刷装置等から出力される記録紙にパンチ処理を実施し、パンチ処理後の記録紙に綴じ部品を綴じる処理等を行う装置に適用可能な用紙処理装置及び用紙処理方法に関するものである。

詳しくは、綴じ部品を綴じる処理時間と、設定された目標時間とを制御手段により比較し、処理時間が目標時間を超過した場合に、綴じ開始位置から綴じ完了位置に至る綴じストロークを略ゼロに設定（無負荷モード）することで、無負荷モードが設定されている間綴じ処理を停止できるようにすると共に、綴じ手段をホームポジションへ待機させるための処理へ移行できるようにして、当該装置が、ロックした状態に陥ることを回避できるようにした用紙処理装置等に係るものである。

近年、白黒用及びカラー用のコピー機や印刷装置等に、孔あけ及びバインド処理を行う用紙処理装置を組み合わせて使用される場合が多くなってきた。この種の用紙処理装置によれば、画像形成後の記録用紙を受入れ、その用紙の下流側にパンチ機能を利用して用紙を穿孔している。穿孔後の複数枚の用紙は再度整列される。整列後の複数枚用紙の穿孔された孔に、綴じ部品が自動で挿入されて嵌合される。

例えば、綴じ部品を複数枚用紙の穿孔された孔に自動で嵌合する際には、綴じ部品を保持固定する保持部と保持固定された綴じ部品を穿孔された孔に挿入して嵌合する嵌合部とを備える。保持部は、綴じ部品収納部から展開されている所定の大きさの綴じ部品を受け取って、展開されたままの状態で保持固定する。また、嵌合部は、保持部により展開された状態で保持固定されている綴じ部品を複数枚用紙の穿孔された孔に挿入して嵌合する。

このような用紙処理装置に関連して特許文献１には、パンチ孔を形成した紙をバインダ（綴じ部品）で綴じるバインド処理装置が開示されている。このバインド処理装置によれば、バインダの中央１／３リング部（背骨部に相当）の前面がバインダカートリッジに設けられたストッパー部に当接して前進を阻止されることで、上下１／３リング部の綴じ動作中にバインダが前方へ移動することなく綴じ動作が安定するという構成である。また、綴じが完了することでバインダはバインダカートリッジに対し横方向への移動が許容される。これにより、ストッパー部との係合が解除されると共にカートリッジの前面開口から解放可能な状態となる。

特開２００５−５９３９６号公報（第５頁 図１３）

しかしながら、従来方式及び特許文献１に係るバインド処理装置によれば、バインダの中央１／３リング部（背骨部に相当）の前面がストッパー部に当接して前進を阻止され、綴じが完了することでバインダはバインダカートリッジに対し横方向への移動が許容されて解放可能な状態となる。このため、バインド機構部が用紙のパンチ孔以外の個所を綴じた場合、バインド機構部はバインド処理が完了できずロックするおそれがある。このとき、バインド機構部の動作を逆転してロックの解除を試みても上下１／３リング部は綴じ状態になく、バインダカートリッジに対し横方向へ移動できない。従って、中央１／３リング部はストッパー部との係合が解除されないため用紙を挟んだ状態でバインダカートリッジからも抜けない状態となり、当該装置のロックを解除することが困難になるという問題がある。

そこで、この発明は上述した課題を解決したものであって、綴じ（バインド）処理不良が発生した場合に、綴じ部品（バインダ）を綴じる処理を停止できるようにすると共に、綴じ部品を綴じる綴じ手段をホームポジションへ待機させるための処理へ移行できるようにして、当該装置が、ロックした状態に陥ることを回避できるようにした用紙処理装置及び用紙処理方法を提供することを目的とする。

上述した課題を解決するために、本発明に係る請求項１に記載の用紙処理装置は、複数の各々の用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品を綴じて冊子を作成する用紙処理装置であって、展開状の綴じ部品を綴じて環状の綴じ部品にする工程に関連して、関連して、綴じ爪用カムの回転によって綴じ爪リンクが下方向へ移動を開始する位置を綴じ開始位置とし、前記綴じ爪用カムの回転後、前記綴じ爪リンクが最下部に移動したときの位置を綴じ完了位置として、当該綴じ爪リンクが前記綴じ開始位置から前記綴じ完了位置に至る行程を綴じストロークとし、綴じ開始時刻から綴じ完了時刻に至る経過時間を綴じ処理の目標時間とし、前記綴じストロークを略ゼロに設定して綴じ処理を待機する動作を無負荷モードとしたとき、前記用紙の穿孔された孔に前記綴じ部品を綴じる綴じ手段と、前記綴じ手段における綴じ部品の処理時間を測定し、測定された処理時間と設定された前記目標時間とを比較し、比較結果に基づいて前記綴じ手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記処理時間が前記目標時間を超過した場合に、前記綴じ手段に無負荷モードを設定することを特徴とするものである。

本発明に係る用紙処理装置によれば、複数の各々の用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品を綴じて冊子を作成する場合であって、綴じ手段は、用紙の孔に綴じ部品を綴じる。制御手段は、綴じ手段における綴じ部品の処理時間を測定し、測定された処理時間と設定された目標時間とを比較し、処理時間が目標時間を超過した場合に、綴じ手段に無負荷モードを設定する。これにより、無負荷モードが設定されている間綴じ手段の綴じ処理を停止できるので、綴じ手段をホームポジションへ待機させるための処理へ移行できるようになる。従って、当該装置が、ロックした状態に陥ることを回避できるようになる。

上述した課題を解決するために、本発明に係る請求項３に記載の用紙処理方法は、複数の各々の用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品を綴じて冊子を作成する用紙処理装置が、展開状の綴じ部品を綴じて環状の綴じ部品にする工程に関連して、綴じ爪用カムの回転によって綴じ爪リンクが下方向へ移動を開始する位置を綴じ開始位置とし、前記綴じ爪用カムの回転後、前記綴じ爪リンクが最下部に移動したときの位置を綴じ完了位置として、当該綴じ爪リンクが前記綴じ開始位置から前記綴じ完了位置に至る行程を綴じストロークとし、綴じ開始時刻から綴じ完了時刻に至る経過時間を綴じ処理の目標時間とし、前記綴じストロークを略ゼロに設定して綴じ処理を待機する動作を無負荷モードとしたとき、前記目標時間を綴じ処理系に設定するステップと、前記綴じ処理系によって綴じられる綴じ部品の綴じ処理に係る処理時間を測定するステップと、測定された処理時間と設定された前記目標時間とを比較するステップと、比較した結果、前記処理時間が前記目標時間を超過していた場合に、前記無負荷モードを綴じ処理系に設定するステップとを実行することを特徴とするものである。

本発明に係る用紙処理方法によれば、複数の各々の用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品を綴じて冊子を作成する場合であって、無負荷モードが設定されている間綴じ処理を停止できるので、綴じ処理から後段の処理へ移行できるようになる。これにより、当該装置が、ロックした状態に陥ることを回避できるようになる。

本発明に係る用紙処理装置及び用紙処理方法によれば、複数の各々の用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品を綴じて冊子を作成する場合であって、測定された綴じ部品の処理時間と、設定された目標時間とを比較した結果に基づいて綴じ手段を制御する制御手段を備え、この制御手段は、処理時間が目標時間を超過した場合に、綴じ手段に無負荷モードを設定するものである。

この構成によって、無負荷モードが設定されている間、綴じ手段の綴じ処理を停止できるので、綴じ処理不良が発生した場合に綴じ手段をホームポジションへ待機させるための処理へ移行できるようになる。これにより、当該装置が、ロックした状態に陥ることを回避できるようになる。従って、ユーザーは、無負荷モードが設定されている期間を利用して、綴じ不良の綴じ部品や冊子を当該装置から簡単に除去できるようになる。

以下、図面を参照しながら、本発明に係る用紙処理装置及び用紙処理方法の一実施例について説明をする。

図１（Ａ）及び（Ｂ）は、本発明に係る実施例としてのバインド装置１００の構成例を示す概念図である。バインド装置１００は、複数の各々の用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品（消耗品）を綴じて冊子を作成する用紙処理装置の一例を構成し、コピー機や印刷装置から出力される記録紙（以下単に用紙という）にパンチ処理をし、その後、所定の綴じ部品で綴じ処理をして排出する装置である。バインド装置１００は、コピー機や印刷装置（画像形成装置）等と並べて使用されることが好ましく、複写機や印刷機等と同程度の高さを有している。

図１（Ａ）に示すバインド装置１００は、装置本体部（筐体）１０１を有している。装置本体部１０１の前面側には、右ドア７０及び左ドア７１が備えられている。右ドア７０及び左ドア７１は、図示しない蝶番で装置本体部１０１に開閉自在に取付けられている。バインド装置１００は、左ドア７１の下方にスタッカ６３を備えている。スタッカ６３には、スタッカトレイ７３が備えられている。スタッカトレイ７３は、用紙束に綴じ部品が綴じられて排出された冊子を受け取り、冊子の厚さや冊数に応じて高さを調節して当該冊子を蓄積する。また、スタッカ６３には、蓄積された冊子の数を確認するためのスタッカ窓７２が、装置本体部１０１の前面側に備えられている。

図１（Ｂ）に示すバインド装置１００は、図１（Ａ）に示したバインド装置１００の右ドア７０及び左ドア７１がオープンされた状態である。装置本体部１０１内には用紙搬送部１０が備えられる。用紙搬送部１０は、第１の搬送路１１及び第２の搬送路１２を有している。搬送路１１は、コピー機などから出力される用紙３を搬送路１２へ向けて搬送する。

搬送路１２は、当該搬送路１１から搬送経路が切り換え可能なスイッチバック機能を有している。ここにスイッチバック機能とは、搬送路１１の所定の位置で用紙の搬送を減速及び停止し、その後、搬送路１１から搬送路１２に用紙の搬送経路を切り換え、かつ、当該用紙を逆方向に送出する機能をいう。

搬送路１２の下流側には、パンチ処理部２０が配置されている。パンチ処理部２０では、搬送路１１からスイッチバックし、搬送路１２によって搬送される用紙の一端に二以上の綴じ用の孔を穿孔するようになされる。パンチ処理本体の下方には、パンチカス収納部２６が設けられ、パンチ処理部２０で切り落とされたパンチカスを収納するようになされる。

パンチ処理部２０の下流側には、バインダ紙揃えユニット３０が配置され、パンチ処理部２０から排紙される複数枚の用紙の孔の位置を揃えて一時保留（蓄積）するようになされる。

バインダ紙揃えユニット３０は、用紙進入時、当該用紙を所定の位置に案内すると共に用紙の後端部を整える。また、バインダ紙揃えユニット３０は、用紙の先端と横端を基準位置に揃えるための多櫂状の回転部材により適正な位置に用紙の先端と横端を案内する。

バインダ紙揃えユニット３０の下流側には、バインド処理部４０が配置される。バインド処理部４０は、当該ユニット３０によって揃えられた複数枚の用紙束を綴じ部品で綴じて冊子を作成する。バインド処理部４０は、綴じ機構４１及びバインダ（綴じ部品）カセット４２を有している。バインダカセット４２には、処理前は展開されており、処理後に環状となる所定の大きさの複数個の綴じ部品４３（図９参照）がセットされる。綴じ部品４３は、例えば、射出金型成形され、用紙束の厚みに応じて複数種類の径が準備される。綴じ機構４１は、綴じ手段の一例を構成し、展開状の綴じ部品４３が収納されたバインダカセット４２から所定の大きさの綴じ部品を受け取って、用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品４３を綴じる。

この例で、綴じ機構４１は、バインダ紙揃えユニット３０の用紙搬送方向と、バインダカセット４２の綴じ部品提供方向との間を往復回転するように移動する。先ず、綴じ機構４１は、搬送路１１の搬送方向と直交する位置でバインダカセット４２から１個の綴じ部品４３を引き抜いて保持し、この状態で、バインダ紙揃えユニット３０の用紙搬送方向を見通せる位置に回転する。次に、この位置で綴じ機構４１は、バインダ紙揃えユニット３０から、パンチ孔が位置決めされた用紙束を受け入れ、そのパンチ孔に綴じ部品４３を挿入して嵌合する。嵌合後、綴じ機構４１は、綴じ部品４３を解放する。用紙束に綴じ部品４３が綴じられて冊子が作成されると、バインダ紙揃えユニット３０は、作成された冊子を排出ユニット６０へ受け渡す。

バインド処理部４０の下流側には、排出ユニット６０が配置される。この排出ユニット６０は、バインド処理部４０により作成された冊子を受け取って排出処理する。排出ユニット６０は、例えば、第１のベルトユニット６１、第２のベルトユニット６２及びスタッカ６３を有して構成される。

ベルトユニット６１は、バインダ紙揃えユニット３０から落下してくる冊子を受け止めて冊子の送出方向を切り換えるようになされる。例えば、ベルトユニット６１は、冊子受け止め後、バインダ紙揃えユニット３０の用紙搬送方向を見通せる位置からスタッカ６３を見通せる位置へ振り向くようになされる。

スタッカ６３を見通せる位置には、ベルトユニット６２が配置されている。ベルトユニット６２は、ベルトユニット６１によって送出方向が切り換えられた冊子を受け取ってリレー搬送し、当該冊子をスタッカ６３へ受け渡す。スタッカ６３は、ベルトユニット６１及び６２によって搬送されてくる冊子を蓄積する。このようにして、図２（Ｄ）に示す冊子９０が作成される。

続いて、本発明に係る用紙処理方法について説明する。図２（Ａ）〜（Ｄ）は、バインド装置１００の機能例を示す工程図である。図２（Ａ）に示す用紙３は、当該バインド装置１００の上流側（コピー機など）から給紙され、パンチ孔が開孔されていないものである。用紙３は、図１に示した搬送路１１の所定の位置に向けて搬送され、搬送路１１の所定の位置で減速及び停止される。その後、スイッチバック機能により搬送路１１から搬送路１２に用紙３の搬送経路が切り換えられ、かつ、当該用紙３は逆方向に送出されてパンチ処理部２０に搬送される。

パンチ処理部２０では、図２（Ｂ）に示すように用紙３の一端に所定の数の綴じ用の孔が穿孔される。綴じ用の孔が穿孔された用紙３’は、バインド紙揃えユニット３０へ搬送される。バインド紙揃えユニット３０では、予め設定された用紙枚数に到達すると、例えば、図２（Ｃ）に示す用紙３”のようにその綴じ用の孔の位置が揃えられ、バインド処理部４０と協調して綴じ部品４３がその孔へ挿入されて嵌合される。これにより、綴じ部品４３が嵌合された図２（Ｄ）に示す冊子９０を得ることができる。冊子９０は、排出ユニット６０により排出されてスタッカ６３に蓄積される。

図３は、バインダ紙揃えユニット３０、綴じ機構４１及びバインダカセット４２の配置例（その１）を示す概略図である。バインド装置１００は、図３に示すバインダ紙揃えユニット３０及びバインダカセット４２の下流側に綴じ機構４１を配置し、かつ、当該綴じ機構４１を基準に上流側に放射状にバインダ紙揃えユニット３０及びバインダカセット４２を配置した略Ｖ字状を成す配置構造を有している。

綴じ機構４１は、綴じ機構回転軸４１ｄを有している。綴じ機構回転軸４１ｄは、バインダ紙揃えユニット３０から下流側へ用紙束３”を排出する方向Iと、バインダカセット４２から下流側へ綴じ部品４３を排出する方向IIとが交差する領域付近に配置される。

バインダ紙揃えユニット３０及びバインダカセット４２は、綴じ機構回転軸４１ｄを基準にして上流側で円弧状（放射状）に左側と右側とに配置される。綴じ機構４１は、バインダ紙揃えユニット３０とバインダカセット４２との間を往復移動するように動作する。また、綴じ機構４１は、本体上部に開口部４１ｃを有している。綴じ部品取り出し位置（方向II）は、綴じ機構４１の開口部４１ｃがバインダカセット４２側を向く姿勢をとる位置である。

図３に示す矢印Ｙ１は、綴じ機構４１の回転方向である。この例で、綴じ機構回転軸４１ｄを基準にして、上述の綴じ部品取り出し位置（方向II）をホームポジションとすると、このホームポジションから反時計方向に用紙綴じ位置（方向I）まで回転する。また反対に、用紙綴じ位置から時計方向にホームポジションまで回転する。

例えば、バインド処理部４０では、綴じ機構４１がバインダカセット４２の下流側に移動して所定の大きさの綴じ部品４３（図９参照）を受け取り、バインダカセット４２から受け取った綴じ部品４３を保持し、綴じ機構回転軸４１ｄを基準にして、反時計方向へ回転して、バインダ紙揃えユニット３０の下流側に移動し、当該綴じ部品４３で図２（Ｃ）に示した用紙束３”を綴じる。このように、バインダカセット４２から受け取った綴じ部品４３をバインダ紙揃えユニット３０の下流側に移動して綴じ処理することにより図２（Ｄ）に示した冊子９０を作成することができる。

なお、この例で綴じ機構４１は、バインダ紙揃えユニット３０が用紙３’を揃えているときに、バインダカセット４２から綴じ部品４３を受け取るようになされる。このようにすると、用紙揃え処理と綴じ部品４３の受け取り処理とを並行処理できるので、綴じ処理の高速化を図ることができ、当該バインド装置１００のスループットを向上できるようになる。

図４は、バインダ紙揃えユニット３０、綴じ機構４１及びバインダカセット４２の配置例（その２）を示す概略図である。図４に示す綴じ機構４１は、バインダ紙揃えユニット３０により揃えられた用紙に綴じ部品４３を綴じる処理の為、図３に示した綴じ部品取り出し位置（方向II）に有った綴じ機構４１が、綴じ機構回転軸４１ｄを基準にして、矢印Ｙ１に示す反時計方向に回転し、用紙綴じ位置（方向I）に移動した状態である。ここに用紙綴じ位置は、綴じ機構４１の開口部４１ｃがバインダ紙揃えユニット３０の用紙搬送方向を向く姿勢をとる位置である。図４に示すバインド処理部４０によれば、綴じ機構４１は、用紙綴じ位置（方向I）で、バインダ紙揃えユニット３０から提供された用紙３”に綴じ部品４３を綴じて冊子９０を作成し、その後、綴じ部品取り出し位置（方向II）へ戻る。

図５（Ａ）は、綴じ機構４１の構成例を示す斜視図である。図５（Ｂ）は、綴じ部品掴み部４１ｂの上端部の構成例を示す斜視図である。図５（Ａ）に示す綴じ機構４１は本体部４１ａと、この本体部４１ａの内部に綴じ部品掴み部４１ｂを備えて構成される。綴じ部品掴み部４１ｂは、保持部の一例を構成し、本体部４１ａの上部の開口部４１ｃを通過して、先端部が本体部４１ａの内部及び外部に位置するように上下に移動可能な構成となっており、綴じ部品４３を保持する。

また、図５（Ｂ）に示す波線円内図において、綴じ部品掴み部４１ｂの上端部の拡大構成例によれば、綴じ部品掴み部４１ｂの上端部には、複数の綴じ部品掴み爪４１ｈ、掴み爪ホルダ４１ｖ及びホルダ固定枠４１ｗが備えられる。この例で、掴み爪ホルダ４１ｖは、ホルダ固定枠４１ｗに固定された状態となっている。綴じ部品掴み爪４１ｈは、上端部が掴み爪ホルダ４１ｖの上部に突出した状態となるように、掴み爪ホルダ４１ｖの内部に位置している。このように、綴じ部品４３を綴じる綴じ部品掴み部４１ｂが構成されている。

図６（Ａ）は、綴じ機構４１の内部の構成例（その１）を示す断面図である。図６（Ａ）に示す綴じ機構４１は、図５に示した綴じ機構４１のＸ−Ｘ矢視切断面における関連部材の構成例を示したものである。

この例で、綴じ機構４１は綴じ部品４３を綴じるための綴じ爪開閉機能を有している。この機能を動作するために、綴じ機構４１は、嵌合部４１ｘを備えている。嵌合部４１ｘは、綴じ爪４１ｚ、綴じ爪リンクＡ４１ｌ、綴じ爪リンクＢ４１ｍ、綴じ爪リンクＣ４１ｎ、バネ４１ｏ、綴じ爪用カム４１ｐ及び綴じ機構駆動用モータ４５ａ（図１０参照）から構成される。嵌合部４１ｘは、綴じ部品掴み部４１ｂにより保持された綴じ部品４３の両先端を用紙の孔に挿入して嵌合する。

綴じ爪４１ｚは、開口部４１ｃの長手方向に沿って、開口部４１ｃの両側部に備えられる。また、綴じ爪４１ｚは、閉じ部４１ｑを有しており、閉じ部４１ｑは、綴じ部品４３を綴じる際に、綴じ部品４３に接触する。各綴じ爪４１ｚは、Ｌ字型の形状を有する綴じ爪リンクＡ４１ｌの上端部にそれぞれ回転自在に連結されている。各綴じ爪リンクＡ４１ｌは、各綴じ爪リンクＡ４１ｌの略中央部に位置する綴じ爪リンクＡ回転軸Ａ４１ｒにおいて、回転自在に本体部４１ａに取り付けられている。

また、２つの綴じ爪リンクＡ４１ｌは、綴じ爪４１ｚが連結された端部の逆側の端部に位置するリンク結合部Ａ４６ｊにおいて、回転自在に連結される。更に２つの綴じ爪リンクＡ４１ｌには、上下方向に所定の長さを有する綴じ爪リンクＢ４１ｍの上端部が、リンク結合部Ａ４６ｊにおいて、回転自在に連結される。

綴じ爪リンクＢ４１ｍは、リンク部材の一例を構成し、下端部に長孔状の綴じ爪リンクＢ結合孔４１ｓを有している。綴じ爪リンクＢ結合孔４１ｓは、綴じストロークを切り替えるための切替孔の一例を構成する。この綴じ爪リンクＢ結合孔４１ｓには、綴じ部リンクＣ４１ｎの突起状のリンク結合部Ｂ４６ｋが嵌合され、綴じ爪リンクＢ４１ｍと綴じ爪リンクＣ４１ｎは、回転自在に連結されている。また、綴じ爪リンクＢ４１ｍは、中央部にてバネ４１ｏを介して本体部４１ａに取り付けられている。このバネ４１ｏにより綴じ爪リンクＢ４１ｍには、上向きの力が加えられた状態になっている。

綴じ爪リンクＣ４１ｎは、綴じ爪リンクＣ回転軸４１ｔにおいて、回転自在に本体部４１ａに取り付けられている。また、綴じ爪用カム４１ｐが矢印Ｆに示すように回転することにより、綴じ爪リンクＣ４１ｎが綴じ爪リンクＣ回転軸４１ｔを軸に回転する構成となっている。

以上のような構成を備えることにより、綴じ爪４１ｚの開閉動作が行われる。この例では、綴じ爪用カム４１ｐが矢印Ｆで示す図６の時計回り方向に回転して、綴じ爪リンクＣが反時計回りに回転し、綴じ爪リンクＢ４１ｍに下向きの力が加えられる。この結果、図６の右側に示す綴じ爪リンクＡ４１ｌには反時計回りの力が、左側に示す綴じ爪リンクＡ４１ｌには時計回りの力がそれぞれ加えられ、それぞれの綴じ爪４１ｚが矢印Ｅに示す方向に移動して綴じ爪４１ｚが閉じられる。図６（Ａ）に示す綴じ爪４１ｚは、略閉じられた状態である。

また、綴じ機構４１は、綴じ部品４３の径のサイズに合わせて、綴じ爪４１ｚを綴じる範囲を調整する機能を有している。この調整機能を動作するために、綴じ機構４１は、ストローク切替部４１ｙを備える。このストローク切替部４１ｙは、綴じ部品調節用カム４１ｕ、綴じ部品調節部４６ｌ、及び綴じ部品調節用モータ４５ｂ（図１０参照）から構成され、嵌合部４１ｘにおける綴じストロークを切り替える。ここで、綴じストロークとは、図６（Ａ）に示す綴じ開始位置Ｐから綴じ完了位置Ｑに至る行程をいう。この例で、綴じ開始位置Ｐは、綴じ爪用カム４１ｐの回転によって綴じ爪リンクＢ４１ｍが下方向へ移動を開始する位置であり、綴じ完了位置Ｑは、当該カム４１ｐの回転後、綴じ爪リンクＢ４１ｍが最下部に移動したときの位置である。

綴じ部品調節用カム４１ｕは、切替カムの一例を構成し、綴じ部品調節部４６ｌに連接される。この綴じ部品調節部４６ｌは、左右に移動可能に取り付けられ、綴じ爪リンクＢ４１ｍに結合される。また、綴じ部品調節部４６ｌは、当該カム４１ｕにより左右に移動され、綴じ爪リンクＢ４１ｍの綴じ爪リンクＢ結合孔４１ｓを切り替える。例えば、この綴じ部品調節部４６ｌに結合されている綴じ爪リンクＢ４１ｍは、リンク結合部Ａ４６ｊを軸にして左右へ回動される。綴じ爪リンクＢ４１ｍの回動により、綴じ爪リンクＢ４１ｍの綴じ爪リンクＢ結合孔４１ｓの位置が変更される。当該結合孔４１ｓの位置変更により、突起状のリンク結合部Ｂ４６ｋの結合位置が切り替えられ、上述した綴じ爪４１ｚを綴じる綴じストロークが調整される。

ここで、綴じ爪リンクＢ結合孔４１ｓには、綴じ部品４３の径のサイズに合わせて、綴じ爪４１ｚを綴じる綴じストロークを調整する調整孔の他に、綴じ機構４１がロックした状態に陥ることを回避するための図６（Ｂ）に示す回避孔Ｒ４が備えられている。例えば、誤って、綴じ部品４３の先端を用紙３”のパンチ孔以外の箇所に嵌合し、綴じ爪４１ｚを綴じる動作が中断した場合、この回避孔Ｒ４に突起状のリンク結合部Ｂ４６ｋを位置させる。

図６（Ｂ）は、綴じ爪リンクＢ４１ｍの構成例を示す説明図である。図６（Ｂ）に示す綴じ爪リンクＢ４１ｍの綴じ爪リンクＢ結合孔４１ｓは、調整孔Ｒ１〜Ｒ３及び回避孔Ｒ４を有している。調整孔Ｒ１〜Ｒ３の各々とリンク結合部Ａ４６ｊとの距離は、調整孔Ｒ１が最短で、調整孔Ｒ３が最も長く、調整孔Ｒ２が調整孔Ｒ１とＲ３との中間の長さとなっている。

これにより、左右の綴じ爪４１ｚがＥ方向へ接近する間隔を調整できるようになる。従って、調整孔Ｒ１は、左右の綴じ爪４１ｚがＥ方向にて最も接近するので、小径用綴じ部品を使用する場合に使用され、調整孔Ｒ２は、中径用綴じ部品を使用する場合に使用され、調整孔Ｒ３は、大径用綴じ部品を使用する場合に使用される。

また、回避孔Ｒ４は、リンク結合部Ａ４６ｊとの距離Ｈ２が、調整孔Ｒ１〜Ｒ３のいずれよりも極端に長く設定されている（図中の距離Ｈ１は調整孔Ｒ３の距離を表す）。これは、綴じ開始位置から綴じ完了位置に至る行程を略ゼロにするためである。すなわち、図６（Ａ）に示した綴じ爪用カム４１ｐが回転しても、綴じ爪リンクＣ４１ｎのリンク結合部Ｂ４６ｋが回避孔Ｒ４に設定されているため、綴じ爪用カム４１ｐが空転し、綴じ爪リンクＢ４１ｍに下向きの力が加えられない。従って、左右の綴じ爪リンクＡ４１ｌに力が伝わらず、左右の綴じ爪４１ｚが矢印Ｅに示す方向に閉じられない。これにより、無負荷モードが設定された場合に、綴じ爪４１ｚを綴じる処理を停止できるので、途中まで綴じ爪４１ｚにより綴じられた綴じ部品４３を解放できるようになると共に、綴じ機構４１をホームポジションへ待機させるための処理へ移行できるようになる。ここに、無負荷モードとは、綴じ爪４１ｚがＥ方向に移動していない状態の綴じストロークを略ゼロに設定して綴じ処理を待機する動作をいう。

図７は、綴じ機構４１の内部の構成例（その２）を示す断面図である。図７に示す綴じ機構４１は、図６（Ａ）に示した綴じ機構４１と同じ構成であり、図６（Ａ）の状態から無負荷モードの状態へ遷移したものである。

この例で、回動された綴じ部品調節用カム４１ｕによって、綴じ部品調節部４６ｌは、図６（Ａ）に示した位置から図７に示す右方向の位置へ移動すると共に、当該調節部４６ｌに連結されている綴じ爪リンクＢ４１ｍも右方向へ移動する。このとき、当該リンクＢ４１ｍの綴じ爪リンクＢ結合孔４１ｓも同様に移動し、その結果、綴じストロークを略ゼロに設定する当該結合孔４１ｓの回避孔Ｒ４（図６Ｂ参照）に突起状のリンク結合部Ｂ４６ｋが設定される。

このようにして、リンク結合部Ｂ４６ｋが回避孔Ｒ４に設定される。設定後、回避孔Ｒ４とリンク結合部Ａ４６ｊとの距離が図６（Ｂ）に示した距離Ｈ２となり、上述したように、綴じ爪用カム４１ｐが空転して左右の綴じ爪４１ｚが矢印Ｅに示す方向に閉じられない。これにより、綴じ爪４１ｚを綴じる処理を停止できるので、後段の処理へ移行できるようになる。

図８（Ａ）及び（Ｂ）は、綴じ機構４１の内部の構成例（その３）を示す断面図であり、綴じ部品掴み部４１ｂにおける関連部材の構成例及びその動作例（上下移動時）を示す。

図８（Ａ）に示す綴じ機構４１は、綴じ部品掴み部４１ｂを上下に移動するため、例えば、掴み部リンク４１ｆ、掴み部用カム４１ｇ、掴み部リンク回転軸４１ｊ及び綴じ機構駆動用モータ４５ａ（図１０参照）を備えて構成される。この例で、綴じ部品掴み部４１ｂは、最下部に位置する状態を示している。

綴じ部品掴み部４１ｂは、所定の高さを有し、横方向及び縦方向の幅は開口部４１ｃより若干小さい形状を有している。また、綴じ部品掴み部４１ｂの上端部には、綴じ部品を掴むための複数の綴じ部品掴み爪４１ｈを備えている。

更に、綴じ部品掴み部４１ｂは、側面に突起状の掴み部リンク結合部４１ｅを有している。綴じ部品掴み部４１ｂと掴み部リンク４１ｆは、掴み部リンク結合部４１ｅが掴み部リンク４１ｆの長孔状の掴み部結合孔４１ｉに嵌合されて結合された状態となっている。掴み部リンク４１ｆは掴み部用カム４１ｇに連結され、掴み部用カム４１ｇが回転することで、掴み部リンク回転軸４１ｊを軸に回転可能な構成となっている。

図８（Ｂ）に示す綴じ機構４１は、綴じ部品掴み部４１ｂが図８（Ａ）に示した最下部に位置する状態から、その最上部に位置する状態に移動した場合を示している。この場合、掴み部用カム４１ｇが回転することで、掴み部リンク４１ｆが回転する。これにより、掴み部結合孔４１ｉの位置及び姿勢が変化し、その結果、掴み部リンク結合部４１ｅを介して綴じ部品掴み部４１ｂが、矢印Ｄに示すように上方向へ移動可能なようになされる。

このように、綴じ部品掴み部４１ｂは、図８（Ａ）で示した最下部から図８（Ｂ）で示した最上部まで移動可能な構成となっている。また、図８（Ａ）に示した綴じ部品掴み部４１ｂが最下部に位置する状態では、綴じ部品掴み爪４１ｈは、本体部４１ａの内部に位置する。更に、図８（Ｂ）に示したように、綴じ部品掴み部４１ｂが最上部に位置する状態では、綴じ部品掴み爪４１ｈは本体部４１ａの外部に位置するようになっている。

続いて、綴じ部品４３の構成例について説明する。図９（Ａ）〜（Ｄ）は、綴じ部品４３の構成例を示す説明図である。図９（Ａ）に示す綴じ部品４３は、綴じ部品４３の一部を示す平面図である。綴じ部品４３は、背骨部４３ａ、第１の分割リング部４３ｄ、第２の分割リング部４３ｃ、第３の分割リング部４３ｅ、ピン４３ｆ、第１の結合部４３ｇ及び第２の結合部４３ｈを有する。綴じ部品４３は、定形紙の寸法に合わせた長さの背骨部４３ａに、一定間隔でリング部４３ｂが配列された樹脂射出成形品である。

図９（Ｂ）は、図９（Ａ）の矢印Ｂから見た状態を示した図である。図９（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、リング部４３ｂは、背骨部４３ａに結合される分割リング部４３ｃとその左右に折り曲げ自在に連結されている分割リング部４３ｄ及び分割リング部４３ｅとに三分割された構成となっている。

分割リング部４３ｄの先端には、結合部４３ｇが備えられ、分割リング部４３ｅの先端には、結合部４３ｈが備えられている。結合部４３ｇと結合部４３ｈとが結合されてリング部４３ｂは環状となる。

図９（Ｃ）は、図９（Ａ）のＣ−Ｃ矢視断面図である。図９（Ｃ）に示す綴じ部品４３の背骨部４３ａ断面の形状は凸型であり、この凸型形状は、逆Ｌ字型形状の綴じ部品掴み爪４１ｈで綴じ部品４３を掴み易くするための形状である。

図９（Ｄ）は、複数の綴じ部品４３を積層させた状態を図９（Ａ）の矢印Ｂから見た状態である。また、図９（Ａ）から（Ｃ）に示したように、リング部４３ｂの分割リング部４３ｃは突起状のピン４３ｆを有している。ピン４３ｆが備えられている分割リング部４３ｃの逆側には、ピン４３ｆに対応した図示しない挿入孔が備えられている。これにより、分割リング部４３ｄ、分割リング部４３ｃ及び分割リング部４３ｅの各両端部が一直線上に揃った状態で、ピン４３ｆを挿入孔に挿入させて複数の綴じ部品４３を積層することができる。

なお、綴じ部品４３は、図２で示した用紙束３”の厚みに応じてリング部４３ｂの大きさ等が異なるものが複数種類用いられる。また、綴じ部品４３は、リング部４３ｂが、分割リング部４３ｄ、分割リング部４３ｃ及び分割リング部４３ｅの３つの箇所に分割された構成としたが、リング部４３ｂがｎ（ｎは自然数）箇所に分割された構成としても良い。

図１０は、バインド処理部４０の制御系の構成例を示すブロック図である。図１０に示す制御系は、制御部５０、モータ駆動部４４ａ及び信号処理部４４ｂを有して構成される。

制御部５０は、システムバス５５を有しており、このシステムバス５５には、I／Ｏポート５４、ＥＥＰＲＯＭ（Erasable Programmable Read Only Memory）５３、ＲＡＭ（Random Access Memory）５２及びＣＰＵ（Central Processing Unit）５１が接続される。ＥＥＰＲＯＭ５３には、綴じ機構４１が綴じ部品４３を取得して用紙に綴じ部品４３を綴じる動作を制御するためのプログラム（綴じ部品取得制御プログラム）や、綴じ機構４１が綴じ部品４３を処理する綴じ開始時刻から綴じ完了時刻に至る経過時間（目標時間）が保存されている。ＲＡＭ５２は、綴じ部品取得制御プログラムに基づいて綴じ部品４３を取得制御する際に、ワークメモリとして使用される。

I／Ｏポート５４にはモータ駆動部４４ａ及び信号処理部４４ｂが接続される。信号処理部４４ｂには綴じ部品サイズセンサ４５ｆ及び外部端子が接続される。例えば、綴じ部品サイズセンサ４５ｆには、反射型の光学センサが使用される。綴じ部品サイズセンサ４５ｆは、バインダカセット４２に積層されて格納されている最下位層の綴じ部品４３のサイズを検知し、信号処理部４４ｂに綴じ部品サイズ信号Ｓ４５ｆを出力する。信号処理部４４ｂは、出力された綴じ部品サイズ信号Ｓ４５ｆを入力し、綴じ部品サイズ信号Ｓ４５ｆを二値（デジタル）化して、例えば、３ビットの検出データをＣＰＵ５１に出力する。綴じ部品４３のサイズの検知方法は、例えば、綴じ部品４３のサイズの違いによりバインダカセット４２に綴じ部品４３が接触する箇所に違いが生じることを検出するものである。

また、外部端子には、図示しないコピー機などが接続される。例えば、バインド装置１００に組み合わされたコピー機により印刷された１冊子分の用紙枚数の情報が、規定枚数信号Ｓ４５ｇとして外部端子から信号処理部４４ｂに出力され、信号処理部４４ｂは、出力された規定枚数信号Ｓ４５ｇを二値化して、検出データＤｐをＣＰＵ５１に出力する。

ＣＰＵ５１は、制御手段の一例を構成し、検出データＤｐを入力し、この検出データＤｐに基づき、図２に示した紙揃えユニット３０に１冊子分の用紙３’が後少しで蓄積されると判断すると、モータ駆動部４４ａにモータ制御データＤｍを出力して綴じ機構４１が綴じ処理を行うように制御する。

モータ駆動部４４ａは、I／Ｏポート５４を介してＣＰＵ５１に接続され、更に、綴じ機構４１に配設された綴じ機構駆動用モータ４５ａ及び綴じ部品調節用モータ４５ｂに接続される。

モータ駆動部４４ａは、ＣＰＵ５１により出力されたモータ制御データＤｍを入力し、モータ制御データＤｍをデコードした綴じ機構駆動用信号Ｓ４５ａを綴じ機構駆動用モータ４５ａに出力し、当該モータ４５ａを駆動させて、図８に示した綴じ部品掴み部４１ｂをバインダカセット４２に積層されている最下位層の綴じ部品４３を取得できる位置まで上方向へ移動させる。

綴じ部品掴み部４１ｂが綴じ部品４３を取得できる位置まで上方向へ移動した後、綴じ部品掴み爪４１ｈを開閉して綴じ部品４３を取得する。綴じ部品４３を取得後、綴じ部品掴み部４１ｂを下方向へ移動させる。

下方向へ移動後、ＣＰＵ５１は、図３に示したバインダカセット４２に設置された図示しないセンサから綴じ部品４３のサイズ情報を入力する。ＣＰＵ５１は、入力したサイズ情報に基づいてモータ駆動部４４ａにモータ制御データＤｍを出力する。モータ駆動部４４ａは、出力されたモータ制御データＤｍを入力し、モータ制御データＤｍをデコードした綴じ部品調節用信号Ｓ４５ｂを綴じ部品調節用モータ４５ｂに出力する。綴じ部品調節用モータ４５ｂは、駆動部の一例を構成し、綴じ部品調節用信号Ｓ４５ｂを入力し、図６に示した綴じ部品調節用カム４１ｕを駆動して綴じ部品４３の径のサイズに応じた綴じ爪４１ｚの綴じストロークを調節する。

綴じストローク調節後、当該モータ４５ａは、綴じ機構４１を図３に示した方向IIから図４に示した方向Iの位置へ回転させる。回転後、当該モータ４５ａを駆動することにより、図２に示した用紙３”をバインダ紙揃えユニット３０から綴じ機構４１へ提供すると共に、図６（Ａ）に示した綴じ爪用カム４１ｐを回転して綴じ爪４１ｚを綴じて綴じ部品４３を用紙３”のパンチ孔に綴じる。その後、綴じ機構４１は、綴じ部品４３を解放すると共に、図３に示したホームポジションに移動する。このようにして、バインド装置１００は、バインダ紙揃えユニット３０から提供された用紙３”に綴じ部品４３を綴じて冊子９０を作成する。

また、ＣＰＵ５１は、綴じ機構４１における綴じ部品４３の処理時間を測定し、測定された処理時間と設定された目標時間とを比較し、処理時間が目標時間を超過した場合に、綴じ機構４１に無負荷モードを設定する。綴じ部品４３の処理時間とは、実際に、綴じ機構４１が綴じ部品４３を処理する綴じ開始時刻から綴じ完了時刻に至る経過時間をいう。綴じ開始時刻は、例えばＣＰＵ５１が図３に示した紙揃えユニット３０に１冊子分の用紙３’が後少しで蓄積されると判断して綴じ部品４３を取得して一旦待機し、待機後に綴じ処理を開始する時刻である。綴じ完了時刻は、綴じ部品４３を用紙３”に綴じてホームポジションに戻った時刻である。

無負荷モード設定時、ＣＰＵ５１は、モータ駆動部４４ａに無負荷モード設定用のモータ制御データＤｍを出力する。モータ駆動部４４ａは、出力されたモータ制御データＤｍを入力し、綴じ部品調節用信号Ｓ４５ｂを綴じ部品調節用モータ４５ｂに出力する。この綴じ部品調節用モータ４５ｂは、当該信号Ｓ４５ｂを入力して図６（Ａ）に示した綴じ部品調節用カム４１ｕを回動する。回動された綴じ部品調節用カム４１ｕにより、綴じ部品調節部４６ｌが図６に向かって右方向へ移動されると共に、当該調節部４６ｌに連結されている綴じ爪リンクＢ４１ｍが右方向へ移動される。このとき、当該リンクＢ４１ｍの綴じ爪リンクＢ結合孔４１ｓも同時に右方向へ移動され、綴じストロークを略ゼロに設定する当該結合孔４１ｓの図６（Ｂ）に示した回避孔Ｒ４に突起状のリンク結合部Ｂ４６ｋが設定される。この結果、図６（Ａ）に示した綴じ爪４１ｚを綴じるための綴じ爪用カム４１ｐが空転するようになる。

これにより、無負荷モードが設定されている間、綴じ処理を停止できるので、綴じ機構４１をホームポジションへ待機させるための処理へ移行できるようになる。従って、バインド装置１００が、ロックした状態に陥ることを回避できるようになる。これにより、ユーザーは、無負荷モードが設定されている期間を利用して、綴じ不良の綴じ部品４３や冊子を当該装置１００から簡単に除去できるようになる。

なお、綴じ機構４１は、ホームポジションへ復帰後に、回避孔Ｒ４に設定されたリンク結合部Ｂ４６ｋを元々設定されていた調整孔に戻す。例えば、ＣＰＵ５１は、モータ駆動部４４ａに無負荷モード解除用のモータ制御データＤｍを出力する。モータ駆動部４４ａは、出力されたモータ制御データＤｍを入力し、綴じ部品調節用信号Ｓ４５ｂを綴じ部品調節用モータ４５ｂに出力する。この綴じ部品調節用モータ４５ｂは、当該信号Ｓ４５ｂを入力して図７に示した綴じ部品調節用カム４１ｕを回動する。回動された綴じ部品調節用カム４１ｕにより、綴じ部品調節部４６ｌが図７に向かって左方向へ移動されると共に、当該調節部４６ｌに連結されている綴じ爪リンクＢ４１ｍが左方向へ移動される。このとき、当該リンクＢ４１ｍの綴じ爪リンクＢ結合孔４１ｓも同時に左方向へ移動され、当該結合孔４１ｓの図６（Ｂ）に示した当該調整孔Ｒ１〜Ｒ３のいずれかに突起状のリンク結合部Ｂ４６ｋが設定される。これにより、無負荷モードを解除できるようになる。

続いて、綴じ機構４１による綴じ部品４３の取り出し例について説明する。図１１（Ａ）〜（Ｄ）は、綴じ機構４１による綴じ部品４３の取り出し例を示す工程図である。この例では、図８に示した綴じ機構４１の切断面における関連部材の動作例について説明する。綴じ機構４１がバインダカセット４２下の綴じ部品取り出し位置にある状態で、バインダカセット４２内から１個の綴じ部品４３を分離し、それを取り出して当該綴じ部品４３を半綴じ状態にするまでを前提とする。この工程では、バインダ紙揃えユニット３０への回転は行われない。

図１１（Ａ）に示す綴じ部品掴み部４１ｂは、最下部に位置する状態にある。バインダカセット４２内には、綴じ部品４３がセットされている。この状態から、図８（Ａ）で説明したように、図１０に示したモータ４５ａが掴み部用カム４１ｇを回転し、この掴み部用カム４１ｇの回転により、掴み部リンク４１ｆが回転する。これにより、掴み部結合孔４１ｉの位置及び姿勢が変化し、その結果、掴み部リンク結合部４１ｅを介して綴じ部品掴み部４１ｂが上方向へ移動する。

上方向へ移動後、図１１（Ｂ）に示す綴じ部品掴み部４１ｂは綴じ部品４３に到達すると、綴じ部品掴み爪４１ｈを閉じて綴じ部品４３の背骨部４３ａを掴む。このとき、綴じ部品掴み爪４１ｈは綴じ部品４３を１個だけ掴んだ状態となる。この状態で、モータ４５ａが掴み部用カム４１ｇを回転し、この掴み部用カム４１ｇが回転することで、綴じ部品４３を掴んだ綴じ部品掴み部４１ｂを下方向へ移動するようになされる。

バインダカセット４２内から綴じ部品４３を取り出した後、綴じ部品掴み部４１ｂを下方に移動させると、図１１（Ｃ）に示すように綴じ部品４３が綴じ爪４１ｚに接触した状態となる。このとき、綴じ爪４１ｚは、開いた状態となっている。その後、綴じ爪４１ｚを開いた状態のまま綴じ部品掴み部４１ｂを更に下方に引き込むように移動させる。このとき、図１１（Ｄ）に示すように、綴じ部品４３の分割リング部４３ｄ及び４３ｅ（図９参照）が綴じ爪４１ｚに押されることで、綴じ部品４３は、所定量折り曲げられて半綴じ状態となる（この作業を綴じ部品４３の第１フォーミングと称する）。

続いて、第１フォーミング後、バインダ紙揃えユニット３０から提供された用紙３”に綴じ部品４３を綴じ機構４１により綴じる場合であって、誤って、綴じ部品４３の先端を用紙３”のパンチ孔３ａ以外の箇所に挿入して嵌合した例について説明する。パンチ孔３ａ以外の箇所に挿入する可能性として、用紙３”のパンチ孔３ａが整っていない場合や綴じ部品４３の第１フォーミング時に不良が生じた場合などが考えられる。

図１２（Ａ）〜（Ｄ）は、無負荷モード設定時の動作例を示す工程図である。この例では、図６（Ａ）に示した綴じ機構４１の切断面における関連部材の動作例について説明する。

例えば、綴じ機構４１が綴じ部品４３を冊子３”のパンチ孔３ａに綴じて冊子９０を作成する場合であって、部品掴み爪４１ｈが、図９に示した綴じ部品４３の背骨部４３ａを正しく保持しておらず、第１フォーミングに不良が発生していることを前提とする。また、通常、綴じ部品４３を処理する処理時間を約１．５秒間としたとき、目標時間を４秒間として綴じ機構４１に設定し、この目標時間はＥＥＰＲＯＭ５３に保存されている。この例では、処理時間（１．５秒間）は、綴じ機構４１が、図１１（Ｄ）に示した状態（第１フォーミング）から綴じ部品４３を用紙束３”に綴じて図３に示したホームポジション（方向II）に戻るまでの時間とする。

これらを綴じ機構４１の綴じ不良を制御する条件として、まず、図１１（Ｄ）に示した綴じ機構４１を回転して図１２（Ａ）に示す綴じ機構４１の用紙綴じ位置（方向I）に移動させる。このとき、ＣＰＵ５１は、第１フォーミングから綴じ部品４３を用紙束３”に綴じてホームポジションに戻るまでの処理時間の測定を開始する。

図示しないバインダ紙揃えユニット３０は、用紙束３”を降下し、図１２（Ｂ）に示すように用紙束３”をバインド処理部４０が提供する半綴じ状態の綴じ部品４３の中央に向けて移動させる。その後、半綴じ状態の綴じ部品４３の先端部の嵌合位置に用紙束３”のパンチ孔（孔部３ａ）が到達すると、綴じ機構４１では、図１２（Ｃ）に示すように、綴じ爪４１ｚを閉じて用紙束３”の各孔部３ａに図９（Ｂ）に示した綴じ部品４３の結合部４３ｇ及び４３ｈを綴じるようになされる。

このとき、上述したように第１フォーミングに不良が発生していたため、用紙束３”の各孔部３ａに綴じ部品４３の結合部４３ｇ及び４３ｈが一部嵌合せず、綴じ爪用カム４１ｐが所定の位置から先に回動できない状態となり、綴じ爪４１ｚを完全に綴じることができない。この場合、図１０に示した綴じ機構駆動用モータ４５ａは、この綴じ爪用カム４１ｐを回動して綴じ爪４１ｚを綴じようとする動作を続ける。

このとき、ＣＰＵ５１は、測定開始からの処理時間と目標時間（＝４秒間）とを比較し、処理時間が４秒間を超過した場合に、モータ制御データＤｍをモータ駆動部４４ａへ出力する。モータ駆動部４４ａは、綴じ機構駆動用信号Ｓ４５ａを綴じ機構駆動用モータ４５ａに出力する。当該モータ４５ａは、綴じ爪用カム４１ｐを逆回動させて綴じ爪４１ｚが動き出す前の状態まで戻し、負荷を逃がすと同時にジャムした綴じ部品４３を取り出し易い状態にする。

続いて、ＣＰＵ５１は、無負荷モード設定用のモータ制御データＤｍをモータ駆動部４４ａへ出力する。モータ駆動部４４ａは、モータ制御データＤｍを入力し、綴じ部品調節用信号Ｓ４５ｂを綴じ部品調節用モータ４５ｂに出力する。

綴じ部品調節用モータ４５ｂは、綴じ部品調節用信号Ｓ４５ｂを入力し、図１２（Ｄ）に示すように、綴じ部品調節用カム４１ｕを回動する。回動された綴じ部品調節用カム４１ｕによって、綴じ部品調節部４６ｌは、図１２（Ｄ）に向かって右方向へ移動すると共に、当該調節部４６ｌに連結されている綴じ爪リンクＢ４１ｍも右方向へ移動する。このとき、当該リンクＢ４１ｍの綴じ爪リンクＢ結合孔４１ｓも同様に移動し、その結果、綴じストロークを略ゼロに設定する当該結合孔４１ｓの回避孔Ｒ４（図６Ｂ参照）に突起状のリンク結合部Ｂ４６ｋが設定される。

回避孔Ｒ４にリンク結合部Ｂ４６ｋを設定後、モータ駆動部４４ａは、綴じ機構駆動用信号Ｓ４５ａを綴じ機構駆動用モータ４５ａに出力する。当該モータ４５ａは、綴じ爪用カム４１ｐを正回動する。このとき、綴じストロークを略ゼロに設定する回避孔Ｒ４にリンク結合部Ｂ４６ｋが設定されているので、綴じ爪用カム４１ｐが空転する。これにより、綴じ爪４１ｚを綴じる処理を停止できると共に、図１２（Ｄ）に示す綴じ部品掴み爪４１ｈを開いて綴じ部品４３の背骨部４３ａを解放できるようになる。解放後、綴じ機構４１は、図３に示した綴じ機構回転軸４１ｄを基準にして回転し、ホームポジション（方向II）に復帰する。ホームポジションに復帰後、綴じ機構４１は、リンク結合部Ｂ４６ｋを回避孔Ｒ４から元々設定されていた調整孔に設定する。

バインダ紙揃えユニット３０は、図１２（Ｄ）に示す途中まで綴じ部品４３が綴じられた冊子９０’を上流側に引き上げてベルトユニット６１に冊子９０’を落下する。ベルトユニット６１は、落下された冊子９０’を受け止めて処理を終了する。このとき、当該装置１００に並べて使用される図示しないコピー機のモニタに「排出経路上にある綴じ不良の冊子を除去してください。」等と表示する。この表示を確認したユーザーは、ベルトユニット６１に落下された冊子９０’を取り除く。これにより、綴じ不良の綴じ部品４３や冊子９０’を当該装置１００から簡単に除去できるようになる。

このように、実施例としてのバインド装置１００及び用紙処理方法によれば、複数の各々の用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品４３を綴じて冊子を作成する場合であって、測定された綴じ部品４３の処理時間と、設定された目標時間とを比較した結果に基づいて綴じ機構４１を制御するＣＰＵ５１を備え、このＣＰＵ５１は、処理時間が目標時間を超過した場合に、綴じ機構４１に無負荷モードを設定するものである。

従って、無負荷モードが設定されている間、綴じ機構４１の綴じ爪４１ｚを綴じる処理を停止できるので、綴じ処理不良が発生した場合であっても、綴じ機構４１をホームポジションへ待機させるための処理へ移行できるようになる。これにより、当該装置１００が、ロックした状態に陥ることを回避できるようになるので、ユーザーは、綴じ不良の綴じ部品４２や冊子９０’を当該装置１００から簡単に除去できるようになる。

なお、綴じ部品４３を強制的に解除するレバーを備えてもよい。ユーザーがこのレバーを解除操作するにより、綴じ部品掴み爪４１ｈ及び綴じ爪４１ｚを強制的に開くようにする。また、綴じ部品掴み爪４１ｈ及び綴じ爪４１ｚを別駆動源により動作するように構成し、無負荷モード時に、制御部５０により綴じ部品掴み爪４１ｈ及び綴じ爪４１ｚを開くように制御してもよい。このようにすると、綴じ部品４３を綴じ機構４１から解放できるようになる。

本発明は、白黒用及びカラー用のコピー機や印刷装置等から出力される記録紙にパンチ処理を実施し、パンチ処理後の記録紙に綴じ部品を綴じる処理等を行う装置に適用して好適なものである。

（Ａ）及び（Ｂ）は、本発明に係る実施例としてのバインド装置１００の構成例を示す概念図である。 （Ａ）〜（Ｄ）は、バインド装置１００の機能例を示す工程図である。 バインダ紙揃えユニット３０、綴じ機構４１及びバインダカセット４２の配置例（その１）を示す概略図である。 バインダ紙揃えユニット３０、綴じ機構４１及びバインダカセット４２の配置例（その２）を示す概略図である。 （Ａ）は、綴じ機構４１の構成例を示す斜視図であり、（Ｂ）は、綴じ部品掴み部４１ｂの上端部の構成例を示す斜視図である。 （Ａ）は、綴じ機構４１の内部の構成例（その１）を示す断面図であり、（Ｂ）は、綴じ爪リンクＢ４１ｍの構成例を示す説明図である。 綴じ機構４１の内部の構成例（その２）を示す断面図である。 （Ａ）及び（Ｂ）は、綴じ機構４１の内部の構成例（その３）を示す断面図である。 （Ａ）〜（Ｄ）は、綴じ部品４３の構成例を示す説明図である。 バインド処理部４０の制御系の構成例を示すブロック図である。 （Ａ）〜（Ｄ）は、綴じ機構４１による綴じ部品４３の取り出し例を示す工程図である。 （Ａ）〜（Ｄ）は、無負荷モード設定時の動作例を示す工程図である。

符号の説明

４０ バインド処理部位
４１ 綴じ機構（綴じ手段）
４２ バインダカセット
４３ 綴じ部品
５０ 制御部（制御手段）
４１ｂ 綴じ部品掴み部（保持部）
４１ｐ 綴じ爪用カム
４１ｎ 綴じ爪リンクＣ
４６ｋ リンク結合部Ｂ
４１ｓ 綴じ爪リンクＢ結合孔（切替孔）
４１ｍ 綴じ爪リンクＢ（リンク部材）
４１ｌ 綴じ爪リンクＡ
４１ｚ 綴じ爪
４１ｕ 綴じ部品調整用カム（切替カム）
４６ｌ 綴じ部品調節部
４１ｘ 嵌合部
４１ｙ ストローク切替部
４５ｂ 綴じ部品調節用モータ（駆動部）
５１ ＣＰＵ（制御手段）
１００ バインド装置（用紙処理装置）

Claims (3)

1. 複数の各々の用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品を綴じて冊子を作成する用紙処理装置であって、
   展開状の綴じ部品を綴じて環状の綴じ部品にする工程に関連して、綴じ爪用カムの回転によって綴じ爪リンクが下方向へ移動を開始する位置を綴じ開始位置とし、前記綴じ爪用カムの回転後、前記綴じ爪リンクが最下部に移動したときの位置を綴じ完了位置として、当該綴じ爪リンクが前記綴じ開始位置から前記綴じ完了位置に至る行程を綴じストロークとし、
   綴じ開始時刻から綴じ完了時刻に至る経過時間を綴じ処理の目標時間とし、前記綴じストロークを略ゼロに設定して綴じ処理を待機する動作を無負荷モードとしたとき、
   前記用紙の穿孔された孔に前記綴じ部品を綴じる綴じ手段と、
   前記綴じ手段における綴じ部品の処理時間を測定し、測定された処理時間と設定された前記目標時間とを比較し、比較結果に基づいて前記綴じ手段を制御する制御手段とを備え、
   前記制御手段は、
   前記処理時間が前記目標時間を超過した場合に、前記綴じ手段に無負荷モードを設定することを特徴とする用紙処理装置。
2. 前記綴じ手段は、
   前記綴じ部品を保持する保持部と、
   前記保持部により保持された綴じ部品の両先端を、前記用紙の孔に挿入して嵌合する嵌合部と、
   前記嵌合部における前記綴じストロークを切り替えるストローク切替部とを備え、
   前記嵌合部は、前記綴じストロークを切り替えるための切替孔付きのリンク部材を有し、
   前記ストローク切替部は、
   前記リンク部材の切替孔を切り替える切替カムと、
   前記切替カムを駆動する駆動部とを有し、
   前記制御部により前記無負荷モードが設定された場合、
   前記駆動部を駆動して切替カムを回動させ、前記リンク部材の切替孔を前記綴じストロークを略ゼロに設定する当該切替孔に切り替えることを特徴とする請求項１に記載の用紙処理装置。
3. 複数の各々の用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品を綴じて冊子を作成する用紙処理装置が、
   展開状の綴じ部品を綴じて環状の綴じ部品にする工程に関連して、綴じ爪用カムの回転によって綴じ爪リンクが下方向へ移動を開始する位置を綴じ開始位置とし、前記綴じ爪用カムの回転後、前記綴じ爪リンクが最下部に移動したときの位置を綴じ完了位置として、当該綴じ爪リンクが前記綴じ開始位置から前記綴じ完了位置に至る行程を綴じストロークとし、綴じ開始時刻から綴じ完了時刻に至る経過時間を綴じ処理の目標時間とし、前記綴じストロークを略ゼロに設定して綴じ処理を待機する動作を無負荷モードとしたとき、
   前記目標時間を綴じ処理系に設定するステップと、
   前記綴じ処理系によって綴じられる綴じ部品の綴じ処理に係る処理時間を測定するステップと、
   測定された処理時間と設定された前記目標時間とを比較するステップと、
   比較した結果、前記処理時間が前記目標時間を超過していた場合に、前記無負荷モードを綴じ処理系に設定するステップと
   を実行することを特徴とする用紙処理方法。

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