以下、図面を参照しながら、本発明に係る用紙処理装置の実施の形態について説明をする。
図1A及びBは、本発明に係る実施形態としてのバインド装置100の構成例を示す概略図である。バインド装置100は、複数の各々の用紙の所定位置に穿孔された孔に図3に示す綴じ部品43(消耗品)を綴じて冊子を作成する用紙処理装置の一例を構成し、コピー機や印刷装置から出力される記録紙(以下単に用紙という)にパンチ処理をし、その後、所定の綴じ部品43で綴じ処理をして排出する装置である。バインド装置100は、コピー機や印刷装置(画像形成装置)等と並べて使用されることが好ましく、複写機や印刷機等と同程度の高さを有している。
図1Aに示すバインド装置100は、装置本体部(筐体)101を有している。装置本体部101の前面側には、右ドア70及び左ドア71が備えられている。右ドア70及び左ドア71は、図示しない蝶番で装置本体部101に開閉自在に取付けられている。バインド装置100は、左ドア71の下方にスタッカ63を備えている。スタッカ63には、スタッカトレイ73が備えられている。スタッカトレイ73は、用紙束に綴じ部品43が綴じられて排出された冊子90を受け取り、冊子90の厚さや冊数に応じて高さを調節して当該冊子90を蓄積する。また、スタッカ63には、蓄積された冊子90の数を確認するためのスタッカ窓72が、装置本体部101の前面側に備えられている。
図1Bに示すバインド装置100は、図1Aに示したバインド装置100の右ドア70及び左ドア71がオープンされた状態である。装置本体部101内には用紙搬送部10が備えられている。用紙搬送部10は、第1の搬送路11及び第2の搬送路12を有している。搬送路11は、コピー機などから出力された用紙を搬送路12へ向けて搬送する。
搬送路12は、当該搬送路11から搬送経路が切り換え可能なスイッチバック機能を有している。ここにスイッチバック機能とは、搬送路11の所定の位置で用紙の搬送を減速及び停止し、その後、搬送路11から搬送路12に用紙の搬送経路を切り換え、かつ、当該用紙を逆方向に送出する機能をいう。
搬送路12の下流側には、パンチ処理部20が配置されている。パンチ処理部20では、搬送路11からスイッチバックし、搬送路12によって搬送される用紙の一端に二以上の綴じ用のパンチ孔を穿孔するようになされる。パンチ処理本体の下方には、パンチカス収納部26が設けられ、パンチ処理部20で切り落とされたパンチカスを収納するようになされる。
パンチ処理部20の下流側には、バインダ紙揃えユニット30が配置され、パンチ処理部20から排紙される複数枚の用紙のパンチ孔の位置を揃えて一時保留(蓄積)するようになされる。
バインダ紙揃えユニット30は用紙束提供手段の一例として機能し、複数枚の用紙を揃えて一時保留し、当該用紙をクランプして提供する。この例で、バインダ紙揃えユニット30は、用紙進入時、用紙を所定の位置に案内すると共に用紙の後端部を整える。また、バインダ紙揃えユニット30は、用紙の先端と横端を基準位置に揃えるための多櫂状の回転部材(図示せず)により適正な位置に用紙の先端と横端を案内する。
バインダ紙揃えユニット30の下流側には、バインド処理部40が配置される。バインド処理部40は、当該ユニット30によって揃えられた複数枚の用紙束を綴じ部品43(図2参照)で綴じて冊子90を作成する。バインド処理部40は、綴じ機構41及びカートリッジ42を有している。カートリッジ42は綴じ部品収納手段の一例を構成し綴じ部品43を収納する。この例で、カートリッジ42には、処理前は展開されており、処理後に環状(リング状)となる所定の大きさの複数個の綴じ部品43(図3参照)が展開された状態でセットされる。この綴じ部品43は、例えば、射出金型成形され、用紙束の厚みに応じて複数種類の径が準備される。綴じ機構41は、綴じ手段の一例を構成し、展開状の綴じ部品43が収納されたカートリッジ42から所定の大きさの綴じ部品43を取り出し、用紙の所定位置に穿孔されたパンチ孔に綴じ部品43を綴じる。
この例で、綴じ機構41は、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向と、カートリッジ42の綴じ部品提供方向との間を往復回動するように移動する。先ず、綴じ機構41は、搬送路11の搬送方向と直交する位置でカートリッジ42から1個の綴じ部品43を引き抜いて取り出し、この状態で、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向を見通せる位置に回動する。
次に、この位置で綴じ機構41は、バインダ紙揃えユニット30から、パンチ孔が位置決めされた用紙束を受け入れ、そのパンチ孔に綴じ部品43を挿入して嵌合する。嵌合後、綴じ機構41は、綴じ部品43を解放する。用紙束に綴じ部品43が綴じられて冊子90が作成されると、バインダ紙揃えユニット30は、作成された冊子90を排出ユニット60へ受け渡す。
バインド処理部40の下流側には、排出ユニット60が配置される。この排出ユニット60は、バインド処理部40により作成された冊子90を受け取って排出処理する。排出ユニット60は、例えば、第1のベルトユニット61、第2のベルトユニット62及びスタッカ63を有して構成される。
ベルトユニット61は、バインダ紙揃えユニット30から落下してくる冊子90を受け止めて冊子90の送出方向を切り換えるようになされる。例えば、ベルトユニット61は、冊子90を受け止め後、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向を見通せる位置からスタッカ63を見通せる位置へ振り向くようになされる。
スタッカ63を見通せる位置には、ベルトユニット62が配置されている。ベルトユニット62は、ベルトユニット61によって送出方向が切り換えられた冊子90を受け取ってリレー搬送し、当該冊子90をスタッカ63へ受け渡す。スタッカ63は、ベルトユニット61及び62によって搬送されてくる冊子90を蓄積する。このようにして、図2Dに示す冊子90が作成される。
続いて、本発明に係る用紙処理方法について説明する。図2A〜Dは、バインド装置100の機能例を示す工程図である。図2Aに示す用紙3は、当該バインド装置100の上流側(コピー機など)から給紙され、パンチ孔が開孔されていないものである。用紙3は、図1に示した搬送路11の所定の位置に向けて搬送され、搬送路11の所定の位置で減速及び停止される。その後、スイッチバック機能により搬送路11から搬送路12に用紙3の搬送経路が切り換えられ、かつ、当該用紙3は逆方向に送出されてパンチ処理部20に搬送される。
パンチ処理部20では、図2Bに示すように用紙3の一端に所定の数の綴じ用のパンチ孔98が穿孔される。綴じ用のパンチ孔98が穿孔された用紙3’は、バインド紙揃えユニット30へ搬送される。バインド紙揃えユニット30では、予め設定された用紙枚数に到達すると、例えば、図2Cに示す用紙束3”のようにその綴じ用のパンチ孔98の位置が揃えられ、バインド処理部40と協調して綴じ部品43がそのパンチ孔98へ挿入されて嵌合される。これにより、綴じ部品43が嵌合された図2Dに示す冊子90を得ることができる。冊子90は、排出ユニット60により排出されてスタッカ63に蓄積される。
続いて、綴じ部品43について説明する。図3A〜Dは、綴じ部品43の構成例を示す説明図である。図3Aに示す綴じ部品43は、綴じ部品43の一部を示す平面図である。綴じ部品43は、背骨部43a、リング部43b及びピン43fを有する。綴じ部品43は、定型紙の寸法に合わせた長さの背骨部43aに、一定間隔でリング部43bが配列された樹脂射出成形品である。リング部43bは、第1の分割リング部43d、第2の分割リング部43c及び第3の分割リング部43eから構成されている。
図3Bは、図3Aの矢印方向Bから見た状態を示した図である。図3A及びBに示すように、リング部43bは、背骨部43aに結合される分割リング部43cとその左右に折り曲げ自在に連結されている分割リング部43d及び分割リング部43eとに三分割された構成となっている。
第1の展開部の一例である分割リング部43dの先端には、結合部43gが備えられ、第2の展開部の一例である分割リング部43eの先端には、結合部43h(被結合部の一例)が備えられている。結合部43gと結合部43hとが嵌合されてリング部43bは環状となる。
図3Cは、図3AのC−C矢視断面図である。図3Cに示す綴じ部品43の背骨部43a断面の形状は凸型である。この凸型形状は、図9に示す綴じ機構41の綴じ部品掴み部41bの逆L字形状の綴じ部品掴み爪41hで綴じ部品43を掴み易くするための形状である。
図3Dは、複数の綴じ部品43を積層させた状態を図3Aの矢印方向Bから見た状態である。また、図3A〜Cに示したように、リング部43bの分割リング部43cは突起状のピン43fを有している。ピン43fが備えられている分割リング部43cの裏側には、ピン43fに対応した図示しない挿入孔が備えられている。これにより、分割リング部43d、分割リング部43c及び分割リング部43eの各両端部が一直線上に揃った状態で、ピン43fを挿入孔に挿入させて複数の綴じ部品43を整列して積層することができる。
なお、綴じ部品43は、図2で示した用紙束3”の厚みに応じてリング部43bの径の大きさ等が異なるものが複数種類用いられる。また、綴じ部品43は、リング部43bが、分割リング部43d、分割リング部43c及び分割リング部43eの3つの箇所に分割された構成としたが、リング部43bがn(nは自然数)箇所に分割された構成としても良い。
図4A〜Cは、綴じ部品43の動作例(開閉)を示す説明図であり、リング部43bの開閉動作を、図3Aに示した矢印方向Bから見た状態である。図4A〜Cに示すように、リング部43bは、分割リング部43dと分割リング部43cの連結部、及び分割リング部43cと分割リング部43eの連結部にて折り曲げ自在な構成となっている。また、この分割リング部43dの先端部に備えられた結合部43gと分割リング部43eの先端部に備えられた結合部43hとは、結合可能な構成となっている。
これにより、分割リング部43d、分割リング部43c及び分割リング部43eの各両端部が略一直線上に揃った状態から、分割リング部43d及び分割リング部43eを環状方向に折り曲げて結合部43gと結合部43hとを結合させることで、完全なリングを形成することが可能な構成となっている。また結合部43gと結合部43hは、結合及び取り外しを何度も行うことができ、これにより綴じ部品43は再利用することが可能となっている。また、図3及び図4に説明した綴じ部品43は、図2に示した用紙3’及び用紙束3”の厚みに応じてリング部43bの径の大きさ等が異なるものが複数種類用いられる。
図5は、バインダ紙揃えユニット30、綴じ機構41及びカートリッジ42の配置例(その1)を示す概略図である。バインド装置100は、図5に示すバインダ紙揃えユニット30及びカートリッジ42の下流側に綴じ機構41を配置し、かつ、当該綴じ機構41を基準に上流側に放射状にバインダ紙揃えユニット30及びカートリッジ42を配置した略V字状を成す配置構造を有している。
綴じ機構41は、綴じ機構回動軸41dを有している。綴じ機構回動軸41dは、バインダ紙揃えユニット30から下流側へ用紙束3”(図2参照)を排出する方向Iと、カートリッジ42から下流側へ綴じ部品43を排出する方向IIとが交差する領域付近に配置される。
バインダ紙揃えユニット30及びカートリッジ42は、綴じ機構回動軸41dを基準にして上流側で円弧状(放射状)に左側と右側とに配置される。綴じ機構41は、バインダ紙揃えユニット30とカートリッジ42との間を往復移動するように動作する。また、綴じ機構41は、本体上部に開口部41cを有している。綴じ部品取り出し位置(方向II)は、綴じ機構41の開口部41cがカートリッジ42側を向く姿勢をとる位置である。
図5に示す矢印Y1は、綴じ機構41の回動方向である。この例では、綴じ機構回動軸41dを基準にして、上述の綴じ部品取り出し位置(方向II)をホームポジション(待機位置)とすると、このホームポジションから反時計周りの方向に、綴じ部品43を綴じる綴じ位置(方向I)まで回動する。また反対に、この綴じ位置から時計周りの方向にホームポジションまで回動する。
例えば、バインド処理部40では、綴じ機構41がカートリッジ42の下流側に移動して所定の大きさの綴じ部品43(図3参照)を受け取り、カートリッジ42から受け取った綴じ部品43を保持し、綴じ機構回動軸41dを基準にして、反時計周りの方向へ回動して、バインダ紙揃えユニット30の下流側に移動し、当該綴じ部品43で図2Cに示した用紙束3”を綴じる。このように、カートリッジ42から受け取った綴じ部品43をバインダ紙揃えユニット30の下流側に移動して綴じ処理することにより図2Dに示した冊子90を作成することができる。
なお、この例で綴じ機構41は、バインダ紙揃えユニット30が用紙3’を揃えているときに、カートリッジ42から綴じ部品43を取り出すようになされる。このようにすると、用紙揃え処理と綴じ部品43を取り出す処理とを並行処理できるので、綴じ処理の高速化を図ることができ、当該バインド装置100のスループットを向上できるようになる。
図6は、バインダ紙揃えユニット30、綴じ機構41及びカートリッジ42の配置例(その2)を示す概略図である。図6に示す綴じ機構41は、バインダ紙揃えユニット30により揃えられた用紙に綴じ部品43を綴じる処理の為、図5に示したホームポジション(方向II)に有った綴じ機構41が、綴じ機構回動軸41dを基準にして、矢印Y1に示す反時計周りの方向に回動し、綴じ位置(方向I)に移動した状態である。ここに綴じ位置は、綴じ機構41の開口部41cがバインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向を向く姿勢をとる位置である。図6に示すバインド処理部40によれば、綴じ機構41は、綴じ位置(方向I)で、バインダ紙揃えユニット30から提供された用紙束3”に綴じ部品43を綴じて冊子90を作成し、その後、ホームポジション(方向II)へ戻る。
続いて、綴じ機構41の構成例を説明する。図7は、綴じ機構41の構成例を示す斜視図である。図7に示す綴じ機構41は本体部41aと、この本体部41aの内部に綴じ部品掴み部41bを備えている。この本体部41aの内部に位置した綴じ部品掴み部41bは保持部の一例として機能し、カートリッジ42に収納された綴じ部品43を掴んで保持する。例えば、綴じ部品掴み部41bは、綴じ部品43を取得するために本体部41aの上部の開口部41cから外部に出て上昇する。なお、図7に示す綴じ機構41は、その綴じ部品掴み部41bにより綴じ部品43を保持している状態である。
図8は、綴じ機構41の制御系の構成例を示すブロック図である。図8に示す制御系は、制御部50、モータ駆動部44a、綴じ機構駆動用モータ45a(駆動部の一例)及び信号処理部44bを備えている。
制御部50は、システムバス55を有しており、このシステムバス55には、I/O(Input/Output)ポート54、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )53、RAM(Random Access Memory)52及びCPU(Central Processing Unit)51が接続される。EEPROM53には、綴じ機構41が綴じ部品43を取得して用紙に綴じ部品43を綴じる動作を制御するためのプログラム(綴じ部品取得制御プログラム)などが保存されている。RAM52は、綴じ部品取得制御プログラムに基づいて綴じ部品43を取得制御する際に、ワークメモリとして使用される。
I/Oポート54にはモータ駆動部44a及び信号処理部44bが接続されている。信号処理部44bは、外部端子88から出力された規定枚数信号Suを二値化して、例えば3ビットの検出データDuをI/Oポート54を介してCPU51に出力する。CPU51は検出された検出データDuに基づいて綴じ機構41を制御する。
なお、外部端子88には、図示しないコピー機などが接続される。例えば、バインド装置100に組み合わされたコピー機により印刷された1冊子分の用紙枚数の情報が、規定枚数信号Suとして外部端子88から信号処理部44bに出力される。
CPU51は、信号処理部44bから検出データDuを入力し、図5に示した紙揃えユニット30に1冊子分の用紙3’が後少しで蓄積されると判断すると、モータ駆動部44aにモータ制御データDmを出力して綴じ機構41が綴じ処理を行うように制御する。
モータ駆動部44aは、I/Oポート54を介してCPU51に接続され、更に、綴じ機構41に配設された綴じ機構駆動用モータ45aに接続される。モータ駆動部44aは、CPU51により出力されたモータ制御データDmを入力し、モータ制御データDmをデコードした綴じ機構駆動用信号S45aを綴じ機構駆動用モータ45aに出力し、当該モータ45aを駆動させる。
綴じ機構駆動用モータ45aが駆動されると、図7に示した綴じ部品掴み部41bは、カートリッジ42(図5参照)に積層されている最下位層の綴じ部品43を取得できる位置まで上昇して綴じ部品43を掴んで下降する。
綴じ部品掴み部41bの下降後、綴じ機構駆動用モータ45aの回転により、綴じ機構41がホームポジションから綴じ位置へ移動する(図6参照)。
綴じ機構41は綴じ位置に移動して停止後、バインダ紙揃えユニット30から提供された用紙束3”のパンチ孔98に綴じ部品43を綴じて当該綴じ部品43を解放する。その後、綴じ機構41は、綴じ位置からホームポジション(図5参照)に移動する。
図9A及びBは、綴じ機構41の内部の構成及び動作例を示す断面図である。説明の理解を容易にするために、図9A及びBには、綴じ機構41の綴じ部品掴み部41bの上下移動機能に係る関連部材を示す。図9Aに示す綴じ機構41は、この綴じ部品掴み部41bを上下に移動するため、掴み部リンク41f、掴み部用カム41g、掴み部リンク回転軸41j及び綴じ機構駆動用モータ45aを備えている。図9Aに示す綴じ部品掴み部41bは、最下部に位置する状態を示している。
綴じ部品掴み部41bは略直方体に形成され、その横方向及び縦方向の幅は開口部41cより若干小さい形状を有している。また、綴じ部品掴み部41bの上端部には、綴じ部品43を掴むための複数の綴じ部品掴み爪41hを備えている。
更に、綴じ部品掴み部41bは、側面に突起状の掴み部リンク結合部41eを有している。綴じ部品掴み部41bと掴み部リンク41fは、掴み部リンク結合部41eが掴み部リンク41fの長孔状の掴み部結合孔41iに嵌合されて結合された状態となっている。掴み部リンク41fは掴み部用カム41gに連結され、掴み部用カム41gが回転することで、掴み部リンク回転軸41jを軸に回転可能な構成となっている。
図9Bに示す綴じ機構41は、綴じ部品掴み部41bが図9Aに示した最下部に位置する状態から、その最上部に位置する状態に移動した場合を示している。この場合、綴じ機構駆動用モータ45aにより、不図示の歯車やリンク機構を介して掴み部用カム41gが回転されることにより、掴み部リンク41fが回転する。これにより、掴み部結合孔41iの位置及び姿勢が変化し、その結果、掴み部リンク結合部41eを介して綴じ部品掴み部41bが、矢印方向Dに示すように上方向へ移動可能なようになされる。
このように、綴じ部品掴み部41bは、図9Aに示した最下部から図9Bに示した最上部まで移動可能な構成となっている。また、図9Aに示した綴じ部品掴み部41bが最下部に位置する状態では、綴じ部品掴み爪41hは、本体部41aの内部に位置する。更に、図9Bに示したように、綴じ部品掴み部41bが最上部に位置する状態では、綴じ部品掴み爪41hは本体部41aの外部に位置するようになっている。この綴じ部品掴み爪41hは、綴じ機構駆動用モータ45aの回転により、不図示の歯車やリンク機構を介して開閉する。
図10は、綴じ機構41の内部の構成例を示す断面図である。図10には、綴じ機構41の綴じ部品掴み部41bにより保持した綴じ部品43を綴じる綴じ機能に係る関連部材を示す。図10に示す綴じ機構41は、小径用の綴じ部品43を綴じる状態である。この綴じ機構41は、綴じ部品43を綴じる機能に係る嵌合部414として、左右の綴じ爪41k(綴じ部材の一例)、第1の綴じ爪リンク41l、第2の綴じ爪リンク41m、第3の綴じ爪リンク41n、バネ41o及び綴じ爪用カム41pを有する。左右の綴じ爪41kは、綴じ部品掴み部41bの両側に配置されている。なお、第1〜第3の綴じ爪リンク41l、41m、41nはリンク機構の一例を構成し、第2の綴じ爪リンク41mは第1の綴じ爪リンク部材の一例を構成し、第3の綴じ爪リンク41nは第2の綴じ爪リンク部材の一例を構成する。
綴じ機構41は、綴じ部品掴み部41bにより保持された展開状態の綴じ部品43の円弧部を、左右の綴じ爪41kにより両外側から内側に押して用紙束3”のパンチ孔98に綴じ部品43の両先端部を挿入して嵌合する。
綴じ爪41kの各々は、軸部材410aにより第1の綴じ爪リンク41lに回動自在に結合されて左右に平行移動する。第1の綴じ爪リンク41lは、第1の綴じ爪リンク回転軸41r及び第1のリンク結合部46jを有しており、このリンク結合部46jを介して第2の綴じ爪リンク41mに結合されている。この綴じ爪リンク41mは、第2の綴じ爪リンク結合孔41s(結合孔の一例)及び第2のリンク結合部46kを有する。
第2の綴じ爪リンク41mは、第2のリンク結合部46kによって第3の綴じ爪リンク41nに結合されている。この綴じ爪リンク41nは、第3の綴じ爪リンク回転軸41t及びカムフォロア410bを有している。綴じ爪リンク41nは、綴じ爪用カム41pの回動によりカムフォロア410bを介して押し下げられ、第3の綴じ爪リンク回転軸41tを回動軸として反時計回りに回動する。また、第2の綴じ爪リンク41mはバネ41oが備えられ、左上方向に引っ張る力が絶えず掛かっている。これは、後述する第2の綴じ爪リンク結合孔41sの位置を変更する場合に、第2の綴じ爪リンク41mなどのガタツキなどを防ぎ、綴じ処理の精度を高める為である。また、綴じ終了後の綴じ爪41kのリターンにも使用している。
第2の綴じ爪リンク結合孔41sは、左右の綴じ爪41kが綴じ部品43を綴じるピッチ(嵌合間隔)を綴じ部品43の径サイズに合わせて調整するために、例えば、3種類の綴じ部品43の径サイズ(大径、中径、小径)に対応した孔部を有している。これらの3種類の孔部は、第1のリンク結合部46jからの距離が夫々異なるように段違いに設けられている。
例えば、綴じ部品43の径が小径の場合、左右の綴じ爪41kが綴じ部品43を綴じるピッチL1(左右の綴じ爪41k間の距離)を短く設定する。このために、図10に示すように第2のリンク結合部46kを第2の綴じ爪リンク結合孔41sの紙面向かって右上の孔部に設定して、第1のリンク結合部46jと第2のリンク結合部46kとの距離を短く設定する。
また、綴じ部品43の径が大径の場合、左右の綴じ爪41kが綴じ部品43を綴じるピッチL2(図17参照)をピッチL1より長く設定する。このために、第2のリンク結合部46kを第2の綴じ爪リンク結合孔41sの紙面向かって左から2番目の孔部に設定して、第1のリンク結合部46jと第2のリンク結合部46kとの距離を長く設定する。
このように、綴じ部品43の径サイズに合わせて第2のリンク結合部46kを第2の綴じ爪リンク結合孔41sに設定するために、調整部の一例として機能する切り替えカム41u及び綴じ部品調節部46lを有する。この切り替えカム41uは、不図示の綴じ部品調節用モータに駆動される。切り替えカム41uは、綴じ部品調節部46lに設けられた棒部材410cに当接して、この綴じ部品調節部46lを左右に平行移動させる。第2の綴じ爪リンク41mは、この綴じ部品調節部46lに軸部材410dを介して回動自在に結合されている。
この綴じ部品調節部46lが左右に平行移動すると、この綴じ部品調節部46lに軸部材410dを介して結合された第2の綴じ爪リンク41mは、第1のリンク結合部46jを軸にして左右へ回動する。これにより、この綴じ爪リンク41mの綴じ爪リンク結合孔41sが左右へ移動して、第2のリンク結合部46kが、当該綴じ爪リンク結合孔41sの3種類の孔部のいずれかに設定される。このようにして、綴じ部品43の径サイズに合わせて第2のリンク結合部46kを第2の綴じ爪リンク結合孔41sに設定する。
図11は、綴じ機構41の動作例(その1)を示す断面図である。図11に示す綴じ機構41は、その内部に待機した綴じ部品掴み部41bが上昇し、図5に示したカートリッジ42から小径の綴じ部品43を取り出して保持している状態である。この綴じ部品掴み部41bは、図9Bで説明したように、掴み部リンク41fにより上下動される。
図12は、綴じ機構41の動作例(その2)を示す断面図である。図12に示す綴じ機構41は、図11に示した綴じ部品掴み部41bが所定の位置まで下降した状態である。この綴じ部品掴み部41bに保持された小径の綴じ部品43の姿勢は、図5に示したカートリッジ42に収納された略水平状態を保っている。この状態で、綴じ部品掴み部41bが保持した綴じ部品43の分割リング部43d、43eは、左右の綴じ爪41kの綴じ部41qに夫々当接している。なお、この状態では、図12に示す左右の綴じ爪41kは動いていない。
図13は、綴じ機構41の動作例(その3)を示す断面図である。図13に示す綴じ機構41は、図12に示した綴じ部品掴み部41bが更に下降した状態である。この綴じ部品掴み部41bに保持された綴じ部品43は、その分割リング部43d、43eが内側に綴じられて図12に示した略水平状態から、綴じ部品43を半分綴じた略半綴じ状態を形成している(以下プレフォーミングという)。
このプレフォーミングに移行するとき、図13に示す嵌合部414の左右の綴じ爪41kは、図12に示した綴じ部品掴み部41bが展開状態(略水平状態)の綴じ部品43を引き込むと共に、当該展開状態の綴じ部品43の円弧部を両側から押圧する。例えば、嵌合部414の綴じ爪用カム41pは、その第1のカム突出部410pによりカムフォロア410bを介して第3の綴じ爪リンク41nを若干押し下げる。この綴じ爪リンク41nが若干押し下げられることにより、この綴じ爪リンク41nに係合された綴じ爪リンク41m及び綴じ爪リンク41lを介して、左右の綴じ爪41kは内側に移動して展開状態の綴じ部品43の分割リング部43d、43eを両外側から内側に押圧する。
以下、上述したプレフォーミングに移行するとき、左右の綴じ爪41kが、綴じ部品掴み部41bが下降すると共に内側に移動して当該左右の綴じ爪41kのピッチを狭くする場合(第1の動作タイミング)と、綴じ部品掴み部41bが下降した後に、左右の綴じ爪41kが内側に移動して当該左右の綴じ爪41kのピッチを狭くする場合(第2の動作タイミング)の2つの制御方法を説明する。
これらの左右の綴じ爪41kを移動する第1の動作タイミングは、綴じ爪用カム41pにより制御している。この綴じ爪用カム41pの外周形状を変更することで、左右の綴じ爪41kを移動する第1の動作タイミングを制御する。
図14A及びBは、綴じ爪用カム41p、411pの形状例を示す正面図である。図14Aに示す綴じ爪用カム41pは、図13に示した綴じ爪用カム41pと同一であり、上述の第1の動作タイミングを実現する。この綴じ爪用カム41pは、第1のカム突出部410pを有している。このカム突出部410pは、綴じ爪リンク41nのカムフォロア410bに当接して、当該綴じ爪リンク41nを押し下げている。これにより、図13に示した左右の綴じ爪41kは、この綴じ爪リンク41nに係合された綴じ爪リンク41m及び綴じ爪リンク41lを介して、内側に移動して当該ピッチを狭くするように動作する。
これに対して、図14Bに示す綴じ爪用カム411pは、この第1のカム突出部410pが設けられておらず、上述の第2の動作タイミングを実現する。この綴じ爪用カム411pは、カム突出部410pが設けられていない他は、図14Aに示す綴じ爪用カム41pと同じ形状である。
図14Bに示す綴じ爪用カム411pは、第1のカム突出部410pが設けられていない。このため、図14Bに示す綴じ爪用カム411pは、現時点では綴じ爪リンク41nのカムフォロア410bを押し下げていない。綴じ爪用カム411pは、図14Bに示す状態から更に矢印方向D2に回転すると、第2のカム突出部412pによりカムフォロア410bを介して綴じ爪リンク41nを押し下げる。これにより、左右の綴じ爪41kは、この綴じ爪リンク41nに係合された綴じ爪リンク41m及び綴じ爪リンク41lを介して、内側に移動して当該ピッチを狭くするように動作してプレフォーミングを形成する。
上述したように、プレフォーミングに移行する際に、左右の綴じ爪41kが動くタイミングは、図14Bの綴じ爪用カム411pによる第2の動作タイミングよりも図14Aの綴じ爪用カム41pによる第1の動作タイミングが早くなる。
以下、左右の綴じ爪41kが、綴じ部品掴み部41bが下降すると共に内側に移動して当該左右の綴じ爪41kのピッチを狭くする第1の動作タイミングと、綴じ部品掴み部41bが下降した後に、左右の綴じ爪41kが内側に移動して当該左右の綴じ爪41kのピッチを狭くする第2の動作タイミングとにより、綴じ部品43に及ぼす影響について説明する。
図15A〜Cは、綴じ機構41、41’の綴じ爪41kの動作比較例(その1)を示す説明図である。図15Aに示す綴じ機構41は、綴じ爪用カム41pによる第1の動作タイミングで動作している。図15Aに示す綴じ部品掴み部41bは、図12に示した綴じ部品掴み部41bと、図13に示した綴じ部品掴み部41bとの中間の位置まで下降した状態を示している。この状態で、図15Aに示す左右の綴じ爪41kは、図13に示したプレフォーミングに移行時、図12に示した状態から綴じ部品掴み部41bの下降と共に内側に移動する。これにより、綴じ爪41kの綴じ部41qは、先端から外れた綴じ部品43の分割リング部43d、43eに当接しながら綴じ部品43を綴じている。
図15Bに示す綴じ機構41は、図15Aの綴じ部品掴み部41bが更に下降し、図13に示したプレフォーミングにおける綴じ機構41の要部拡大図である。図15Aに示す左右の綴じ爪41kは、プレフォーミングに移行時、図15Aに示した状態から綴じ部品掴み部41bの下降と共に内側に移動する。これにより、綴じ爪41kの綴じ部41qは、先端から外れた綴じ部品43の分割リング部43d、43eの略中央に当接して、当該綴じ部品43を半綴じ状態に形成する。このように、剛性の強い分割リング部43d、43eの略中央に当接して押圧するので、嵌合性能を向上できる。
これに対して、図15Cに示す綴じ機構41’は、綴じ爪用カム411pによる第2の動作タイミングで動作する例である。図15Cに示す綴じ機構41’の左右の綴じ爪41kは、プレフォーミングに移行時、図12に示した状態から綴じ部品掴み部41bが下降した後に内側に移動する。すなわち、図15Cに示すように、綴じ部品掴み部41bが略下死点まで下降した後に、左右の綴じ爪41kは、この綴じ部品掴み部41bにより保持された綴じ部品43の両先端を内側に押し込んで、図15Bに示した綴じ部品43の半綴じ状態を形成する。このように、図15Cに示す綴じ爪41kの綴じ部41qは、綴じ部品43の分割リング部43d、43eの略先端に当接して当該綴じ部品43を半綴じ状態に形成する。
これらの分割リング部43d、43eの先端に設けられた結合部43g、43hは、図3で説明したようにお互いが嵌合されて綴じ部品43は環状となる。従って、これらの結合部43g、43hは、リブ43q(図33B参照)で補強された分割リング部43d、43eの本体(中央部)と比較して薄肉に形成されている。このため、図15Cに示す綴じ部41qが、結合部43g、43hに当接して内側に押し込むと、当該薄肉に形成された結合部43g、43hが内側に折れ曲がり、図15Bに示した綴じ部品43の半綴じ状態を形成できないおそれがある。
図16A及びBは、綴じ機構41、41’の綴じ爪41kの動作比較例(その2)を示す説明図である。図16Aに示す綴じ爪41kは、図15Bに示した綴じ爪41kを拡大した斜視図である。図16Aに示す綴じ爪41kは、その綴じ部41qが、綴じ部品43の分割リング部43dの略中央に当接して、当該綴じ部品43を半綴じ状態に形成している。
図16Bに示す綴じ機構41’は、図15Cに示した綴じ爪41kを拡大した斜視図である。図16Bに示すように、綴じ爪41kの綴じ部41qが、分割リング部43dの結合部43gに当接して内側に押し込むと、当該薄肉に形成された結合部43gが内側に折れ曲がり、図16Aに示す綴じ部品43の半綴じ状態を形成できないおそれがある。
従って、本実施例では、綴じ爪用カム41pを用いた第1の動作タイミングを採用し、プレフォーミングに移行時に左右の綴じ爪41kは、図12に示した綴じ部品掴み部41bの状態から、当該綴じ部品掴み部41bが下降すると共に内側に移動する。これにより、綴じ爪41kの綴じ部41qは、薄肉に形成された結合部43g、43hに当接せずに、綴じ部品43の分割リング部43d、43eの略中央に当接して当該綴じ部品43を半綴じ状態に形成できる。
続いて、上述した小径の綴じ部品43を綴じる例にかえて、大径の綴じ部品43を綴じる例を説明する。図17は、綴じ機構41の内部の構成例を示す断面図である。図17に示す綴じ機構41は、大径の綴じ部品43を綴じるために、図10に示した小径の綴じ部品43を綴じる綴じ機構41と次の点で異なっている。リンク結合部46kが、綴じ爪リンク結合孔41sの右上の孔部から移動されて左下の孔部に設定されている。
このように、左下の孔部に設定するためには、切り替えカム41uは、反時計回りに約180°回動し、綴じ部品調節部46lに設けられた棒部材410cを右方向に移動させる。綴じ部品調節部46lが右方向に移動すると、この綴じ部品調節部46lに軸部材410dを介して回動自在に結合された綴じ爪リンク41mは、リンク結合部46jを中心にして反時計回りに回動する。これにより、この綴じ爪リンク41mの綴じ爪リンク結合孔41sが右方向へ移動して、リンク結合部46kが当該綴じ爪リンク結合孔41sの左下の孔部に設定される。
このようにして、大径の綴じ部品43を綴じる場合に、リンク結合部46jとリンク結合部46kとの距離が長くなるように調整する。これにより、上述したように、左右の綴じ爪41kが大径の綴じ部品43を綴じるピッチL2は、小径の綴じ部品43を綴じるピッチL1と比べて長くなる。この他の構成は、図10に説明した内容と同一のため省略する。
図18は、綴じ機構41の動作例(その1)を示す断面図である。図18に示す綴じ機構41は、その内部に待機した綴じ部品掴み部41bが上昇し、図5に示したカートリッジ42から大径の綴じ部品43を取り出して保持している状態である。この綴じ部品掴み部41bは、図9Bで説明したように、掴み部リンク41fにより上下動される。
図19は、綴じ機構41の動作例(その2)を示す断面図である。図19に示す綴じ機構41は、図18に示した綴じ部品掴み部41bが所定の位置まで下降した状態である。この綴じ部品掴み部41bに保持された大径の綴じ部品43の姿勢は、図5に示したカートリッジ42に収納された略水平状態を保っている。この状態で、綴じ部品掴み部41bが保持した綴じ部品43の分割リング部43d、43eは、左右の綴じ爪41kの綴じ部41qに夫々当接している。なお、この状態では、図19に示す左右の綴じ爪41kは動いていない。
図20は、綴じ機構41の動作例(その3)を示す断面図である。図20に示す綴じ機構41は、図19に示した綴じ部品掴み部41bが更に下降した状態である。この綴じ部品掴み部41bに保持された大径の綴じ部品43は、その分割リング部43d、43eが内側に綴じられて図19に示した略水平状態から半綴じ状態を形成している(プレフォーミング)。
このプレフォーミングに移行するとき、図20に示す左右の綴じ爪41kは、図19に示した綴じ部品掴み部41bが下降すると共に、内側に移動して当該左右の綴じ爪41kのピッチを狭くするように動作する。これにより、綴じ爪41kの綴じ部41qは、薄肉に形成された結合部43g、43hに当接せずに、綴じ部品43の分割リング部43d、43eの略中央に当接して当該綴じ部品43を半綴じ状態に形成できる。
続いて、綴じ機構41の動作タイミングの例を時系列に説明する。この例では、主に、綴じ機構41の綴じ爪41kと綴じ部品掴み部41bとの動作タイミングを説明する。図21は、綴じ機構41の動作例を示すタイミングチャートである。図21に示すタイミングチャートの縦軸の項目には、上から順番に「HP(ホームポジション)」、「タイミング」、「掴み部41bの位置」、「背骨保持」、「スイング」、「綴じ爪41k」及び「紙下降リンク」が示されている。また、タイミングチャートの横軸の項目には、メインシャフト412(図23参照)の回転角度が示されている。このメインシャフト412は、綴じ機構駆動用モータ45a(図23参照)により所定のギヤを介して回転され、図5に示した綴じ機構41がホームポジション(方向II)から綴じ位置(方向I)に移動し、そして再びホームポジション(方向II)に戻るまでの工程において、一回転する。
図21に示す項目「HP」は、綴じ機構41が動作を開始するタイミングを示している。例えば、項目「HP」によれば回転角度「約15°」の時点で、綴じ機構41がホームポジションから移動を開始している。
図21に示す項目「掴み部41bの位置」は、綴じ部品掴み部41bの位置を示している。例えば、項目「掴み部41bの位置」によれば回転角度「約40°」の時点で、綴じ部品掴み部41bが上死点に到達している(図9B参照)。その後、綴じ部品掴み部41bは、カートリッジ42から綴じ部品43を分離する。
図21に示す項目「背骨保持」は、綴じ部品掴み部41bが綴じ部品43を保持しているタイミングを示している。例えば、項目「背骨保持」によれば回転角度「約85°」の時点で、綴じ部品掴み部41bが綴じ部品43を完全に保持している。このとき、上死点に到達した綴じ部品掴み部41bが下降を開始する。
図21に示す項目「スイング」は、綴じ機構41がホームポジション(カートリッジ42側)から綴じ位置(バインダ紙揃えユニット30側)に移動するタイミングを示している。例えば、項目「スイング」によれば回転角度「約110°」の時点で、綴じ機構41がホームポジションから綴じ位置に移動を開始している。
図21に示す項目「綴じ爪41k」は、綴じ爪41kが動作するタイミングを示している。例えば、項目「綴じ爪41k」によれば回転角度「約128°」の時点で、プレフォーミングを形成するために綴じ爪41kが閉まる動作を開始している(第1の動作タイミング)。すなわち、項目「掴み部41bの位置」によれば、綴じ部品掴み部41bが下死点に至る途中に、綴じ爪41kが閉まる動作を開始している。
これにより、図15A及び図15Bで説明したように、綴じ爪41kは、プレフォーミングに移行時、図12に示した状態から綴じ部品掴み部41bの下降と共に内側に移動する。従って、綴じ爪41kの綴じ部41qは、綴じ部品43の分割リング部43d、43eの略中央に当接して、当該綴じ部品43を半綴じ状態に形成する。
これに対して、項目「綴じ爪41k」において、破線で示した綴じ爪用カム411p軌跡は、図14Aに示した綴じ爪用カム41pに替えて図14Bに示した綴じ爪用カム411pを使用した場合に、綴じ爪41kが閉まる動作開始を示している。この綴じ爪用カム411pを使用した場合、綴じ爪41kは、回転角度「約148°」の時点で、プレフォーミングを形成するために綴じ爪41kが閉まる動作を開始する(第2の動作タイミング)。
この綴じ爪用カム411pを使用した場合、綴じ爪用カム41pを使用した場合よりも約20°遅れて、左右の綴じ爪41kが閉まる動作を開始している。すなわち、項目「掴み部41bの位置」によれば、綴じ部品掴み部41bが略下死点に到達した時点で、綴じ爪41kが閉まる動作を開始している。
これにより、図15Cで説明したように、綴じ爪41kは、プレフォーミングに移行時、図12に示した状態から綴じ部品掴み部41bの下降後に内側に移動する。このため、図15Cに示す綴じ爪41kの綴じ部41qは、綴じ部品43の分割リング部43d、43eの結合部43g、43hに当接して当該綴じ部品43を半綴じ状態に形成する。これにより、図15Cに示す綴じ部41qが、結合部43g、43hに当接して内側に押し込むと、薄肉に形成された結合部43g、43hが内側に折れ曲がり、図15Bに示した綴じ部品43の半綴じ状態を形成できないおそれがある。従って、当該実施の形態では、綴じ爪用カム41pを使用して、第1の動作タイミングで綴じ爪41kが動作するように制御している。
プレフォーミングが完成後、項目「綴じ爪41k」によれば回転角度「約210°〜270°」の間で、綴じ爪41kは、バインダ紙揃えユニット30から提供された用紙束3”のパンチ孔98に綴じ部品43の先端を挿通して嵌合する。その後、項目「HP」によれば回転角度「約360°」の時点で、綴じ機構41は、ホームポジションに戻って綴じ処理を終了する。
このように、本発明に係るバインド装置100によれば、綴じ部品43を用紙束3”のパンチ孔に嵌合する嵌合部414は、展開状態の綴じ部品43を保持した綴じ部品掴み部41bが当該綴じ部品43を綴じ爪41kの間に引き込むと共に、左右の綴じ爪41kにより当該綴じ部品43を両側から押圧するものである。
従って、嵌合部414が、展開状態の綴じ部品43の剛性の強い円弧部を綴じ爪41kにより押圧できる。これにより、薄肉に形成された綴じ部品の先端部を綴じ爪41kが押圧しないので、綴じ部品43の先端部が折れ曲がることを防止できる。従って、綴じ部品43の嵌合精度を向上できる。
続いて、バインダ紙揃えユニット30及び綴じ機構41の構成及び動作例を説明する。図22は、バインダ紙揃えユニット30及び綴じ機構41の構成例を示す正面図である。図22に示す綴じ機構41は、図5に示した綴じ部品取り出し位置であるホームポジション(方向II)に位置している。なお、カートリッジ42には、複数個の綴じ部品43が積層されて装填されている。
バインダ紙揃えユニット30は、クランプ移動機構80を有している。このクランプ移動機構80はクランプ部の一例を構成し、左右のガイドフレーム30aに滑動(スライド)自在に取り付けられ、用紙束3”をクランプする。この例で、左右のガイドフレーム30aには、ガイド溝30d、30e、30f及び上方位置規制部30gが備えられている。ガイド溝30dは、ガイドフレーム30aの上部に開口されて設けられ、ガイド溝30eはガイドフレーム30aの略中央部に開口されて設けられ、ガイド溝30fはガイドフレーム30aの下部に開口されて設けられている。これらのガイド溝30d〜30fの形状は、同一の長孔形状である。ガイド溝30d〜30fには、支点軸部材805、連結軸30i、30jによりクランプ移動機構80がスライド自在に取り付けられている。左右のガイドフレーム30aのガイド溝30eの近傍には、上方位置規定部30gが位置調整自在に設けられている。この上方位置規定部30gは、スライド自在に取り付けられたクランプ移動機構80の上方移動位置を規定する。
このようにスライド自在にガイドフレーム30aに取り付けられたクランプ移動機構80を上昇及び下降させるために、綴じ機構41には昇降部415が備えられている。この昇降部415は綴じ機構駆動用モータ45a(図23参照)により駆動され、2枚の上部昇降リンク415aを対峙して有している。これらの上部昇降リンク415a上に、クランプ移動機構80のアーム102(図23参照)の先端に設けられた連結軸30jが載置されている。この上部昇降リンク415aが所定角度だけ回動することにより、当該上部昇降リンク415a上に載置されたクランプ移動機構80は、ガイド溝30d〜30fに規制されて昇降する。
続いて、クランプ移動機構80及び綴じ機構41の構成及び動作例を説明する。図23は、クランプ移動機構80及び綴じ機構41の構成例を示す正面図である。説明の理解を容易にするために、図22に示したガイドフレーム30aなどの構成要素の図示を省略している。
図23に示すクランプ移動機構80及び綴じ機構41の配置は、図22に示したクランプ移動機構80及び綴じ機構41の配置と同一のホームポジションである。綴じ機構41は、二点鎖線で示す綴じ機構駆動用モータ45aを備え、この綴じ機構駆動用モータ45aにより駆動される。
このクランプ移動機構80は、一対のL字形状の綴じ部品ガイド部材99を有している。一対の綴じ部品ガイド部材99は、用紙束3”のパンチ孔98を半分覆った状態で上下から挟み込む。このように、パンチ孔98を半分覆った状態で用紙束3”を上下から挟み込むことによって、綴じ部品ガイド部材99の前面に、綴じ部品43の先端を当接させながら、当該綴じ部品43の先端をパンチ孔98に挿入して嵌合することができる。これにより、パンチ孔98に綴じ部品43を嵌合する精度を向上させることができる。
一対の綴じ部品ガイド部材99により用紙束3”を挟み込んだクランプ移動機構80は、その先端に設けられた連結軸30jが昇降部415の上部昇降リンク415a上に載置されている。
図24は、クランプ移動機構80及び綴じ機構41の動作例(その1)を示す正面図である。図24に示す綴じ機構41の綴じ部品掴み部41bは、ホームポジションで駆動力を得て、カートリッジ42に収納された綴じ部品43を掴んで保持する。例えば、綴じ機構駆動用モータ45a(図23参照)により回転された掴み部用カム41gを介して回転された掴み部リンク41fによって、当該綴じ部品掴み部41bが上昇する。上昇した綴じ部品掴み部41bは、カートリッジ42の最下部に装填された綴じ部品43を保持する。このとき、綴じ機構41の昇降部415は回動していない。従って、この昇降部415の上部昇降リンク415a上に載置されたクランプ移動機構80の位置は、図23に示したクランプ移動機構80の位置から変わっていない。
図25は、クランプ移動機構80及び綴じ機構41の動作例(その2)を示す正面図である。図25に示す綴じ機構41の綴じ部品掴み部41bは、図24に示した綴じ部品43を保持した状態から、綴じ機構駆動用モータ45a(図23参照)により回転された掴み部用カム41g(図9B参照)を介して回転された掴み部リンク41fによって所定の位置まで下降している。このとき、昇降部415は回動しておらず、その上部昇降リンク415a上に載置されたクランプ移動機構80の位置は、図23に示したクランプ移動機構80の位置から変わっていない。
図26は、クランプ移動機構80及び綴じ機構41の動作例(その3)を示す正面図である。図26に示す綴じ機構41は、綴じ機構駆動用モータ45a(図23参照)により回転された所定の歯車によって、綴じ機構回動軸41dを基準にして、ホームポジション(方向II)から綴じ位置(方向I)まで回動している。例えば、綴じ機構41は、綴じ機構駆動用モータ45aの回転軸に結合された不図示の平歯車と、綴じ機構41に固定された不図示の扇形歯車とが噛合されている。この平歯車が綴じ機構駆動用モータ45aにより回動されることにより扇形歯車が回動して、綴じ機構41は、綴じ機構回動軸41dを基準にして反時計回りに綴じ部品43を綴じる綴じ位置(方向I)まで回動する。なお、綴じ機構回動軸41d、不図示の平歯車及び扇形歯車は、位置設定部413を構成する。この位置設定部413は、綴じ機構駆動用モータ45aから駆動力を得て、綴じ機構41の本体の位置をホームポジション(方向II)及び綴じ位置(方向I)に設定する。
綴じ機構41が綴じ位置(方向I)まで回動する間、綴じ機構41の綴じ部品掴み部41bは、図25に示した綴じ部品43を保持して下降した状態から更に下降している。これと同時に、綴じ機構41の左右の綴じ爪41kは、図13で説明したように内側に移動して綴じ部品43のプレフォーミングを形成している。
また、昇降部415は支点軸415kを中心にして回動していないが、その上部昇降リンク415a上に載置されたクランプ移動機構80の連結軸30jの位置は、綴じ機構41の回動により、図25に示した上部昇降リンク415aの先端から後端に移動している。
図27は、クランプ移動機構80及び綴じ機構41の動作例(その4)を示す正面図である。図27に示す綴じ機構41は、綴じ位置(方向I)に回動すると共にプレフォーミングを形成後、綴じ機構駆動用モータ45a(図26参照)により昇降部415の上部昇降リンク415aを支点軸415kを中心にして時計回りに回動している。なお、この昇降部415の詳細な構成及び動作例は図28で詳細に説明する。
この上部昇降リンク415aの回動により、当該上部昇降リンク415a上に載置されたクランプ移動機構80は、所定位置まで下降している。例えば、クランプ移動機構80は、保持した用紙束3”のパンチ孔98が、プレフォーミングを形成した綴じ部品43の先端が嵌合する位置まで下降している。このとき、クランプ移動機構80の綴じ部品ガイド部材99の前面に、綴じ部品43の先端が当接している。
クランプ移動機構80が下降する時、図22に示したガイドフレーム30aに設けられたガイド溝30d〜30fの各々に、支点軸部材805、連結軸30i、30jの各々が規制されて下降する。
図28は、昇降部415の構成及び動作例を示す斜視図である。図28に示す昇降部415は、上述した上部昇降リンク415aの他に、下部昇降リンク415b、上昇用カム415c、下降用カム415d及び駆動軸415eを備える。上昇用カム415c及び下降用カム415dは、下部昇降リンク415bに係合され、図26に示した綴じ機構駆動用モータ45aにより駆動される。下部昇降リンク415bは、上昇用カム415c及び下降用カム415dに駆動されて回動される。回動された下部昇降リンク415bに結合された上部昇降リンク415aは、クランプ移動機構80の連結軸30jに当接し、クランプ移動機構80を昇降する。
この例で、駆動軸415eには、上昇用カム415c及び下降用カム415dが、当該駆動軸415eの両端に取り付けられている。下部昇降リンク415bの内側には、上昇用カムフォロア415fが取り付けられ、外側には、下降用カムフォロア415gが取り付けられている。また、下部昇降リンク415bの上端部は、支点軸410に回動自在に結合され、下端部に設けられた長孔415hは、駆動軸415eが係合されている。下部昇降リンク415bは、支点軸410を回動軸にしてこの長孔415hの範囲内で回動する。また、下部昇降リンク415bの先端部は、リンク連結軸415iにより、上部昇降リンク415aの長孔415jに係合されている。上部昇降リンク415aの後端上位部は、支点軸415kに回動自在に結合されている。また、上部昇降リンク415aの後端下位部は、一端を支点軸410に取り付けたバネ415mにより、反時計回りに付勢されている。これにより、上部昇降リンク415aは、クランプ移動機構80の連結軸30jを押し上げて上昇させている。
このように構成された昇降部415の駆動軸415eが綴じ機構駆動用モータ45aにより反時計回りに回転されると、下降用カム415dが下降用カムフォロア415gを押し上げて、下部昇降リンク415bを反時計回りに回動する。下部昇降リンク415bが反時計回りに回動されると、この下部昇降リンク415bの先端部に係合された上部昇降リンク415aが押し下げられて時計回りに回動して下降する。
その後、更に駆動軸415eが反時計回りに回転されると、上昇用カム415cが上昇用カムフォロア415fを押し上げて、下部昇降リンク415bを時計回りに回動する。下部昇降リンク415bが時計回りに回動されると、この下部昇降リンク415bの先端部に係合された上部昇降リンク415aが押し上げられて反時計回りに回動されて上昇し、バネ415mの張力によりの上昇した姿勢を維持する。
図29は、クランプ移動機構80及び綴じ機構41の動作例(その5)を示す正面図である。図29に示す綴じ機構41の嵌合部414の綴じ爪41kは、綴じ機構駆動用モータ45aから駆動力を得て、昇降部415により降下されたクランプ移動機構80にクランプされた用紙束3”に、綴じ部品掴み部41bにより保持された綴じ部品43を嵌合する。例えば、綴じ機構41は、クランプ移動機構80の綴じ部品ガイド部材99の前面に綴じ部品43の先端が当接後、左右の綴じ爪41kにより、当該綴じ部品43を内側に押圧してその先端をパンチ孔98に挿入している。このとき、綴じ部品43の先端は、綴じ部品ガイド部材99の前面に摺動しながら内側に移動する。
図30は、クランプ移動機構80及び綴じ機構41の動作例(その6)を示す正面図である。図30に示す綴じ機構41は、左右の綴じ爪41kによりクランプ移動機構80の綴じ部品ガイド部材99の前面に綴じ部品43の先端を摺動しながら当該綴じ部品43を環状に綴じた状態である。この状態で、綴じ部品43は、用紙束3”のパンチ孔98に嵌合されている。
図31は、クランプ移動機構80及び綴じ機構41の動作例(その7)を示す正面図である。図31に示す綴じ機構41の綴じ部品掴み部41bは、用紙束3”に綴じ部品43が嵌合された後、綴じ機構駆動用モータ45a(図26参照)の回転により綴じ部品掴み爪41hを開いて綴じ部品43を解放する。綴じ機構41は、保持した当該綴じ部品43を解放した後、綴じ機構駆動用モータ45a(図26参照)の回転により昇降部415の上部昇降リンク415aを支点軸415kを中心にして反時計回りに回動している。
この上部昇降リンク415aの回動により、当該上部昇降リンク415a上に載置されたクランプ移動機構80は、図26に示した元の位置まで上昇している。このとき、綴じ部品43は、綴じ部品掴み部41bから引き離されると共に、クランプ移動機構80がクランプした用紙束3”のパンチ孔98に嵌合されている。この時点で、図2Dに示した冊子90が形成される。
クランプ移動機構80が上昇する時、図22に示したガイドフレーム30aに設けられたガイド溝30d〜30fの各々に、支点軸部材805、連結軸30i、30jの各々が規制されて上昇する。
図32は、クランプ移動機構80及び綴じ機構41の動作例(その8)を示す正面図である。図32に示す綴じ機構41は、図2Dに示した冊子90を形成後、綴じ機構駆動用モータ45a(図26参照)により駆動された位置設定部413によって、綴じ機構回動軸41dを基準にして時計回りに回動し、綴じ位置(方向I)からホームポジション(方向II)に戻っている。
昇降部415は支点軸415kを中心にして回動していないが、その上部昇降リンク415a上に載置されたクランプ移動機構80の連結軸30jの位置は、綴じ機構41の回動により、図31に示した上部昇降リンク415aの後端から先端に移動している。
その後、クランプ移動機構80は、その綴じ部品ガイド部材99により挟み込んだ冊子90を解き放って矢印方向D3に当該冊子90を落下させ、図1に示した後段処理の排出ユニット60へ受け渡す。
なお、位置設定部413、綴じ部品掴み部41b、嵌合部414及び昇降部415に綴じ機構駆動用モータ45aの駆動力を伝達する図32の動力伝達機構416は、例えば、綴じ機構駆動用モータ45aの回転軸に係合された不図示の歯車及びリンク機構や、綴じ部品掴み部41bを駆動するための掴み部用カム41g、掴み部リンク41fや、綴じ部品掴み爪41hを駆動するための不図示の歯車及びリンク機構などから構成される。
このように、本発明に係るバインド装置100によれば、綴じ機構41の本体の位置を設定する位置設定部413と、カートリッジ42に収納された綴じ部品43を掴んで保持する綴じ部品掴み部41bと、綴じ部品掴み部41bにより保持された綴じ部品43を用紙束3”に嵌合する嵌合部414とに駆動力を伝達する動力伝達機構416を有し、綴じ機構駆動用モータ45aは、この動力伝達機構416に回転力を与えるものである。
従って、一駆動源で綴じ部品43を用紙束3”に綴じる処理ができる。これにより、用紙束3”を綴じ部品43で綴じる工程において停電やジャム等が発生して当該装置100が異常停止した場合に、一の綴じ機構駆動用モータ45aのみを逆転又は正転させて当該停止状態から簡単に復帰できるようになる。しかも、駆動系部品が少なくなるので、コストダウンや、軽量化、小型化などを実現できる。また、一駆動源で綴じ部品43を用紙束3”に綴じる処理ができるので、この綴じ処理の制御を簡略化できる。
なお、バンド装置100が異常停止した場合に、不図示の解除レバーを複数用いて、矛盾する動作を解消させる方法も考えられる。
続いて、綴じ部品43の構成及び機能例を説明する。図33A及びBは、綴じ部品43、43’の主要部の構成例を示す斜視図である。図33Aに示す綴じ部品43は図3で説明したように、背骨部43aに一定間隔でリング部43bが複数個ほど配列されている。このリング部43bは、背骨部43aに結合された分割リング部43cとその左右に折り曲げ自在(ヒンジ状)に連結されている分割リング部43d及び分割リング部43eに三分割された構成となっている。
この分割リング部43dの先端には結合部43gが備えられ、分割リング部43eの先端には結合部43hが備えられている。第1の結合部43gと第2の結合部43hとが結合されてリング部43bは環状となる。この結合部43hは、中央に爪部43nとその両側に上ガイド部43mを備えている。この上ガイド部43mは、結合部43gを上方から案内する。
第1の結合部43gは、中央に突出した引掛部43jとその両側に下ガイド部43iを備えている。この下ガイド部43iは、結合部43hの上ガイド部43mの内側に当接される。下ガイド部43iは、ヒンジ43pを中心とした回動方向に対して、当該下ガイド部43iの先端が鋭角に形成されている。
図33Bに示す綴じ部品43’は、図33Aに示した綴じ部品43とは異なる分割リング部43d’を有し、他の構成は当該綴じ部品43と同一である。この分割リング部43d’の結合部43g’は、中央に突出した引掛部43jとその両側に下ガイド部43i’を備えている。これらの下ガイド部43i’は、ヒンジ43pを中心とした回動方向に対して、当該下ガイド部43i’の先端が略直角に形成されている。なお、図33Bに示す分割リング部43d’の断面は、コの字形状に形成されている。この分割リング部43d’の断面によれば、補強用のリブ43q(補強部の一例)が設けられている。また、分割リング部43eや図33Aに示した分割リング部43dにもリブ43qが設けられている。このリブ43qにより、分割リング部43d、43d’、43eが変形することを防止できる。
図34A及びBは、結合部43g、43g’の構成例を示す斜視図である。図34Aに示す結合部43gの両側の下ガイド部43iは、その先端に、当該下ガイド部43iが、結合部43hの上ガイド部43mに当接する部分が先細り状に形成された先細部43kを有している。この先細部43kは、下ガイド部43iの先端が斜めにカット(切断)され、図33Aに示したヒンジ43pを中心とした回動方向に対して鋭角に形成されている。
これに対して、図34Bに示す結合部43g’の下ガイド部43i’は、その先端に先細部43kを有していない。下ガイド部43i’の先端部43k’は、図33Bに示したヒンジ43pを中心とした回動方向に対して略直角に形成されている。
続いて、綴じ部品43及び綴じ部品43’の動作を比較する。図35A〜Cは、綴じ部品43’の動作例(その1)を示す斜視図である。図36A〜Cは、綴じ部品43’の動作例(その2)を示す正面図である。図36A〜Cに示す綴じ部品43’は、図35A〜Cに示す綴じ部品43’を正面から見た図である。図35A及び図36Aに示す綴じ部品43’は、結合部43g’と結合部43hとが当接する前の状態である。図35B及び図36Bに示す綴じ部品43’は、結合部43g’の下ガイド部43i’と結合部43hの上ガイド部43mとが略当接した状態である。
図35C及び図36Cに示す綴じ部品43’は、引掛部43jに爪部43nを引っ掛けるために、下ガイド部43i’と上ガイド部43mとが摺動してガイドしている状態である。この状態において、図34Bに示した下ガイド部43i’の先端部43k’が、上ガイド部43mに当接している。
図34Bに示した下ガイド部43i’の先端部43k’は、図33Bに示したヒンジ43pを中心とした回動方向に対して略直角に形成されているので、当該回動方向に対して鋭角に形成された下ガイド部43iの先細部43k(図34A参照)と比較して上ガイド部43mとの摩擦が大きくなる。
図37A〜Cは、綴じ部品43の動作例(その1)を示す斜視図である。図38A〜Cは、綴じ部品43の動作例(その2)を示す正面図である。図38A〜Cに示す綴じ部品43は、図37A〜Cに示す綴じ部品43を正面から見た図である。図37A及び図38Aに示す綴じ部品43は、結合部43gと結合部43hとが当接する前の状態である。図37B及び図38Bに示す綴じ部品43は、結合部43gの下ガイド部43iと結合部43hの上ガイド部43mとが略当接した状態である。
図37C及び図38Cに示す綴じ部品43は、引掛部43jに爪部43nを引っ掛けて固定するために、下ガイド部43iと上ガイド部43mとが摺動してガイドしている状態である。このガイド状態において、図34Aに示した下ガイド部43iの先細部43kが上ガイド部43mに当接している。
図34Aに示した下ガイド部43iの先細部43kは、先細り状に形成されているので、当該回動方向に対して略直角に形成された下ガイド部43i’の先端部43k’(図34B参照)と比較して上ガイド部43mとの摩擦が小さくなる。
これにより、綴じ部品43を綴じる際に、左右の綴じ爪41kに押圧される分割リング部43d、43eにかかる負荷を軽減できる。従って、当該分割リング部43d、43eが、綴じ爪41kの押圧により変形することを防止できるようになる。これにより、分割リング部43dの結合部43gと分割リング部43eの結合部43hとを付き合わせて嵌合する精度を向上できる。
3分割された綴じ部品43の嵌合の軌跡は、その先端が接線方向に嵌合するのではなく、その先端がX字形状に交差するように嵌合する傾向が強い。従って、特に3分割された綴じ部品43において、下ガイド部43iに先細部43kを設けることの利点は大きい。
このように、本発明に係る綴じ部品43によれば、処理前は展開され処理後に嵌合されてリング状となる部品であって、綴じ部品43の結合部43gは、嵌合される結合部43hに当接する部分が先細り状に形成された先細部43kを有するものである。
従って、この先細部43kにより、結合部43gが結合部43hに当接する面積を小さくできる。これにより、嵌合時に結合部43gと結合部43hとの摩擦を軽減できる。従って、展開された綴じ部品43を綴じる際に、綴じ部品43の左右の分割リング部43d、43eにかかる負荷を軽減できるので、当該分割リング部43d、43eが変形することを防止できる。これにより、左右の分割リング部43d、43eにおける結合部43g、43hの各々の嵌合精度を向上できる。しかも、特殊な素材を選択することなく、安価な綴じ部品43を提供できる。
なお、綴じ部品43の嵌合精度を向上させる他の方法として、当該綴じ部品43の素材を、高剛性樹脂を使用することが考えられる。また、綴じ部品43のリブ43qの厚みを増すことや、当該リブ43qの本数を増やすことが考えられる。
30・・・バインダ紙揃えユニット(用紙束提供手段)、41・・・綴じ機構(綴じ手段)、41b・・・綴じ部品掴み部(保持部)、42・・・カートリッジ(綴じ部品収納手段)、43・・・綴じ部品(綴じ部品)、43a・・・背骨部)、43d、43e・・・第1、第3分割リング部(第1、第2の展開部)、43c・・・第2の分割リング部(分割リング部)、43g・・・第1の結合部(結合部)、43h・・・第2の結合部(被結合部)、43k・・・先細部、43m・・・上ガイド部、43i・・・下ガイド部、43n・・・爪部、43j・・・引掛部、43q・・・リブ(補強部)、80・・・クランプ移動機構(クランプ部)、100・・・バインド装置(用紙処理装置)、413・・・位置設定部、414・・・嵌合部、415・・・昇降部、416・・・動力伝達機構