JP4826375B2 - コンクリート構造体の塑性ヒンジ構造及びプレキャスト型枠の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高い耐震性と施工性を有するRC構造体の塑性ヒンジ構造及びこれに使用されるプレキャスト型枠の製造方法に関するものである。例えば、単柱式RC構造の橋脚やRCラーメン構造の橋脚、さらにはRC地下構造物の中央に設けられる中柱の柱頭及び柱脚部などに有効に適用される。
例えば、図8に示すような、単柱式のRC構造の橋脚では、大地震時に橋脚基部に損傷が集中し、いわゆる塑性ヒンジ区間が形成される。橋脚構造全体の耐震性は、この塑性ヒンジ部分に大きく依存することになる。1995年の兵庫県南部地震で見られた各種橋脚の損傷原因として、塑性ヒンジ区間に大きな曲げ変形が集中し、その大きさがRC部材の性能を超えるものであったことが指摘されている。このため、RC構造物の耐震性を向上させるためには、地震時に曲げ変形が集中する塑性ヒンジ部分の耐震性を向上させることが不可欠である。
近年、耐震性能を高めた構造形式として繊維を補強材として利用したRC構造が開発されている。例えば、特許文献1には、補強用短繊維を混入して成形されたプレキャストコンクリート部材と、このプレキャストコンクリート部材を型枠として打設されたコンクリートとからなるコンクリート構造体が開示されている。
こうした構造をさらに発展させたものである特願2005−189247の発明は、RC構造体の塑性ヒンジ部に対して、超高強度繊維補強モルタルからなるプレキャスト型枠を適用することにより、高い圧縮強度と引張強度を有する材料でその内部を拘束することにより、コアコンクリートの圧壊と主鉄筋の座屈を抑制し、高い変形性能を実現するものである。同発明では、プレキャスト型枠の形状は、超高強度繊維補強モルタルの使用量を最小限に抑えながら、RC構造物の耐震性能を向上させ得る形状とすることで、経済性を追求している。
但し、超高強度繊維補強モルタルは、繊維の混入により引張強度が普通コンクリートに比べ高いため、塑性ヒンジ区間のみに当該型枠を一体として用いた場合、引張強度が相対的に小さくなる当該型枠と普通コンクリートからなる部材との接合部に曲げ変形が集中し、当該型枠が塑性ヒンジとして機能しない可能性が高い。そこで、塑性ヒンジ区間におけるプレキャスト型枠の一個当たりの高さを調節し、繊維が混入しないことにより、引張強度が普通コンクリートの大きさまで低減された目地部分を設け、複数のプレキャスト型枠からなる構造とすることにより(図8参照)、ひび割れを確実に塑性ヒンジ区間に分散させて誘導発生させるようにしていた。
上記のひび割れ誘導目地部分については、以下の技術的要素が開示されている。
(1)図9(a)に示すように、複数のプレキャスト型枠91からなる塑性ヒンジ構造90において、プレキャスト型枠91を構成する高強度材料と同じ圧縮強度を有し、かつ、繊維が混入されていないモルタルを目地モルタルとして用いることや、ゴムあるいはシリコンなどにより、止水性を高め、耐久性の向上を図る。
(2)塑性ヒンジ区間の断面が小規模で、一つのプレキャスト型枠とする方が施工性がよい場合は、図9(b)に示すように、プレキャスト型枠91の表面、もしくは内側に切欠き92を設けることにより、ひび割れの発生を誘導する。
特開平10−147976号公報
前述した図9に示す従来のひび割れ誘導目地の場合、以下のような問題があった。
(1) 図9(a)のように目地を多数設けることは、プレキャスト型枠を多数設置する必要があり、製作・設置などの作業が煩雑である。また、目地の処理に用いるモルタル、ゴム、シリコンなどは、長期の耐久性がコンクリートよりも劣るため、橋脚内部の鋼材(帯鉄筋・軸方向鉄筋)の耐久性に懸念がある。
(2) 図9(b)に示すプレキャスト型枠に設ける切り欠きは、応力集中を受けやすく、超高強度繊維補強モルタルの高強度特性を活かしきれない。
(3) いずれの場合も、帯鉄筋を内包することが不可能であった。鉄筋を内包するプレキャスト型枠としては、建築建物の柱や梁部材において既に実績がある。しかし、超高強度繊維補強モルタルのプレキャスト型枠を製作する過程では、熱養生を行う必要があり、その際にコンクリート自身が450μm程度も収縮するため、鉄筋を内包した場合、鉄筋が収縮を拘束し、ひび割れが発生し、また鉄筋には圧縮応力が発生してしまう。そのため、超高強度繊維モルタルを用いて鉄筋を内包した構造は不可能であった。帯鉄筋を内包することが可能になれば、橋脚基部の施工性を改善することが可能になる。
本発明は、超高強度繊維補強コンクリート又はモルタルからなるプレキャスト型枠を用いたコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造において、プレキャスト型枠のひび割れ誘導目地の形成を容易にすると共に、帯鉄筋などの鉄筋を内包するプレキャスト型枠を提供することにより、橋脚構造等の構造性能、施工性、長期耐久性などを改善するものである。
本発明の請求項1の発明は、高強度繊維補強コンクリート又はモルタルからなるプレキャスト型枠と当該プレキャスト型枠内に打設されたコンクリートから構成されるコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造であり、前記プレキャスト型枠の製造用型枠内に高強度繊維補強コンクリート又はモルタルを多層に分割して打設することにより、打継ぎ面において繊維が上下に連続しない目地が形成され、プレキャスト型枠に前記目地によるひび割れ誘導目地が一体的に形成されていることを特徴とするコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造である。
高強度繊維補強コンクリート又はモルタルは、圧縮強度が高いコンクリート又はモルタル内に鋼繊維、炭素繊維あるいはガラス繊維などが混入された材料であり、圧縮強度が100〜250N/mm、曲げ引張強度が10〜40 N/mm、ひび割れ発生時引張強度が5〜15 N/mmの超高強度繊維補強コンクリート又はモルタルが好ましい。塑性ヒンジ区間のプレキャスト型枠に高い圧縮強度と引張強度を有する材料を用い、その内部を拘束することにより、コアコンクリートの圧壊と主鉄筋の座屈を抑制し、高い変形性能を実現することができる。
本発明の請求項1は、例えば、図1に示すように、塑性ヒンジ区間のプレキャスト型枠を従来のように分割することなく、一体で形成するものであり、プレキャスト型枠の製造時に高強度繊維補強コンクリート又はモルタルを製造用型枠の周方向に連続して投入し、多層に分割して打設することにより、周方向には繊維が連続して配置されるが、各層の打継ぎ面において繊維が連続しないひび割れ誘導目地が形成され、一つのプレキャスト型枠にひび割れ誘導目地が上下方向に間隔をおいて複数形成されるようにしたものである。このひび割れ誘導目地により容易にひび割れが発生する。地震時など橋脚等に曲げが発生しない状態では、ひび割れは発生せず、中小規模の地震後にひび割れが閉じるので、従来のような目地処理が不要でありながら、長期耐久性が確保できる。なお、一つのプレキャスト型枠は、施工上運搬可能あるいは揚重可能な寸法・重量の大型のものとすることができ、一個または複数個のプレキャスト型枠で塑性ヒンジ区間が形成される。
本発明の請求項2の発明は、請求項1に記載の塑性ヒンジ構造において、鉄筋に未硬化の遅延熱硬化型樹脂を塗布して製造用型枠内に配置し、高強度繊維補強コンクリート又はモルタルを打設し、熱養生することにより、熱養生後に遅延熱硬化型樹脂が硬化した鉄筋がプレキャスト型枠に内包されていることを特徴とするコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造である。
従来は熱養生のため不可能であった高強度繊維補強コンクリート又はモルタルのプレキャスト型枠に帯鉄筋や軸方向鉄筋を内包させる場合であり、プレグラウトPC鋼材などで使用されている遅延硬化性のある樹脂が熱養生後に硬化することにより、鉄筋がコンクリート又はモルタルの収縮を阻害することなく、また鉄筋に圧縮応力が発生することもなく、鉄筋を内包させることが可能となり、鉄筋の配筋作業を不要とすることで、施工性が改善される。
本発明の請求項3に係る発明は、高強度繊維補強コンクリート又はモルタルからなるプレキャスト型枠と当該プレキャスト型枠内に打設されたコンクリートから構成され、前記プレキャスト型枠は複数のプレキャスト型枠ブロックを積層して構成されるコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造であり、製作時の自己収縮が終了したプレキャスト型枠ブロックの接合部に予め設けられている鉄筋収納溝に鉄筋を設置し、鉄筋収納溝の空隙に繊維の混入していない高強度グラウト材を充填すると共に、接合面に配置された前記高強度グラウト材によりプレキャスト型枠ブロック同士を接合することにより、プレキャスト型枠に、鉄筋が内包され、かつ、前記高強度グラウト材によるひび割れ誘導目地が形成されていることを特徴とするコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造である。
例えば、図7に示すように、プレキャスト型枠を複数の高さの小さいプレキャスト型枠ブロックに分割し、帯鉄筋を内包させると同時にひび割れ誘導目地を形成する場合であり、プレキャスト型枠ブロックを製作した後、自己収縮が終了する2次養生後に帯鉄筋や軸方向鉄筋を溝に設置し、繊維の混入していない高強度グラウト材(高強度グラウト材、モルタル、樹脂など)によりプレキャスト型枠と一体化することにより、鉄筋がコンクリート又はモルタルの収縮を阻害することなく、また鉄筋に圧縮応力が発生することもなく、鉄筋を内包させることが可能となり、鉄筋の配筋作業を不要とすることで、施工性が改善される。また、この時、プレキャスト型枠ブロック間を前記高強度グラウト材で接合一体化することにより、長期耐久性を有し、かつ、地震時に曲げひび割れの発生を誘導し得るひび割れ誘導目地が形成される。
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の塑性ヒンジ構造において、曲げに対する終局状態での中立軸位置がプレキャスト型枠と内部コンクリートの境界位置とされていることを特徴とするコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造である。
例えば、図4に示すように、プレキャスト型枠の厚さは、全軸方向鉄筋の降伏荷重と軸圧縮力を負担できる厚さになるようにすると、圧縮破壊することがないので、理想的な橋脚構造等とすることができる。図4(d)、(e)に示すように、プレキャスト型枠の厚さを圧縮域の厚さと一致させ、プレキャスト型枠の内面即ち中立軸位置に軸方向鉄筋を配置する。曲げに対する終局状態の圧縮域の中でプレキャスト型枠の厚さを耐久性上必要なかぶり厚さが確保されるにようにし、この圧縮域に帯鉄筋を内包させることにより、プレキャスト型枠のかぶりコンクリートが横方向の曲げによって内部コンクリートや軸方向鉄筋を拘束する効果が向上する。
本発明の請求項5に係る発明は、高強度繊維補強コンクリート又はモルタルからなるプレキャスト型枠と当該プレキャスト型枠内に打設されたコンクリートから構成されるコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造における前記プレキャスト型枠の製造方法であり、前記プレキャスト型枠の製造用型枠内に高強度繊維補強コンクリート又はモルタルを型枠の周方向に打設し一周させて一層目を形成し、同様の打設を2層目以降も繰り返し、打継ぎ面において繊維が上下に連続しない目地を形成し、前記目地によるひび割れ誘導目地が一体的に形成されたプレキャスト型枠を製造することを特徴とするプレキャスト型枠の製造方法である。
請求項1又は2に記載のプレキャスト型枠の製造方法であり、例えば図2に示すように、高強度繊維補強モルタル類を例えば圧送ホースを用いて吐出部から製造用型枠内に流し込み、一周させる。打設開始位置と終了位置の繊維が連続するように付き棒などでモルタル類を攪拌する。次の層の打設開始位置は下の層とは異なる位置とするのが好ましい。また、必要に応じて、打設前の型枠内部には帯鉄筋を組み立てておく。帯鉄筋の位置は任意でよいが、プレキャスト型枠による拘束効果を最良とするには、打継ぎ面から多少離した位置に帯鉄筋を配置するのが好ましい。
本発明の請求項6に係る発明は、請求項5に記載の製造方法において、打継ぎ面に、繊維が連続するのを阻止する金網類を敷設することを特徴とするプレキャスト型枠の製造方法である。
各層の打継ぎ面は下層のモルタル類とは攪拌しなければ、繊維が打継ぎ面を貫通することはなく、ひび割れ誘導目地を形成することができるが、これを完全なものとするために、打継ぎ面に適当な目の金網、あるいはこれに類するものを敷設するのが好ましい。
本発明の請求項7に係る発明は、高強度繊維補強コンクリート又はモルタルからなるプレキャスト型枠と当該プレキャスト型枠内に打設されたコンクリートから構成され、前記プレキャスト型枠は複数のプレキャスト型枠ブロックを積層して構成されるコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造における前記プレキャスト型枠の製造方法であり、プレキャスト型枠ブロックの製作時に接合部に鉄筋収納溝を形成し、自己収縮が終了したプレキャスト型枠ブロックの前記鉄筋収納溝に鉄筋を設置し、鉄筋収納溝の空隙に繊維の混入していない高強度グラウト材を充填すると共に、接合面に配置された前記高強度グラウト材によりプレキャスト型枠ブロック同士を接合し、鉄筋が内包され、かつ、前記高強度グラウト材によるひび割れ誘導目地が形成されたプレキャスト型枠を製造することを特徴とするプレキャスト型枠の製造方法である。
請求項3に記載の分割型のプレキャスト型枠を製造する方法であり、例えば図7に示すように、鉄筋が内包され、かつ、前記高強度グラウト材によるひび割れ誘導目地が形成されたプレキャスト型枠を製造することができる。鉄筋収納溝への充填と目地部に適用される高強度グラウト材は、プレキャスト型枠に用いられる材料と同程度の弾性係数を有する材料(例えば、型枠を構成する材料から繊維を除去したもの等)を用いるのが望ましい。
本発明は、以上のような構成からなるので、次のような効果が得られる。
(1)プレキャスト型枠の製造用型枠内に高強度繊維補強コンクリート又はモルタルを多層に分割して打設することにより、打継ぎ面において繊維が上下に連続しない目地を形成するため、一つのプレキャスト型枠に複数のひび割れ誘導目地を容易に形成することができ、従来のようにプレキャスト型枠を多数設置して目地処理を行う作業が不要となり、製作性や施工性が大幅に向上し、コストの低減が可能になると共に、一体的に形成されたひび割れ誘導目地により長期耐久性も向上する。
(2)鉄筋に未硬化の遅延熱硬化型樹脂を塗布して製造用型枠内に配置することにより、ひび割れ誘導目地が形成されたプレキャスト型枠に鉄筋を内包させることができ、施工性が大幅に向上する。
(3)製作時の自己収縮が終了したプレキャスト型枠ブロックの鉄筋収納溝に鉄筋を設置し、鉄筋収納溝の空隙に繊維の混入していない高強度グラウト材を充填すると共に、この高強度グラウト材によりプレキャスト型枠ブロック同士を接合することにより、プレキャスト型枠に、鉄筋を内包し、かつ、高強度グラウト材によるひび割れ誘導目地を形成することができ、この場合も、従来のようにプレキャスト型枠を多数設置して目地処理を行う作業が不要となり、製作性や施工性が大幅に向上し、コストの低減が可能になると共に、一体的に形成されたひび割れ誘導目地により長期耐久性も向上する。
(4)以上のようなプレキャスト型枠は、その高さを施工上運搬可能あるいは揚重可能な寸法・重量まで大型化することができ、施工性がさらに向上する。
(5)曲げに対する終局状態での中立軸位置をプレキャスト型枠と内部コンクリートの境界位置とすることにより、圧縮破壊することがないので、必要最小限の厚さのプレキャスト型枠による理想的な塑性ヒンジ構造が得られる。また、帯鉄筋を内包させることにより、プレキャスト型枠のかぶりコンクリートが横方向の曲げによって内部コンクリートや軸方向鉄筋を拘束する効果が向上する。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。この実施形態は単柱式のRC構造の橋脚に適用した例である。図1は、本発明に係る塑性ヒンジ構造におけるプレキャスト型枠の実施形態の一例を示す橋脚の一部断面の正面図である。図2は、図1の塑性ヒンジ構造におけるプレキャスト型枠の製造方法の一例を示す斜視図・鉛直断面図・平面図、金網の斜視図である。
図1において、橋脚1の柱部材2とフーチング3はいずれもRC構造で構築され、柱部材2の基部の塑性ヒンジ区間Lに超高強度繊維補強コンクリート又はモルタルからなるプレキャスト型枠4が設置され、当該基部以外の柱部材2には普通コンクリートによるプレキャスト型枠5が設置されている。これらプレキャスト型枠4、5の各接合部には、互いに嵌合し合う凹凸継手などの継手が設けられ、プレキャスト型枠4、5の一体性が確保されている。これらプレキャスト型枠4、5内には、普通コンクリート6が連続して打設されている。なお、基部以外の柱部材2は、従来のRC部材の施工法と同様に場所打ちコンクリートから構成してもよい。
プレキャスト型枠4の超高強度繊維補強コンクリート又はモルタルとは、圧縮強度が高いコンクリート又はモルタル内に鋼繊維、炭素繊維あるいはガラス繊維などが混入された材料であり、圧縮強度が100〜250N/mm、曲げ引張強度が10〜40 N/mm、ひび割れ発生時引張強度が5〜15 N/mmのものをいう。このようなプレキャスト型枠4を従来は複数の高さの小さいプレキャスト型枠ブロックで構成し、各プレキャスト型枠ブロックの接合部を引張強度の低いひび割れ誘導目地とすることにより、確実に塑性ヒンジ区間Lに曲げひび割れを発生させるようにしていたが、本発明では、図1に示すように、プレキャスト型枠4に繊維が上下に連続しない目地によるひび割れ誘導目地10を一体的に形成する。
超高強度繊維補強モルタルの補強繊維は、部材に作用する荷重の方向が既知の場合は、その方向の強度や靭性を高めるため、繊維を所定の方向に偏向させて繊維による補強効果を最大限に引き出すのが望ましい。橋脚基部のプレキャスト型枠としては、圧縮に対する強度・靭性と、周方向の拘束により内部のコンクリートを拘束すること、及び軸方向鉄筋の座屈を抑制することが必要である。同時に、曲げひび割れに対しては、分散してひび割れを生じさせる必要がある。
プレキャスト型枠は繊維補強コンクリートを吐出部から型枠内に流し込んで製作するが、本発明のプレキャスト型枠4を例えば以下のような方法で製造する(図2参照)。
(1)プレキャスト型枠のための製造用型枠20を組み立てる。この型枠20は、橋脚等に配置されるときと同じように、ロの字の断面を水平に設置する。但し、天地が逆でもかまわない。型枠20の内部には、必要に応じて所定の帯鉄筋が配置される。
(2)超高強度繊維補強モルタルAを例えば圧送ホース21を通じて吐出部から型枠20内に流し込む。この際、ホースの吐出部を型枠周方向(水平横方向)移動させる。一周して1層目のモルタルA1を打設した後は、打設開始位置と終了位置の補強繊維が連続するように、付き棒などによりモルタルを攪拌する。
(3)次いで、2層目のモルタルA2を同様の手順で打設する。この際、打設開始位置は、1層目と異なる位置とするのがよい。2層目を打設した後は、同様の作業を繰り返し、型枠20の上端に至るまで打設する。
(4)各層の打継ぎ面には繊維が連続しないように、下層のモルタルとは攪拌しなければ、繊維が打継ぎ面を貫通することはない。打継ぎ面において繊維が上下に連続しない目地が形成され、この目地によりひび割れ誘導目地10が一体的に形成される。これを完全なものとするために、打継ぎ面に適当な目の金網11、その他これに類するものを敷設してもよい。
打設1層の厚さは、1層の打設量で調整することが可能である。ホースや吐出口の内径は、モルタル分と繊維が分離したり閉塞したりしないような範囲で、任意でよい。また、打継面は平滑な面とする必要はない。適度の凹凸がある方が、橋脚等にせん断力が作用した場合に対する打継ぎ面のせん断耐力の観点から好ましい。この意味で、金網11等を波形形状や歯形の凹凸としてもよい(図2(c)参照)。また、図では一方向に凹凸の波であるが、2次元的な凹凸でもよい。
なお、先行技術の特開2002-47798号公報、特開2002-47799号公報では、繊維補強コンクリートの繊維を1方向に揃えることが開示されているが、本発明においては、複数の任意位置の断面において繊維が連続しないことが目的であって、流し込むモルタル中の補強繊維の偏向は意図していない。従って、モルタル吐出部に整流板を設ける必要はない。打設の作業上、型枠内に収まる程度にホースや先端の吐出部を小さくする必要はあるが、繊維を偏向させるために、吐出部が吐出方向に向けて先細りする形状である必要もない。
以上のようにプレキャスト型枠4の製造において超高強度繊維補強モルタルAを打設する際に、練り上げたモルタルを製造用型枠20の周方向に連続して投入することにより、周方向には繊維が連続して配置されるが、橋脚等の曲げひび割れの発生に対しては打継ぎ面において繊維が連続しないので、容易にひび割れを発生する。地震時など橋脚に曲げが発生しない状態では、ひび割れは発生せず、中小規模の地震後には、ひび割れが閉じるので、目地処理が不要でありながら、長期耐久性を確保できる。
図3は、プレキャスト型枠内に帯鉄筋を内包させる例を示す水平断面図である。図4は、プレキャスト型枠における帯鉄筋の種々の配置位置を示す鉛直断面図である。図3に示すように、前述のようにして製造されるひび割れ誘導目地10を有するプレキャスト型枠4の内側に帯鉄筋12を内包させる。帯鉄筋を内包させることができれば、橋脚基部の施工性を改善することができる。また、必要に応じて中間帯鉄筋13を配置する。例えば図3に示すように、分割した中間帯鉄筋13あるいは接続可能な範囲で短く突出した鋼材を帯鉄筋12に係合し、プレキャスト型枠4の内側において対向するように突出させて配置しておき、プレキャスト型枠4の養生終了後に、重ね継手、フレアー溶接、機械式継手など適当な方法で接続する。
図4に示すように、プレキャスト型枠4の厚さは、全軸方向鉄筋の降伏荷重と軸圧縮力を負担できる厚さになるようにすると、圧縮破壊することがないので、理想的な橋脚構造等とすることができる。通常の帯鉄筋に対するかぶり厚さ(90mm程度)以下の型枠厚さでは、曲げの終局状態において圧縮破壊してしまい、理想的な塑性ヒンジとはなり得ない。また、帯鉄筋12は、曲げに対する終局状態の圧縮域の中で、プレキャスト型枠4の厚さを耐久性上必要なかぶり厚さが確保されるにようにした上で、なるべく外縁近くに配置するのがよい。
即ち、図4(a)に示すように、プレキャスト型枠4の厚さがかぶり厚さよりも薄い場合、必要な圧縮域の厚さが不足し成立しない。図4(b)に示すように、曲げ終局状態での中立軸位置をプレキャスト型枠4と内部コンクリート6の境界位置とした場合、後述する理由により理想的である。図4(c)に示すように、プレキャスト型枠4の厚さが中立軸位置よりも厚い場合、不経済・重量増加となる。図4(d)、(e)に示すように、帯鉄筋12をプレキャスト型枠4の内部に配置することにより、帯鉄筋12の拘束効果が向上し、型枠内面付近に帯鉄筋がある場合に比べ、帯鉄筋12の周囲の応力集中を緩和することができ、プレキャスト型枠4のかぶりコンクリートが横方向の曲げによって内部コンクリート6や軸方向鉄筋14を拘束する。従って、終局状態の中立軸位置をプレキャスト型枠4と内部コンクリート6の境界位置とし、プレキャスト型枠4に帯鉄筋12を内包させるのが更に理想的である。また、帯鉄筋12を内包させれば、橋脚基部の施工性も改善される。
曲げ終局状態での中立軸位置をプレキャスト型枠4と内部コンクリート6の境界位置とすることによっては、以下のような効果がある。
(1)超高強度繊維補強モルタルの厚さの設定で、中立軸に位置する鉄筋の引張力を負担しなくてよいので、必要なプレキャスト型枠4の厚さを中立軸位置よりも厚くする場合に比べて薄くできる。例えば、正方形断面の橋脚に周方向に均等に軸方向鉄筋14が配置される場合は、中立軸位置に沿って配置された軸方向鉄筋14の引張力を考慮しなくてよいので、型枠厚さは3/4になる。壁式橋脚のような複鉄筋配置の場合は、1/2まで小さくできる。
(2)従来の構造では、圧縮域に軸方向鉄筋14があり、これが座屈するためにかぶりコンクリートが剥離していた。これに対して本発明の構造では、正負交番の地震荷重を受けた場合、引張降伏した後に圧縮に転じるので、座屈しないわけではないが、座屈の程度が軽減され、かぶりコンクリートの剥落などの損傷が低減できる。
(3)上記の(2)の結果、設計上必要となる中間帯鉄筋を省略または削減できる。
次に、超高強度繊維補強モルタルからなるプレキャスト型枠4に帯鉄筋12を内包させることは、熱養生の点から従来は不可能であったが、帯鉄筋12に未硬化の遅延熱硬化型樹脂を塗布して製造用型枠20内に配置し、モルタルの打設・熱養生を行うことにより、モルタルの収縮を阻害することなく、帯鉄筋12をプレキャスト型枠4に内包させることができる。
超高強度繊維補強モルタルの熱養生では、一般に、最高温度を90°Cとした図5(a)のような温度履歴を与える。この過程で、モルタルの収縮ひずみは、図5(b)のように、450×10−6に達する。
プレグラウトPC鋼材などで使用されている遅延硬化性のある樹脂のうち、超高温タイプの樹脂について、上記の温度履歴を受けた場合の樹脂の硬化程度を示す「累積硬化影響係数」を求めてみる。累積硬化影響係数は、PC鋼材の緊張が可能であることを示すもので、これが1.0以下であれば、樹脂は未硬化であり、緊張できること、1.0に達するまでの約2.3倍の期間で鋼材とコンクリートの付着強度が実用上十分なまでに硬化することを示すものである。
図5(c)、(d)に累積硬化影響係数の計算結果を示す(dはcの点線内の拡大図)。この例では、標準的な熱養生を与えた場合、プレキャスト型枠打設後約1年間かけて樹脂が硬化するので、2.3年程度で付着の完全な帯鉄筋を内包したプレキャスト型枠となる。90°Cの最高温度を維持する時間は、必要な強度が発現するまでに設定された時間であり、一般には48時間である。
90°Cの最高温度を維持する時間を多少長くすることで、付着強度の発現までの期間を短縮することも容易であり、図5(e)は、90°Cの最高温度を維持する時間を84時間とした場合である。これによれば、約100日で樹脂が硬化し、その2.3倍の230日で完全な付着となる。この程度の必要日数であれば、標準的な橋梁等の橋脚では、構造物の完成時までの時間に十分に対応できる。なお、樹脂の硬化特性は、樹脂の配合を調整することにより変えることが可能であり、それによって対応してもよい。
プレキャスト型枠4の製造におけるモルタルの打設手順は、前述のとおりであり、打継ぎ面と帯鉄筋12の位置は任意でよいが、プレキャスト型枠4による拘束効果を最良とするには、打継ぎ面から多少離した位置に帯鉄筋12を配置するのがよい。設定したい曲げひび割れの発生間隔が1層の打設高さよりも大きい場合には、打継ぎ面の上下のモルタルを攪拌し、補強繊維を架橋させればよいが、一般に、ひび割れ間隔が小さいほど、1本のひび割れ幅は小さくなり、耐久性上好ましいので、そうした必要性は低い。
プレグラウト樹脂(遅延熱硬化型樹脂)の塗布厚さは、モルタルの収縮ひずみ量(450×10−6)から設定すればよいが、通常の橋梁等の橋脚の寸法であれば、以下のように、数mmでよい。プレキャスト型枠の1辺の長さを橋脚断面の長辺で5000mmとすれば、収縮を拘束しないようにするには、5000mmの中央から均等に収縮するとして、0.5×5000×500×10−6=1.125mmの遊間があればよい。鉄筋を組み立ててから鉄筋の表面に厚さ1.125mm以上のプレグラウト樹脂を塗布し、硬化前にモルタルを打設し、熱養生後に硬化するようにすれば、帯鉄筋12を内蔵したプレキャスト型枠4の製造が可能である。
また、内包する鉄筋の軸方向の収縮を考えた場合は、プレグラウト樹脂の塗布厚さは異形鉄筋の横節(図6参照)の高さ程度であればよい。通常の帯鉄筋に用いられる異形鉄筋は、D16〜D25程度であるから、節の高さは、せいぜい2mm程度である。なお、プレグラウト樹脂の未硬化での粘度は、通常のグリース程度であり、塗布後、特別な振動などを与えなければ、実用上問題なく、塗布厚さを維持できる。
次に、図7は、本発明の塑性ヒンジ構造におけるプレキャスト型枠の他の実施形態とその製造方法の一例を示す斜視図・鉛直断面図である。この実施形態は、プレキャスト型枠を複数の高さの小さいプレキャスト型枠ブロックに分割し、帯鉄筋を内包させると同時にひび割れ誘導目地を形成する他の手段であり、以下に示すような手順でプレキャスト型枠を製造する。
(1) 先ず、平面形状がロの字のプレキャスト型枠ブロック30を超高強度繊維補強モルタルで製作し、2次養生を実施し、自己収縮を終了させる。この型枠ブロック30には、接合面である上面に開口する平面視がロの字の形状で断面がU字状の鉄筋収納溝31が予め形成されている。また、型枠ブロック30の内側と鉄筋収納溝31を貫通する切欠き32を設けることにより、中間帯鉄筋13をプレキャスト型枠4の内側に内包させることも可能となる。
(2)自己収縮が終了する2次養生後、鉄筋収納溝31に帯鉄筋12を配置し、鉄筋収納溝31の空隙に繊維の混入していない高強度グラウト材33、例えば高強度グラウト、モルタル、樹脂などを充填し、プレキャスト型枠ブロック30と帯鉄筋12との一体化を図る。これにより、超高強度繊維補強モルタルの自己収縮による鉄筋の拘束、ひび割れの発生を防ぎつつ、プレキャスト型枠4内に帯鉄筋12を内包させることができる。
(3) これと同時に、プレキャスト型枠ブロック30の接合面まで高強度グラウト材33を薄く敷き、もう一つの帯鉄筋12を内包したプレキャスト型枠ブロック30を重ねて接合することにより、ブロック間に、耐久性が高く、かつ、中規模以上の地震時にひび割れが発生するひび割れ誘導目地10を形成することができる。
なお、鉄筋収納溝31への充填と目地部に適用される高強度グラウト材33は、プレキャスト型枠4に用いられる材料と同程度の弾性係数を有する材料(例えば、型枠を構成する材料から繊維を除去したもの等)を用いることが望ましい。
なお、以上の説明では、内包する鉄筋は帯鉄筋に限定して記述したが、軸方向鉄筋を含めてもよい。この場合、軸方向鉄筋をプレキャスト型枠目地位置で機械式継手などにより接続する必要があるが、現場での鉄筋の組立てを省略できるなどの利点がある。また、図では矩形断面の柱部材を例として示したが、杭頭部のように円形断面などであってもよい。杭に適用した場合は、掘削施工時のスタンドパイプを兼用することができ、施工後にスタンドパイプを引抜く必要がなくなるなどの利点もある。
本発明に係る塑性ヒンジ構造におけるプレキャスト型枠の実施形態の一例を示す橋脚の一部断面の正面図である。 図1の塑性ヒンジ構造におけるプレキャスト型枠の製造方法の一例を示す(a)は斜視図と鉛直断面図、(b)は平面図と鉛直断面図、(c)は金網の斜視図である。 本発明のプレキャスト型枠内に帯鉄筋を内包させる例を示す水平断面図である。 プレキャスト型枠における帯鉄筋の種々の配置位置を示す鉛直断面図である。 (a)は超高強度繊維補強コンクリートの標準熱養生条件を示すグラフ、(b)は超高強度繊維補強コンクリートにおける打込み前からの収縮ひずみを示すグラフ、(c)、(d)は累積硬化影響係数の計算結果(90°Cを48時間維持した場合)を示すグラフ、(e)は累積硬化影響係数の計算結果(90°Cを84時間維持した場合)を示すグラフである。 異形鉄筋のリブ・ふしと最外径を示す鉛直断面図と水平断面図である。 本発明の塑性ヒンジ構造におけるプレキャスト型枠の他の実施形態とその製造方法の一例を示す(a)、(b)は斜視図、(c)は鉛直断面図である。 外力を受けた塑性ヒンジ構造を有する単柱式RC橋脚の挙動を示すモデル図である。 従来の塑性ヒンジ構造のプレキャスト型枠であり、(a)はひび割れ誘導目地を有する分割型のプレキャスト型枠を示す斜視図、(b)はひび割れ誘導切欠きを設けたプレキャスト型枠を示す水平断面図である。
符号の説明
1……橋脚
2……柱部材
3……フーチング
4……プレキャスト型枠(本発明)
5……プレキャスト型枠
6……普通コンクリート
10……ひび割れ誘導目地
11……金網
12……帯鉄筋
13……中間帯鉄筋
14……軸方向鉄筋
20……製造用型枠
21……圧送ホース
30……プレキャスト型枠ブロック
31……鉄筋収納溝
32……切欠き
33……高強度グラウト材
L……塑性ヒンジ区間

Claims (7)

  1. 高強度繊維補強コンクリート又はモルタルからなるプレキャスト型枠と当該プレキャスト型枠内に打設されたコンクリートから構成されるコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造であり、前記プレキャスト型枠の製造用型枠内に高強度繊維補強コンクリート又はモルタルを多層に分割して打設することにより、打継ぎ面において繊維が上下に連続しない目地が形成され、プレキャスト型枠に前記目地によるひび割れ誘導目地が一体的に形成されていることを特徴とするコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造。
  2. 請求項1に記載の塑性ヒンジ構造において、鉄筋に未硬化の遅延熱硬化型樹脂を塗布して製造用型枠内に配置し、高強度繊維補強コンクリート又はモルタルを打設し、熱養生することにより、熱養生後に遅延熱硬化型樹脂が硬化した鉄筋がプレキャスト型枠に内包されていることを特徴とするコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造。
  3. 高強度繊維補強コンクリート又はモルタルからなるプレキャスト型枠と当該プレキャスト型枠内に打設されたコンクリートから構成され、前記プレキャスト型枠は複数のプレキャスト型枠ブロックを積層して構成されるコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造であり、
    製作時の自己収縮が終了したプレキャスト型枠ブロックの接合部に予め設けられている鉄筋収納溝に鉄筋を設置し、鉄筋収納溝の空隙に繊維の混入していない高強度グラウト材を充填すると共に、接合面に配置された前記高強度グラウト材によりプレキャスト型枠ブロック同士を接合することにより、プレキャスト型枠に、鉄筋が内包され、かつ、前記高強度グラウト材によるひび割れ誘導目地が形成されていることを特徴とするコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の塑性ヒンジ構造において、曲げに対する終局状態での中立軸位置がプレキャスト型枠と内部コンクリートの境界位置とされていることを特徴とするコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造。
  5. 高強度繊維補強コンクリート又はモルタルからなるプレキャスト型枠と当該プレキャスト型枠内に打設されたコンクリートから構成されるコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造における前記プレキャスト型枠の製造方法であり、
    前記プレキャスト型枠の製造用型枠内に高強度繊維補強コンクリート又はモルタルを型枠の周方向に打設し一周させて一層目を形成し、同様の打設を2層目以降も繰り返し、打継ぎ面において繊維が上下に連続しない目地を形成し、前記目地によるひび割れ誘導目地が一体的に形成されたプレキャスト型枠を製造することを特徴とするプレキャスト型枠の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法において、打継ぎ面に、繊維が連続するのを阻止する金網類を敷設することを特徴とするプレキャスト型枠の製造方法。
  7. 高強度繊維補強コンクリート又はモルタルからなるプレキャスト型枠と当該プレキャスト型枠内に打設されたコンクリートから構成され、前記プレキャスト型枠は複数のプレキャスト型枠ブロックを積層して構成されるコンクリート構造体の塑性ヒンジ構造における前記プレキャスト型枠の製造方法であり、
    プレキャスト型枠ブロックの製作時に接合部に鉄筋収納溝を形成し、自己収縮が終了したプレキャスト型枠ブロックの前記鉄筋収納溝に鉄筋を設置し、鉄筋収納溝の空隙に繊維の混入していない高強度グラウト材を充填すると共に、接合面に配置された前記高強度グラウト材によりプレキャスト型枠ブロック同士を接合し、鉄筋が内包され、かつ、前記高強度グラウト材によるひび割れ誘導目地が形成されたプレキャスト型枠を製造することを特徴とするプレキャスト型枠の製造方法。
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